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hitsuji no kagi
本編「ひつじの鍵」と、続編の「ひつじの夢」の2本収録。双方同じくらいのページ数で、本の半分まで読んだら次の話のとびらページが来たので少し驚きました。
面白かったです。
羊は社長令息で豪邸に住み富裕層の学校に通う高校生なのですが、実際には、ついこの間までぼろアパートで母と二人で貧乏生活をしていた苦労人。母を亡くし、今は母の再婚相手と二人で暮らしています。優しい義父、くそったれの実父。貧乏生活と富裕層の世界のギャップ。
とりまく環境に押しつぶされそうになりながら、羊が縋るように求めたのが、救世主のように父のピンチを救ったカード会社のコンシェルジュ。
最初は、羊の態度が憎たらしくてたまりませんでした。子供が、どこまで悪いことをしたらこの大人は怒るんだろうと様子を窺うのに似て、まったく意味の無い無理難題をコンシェルジュにふっかける。それはまるで暇を持て余してカスタマーセンターに鬼電する、客の皮を被ったクレーマーと変わらないなと。
相手は仕事だから無碍にできない、それをいいことに高校生の分際で何をしくさっているのだと結構イライラしました。
でも、途中で羊は謝罪し改心し、彼のバックボーン(前述参照)も見えてきて、ようやく読者であるこちらの精神も安定しました(笑)
恋愛面については、二人の距離が近付いていく様子を丁寧に追っているかと思いきや、結構な急展開に驚きました。
コンシェルジュの一色さんがプロフェッショナルでとても良かった。本作では全てが明かされているわけではないけど彼にもいろいろな過去があり、出会いがあり、それがあっての現在の姿がある。そういう、人が経てきた年月を感じさせられるキャラ設定でした。
2編とも羊視点なので、一色視点のお話が気になります。
「ひつじの夢」を読む限り、一色は相当この羊との関係に悩み、様々思うところがありそう。
羊は学生で歳が離れているし、顧客の息子だし、仕事に邁進する一色にとってみれば決して簡単な恋ではない。それだけに一色視点で読んでみたいなあと思いました。(せっかくだからコンシェルジュのお仕事BLにするなど)
勝手なことを言ってますが、探したらどこかにありそうな気もしています。
再読です。
のんびりしたい時、癒しが欲しい時に読み返してしまうこの作品。
結構トントントンと進むので、どちらかというと肩の力を抜いて気楽に読めつつ、キャラクター達の魅力に引っ張られるような感じでしょうか。
一穂先生作品の中で1,2を争うくらいに好きな作品かもしれません。
優しくて可愛くて、2人のやり取りにクスッと笑える作品です。
一穂先生ならではの、ちょっとした雑学が書かれているのも楽しいです。
お仕事の設定も毎回面白いものが多いですよね。
あまり耳慣れない職業名でも、説明臭くなく自然と描いているのが本当にすごい。
以下、ざっくりとしたあらすじです。
元々はあまり裕福とは言えない家庭で育った羊。
母親の再婚と共に新しく父親となった「父ちゃん」が会社社長であった事から、お金持ちのセレブが集まる高校に通う事となったものの、未だに同級生達の上流階級故の思考にあまり馴染めずにいます。
そんなある日、ひょんな珍事から父親のカード会社の担当コンシェルジュの一色と出会い、その魔法使いのようなスマートな仕事ぶりに圧倒されてしまう。
その際、影で一色が一瞬見せた素の表情が忘れられず…
それからというもの、一色の事が気になってしまい、社長の息子の立場を使って小さな頼み事を繰り返し理由を付けて一色とやり取りをするようになり…?といった内容です。
タイトルにも書いた通り、攻めの一色がものすご〜〜く!ツボに入りました!
お客様を第一に考え行動し、応対も丁寧かつスマートなコンシェルジュ。
そんないわゆる出来る男が素に戻った瞬間のギャップがたまらないんです。
仕事モードの丁寧な言葉遣い、丁寧の中に素が現れる言葉遣い、口の悪い近所のお兄ちゃんのような素の言葉遣い、そして羊だけに見せるちょっぴり甘い言葉。
「抱くぞ」と言ったかと思えば「そうそう、じょうず」と甘く褒めますし、羊を思って軽く窘めたかと思えば、「よしよし」「ご褒美タイムでございます」「おいで」等、羊に対する飴と鞭加減が絶妙!
