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あんなに優しくしてくれた人間をあいつ以外に知らない
作家さんの新作発表
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木原作品の『COLD』シリーズのコミカライズ版の3作目。順番としては『COLD SLEEP』→『COLD LIGHT』の続編です。コミカライズ版なので、内容としては小説と同じですが、一応ざっくりと書きたいと思います。
ネタバレ含んでいますので、苦手な方はご注意を。
『COLD』シリーズの中で、最も痛く、そして切ない巻です。
1作目の『COLD SLEEP』は、事故に遭い記憶をなくした透が、藤島という男性に引き取ってもらい共に生活をし始めるまで。
2作目の『COLD LIGHT』は、なぜ藤島さんが透を引き取ったのか、二人の関係は、そしてそこを乗り越え恋人になるまで。
3作目にあたる今作品は、なくしていた記憶を透が取り戻した、というところからスタート。
もともと粗暴な男であったのだろう、ということは前作から透けて見えていましたが、記憶を取り戻した透の凶暴性は常軌を逸している。
殴る、蹴る、そしてレイプ。
けれど、そんな透のすべてを受け止める藤島さん。
記憶をなくしていた時の、優しく、穏やかで、藤島さんの喜ぶ顔が見たいと奮闘していた透はここにはいません。ひたすら藤島さんを憎み、暴力をふるう。
こちらの姿が、おそらく透の本質なのでしょう。
が、透がこういう粗暴な男になったのは理由がある。
愛されず、顧みられることもなく、孤独だった幼少期。
子どもだった透が、助けを求め、けれど救いの手を差し伸べてくれることのなかった義兄。
どうやって愛情を、感情を、相手に伝えればいいのかわからない。
手を差し伸べて、その手を振り払われることに耐えられない。
そんな透という男の孤独と心の暗闇が胸に迫る。
コミカライズ版なので、小説で描かれているけれどページ数の問題でカットされているシーンもそれなりにあるのですが、「ここは入れてほしい」と思う描写は余すことなく盛り込まれていて、麻生さんの描き方に圧倒されました。
どれだけ酷いことをされても透の手を離すことのなかった藤島さんが、透のとった「ある行動」に心折れてしまうシーンがあります。そのシーンに思わず号泣しました。
透が「それ」をした理由。
藤島さんが「それ」を大切にしていた理由。
どちらの気持ちも手に取るようにわかる。
最後、藤島さんに捨てられることを恐れた透の変化にも。
透の暴力行為は、「試し行為」だったと思うのです。
藤島さんは本当に自分を受け入れてくれるのか。
また捨てられるのではないか。
藤島さんを、心から求めているからこそ、の透の行動がなんとも切なかった。
『COLD」シリーズは木原作品の魅力がたっぷり詰まった作品だと思います。
綺麗なだけではないゆがんだ愛情。
エゴにまみれた人間関係。
そういった人の「本質」をこれでもかというくらいに読ませる。
透と藤島。
お互い傷つけあいながら、けれど心から相手を求めてしまう。
幼少期に傷つけられた二人の孤独な魂の救済のストーリーだったと思います。
痛い話が苦手な方にはお勧めしづらい作品ではあるのですが、小説版の描写よりも、コミカライズのほうが痛くないかもです。
こちらの方があっさりしている、ということではないのですが、1冊にまとまっているために暴力シーンが短い。木原作品は痛いから…、と手に取るのを躊躇されている方には、とりあえずこちらのコミカライズ版をお勧めしたい。
麻生さんの絵柄が、この作品にぴったりでした。
儚くて、綺麗で、切なくて。
そして表紙。
ドロドロなストーリーにおいて、この美しい表紙が、二人の行く末を端的に表しているようで、希望に満ちていて、とっても素敵でした。
原作小説の濃密な物語がどのようにコミカライズされたのか。大変興味が湧いて、読んでみました。
記憶を取り戻し、藤島とのかかわりの中で揺れる透の心理描写を中心に、オリジナルのエピソードも加えられ、悲しくもドラマティックな作品になっていると感じました。
