囀る鳥は羽ばたかない 2

saezuru tori wa habatakanai

鸣鸟不飞 2

囀る鳥は羽ばたかない 2
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神795
  • 萌×264
  • 萌42
  • 中立13
  • しゅみじゃない18

--

レビュー数
63
得点
4370
評価数
932
平均
4.7 / 5
神率
85.3%
著者
ヨネダコウ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
シリーズ
囀る鳥は羽ばたかない
発売日
電子発売日
価格
¥695(税抜)  
ISBN
9784813030348

あらすじ

真誠会若頭で真誠興業の社長である矢代は、ドMで変態、そして淫乱だ。
元警察官で付き人兼用心棒の百目鬼は、矢代を綺麗と言ってはばからず、心酔している。
だが、矢代が昔から想いを寄せる影山と、その恋人久我の存在を知ると
次第に百目鬼の矢代への想いも変化し、それを自覚していく。
そんなとき、矢代が何者かに狙われる。

表題作囀る鳥は羽ばたかない 2

25歳,元警官で不能の部下
36歳,ドMで淫乱で変態のヤクザ,若頭

同時収録作品囀る鳥は羽ばたかない

62歳,道心会執行部若頭
36歳,ドMで変態のヤクザ,若頭

同時収録作品囀る鳥は羽ばたかない

38歳,道心会傘下松原組組長
36歳,ドMで変態のヤクザ,若頭

その他の収録作品

  • 扉絵用白黒スケッチ1P

レビュー投稿数63

言葉にならないってこんな感じ

それはもう、ヨネダさんがもの凄い漫画家さんだという事は
何度も何度も読み返しては思い知らされて
その度にため息が出てしまうのですが。

2巻でもひたすらドキドキしてたまにぶふっとふいて
胸を締め付けられて……。
のっけから本物の警官の制服着てシャクられてる百目鬼に「わー!」となり、
腹を刺された七原を処置した影山の元へそのまま連れて行かされたり、
百目鬼…、いいの?みたいな気持ちになったのは一瞬で、
特に意味も無いような影山と矢代の会話でピンときた百目鬼が
さすが惚れてるだけあるな…!!!とぞくぞくきました。
それを口にして矢代を怒らせ(なんでもないような顔は表面上してますけど)
いくらでもはぐらかせたのに、そうもしなかった矢代。
百目鬼に特別な感情を持っているにも関わらず、明確に表さない。
ベッドではなく、廊下に座ってうたた寝する百目鬼の忠犬っぷりときたら…。

この度、百目鬼のイ○ポが治りつつある…!!??というのが
めちゃくちゃ興奮してしまいまして!!
百目鬼の初体験の話を聞きながらオナる矢代というのも…だぁぁぁ!!!
嘘で「後はよく覚えてません」と言われてイケず仕舞いでしたがw
勃ちそうになった気がしてわざとはぐらかし、
勃ったらもう傍に置いてもらえなくなるだろうことを恐れる健気さは
なんとも言えません。

中1の時、保健医に餌食にされた百目鬼を妄想して、
竜崎との行為に感じ過ぎる矢代と
竜崎とやりまくっていたことを知り嫉妬する百目鬼。
惹かれあっていても、伝え合うことは今はまだない。

矢代がわかりづらい人間だと知りながらも、
怒らせたという事にはすぐ気が付くのも愛ですね…。
百目鬼もポーカーフェイスなのに、嫉妬したら
“ムカついてる顔してる”と矢代に指摘される。
他人がわからない機微を、感じとっているのは二人だからなのに!
もどかしくなりながら、
このじわじわがたまらんのよーーーーーーー!!!!!!と
Mになった気分で読み返しましたw
さり気に竜崎から矢代を守ろうとする左腕とか諸々、痺れる!!!
矢代が今まで惚れた相手とシた事がないと百目鬼の前で暴露する三角、
静かに動揺し、影山を思い出す百目鬼。
百目鬼が“可能”になったら矢代は一体どうなってしまうの!!!!ww

