好奇心が引き合わせた、大人の苦い恋、お届け。

きみが終着駅

kimi ga shuuchakueki

你是我的终点站

きみが終着駅
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神41
  • 萌×225
  • 萌21
  • 中立8
  • しゅみじゃない3

--

レビュー数
16
得点
376
評価数
98
平均
3.9 / 5
神率
41.8%
著者
ロッキー 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
一迅社
レーベル
gateauコミックス
発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784758075084

あらすじ

大学生の沙樹は、知らずに立ち寄ったゲイバーで年上の男・幸村と出会う。
突然声をかけられノンケな沙樹は内心慌てるが、幸村は名刺を渡すだけで立ち去ってしまった。
連絡を取るつもりはなかった沙樹だが、ふとしたきっかけで夕食を一緒に食べることに。
当日、早々に自分がゲイではないことを打ち明け、リラックスしていた沙樹だったが――。

表題作きみが終着駅

幸村誠,会社員
古宮沙樹,大学生~社会人

レビュー投稿数16

平凡な日常を送る全てのひとへ❤︎

ロッキー先生の作品は3作目です。
説明は最小限で語られていますが、
かなりセンシティブなお話で沁みました。

そして、こうなのかな。と思うところが
定まるまでに時間がかかり
レビューも何度か修正しました。
いいね、をくださった方、すみません。。

とても読み下すには複雑な心境を
最小限の演出で描かれているため、
解釈のような形になったことを
ご了承ください。

レビューのタイトルにさせてもらった
平凡な日常を送る、話のなかの2人をはじめ
読んでいる、こちら側にもめちゃくちゃ刺さってくるのは
普段は言葉にしたことなく
したところでどうにもならない
見て見ぬふりをしてやり過ごしてる心境を
見事に言葉にされてしまってるから。
現実とのリンクがヤバかったです。

お話は、大学生の主人公が
大人の男性と出会い、色々な経験をしながら
本物の恋愛を経験していくという物語です。

主人公の沙樹くんは、友人から無関心だと言われてしまう人物。
その理由は語られておらず、
ただ家族間の確執を側でみてきたり
しながら、自分も他人との関わり方を
模索しているような、
また、ひとり暮らしも始めたばかりで
ひとりでする食事が寂しいと言ってることから
まだ若く世間知らずの普通の大学生です。
とはいいつつも、ゲイの友人がいて、
世間でいわれる多様性についても
とりあえず承知して付き合いうことができる。
当事者にはなれないけれど。

ただ周りを見ていると
家族の反対を押し切って駆け落ちまでして
結婚した姉と、
いかにも想いが通じ合っている旦那さんの
仲睦まじい姿や
恋人を欲しがっているゲイの友人を見ていると
自分はそこから取り残されているような気分になってしまう。
どうしたら、自分も…

そうしているうちに
ひょんなことから、家族でも友人でもない
いかにも大人の男性、幸村さんと出会います。
他人との関わり方や、自分のこと
知りたい好奇心のおもむくまま

食事をしたり、相談に乗ってもらったりと
付き合っていくうちに
幸村さんの心の病のことを知ります。
彼の印象をひっくり返してしまうくらい
その症状は軽くなく、
打ち明けられた事を嬉しく思う一方で
関係は今までになく深いものになっていきます。

それを経験として捉えていく沙樹くん。
なんだかまだ恋愛とは違うものなんですよね。
自分はゲイではないし、
治す薬はないと言われてしまった
幸村さんの心の病を気の毒には思えるけれど
当事者になるとは考えられないでいる自分。

対して、ゲイの幸村さんは
沙樹くんの好奇心を利用するかたちで
距離を詰めていく。
自分を受け入れてくれそうだからというのも
ありそうですけど、
緩やかなこの関係が、いかにも大人のそれで
読んでるこちらに気を持たせるというか
ほんとここの描き方は絶妙なんです。

そして出会ったとはいっても、
ここで描かれてるように
何かのきっかけで簡単に距離ができ、
関係を修復させたいと思えるエネルギーもなく
そのまま自然消滅する関係は珍しくないものだということも
現実のあるあるも容赦無く描かれます。
これ、BLマンガ的なときめきとか萌えといった
演出とは無縁のリアリズムで描かれていくんです。ほんとヤバい…