こんなギャップずるいですよねえ。
包容力があって、大人の余裕を見せながらも、年下の恋人が可愛くて仕方がないのが見え隠れしているのもとっても良かった。
羊の発言をしっかりと聞いているところも、何でもない事のように仕事の為への努力を惜しまない姿も◎
我慢出来ずに慎まず羊を頂いてしまうだめな大人ではあるのですが…笑
久しぶりに攻め萌えしました。
受けの羊くんもスレている所のない素直で素朴な良い子で、ふわふわとした外見と元気な言動とは裏腹に、内面は繊細でとても思慮深い。
一色に対してかなりストレートに体当たり上等で突っ込んでいく姿も若々しくて好きでした。
「まじ?」「まじでございます」
「めーめー語じゃわからん」
「おっきい…」「ありがとう」
等、2人の絶妙なテンポの良い掛け合いも小気味が良く、終始とても楽しませて頂きました。
嫁子も羊の父ちゃんも素敵な人ですし、今作はサブキャラクターも魅力的です。
嫌な人間はあまり出て来ないかなと思います。
今作で羊の親友・和楽が気になった方は、スピンオフ作品のアンティミテをぜひお読みになってください。
彼のその後の姿が描かれています。
カード会社のコンシェルジュの設定が気になって前半しか読めませんでした。
私の知ってるカード会社のコンシェルジュは予約や買い物の手配だけでカード会員と会う機会なんてないと思うのですが…。
しかも主人公がした質問の回答を手紙にして家まで届けるなんて異常としか思えません。
もし主人公が女性ならばカード会社に気持ち悪いとクレームをつける事案だと思います。
カード会社のコンプライアンスも攻めの社会人としての意識もどうなってるの?と気になって気になって先に進めませんでした。
仕事の出来る男性が好きなので、今回の設定が合いませんでした。
序盤は二人の出会いに萌え、敬語の攻めも好きなのでドキドキしながら読んでいた。執事さんに会いたくて無茶ぶりする受けも可愛いし、そんな受けを穏やかな口調で叱る攻め様にはときめいた。
が、そこからすぐに、プライベートな本来の、乱暴な言葉づかいの攻めになってしまい…。個人的にはお仕事モードの攻めの方が好きで、ギャップ萌えはなかった。
それでも好みの問題と気持ちを切り替えて読み進めるも、攻めの住んでいるアパートの部屋が、まんま受けの昔住んでた部屋、というのに、ご都合主義的なものを感じてしまい、持っていた鍵を使って受けが攻め宅に不法侵入し、写真を盗むくだりには普通に引いてしまった。いや、それ犯罪…。
その写真の女性が亡くなった妻ではないと知った受けが、嘘つきと攻めをなじるのも、人の家に勝手に入ってもの盗んでおいて、この子なに言ってんだ、としか思えず。
それより何より、やっと受けが恋心を自覚したと思ったってとこで、即、攻めが「高級ホテルとラブホどっちがいい?」って訊いて、「ラブホ」って受けが即答する展開の性急さにびっくり。
だってそれまでは攻めの心理描写がなくて、受けも読者も、攻めはバツイチノンケだと思ってたし。その場で実は元々男が好きで、受けには一目惚れみたいなものだった、と言われても。こっちは一体いつ、どこをそんなに好きになってたの、って位なのに、いくらなんでも、好き→初キス→ホテル直行の流れはサクサクし過ぎじゃないか。
で、受けものこのこ、ホテルついてくんかーい! みたいな。しかも最後までやっちゃうんかーい、みたいな。
コレだけ年齢差あって、受けはまだ高校生だけど、ていう躊躇もなにもなく?
