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心(ここ)には、一人入れる空きがある…ってこと?
shangrila no tori
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
1巻も興奮気味に神評価を入れたのですが、それでもまだ全然過小評価だった気すらしてくる2巻の内容でした。
2巻を読んで真っ先に思ったのは、男娼の「心のケア」をする試情夫、という設定を1巻の時点での私はまだ十分に汲み取れていなかったなということ。
1巻をレビューした際に物語冒頭に出てくるアポロとオーナーの会話に言及しておきながら私はその部分を「感性」という一言で終えてしまっていたのですが、2巻の冒頭で再度繰り広げられる2人の対話を読んだ時にようやく、もしかしてこれってオーナーがアポロの何を買って試情夫に雇ったのか、つまりはアポロの人物像を分かりやすく伝えんとするために導入されてるのかなと、そんなふうに思いました。
オーナーはきっとアポロのずば抜けて優れている察しの良さや、相手の言葉の奥にあるものをしっかりと汲み取れるところを「試情夫」に相応しいスキルとして買ったんだろうな。
もっと言えば、フィーが抱えている何かにだってオーナーレベルの人ならとっくに気付いているだろうし、それをこの男(アポロ)なら解放できるんじゃないかと考えてフィーをアポロの教育係にしたのかもしれないな。
そしてもうひとつ2巻を読みながら思ったことは、朴訥なアポロの「目」が印象的に描かれているなということ。
これはアポロが言葉は少ないけど人をよく見ていることを表している以外に、フィーが「口」と「目」は嘘をつくと考えていることに対して、実直な視線がくれる安らぎだったり、ちゃんと自分を見てくれる相手の目の心地よさのようなものを伝えているんだろうなと思うのですよね。
それは確実に少しずつフィーに伝わっているように思います。
アポロを見る時のフィーの表情がすごく穏やかだから。
「満たされる」って気持ちを少しずつ知り始めているんじゃないかなぁ。
2人の関係性は中盤から少しずつ進展を見せ始めるのですが、アポロに最初のきっかけを与えたのはオーナーが同性の恋人と20年以上連れ添っていることを知ったあのシーンなのだろうなと思いました。
仲睦まじい2人の姿をじっと見つめるアポロの目のコマ。
アポロの目に小さな光が灯ったように見えたんですよね。
愛する1人と一生添い遂げたいと考えるタイプのアポロに、オーナー達の姿はきっとハッとするような何かをもたらしたんじゃないかな。
で、そんなアポロに、少ししてフィーが言う“帯のセリフ”。
アポロがまたハッとした目でフィーを見て、そんなアポロの表情にフィーもまた…( ´艸`)
静かな水面にゆっくりと波紋が広がっていくような始まりにドキドキしました。
はぁぁぁぁぁぁ〜〜〜すごい良かった。
なんだろうこのゆっくりと満ちていく心地良さ。
そして思っていた以上にじっくり読ませてもらえるのかもしれない!
読むと分かりますが、2人の心の変化がものすごい丁寧に描かれていくんですよ。
言葉で語りすぎない良さ。読み飛ばさないようにと、めちゃくちゃ時間かけて一コマ一コマを読みました。
最後まで読んでもう一度最初に戻った時、オーナーの「楽園」論が心に響きます。
座裏屋さんの画力がまたシャングリラのユートピア感に凄まじい説得力を持たせてくれるのよね。
こんな楽園に1週間でも滞在できたらほんと命の洗濯が出来るだろうなぁ。
作家買い。
座裏屋作品の『シャングリラの鳥』の2巻目。続きものなので1巻未読だと理解できません。未読の方は1巻から読まれることをお勧めします。
1巻の表紙はフィーでしたが2巻の表紙はアポロ。
どっちも素敵。
でも、どちらも一人のイラストなんですよね。いつか、二人並んでる表紙になるといいなあ…。
座裏屋さん作品と言えば麗しすぎる絵柄が大きな魅力の一つですが、綺麗なだけじゃないんですよね。とっても丁寧なんです。背景、衣服、筋肉、表情。などなど。どれ一つとっても、丁寧に描かれているのがよく分かります。芸術の域に達してるなーといつもしげしげと眺めてしまいます。
もうね、フィーの肌なんて質感まで分かるよう。褐色の、つやつやで、しっとりした感じ。あー、触りたい!アポロ、よく手を出さずに我慢できるね、アンタ…、と褒めてあげたいです。
