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なんだってできる 三人でなら、この状況を変えることすらも
こうした優れた作品を読むと、BLのポテンシャルの高さに非常に興奮します。
主人公たち(ハル、サム、ノブ)がBLしているかと訊かれると首肯しずらいのですが、人間の愛着や信頼、自己犠牲も厭わない他者(自分以外の二人)への献身を読者へ見せてくれる稀にみる作品だと思います。
2巻は三人が各々の場所で大人になり再会しますが、先に再会したハルとサムに関しては衣食住は満たされ、教育水準も高く“平和で善きアメリカ”サイドで成長します。
けれど環境が整っているからといって手放しに幸せなわけもなく、二人はノブを失った事への自責の念と喪失感を抱き続け、いつかノブを取り戻すために己の武器になるツメを研いで日々を過ごしています。
この二人の再会シーンは目が印象的で、よく言われる「目は口ほどにものを言う」を体現していて、画力の高さはもちろんのこと張り詰めた空気感に心を掴まれました。
一方、ノブは1巻で描かれていたように劣悪な環境で生き延びています。
大人になり、二人と再会したときはヤクザの岩城和昌として姿を現します。
この三人の再会シーンがお互いの立場や生育環境の違いから温度差があって・・・。
単純に「やっと会えた!嬉しい!」だけにならないのがリアルで胸が潰される思いです。
ハルとサムが目の前に居るノブの佇まいや空気感、発言に戸惑いや違和感を持つのは当然なのですが、そうしたなかノブが二人に身体を晒し想いをぶちまける姿にノブの悲しみや憤りが迸り、そして素の自分をそのまま出せることへの束の間の安堵のようなものも滲み、読んでいるこちらの胸がひどく痛みました。
ノブはおそらく二人と別れて初めて自分の気持ちを憚ることなく吐露できたのではないでしょうか。
息を詰め、どうにか日々を生き延びてきたノブの魂がようやく息をつけた瞬間であったと思います。
この後、三人はセックスしますが、そこにあるのは肉欲とはほど遠く。
労り治癒し、お互いを護り合うことを誓う儀式のような様相を呈し、いっそ尊く映るほど。
シスターメアリーをはじめ、暗躍する組織に三人がどのように肉薄していくかも今後の大きな見どころですが、ハル、サム、ノブの三人三様の生き様と解けない確固たる関係性の行く先を楽しみに次巻を待ちます。
『CANIS THE SPEAKER』の2巻目。『CANIS Dear Hatter』のリョウの元ボス・ハロルドが主人公になったお話。『~THE SPEAKER』の1巻では、ハロルドの孤児院仲間のノブがメインになったお話。2巻は、表紙を見ても分かるように、ハルがメインのお話だったように思います。
ノブを見つけ出すために、自分のできることを最大限しようと奮闘するハルとサム。シスターメアリーへの不信感と絶望を抱きながらも、あきらめることなく自身の道を切り開いていこうとする、まだ少年である彼らの男らしさと、互いに寄せる友情や想いに激萌えしました。
高校生になり、再会したハルとサム。
その後警察官になったハルと、投資銀行で働くサムは、お互いが得ることのできる情報を法に触れても、だれを踏み台にしても、かまわずに貪欲に得ていく。
その過程の中で彼らが知った、ノブの行き先と状況は―。
欲と権力が渦巻く、ブラックな世界の中で、それでも失う事のないハルとサム、そしてノブの間に流れる感情。
それが愛なのか、友情なのか、なれ合いなのか。
いずれにせよ、この三人は三人一緒でなければ生きていくことができない。
ストーリーが濃厚で、男同士の駆け引きや狡さがこれでもかというくらいに描かれていてぐっと惹きつけられる。
そしてZAKKさんの描き方がこれまた良い。
表情やしぐさで、彼らが何を思い何をしようとしているのか。
それらが端的に読み取れる。
ハルとサムに再会したばかりの頃のノブの表情が死んでいて、1巻で読んだ彼の壮絶な過去を思えばそれも当然で、けれど二人に再会したことで表情に色がついてくる。それに、本当に安心した。ノブの身体に付けられた傷跡に、思わずウルっとした。
この三人は三人での行為があります。
普通の3Pとはちょっと違うんだよな。濡れ場はあまり描き込まれていないので攻め・受けが分かりづらいのだけれど、そこがまたいい。この三人にしか理解しえない「繋がり」が、確かにそこにはあるのだろうな、という。
ハルとサムはノブを救うために、そしてノブは二人を幸せにするために。
三者三様の思惑が交差する、カッコいい男たちのお話。
ところどころで回収されていく伏線もすごい。
『CANIS Dear Hatter』から再読すると、そのすごさに圧倒される。ZAKKさんに完敗です。
次巻も楽しみです。
CANISシリーズ、「Dear Mr. rain」、「Dear Hatter」、「THE SPEAKER」通して読みました。
ZAKK先生はどんな構想を立てていたのか、3巻以降が待ち遠しい。
是非、多くの方に読んでいただきたい、素晴らしい作品です。
ハードボイルドが好きな方は嵌ると思います。
最初の2シリーズで時折垣間見えた不穏な感じが、「THE SPEAKER」では前面に押し出されます。
サム、ハル、ノブが目を付けた4企業の1つ、Kashiba Group、ここがリョウとどう関わってくるのか気になります。
CANISシリーズ、孤児院三人組の過去編その2。
待ちきれず、帰り道に暑さの中本屋に走って購入。
こんな風に求める作品は久しぶりだが、期待を裏切らない面白さだった!