嬉しかったのが、久我が再登場したところ!!!
あっさり影山を彼氏だと言い放つ自由さがまた良かったし、
「頭を尊敬しています」断言した百目鬼を気に入って
飲み屋に連れていくとか…可愛いわ…。
影山も百目鬼を気に入ってつい本音で喋りすぎるとか、
個性のある、カタギとは言えない男たちが少しずつ心を通わせる様子にずぎゅん!!!
久我を“イケイケ”と表現する影山は…どうかと思うけどww

矢代の命の危機と、百目鬼のおとしまえ。
指をくっつけてもらう気が最初から無く、影山へ頭を下げに行く様子には
一途過ぎて涙が滲みました。
義理堅くて真面目で、誰より矢代を想う男に胸を打たれました。

あとは、矢代と三角の関係もさることながら、天羽がツボすぎて
もっと登場させて欲しいと願ってしまう程でしたよw
(三角の見栄を張った愛人数に「2人…」と心の中でツッコむとかウケました!!)

1巻では情けなさしかなかったような七原が
今回はかなり頼りがいのある百目鬼の“上司”になっていてじーんとしましたし
攻めと受けだけにスポットライトが当たっているわけではないので
かなり重厚感のあるお話なんですね。
たぶん誰が欠けても成り立たないと思えるような。
昔に比べて皆年相応に老けている(というと語弊が…?w)のも味わい深いです!

正直な話、ヤクザものはそんなに興味がありませんし
私の頭では理解出来かねる世界なのは以前と変わりがないのですが
読まずにいられない、続きを待たずにいられない、
やっぱり神以上のヨネダさん作品なのでした。
1コマ1コマ全てにぎっちり意味と想いが込められているようで、
無駄がなにひとつとしてない気がします。
とにかく別格だとしか言いようがありません!!!

22

人を好きになる孤独と再生

大変楽しみに待っていた2巻です!!!
まず冒頭からのサービスショットの数々に心臓を打ち抜かれました。
百目鬼の警官の制服コスプレに始まり、続いて矢代の一人エッチ。
そして百目鬼の虎ロンT姿もある意味サービスw

矢代が一人エッチしているコマの、下から百目鬼を見上げている色っぽい顔に吐血しました。
ページをめくった瞬間に矢代の色気にやられ、百目鬼よろしくドゥキューン!!!
あぁぁおかしら萌え!!
不意打ちはやめて~ッ心臓に悪いです!!
2巻はしょっぱなからテンソン上がりまくりでした。

また、影山・久我・百目鬼の三人が顔をつき合わせている場面も面白かったです。(ちなみに影山×久我カプも好きです♪)

影山から語られる矢代像。
百目鬼の語る頭像。
百目鬼を面白がる久我。
久我から電話を受けてあわててやって来る矢代。
百目鬼に「二度と戻ってくんなバー―ーカ」と毒づきながらも、
矢代はなぜ三人がいる店に駆けつけたのだろう。
何が気になったのだろう。何かを知られたくなかった?誰に?
矢代の行動に、言葉には表されていない様々な思いが見える素晴らしい場面でした。

内容はヤクザの世界を描いているので一見ハードながらも、
まごうことなきBLを貫いている作品だと思います。
百目鬼がカタギに後戻り出来ない決断をした場面。
矢代がヤクザになることを決断した過去の場面。
彼らは何のためにヤクザになったのか。
いや、誰のためにヤクザになったのか。

極道たるものが目指すところはテッペンで、それが抗争の火種になるわけですが、
矢代も百目鬼もそういう本来の極道が目指すものから全く逸脱した人たちです。
『権力・金・女』、欲しいものはそんなものではない。
それらは何かの目的を達成するために必要なものであって、心から欲しいものではないのです。
物語の核心部分は「どうしても触れたくない」と同じような緻密な精神世界が描かれているんだと思います。

