……伊瀬君、今日は優しいね……

理系の恋文教室

rikei no koibumi kyoushitsu

理系の恋文教室
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神28
  • 萌×227
  • 萌14
  • 中立4
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
22
得点
294
評価数
79
平均
3.8 / 5
神率
35.4%
著者
海野幸 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
草間さかえ 
媒体
小説
出版社
二見書房
レーベル
シャレード文庫
発売日
価格
¥657(税抜)  
ISBN
9784576111551

あらすじ

大学開校以来の秀才にして、学校一イケメンの伊瀬君。
そんな彼がまさかの恋文を書いていることを知ってしまった春井教授は…。
毒舌ドSツン弟子×天然ドジッ子教授の超年の差ラブ!

容姿端麗・成績優秀。学内のあらゆる研究室から引く手あまたの伊瀬君が、なんの間違いか我が春井研究室、別名・
落ちこぼれの避難所にやってきた。おかげで雑用にもたつく私は伊瀬君に叱り飛ばされ、怯える日々を過ごしている。
しかしある日、彼が恋文を書いているのを偶然知ってしまった私は、その奇抜な文章につい突っ込みを入れてしまったのだ。
怖いはずの伊瀬君の初めて見た真剣な顔…。
「教えてください、春井先生」そう言われた私は、うっかり頷いてしまい――。

(出版社より)

表題作理系の恋文教室

入学時から優秀過ぎる才を見せ容姿も際立つ学生・伊瀬
理工学部経営工学科のさえないオヤジ教授48・春井

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数22

エモエモ師弟愛

おじさま受けはそんなに好きじゃない読者です。
こちら、タイトルと草間先生に惹かれて購入したのですが、
な!な!めちゃくちゃいいお話じゃないですか~~!!
これは、ジャンルを超えて小説好きに推したい逸品でした。

秀才(理系)×秀才(理系)のとことん感情を落とし込んで言語化するコミュニケーションが面白かったです。”恋”という抽象的な感情が、彼らにかかるとこんなにも曖昧さのないw具体的なイメージになるのか~と感心しまくり。文系の私にとって理系への憧れもあるんですけど、うらやましい理路整然…。さらに、理系の研究室で恋文の添削っていう設定がいいっ!!お手紙ってやっぱりいいですね。三段論法と対偶を駆使したラブレター…理系ふたりが”恋”について数学的に論じているエモさがたまりませんでした。印象的だった、”やらせてください”論議。”ふれる”と”さわる”…確かに、”さわる”のほうがいやらしい…!ただ、そんなこと考えたことなかったw 恋を知らない48歳が恋文を添削するっていうなんとも面白くて切ないシチュにほのぼのしちゃいました。

おじさんの一人称小説なのです。これがちょっと古風な情緒を醸し出していて、とてもよいです。エンタメっていうより文芸味が強い印象でした。相手の才能や研究へのリスペクトが思慕へと変わり…、純愛でしたね~。もう、プラトニックでも全然いいんだけど~ってうっかり思ってしまったくらい…後半がなかったら完全に師弟愛の文芸では!?って思いました。(先生、無自覚に伊瀬君頼りすぎで可愛い…”伊瀬君”言い過ぎw)

アラフィフはいろんな意味で厳しいかも…とか腐った脳みそが考えてしまったのですが、30や40のおじさんでなくて、むしろ50近いおじさまが主人公っていうのが、この設定に深みというか説得力をもたせている気がしました。海野先生、お見事です。

0

ふたりのウィットに富んだ会話が好き

受けの40代という設定と攻めとの年齢差に興味を持ち読んだ一冊。
語りは受けの一人称で、ほぼオッサン感はなく、文章だけなら箱入り無垢な清楚系少女のようだった。挿絵のおかげでどうにか“枯れ”に変換できるレベルの乙女思考。なんかずっと「伊勢君伊勢君」言ってたような……。言葉が上手くなくコミュ障気味で、いい年をして要領の悪すぎる生き方をしている。
対する攻めは全然デレないツン9割くらいの才能あふれる大学生。人の感情の機微に疎いのが欠点らしい。

