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ijimerarekko club
吉田さんて、可愛い絵柄に相反するようなシリアスな作品を描かれるイメージがありますが、今作品もややシリアス寄り。ですが、シリアスなだけではなく、愛情に満ち溢れた作品でした。
収録されている作品は全部で4CP。
短編集ですが、すべてデルヘリ「いじめられっこクラブ」で働く(1話だけ「かつて働いていた」男の子の話が含まれます)男娼くんたちのお話です。
「ハッピーエンドも強引なんだね?」
主人公は「いじめられっこクラブ」で男娼として働く奏。奏は「いじめられっこクラブ」でひっきりなしに指名が入る人気の男娼。
ある日彼は、有平という客の元へ派遣される。高層マンションに住む、お金持ちらしい有平。男娼として数多くの客と寝てきた奏だが、有平のセックスに翻弄される。
その日から有平から毎日指名が入ることになり…。
飄々としていて、考えていることが分かりづらい有平。
そして、男娼の奏。
序盤は甘さもなくエロに特化した作品だと思いつつ読み進めましたが、有平の執着ぶりが凄い。有平が奏に執着する理由が描かれていないので、淡々と進むように見えるのですが、奏が少しずつ有平に取り込まれて、懐柔されていくさまになんとも萌えました。
「泣かないで、泣きたくなるから」
主人公はリーマン・須藤。
彼は5年付き合った恋人(男)に去られたことで傷心中。
男と付き合うのは止めよう。
女性と結婚して、普通の暮らしをしよう。
そう決めた彼ですが、「最後に」と思って「いじめられっこクラブ」で一人の男娼を買う。いざ、彼のもとに派遣されてきたのは会話もせず、セックスの技巧も未熟な幸という男娼。
はずれを引いたとがっかりする須藤だが、幸に「セックスを教えてほしい」と頼まれたことで二人の関係は始まるのだけれど。
視点は須藤。
なのですが、彼の目を通して描かれている「幸」という青年が非常に魅力的。
男娼はしているものの、お客さんとの関わり方が分からない。
雛を育てるように、大事に幸を抱き、そしてセックスを教え込む須藤ですが、そうやって教え込んだセックスを、他の客ともするのかー。
幸に惹かれていく恋心と、それに伴い湧き上がる様々な想いが描かれています。
「このままふたりで遠くに行こうか」
いじめられっこクラブで働く晴海には、最近不思議な客がいる。
晴海を指名し、「好きだ」と告白してきたくせに晴海を抱こうとしない佐藤さんだ。
晴海は「いじめられっこクラブ」の店長と付き合っている。
付き合っている、と言うのは語弊がある。店長は既婚者だし、晴海は自分の稼ぎを店長に貢ぐ、いわば店長にとって「都合の良い男」でしかない。
佐藤は晴海の現状を知ったうえで、それでも晴海を否定せず、セックスをすることもなく、ただ買い続けている―。
見返りを期待することもなく、ただひたすらに、晴海を愛し続ける佐藤。
そして、そんな愛情を注がれ続けた晴海が導き出す答えは。
「あなたって、運命」
1年前まで「いじめられっこクラブ」で働いていたシュン。
彼はお金が必要な理由があり、そのお金を貯めるためにデルヘリで働いていた。その時のお客の一人だった高田という男性と再会したところから物語はスタートします。
自分は変態。
その言葉が口癖だった高田さん。
高田さんは、ゲイであるという性癖に葛藤している。
親との軋轢、そして男の恋人との関係は、そんな彼の葛藤の想いからうまくいかなかった。
そんな高田を、受けとめてくれたのが、シュンだった。
高田さんが言う「変態行為」が、どれほどのものかと構えつつ読み進めましたが、大したことじゃないんです。
大したことじゃないのに、それが高田さんには「変態行為」でしかなかった。
そんな高田さんが可哀そうで。
そしてシュンくんも。
彼も、理由があったにせよ、デルヘリで働いていたことに葛藤があった。
そんな二人が、再会し、そして時間が進みだす。
4作品ともデルヘリで働く男娼たち、が主人公という事で、エロ度はかなり高めの作品です。
エロに振り切った、と言ってもいい。
でも、エロだけではない。
客と男娼。
