気鋭の実力派・恋煩シビトのヤンキー三角関係

溺れる

oboreru

溺于爱

溺れる
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神62
  • 萌×240
  • 萌17
  • 中立7
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
24
得点
528
評価数
131
平均
4.1 / 5
神率
47.3%
著者
恋煩シビト 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE COMICS
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784396783310

あらすじ

「俺の本能は、男ではなく既に」 

腐れ縁のヤンキーは不変の仲…と思いきや、馳男の幼なじみ・次郎に彼女ができた。
その日から、馳男の心中は嫉妬でヒリつき始める。

そんな馳男の変化に、仲間のハチだけが気づき
「なぐさめてやろう」と押し倒してきた。
なし崩しで始まった2人の関係は、次郎にも見せつけるように
自室やラブホテル、果ては教室…と奔放に続く。

女に奪われた親友を追ううちに、
女のように抱かれるようになった馳男の本性とはーーー。

描き下ろし後日談収録。

表題作溺れる

高校生,受とは中学からの仲良し
高校生,ラブホで清掃のバイト

その他の収録作品

  • BONUS TRACK(描き下ろし)
  • あとがき

レビュー投稿数24

カバー下のイラスト

とても好きな作品なので紙で取っておきたいと思い購入しました。
カバー下の絵がとても素敵で、買ってよかったと思いました。
何気ない絵なのですが、ある意味結末を示唆しています。

この作品、もっと評価されてもいいのにな、と思います。
随分前の作品ですがキャラクター作りやストーリー構成が唯一無二かなと。

次郎はノンケ、ハチは自分のセクシュアリティを自覚できているゲイ、馳男は自分自身よくわからず悩んでいる、といったところでしょうか。
それぞれの立ち位置がとても明確に伝わってきます。

特にハチというキャラクターが非常に魅力的です。
執着攻め好きにはきっと響くはず。
終始ハチに感情移入してしまいましたし、彼の馳男を思う真っ直ぐな気持ちに大変萌えました。
そのためか最後は普通にハッピーエンドだと感じました。こういう愛の始まり方もあるのでは?
最初から次郎とくっつくのは現実的ではないなと薄々感じていました。
ノンケでも最終的にくっつくBLが多いですが、この作品読んでいて、物語の深さとかキャラの繊細さみてて、他の作品とは違う方向いくだろうな、と。

正直言うと、デッサンがところどころアレ?て思うことがありましたが、画力とかどうでも良くなるくらい、キャラの表情、キャラのセリフ、漫画の書き方が全て秀逸でした。脱帽です。
ハチのチャランポランからシリアスに変わる表情の切り替わりとか、馳男の傷付いた表情とか、次郎の嫉妬してる顔とか。
一つ言いたいのが、馳男と姉たちとの会話…なんてリアル!!口汚い女兄弟あるある。
また、男子高校生同士の何気ない会話が全てリアルでした。

とても好きな作品なため、うまく言葉でまとめきれないのですが、
この漫画は萌えがどうとか以上に、物語として感動しました!

1

びっくりしたけど、この結末にありがとうございます。

友情か恋か、あるいは性欲か。

予想外の結末に驚き、でも、個人的にはこの結末を望んでいました。

次郎と幼馴染の馳男。
そこに中学からハチが加わって、今ではすっかり腐れ縁の仲間たち。
だけど、次郎に彼女ができたことでその均衡が崩れ始めてしまいます。

馳男は昔から次郎のことが好きでした。
そんな馳男のことをハチは好きでした。

それまでの自分の居場所を彼女に奪われた馳男に嫉妬心が芽生え…
そんな隙間にハチが入り込み、馳男を抱くようになります。
性欲処理ができれば、ハチに抱かれようと、どうでもいい馳男。

だけど、次郎はそんな馳男とハチの親密さが気に入らない。
教室で2人がセックスしているところを目撃してしまい、
問い詰める次郎に馳男は
「ハチの事誰より好きなんだ」と嘘をつく。

なぜ、ハチなのか、次郎は動揺します。
彼女がいても、今までと変わらず馳男と一緒にいたい次郎。
だけど、それは大事なおもちゃを取られた子供のような
独占欲に過ぎず、馳男が次郎を想う気持ちとは違います。

友達のままで、変わらずに馳男に隣にいてほしい次郎。
それは純粋な友情だけど、とても残酷に思えます。

次郎の恋人になりたい、一途で健気な馳男。
頭では叶わないとわかっていても諦めきれず、期待しては裏切られ、
その一方でハチの気持ちを知りながら見ないふり。これも残酷です。

馳男を自分のものにしたいために、弱みにつけこむハチ。
だけど、馳男に対する気持ちの純粋さを知っているから、
ハチだけが狡いとも思えません。

この場合はハチが当て馬になるのだと思います。
三角関係って大体の当て馬はすごくいい人で、散々尽くした
にもかかわらず、恋に破れ、報われないパターンが多くて、
(救いがあったとしてもお情けのように余り者同志でくっついたり…
その杜撰な扱いに当て馬救済委員会を設けようほどに)
そんな彼らの待遇に常々不満を抱いてきました。

読めば読むほどに当て馬への思い入れが強まってしまい、
いつも途中からもうこいつ(当て馬)にしておきなよ!と思っていたので、
正直、この結末は嬉しかった…
ハチがこれまで出会った当て馬たちの悲しみを
背負って幸せをもぎ取ってくれたように思えました。

どうせ、また…と思いながら行き着いた結末は意外なものでした。
馳男の次郎への恋を終わらせた「メス」の自覚。
受け容れたくないけど、受け容れることで馳男は自由になれたはずだし、
そうすることでようやくハチを正面から見ることができた。
都合のいい次郎だったら馳男は自分の中のオンナに気がつけずに、
嫉妬に狂い、ボロボロになっていたのかもしれません…
だからやっぱり、馳男にはハチがいてよかったのだと思う。