申し訳ないのだが、この展開の唐突さにまったくついていけないというか乗れなくて、結ばれたシーンもまるで萌えず、平常心で読んじゃった。
んでもって、受けの家宅侵入と窃盗も、特にお咎めなし? それもなんだか納得いかず…。この結ばれるまでのお話が、一冊まるごと使ってもっとじっくり丁寧に書かれてたらな。
最初の設定なんかは好きなのに、残念。
攻めの一色さんがカード会社のコンシェルジュで受けの羊くんのお父さんの顧客のお願いでキャラメル千箱用意してもうらうとこから始まるんですが、羊くんがたまたま見てしまった一色さんの一仕事終えた素の姿が気になって…みたいなお話。
一色さんのTHE・コンシェルジュのお仕事モード丁寧口調からオフモードの乱雑な口調へのギャップがどハマりしました!
羊くんのお金持ちになったのに洋服をイオンで買うような素朴さも可愛いし一色さんにかまって欲しいけど素直になれないところもいい!
理想の年の差カップルですね。一色さんもいい大人なのに高校生に手出しちゃうところがさらにギャップ萌えで好きです。
あと、羊くんのお父さんの悲鳴が「キャッ」なのが個人的にすごくツボりました(笑)
お父さんかわいいですねぇ。小動物を愛でてる気分になります。
作家さん買いです。
そして失敗しました。
一穂ミチさん作品はどれもキャラクターが生きていて、どんなストーリーでも実際に本の向こう側で世界が存在しているような特別な感覚になっていました。
BL界ではモブ、当て馬にしかならない女の子も生きていてキャラクターへの愛情も感じられて、鉄板中の鉄板作家さんだったのですが、、、
今回も最後の最後まで「あー、素晴らしいな。さすが一穂さん!やっぱ鉄板だ!攻めも受けも本当に本の向こう側で生きているような、でもカッコイイし可愛いし!素敵!」と思っていたのだけど、最後の最後で「は?」「え?」と思ってしまいました。
本当に最後の最後、攻めと受けが久しぶりにガッチュンする場面。
スーパーコンシェルジュ、ドラえもんのポケットコンシェルジュ、仕事に愛とプライドを持つコンシェルジュである攻め。
顧客である受けの父親の名前を出してまで飛び入りで泊まり込んだコテージ。
そこは受けが友達の伝手で見つけたバイト先。
金持ちが趣味がてら経営しているようなコテージ。
そこで何の下準備もせずにヤっちゃう。
一歩譲って受けの喘ぎ声の遠慮のなさは「壁が厚いからへーきへーき」で、いいとしても、シーツにアレなものがポタポタ落ち染み込むのは駄目でしょう。
そのシーツどうするつもり?当然替えは持っていませんよね。
どこかにあるはずのシーツ庫にでも行ってこっそりと付け替えるのでしょうか?
受けがそのまま寝ちゃってるのに?
その受けくん「このまま眠りこけても朝にはきっちり起こしてくれる」
、、、なんでしょうか、このお客様状態。
どの作品にもキャラクターへの愛情が感じられた一穂さんでしたが、この作品に関しては最後の最後でポーンと放り出したような、愛情が他に逸れたような気がしました。
途中までは本当に神展開だと思っていただけに惜しいです。
究極の癒し系BLでした。
正直、一穂先生の作品群の中ではやおい度が高めというか、ストーリーよりもキャラ萌え重視な雰囲気でしたが、胸がキュンとして止まりませんでした。
たまにはこういった、考えるより萌える作品というのも良いな〜と。
特に一色さんのキャラ設定には、お見事としか言いようがありません。相変わらずお仕事のチョイスが素敵。カード会社のコンシェルジュサービスなんて、由緒ある庶民()出身の私からすれば、本当に存在するのかも分かりかねる存在。しかし、先生の小ネタの説得力と、一色さんの慇懃な振る舞いも相まって、読ませる力がありました。このリアリティ、興味をそそられる話題の提起が本当にすごいです。
序盤の、羊が一色さんに興味を持ったお手洗いの場面では、一色さんはため息をついて手を洗っていただけ。しかし年上の男性の、なんとなくセクシーな、見てはいけない部分を見てしまったような、若干の背徳感さえ感じるときめきを共に味わい熱量が一気に上がりました。日頃の何気ない一場面が、人生の分岐点になってしまうことってありますよね。
しかしまあ、年齢的には一回りちょっと離れている2人ですし、お仕事モードの一色さんの言動から、慎みというか、あれやそれは我慢する方向性かと思いきや、手ェ出すのはや。はやっ。(もう一度言う)
お話の分割地点が表題(付き合うまで)と番外(付き合ってから)で半々くらいなので致し方ないかとも思ったのですが、そこだけは解せませんでした。
序盤の期待値から比べて、読んでみたら全体的にざっくりとしたお話でしたが、それを超越してめちゃくちゃ萌えました。
もう一点、挿絵担当の山田2丁目先生のイラストが素晴らしかったです。普段挿絵はおまけ程度に捉えていることが多いのですが、キャラのハマり具合が半端じゃなかったです。特にお気に入りのシーンは、ラストの挿絵。羊の表情に私の萌えタンクが爆発しました。
一穂先生の文芸的な作品群からは、あまり想像がつかない展開でしたが、純粋に楽しかったので神評価に致します。
いや〜コンシェルジュ最高です!