というところでレビューを。
高級娼館「シャングリラ」を舞台に繰り広げられる人間模様を描いた作品。
オーナー・ジャンの美学によって形成されている娼館「シャングリラ」は小鳥(シャングリラでは男娼を小鳥と呼んでいる)たちが心地よく働けるように運用されていて、その一環として小鳥たちの精神面、肉体面をサポートする「試情夫」がいる。
とある事情により金銭が必要になったアポロがシャングリラで試情夫として働くことになり、ノンケの彼の教育係としてついたのが小鳥のフィー。快楽至上主義で、短気で、陽気で。そんなフィーと、訳アリのノンケさんのアポロが出会い―。
というところまでが1巻で描かれていたストーリー。
2巻に入り、二人の内面に焦点が当たった内容になりました。
フォーの過酷な過去。
アポロの、指輪の跡の理由。
座裏屋さんの絵柄が綺麗なだけに、より一層圧倒的な質量で読者に訴えかけてきます。
フィーは大切に抱かれることに慣れていない。
そんなフィーが出会った、アポロという男性。行為の時は電気を消し、優しく、壊れ物を扱うように、フィーに触れる。
それは、男との性的な接触に慣れていたフィーが初めて感じた「何か」なのかも。
まだ自覚していないのかな?けれど、心の奥底で、すでにアポロに気持ちが傾きかけているのが、ちょっとしたしぐさとかで見て取れる。
可愛い…。
尊い…。
一方のアポロも。
快楽のために人と接触をする男性ではない彼にとって、男娼という存在はある意味不可思議な存在。どう接していいのかわからずに右往左往するものの、いろいろな顔を見せるフィーに少しずつ惹かれていく。ほだされていく、と言ってもいいかも。けれど彼は「自分」がしっかりしている男性なので、嫌ならフィーを受け入れることはないはずで、うんうん、距離が縮まりつつある二人に萌えが滾ります。
アポロとフィー。
二人の「関係」という点においてサクサク進むことはないんです。が、これがじれったいとか、中弛みしている、といったネガティブな感想にはならない。
緻密で美麗な絵柄で、彼らの内面、過去。そういったものが実に繊細に描かれていて、じんわりと、でも確実に読者に染みわたってくる。ゆえに、このじれったささえも今作品の真骨頂だと感じるのです。これぞ座裏屋マジックか。
そして2巻に入り、ある不穏な出来事が起きます。
これが、過去を話し始めたフィーと、フィーを大切に思い始めたアポロとの心情面と相俟って、ミステリアスさが増してきます。この展開の仕方がとっても秀逸です。ドシリアスに振り切った作品でも、コミカルなだけな作品でも、エロメインな作品でもありません。そのすべてが、とてもいいバランスでミックスされている作品なのです。
明るさの裏に隠したフィーの孤独や闇に、心鷲掴みにされて仕方ありません。
すでに続きが気になって仕方ない。
次巻を、正座してお待ちしております。
2巻もすっごい良かった…(∩´///`∩)
2人の関係を少しずつ形を変えながら過去が明らかになっていく2巻。ピリリとした空気にドキドキ緊張しながら読み進めると、巻の終わりにグワッと一気に捲り上げてく高揚感が堪らない。めっっっっっちゃ興奮した!!!
そして相変わらずシャングリラの景観は素晴らしいですね。2020年は簡単に旅行すらできないような情勢になってしまいましたが、シャングリラを読んでいると常夏の楽園にいる気分になれるのも癒やしになります。波音な聞こえてくるような背景がとても好き…!
さてさて。
2巻は過去が更に掘り下げられていきます。
ある日フィーを盗撮する不審者の陰が…。不審なメールがまた届き、フィーのトラウマの原因が蘇ってきます。シャングリラを潰そうとする輩の存在も強くなってきました。(オーナーの頼もしさがカッコイイ)
フィーの過去が明らかになると同時に、アポロ自身の口からも夫婦間で揉めている理由や奥さんを受け容れられない気持ちなども語られます。少しずつ少しずつ距離が縮まって変化をみせる関係。ある日とうとう1つのルールを犯してしまってーーーと展開します。
ストーリーが進むスピードは緩やかでした。けれど、心理描写や2人の距離感・シャングリラを取り巻く環境など丁寧に掬い取って進むので読み応えがありますね。この緊張感の中でフィー&アポロが寄り添う図はとてもキュンキュンしました。
で!!!