とあるきっかけから伊勢の恋文を添削することになる春井。この序盤で繰り広げられる二人の会話がすごく好きだった。専門分野を理解した人同士だと当たり前のように通じる比喩や専門用語を交えた冗談を言い合うシーンにすごく萌えるので。後半は全然そうした会話がなくなってしまって残念だった。もっとたくさん聞きたかったな。

恋愛部分は特に伊勢が口説いたり何かをすることもなく、春井が一人でぐるぐるしていたように思う。ただ、春井が自覚していなくても少しずつ伊勢の魅力が伝わってくるし、執着攻めの片鱗を見せてくれたりして十分萌えられた。
特に良かったのが、研究内容と絡めて伊勢の段階的な変化を見せてくれたところ。春井視点では分からない春井が与えた伊勢への影響を、こうした形で見せてくるところに小説としての巧さを感じた。
ラストの恋文はベタだがやっぱり涙を誘う、良かった。

春井は最初は50近いならもっとしっかりしてくれと思っていたが、5年前の出来事を綺麗さっぱり忘れているキャラクターでなければならないということで、この年・このキャラ設定になったのかな?と勝手に思った。……違うかな。

BL的な萌えより、人を描き出すエピソードの組み立ての巧さに感心させられた印象が強い。他と比べると詰めの甘い恋文エピソードは最後に力技で締めて隙が無い。
文章も読みやすかったし、海野作品を追ってみたくなった。

2

ありだと思いました

あらすじは皆さん、書いて下さっているので省略。

オジサン受けどうかな~とずっと迷っていました。
表紙の絵も容赦のないオジサンで(ごめんなさい。。。)
ずっと避けていましたが、試しに読んでみました。

恋愛が進むのが遅いのでじれじれしていますが、どちらのキャラも魅力的で最後までサクッと読めました。
ある意味、予定調和、驚きも何もない展開ですが、それがまたよかったり。

オジサンはちゃんとオジサンで(笑)でも、可愛らしいところのある素敵な男性でした。
内面からにじみ出る可愛さっていいですよね。

オジサン受け、苦手な方にもお勧めします。

1

手紙はやはり特別

海野幸さんの作品は初読みです。BLニュース記事の紹介や粗筋を知り、「オヤジ受け」であることははっきり判っていて読み始めました。
ですから、冒頭、気弱でくたびれている春井先生と長身で綺麗で頭脳明晰優秀な伊瀬君が登場しただけで「キタキタ〜!」
そして伊瀬君がパソコンで書いているラブレター!
まあ……なんというか、単に「理系男子」の情緒のなさ、なんていうものでは括れないくらいどうしょもない文章なわけです。
そしてその文に驚いた春井に『どう書けばいいのか教えてください』。
そうか、そういう馴れ初めね!と思いながら読むわけですが、伊瀬君はあまりに優秀で、不器用で気弱な春井先生を見下しているような、哀れんでいるような。そしてそれを肌で感じている春井の方も伊瀬君に対してとても萎縮している。要するに全く恋愛的要素が入ってこない。
春井先生のモダモダした、気の弱い、頭のなかだけのグルグルがなんともまどろっこしい。
一方伊瀬君。こちらも何というか…。春井先生の、無機的なプログラムというものに対してヒトの心理を加味していくような人間性、とでも言うのかな、理系人間の中で一種異質とでも言うべき個性に惹かれているのであろうというのは何となくわかります。でも彼の表現もわかりづらい…。
ずれてずれまくる2人の姿に、これどうなんの?と不安を抱く頃、ようやく、ようやく!
伊瀬君の書いた手紙、凄く良かった…こんな手紙書けるじゃないの!やっぱり恋、なんですねー。
ただ!
ただ。Hシーン……………なくてもよかった…かも…禁句、でしょうか、ね。
オヤジのHだからイヤなんじゃないです。なんかこの2人の物語の新たな始まりは、あの手紙でよかったんじゃ…という気がしてならない。
前半、神寄りの「萌x2」でしたが、Hシーンはぼやかしても良かったような気がしますので「萌」にします。
草間さかえさんの描く春井先生は、これ以上ないくらいイメージぴったりです。