矢代の本当の魂は、百目鬼が言うように綺麗な魂なのかもしれません。
それを何重にも分厚い層で覆って隠して、今の矢代があるのでしょう。
そうせざるを得なかった悲惨な過去。傷。
矢代はそれを誰の目にも触れさせたくない。
なぜ特に百目鬼には触れて欲しくないと思っているのでしょう…。

最後に、病室で泣く百目鬼と、何事もなかったかのようにベットから声をかける矢代に切なくなりました。

1巻ではマンガ的な面白さがあって、壊れたキャラクターの矢代が興味深いなと思いましたが、2巻では1巻を上回る興味深さと萌と面白さがあり、文句なしの神をつけました!!!
どこにどう着地するのか、次巻も大変楽しみです!!!

15

男たちにやられた!

2巻にて、「神」出ました!!
もうそれぞれのキャラクターが主人公達を含め脇に至るまでたまらない。
もちろん、ドMの八代のキャラは好みど真ん中なんだけど、今回は百目鬼の中のわずかな気持ちの動きが、八代に「綺麗な人と思った」それだけじゃない更に心酔させている事象や、心の動きが見えてそこに注目もするのだが、
八代の過去が登場したことで、現在八代とけん制し合う仲のそれぞれのヤクザの組長である竜崎や、平田の存在ももちろんだが、親父にあたる三角に自分の心は奪われた。

前の巻で元警官だった百目鬼にそのコスプレをしろよって言っていた八代だけど、ほんとうにやらせてました(笑)
不能で勃たない百目鬼のナニをそれでもしゃぶる八代、いつも文句をいいながらもしゃぶるその姿は赤ん坊が乳首に吸いついている執着にも見えて、八代の慰めとなっているんじゃないだろうか?百目鬼に安らぎを見出しているような気がしてならない。
百目鬼の膝枕で百目鬼が語った初体験の話しに興奮して自慰を始めた八代の表情に見せた百目鬼のどまどいと、忘れたとやめてしまった話。
これは間違いなく百目鬼の変化だと思う。
そして、自分が離れた隙に八代が撃たれてしまってつける落とし前。
八代の影山への想いを悟り彼に謝る姿。
着実に百目鬼の中に芽生えたはずの何かが次の巻で展開していくのだろう。

そして八代が三角に拾われたエピソード。
肉便器となりながらも減らず口をたたく、でもなにもかも諦めたような八代に魅入られながらも、それをあらわにせず、借金を名目にそばに置く三角。
一番キれたいた極道らしい時代だった三角。
影山の父親が亡くなり土地の売買に三角の組が絡んだことから土下座をした八代を自分の舎弟にしたのだが、そこに三角が見たものはなんだったのだろう?

勢力争い、裏切り、腹にいちもつ抱える男たちの中、
八代と百目鬼の存在が非常に純粋なものに見えてくる。
ハードな世界の中に潜む純愛。
それがこの物語の隠し味となって味わい深さをより増しているような気がする。

彼等の行く先をみまもろうじゃないか。
久々に見る骨太で自分のあこがれるやくざの世界を堪能している。

13

寝ても覚めても矢代矢代

待ちに待った2巻。とにかく表紙から規格外。
今までたくさんコミックを読んできたけど、こんな夜の遠景の表紙は見た記憶がない!
主人公たちが遠目でよく見ないと分からないなんて…。

そんな2巻はきな臭いヤクザ間の抗争のはじまりを予感させる出来事からはじまります。
七原ったら竜崎組と揉めちゃって、やっぱり我慢できなかったのね~。しかたないなぁ…と思っていたら、
どうやらもっと根が深そうな問題へと発展しそうな気配…。

七原の治療中、影山との会話で矢代の気持ちに感付く百目鬼は、
ふだんボーっとしてそうなのに、すごく鋭い!
影山への気持ちを察したのがきっかけだったのか、少しずつ尊敬以上の気持ちが芽生え、
自身ずっと拒絶し続けていた性的能力に復活のきざしが!
百目鬼の初体験を聞きながら、自分でシちゃう矢代に、思わず勃ちそうになっちゃったり、
エロ映画の女優さんが矢代に見えてきちゃったり…。
でももし勃っちゃったら、頭のそばにはいられない!と思って我慢したり、拒絶したり…。
1巻では人形のような百目鬼がだんだんと表情が出て、葛藤をはじめ、
人間らしさが出て来た気がする。
そして事件。
彼の忠誠の証は「何もそこまで…」と思ってしまったけれど…。
でもヤクザの世界なんだもんね。