(あらすじや帯にも書いてる情報ですが) えーーー?そういうこと?(´⊙ω⊙`)?? 3つのルールがどう物語に関与するのか楽しみだったんですが、1冊につき1つのルールを犯していく構成だとしたらめっっちゃワクワクしますね!(大興奮)
ふと思うんですが、シャングリラは小鳥ちゃん達が絶対的優位で、小鳥ちゃん達を守る為にオーナーはルールを設けたと思う反面、もし小鳥ちゃん達自身が望んだ場合はどうなるんでしょうね…?それでもルールは絶対なのか。けれどルールによって小鳥ちゃん達がストレスを溜めることになったら、それはオーナーが目指す楽園とは矛盾しちゃうわけで。。。
1巻の印象だとオーナーはルールは絶対で厳しく罰しそうなイメージもあったんですが、2巻の印象だともっと柔軟な人なのかもしれないなーと思いました。その辺りの矛盾も思慮した上で決めたルールな気がする…ぞ?どうかな。ちがうかな。
というのも、ルールを破った後のフィーを見るとそんな気が少しするんですよね。フィーにとってシャングリラは唯一の居場所で心の拠り所なんだと感じるシーンがあったんですが、その時の怯えた表情とは全く違ってたので…。この辺りが物語にどう作用していくかも今後が楽しみです。
また、アポロとフィーの変化もすっごい良かった。
フィーが不安に揺れる展開の中で、まるで安心を求めるようにアポロの寝床に潜り込んでいるのが可愛くて可愛くて。アポロが起きると腕の中にスッポリくるまっているのですよ(∩´///`∩)アポロはフィーが起きるまで本を読みながら腕枕ずっとしてあげてるとことかニヤニヤしました////同衾萌えです!!!
肌と肌を擦り合わせる描写がとても艶めかしくてエロティック。あと試情夫としての仕事(客とエッチする前に盛り上げるヤツ)の時に、穴を攻めながら口ん中に指入れてニュルニュルするのとかね。挿入してないのに挿入並みにエロすぎて眼福でした(∩´///`∩)座裏屋さんのこういう生っぽいトコすごいですね…!大好き!!(嗚呼…求・語彙力)
アポロが1巻では拒否したキス。今度は素直に応じるのが大興奮の極み。まだハッキリと「恋」が始まってはいないけれど、無意識下で受け容れちゃってるのが萌えて萌えて。アポロのような不器用な人間は分かりやすいですねぇ…( ´艸`) フフフ。
あとあとフィーの本気のおねだり…というか、本気の甘えというか、演技ではなく心からアポロを欲したであろうセリフが健気で切ない気持ちになりました。誘いに応じたアポロは「フィー」を「フィー」として大切に扱ったはず。けれどそれにフィー自身が気付いているかどうか…という曖昧さも切なキュンキュンでした(;///;)
周囲は不穏だし、恋の行方は未知数。
うあーーー3巻が待ち遠しい…!!!
