条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
futaribocchi no shokutaku
食べ物の気配さえ感じ取れれば、どんな作品でも読みます。
ものすごい気配をタイトルから感じ取ったものの、そんなに出て来ませんでした。
なんか、ごはんと炒め物くらいしか。
だけど圧倒的ごはん不足を補って余りある内容でした。
【ふたりぼっちの食卓】
バイト帰りに「助けて。お腹すいた」と声をかけられた夏生。拾ったのは名前も知らない成人男性だった。
ごはんを食べさせて「お礼」のセックスをして、朝にはいなくなっていた男。
しかし次の日…。
という始まりです。夏生がとても覇気のない子なのですが、その理由が少しずつ分かっていきます。好みのタイプの男性はおいしそうに食べる人。自分が経験したことのないしあわせな食卓を思い起こさせてくれるから。幼い頃に父が出て行って、母親は夏生を育てるために仕事三昧。そんな母親にひとりの時間を作ってあげたくて甘えるのを我慢しているうちに母親が他界して、甘え方を知らないままになってしまった。肉親もいなければ親しい友人もやりたいこともない。寂しい人生だなと思います。
啓介の方もありふれた理由ながら親の再婚、子供ができたことで血の繋がった家族の中で除け者になる自分。居場所を求めて転々とするも、結局自分が何を求めているのか分からないまま6年。長いな、モラトリアム。
夏生は性格上誰かが自分の元へ来てくれるのを待つしかないように思えるし、とにかく受け身なので最初の先輩から流されるように受けだったと思うのです。啓介は女性のもとを転々としてきて、自分が差し出せるものは相手を抱くことしかないと思っているから自然な流れで2人はいたしますが、もし夏生がタチだったらと思うとすごい展開になるなと妄想してしまいました。異性間と違ってタチってものすごくアグレッシブなイメージがあるから夏生の性格も変わってしまいそうな…。
何も期待せず、何もいらなかった夏生が初めて待つひとがいる喜びを知って、どんどん欲が出てくるさまが繊細に描かれていました。湧き上がる欲と比例して感じる不安。先の約束が嬉しいのと同じくらい離れていかれることが怖い。この辺りの描写は秀逸でした。
ずっと夏生目線なので夏生の目を通してしか啓介のことは分からないけれど、夏生が感じていた寂しさが薄れていくのを啓介も感じていただろうと思うのです。それまでは相手が望むことを受け入れてきただけで相手に何か思うことがなかった啓介が、夏生の笑顔を可愛いと感じたシーン。きっともっとこの笑顔を見たい、この笑顔でいさせてあげたいと感じたのだろうなと深読み。
良い作品でした。深読みすればするほど味が出て来ます。
【さよならヒーロー】
こちらがしゅみじゃなかったです。
強くてかっこいいヒーローだと思っていた幼馴染。
カンちゃんの思うことは分かるけど、ヒロに一切共感できませんでした。
これなら表題作で1冊読みたかった…。
井上ナヲさんの本、前作の「きみが泣いたから」がよかったので、
こちらにも手を出してみました。
2CPのお話が入っています。
ぐわっと引き込まれるような大きな展開はなく、エロも少なめ、
そしてトーンを使用せず、黒のインクが活きた落ち着いた絵。
そのせいか、
さらりとした薄味の作品という印象なんですが、
目を引かれる、いいなぁと思うところもちゃんとあって、
やさしくあたたかな風合いが心地いい…そんな1冊に感じました。
■表題作「ふたりぼっちの食卓」3話+描き下ろし
空腹で座り込んでいた男(攻め・表紙左)を拾って、
ごはんを食べさせてあげたら、
居つかれて、お礼にとその日のうちにセックスもされる。
その状況をほとんど表情を変えずに受け入れて、
同情は愛情には変わらない…と思いながらも、寂しさから流される。
そんな受けが無表情の下に抱えてる、
寂しい気持ちや消極的な思いを、攻めが少しずつほぐしていく…
でも攻めも、受けに似た部分を持っていて……
喜怒哀楽がほとんど見えない、
色んなことを諦めてるような子が、変わっていく様子っていいな。
(その受け、バスケ漫画の黒の子を連想させるような感じです)
最後に出てくるプレゼントの中身と、
それを握りしめて、とても幸せそうに笑う受けに癒されました。