賛否分かれそうな結末ではありますが、
個人的には積年の恨み?を果たしてくれた1冊なので神評価です。

3

予想外

悩みなんかみんな解決すんのに お前がこっち向けば
こっちには絶対に来ない人間だよ アレは

シビトさんの描く男子たちの戯れが大好きです。全くもって取り留めない会話、そして一瞬見せるシリアスな顔。仲の良かった友人に抱く恋心は叶うのか叶わないのか、というお話だと思って読み進めれば、展開は意外なものでした。タイトルの「溺れる」は恋にでは無かったのでした。自分の性質というか行く道といったものだと思うのですが、それが馳男とハチは同じ方向に悩みながらも辿り着き、好きだった次郎は全く逆だったということを最後に悟り諦めがつきます。漫画としてはやはり、次郎とくっつかないのか〜〜はぁ〜〜と残念に思ってしまう気持ちもあるのですが、この諦めはリアリティがあるなと思いました。
シビトさんらしい闇を含む心理描写がたまりませんし、ここぞという台詞でも文字は抑えめに顔面で魅せる!という気合が良いです。

1

脇田がいい奴

脇田は三角関係の中にいないモブ度のかなり高い友人です笑
表紙は馳男(受け)ですが、中とイメージがだいぶ違う。

恋煩シビト先生の作品は、ハッピーエンドとは限らない、AくんとBくんは必ずしもCPにはならないし別れるかもしれない、と覚悟して読むのですが、どうしても読んでるうちにこのキャラとこのキャラがくっつくのかな〜とか、無意識に誰かを応援したり感情移入しだして、ヒヤヒヤする。推しが幸せになれないのはやっぱ悲しいし。
ずっとどこかジメジメしてる作品なのに、最後が妙に爽やか。馳男の気持ちをあらわしているのか。描き下ろしも甘め。

2

思春期ヤンキー三角関係

思春期のヤンキーならではなところもあるのかな?
いつでも何でも一緒で何でも知ってるはずだった親友が彼女が出来て関係が変わっていって。

彼女が出来た方も他の皆が気になったり。

ハチと馳男が何ともお互い切ないですね。
男が好きだけど怖くもあるハチは馳男が好き。でも馳男は親友の次郎に彼女が出来て傷ついて寂しそう。
ハチはそこにつけこみますがいつまでたっても馳男の気持ちは手に入らないし、発散するだけの相手のように扱われたり。

でもだんだん馳男もハチを見てくれるようになって。

答姐で戻れないという質問に出てたので読んでみました。馳男は確かにこんな体になっちゃって。もう男じゃないって。

次郎は初彼女と高校卒業前に妊娠して出来婚です。
馳男ももう大丈夫そう。ハチがどんな想いで馳男と接してきたのかな。切ないけど最後は良かったですね。

この作家さんの本は2冊しか読んだことがないのですが絵や話の進みかたが独特な感じがします。

1

取られたくない、期待したい、自分を好きになって欲しい

 思春期ならではの複雑に入り乱れるキャラクター達の感情が、非常に緻密に描写されていたと思います。友情、同情、愛情というような、自分でも境目が曖昧な感情を持て余す3人の男子高校生達。簡単に各矢印を纏めると、次郎←馳男←ハチという関係性です。特に良かったのが、次郎が馳男に対して抱いている己の独占欲に気付いても、最後までそれを恋愛感情などと勘違いせずに、友愛のままで通したこと。並のBL漫画だったら、実は俺も馳男が好きだったんじゃ、となることが多いんじゃないかと思うんですよね。でも現実では、同性への恋を自覚するなんてことはそうそう起こらないことであって、そのリアルさを安易に崩さないところが物語の質を高めていたように感じました。

 そして、過去の経験から、たとえ相手が弱っている時に付け込む形であっても、積極的に行動してみようと自分を変えた攻めのハチ。傷心中の相手に迫ることについては賛否両論あるかもしれませんが、私は彼に好感が持てました。彼は常に馳男に選択肢を与えていますし、もし彼がいない3人グループだったら、きっと馳男はこれ以上次郎の側にいることは耐えられなかったんじゃないかなぁという気がするんです。一見ハチのせいで次郎が友達と彼女を同時に大事にできない状況に陥ったように思えるけれども、ハチがいなければ次郎は馳男を完全に失うことになっていたんじゃないかと思います。

 また、受けの馳男の心情描写も巧みで、ハチに迫られるがまま体の関係は持ちつつも、次郎への淡い期待をなかなか捨てられないところがリアルだなぁと思いました。あくまで友達としての次郎からの独占欲や好意に、恋愛的フィルターをかけてしまった馳男の気持ちにすごく共感しました。これは異性に対する片想いにおいても、ありがちなことですよね。時間をかけてハチの自分への真剣な想いを感じ取り、徐々にハチに好意が傾いていく馳男。失恋経験がある者同士、2人が初めて両想いになれた時は本当に嬉しかったです。三角関係ものではとても読み応えのある作品だったと思います。

2

BLファンタジーと現実のはざま

幼馴染がずっと好きだった。
いつまでも変わらずに一緒にいられると思っていた。

BLに限らずよくある設定に、1/3の確率で予想しうる結末。
3つのうちどの結末を期待したかで評価が分かれる作品だと思います。

小学校からずっと一緒だった次郎と馳男。
中学から仲間に入ったハチと他の仲間たち。
ある日、次郎に彼女ができたことで均衡が崩れはじめて…。

という話ですが、次郎目線→馳男目線→ハチ目線→次郎目線→馳男目線とエピソードごとにストーリーテラーが変わっていきます。
おそらく誰もが「どの人物を推すか」見極めながら読み進めると思うのですが、だいたいこういう場合は「馳男」が多いのかな。わたしも馳男サポーターとして読みました。