新刊を読むにあたって、前作を読み直したら、これは。やっぱり「神」評価に値するな、と反省。以前私はコレを「萌×2」評価に留めておいたのだ。理由はもちろんある。
しかし、本作の導入部に過ぎなかった1巻は、物語が進むに連れて神がかって行くのだ。
表紙の緑が美しい。この絵を見て、既視感を憶えて画像検索すると。これは1974年の映画「エマニュエル夫人」に似ている。藤製の椅子にしどけなく座る夫人の構図。詳しくは知らないので、さらに検索すると。初心な若妻がどんどん性愛に目覚め、解放されて行くというお話だという。当時の女性たちにとって、性愛を自由に楽しむという理念は無く、その憧れと共に映画は世界中で大ヒットしたのだと。ザックリ言うとそんな風に書かれていた。
アポロの心はこのシャングリラで自由になるのか。開放されて行くのか。
1巻で「匂わせ」程度だったフィーの過去とトラウマは、不穏な影となってヒタヒタと迫って来る。フィーを性玩具の様に客に売っていた毒親。親から逃れたのも束の間、仲間で、恋人だと思っていた男からも同様に扱われ、裏切られていたという絶望。
そんな腐った街から拾い上げてくれたオーナー。
オーナーが大切に作り上げ、守って来たシャングリラは、自治体から目を付けられている。
営業を続け、彼が「小鳥たち」と呼んで大切にしている男娼たちを守る為に。彼は弁護士を雇い、金を使い、これまでは上手くやり抜けていた。けれど、今度はそう上手く事は運ばないかも知れないという。フィーの過去に起こった「事故」(だと私は信じてる。)は、引き金になってしまうのか。
地上の楽園は瓦解し、霧散してしまうのか。桃源郷は幻となってしまうのか。
緊迫したまま次巻へと続く。
一方で離婚調停中で、鬱屈とした憂いを見せるアポロは、いけないと思いながらも多分フィーに惹かれている。フィーの一方的な誘いや時に見せる寂しさにも。放って置けない気持ちが募る。フィーの不安そうな、爪を噛む癖は、読み返すと1巻から描かれていて。その細やかさには今更ながら感嘆する。
この緊張感を強いる物語の中で。同じ男娼で、同僚、ツン過多のカルナの優しさにホッと一息。
「小鳥たち」である男娼に手を出せないルールの当て馬たち同士が、実は文字通り、突きあっていたり。
客の中にはレイモンの様にイケメンで優しい者もいたり。
甘くてエロい、濡れ場シーンもみっちり。
後半にはルールを一つ、破ってしまうアポロとフィーのエロくて切ないシーンも。
アポロの心の穴を塞ぐのはフィー?シャングリラの終わりは来るの?アポロはフィーを連れて下界へ戻るの?その時こそが2人が真の意味で「自由」を謳歌するときになるのか。
美しい絵に溜め息。ただ続きを待ちます。
『シャングリラの鳥』の2巻です。
今回も表紙が素晴らしい!
人物だけではなく、繊細なタッチで描かれた背景もまた美しい。
何かを語りかけてくるようなアポロに目を奪われます。
映画のように美しく幻想的な娼館「シャングリラ」を舞台に描かれた本作。
朴訥としたアポロがシャングリラに来た理由が明かされた前作でしたが、今作ではフィーの過去が明らかになります。
不審な男に写真を撮られるようになったフィー。
そして、送られてくる意味深な写真。
過去のトラウマがフィーを怯えさせ、不安を掻き立てます。
1巻で、なぜ背中を押されたフィーがキレたのか……
フィーの地雷の理由がハッキリしました。これは重いなぁ。
ストレスで爪を噛むフィーを気にかけるアポロ。
アポロがフィーに緩やかに絆されていくのが分かります。
ひとりで眠れなくなったフィーが、アポロのベッドに潜り込んでスヨスヨ眠る姿にキュンとしました♡
水面下で育っている信頼感。
形の見えない恋心。
仕事との境界線が不明瞭な甘えと甘やかし。
ーーここに、ものすごく萌えました♡
アポロに自分の過去を語ったのもそう。
あっさり話したなと思ったけど、これはアポロへの信頼の証だと思う。
フィーの情緒を心配するアポロとアポロに安心を求めるフィー。
フィーが「嫁さんにするように触って」と、アポロにせがむ場面は切なくて扇情的です。
変わりゆく関係を予感させる前戯で、初めて交わされたキスに胸が高鳴りました。
そして、ついに試情夫のルールが破られます。
「男娼をイかせないこと、挿入行為はしないこと、絶対に恋に堕ちないこと」
このうち、2人はどのルールを破ったのかーー…?
心の機微や関係の機微が丁寧に描かれていて、切なくほろ苦い気持ちにさせられながらも、その圧巻の表現力には感動しかありません。
得も言われぬ感情を抱かせてくれる、稀有な作家さんだと思う。
局部を描かなくてもこれだけエロさを感じさせるって凄いよ‼︎
これも表現力ゆえですね。
秘密を共有した2人は他のルールも破ってしまうのか?
フィーを付け狙う男の正体は?
条例改正によるシャングリラの存続は?