特に重要だと思ったオリジナルのエピソードが三つあります。
一つ目は、冒頭、パティシエ修行でフランスに留学する直前の透と藤島が優しく愛し合うエピソード。これは、小説「COLD THE FINAL」に収録された短編がアレンジされたものです。幸せな描写がまぶしく、この後始まる辛い展開との対比が鮮やかです。
二つ目は、警察沙汰を起こした透を迎えに行った藤島が、透と一緒に笑っている写真を見つめながら、自分の決心をあらためて口にするエピソード。「もし明日記憶が戻って、全てなかったことになっても、君との出会いを力にする」「強くなる」。これは、「COLD LIGHT」の最後、記憶を失くしたままの透の愛を受け入れるとき、藤島が決心したことでした。一ページだけですが、麻生ミツ晃さんが創作されたこの場面があることで、この作品のストーリーがとても明確になっていると感じました。藤島は、透と愛し合った6年間の記憶を支えに、透に寄り添い続ける。透は、幼い頃の藤島の裏切りを忘れられないのに、心の底では藤島を求めている。だからこそ透は、誰よりも6年間の自分を惜しんでいたのが藤島だと知って、藤島が支えにしていた二人の写真を捨ててしまう…。
そして、三つ目は、透と再び心を通い合わせた藤島が、最後まで手元に残っていた二人の写真を見つめるエピソード。透が「(交通事故で死なせてしまった男性の遺族に)自分のできる全部で、全力で償っていこうと思う」と話していたことを思い出し、自分もできる全部で今の透の傍にいようと藤島が決心する心の動きに深く納得します。原作にはない麻生ミツ晃さんが創作されたエピソードです。原作でも、透と出かけた海で藤島が写真を燃やす場面はありますが、何が写っているかは明かされていませんでした。詳しく書かないことで余韻の残る印象的な場面でしたが、コミカライズ版では何の写真を燃やしたかが描かれていることで、その後涙を流す透の気持ちがより鮮明になった気がします。
麻生ミツ晃さんの影のある絵が、この物語の雰囲気にとても合っていると思いました。涙も瞳もキラキラしていないのがよかった。何回も繰り返して読むうちに、傷だらけの二人がとても愛おしく感じました。
もっとページ数があったら、描いてほしかったエピソードがありました。
透は藤島に復讐するためにセックスの奉仕を強要していたのですが、次第に藤島にも快感を与えたくなって、透の行為の様子が変わっていく描写が原作にはあります。藤島に惹かれていく透の気持ちを表す重要なエピソードだったので、少しだけ残念です。
もうほぼ忘れたと思っていたのですが
読み進めていくうちにかなりフィードバックいたしました。
そう、そうだった。
記憶を失っていた間の透。
とつぜん記憶を取り戻した透。
自分が知らない間に月日は流れ、自分を取り巻く環境も変わっていた。
知らない間に失ったもの、手に入れたもの。
受け入れられること、受け入れられないこと。
そして藤島との関係。
藤島との過去。
自分がどう思い、感じていたのか。
それなのに今。
その葛藤の中でもがく姿に思わず泣いた。
原作を読んだときは、もっと透の方が強い印象だったんですが
弱い部分を見せられると思わず泣けた。
二人の睦まじい姿を映した写真。
それだけを大事にしていた藤島が
最後その写真を。。な場面。
自分が愛した透はいない。
けれど、透自身はそこにいる。
複雑な心境に胸が痛い。
久しぶりに原作を読みようかな。
帰宅直後、待ち構えていた透を振り返る藤島の顔が、藤島母に殴られていた時の透の顔を彷彿とさせ、絶望が絶望を読んでいる様に引き込まれていきました。
あんなに幸せ一杯だったのに、どん底まで叩き落されます!!
この巻のための前巻、前々巻だったと、しみじみ。
透は透で辛いのは承知なんですが、どうしても藤島目線で読んでしまいます。藤島の半生をいつか透にも知ってほしい…
ボロボロでありながら、折れることのない藤島なので、ナヨナヨした受けが苦手な人にもオススメしたい作品です。
是非一読ください!