この作品では三角関係に必須の当て馬という存在の立ち位置が微妙です。
3人の目線、3人それぞれのこれまでのことや今の想い。後半で比重が傾くものの、中盤までは平等に描かれているので、どの人物にも肩入れすることが可能になっています。そこがすごくトリッキー。
しかも全員の心理描写が本当に巧みなので、どの人物にも引き込まれるのです。
焦りや喪失感に混ざった狡さ。この作品では角度を変えて見ると、種類は違えどどの子も狡い。でも狡い人間というのがもともといるわけじゃなくて、狡くなるのは欲しいものがあるからだと気付かされる。やはり一筋縄ではいかない作者さんだなと思いました。

とにかく人物描写がとてもリアルです。
彼女ができた。でも親友とは今まで通りにつるみたい。「オレの彼女」「オレの一番の親友」というよくいるタイプ。ふつうなんです。普通すぎるからこそ次郎はBLの世界だと狡く見えてしまう。
ハチを利用したつもりが、そのせいで自分は「男に抱かれたい」人間だと馳男が自覚する場面も痛々しい。たぶんそれまでは「次郎の隣」という立場だけに執着していて、「次郎に抱かれる」ことまでは想像していなかった気がするのです。ハチに抱かれて、「抱かれたい」という欲求が出て、ハチに次郎を重ねていたことに受けた衝撃の強さが「メス」という言葉にこもっていて痛い。自分は人間以下だという嫌悪感がすごく伝わってきました。
それだけにその後の気持ちの変化の部分が急ぎ足だったのが残念でした。

いろいろ書き過ぎましたが、一度読んで損はない作品だと思います。

4

萌えるはずの三角関係がなんとも言えない読後感

おーこうきたかーーーという予想外の展開で、なんとも言えない読後感でした。
受けを巡っての三角関係は大好きで、当て馬くんが健気なイイ奴だったりすると、むしろそっちを応援したくなっちゃうタイプなのですが、この作品の当て馬くんは終始裏がありそうで好きになれない。。最終的にそれは誤解で、いい奴なのでしょうが。。
また、受けの本性っていうのも、コレ?と思うとなんとも言えない気分に。。
受けの想い人の勝手感も凄い。。
セクシャリティに悩むことはよく分かるのですが、作品全体から女への嫌悪感?のようなものが感じられて、読んでいてあまり心地良くありませんでした。
作品としてのクオリティやメッセージ性はとても高いのだと思います。
ただ、個人的にはキャラクターの魅力より、弱いところばかりが目に付いてしまい、BLとしてはあまり萌えられませんでした。

2

恋情と友情、と、独占欲と性欲、と。

恋情と友情、独占欲と性欲。
そんなキーワードが高校生という囲いの中でネットリサワヤカに描かれていました。
ノンケだけどお前のことは好きだとか、お前は俺のものだから友情の延長線上でセックスもして恋人同士になるとか、ってのはBLでよくある話だけどいつもそんな簡単な話ではなくて。
独占欲なんて恋情でも友情でも抱く、性欲だって恋情でも友情でも抱く。
恋情と友情に明確な境目なんかないんだろうな。
性嗜好が同性なら特に。
好き合うだけでも恋人同士じゃないし、セックスするだけでも恋人同士じゃない。
付き合うとか恋人同士になるとかっていうのは単に二人の周りにその境目をあえてひくってだけのことなのかもしれない。
結局馳男はハチを好きになって恋人同士になったけど、次郎への気持ちは単なる独占欲だったのか?
馳男の初恋は間違いなく次郎だったけど恋人になったのはハチ、というただそれだけのこと、だと思います。
今後、馳男もハチもまた誰かに恋情や友情や性欲や独占欲を抱くことがあるでしょう。(あと次郎も)
でも馳男とハチの二人でひいた境目を大事にしていって欲しいなと思いました。(一応ついでに次郎も)

蛇足
この話最後まで誰と誰がくっつくのかドキドキしながら読みました。
次郎なのか!?ハチなのか!?と。
でも読み返すとこりゃハチだわと思うんです。
第一話のモノローグが次郎視点だからなのかな。
一話では次郎はさとみちゃんを思うより強く馳男に対して独占欲を抱いていてるし、馳男は次郎が大好きなのがわかる。
そしてハチはほぼ空気w
くっつかない当て馬が一話のモノローグって……!
うまい!うまい構成です。
そして全編通してこの話モノローグがとてもうまいです。
この話のモノローグは誰視点なのか考えながらモノローグだけ読んでもおもしろい。
!とか!?の使い方一つに感動しました。

これぞ神!って作品でした!

5

せつない…

仲良し四人組の一人、次郎に彼女ができてから、四人のバランスが崩れてしまいました。

ハチは馳男が好き
馳男は次郎が好き
次郎は彼女が好き
と、危うい関係。
仲間の一人、脇田は…特に何もありませんでした。

途中、次郎は彼女より馳男の方が好きだということに気づいたんじゃ…と思われるシーンがあったのですが、それは親友としての好きでした。(残念!)
陰ながら次郎を想う馳男が最後まで可哀相で可哀相で…
でもハチがいたから救われた面もあったので、ハチがいてくれて良かった…のかな。
ラストはハッピーエンドなのでしょうが、馳男のことを思うとかなりせつなかったです。

馳男はハチに絆されただけなのかと思いましたが、その後の書き下ろしでハチのことをちゃんと好きだということが確認できました。
書き下ろしでようやく良い読後感が得られました。

3

当て馬とは

高校生、三角関係と大好きなワードで出てきたこの作品。作者の恋煩シビトさんが当て馬好きで書いたとあとがきに残してましたが、本当に当て馬が光を浴びた作品でした。
大抵の作品は当て馬が可哀想で終わるとか当て馬が嫌なやつとかだと思うのですが、これは最後にスカッとする!親友の次郎も、きちんとキスを拒んだり、彼女に悪いと言ってくれるから、モヤモヤせずに終われたし。
はじめの方は爛れてるとか、当て馬役のハチがずる賢くて嫌なやつに思えたのですが、ハチにはハチなりのトラウマとか経験があって…ときちんと三方向から描かれているので、どのキャラのことも冷静に読めました。
テーマは重いのですが後味スッキリの上手いこと出来てる作品です。