そういう関係で出会い、そしてそこから恋心が育っていく。
葛藤し、もがき、そして苦しむ。
4CPともそういうお話で、めちゃめちゃツボに入る作品でした。
短編集なので、1話はさほど長くないですし、彼らの間で、どうやって恋心が芽生えたのかわかりづらい作品もあります。なのですが、その短いストーリーにあって、透けて見えてくる彼らの感情の機微というのが凄く端的で、そして圧倒的な質量を持って読者に迫ってくる。
甘い話ではありません。
エロ度がかなり高い作品でもあります。
が、甘いも酸いもかみ分けた、読めば読むほど味のある、そんな素敵な作品でした。
好みが分かれる作品かもしれませんが、個人的にはめっちゃツボに入る神作品でした。
題名と表紙だけみるとエロ重視の話なのかな~という印象でしたが、そうではありませんでした。
もちろんえっちシーンもたくさんあるのですが、中身がないわけではありません。
吉田ゆうこ先生が描く人物たちの人間らしさが溢れていて、読後はほっこりとする物語です。
ただ、はっきりとした言葉にしなかったり、最後に2人がどうなったか描かれていない話が多いので、そういうのが苦手な人は注意が必要だと思います。
ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー
【いじめられっこクラブ】
感情が読み取れない攻めの有平×ツンデレな奏。
2人の出会いは客と男娼で、奏を気に入った有平は毎日彼を指名します。それができちゃうレベルのお金持ち...
お金を積んで奏を手に入れようとする有平とそれを拒む奏。
最後の最後、有平から奏への独白は、愛に溢れていました。この話のオチの付け方が一番好きです。
【泣かないで、泣きたくなるから】
ゲイな須藤×口下手な幸。
客と男娼として出会った2人ですが、幸のあまりの下手さに飽きれてしまう須藤。
そこから幸へえっちなことを教えていくようになります。
自分の手ほどきにより成長していく幸ですが、それに従い自分の好みではなくなっていく...このことに苦悩する須藤。
幸が可哀想で可愛くて、健気です。一度離れる2人ですが、お互いに忘れられないようで再びめぐり合ったところで終わりです。
【このままふたりで遠くへ行こうか】
晴海に告白し続ける佐藤×男娼の晴海。
この2人が一番心が近くて距離が遠い、とても切ないカップルでした。
佐藤に抱かれ離れたくないと思う晴海ですが、そう簡単にはいかない事情があるようです。
幸せになってほしいと願わずにはいられない2人でした。
【あなたって、運命。】
客の高田×元男娼の旬一。
他のカップルとは違い、旬一が男娼を辞めた後の話として展開されていきます。
何度離れてもめぐり合うのは運命...一番ドラマチックな話でした。
描き下ろし【ドキドキしちゃう】
【あなたって、運命。】の2人のその後の話。
ーーーーーーー
どの話もえっち描写はありますが、それだけではない人間模様が展開されています。
身体を売る青年たちが恋を知っていく様をぜひ覗いてみてください。
タイトルや表紙、レビューを簡単にみた感じ、えっちな部分に重点が置かれてるように受け取れたりもしますが、さすがのゆうこ先生、伝えられない溢れる愛を伝えるためのえっちでした…(つまりえっちなことは間違いないです)
ゆうこ先生の作品は人それぞれの好みが分かれることが度々あるように見受けます。それはさまざまな作風だったり、キャラクターの性格だったり、色んな理由があるとは思うのですが、今作の好みの分かれ目は例に挙げた後者かな、と思ってます。1話目の攻めの有平や3話目の受けの晴海など、感情の動きが読みづらい(というか感情の起因する出来事がわからない)キャラクターに個人的には少し引っ掛かりを覚えました。(そんなに気にならない程度ですが)
とはいえ、他の方もおっしゃってますが、最後にはほっこり、幸せになることを願わずにはいられないような、葛藤を分け合いながら愛に満たされているカップルのお話ばかりです。ゆうこ先生の絵は可愛らしいのにシリアスでがっつりえっち!なので、他の作品を読んで苦手意識を持ってしまった方もいるのかもしれませんが、今作はえっちなの読みたい方も、感情を揺すられる感動系を読みたい方も、ほのぼの系を読みたい方も、おすすめしたい作品でした。買ってよかったです。