変な題名だなと思ったので読んでみたくなりました。
読むとなるほどねという意味がわかりました。
資産家のお坊ちゃんお嬢さんの集まるセレブ高校に通う成金ながらそこそこの資産家の息子が、子供のくせに親の金を使ってお気楽に遊んでる、と見せかけて結構な苦労人な羊くんです。
お金があることを謳歌し楽しんでいるほうがお父さんが喜ぶ、なんて理由で深夜の帰宅にタクシー呼んじゃうのです。
根が庶民の羊くん、100均とイオンのシャツが好きってところが面白くて気に入りました。
なんだか気になる、見てると自分が安定する、と自覚のない片思いそしている相手はカード会社のVIP専用コンシェルジュの一色さんです。
アホな望みを言ってくるしょうもない子供の希望を叶えてくれる魔法使いか猫型ロボットのコンシェルジュさまなのです。
言葉責めというには可愛いものですが、この二人のエッチはやたらとおしゃべりが多いです。
気を逸らしたいのか照れくさいのかよく喋る、それで笑わせてくれるエッチでした。
イラアウトも文章のイメージ通りで一色さんは温厚で誠実さ満載のイケメンさんで、羊は無邪気で天然ぽい感じ、3頭身の羊がめっちゃ可愛いです。
よくよく考えてみれば酷い話というか(笑)いい歳したおっさんが男子高校生に手を出す話なんですけど、そこは一穂先生。かわいく、ゆるくお話が進んでいきます。
キャラメルやフィギュア、一枚の写真など小物の使いかたが上手い。
タイトルも納得でした。
なによりも山田二丁目先生のイラストが素晴らしい。
もうこれだけで眼福です。
コンシェルジュの一色さんはかっこいいし、羊くんはただ可愛い。
どこかほんわりとした、リアリティのないお話でしたが、それもありかなと思わせるいいお話でした。二人は今後、相当のバカップルになるんでしょうね。結構お腹いっぱいですが、まだ入りますよ(笑)
初読み作家さんです
いやぁ、掛け合いがテンポよくて面白かったですー
受けの羊くんが、色々考えててすごい尊敬しちゃいました
私だってこんなん考えて生きてなかったよ、10代……
健気なとこが、またいいな……見せないようにしてて……
対する攻めの一色さん
オフがオラオラ系ですか、口悪いっすね!最高です!
この切り替えっぷりが良かったー
何だかんだいいつつ羊くんに惚れちゃってんのが伝わってきてニマニマしてしまいました
登場時から気になった和楽くん……
いい男に育ちそうでおばちゃん、君の話も読みたいよ……
全体的にとても読みやすく、それでいてエチシーンはエロくて良かったです!
作家買いする作家さん、増えちゃったわ〜
読み始めたら面白くて一気に最後まで楽しく読み終えられました。読後感も良い。
この作品の魅力は何といっても一穂先生らしいテンポ良い二人の掛け合いだと思います。
会話の間に変に心理描写がなく、ポンポンと繰り広げられる漫才のような小気味良いやり取りが大好きです。
ただの日常会話の中にちょっとした皮肉さや、プッと笑ってしまう要素がごく自然に混ぜ込まれていて、一穂先生はほんとにこういった掛け合いを書かれるのが上手いな~としみじみ思いました。
攻めの一色のオンオフのギャップにはびっくり萌え。
非の打ち所のないお仕事モードからの、ちょい悪風の口悪いプライベートモードの落差がたまりません。
仕事に対しては誠実でどっちにしろ男前なんですが。
一方受けの羊も、軽そうに見えて実はちゃんと物事を深く捉えてしっかりしている所、口ではマセた発言をしつつも意外と純情な所など、ある意味二人ともギャップがあってキャラ立ちしていて面白かったです。
歳の差が結構あるので絡みはちょっとした背徳感があって萌えました!