その百目鬼には、普段飄々として決して本心を見せない矢代が、チラチラと素を見せ、
それがなんとも可愛い。
久々登場の久我にヤキモチ焼いてるっぽいところもニヤニヤしてしまいました。
矢代が百目鬼に言う色んな「バカ」バージョンがすごく好き!

2巻では矢代を知る手がかりが、あちらこちらにばらまかれていました。
影山から見た矢代。三角の若い頃の回想から入る「黄金時代」の矢代。
ヤクザの世界に入るきっかけが影山だった事。
「ちゅーちょすんな」と紙幣を握るシーンは、影山に関してだけは熱い気持ちを
さらけ出してしまう矢代に、胸がキリキリと痛みました。

矢代がドМで淫乱で変態なのは、影山も言っている通り自己防衛なんだろうな。
小さい頃の性的虐待から自分を守るため、正当化するため、
義父が言う「悪い事をしている」ことへの自傷行為でもあるように思えて。

過去の矢代。竜崎組の下っ端に輪姦されてる時も、他の組員さん達とヤってる時も
まったく楽しそうでも嬉しそうでもない。

ホモではない、男が好きなわけではない、
男に性欲とともに好意を向けられると吐き気がする。
それなのに影山が好きであり、その事が孤独であり、絶望でもある。
ページ数たったの3ページの矢代が振り返る過去。
「もう十分知った」と言う言葉が重く圧し掛かってきました。

色んな場面での彼の動向やモノローグで、一筋縄ではいかない、
そんな矢代がより鮮明に浮き彫りになっていました。
一途な矢代。恋愛を拒絶し、諦めきってる矢代。
影山でさえ自ら遠ざけた矢代が百目鬼の好意を知ったら、
どうなる?どうする?

考えてみたら竜崎も三角も七原も、もちろん百目鬼もみんな矢代矢代。
彼が大好きで仕方がない様子が可愛いです。
あの天羽さんまでですから(笑)
若き日の竜崎の「矢代大好き」な感じが可愛く、1巻での印象が変わりました。
後、三角さんに話しかけられた時に矢代が「変態」で返事をするところが、
かなりツボです。

まだまだピースがバラバラでこの先の展開が予想できません。
百目鬼がどうからんで、今後どういう風に着地するのか。本当に目が離せません。

ああ、3巻が待ち遠しい…。







13

矢代の過去と百目鬼

まずは映画の一場面のような表紙とぶ厚さに目を奪われるが、
中身を読むと、一巻で提示された矢代の魅力的な人物造形に留まらず
彼の過ぎ来し方や取り巻く人間達が描き出され、厚みを増していることが分かる。

矢代の側にいることを願う百目鬼。
二人の微妙な関係、ジリジリとほんの少しずつ動いていく関係。
じーっと静かに矢代を見つめる百目鬼。
矢代の生き方そのものになってしまった鎧の内側の揺らぎまでも
見落とさない視線だ。
それは矢代を微妙に落ち着かなくさせる。

一方、組織内の火種を孕んだ関係は、派手に事件となって……
過去と現在、行き来しながら物語は進んでいく。

いかにもではあるのだけれど、第10話で土下座した19歳の矢代は
ツボど真ん中だった。
彼のその他の生き様や過ごし方がとんでもないだけに。
そして三角のオヤジがまた魅力的だ。