と、すでに次巻が楽しみで待ちきれません。
恋愛に能動的に動くアポロが見たくて堪らなーい!
今回も描き下ろしが可愛くて癒されました^^
一方はストレートで、もう一方は男娼。
単なる性的指向の相違に留まらず、価値観も全く噛み合わないこのふたり。
今回はアポロの元妻についての会話があり、ますますそれを感じさせられました。
浮気を「裏切り」と呼び、決して許せないアポロに対して、遊びなのに許せないのか?と不思議そうな顔をするフィー。
こんなに価値観が違うふたりが、一体何を分かち合えるのだろう。
って、読みながら頭のどこかで彼らを否定する自分がいるんです。
それでも彼らは、お互いの過去に触れ、少しずつ少しずつ心の深いところに踏み込んでいく。
そして、自分とは違う相手だからこそ、触れた時に自分の中で動くものがある。
ふたりの内に生じつつある微妙な変化が伝わってくる度、たまらない気持ちになって、さーっと鳥肌が立ちました。
特にフィー。
「ここ(心)には、一人入れる空きがある…ってこと?」
帯にも引用されているこのシーン。
自分が本当に必要としているものは何かをまだ掴めきれていない彼が、まるで何かに気付き始めたような…
そんな表情が印象に残りました。
もう次巻が待ちきれない〜…(TT)
今後はオーナーの動きが重要になりそうです。
保護するか突き放すか分からないけど、どちらにせよ良い道を示してくれるに違いないと思います。
続きが楽しみです!
首を長くして待っていた2巻。
作画の美しさは言わずもがなですが…
いやあ、読ませますね。すごく面白かった。
ワケありのアポロと、同じくワケありそうな男娼のフィー。
生まれも育ちも異なる2人がシャングリラという楽園で出逢い、これから何かが始まりそうな予感をひしひしと感じさせてくれた1巻。
1巻でも同じことを感じたのですが、直接的な性描写よりも、性的な意味を持たない肌の触れ合いや仕草の方にエロティックさを感じるのが不思議。
特に指の動きと目線、口元なんてものすごい色気がある。
体のパーツだけでも魅せられます。
今作でも2人の関係はゆっくりとした速度で進んでいきます。
BL作品としては、2人の距離感だったり、恋愛になるの?ならないの?なんて部分がかなり緩やかな速度で描かれていると思うんですよ。
この作品はむしろそれが良くて。
なぜかというと、座裏屋先生の読ませ方が本当にお上手なんですよね。
ちょっとした視線や間、仕草、絶妙なコマ割りから、登場人物達の感情の機微がしっかりと感じられるというか、すごくリアル。
じっくりゆっくりと、静かにアポロとフィーの距離が縮まっていく様子がとても自然で、相手を意識して目で追ってしまっているのが見て取れるんです。
お互いに少しずつ他の人間とは異なる感情を持ち始めているのも分かる。信頼が1番近い言葉かな。
1巻からじっくりとページ数をかけて丁寧に描かれていたからこそ、2人が過去を語る流れも自然ですし、アポロに甘えるようなフィーの姿にも、無意識にフィーを受け入れつつあるアポロの姿にもたまらなくなる。
もう、2人まとめてなんだかすごく萌えてしまった。
でもこの関係にまだ名前はないんですよね。
過去を振り返る2人を見て、なんだかアポロとフィーって、価値観が異なる者同士ではあるけれど、根底に抱えているものは同じような気がしたんです。
もしかしたら、オーナーは2人の距離が縮まりそうなことまで、すべてを見透かしていたのかも?なんて思ったりして。
うーん、考えすぎでしょうか。
そして、何かが始まりそうなのは2人の関係性だけではなく、物語も新たな展開を迎えます。ここも上手いなと。
シャングリラでの男娼・試情夫としての仕事や、仲間たちとの日常も描きながら、それらがまたもや良いバランスで組み込まれているんです。
その日常の合間に、薄幕で覆われたような正体の見えない何かがひたひたと近付いて来る。
不穏さを感じる周囲、フィーが内側に抱えているもの、楽園の"ルール"、少しずつ変化する2人の関係性など、気になる部分と萌えが入り交じり、読み応えがあって本当に面白い。