クライムサスペンスというべき、息をもつかせぬ展開。
前巻はサム、ハル、ノブの三人の中で、
最も過酷な道を辿ったノブが大人になるまでが描かれていたが、
この巻では、それぞれ別な学校に進んだサムとハルの成長が
断片的に重要なポイントだけで描かれ、やがて再会、
そして、長じて強い思いを秘めながら仕事をしていく様が描かれている。
既刊4冊の中で断片的に示されていたモチーフが、
少しずつ繋がっていく。
23年の時を経て三人が再会する場面の痛みと甘さには
胸が切なく捩れ、涙がにじんだ……
悲劇の背後にあったものが少しずつ暴かれ、
彼らは互いを失わない為にだけ、闇をも恐れずに突き進んでいく。
ますます上手くなるZAKKさんの、この雰囲気のある表紙もいい。
そして、どの巻もそうだが、最後の引きが……
最初の3冊に繋がっていくエンディングに、すでに次が待ちきれない!
乞う、続巻!
1年くらい待つ覚悟はあったので、思ったより早く続きが読めて、小躍りするくらい嬉しい。今、続刊が最も待ち遠しい作品の1つです。
しかしてこの作品、BLかと問われたら、「……ハテ?」と答えます。確かに(とりあえず1巻では)BがLしてるんですが、恋だの愛だのいうアレでは、間違いなく、ないよね、これ……。後でもちっと詳しく書きますが、主役3人の関係性は、BLとしては地雷だという方も、大勢いらっしゃるでしょう。でも、作品としては、んなこたぁどーでもいいくらい、完成度が高く、面白い。雰囲気としては、クライムサスペンス&リベンジものの海外ブロマンス、といったところでしょうか。むしろ、こんな作品の存在が許されているあたり、ジャンルとしてのBLは奥が深いと思います。
1巻のノブくんターンからうって変わって、今回はsideアメリカ。何不自由ない環境に引き取られた、サムとハルのその後から、話が始まります。表紙がハロルドなのにサミュエル視点で始まって最初はちょっと戸惑いましたが、最後まで読んで納得。これは前シリーズ(「Dear Mr.rain」と「Dear Hatter」)をお読みの方にはおなじみの、「あの(謎に包まれた)ハロルド」誕生をめぐる物語でした。
て、ことは、次巻は3人の「頭」宣言をした、サミュエルターンですね、今度こそ。いやしかしこのシリーズ、各巻ピックアップされた1人が夜の街に佇む表紙が、格好良くてたまらない。タイトルといい絵柄といい、普通に本棚に入れといて、全く以って問題ないぞ!問題なさすぎどころか格好良すぎて、勝手に読まれる危険性は否定しませんが……。
1巻の展開スピードからすれば、3人の再会までもう少しかかるかと思っていたのですが、この2巻で(早くも)20年ぶりの再会を果たした3人。できればノブくんが「岩城和昌」として裏社会で出世するまでのアレコレをもう少し見たかったのですけれど、それやってたら前シリーズの時間軸に追いつくまでにどれだけかかるのやら、という話ですね。いずれスピンオフでもいいから、見たい。
