雛鳥は汐風にまどろむ

hinadori wa shiokaze ni madoromu

雛鳥は汐風にまどろむ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神200
  • 萌×293
  • 萌33
  • 中立9
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
24
得点
1480
評価数
340
平均
4.4 / 5
神率
58.8%
著者
南月ゆう 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
徳間書店
レーベル
Charaコミックス
発売日
価格
¥660(税抜)  
ISBN
9784199607431

あらすじ

事故で亡くなった姉の子供・歩を引き取り、海の見える町に引っ越してきた勇一。
新天地での初めての子育てに悩んでいた勇一が出会ったのは、町で惣菜屋を営む元ホストの陵だ。ガッツリ胃袋をつかまれすっかり常連となった勇一に、「あなたのこと、もっとよく知りたいです」と口説くように囁やかれて…!?

表題作雛鳥は汐風にまどろむ

紅林 陵(28)惣菜店を営む、元ホスト
立花 勇一(28)会社員、小学生の甥を育てている

その他の収録作品

  • affer story(描き下ろし番外編)
  • カバー下「あとがき」
  • カバー下「雛鳥のララバイ」

レビュー投稿数24

ヒューマンドラマとしても

本当にこの作品は胸に沁みる。
この作品も何度読み返したか分からないけど、毎回ウルっときちゃいます。

最初はチャラい惣菜屋さんと、引っ越ししたてのお客さんという出会いの3人。勇一は亡き姉の子・歩を引き取り新生活を始めたとき、惣菜屋を営む稜と知り合いになり徐々に親しくなっていきます。

惣菜屋さんと懇意にしていくという設定がめちゃ良くて。やっぱり胃袋を掴むのって大事なのかなと(笑)稜の美味しそうな料理を目当てに店に足を運びながら、距離が近くなっていくのが良いなぁと思いました^ ^


だけど、そんなあっさりとBLが成立して終わりじゃない。家族の死を抱えた3人のそれぞれの思いが絡まって、ヒューマンドラマ的な側面が強く何度胸を打たれたことか。
叔父である勇一に素直に気持ちを出せない歩の思いだったり、環境の変化に戸惑う勇一の焦りや、愛に飢えた稜の激しい感情……胸が抉られました。

特に稜の過去はしんどい。。。
出会ったときのチャラさからは想像できません。誰かに愛されたかっただけなのに、どれだけの人に罵られ蔑まれて生きてきたんだろう。
身体に付いた(付けられた)傷の多さは衝撃でした。


クライマックスはボロ泣き。
2人でとことん幸せになって欲しい〜〜!

最後はすんごくほのぼの。
3人の家族感がすごく素敵でした^ ^
一本の邦画を見終わったような感覚が非常に心地よかったです。

2

雛鳥は汐風にまどろむ

私の中では間違いなく神作品です。不思議と自分も彼らと同じ土地に住む友達のような気分にいつの間にかなっています。それほどのめり込むことができる素敵な作品です。お総菜屋さんがあることや誰かにとっては思い出深い海があること、雨が降っている様子などから今まで感じたことのない繊細な雰囲気に包み込まれました。
また個々が内に秘めている思いが忠実に描かれており共感でき、とても感動しました。
誰かと一緒にいたい、1人になりたくない気持ちは人の温かさを知ってしまった上で孤独を味わうことで生まれるもので孤独になるのは楽だけど寒くて寂しくて泣いてしまいそうになると思いました。(1人で生きているのは寂しいから皆誰かと生きるべきという意味ではありません。)
もしこの世にその誰かが居なくなってしまってもその人の存在が無自覚にも過去も今も未来も生きる意味を与えてくれているのではないかと思いました。彼らの日常の中に失礼ながら私も入らせていただいたような超最高な気分になれました。
個人的見解ですが、読後は作品名「雛鳥は汐風にまどろむ」の意味が読後少し分かったような気がしました。私は陵、勇一、歩の3人が海辺でゆったりと汐風に吹かれている様子が想像できました。とても可愛いタイトルだなと思います。
表紙から目を引かれる作品でした。萌もありますが神です。(神すぎて評価させていただくのが難しいですね。)他のCharaコミックや南月ゆう先生の他作品が気になります。_:(´ཀ`」 ∠):
先生の作品を拝読できとても光栄でした。

1

「嫌がんないで」

浄化される!SUKI!!