「狼の皮をかぶった羊の皮をかぶった小悪魔」まさにその通りで誘い受けのくせに恥じらう羊がエロかわいい!
読みやすくテンポが良いけど、軽すぎず芯があるお話なので満足度が高く、何度もリピートしたくなる作品です。
名言が端々に散りばめられています。
愛と愛と愛と愛のコンシェルジュを堪能したい方はぜひ!
今現在はお金持ち学校にも通いセレブな生活をしているものの、貧乏経験もあり見た目のわりにシッカリしている受け(高校生)と父親の利用しているカード会社のコンシェルジュの物語です。
まず思ったのは「攻めのギャップがスゴイ! 今までここまでのギャップは見た事がない!」でした。
これは羊が惹かれてしまうのも納得です。 ただでさえ高校生からしたら大人な一色に惹かれるだろうに、あのギャップを見せられたら好きになっちゃうよね。
しかし、一色は羊のどこにそんなに惹かれたのだろうか。 いい子だと思うけれど顧客の子供に手を出してしまう危険をおかすほど好きなのね?とちょっとびっくりしました。
仕事第一でプライベートに時間をさけないような一色が、未成年で顧客の子供に手を出したって事はそれだけで十分羊を愛してるのが伝わるわけだけれど、いつそんなに好きになったのか一色視点で読んでみたかったです。
こんな風に書いてしまいましたが、羊は再婚でお金持ちになっても謙虚だし素直でとてもいい子でした。 一色が羊の良さをわかってくれて本当によかった!
後半は一色の嫉妬や余裕のなさが少し見え隠れしていたのもよかったです!
大人だけど、高校生位の子の気持ちの移り変わりの早さも知ってるだろうし同じ年の子に気持ちが移ってしまうんじゃないか心配な気持ち、よくわかります。
個人的な好みの問題ですが、それでももう少し大人の余裕のなさが見たかったです。
ライトな感じで読みやすいのでBL初心者さんでも読みやすい作品だと思いました!
母親が亡くなり、父親(母親再婚相手)と二人で暮らす高校生の羊。
金持ち学校に通いながらも成金的な金持ちであることを自覚している羊が、周りに気を使いながら生活している姿が健気で愛おしいです。
そしてそんな羊の心の鍵を開けてしまったのが、コンシェルジュの一色。
一色は仕事モードとプライべトモードでのギャップが最高です。
個人的には口の悪い一色が大好きです。
初めて恋をした羊の止まらない感情と
大人な自制心と葛藤しつつ羊にはまっていく一色の
縮まったり広がったりする距離感が良かったです。
口の悪い二人の掛け合いも見どころです。
かの国民的人気アナウンサーの例を引くまでもなく、職業人に二面性はつきものだと思います。ビジネスの場に出すにふさわしく「整えられた自分」と、プライベートでもろもろの緊張から解き放たれた時だけ見せる「素の自分」。誰もがその二つを上手に使い分けながら生きている。あとはその振れ幅の大小ってことになるかと思いますが、アナウンサーのように「高度な清廉性(笑)」の要求される職種であればもちろん、本作の攻め一色の職業「コンシェルジュ」だってなかなかどうして。何しろ年に億単位でカード使っちゃうようなセレブがお客様。目も舌も肥え、わがままのハードルも上がる一方の彼らに対し、片やこちとらごくフツーにカード会社に就職し、カスタマーサービス部門に配属されたってだけの由緒まずしい一般庶民。そりゃあ北島マヤ並みに仮面の千や二千はかぶらないとやってらんないだろう。
社会人でなくたって、裏と表の顔くらいある。超セレブの子女が集う名門私立高校生で、おっとりホワワンと、何の悩みもなく育ったボンボンかと思われた羊(よう)にだって、一皮めくれば胸を嚙む痛みの記憶や後悔や葛藤がどろどろと流れ続けている。ホントはタワマンより母一人子一人のおんぼろアパート暮らしが性に合ってたこと、でも予期せぬ経済状況の急上昇で、ねたまれ、中傷されまくって居場所を失ったこと。ろくでなしの実父の襲来に今もおびえていること。なさぬ仲でありながら何かと羊を気遣い、よくしてくれる今の父に向ってそれらすべては言えないことであり、素振りにも見せてはいけないと羊なりに、その稚い頭でせいいっぱい考えている。だからこそ、一色が見せる公私の落差の大きさに、驚きながらも激しく惹かれたんだと思う。もし彼が裏も表もないスーパーコンシェルジュってだけなら年の差も随分とあり、到底恋愛まではたどり着かずにただの憧れで終わってたかもしれない。