2

一般にも薦められそう

幼馴染みの友達と恋人の違いを揺れ動く三角関係の物語。三者の心情が1冊で上手に表現されています。

馳男と次郎は初めての変化に自身や相手の気持ちがわからず苦悩している。ハチは過去から両者の気持ちがわかり、愛し合う同性を求めている。「変わらない」はないのだ。変化を受け入れ、どう行動するか。ハチにほだされた馳男はメスと気づき関係の着地点を決める。「俺をこんな風にしやがって」。ヒトは他者を通さないと自身の事がわからない。そして、相手を理解できるようになる。

BLに興味ない人へもお薦めできそう。

2

異性の存在が壊す同性間の友情

これは完全女性目線で読んでこそ面白い♪
女友達間でいつも一緒にいた友達に彼氏が出来て、親友をその男に取られたような気持ちになったことってきっと誰しもが経験あると思うんですけど、それを「女子より友達同士の距離感が近い男子グループに当てはめたら?」ってお話。
これぞ女子が大好きな生唾妄想って感じがします。
「THE 妄想」ですね!
シビトさんテイストで描かれると一層萌えます。

仲良し四人組の四者四様のキャラ設定が良いです。
〔次郎〕はノンケ
〔馳男〕は「オンナ」だけど、まだ気付いてない
〔ハチ〕はセクシャリティ自覚済みのゲイ
〔脇田〕は普通にいそうなおバカ男子高校生
なんてよく出来た四人組!
超脇役脇田がまたこれイイ味出してるんですよw
こいつの存在がこの四人組を実際いそうな仲良しDKグループに錯覚させてくれますし、今にもバラけそうな不穏な三人の友情をイイ感じの脱力っぷりで繋ぎ止めています。

ことの始まりは、次郎に彼女が出来たこと。
それによって露わになった、四人の中でも特に仲の良かった次郎と馳男の、お互いへの似て非なる気持ちを描いたお話です。

次郎の「ハチに一番の親友の馳男を取られた」と、馳男の「さとみちゃん(次郎の彼女)に次郎を取られた」は、感情の種類的には全く別物なんですけど、セクシャリティとはまた別に人間なら誰しもが持つ「独占欲」とか「嫉妬心」もごちゃ混ぜになって、次郎は次郎でよく分からなくなってるし、馳男も馳男でよく分からなくなってる。
だから所々ではこの二人の混沌とした感情が同じようにも見えたりするんだけど、でもやっぱり別物で。
違うんだけど似ていて、似ているんだけど違う。
その描かれ方が絶妙にリアリティがあってすっごく面白い!
二人の感情の泥沼に一緒になってズブズブとハマりました。
「溺れる」とはまさに言い得て妙。

でもって腐女子目線で読むと、でもやっぱり次郎もひょっとしたらこれひょっとするんじゃね?って妄想したくなる仕上がりがまた巧いな~と思いました。
次郎くんはその後もちゃんとさとみちゃんと仲良く出来てるのかしらね?とついつい邪推したくなりますw

3

溺れてるわぁ

恋煩シビトさん初読みです。

予想外に良かった。すごく。

とても仲の良かった友達同士がふとしたきっかけで気になる存在になる所が非常にうまく描けているのと、そうなるきっかけを作った次郎の性格が最後まで肝だったってとこが良いですね。ハチもふとしたきっかけでそうなった一人だけど、馳男を振り向かせようとする行動の仕方が独特というか、狡いけど色っぽさがある。なんというか、こんなに深い三角関係を見たことがないですね(正確には四角関係だけど)。漫画的ではないリアルな人間模様って感じでした。見方によっては終わり方がすっきりしないと思う方もいるかもしれません。馳男が強く想っていた次郎と結ばれないからですね。それに加え、次郎は彼女がいるのに馳男とハチの仲に嫉妬し出すので(そこがおもしろいんですけど)。次郎は結局友情に関してただ独占欲の強い男だった、という流れで最後は落ち着いているように見えますが、そう見せかけて馳男に対する密かな感情を覗かせる場面があり、真意がわからないところがいい味出してます。私としてはたぶん次郎自身も気づいていないって感じなのかなと思いました。バッドエンドといえばバッドエンド、ハッピーエンドといえばハッピーエンドな作品。馳男の気持ちが最後まで結局は次郎なんですよ。そこがスッキリしないけど、でも、なんか良い。本来こういう作品は好みじゃないんですけど、世界で2番目に好きな人と結ばれたら案外しっくりきちゃった感覚ですかね。描き下ろしの二人のその後がそれを物語っているようでした。
とにかくキャラクターがすごく個性がはっきりしていてわかりやすかったです。

※女性との絡みシーンがあるので苦手な方は注意が必要です。

4

macy

☆詩雪様☆

コメントありがとうございます!詩雪さんのツボを突けて光栄です(笑)

そうなんですよね、何か作者の世界観に飲まれるような感覚で、私も読後抜け出せなくて何回も読み返しました。
最近ちょっと変わった感じの三角関係のお話はチョコチョコ出てたりしますけど、こういったリアルな感情のものってありきたりになっちゃったりしがちなのに独自のストーリーになっている所が惹きつけられるポイントですよね。

それありますよね!わかったうえで受け入れてるハチが馳男も恐らく愛しくてたまらないはず!最後お洋服買ってって会いたかったって言うところでズキュンとやられてしまいました。

そうなんですか、あとで試してみますね!
ありがとうございました(*´∀`)