南月先生の本はだいたいどっか泣く。大人の弱くて柔らかいところを描くのがめちゃくちゃに上手い。今作はアユムくんの友だちのおかあさん・島村さんもすごく活躍していたな〜。女性キャラが嫌味なく活躍できるのもさすがです

両親と姉を事故で亡くし、姉の子どもを引き取ることになったユウイチ。自分のやり方に自信が持てない、どころか、辛くて逃げてしまいたい気持ちを必死に押し殺している。そりゃあ、20代で突然父親になって一人で小学生育てるなんて、怖いよなあ

一方のリョウは、幼い頃から家族に蔑ろにされて育ち、「人のものが欲しい」という困った性癖を抱えていて、どこにいっても人間関係を壊してしまう

そんな二人が出逢って、恋をして

アユムとリョウがユウイチについて海で話すシーンが、切ない。しあわせになってね

2

キング・オブ・3人

何度レビューを書こうとしたことか。
でも毎回言葉にならなくて、他にたくさん良いレビューもあるし、わたしのお目汚しを並べるなんておこがましいと思っていましたが、今日は書く!

海辺の街で、叔父と母を亡くした甥の2人暮らしが始まる。
新しい生活、新しい街、そんな中に見つけた惣菜屋を営む陵との出会いが、ぎこちなかった勇一と歩の関係を変え、陵と勇一の関係もまた…。

私事ですが、独身のときに資格試験の勉強をする姉の代わりに姪っ子の面倒を見ていたことがあります。
子育て経験なしで子供の面倒を見るのは本当に大変で、どこまで踏み込んでいいのかも分からず、育児ノイローゼになったほどでした。
この作品の勇一は、突然の姉の死によって、いきなり小学生の子持ちになります。
仕事も今までのようにバリバリやるわけにいかず、部署替えして時短で上がれば陰口を叩かれる日々。
姉の死後、笑わなくなった甥の歩を気遣い、職場でも腫れ物状態の居心地の悪さを感じて、つらさを吐き出せる相手もいなくて。
どんなに息苦しくても、自分が逃げるわけにはいかない状況に、こちらまで息が詰まりそうになります。

そんな中出会った陵の惣菜は温かくて、およそ「家庭」と呼ぶには程遠い自分たちを、少しだけ「家族」にしてくれるような存在だったのだろうなと思うのです。
皮肉なのは、そういう味を提供する陵自身がどうしようもない孤独を抱えているということで。
体の弱い母、名前も顔も知らない父親、預けられた叔父の家での酷い扱い。
読めば読むほど、こちらもつらい。
頑張っても認められるどころか嫌味が増して、居場所がないから奪えば罵られる。
自分のものになった途端に興味をなくすのに、欲しいものはいつだって他人のもの。

そんな3人が出会って、お互いを知って、それぞれに秘密を分け合っていくさまが、温かいのに悲しい。
特に歩に幼い自分を重ねて、ないものねだりをする陵が切ない…。
歩も捨てない、陵も諦めない、という勇一に深い母性を感じずにはいられません。
このひとの器の大きさは本当にすごい。
最初は自分のつらさが優っていたけれど、受け入れると決めてからの潔さに惚れます。

それに対して、陵は自己完結して、逃げて…。
陵の過去を思えば、逃げた方が楽なのも分かるし、一度「本当に欲しいもの」を知ってしまったら、逃げる場所はもう母の元しかないと思うのも分かるけど、自分勝手。
勇一が捕まえるシーンは、何度読んでも涙と鼻水でぐしゃぐしゃ不可避です。

いつ読み返しても、温かくて優しい気持ちになれるこの作品。
拙いながらやっとレビューが書けたけど、全然語り尽くせない。
ほとんどいないとは思いますが、未読という方は何を置いても読んでみてください。
心が洗われます。

6

いい話ではあった

いい話だった。
いい話だったと思う。

歩を引き取ったものの、心を通わせられず悩む勇一がまじめでネガティブだなと思いつつ。

歩はそれがわかっていて心を開かず、でもあることがきっかけで、初めて涙ながらに勇一に
「嫌いにならないで。勇一に捨てられたら独りになっちゃう」
と言うのはうるうるしちゃうわね。