タイトルがタイトルなだけに、すべての掟を破ってしまったら楽園追放なんてことになるのだろうかと考えてしまったり。
2巻を読んだばかりだというのに、もう次巻が気になって仕方がありません…なにとぞ…続きを…
今後の展開が楽しみです。
それから、前作に引き続き、今作でもメイン2人以外の楽園で暮らすキャラクター達も非常に魅力的でした。
やっぱり、全員を甘く抱きそうなシェスが好き。
名前をなかなか覚えてもらえないカルナも可愛いです。
彼らの過去も知りたいなあなんて。
シャングリラなのだから、時間軸が違うのは当然とばかりに非常にゆっくりと進んでいるこの作品、そのゆっくりさにストレスを感じるどころかますます引き込まれています。2巻はいよいよアポロとフィーの関係の幕が上がりましたね。
楽園を取り巻く環境や、フィーの過去などがじわりじわりとわかってくる2巻ですが、その不穏さと並行するように二人の関係が盛り上がる……座裏屋先生の丁寧さと巧さがとても際立っていると感じました。また、キャラクターの(モブに至るまで)書き分けと美しさも素晴らしいです。
この話は子供の売春などにもフォーカスをしています。センシティブに扱うべき話題なのですが、作品半ばで出てくるオーナーとフィーのやりとりを読み、座裏屋先生を全面的に信頼できると確信しました。待ちきれない思いはあるものの、南国時間のまま丁寧にこの先を描いて欲しいです。次巻も楽しみです。
性を謳歌する男娼達の楽園シャングリラ。
1巻からもう1年以上たっているんですね。
待ち長いわ〜。
受け様の男娼のフィーと、攻め様の試情夫アポロ。
暗く思い出したくもない過去を抱えていたフィー。
フィーの爪を噛む癖、よくみたら1巻の表紙のフィーも爪を噛んでた。
フィーにとって、底辺にいた子供時代からすくいあげていくれたオーナーは、本当にとても大事な存在なんだね。
シャングリラも、フィーがフィーでいられる場所であるホーム。
姿を見せずあからさまにフィーの写真を撮って、存在をアピールしてくる謎の人物。
意味深な写真付きのメール。
精神的に追い詰められたフィーがアポロにすがる。
「好きな相手とするように触って」
2人の恋愛観、セックスに対する価値観もまるっきり違っていて。
性を商品としてしか扱われてこなかったフィーの今までを鑑みたらもうそれは仕方ない。
甘い言葉や気持ちのイイ愛撫ではなく、唯1人の相手として触れてほしい、というフィーの願いが、胸に刺さった(T_T)
自らシャツを脱ぐアポロがセクシー。
それからの行為もとても甘くエロくて、ドキドキしちゃいました(///∇///)
オーナーが決めた3つのルール。
『男娼をイかせないこと』
『挿入行為はしないこと』
『絶対に恋に堕ちないこと』
このルールの1つをラストで破ってしまった2人。
これから物語がどう進んでいくのか、楽しみでしかない。
本気の恋に堕ちたアポロが見たい!
だもんで、待ち長いわ〜〜( ̄~ ̄;)
本編がけっこう重かっただけに、書き下ろしの2人のやりとりに癒されて糖分補給しました。
風にめくれて見えちゃたフィーのおしりが美しか〜〜〜( ☆∀☆)
今回はアポロの堅物さが良く分かる話が随所にありました。
奔放なフィーとは基本的に考え方が違うのでどうなるかと思って読みましたが、フィーの異変に気が付いてそっと寄り添うアポロの存在感に萌え滾りました。
男娼達にノンケ♡ノンケ♡と持て囃されて戸惑いまくるアポロですが、その逞しい肉体美は読者にも眼福でこれだけでも読む価値ありです。画力の素晴らしさにうっとりしました。
アポロの離婚訴訟も気になるところですが、フィーに忍び寄る不穏な影が気になってしょうがありません。
そしてフィーにとってシャングリラという場所がどんなに大切か、オーナーにどんなに恩義を感じているかも分かった回でした。
試情夫同士のセックスまであるとは奥が深いです。またシャングリラを取り巻く厳しさも描かれていたので、今後の展開に目が離せなくなりました。
アポロに抱きついて眠るフィーがお気に入りでした。