青年誌のような世界観の中で描かれているが、物語はまさしくBL。
矢代の変態さが愛おしい。

12

絡みだして、動きだす

思えば1巻では百目鬼は、影山も久我も知らなかったんですよね。

この巻では矢代を含め4人が一堂に会す場面があります。
こういうひとコマがあるのが物語にも人物にも厚みを持たせていて、後の出来事がより際立つ。

天羽(あもう)いいキャラ!(CDにもちらと出ていました)個人的にNo.2に萌える、というのもありますが飄々としたおかしみがv
ほんと三角さんと熟年夫婦みたいで、この二人のサイドストーリーを読みたいと思うくらい。(4コマ漫画とかで…)
そして今巻では三角さんの渋さと色気をたっぷり堪能出来たので嬉しかった^^
楽しんでる竜崎と矢代に対して
「見ててやるから 最後までイケよ竜崎」
ムリだよー、竜崎は意外とチキンだからー。
矢代を、我が子の様に慈しむ愛の深い眼差し。素敵すぎます。

久我にヤキモチを妬いたり、百目鬼の行動にモヤモヤしてた矢代を見たら、もう恋するオトメの其れじゃん!と可愛いく思えて仕方無い。少女マンガかっつーの。←

死の淵に立ったときに"俺は もう充分知った"と死さえも受け入れようとしていたけれど、まだあるよ知らない事。
自分が想う人から想いを向けられる事、其れを逃げずに受けとめる事。

矢代自身、このままこの道で生きる覚悟も定まらないのに己の事を引き鉄に百目鬼がカタギに戻れないなんて。
どれだけロミジュリなのかこの二人は。

矢代の事を複雑だと思っていましたが、こんなにシンプルな人だったんだなと。(百目鬼の言葉で云うと一途な人)
惹かれるほど、好きなのが辛くなるような人。

過去の矢代と三角さんと天羽のやりとり聴きたいし、最後の「泣くなよ」をどんな感じで云うのかもの凄く知りたいから、ドラマCDになって欲しいと切に願います。

年1で出したいと仰るものを年内に二冊目を出してくださって、私はこれで年を越せます。

11

東雲月虹

舎楽宰さん、こんにちは!

天羽、相当面白いですよね!!
あの落ち着いた様子で常にさらっとかましてくれるのが
どうにもたまらない男ですw
私も三角と天羽のサイドストーリー読みたい!!
そして是非2巻もCDにしていただきたいですよね!!

今年はかなり(というよりものすっっっごく)
ヨネダさんに楽しませていただいたので、私も年を越せますww
充実した良い年でした……。

では失礼致しました☆

出だしから最高なんですけど!!

この作家さんも衝撃的な商業誌デビューから5年過ぎても出す作品が
好機逸すべからずみたいに全て魅力的な作品に仕上げて読者に読ませてくれる。
コミックスってノベルよりも軽い気がして、コミックスで感動出来る作品って
以外に少ない気がするそのですが、この作家さんの作品は、まるで小説を読んでるような
気にさせるから不思議なのですよ。

イラストのステキ云々もあるでしょうが、内容の密度の濃さ、人物の内面まで
入り込むような人物描写、どれをとってもピカイチだと思える作家さんの一人ですね。
作品もBLにありがちななんちゃってヤクザとは一味違う、ズッシリ心に響く
骨太な本格ヤクザものなのに、矢代のビッチで凶暴で人間嫌いで愛を己の世界から
木端微塵になるくらい排除しているのもありきたりな恋愛ものにならなくていい。

2作も読みごたえのある骨太1冊ですが、厚めのコミックスが読み終えると思わず
次を願わずにいられないくらい後引く面白さ。
今回、矢代が撃たれた事できな臭い事態になっていく感じもするし、
不能のはずの百目鬼にも変化があるかも知れないと思わせる内容です。
読み終わって直ぐに続編が気になって仕方ない面白さって稀有ですね。

10

凄いとしか言いようがなくて…今猛烈に後悔しています!