陵の過去とか、自分を歩むに重ねたり、勇一をほしがるのはわかる。
今まで陵は、人の物を欲しがり奪ったら興味なくなっていたのに、勇一は一度寝ても足りないほんとに欲しいと思った違いは…どこだろう。

勇一がお人好しで、今までの人間にはなかったあたたかいものがあったから?(読み込み浅い)

全体的には、いい話ではあったけれど、
ストーリー展開が、あるあるが多いというか、安易で薄いというか、予定調和に感じてしまうことが結構あった。

絵も平面的な印象だし。
嫌いではないですが。

同先生は「弟じゃいられない」「主従な同級生」しかまだ読んでいないので、その流れでだいたいわかっていたし、その2作よりは読み応えありましたが。

ヒット作のサヨナラゲームシリーズを早く読まないといけませんねw

好きだったのは
陵が最初、営業スマイル全開だったのに、勇一に惹かれるにつれ、素が出て、挙句、歩とライバル的に?ケンカするとこですw

1

後ろ盾ない海鳥の雛

意を汲む 意を通じあわせること。
感情の出し方、表現する力が乏しい子供や、トラウマを持つ人の意を汲むって、忍耐と感受性が高く無いと、皮膚の動きや目の動きから気持ちを読み取るのは難しい。
だから、善かれと思った言葉で追い込んで、子供の自殺を防止できなかった親が案外多くて、死なれた後に気づくことが多いみたいです。励ますつもりの言葉が、逆に追い込んで居たりするってよくあるようで、報道を読むと悲しくなります。

この作品の二人、歩くんと陵さんは早く親から離れたので、似た「心の傷」を持っている。陵さんも、歩くんも「寂しい」を抱えている。あとがきによると「魂の双子」。

世間の波に揺れる後ろ盾ない状態は、たしかに「汐風に揺られる雛鳥」。
忙しい片親の育児だと、親も子供も気を遣うから会話が減ってしまう。
愛情が深いのだけど、恵まれた環境で育ったので勇一は鈍いみたい。
気持ちを通じ合わせる切っ掛けが、海の出来事。

「黙って海に行ってごめん・・なさい。おれのこと きらいにならないで」
「ゆ・・いちに捨てられたら 独りになっちゃう」と泣く歩くんを抱きしめる勇一。
★この場面を讀んで平気な人は居ないと思う。この本は、夜、独りで読んではいけません。夢に出ます。

陵さんと歩君は、優しい勇一さんが拡げた羽の下に潜り込むことができて、汐風にあたってもまどろむことができるようになりました。
感動したので神。

1

大切な人が増える幸せ

どんだけ積んでたのって感じなのですが、今更読みました^^;
胸が温かくなるような、とてもいいお話。
あとがきで南月先生も仰っていますが、恋をすっ飛ばして結びついた二人と一人のお話です。
でも、この結びつきが身体だけじゃなく、心だったり、家族だったりするのですよね。
ここがとても良かったなと思いました。

男手ひとつで甥っ子を育てる勇一と、甥の歩。
そこに惣菜屋の陵が加わり、家族になっていく様子が丁寧に描かれています。
勇一の愛情をいっぱいに受けている歩と、愛情不足のまま大人になった陵。
同じような境遇でも、たどる道筋は全然違うんだろうな。
それでも、大切な母親を失った寂しさを分かり合えるのは二人だけなんだと思う。

勇一がとにかく愛情深い。
注ぐ愛は半分にはならない……島村さんいいこと言うなぁ。
勇一が与える愛は何倍にも膨らむと思うし、きっと何十倍にもなって返ってくると思う。

大人でカッコよくみえた陵の嫉妬が可愛らしく、この人、子どものまま大人になっちゃったんだと思いました。
たくさん愛を受けて、早く心も大人になれるといいね。

2

愛情に飢えていた子供が満たされていく

紙本
修正…見えない描写
カバー下…あとがき、おまけ漫画
カバー折り返し部分…コメント

1

傷みと孤独を癒してくれる、愛情への渇望。喪失と再生の優しい物語。

読了した頃、これはちょっと再読し難い重さが迫って来て。
レビューを書くことが躊躇われました。
寂しい心と孤独な心の、魂の邂逅と。喪失と再生の物語。
と、書いてしまえば。何て陳腐なんだろうかと。
確かに男同士のセックスシーンはあるけれど、その性癖への葛藤などというものは無く、
BLという枠を軽く飛び越えた、愛情というものを真摯に描いた物語である。