燃えるだけが恋じゃない。

「前に何かの雑誌で見かけた漫画、誰の何て作品なんだろう。読みたいな」。
ふと過ぎる疑問に『これかもしれないよ』と手を差し伸べてくれた友人に心底感謝。
少ない情報と曖昧な記憶でありながら、ピンポイントでこの作品だと知れたとき、異常な鳥肌が立ちました。
単にこの作品と再会できただけじゃなく、何とも言えない感情が湧き上がる感動にも。

中学からの仲間。多感な時期の高校生。
幼馴染を好きな馳男。
はじめての恋人が出来た次郎。
馳男の視線の雰囲気に、自分と同じ空気を感じ取ったハチ。
はじめ、この3人によるドロドロの三角関係なのかと思っていたが、そうではなく拍子抜けしたのが第一印象。
馳男を中心としつつ、次郎、ハチ目線でも話が進み、時折すんなりと解釈できないときがあったのだが、その為何度も読み返した。
その『読み返し』が、徐々に効いてくるのだ。

愛する男に彼女ができ、ずっと隣に居たはずのポジションをいとも簡単に奪われた馳男。
本当は俺の場所だったのに。
お前じゃなく俺だったのに。
幼馴染という特権が、馳男のココロに揺さぶりをかける。
なぜなら次郎こそが、『幼馴染』という言葉にしがみついているのを分かっていたから。

馳男に肩入れをすると、次郎がいやらしい男に見えなくもないが、実はシンプルで幼いバカなだけだった。
自分以外の人間と目の前で仲良くなっていくことに、ヤダヤダと駄々をこねているだけ。
それをハチは「ずるい」と言うが、何の事はなく、次郎の立場で見ると、何もズルくはなかった。単なる幼稚な考えなだけなのだから。

ハチは早い段階で自身の性癖を分かっていたし、馳男にトキメキを感じたし、そして馳男の視線の先に気付き――と、3人の中では1番細い光に希望を見出した男なのではないかなと思う。
だからこそ、どんな手を使ってでも馳男のココロの中に潜り込もうとしたんだろう、と。
それが最初は恋じゃなくたっていい。
ただ、気になるようにさせるだけでいい。
それさえできれば、あとはこっちのもの。
どう考えたって、もう最初から勝負は見えていたのかもしれない。

馳男は次郎に彼女が出来て、いやで、焦って、振り切ってでも本当は自分の場所を取り戻したかった。
ハチは、ただひたすら静かに静かに、馳男の気持ちの中に自分を沁み込ませて、僅かな希望を持ち続けた。

心がちりちりして熱くなるのも、燃えるのも焦がれるのも散るのもいいけれど。
地に足つけて、両手広げて堕ちて来るのを待つ。
そんなのも恋なのだと、改めて気付く1冊。

体の関係から始まった馳男とハチだけれど、改めて彼を見た時に感じた
「恥ずかしい」
こそ、彼に堕ちた証拠なのだと思う。

自分だけじゃなく、相手を自然と思い、会いたくなること。
どれが愛で恋で友情か。
『三角関係』という言葉は私自身の中ではちょっと当てはまらない言葉かな、としっくりは来なかったのだけれど、それすら吹き飛ばす余韻に頭がぼうっとします。

正直、萌えとは違うのだけれど。
読めば読むほど言葉では言い表せられない気持ちに包まれました。
神以外、考えられません。

16

崩れそうで崩れない、微妙なバランス感覚が絶妙

◆あらすじ◆

馳男(表紙絵)・ハチ・次郎・脇田のヤンキーDK4人組。悪事も遊びもいつもつるんでたのに、或る時次郎に彼女が出来て、馳男の心に、次郎を奪われたという嫉妬心がふつふつと…
これは、恋?――
そんな馳男の心の隙間を突いて、なし崩し的にセフレな関係に持ち込むハチ。
実はゲイのハチは、馳男を狙ってた??
次郎の気を引きたくて、ハチとの関係を見せつける馳男、利用されてるのを知りつつ、それを逆手に取って馳男を絡めとろうとするハチ、馳男とハチの関係が面白くない次郎…
三角関係のようで、そうでないような?
友情と恋の境目を右往左往する、セイシュンの三つ巴バトル。

◆レビュー◆

男同士で友情と恋の境目を右往左往?ンなわけあるかい!!…と、一歩外界に出ればサンンドバッグ状態にされて即死確実なところですが、腐界ではDKの友情はボーイズラブと当然に地続き。
その境目地帯では日々紛争が繰り広げられているわけです。
腐女子の妄想と笑うなかれ。これが意外にリアリティーたっぷりに描かれています。

悪友4人組の話ですが、脇田は名前の通りのモブキャラ(ワキだーw)なので、実質はハチ・馳男・次郎の3人の物語。
3人は、ハチと次郎で馳男を取り合う三角関係。
ただ、ノンケの次郎が馳男に求めているのは友達。ハチが馳男に、馳男が次郎に求めているのは恋人。
つまり恋愛という切り口で見れば三角関係は不成立で、ハチも馳男も片思い同士というわけです。
傷ついた二人が、傷を舐め合い、利用し合い、傷つけあっていくうち、いつしか同情なのか妥協なのかはたまたこれが愛なのか?な感情が、二人を結び付けていきます。

まだ自分のセクシャリティーにはっきりした自覚がなく、自分の気持ちに戸惑っている馳男を、自分のほうへと巧妙に絡めとっていくハチ。
高校生らしくない冷静さと、何を考えてるのか分からないチャラけた雰囲気で、最初は感情移入しにくいキャラなんですが、彼の過去の失恋の回想シーンを読んだ後、ハチに対する見方が変わった気がします。
好きな相手が、自分を決して恋愛対象として見ることはないと悟った瞬間も、相手に笑顔を見せるハチ。
いつも笑ってるハチの内面の苦しみが、このシーンでさらっと表現されているのがイイ。

なんだろう? すごく完成度が高いとか、そういう良さとはちょっと違うんですよね。
でも、馳男・ハチ・次郎の、微妙な心理が、少し混沌とした部分を残したまま淡々と描かれていく中に、すごくリアリティーを感じる。
整理されすぎてない構成が、逆に生々しくて。