このところ立て続けに一穂さんの少し重めの作品ばかり読んでたので、それに比べると本作はややライトでマイルドな口当たり。「イエスかノーか」シリーズほどの笑撃度はないけれど、「慌てるひつじは儲けがすくない」とか「怒るから言ってみ」とか、素のときの一色の遠慮会釈ない物言いはくすぐりが利いていた。あ、羊を「ひつじ」扱いして呼ぶその呼び方自体、乱暴な中に年下の恋人に対する可愛くてしょうがない感があふれてて萌えました。
トータルではおおむね満足度の高い一冊、ではあるんだけど、いつも思うのは、一穂作品って、あんま絵師さんに恵まれてない気がする。それはひとえに画力のレベルとかじゃなく、その作品世界に合うか合わないかの問題で、まぁほとんど私の個人的な趣味によるんだけど。とにかく明るくかわいく嫌みのない絵をチョイスしとけば間違いない、みたいな意図を感じるのは出版社さんの方針なのかな? でも一穂作品の一番の魅力は、光の中にある陰翳とか、甘さの中に潜むそこはかとない毒だと思うので、明るい一辺倒でグイグイ押してこられると興醒めしちゃう。一歩引いて、程よく抑制の利いた中から、でもどうしようもなくにじみだしてくるような色と味わいが欲しい。一番強く感じたのは「はな咲く家路」の時で、あまりの違和感に読み進めるのがつらかった。本作も人気の漫画家さんが描かれてますが、文脈から立ち上る二人のビジュアルと、実際に添えられてるイラストが終始私の脳内ではしっくりかみ合わなくて困りました。一度、「これぞ」みたいなイラストで一穂作品をこころゆくまで堪能してみたい。私のひそかな野望です。
羊がかわいかった。
テンション的にはノーモアベットあたりと同じ感じだな、と思いながら読みました。 結構軽い印象。
明るく幸せなかんじで楽に読めます。
一穂さんの作品には一度結婚したことある攻が多いような気がする…。好きなのかな。
本編の話に戻りますが、はじめに書いた通り羊めちゃかわいいです。
最初から一色に絡んでいって、でも余裕ない…みたいな。
飛行機おねだりするところではおもわず吹き出してしまいました。
序盤辺りの台詞でわがままお坊ちゃん系かと思ったら全然そんなことはなかった。
一色はとてもかっこいい。羊目線の文章が多いからかもしれませんが、大人〜って感じで、羊につられて尊敬してしまいそうになります。
印象的だったのはHシーンかなあ。 一穂さんの表現はバリエーション豊富で愛し合ってるのがすごく伝わってくるので好きなのですが、今回はその中でもかなりよかったなあ、と。
わたしの好みに合っていただけな気もしますが、テンポもよかったし羊かわいかったし(3回目)… Hシーンの羊はほんとにかわいいのでぜひ読んで味わってみてほしいな〜。
前半後半と綺麗にまとまっていたし、全体通してほのぼのしてておもしろかったです。
羊と学校の友人達の絡みとか、羊のお父さんと羊の絡みとか。
お父さん、「キャッ」って…笑
ただ、個人的な好みの面もあるかもしれませんが、一穂さんの他の作品でもっと面白かったものがたくさんあるので評価はちょっと下げました。
正直、かなり萌えました。
ですが、今だからこそ出せている、と言う
設定の物語と言う事もあり、評者には珍しく
減点法を適用してみようと思います。
とは言っても、評者自身が余り納得して
いないのは具体的に言うとただ2点きり
なのです。
ひとつはコンシェルジュ氏の設定。
もうひとつは表題作のタイトルの伏線。
前者については、あのシリーズで
磨きがかかったからでしょうね、と
好意的に考える事も出来ますが、
もしも手癖で安易にこうしようと言う
感じなのだったら些かがっかりかなと。
後者は…現・社長令息が結構肝心な所を
ぼかしていらっしゃるので、そうそう
追及する所じゃないのだろうと理解は
するのですが何となく理不尽に感じて
しまう。
と言う減点を行ってもなお萌えているの
ですから、世話ァありません。
合わない方には徹底して合わないトーン
だとは思いますが。
子どもが魔法使いに夢中になる話。
たまたま手に入ったセレブ生活のなかで、必要に迫られてお願いを依頼したカード会社のコンシェルジュサービス。
見事に難題をクリアして見せたコンシェルジュの一色に一目惚れした雄大は、、、?