この場面は沙樹くんのモノローグで綴られていくんですが
最初、その冷めた感覚に追いつかなかったんですけど
ストーリーの上に流れる少しの気持ちの揺れも描き逃さないロッキー先生の視点に
今は痺れまくっています。

親切な語りとは違いますが、
すぐに全てを分からなくていいと思います。
読み返したくなった時の自分でまた気付いていくような読者体験もありだな、と。

自分が誰かにとっての特別な存在になる
沙樹くんは味方、という言い方をしていましたが
恋愛の先のかけがえのない想いを交わす
ことのできる相手との縁は奇跡に近いものなのかもしれません。
最後はそれを静かに噛み締める沙樹くん、幸村さんに
自分もまた、自分なりに幸せを感じて読み終えました。

なかなか掴むことのできない曖昧なもの
でもそこに確かに救いを感じられる
素敵なおはなしでした。

静かな時間を過ごしたい時などに
おすすめです❤︎



1

他人に深入りできない事の虚しさ。

絵が綺麗で画面構成もいいので、するする読めます。

主人公のサキは一見寛大な性格の人に見えるのですが、実はただ単に他人に対して「無関心」なだけだと、友人でゲイの芳久に指摘されてしまいます。

ある夜、サキは飲み会の後に間違えて入ってしまったゲイバーで、歳上のゲイ男性・幸村に声を掛けられます。最初は芳久に紹介するつもりで幸村に付き合っていたサキ。ですが、幸村がサキに精神的な持病があることを打ち明け、サキと付き合うのも持病を治すための一貫だったと告げた時から、徐々に幸村にのめり込んでいきます。

「受容」と「無関心」の違い。それが自他にどのように作用するかについて描かれた物語でした。

友人の芳久にはサキの態度は「無関心」で軽い非難の対象。一方、サキの姉にとってはサキの「無関心」は大きな救いです。そして姉はサキに対して時には鬱陶しいくらいの絡みをしてくるけど、それはサキを「受容」しているからこそです。

そして幸村は……直感でサキを選んだものの、彼はサキに自分のペースをほどよく乱して自らの抱えた病を癒す助けになればと……まあ、悪く言うと利用しているだけで、サキ個人に対しては「無関心」だったのかもしれませんね。

サキが幸村に興味をもって近づく時、自分自身の「無関心」……人に深く関われない性分を理解した上であえて冷徹を装うような、まるで変人観察日記でもつけているかのようなモノローグを坦々と述べるところに、少しの痛々しさと寂しさを、私は感じました。

サキの姉にしろ幸村にしろ、立ち直る時には自分の足で立ち上がり、サキに対して迷惑という名の決着は着けさせてはくれない。それはサキには淋しいことなのかもしれないけど、二人ともちゃんとサキを受け入れ愛していることを表現してくれるとこが、よかったです。

1

静かな盛り上がり方がいい

ロッキー先生2作目で、この後3作読みます。
絵が、線が繊細で、背景の書き込みがちょうどよくスッキリ見やすく構図も好みで、全体的に好きです。作風にもとても合っていると思います。

沙樹目線で淡々と進みますが、退屈な感じはなく、逆にどうなるの?どういうこと?と引き込まれました。
説明が最小限ですもんね。
時には、行間を読まないといけないのかな?と思う部分も。

沙樹が聡いから、セリフでの説明がちょびっとですもんね。
幸村さんも多くを語らないし。

それでも納得いく展開なのが、先生の力量だな〜と感心しきりです。
付箋とか、言葉の使い方がおもしろいし。
ジグソーパズルのピースが精神不安定剤、の意味がわかった時はなるほど!と思いました。

これといった盛り上がりはないのに、じわじわ魅せられて、くっつく場面も自然に受け入れて、私も静かに盛り上がっていたのが自分でもおもしろかったです。

2

さらっと読んでいいのかよくわからない

一読では難しいのかも。
わかったようなわからないような。
ページの表面をさらうだけでは足りない意味があるような。

絵がとても美しいですね。
沙樹は親友の性指向を理解したくて、相手に届かなくてうずうずしてたのかな?
別に自分が恋人になりたいわけではなくて。

バーで知り合った幸村。
隙がなくカッコよく押しも強くなく。
部屋へ招いて病気を打ち明けてどうしたかったのかな?
自分を構成するのに沙樹がぴったりだったから?