事故で、両親と姉を一度に亡くして、姉の子供を引き取った勇一。
まだ20代の彼にとって、子育ては生易しいものでは無い。笑う事も泣くこともしなくなった、感情が欠落してしまったかの様な歩を抱えて生きて行くこと。俺はこんなに頑張っているのに。
そんな勇一の心にグイグイ迫って来る陵。元ホストだという彼は、パーソナルスペースが狭い。
その顔面偏差値の高さとフェロモンに圧倒されながら、美味しいお惣菜を作るその腕前に胃袋をも掴まれてしまう。
最初、慣れない子育てに疲弊している勇一を癒していくのが陵かと思いきや…。です‼︎
陵は陵で、母を亡くしてからおよそ愛情というものに触れずに生きてきた。
その心は荒んで、傷んでいて。貪欲に愛情に飢えている。
そして、愛情というものが何か分からなくなっている。
この、怒涛の陵のターンに入ってからは、読み手側はあっ‼︎っと驚かされる事になる。

「大切な人を守るために、できることが ひとつでもあればいい。」
「愛情は奪う必要なんてない…」
「愛情は半分になったりしない、きっと何倍にも増えるんだよ、人を愛するって、そういうことだから。」
心に刺さりまくるセリフのオンパレード。
笑顔を取り戻す歩。お互いに愛情を持て余していた勇一と歩の成長。
大切な人の死を乗り越えて生きて行く覚悟。
そして、2人と出逢い、勇一を愛する事と、愛情とは何たるかをついに悟った陵。
涙無しには読み進めません‼︎‼︎

歩の同級生のシングルマザー、島村さんもとてもいい。
そして!そして!電子限定の描き下ろしが凄く良いんです‼︎
歩と同級生の和也くんがあっという間に成長していて。歩は近所のおばちゃんも「きっとイケメンになる。」というくらいの美少年なので、和也くんもきっと惹かれてく筈なんだが。
今のところは、勇一を巡って陵と張り合っている。というか、陵が張り合っている。
カバー下のオマケ漫画もそうですね。陵が引く程のイケメン君に成長して、陵にはハラハラして欲しい。
本編がシリアスモードで、いっぱい泣かされてしまうので。この補完には本当にホッコリ。
癒されます。
久しぶりに再読して、やっぱり良いなあと。しみじみしました。


7

いいお話です

自分の両親と姉を事故で失い、残された姉の子供、歩を引き取り引っ越してきた28才の勇一。街でイケメンの陵が営む総菜屋を見つけ通うようになり。。。

最初は、歩を育てながら仕事をする勇一の葛藤に、陵が手をさしのべる感じですが、実は陵も昔叔父夫婦に育てられ、虐げられてきた身の上。人の彼女や奥さんに手を出し、激怒されるが、それでも人のモノを手に入れたいと思ってしまう陵。
そんなホントの姿を隠して、総菜屋をしていた。

独身の28才が、小学校三年生の子を育てるって、かなり大変。どんなに性格が良くても、本当に難しい。そんな時、優しくされたら、あれ?って思うよね!それもイケメンに!ここまではよくある話の展開ですが、今まで人から恨みをかう生き方をしてきた陵。こちらはこちらで、色々面倒な心の葛藤があるのです。
正直、もっとさっぱりしたイケメンかと思っていたので、実は面倒くさい男だ!と思ってしまいました。海に入った時とか。

この作品で、唯一さっぱりしたいいキャラ。歩の友だちのママさん!
BL作品の中で、こんな理解ある女性の登場はあまりないのでは?もう、何なら自分がこのママさんになって、二人を見守りたい気分です(笑)

二人がくっついて、この先の歩との三人での暮らしが読みたい。スピンオフではなく続編であればなぁと思いました。
そして、シーグラスを探してみたくなりました。

8

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