吉田ゆう子先生の作品はいつも割と受けの子がかわいそうだったりする印象なんですが、今回はいじめられっこクラブで働く男の子のお話がオムニバスのようになっています。
最初は奏と有平。結構酷い感じに最初抱かれてでも気に入られたのか、毎日呼ばれる奏。おもちゃ使ったり、結構激しめなんだけど、俺のものになってくれないかなんて言われてしまって、10回で俺になびかなかったら諦めるといってなびかなかったけど、有平は諦めきれない様子で、奏がじゃんけんで負けたらアンタと付き合うよと言って、そこでも有平負けちゃうのに勝つまでやるって。奏のこと凄く好きだったんだ。結局奏は負けてあげたので、奏も実は好きだったのねと。
なかなかエッチで良かったです。
ふたつ目の不器用な須藤と幸の話が一番好きでした。
最初はHも下手くそで愛想もない須藤がいろいろ教えてあげてたけど、Hも上手になって笑顔も出るようになった幸をみて、もう自分の役目は終わったし、女性と結婚するといって離れて行った須藤だけど、街で客とぎこちなく分かれる幸を見て思わず駆け寄る須藤。幸は器用になったわけではなくて、須藤にだけ笑顔を見せてたんですよね。本当に健気な子には弱いです。
次は佐藤さんと晴海。佐藤さんはお客だけど、デートをするだけでHしなくて。ずっと口説かれてたけど、何回目かのデートで晴海からホテルに誘います。そして店長よりHが上手かったら少し考えると言われて。
お店を辞めたシュンくんと元お客の高田。
偶然道で会って。少し思い出話とか。高田さんはシュン君がお店を辞めたのが気になってたみたいだけど、学費が貯まったからやめたみたい。そして仕事のこと言えないしちょっとしんどかったと。
でさよならするけどまた偶然会って。実はシュン君のこと好きだったと。
そして高田さんの告白でお付き合いすることに。
どのお話も素敵で、風俗を通して出会った人たちだけどみんなそれぞれ最後は恋してたのが良かったです。
1つ1つが短いので、全部その後の話とか読んでみたくなります。
エッチだけど健気でかわいくて本当おススメです。
電子で読みました。
短編で何カップルか出てきますが、それぞれがちょっと切なくて良いお話でした。
デリヘルが舞台なので相手が客で他にも身体を売っているわけですが、不思議と嫌悪感はありませんでした。デリヘル故のピュアさも感じました。
主人公は可愛いし、お相手もカッコいいのがちょっとだけ出来過ぎな感じもしましたがBLはファンタジーなので良しです。
なんとなく吉田先生の絵がちょっと崩れて変わったような気がしました。
吉田先生の作品は痛いのも多いですが、これは安心して読めました。
◆ハッピーエンドも強引なんだね?
冒頭を飾るこの作品が一番お気に入りです。強引なところのある攻め・有平と、顔は可愛いけれど客に対してはっきりものを言う受け・奏という組み合わせがとってもタイプ。奏が休ませてと頼んでも、許してくれない有平のSっぷりは他3作品にはなく、最高でしたね。また、奏の方も有平に簡単に絆されるのではなく、客に騙された他のボーイ達を見てきたからこそ、有平への好意を自覚しながらも最後まで彼を突っぱねたところが良かったです。結局は有平が強引に押し切ってしまうのだけど、奏もここまでされたらもう受け入れようという気持ちだっただろうし、素敵なくっつき方だったと思います。有平は簡単に奏を手放すような男ではないでしょう。
◆あなたって、運命。
いじめられっこクラブを既に辞めている元・ボーイのシュンと、彼の客だった高木さんの話。高木さんの性癖を変態、と一言で片付けてしまうのは簡単だけど、そこに至るまでには事情があって、こういう経緯で性癖が形成されることもあるんだなぁと。それを抵抗なく受け入れられたシュン。彼が好き者だったからではなく、当時から高木さんの真面目さや純情さを心地良く感じていたからこそ、受け入れられていたんだと思います。奥手な高木さんが自分を奮い立たせて、心を決めてシュンに会いに来てくれたシーンは、私も嬉しかったですね。性だけではなく、心が繋がることの喜びを改めて感じさせてくれた作品でした。