透の記憶が戻り、透の過去も判り、ここまで蓋をしていられたものも出来なくなり、今まで貯めてきた水が栓を抜いて一気に流れ出てしまったような、オアシスが砂漠になってしまったような。本当にとんでもない絶望感を感じました。
幸せだったあの6年間を透が忘れてしまった。
でも記憶を取り戻した過去の透も、本来守ってあげたかったはずの透であり…。
好きだけではどうにもならない。
暴力とはやはり恐怖で、怯えたり震えたりしている藤島を見る度に辛い気持ちになりました。
(ここの描写は本当にすごいと思います。)
小さい頃から理不尽な扱いを受け続け、自分で自分を守るために他人を傷つけるようになり、それもまた決して他人には受け入れられることのない透。
それでも救いを求めてしまうのは藤島なんだと気づいたとき、藤島の笑顔を見れていた自分が存在したのだ、必要とされていた自分がいたのだと、それを渇望する自分を直視した時。
藤島の気持ちもまた、今まで通りとはいかないけれども
二人が前を向けた時
言葉には表せないような気持ちになりました。
(感想にならなくてごめんなさい。)
しばらくはまた読み返せないかもしれないけど、
ずっと手元に置いておきたい作品です。
神以外の評価かみつかりません。
とても辛く苦しいシリーズ最終章でした。
記憶が戻った透が余りにも自分勝手で乱暴で……
そうなってしまったのは壮絶な過去があったからであって、
決して透が悪かったわけではないと思います。
だけど、藤島への憎悪と恐怖と依存が恐ろしかった……
虐待は繰り返すと言いますが、
まさにそんな感じでした。
そして、あんなに大切にしていた透に怯える藤島が切なかった……
でも、結局は共依存なんですよね。
お互いがなくてはならない存在になっている。
藤島に捨てられる事に異常なまでに怯える透と、
透を2度と見捨てられない藤島と……
思いは少し違うかもしれません。
でも、離れたくないという結論は同じなのです。
おかえり、ただいま、いただきます、ごちそうさま……
繰り返されるあたり前の言葉たちが、
いつか透にとって本当に当たり前になってほしい。
そして、そこに新しい言葉が加わるとしたら…?
過去を捨ててようやくスタートラインに立った2人……
これからも2人がずっと一緒にいる事を願ってやみません。
壮絶でした。
前作も2人の過去が過酷だったけど、今作はまた別の意味で辛かった。
その分、乗り越えて結ばれた時の喜びがキます。夜明けの腐だと再認識させられました。
そうよねぇ。記憶戻りますよねぇ。
冒頭で幸せを実感するということは、その先はそういうことになると相場は決まっているわけで。
透が記憶を失っていた間、あんなに藤島を好きになったのは本来の透の部分だと思ったんですが、透は傷つく前は本来はああいう人柄だということですよね。
子どもの頃、藤島に裏切られてひどく傷ついたのはそれだけ信じていたからで。
透の記憶が戻ってからは、藤島に裏切られて傷ついた荒れた状態で。
前作でクソババアの折檻も嫌でしたが、本作の透の暴力もきつかった。
藤島は透の記憶が戻ることを覚悟していたとは言え、あれは辛い。
でも、強くなると決めたので、言い話もせず耐えた。えらい。愛ですね。
透も本当は暴力をふるいたくてしているわけではなくて、悲鳴ですもんね。
そこから、透が周囲から状況を聞いたり、藤島との関係を知ったり、嫌悪しながらも、藤島は自分を待っていてくれるし、透もずっと藤島を求めていたと気づいていく過程もよかった。
説得力があります。超重要。
麻生先生、行動原理、動機付けをきちんと描かれる。それがお上手。好き。
(確か「偶然を描かないように気を付けている」と仰っていただけのことはある、と感心しきりです)
だって、細かいところでも疑問や違和感があると気になるし、入り込めないし、冷めますもん。
本シリーズは難しい展開なのに、それがないどころか感情移入して引き込まれるのがすばらしいです。
透が藤島に「あと…あと…何をしたら あんたは俺の傍にいるの?」のシーンは泣きそうになりました。
それまでも2人とも切なくて辛かったけれども、ここでようやくカタルシスきました。
透の言い方が子どもの時のそれですもんね(泣)
藤島の涙もわかるし。
「ふじしま」とひらがなで呼ぶのがかわいらしくも切ない。
その後、透は子ども返りみたいになって。
藤島にいっぱい甘えたらいいよ、藤島も透をいっぱいかわいがってあげたらいいよ、とすごく思いました。
描き下ろしもよかったです。
透がほしかった藤島という居場所が出来て、甘えたり少し安心できるようになったり。
欲を言えば、この後の2人がもっと見たい。
くっついてからのらぶらぶ、関係性が深まる話が大好きなので。
でも、これで完結しているのでもうないのかな(残念)
いやぁ、しかし読み応えありまくるすばらしいシリーズ全3巻でした。
「COLD」シリーズ、コミカライズ最終章。
原作既読で内容知ってるのもありますが、口絵のカラーイラストでもう涙出てきました。←早過ぎ(;・∀・) 感無量です。
プロなのはわかっているのですが、コミックス1冊にまとめられてすごいです!