このお話、ただのワガママ坊が大人を振り回すだけの話だったら今更だけど、そこは一穂先生の新刊だけあって、雄大が、今、どうしてここに、どんな気持ちでここに居て、その好きにはどんな理由が隠れているのかが、じわじわ暴かれていく。
雄大の二人の父親、雄大の学友達、一色の嫁子。
雄大と一色、二人の会話のその端々。
極めてライトなラブコメディのようでいて、一穂作品の集大成のようなお話だと感じました
セルフツッコミ
一穂作品集大成って感じたって事は、逆に言えば、一穂作品初心者さんがこれを読んで、これが合わないって感じたら、一穂作品とは相性が合わないって思ってもいいかも。
31歳のコンシェルジュ×御曹司の高校生、というカップリングの、おセレブかと思いきやなかなか地に足のついた、ほのぼの素朴な歳の差ラブコメディです。
母子家庭に育った貧乏なおうちの子だったのが、母が結婚した相手が成功を収めたため、金持ちのおうちの子になった受け。でも金持ちっぽくはなく、根が庶民のままの素直な子です。
ある日、父親に困り事ができ、カード会社のコンシェルジュの手を借ります。そのとき父と一緒にいた受けは、その魔法のような手際で困難を解決する洗練された物腰を見てびっくりしたのですが、その直後にそのコンシェルジュに偶然出くわしたら、さっきの洗練された雰囲気とは違った砕けた様子にまたびっくり。
そこから俄然そのコンシェルジュが気になって、いたずらのように何度もリクエストをするようになり…という話。
最初は、コンシェルジュ攻めに無理やりこしらえた頼みごとを繰り返す受けに、なんつーことをするんだこのガキンチョは、という印象が拭えなかったのですが、そのうち素直で素朴な性格が表れてきて可愛く思えてきました。
攻めは、BLギャップ大賞・攻め部門とかあればなかなかのとこまでいくんじゃない? と思うほどのギャップの持ち主。(受け部門はきっと同作者さんの計くん) セレブ顧客に対する態度と、プライベートのときのイメージの差は詐欺かと思うほどすごかったです。
その2人が行き違いやすれ違いを乗り越え、結ばれる話で、ストーリー展開が読めずかなり楽しめたのですが、攻めが顧客の息子に悩むでもなく結構あっさり手を出してたり、ちょくちょく引っかかる点はありました。
受けはまあ攻めのギャップにやられたんだろうけど、攻めが受けのどこにそう惹かれたのかな、とも思いました。深く付き合えばいい子だとはわかると思うのですが、かなり早い時点で特別扱いしていたのが疑問でした。受けが困ったちゃんな客だったから素を見せた、というには、困ったちゃんな客だからこそプライベートで会ったり素を見せるのは危険だと思う。少なくとも私が攻めなら、同じことをされたらウザイとしか思えないだろうし…。
もうちょっと明確に惹かれる要素があったらよかったな。番外編とかで攻め視点のメロメロSSとかがあれば補完できたのですが。
カード会社のVIP専従コンシェルジュ×父親がVIP会員の高校生(貧乏育ち)
一穂さんの作品の中でもベスト10に入るくらい気に入りました。
二人のキャラクターがいい!