発売されてすぐに読んだものの、あまりの衝撃に打ちのめされ、なかなかレビューが書けませんでした。
今までも…これからも…人生の中で、ここまで心酔させられる作品に出会うことがあるのか⁉︎
どれほど凄い作品であるか、伝えたいことはたくさんあるんです。
でも、私の言葉でこの世界を壊してしまいそうで、「伝える怖さ」を思い知らされている作品かもしれません。
そのくらい、ヨネダ先生の作品に対する情熱、キャラ1人1人に対する想いや、祈りがヒシヒシ伝わってくるんです。
誰しも持っている、心の闇や傷…その痛すぎる部分に容赦なく踏み込み、真っ正面からぶつかり、真撃な想いが描かれています。
絵から表現される、表情、言葉、間、背景全てに意味があり、無駄を1つも感じさせません。
本の分厚い重量感にも、表紙カバーの矢代と百日鬼の光景も、カバーを外した時の、光のない背景に立たずむ2人の暗闇にさえ、何か意味があるような…生きるとは、死ぬとは、普通とは、幸福とは⁉︎…彼らにとってなにを意味するのか⁉︎
噛み締めながら読みました。

淡々と進んでいくストーリーなのに、矢代や百日鬼という「男」、そして、2人に関わってくる「男」1人1人の抱えこむ哀しみが流れ込んできます。
全く違うタイプですけど、癖の強い男達それぞれの「男」の本気と、生き様に魅了させられました。

哀愁漂う男達を描かしたらヨネダ先生が1番かもしれませんね。
哀しい激痛や不器用さの向こうにある純粋さ、熱しさ、愛らしさ、可愛さ…
読んでいると、これらの感情がなだれ込んできて、読んでいて気持ちは落ち込むのに、一度でも触れて、その魅力に心を奪われてしまえば、彼らの結末がどんな形であったとしても、最後まで見届けていきたいと思わされました。
一種の麻薬と同じかと⁉︎
読めば読むほど高揚感が止まらない…哀しいのに、愛着が湧いてくる不思議な感覚に見舞われてしまう作品です。
だから、読後もなかなかこの世界観から戻ってこれず、何かを求めるように…探しだすように、毎日何度も読み返してしまうんです。
やはり、底知れない作家さんであることを痛感させられました。

2巻でも、矢代と百目鬼の微妙な距離間が丁寧に描かれていきます。
相変わらずな矢代ですけど、深い孤独を抱えた背景が痛いくらい、愛おしくなる位伝わってきます。
矢代がどんな思いでヤクザの世界に足を踏み入れたのか、影山への深い想いと、どうにもできないせつなさ…
今回も過去のエピソードが綴られていく中、今の矢代の状況が胸に突き刺さるように見えていきます。

そして、矢代との出会いで、徐々に血が通い始めていく百日鬼。
矢代の事を『尊敬する…優しくて、強くて、綺麗な人』と、心酔して止まない百日鬼の強い想いと、覚悟!
今回2人が失った部分は、運命のようにきつく2人を繋ぎ止め、矢代が過去にそうしたように、矢代の過去を知らない百日鬼もまた、大切な人を守るために一線を越える決断をしていきます。
全くタイプの違う2人なのに、何処か奥深い所で繋がっているかのような、時々みせる2人の心の動揺や葛藤シーンにドキッとさせられ魅せられました。

まだまだ、百日鬼のコスプレ姿や、牽制し合う竜崎と矢代の関係、影山と久我の登場シーン、契りを交わした三角と矢代の親子のような関係、七原の男気、百日鬼の中学時代の初体験を聞きながらの1人Hを始める矢代と、その姿に興奮を覚えてしまう百日鬼、…今回の山場、事件に巻き込まれた時の矢代と、それを見た百日鬼の2人の必死な姿!
どこをとっても心奪われてしまうシーンばかりでした。

今後はさらに血生臭くなっていきそうです。
矢代を取り巻く組織内の人間関係の因縁が、本格的に動き出し始めます。
本当の黒幕は誰なのか…この先誰か命を落とすかもしれないという予感が駆け巡る2巻でした!