微妙に微妙が重なり合って、辛くも「絶妙」を作り上げてるような…そういう危ういバランスの上に成立している絶妙感が、センシティブなテーマともとても相性がいい気がします。

馳男の次郎に対する恋は叶わなかったけど、馳男が失恋したことで、ハチの恋は成就する――ハッピーエンドだけど、その裏に苦い喪失感もこびりついてる、表も裏もある描き方。
馳男のハチへの気持ちは、妥協なのか同情なのか、愛なのか性欲なのか――白黒渾然一体なまま終わる(*)辺りが、未完成な高校生の物語らしくて好きです。

でも、何よりも好きなのは、馳男のルックス!
切れ長の眼に薄い唇の、酷薄そうな顔立ちの馳男が受けで、ボブで可愛い系のハチが攻めというバランスも凄くイイ。
やっぱり黒髪受けは最高です(*゜∀゜)=3!!

*多分シビトさん的にはちゃんと愛に変わってる綺麗な終わり方なんだと思いますが、個人的に疑問符が残ったので…

7

これが萌えってやつか…

シビトさんのなんともいえない感じ、あの独特の世界観が続き物で読めます!
好きとか嫌いとかそういう言葉じゃ表現できないことをじわじわ読めます。
三角関係なんだけどわかりにくい、高校生だけどカラッとしない。
でもそれがすごく癖になる作品です!
好き嫌いのわかれそうな作品でもあるのかな…

受けとか攻めとかそういうわかりやすい目印がないんですよね(挿入でわかりますがw)
その関係性にも魅力を感じます。
どろどろしてはいるんだけど、BLだからかそこまで重くない。
そして最後はハッピーエンド(とは違うかな?でも暗い終わりじゃないんです)のが良い。

なかなかうまくいかなくて悩んでる馳男(主人公)がすき。
ハチ(攻)がいて良かったね~…って私は思います。

5

三角関係

恋とか愛とかでなく、惰性。
そんなものから始まった三角関係のお話です……ハチ始め苦手なタイプかと思いきやそんなことなかった!
ゲイカップルとリア充。
青春時代において好きだから付き合うとかって凄くナチュラルなことなのに、難しいと感じてしまうそんな登場人物達のトライアングル。
馳男のビジュアルすげー好き~次郎が結婚か…そうか…と馳男目線で読んでしまったのでした。
社会に出たらハチすげーイケメンになってそう…どきどき。
女子には踏み入れられない絶妙なラインが描かれていて、シビトさんらしい青春の描き方だなあって思いました。
描写だったり言葉の選び方が少し小難しいようにも思うんですが、ごちゃごちゃした心の内側にぴったりと寄り添っててその独特の小難しさが凄く好きです。

5

脇田くんの扱いひどくないですか?

オンブルーでラストだけ読んでたので今回全体読んで切なくなりました。
幼馴染、友達、親友、初恋。
最後まで、親友。彼女よりも強い絆で彼女より気やすい関係で。
ハチだからこそ幸せになれるんじゃないかなぁ?ハチだからこそ親友でいられるんじゃないかな?
ハチだからこそ現実を受けいられたんじゃないかな?
ハチがいなかったらもっと壊れたかもしれないし脇田くんの出番もあったやもしれない!
ノンケとの恋愛はこんなに辛いんだぁと初めて認識させられたお話でした。

あとひとみちゃんよりハチと朝比奈が綺麗ってどーゆーこと?(笑)
脇田くんとひとみちゃんの扱いがツボでした。


4

ドロリと昼ドラの様な。執着と、恋と。

まずは装丁惚れでした。
on BLUEっぽい、アート系の装丁。
この装丁とタイトルで、
あらすじ読まなくても大体シリアス系だろうな…
と予測がつくこの感じ…。
その印象に違わず、痛かったです。

シビトさん、短編をチョイ読みしたときに、
どーにもこーにもキャラが合わなくて、
以来避けてきました。
が、装丁惚れしてしまったのと
on BLUEへの期待があって挑戦。
私の好きな高校生・同級生モノなのに、
キャラの愛情表現や独占欲が微妙に屈折してるがゆえに、
受ける印象は、「萌え」とはやっぱり違った。

「親友が好きだけど、親友に彼女が出来て
 傷心の俺に近づく友人」
これだけ見たらBLの王道感を感じるんですが、
主要人物3人が冷めてるようで粘着質で。
すごくドロリとしている。

物語のモノローグの話者は
この主要人物3人を行き来するけど、
意外と次郎のモノローグが多く、
一般ノンケ男子はこんな感じなのかなぁと
思ってしまいました。
「きれい」と言いながらも、
無恥さゆえに蝶の胴体をつまみつぶしてしまう
小学生の様な残酷さがある。
そこに読者として苛々してしまうのは
仕方ないことなんだろうな。

一方、ハチは軽く見せてるけど、
その軽さは過去のトラウマ的なもので身に付けた
ゲイとして生きるための処世術のようなもんだと
分かった時はちょっとせつなかった。
ただ、馳男への思いは真っ直ぐなんだけど、
途中途中に入り込む、企みのような笑い顔は
どうしても個人的には好きじゃなかった。
心の隙間に…って喪黒かよ!ってちょっと思った(笑)。

んで馳男は…ずっと悶々としながらも
ハチとセックスするのは彼女と自分を重ねるからで。
自分の中の「オンナ」の部分の自覚は
行動の後からやってくる。
自覚への流れは分かるんだけど、
読みながら「メス」っていうキーワードが
なんだか自分は引っかかっちゃった。
本能っていう意味ではこれでいいんだと思うんだけど、
男子高校生が使うかなぁという疑問と、
無理矢理痛そうにしてるように聞こえてしまった。
これは単に自分の嗜好と合致するか否かの
問題だと思うけども。