羊は現代っ子らしく、あっさり飄々と思いきや、
周りをしっかり見てるし義父を傷つけないように気遣う健気な子。
一色さんはオンオフの差が激しすぎるけど、どっちもステキ。
コンシェルジュは「扉の番人」という意味なんだそうです。
母親を亡くしてから自分の居場所を見つけられずに足踏み状態だった羊に、居場所と前進する扉の鍵をくれた一色さん。
羊が物理的に鍵をなくしてばっかりだったり以前のアパートの鍵をずっと持っていたりと、いろんなエピソードも絡めてすごく絶妙なタイトルだと思いました。
高校生受けの年の差CPだと「雪よ林檎の~」もありますが、
あちらの先生は高校卒業まで我慢してたけれど、
こちらのコンシェルジュはあっさり「愛と性と肉と欲のコンシェルジュ」に変身しちゃうw
羊も一色さんにどこに行きたいか聞かれて「ホテルホテル」と即答したり
(拒否されてたけどw)、二人とも欲望に忠実で素直だな~。
書き下ろし部分の最後のイラストがめちゃくちゃエロかったです。
一穂さんは軽いのと切ないのの2種がありますが、こちらは軽快で
さらっと何回でも読み返せるのもいい感じ。
お勧めです。
作家買いです。一穂さんの新刊ということで楽しみに待っていました。さて内容をざっくりと。すみません、ネタバレしてます。
高校3年生の羊くんが主人公。表紙の向かって左側の彼。羊くん視点で話は進んでいきます。
裕福な家庭の子たちばかりが通う高校に通っている羊くん。ある日、彼の父親の仕事についていく羊くんですが、そこで父親の顧客に無理難題を突き付けられます。困った父親が頼ったのがカード会社が顧客へのサービスの一つとして展開しているコンシェルジュ。リクエストをかなえるのは無理だろうとあきらめモードだった羊くん父子ですが、そこへさっそうと現れリクエストをかなえてくれたのはコンシェルジュサービスの一色さん。驚く羊くんですが、帰り際に少しだけコンシェルジュのお面を外した一色さんを見かけます。そのギャップに、心の琴線の何かが引っかかった羊くんは一色さんに会いたいがために無茶なリクエストを一色さんに頼み始めるのですが…。
というお話。
もう、一色さんが素敵すぎでした。
『コンシェルジュ』としての一色さんは一分の隙もなく紳士的な態度なのですが、コンシェルジュではないときは不遜な態度で言葉遣いも正反対のそれ。家が質素というのもとてもツボでした。
かと思うと、羊くんの言葉にしない気持ちの裏側まで読み取り行動する、ナイスガイでした。
一方の羊くんも。
裕福な家庭に生まれ育った何不自由しないボンボンかと思いきや、彼の複雑な家庭環境や素朴で優しい性格が徐々に明らかになるにつれなんとも応援したくなるキャラでした。
素の自分を羊くんにはさらけ出している一色さんと、物おじせずなんでも口にしているように見えて実は人の気持ちの機微に敏い羊くん。
彼らの軽快なやり取りが、気持ちよく、そして面白かった。
一穂さんらしく嫌な奴って出てきません(一人だけ出てくるけど)。
羊くんに切ない恋心を抱える彼の親友も思慮深く優しい子で、スピンオフで幸せにしてあげてほしいなと思いましたし、羊くんのお父さんも優しい、ナイスガイでした。
一色さんの亡き妻の存在もよかった。
タイトルの『ひつじの鍵』。これも内容を読むとすごく深い意味があってよかった…。一穂さん、センス良いなあ、としみじみ。
あと、一穂さんらしくトリビアも。キャラメルに入っている線て、ああいう意味があったんだな。知らなかった。
ただ、二人の恋愛感情という点においての気持ちの変遷が分かりづらかった気も。ちょっとずつ近づいていく二人は可愛いのですが。それと、まだ高校生の羊くんに行為を仕掛ける一色さんにちょっと萎えた…。せめて高校を卒業するまで待ってほしかったな、と。まあ、これは私の個人的な好みの問題ですが。
全体を通して、優しく、相手を想う気持ちに満ち溢れた、ほっこりとする作品でした。