ここまで心酔させられ、どうして自分の1巻の評価は『神』ではないんだろうと…。
1巻で表現されている、八代や百日鬼達のこの激痛を汲み取れなかったのか!
続きもの=物語の導入部分だからと軽く読んでいたのかしれない…と
今更ながら後悔し、物凄く反省しています。
思いきり言い訳になりますけど、1、2巻同時に読んだ今は間違いなく『神』評価であり、2巻は『神』の域を超えるくらいの勢いを感じさせられるものでした。

動き始めた男達の闘いの結末は⁉︎
矢代と百日鬼の着地点はあるのか⁉︎
まだまだ目が離せそうにありません。
既に第3巻の発売が待ち遠しいです!

興味はあるけどまだ読まれていない方、今年最後の締めくくりに…読むには気合はいりますけど(笑)
ぜひオススメしたい作品です!

10

百目鬼の覚醒と先輩の猪突猛進

ドラマティックな展開ですねぇ~。
前回よりさらに面白さがましてます。目が離せません。
百目鬼が自分の気持ちに気づき臆病になり八代を守ろうと覚醒する。
八代が本当に好きになった男がただ一人だけだと知り自分の気持ちを知ったら
そばにおいてくれないと鈍感ながらも感じ取り悟られまいとする。
バカで無口だけど、八代がほかの男と関係を持つのが嫌でポロっとでちゃったり
もう可愛くてたまりません。


八代の高校卒業後のだらしない生活からヤクザになるまでが丁寧に書かれていて
本当にリアルでした。
自分の部下ともめてるめんどくさい相手でも寝ちゃう八代は本当ビッチです。
たまらんですねー。

百目鬼の「中で何されてるかわかってんのか?」で素早く行動するあたりが鈍感だけど
可愛いなーと思っちゃいました。
八代のHシーンなんて見慣れてるはずなのに、自分がショックなのかそうじゃないのかまだその時は判断つかない百目鬼。

目の前で八代が打たれ泣きながらすがる百目鬼。
八代の中でも百目鬼が小さいながらも可愛い存在として手放せなくなるような
そんな兆しが見えてきます。

この二人は一癖も二癖もあるので単純には結ばれないし八代にとっても百目鬼にとっても何かを捨てないと百目鬼は手にはいらない気がする。

10

苦い、甘い、苦しい

※既刊を全て読んだ上でのレビューです。
他の巻のネタバレも含まれます。

2巻は何とも由々しき場面から始まった。
頭(カシラ)は ドMで淫乱のはずだから、こういう場面は想定内だ・・と、理解しているつもりなのに。何だろう、このお得感は。
そして、この戯れに深い意味などないのだと分かっているのに、頭(カシラ)と その髪に触れる百目鬼を見ると 何か見てはいけない様なものを見た気持ちになって切なくなるのだ。

この巻が一番、頭と百目鬼の距離が グッと縮まっているのかも。
当然、お互いに対する甘い言葉はない、肝心要が足りないので 一層ヤキモキさせられるわけですが。
3巻は 身体的に近付きすぎて 心が追いつかなくなっている感じが 見ていて少し辛い。

横断歩道で百目鬼の靴が脱げてから、矢代さんに肩に凭れかかられ百目鬼の口元が緩む、までの エピソードがとても好きだ。
さながら「映画デート」のような甘いシーンの後には・・・
「あぁ そういえば、こういう世界の物語だったなぁ・・」と、頭では分かっていても 突きつけられた恐怖と絶望に 私の心はしばらく動かなかった。

救急車の中で祈る百目鬼を見て、頭(カシラ)に「十分 愛されるに値する人間なんだ」と 全身全霊で伝えられるのは、きっと彼しかいないと 思ったのと同時に、百目鬼を肉体的にも 精神的にも救えるのは 頭(カシラ)だけなんだ、とも思った。

それにしても 若い時の矢代さんは 本当に綺麗だなぁ。

自分の好きな絵で、好きな物語が読める。
その幸せを思えば 続刊が発売されるまでの短くはないであろう時間も耐えられる気がする。

9

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