沙樹は特別なことが欲しかったの?
幸村なら付き合ってもいいかもって思ったの?
終わりを確信しながら…。

幸村の病気に寄り添う沙樹。
忙しくなりすれ違い連絡が途絶え…。
自分でキリをつける沙樹。

偶然再会した幸村は、自分なりに克服しようとしてたみたいで。忘れられなかった二人、再会できて良かった。

1

重い…、だがそれがいい

初読では感じたことを消化しきれずに、レビューを書けませんでした。
数年寝かせて読み返し。

飲み会のあと飲み足りなくて、ひとりでバーに入った沙樹。
周囲の客の雰囲気に違和感を覚えつつも、帰りに名刺を渡された彼は…。

という始まり。
「間違えて入っちゃった」経験ってすごくよく分かる。
「たまには違う店に行ってみよう」と入った日比谷の古い喫茶店がヅカファン御用達だったり、アメリカ留学時にふつうの本屋だと思って入った書店がLGBT専門書店だったり、場違いな自分のいたたまれない気持ちがすごく分かる。

沙樹が一人暮らしを始めたばかりで、ひとりでごはんを食べるのが苦手というところから、名刺をくれた幸村との関係が発展していくのですが、沙樹が無神経なんです。
恋人が欲しいと言うゲイの友人に幸村(こうむら)を紹介しようとする。
これってすごく失礼な話なのに、本人は良かれと思って言ってるからタチが悪い。
そこに気付かせる幸村のやり方がスマート。

大人な幸村と、まだまだ子供の沙樹という構図は実は冒頭まで。
幸村の家へ招かれたときから、沙樹の母性本能のようなものが発揮されます。
この立場の逆転がすごく不思議というか、沙樹がどうしてそこまで?って思うくらいカウンセラー以上の働きをするんです。
「どうしてそこまで?」の部分は、姉との関係が絡んでいたり、人との関わり方があったりと多岐にわたっていて。
だけど根底にあるのは、「誰かの1番になって寄り添いたい」っていう気持ち。

たぶん一度読んで全部が分かるという作品ではなくて、何度も読み返すたびに発見があります。
たとえば幸村がバーのカウンターでたまたま隣り合わせた沙樹に声をかけた理由。
単純な一目惚れとも読めるし、幸村が強迫性障害を患っているせいで、ゲイバーの中で唯一「そうじゃない」異質な存在だった沙樹の存在が気になったとも読める。
沙樹が幸村の問題に踏み込んだのは、助けが必要だった姉に「応援してる」という言葉しかあげられなかった自分の不甲斐なさを挽回したかったからかもしれないし、自分より大人で完璧に見える幸村の欠けたピースに自分がなることで、自分が誰かの1番になれることを望んだだけかもしれないし、もっと深い理由があるかもしれないし。
全部のモノローグをきっちり読んで、その真意を探ろうとするとおそらく論文が書けます。
それだけ蜘蛛の巣のように張られた伏線や思考の繋がりが複雑。
読み応えがものすごいです。

そういう手法的なことでも凄いんだけど、単純に萌えるんだよなあ。
幸村を深くまで受け入れた後、なかなか会えなくなって離れることを決めた瞬間。
沙樹の負担を考えて、引き止めることができなかった幸村の気持ち。
それでも1ピース欠けたパズルを完成させて待ち続けた幸村と、幸村からもらった1ピースをずっと持ち歩いていた沙樹。
萌える。萌えるんです。

初読で評価を入れてしまったけど、これは「神」だったなあ。

ちなみにタイトルの『きみが終着駅』。
英語で言うと”You are my wonderwall.”
ロッキーさん、oasis好きだよね!?と思ったのはわたしだけではないはず。