この2巻で主に行われるのは、別離によってそれぞれが失ったもの、得たものの提示、壊された関係性の修復と、お互いがお互いを守り合う意思と、共闘の意志の確認。セックスの描写はありますが、プレイ的には3Pになるんですけどね。プレイとか言っちゃあかんよ、これ。この作品におけるセックスは、通常のBL作品におけるそれとは全く違う。自らの意思に反する暴力的なセックスによって深く傷つけられた、ノブの救済、というより、現状の承認のようなセックス。それでもいいよ、お前は汚くなんかない、という。それは愛だけど、恋愛じゃない。3人の関係性を修復する上で必要な行為だったけど、それは3人の関係の中では、本来、もしかしたら全く必要のないものかもしれない行為。私がこの作品をBLとして見きれないのは、描かれているのが恋愛・性愛を超えたところにある関係だからなんだと思います。でも、だからこそすごいものがこの先も見れそうだと、期待をしているわけなんですが。
最後に。この巻の最後で、パソコンをプレゼントされて無邪気に喜ぶ少年が出てきますが、誰かと思ったら前シリーズでリョウをサポートしていたハッカーのチェイスでした(驚)。……スレたね(笑)。ZAKKさんはいつから、どこまでのプロットを立ててこのシリーズを描いていらっしゃるのか。いや〜、完結まで目が離せないです。
30代がメインで絵がうまくてダークなお話の作品を探しててこのシリーズに出会いました。
もう好みドンピシャで先が待ち遠しく、掲載紙Operaも購入するほど気に入りました。
Dear,rainmanからちょこちょこ出てた裏社会の3人のおにいさんたちに焦点を当てたthe speaker は人身売買や虐待描写があって1巻は読んでて辛かったけれど、2巻で3人が再会できてすごく嬉しい!
離ればなれになってから実に12年···!?
これから3人の描写をもっとみたい!!
Canisシリーズを全て時系列で整理してみるとサムの想定通りに事が進んでいるのがよくわかります。
そしてとにかく画力が高い!!
アジア人、白人、黒人の描き分けだけでなく子供、青年、壮年までも絵だけで区別できてしまう。筋肉描写も惚れ惚れします。
BLだからあまり一般人気は出ないかもしれませんが、それが勿体ないと思えてしまう。
ハリウッドで映画化してほしい···
22年ぶりでしたね。失礼しました!
暇を持て余し作家さん開拓のつもりでBOOKOFFオンラインのおススメに出てきた【CANIS Dear Mr.rain】を手にしたのがつい先日 買った後にシリーズ化してるのに気づいて慌てて既刊を買い集めた
お話は【CANIS Dear Mr.rain】にチラッと登場するハルと岩城
【CANIS-Dear Hatter-#1】に一瞬登場するサム
その3人の前日譚のような物語
【CANIS THE SPEAKER #1】で幼少期を過ごした孤児院の秘密にふれ 引き裂かれる3人
運命を呪いながら 忽然と消えたノブを ずっと一緒にいられると思っていたハルとサムを 失ったものを取り戻すため 孤児院の闇を暴くために 各々が動き出す
年月を経てやっと再会した3人
が 3人にはそれぞれ「立場」という足枷ができていて…
この後【CANIS-Dear Hatter】へどう繋がっていくのか
【In These Words】の犯人に辿りつくための残忍な行為や【囀る鳥は羽ばたかない】の裏社会で繰り広げられる生臭い駆け引きがお好きで 暗かろうが何だろうが派手なセックスよりもストーリー重視なものを読みたくなった時は是非ッ!