三角関係萌えならハマりそう。
でも前情報皆無だったら、途中まで本当に
どっちとくっつくのか予想がつきづらいです。
キャラの行動も嫉妬でちょっと
歪んじゃってるから余計に。

BONUS TRACKで、馳男なりの愛情が分かったのは
切な甘系好きな自分としてはホッとしました。


4

報われたい

前情報をあまり入れず、帯やあらすじもさほど読まずに手に取ったのでまさかこんな展開になるとは思いませんでした。
全体的に漂う物悲しい雰囲気はど真ん中ストレートでしたが、個人的な萌えの微妙なラインをさまよいましたので中立。
ハマるかたはどハマりすると思います。三角関係、学生、シリアス、これだけでもう切ない感じがプンプンしますのに更に肉体関係まで!!
カンの良い方なら、ハチとくっつくことを予見できたのだろうと思いますが、私は「でもさとみちゃんより馳男が良いってことに次郎も気が付くでしょう」とBL脳全開で読んでおりましたので、COUNT.4の結末に驚いてそこからもうどうなるんだと。やきもきしておりました。

次郎が一番子供だと思います。恋愛も友達も失いたくない、どちらも大切、しかも馳男が誰かに取られるのもヤだ、馳男の一番の親友でありたい。
気持ちは分からないでもない、けど馳男には『次郎=親友』という感情よりも『次郎=好きな人』が植わっているのだから……難しいんですよね。
次郎はそんなこと知らないし分からないし、またこれ鈍感だから気がつくこともない。馳男自身も次郎に気付かれたいとも思っていないから、構わないんだろうけどどこまでも寂しくなりました。
次郎の独占欲は友達としての独占欲。昔から悪いこといっぱいしてきた腐れ縁の一番でありたい独占欲。
それは決して恋愛とイコールではないんですよね。読み返せば、次郎が『馳男』と『さとみちゃん』を天秤に掛けてるところはなかったから、結局次郎のなかで、それだけ独占欲を出しても『さとみちゃん』が一番には変わりなかったわけで。だからこそ、馳男が沈んでゆく。馳男の言う、「俺の場所を簡単に奪った」が沁みます。
馳男の独占欲は、親友としてももちろんそうだし、出来うるならばなにもかもの一番でありたかったのかなと思いました。恋人としてまでは望まなくとも、それでも選んで欲しかったのかな、と。結局、キスされることもなければ抱いてもらえもせず…。悲しすぎます寂しすぎます。次郎のばかちん! でも憎みきれない次郎! 九九もできないおばかだけど、子供だけど、馳男が思いを寄せた理由も分かるというか、悪い奴じゃないし、だからいいのだけども…!

馳男は、次郎の前ではいくらでも自分自身を偽れる。どれだけども嘘をつける。それは次郎に気が付かれないために、本心を隠すために、とても簡単に仮面をかぶれる。
けれどハチの前では何も隠さなくてよかった。ハナっから楽な気持ちでいられた。
そここそが、馳男がハチに対して『はじめられる』ワケだったのでしょうか。
肉体関係で情が生まれたというよりも、求められることを心地よく思えてきた。それが当たり前なのだけど、あまりに不毛な期間が、読者には知らないところで長いことあったのかなぁと感じました。だからこそ似たもの同士。
ハチは無条件で馳男を受け入れてくれる、ハチもまた不毛なときが長くて、結ばれるべくしてこの二人は結ばれたのかなと。きっとハチは、馳男が次郎を想うことで付いた心の傷を、優しく癒してくれるといいな。

想像していた結末とは違ったのですが、それでもFINAL COUNTの終わり、数ページに心が持っていかれました。ふたりはようやくここから始まれるのか~と、少しホッとしました。
そして描き下ろしで安心!よかった~!ちゃんとハチのことを想っていることに安心!!

6

嫉妬の交差

真っ先に目に飛び込んでくるタイトルと、独特の絵柄で描かれた人物。すっきりとシンプルな表紙に銀色の帯。
装丁に一目惚れでした。それがシビト先生の作品だと判った瞬間、気になって仕方が無かったのですが、購入するかは迷いました。今までの短編集で、面白いと思うことはあれど「萌え」を感じたことが無かったからです。

ですが今回は自分の直感を信じて正解でした。とても良かったです。

幼なじみに彼女ができ、それに嫉妬する主人公に気付いた友人が「なぐさめてやろう」と押し倒してきて…というよくある(?)設定なのですが、それ以上に予測のつかない展開と魅力的なキャラクターが、本書を「ありがち」で終わらせていません。
独占欲や狡さを通して三角関係は変化し、主人公は自分の「本性」に気付きます。その過程がゆっくり丁寧に描かれているので、無理なく登場人物の感情の揺れや変化を感じ取ることができました。

また、先生は男子の何気ないやり取りを描くのがとても上手い。ヘラヘラしててバカっぽくて、本人たちでさえすぐ忘れてしまうような、くだらない会話や距離感。私たち女子には絶対知りえない空間を、そしてそこから生まれる萌えを、見事に描き出してくれています。
この憧れにも似たうずうずした気持ち。次郎の彼女のさとみちゃんが「いいなあ」と繰り返すのもわかる気がします。

シビト先生自身が「今一番萌えると思っている話を素直に」と仰っているように、この作品は先生の真骨頂だと思います。そして先生が力を生かしきれるのも、短編ではなく長編なのではないかと感じました。
またひとり、先が楽しみな作家さんが増えました。on BLUEでの次回作にも期待しています。

12

三角関係が魅せる友情のボーダーライン

よく、友達同士の男子がつるんでワイワイしている姿を見て萌えるとか、妄想するとか口にすることがあるのですが、
単行本の後書きなどで作者さんが妄想を巡らせる話を書かれていらしたりしいてる、この男子の友情というものへの萌えと妄想の具現化した作品。
友情のボーダーラインは一体どこにあるのか?
馳男、次郎、ハチ、の三角関係を通してグサリと心に突き刺さる話でした。
毎号毎号読んでいる時、ハラハラしながら見守ったこの関係。
結末は、意外にもハッピーエンド(シビト流)そしてシビト作品といえば”ヤンデレ”ではありますが、少し違う方向性のものだったと思います。
ただ、切なくて、ちょっぴり痛いです。