2

良作と思います。

デッサンがしっかりしていて描写が綺麗。
場面展開がシネマのようで、読んで疲れなかった。
難を言うなら、白黒ページは人物の識別が難しいように感じただけです。

情動せず冷静な分析を心がける主人公の、人関係構築を感情を抑制しながら観察した記録のような展開の、シネマっぽい背景の描写。
同性愛嗜好がカミングアウトして、親に拒否られた時の心の傷が癒えない年上と、でき婚した姉を持つ大学生の恋についてのこの作品のテーマは「受け入れることが出来るか?」・・かな?何度も作中にキーワードが出ています。

主人公の姉は、両親から将来を期待されていた聡明な人。大学入学後にすぐ家庭教師の男性と駆け落ち、でき婚。姉が産んだ息子はとても素直なかわいい子。
姉の恋愛をうけいれて「応援する」と言ったのは唯一、弟だけ。
主人公が、知らずに入った専門のバーで出会った恋人は、親との関係に悩む、心が壊れた潔癖症。
恋人に教えられて、真っ白なパズルの組み立てを始めて、仕上げの1ピースを抜いたまま「忙しくなる」の言葉の後に一年余り音信不通に。
主人公も連絡をせず、そのまま1ピースを保持したままの主人公と恋人は、偶然街で見かけて再会。出会った頃には想定できない言葉を交わす二人・・恋人は少し病んだ心が癒えていました・・という場面で幕。
知性が感情を押さえる二人の恋愛は、冷たい水の中で感触を探りあう魚二尾という感じの、パズルのピースを確認しながら埋めていくような恋愛描写です。

ハッピーエンドで終われたのは、主人公がなんでも受け入れるキャラ設定だから、ということなのかな。心理学を土台にしているのか、綺麗な描写の作品でした。
ドロドロなエッチシーン無しなので、私は好きす。

1

物悲しい…?切ない…?

読み終わっての印象が、(いい意味で)物悲しい…?切ない…?なんていえばいいのかなぁ…うーん…

という感じだったので、タイトルがこんな感じになってしまった…

他の方のレビューに、「胸に沁みる」とあって、あ、なるほど!っと、なりました。そう!胸に沁みる!

基本的に私は、分かりやすい明るい感じのラブラブハッピーエンドものが好みなので、切なそうな表紙のこちらの作品を読もうかどうか悩みました。
でも、前に『かげふみの恋』を読んだ際、素敵なお話だった。という印象があったので、こちらも思いきって作者買いをしてみました。

結果、こちらもとても素敵なお話でした。ハッピーエンドなんだけど、他のレビュワーさんのお言葉を借りると、胸に沁みるお話で、こいういうお話も好きだなぁと、新たなジャンル開拓になりました。

1

絵柄通りの雰囲気

体温が低くて、内側だけ熱いようなお話でした。
絵と全く同じ雰囲気のストーリーです。美しく繊細。すっきりと丁寧で淡々としている。

言葉や行動では互いを縛り合わないで、口にしない想いを探り合っているようでした。その探り合いですれ違いが生まれるのが大方のBL作品ですが、すれ違いはないけれど、踏み込まずそのままにしてそっと別れを迎えるのが印象的でした。BL作品的なのはラストの偶然な出会いですかね。こうあってこその創作物。

他の方も疑問に思っていて安心しましたが、男性と付き合うことを暗に薦める姉に疑問。"親を許す"と言った姉ににもさらに疑問。まぁここが本題ではないし、人それぞれです。

1

追いかけ合わないところがリアル

 ゲイ×ノンケのストーリーなんですが、今まであまり読んだことのない雰囲気だった印象を受けました。ノンケの沙樹が、自分はゲイじゃないからどこまでできて、どこからできないのか分からないという思いをあらかじめ相手に伝え、それを受けてゲイの幸村も、先に進むときは必ず沙樹の方に主導権を持たせるというスタンスで2人の恋愛は展開していきます。沙樹が1つずつ行為を確認するように、ゆっくり恋人としての距離を縮めていくのが新鮮でした。