とにかくBL括りでは勿体ない男たちのドラマがここにあります
2巻です。
3人で部屋を借りて暮らしていく」という夢を持ちながらも、孤児院の「同室の3人が同時に消える謎」を探ったせいで、離ればなれになってしまったハルとサムとノブ。
全寮制の学校へ入れられたハルとサム、売られたノブ。
過酷な環境で、ノブが自分の名前を捨てたところで終わった#1。
彼らは再び相見えることができるのか…。
誰もが尊敬する、慈愛に溢れたシスターメアリー。
彼女の裏の顔を知るのは、ハルとサムとノブだけ。
#2は、#1で描かれなかったハルとサムサイドの話からスタートします。
成績優秀で大学卒業後は投資銀行に就職したサム。
警察官になって、NYPDに配属されたハル。
2人とも持ち前の高い能力で周囲を圧倒しています。
ハルが情報を集める一方で、サムは岩城和昌としての人生を送るノブと再会することから、ようやくまた3人が一堂に会するのですが…。
サムが痛々しくて。
3人のリーダー的存在だっただけに、ノブのことを自分のせいだと思い込んで深刻な不眠症を患っている様子が、痩けて疲れ切った顔からも見て取れます。
ハルと一緒だと眠れるけれど、ハルを見るとノブを思い出す。
そしてまた自責の念が強くなるという悪循環がつらい。
BLという観点から見ると、#1よりはBLと言っていいのか…。
再会の瞬間、感涙に咽ぶハルとサムとは対照的に、冷静な表情を崩さないノブに、彼の送ってきた22年が彼から感情を奪ったのを感じます。
ノブの過去に触れ、ノブの傷だらけの体に触れ、「この傷ごと受け入れてくれ」と言うノブを抱く。
このシーンが…、涙なしには読めません。
傷だらけのノブを抱きしめるサムと、2人を抱きしめるハル。
その姿と幼い3人が無邪気に抱き合う姿を重ねてくる演出が…、秀逸すぎます。
ただBL的な触れ合いという感じではないんですよね。
3人が揃って初めて「完全体」になれるというか、抱き合うことでそれぞれに欠けた部分を補うような感じなので、ただただ胸が痛い。
そこからはシスターメアリーの裏の顔を暴くために、また3人が力を合わせていくのですが、その過程でノブがサムの不眠症を知ってしまうシーンも印象的。
自分は体に消えない傷を受けたけれど、サムもまた心に消えない傷を無数に受けていることを知る。
心の刺さるシーンでした。
FBIも絡みつつ、騙し合いをしつつ、謎に近付いていく3人ですが、完結してないんだよなあ。
この作品が出たのが2017年。
続きは読めないのか、読めるのか。
ぜひとも完結まで出してほしい!
長年の離別を経て、ようやく再会できた3人。サムは頭脳を鍛え人脈を手にし、ハルは大事な人を守る武力と権力を手に入れた。2人がノブを見つけるために、また、孤児院の闇を暴くために、平和に生きる道を選ばず暗躍してきた覚悟に惚れ惚れしました。そんな2人もきっと、ノブまで同等の力を手に入れているとは思わなかったのではないでしょうか。ノブは幼い頃の控えめな性格のまま、悪環境で声も上げられず耐えているのではと想像していたんじゃないかと思います。しかし、2人の親友もまた成長していた。満足な教育も受けずに辞書とたった1人の親切な人間との関係のみで、ここまで自力で這い上がってきたノブの精神力、けっしてここでは終わらないという強い意志に感銘を受けずにはいられませんでした。
きっとノブも、2人が自分との強制的な別れを経験した後で、心から幸せな生活を送っていたとは考えていなかったでしょう。それでも、理不尽な扱いの差にはやりきれない想いが溢れて当然ですし、6年もの長い月日を2人と同じような環境で過ごせていたら、立派な肩書きを手に入れた2人の隣に自分も堂々と並べたかもしれない、という想いもあったのかなと。再会した時の悔しさとも恨みとも寂しさともつかない、空虚な表情を浮かべた彼の心には、とても一言では言い表せない感情が怒涛のように渦巻いていたのではないかと思います。2人を危険な目に遭わせたくないのはもちろん、2人に非のないことで自分の激情をぶつけてしまうことが怖かったのかなと。そんな彼を、目を背けたくなる傷ごと受け入れて抱いた2人。情事の描写はあっさりしていたけれど、こんなに胸が熱くなる濡れ場もないでしょう。未来を変える3人に期待しています。
そう、いい意味でやばすぎるシリーズに!
絶対に離れないと誓った3人。しかしノブだけが連れ去られてしまう。
成長して社会に出た2人は、ノブを探し始める。
ノブのその後が痛々しすぎる。暴力がまざまざと感じられるようなページ。
お話も絵もすごいってありなんですね、と実感してしまいます。
抜群に優秀だったサムはトレーダーに。明るく体育会系のハロルドは警官に。
そしてついに見つけたノブは、別人のようになっていた。
3人の絆がいかに深いか、ただ体の関係はその絶対的な愛を確かめるものでしかないとすら思わせられます。
本格サスペンスの様相を呈してきました。
続きが気になります。