冬草
500nengo
『500年の営み』のその後、
寅雄とヒカルの再会のお話。
250年後、寅雄が目覚めた時、
よく似せられた偽物の自分の部屋と
3割減の偽物の恋人(=アンドロイド・ヒカル)が用意されていた。
500年後、寅雄が目覚めた時、
ゴミの山の中にいるようだった。
ゴミでできたベッド、本棚、壁に掛かった下手な絵。
ゴミでできた、寅雄の部屋。
でもそれは、不器用なヒカルが長い年月をかけ
寅雄を想ってひとりで作った愛情に満ちた部屋であり、
そのことを思うと、寅雄と共に涙が止まらなくなりました。
目が覚めた時、愛しい人がいれば
例えどんな部屋であっても、それが自分の部屋なんだと
そんな想いが込められているようで...
いっぱい待たせてごめんと泣く寅雄に
『痛いの?悲しいの?』
と、やはり問うヒカルだけれど
『会いたかった』『どうして泣くの』
と、寅雄を包み込むように微笑む姿は、まるで人間そのもの、
世界で一番優しい心を持ったアンドロイドでした。
確かな満足と読み応えを感じる一冊。
博士とD-4QP(表紙もキュート☆)があとがきで登場するというおまけも、
とても嬉しい♪
本編のラストで垣間見た希望を実現してくださったヒコさんに
心から感謝致します!