あたたかい気持ちになれて、あっさりめだけどいいお話でした。
■「さよならヒーロー」前後編の2話
恥ずかしいから…と、分厚い前髪で目を隠してる臆病な受け。
昔から、ある古い漫画のヒーローが好きなその受けにとって、
ケンカが強い幼馴染みの攻めは格好よく見えて、
まるでその漫画のヒーローのよう。
だけど、実はその攻めの方が受けに片想い中。
ヒーローも恋するとただの男なんだよ…
格好悪いところも、こんなにあるんだよ…という、
高校生同士のちょっと青いお話。
受けの分厚い前髪の隙間からチラリと時々見える瞳が、
なんとも魅力的に見えて、目を引きました。
萌え×2寄りです☆
うーん。
表題作は、こんな得体の知れない人とよく付き合う気になったなと思って、なかなか納得がいきませんでした。ある程度はキャラクターの生い立ちとか性格だとか、表に出ないまでも作り込んだ方がいいんじゃないかなって、余計なお世話かもしれないけど思いました。だってどっちのキャラも薄っぺらいんだもの。
行き倒れた人を助けて同居するお話は結構あるけども、その設定自体ありえないし、そのありえなさを読者が受け入れるだけの理由がないとねぇ。ごはんの御礼がセックスで、しかも御礼する側が攻っておかしくないだろうか……。受ならよくあるけども。受は犯されて辛いだけじゃないか。
助けたのにケツ掘られるって、どう考えても犯罪じゃないか!!!!!
と、納得がいかなかった。モヤモヤしながら読みました。
「さよならヒーロー」の方は、高校生同士の可愛らしいお話で、楽しく読めました。
レビューはある程度寝かせてから書きたいんですけど、今回は読了後軽いパニックに陥り、つい文字にしてしまいました…。いわゆる「作家買い」というヤツですが、期待しすぎたせいなのか、寝かせるまでもなく色々と薄すぎて、一体どうしたんだい?と心配の方が先に立ってしまった…。(ちなみに同人や雑誌は読みませんので、色々とりこぼしている情報はあるかもしれません。)
「ふたりぼっちの食卓」。人がおいしそうに食べる姿が好きな夏生。夏生と啓介の出会いが謎。よくわからないままだったので、関係性が受けつけ難かったです。また、あまりにセリフが少なすぎて、二人の心の通い合いの描写が伝わってこず、萌えに至らず…。わたしの妄想力が至らないのかな。相変わらず画や雰囲気や間の取り方は好みですが、読む方によっては、いくらなんでも間の部分が長すぎやしないかい?と戸惑われるのではないかと思いました。
「さよならヒーロー」。高校生・ヒロとカンちゃんの幼馴染もの。ヒロの前髪が気になりすぎる。なにげに乱暴者のカンちゃんと、二人の間を取り持つヲタク女子の佐伯さんがツボ。作家さんらしさで個人的に一番盛り上がったのはカンちゃんの意外なキャラ設定と佐伯さんの描き方かも。ストーリー自体も、「前髪上げたら実はイケメン」ネタも常套で、それはそれで読ませてくれましたが、どうも気が散りすぎて、今まで感じていた作家さんの良さが存分に楽しめませんでした。しくしく。
「甘い日々」。表題作の番外編。番外編って、メインの二人がラブラブしているだけでも嬉しいオマケですけど、…小声でそっと、無理して入れなくても大丈夫だよ、って囁きたくなってしまった…。
原点回帰?とか、心境?とか、とにかくただただ作家さんに何か変化があったのか気になってしまった一冊でした。それとも読む側の感性に変化があったのでしょうか…。もう少し時間を置いて、冷静になったらまた読み直したい作品です。
bonnyさん、はじめまして!
コメントすごく嬉しかったです、ありがとうございます(*^^*)
拙いレビューをお読みくださっているのにも、心から感謝です。
今回の本はホントに薄味でしたよね。
わたしは井上ナヲさんの本はこれが2冊目なので、こういうのが味なのかなーと思ったのですが、bonnyさんのレビューを拝見して、作家買いされてる方でも驚くほど今回は特になんだ…ととても興味深く思いました。
bonnyさんのレビューが先になかったら、わたしももうちょっと薄味についてレビューで突っ込んだかもしれません(;^ω^)
率直な熱いレビューはとても好きなので、今後もbonnyさんのレビュー楽しみに読ませていただきたいなぁと思います♪
この度は、本当にコメントありがとうございましたm(__)m