 その一方で、幸村は周囲からの好奇や悪意の視線に耐えながらゲイとして生きていくこと、沙樹を自分と同類にすることへの覚悟がまだ完全に固まっていないし、沙樹もいつでも終わりが来ていいようにどこか自分達を俯瞰しています。そして、2人は忙しさを理由に一度自然消滅してしまい、偶然街で再会することで、今度はもっと踏み込んだ関係を築けるようになります。恐らくこの再会がなければ、どちらも自分から相手に接触することはなかっただろうなと思いました。自分の気持ちさえ無視すれば、関係を終わらせた方がいろんな意味で楽ですしね。でも、相手とたまたま出会ってしまった。きっと幸村は最後の望みをかけて沙樹に声を掛けたんでしょう。ここでもし沙樹が反応しなくても、彼は強引に引き止めたりはしなかった気がします。この偶然の流れに身を任せる感じが、現実的でいいなぁと思いました。押しの強くない者同士の恋愛が、ロッキー先生の繊細なタッチと心理描写で描かれた作品でした。

2

姉のエピソードが納得できないけれど

 Kindle unlimitedで作家様を開拓中に見つけたロッキー先生。綺麗な表紙に惹かれて読見ました。特に上に乗っている方の子がとても気になったんです。前髪が可愛くて…^^

 眉毛の上で切りそろえた前髪に柔らかな雰囲気の男の子は大学生の沙樹。この見た目ならゲイだろうなという予想を裏切るノンケ男子です。ある日知らずに入ったゲイバーで偶然隣合わせたエリートサラリーマンの幸村に名刺を渡されて…。
 ゲイバーでの出会いのシーンが8ページにわたり丁寧に描かれているのですが、このシーンが素敵です!男性客ばかりの店内にドキドキする沙樹の戸惑いや、周りの男たちの反応。店に入ってすぐに沙樹に目を留めた幸村の視線。慌てるように店を出た沙樹と追うように出てきた幸村。それがとっても静かに流れるように描かれていて、私の中のゲイバーのイメージを覆しました。あぁ素敵だ。
 普通と違うことに「反対するほどの気概もなく」「受け入れるほうが面白い」というスタンスの沙樹は、ゲイの友人に言われた「おまえのは理解じゃなくて無関心でしょ」という言葉に思うところがあったのか幸村を食事に誘います。このゲイの友人の言うことは自分にもそういう部分があるのでわかる気がします。

 逆にちょっとわからなかったのは沙樹の姉です。思わぬ妊娠が発覚したときに反対する家族の中で、唯一受け入れてくれた弟を自分も受け入れたいと思うのはわかります。だからと言ってノンケの弟に「たまには趣旨変えしてもいいんじゃないかな」なんていうでしょうか?すぐに「半分冗談だけど」と言っているのが余計に面白がってる様に感じるし、両親のこととか考えてないよねと感じてしまいました。妊娠を反対されて駆け落ちして疎遠にというのも頂けないし、両親との和解の経緯もなんだかなーって感じがあります。親が頭を下げたから許せたって…何様?自分が許す方なの!?ずっと大切に育てた娘が大学に入学したばかりで妊娠して、しかも相手は家庭教師だった男です。それに反対するってそんなに悪いことかな?子供が生まれて何年も経ってから、頭下げられたから許せる気になったって、親になった人の言うことでしょうか?自分が引き起こした問題なんだから、両親を納得させるのも自分がやるべきことだと思います。
 「私以外にも味方はいる」という言葉を沙樹に伝えるための姉のエピソードでしたが、私は「気が付かなかっただけで両親はいつも君の味方だよ」と教えてあげたい。

 愛しながらも受け入れることへの葛藤と社会的な立場との疲弊で疲れ切った別れはリアルだし、沙樹と幸村の二人きりのシーンはどのシーンも胸が詰まるような切ない気持ちになったので、姉のエピソードが重要なポイントになっていたのがとても残念でした。
 もう一つ気になったのは街で再会するラストシーン。お互いに成長した今は、前とは違う二人の関係を築いて行けるというのは作品の雰囲気にぴったりな静かで感動的なシーンだったと思うのですが、私は偶然再会するのではなくどちらかに踏み出してほしかったです。

3

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