一つ一つのコマの表情・視線・手つきなどなど、全てからとても深い感情が感じ取れました。
1冊に纏めるための、取捨選択の妙が本当に素晴らしかったです。
なまじ物語を知ってるだけに、頁数進むごとにあと少しで終わるの・・・!?と少し心配しながら読んでしまいましたが、それは私の事情なので(;・∀・)
コミカライズ版でも素敵なラストを読ませて頂きました!
この後FINAL読みます~。
原作読了。大好きなシリーズです。
コミカライズもずっと気にはなっていたんですけど…原作から感じたイメージが塗りかわる可能性が怖くてじっとしていました…。
が、それから日も経った今回。おもいきって一番好きな最終巻を読んでみました。
原作を読んだ時と同じ胸の痛み、ズキズキを感じることができました。
この夢中にさせてくれる痛みが付き物であり魅力であるよCOLDシリーズ。
原作にも負けない雰囲気が絵から滲み出ていて…違和感なく世界に浸ることができました。
コミカライズならではの目からダイレクトに伝わる描写…
例えば記憶喪失中の透の最大の幸福を抱えた最後の安らかな寝顔とか
お揃いのカップだとか
ソファーを独占する記憶が戻った透の前に正座する藤島さんとか
食べるお弁当のサイズの違いとか
各所で唸りました。
そしてまるで別人だが同じ人間(透)の幸せと不幸の対比が凄まじく胸にきました…。
楠田くんはこの絵でお馴染みなので、見ているととても安心しました…。
が、
彼の未来を想うと代わりに泣きたくなる自分もいる…(頭抱え)
HEARTの方もコミカライズしましょ!?
ラストは自分が原作で感じたものよりもあたたかった。
原作では透目線だから藤島さんに関しては自分なりの想像が強かった。
でも私の中の彼よりもずっとずっと笑っていて…思っていたものとは違うというガッカリ感とかはまるでなく…あぁ、良かったな…とすんなり胸に入ってきたりもしました。
これはコミカライズも最初からきちんと読むべきですね。
この世界がとても丁寧に描かれていて…漫画という形でも触れられて嬉しかったです。
欲を言えば藤島さんはノベルス版挿絵の髪型で見たかった!!!!
そして黒のロングコート姿が良かった!!!!!
こっちに惚れていた私のただの我が儘です…(涙)
ついに高久が失っていた間の記憶を取り戻し、2人の蜜月が壊れてしまうところから始まる最終巻。しかし今度は、過去を思い出した代わりに、記憶喪失だった頃の6年間がごっそり頭から抜け落ちてしまいます。藤島を好きになったこと、お菓子作りに興味を持ちパティシエの修行をしようと思っていたこと、バイトをしたケーキ屋や楠田、商店街の人達との付き合い、事故の真相をすべて忘れた高久。そして、しまってあった写真を見て、藤島とそういう関係だったことを知ります。
高久の藤島に対する怒りは尤もですし、でも藤島も常にその時最善だと思う行動をとってきたことはよく分かりますし、誰も悪くないからこそ気持ちのやり場がないのが本当に辛かったです。そんな中、この最終巻では楠田がキーパーソンとなって高久の気持ちの整理に一役買います。自分が心の底から藤島を憎んでいるわけではないことに気付き、失われた6年間の高久に救いを求めかけた藤島に、もう一度今の自分に向き合ってくれと懇願する高久のシーンには胸を打たれました。
最後まで高久が6年間の記憶を取り戻すことはないのですが、そうやって安易な展開に持ち込まないところが非常に良かったと思います。ただ、どうしても3巻通して辛い部分がほとんどで高久と藤島が穏やかに愛し合えた期間が少なく、カップルとしての魅力に浸りきれなかったので萌評価にしました。でも、記憶喪失ものとしてはとても良質で重厚なストーリー展開だったと思います。