小学校からずっと一緒につるんで来た親友の次郎と馳男に、中学校に入りハチと脇田が加わり、高校に入っても4人は友達として仲良くやってきた・・・はず。
その均衡が崩れるのは、次郎に彼女が出来たこと。
今まで一緒に過ごした時間が、彼女との時間に取られてしまう。
普通なら、「お前いいな~」とか見守る気持ちだったり、冷やかしたり、そういうものだったはずなのに、口と上辺ではそういう事は出来ても、馳男の心には、次郎を奪われた無意識の嫉妬が。
その馳男に接近するのがハチ。
何となくキスをして、何となく体の関係に発展して。
でも、友達だ。
馳男を中心にして、ハチ、次郎、それぞれが語られ、そして馳男は認識するのです。
自分は、彼女になりたかった…曰く「俺はメスだ」

ハチは元々男性を好きな性癖を自覚している。
だからこそ、馳男の次郎を見る目と態度で彼が次郎を好きなのを見抜いている。
自分が過去体験してきた表情をするから。そして似たもの同士と思うのです。
彼も独占欲を持っているが、それを友情でうまく中和させて馳男を自分のモノにしようと、時に突き放すように、時に挑発するように、馳男を導いていくのです。

次郎も彼女が出来た事で、親友の馳男が遠慮して今までのように付き合えないのを不満に思っている。
彼も独占欲をもっているが、ハチと完全に違うのは、彼のは子供っぽさの残ったあくまでも友情の独占欲。
ハチと馳男が仲が良いことに嫉妬して、急に馳男に執着を見せるがキスはできない。
やっぱり「友情」なのだ。

この二人によって、はっきりと馳男は自分が次郎に抱いていた感情が何だったかを認識するのです。
次郎の彼女が何度も「男子の友情っていいな」と言っているが、恋人が出来ると友情が壊れてしまうことが女子には間々ある、ということの比較の言葉だと思うが、
男子だって女子と変わらないのです。
もし、そこに友情意外のものが何か存在していたら・・・
ハチにキスをされても平気で、自分から仕掛けるくらいだった馳男。
セックスも嫌悪感もなく、してしまっていた理由は?
行為の最中そこに何を見ていたから出来たのか?
そこに答えはあったのです。

連載中、ひょっとしてハチはアテ馬キャラで終わるんじゃないだろうか?と思っていましたが、そこも意外な展開でした!
馳男の気持ちが痛いほど伝わり、ハチの気持ちも伝わり、友情と愛情のボーダーラインを実に如実に表現していました。

今まで短編や、シリーズ展開などの単発が多かったシビトさんの初長編連載。
ガッツリと取り組まれたこの作品は、他の作家さん達の高校生を描いた数々の恋愛モノとは一味もふた味も違う作品だったと思われます。
以前、インタビューで首のラインを何度もなぞる為に真っ黒になってしまうという話題に触れられていましたが、この作品ではそれが少なくなっているように見受けられます。
絵柄的に、ストーリー的にも決して突き抜けた明るさがあるわけではないので、好みの別れる作家さんではありますが、人の心に潜む真実を描かせたらぬきんでている作家さんだと思います。
「神」を付けたいくらいの萌×2評価です!!

8

これは、恋か、愛か、友情か、同情か・・・

恋に溺れるというよりは、
自分の中にある、自分でも理解できず制御もできない感情に溺れる・・・そんなお話。
恋? 独占欲? 愛? 嫉妬? 友情? 同情? 単なる欲求?


中学からの仲良し4人組のヤンキー
馳男、次郎、ハチ、脇田。
中でも、主人公の馳男と次郎は小学校からの幼なじみで、特に仲良し。
(ヤンキーと言っても、ちょっとケンカとか万引きとか、そんな感じです)

いつまでも続くと思っていた心地よい関係は、
次郎に彼女ができたことで突然バランスが崩れた。


次郎の隣りは、馳男ではなく次郎の彼女の場所に。
寂しさを感じる馳男の心に急に近づいてきたのが、仲良し4人組のひとり、ハチ。
突然のキス、そしてセックス。

彼女ができた次郎は、
今まで自分を一番にしてくれていた馳男がハチと仲良くなりだして、
ふたりがセックスしているのまで目撃して、
馳男と自分との関係が変化していくことに焦る。
彼女はかわいくて好き、でも馳男とも変わらずにいたい・・・

そんな次郎の気を引きたくて、馳男はハチに本気なフリをする。

でも実は、ハチこそが内に秘めた想いを持っている。
だって世の中は、本心は隠しうまくやったもん勝ちだから。
それはハチが、幼い時の経験から得た教訓、ゲイの自分が生きていくための教訓・・・


ハチとカラダを重ねつつ、気持ちは彼女のいる次郎に向く、馳男。
彼女がいるのに、馳男を失いたくなくてハチに嫉妬する、次郎。
本心を隠し、軽い感じで馳男に近づく、ハチ。

3人それぞれの想いと葛藤が描かれていて、
少しずつ隠していた本音も表れてきて、
この三角関係が、途中まで本当にどうなるのか分からないところが、面白い!
そして、
馳男が自分の中の内なる本性に気づいて変わっていく様子も、見ごたえアリ!


以前、恋煩シビトさんの本を読んだ時は、
絵は好みではないし、なんだか内容も難しくて、ちっとも良さが分からなかったのですが、
(ごめんなさい!!)
この本は引き込まれながら読みました。
滑らかじゃないシビトさんの絵はやっぱりちょっと苦手ですが、内容はすごく好きでした。
絵が好みだったら、迷わず神評価だったと思います。

7

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