2

実はおっさん受って好みじゃないのだが…

大学の研究室、年齢差、恋文、美しく頭脳明晰な学生、薔薇の花

これだけの素材が集まっているから、読む前は純文学的なやつを想像していましたww
冴えないおっさんが受なのは知っていましたが、思わず何度もツッコミを入れちまいましたよ。ストーリーに対してではなく春井にね。
「おっさん、とりあえず落ち着け」とか
「おっさん、失恋で泣き崩れるって・・・乙女か!」とか
「おっさん、急に走ったら心臓止まるで!」とか。
でも、そんな春井が可愛らしく思えてしまうんですよ。

対する伊瀬は、容姿端麗で冷静沈着、おまけにさりげない優しさをみせるイケメンっぷり。ただ、やっぱりちょっとズレてる。冴えないおっさんに憧れるまではともかく、ガッツリ欲情するとは…。
両親や周りへのカミングアウト、相手がそう遠くない未来に先に老いてしまうということ、同性だから子供も作れず自分が介護するしかないということ、同じお墓に入れるかどうかもわからないこと。
頭の良い伊瀬が、これから先のことを考えられないわけじゃなかっただろうに、それでも春井じゃなきゃだめだったんだろうなぁ。一途ですね〜。
伊瀬が書き上げた恋文に泣いてしまいました。
1日でも長く彼らの幸せが続くよう願ってやみません。

3

ネタバレしないようにレビューしてみました

オッサン受もしくは超しっかり者の年下攻が好きなら間違いなく読んで損はないと思います。

春井先生は枯れたような青くさいような48歳なのか18歳なのかよくわからなくなるようなフニャフニャな小動物で、オッサン受けでも40後半は…とたじろぐ読者でもすんなり入れる間口の広い可愛さ。
対して伊瀬君は卒業直前までエロい!辛辣で、ストイックなのかピュアなのか両方なのかわからない言動が萌心に猛烈に刺さる!

確証のないままただ相手に触れるだけの場面が密やかにエロス溢れて濡れ場よりエロく、これもう告白し合ってエンドでもいいかなーと思えば一転、事件が起こって憔悴しきった先生を幸せにできるのは伊瀬君の腕の中だけ…!早くくっついて!(そしてベッドインして!)と思わされてしまう。

年の差、年上受けのエッセンスが余すことなく盛り込まれ、ひやひやし、ちょっと笑い、ほのぼのし、悪人がいない作品。

オッサン受好きでも48は…とお思いの方に全力でお勧めしたい一冊。

6

「・・・僕は貴方に、さわりたい」

多少 情緒面がずれているものの、言葉というものを感覚的に捉える力は優れている伊瀬君(もちろん頭脳も容姿も抜群)。
そんな彼が書いた奇抜な恋文がきっかけで物語はすすんで行きます。

伊瀬君が側にいると、春井先生は うっかり見とれていたり、うろたえて口をパクパクさせるだけだったり。
彼に論文を褒められれば、これは本物の伊瀬君ではなく妖怪なんじゃないの?と疑ったり、とにかく大変なのです。

神社で雨宿りをする事になった二人(先生が合宿先の裏山で遭難したせい)。
レビューを読み、恋文の相手が春井先生と知っていた私は、二人のやり取り(特に伊瀬君の言葉)が可愛らしくも、とても切なく涙が止まりませんでした。

成績優秀すぎる彼は 他の研究室からの誘いも多く、その方が伊瀬君の思う通りの研究ができるのでは との思いから、春井先生は 一番知名度もあり 研究内容も充実している所へ行った方が いいかもしれない…と、彼に告げてしまいます。そのシーンでの
「・・そんなに僕を、この研究室から出したいですか」
「――この場所で、僕は必要とされてないんですね」
「なんにせよ、貴方は僕を引き止めない」
淡々と言葉を継ぐ伊瀬君。
なかなか通じ合わない二人の心がもどかしい。

足繁く春井先生の研究室を訪れていた伊瀬君が顔を出さなくなり、彼に荷物を半分持ってもらいながら、叱責に似た助言を与えられながら何度 彼と研究室に至る長い廊下を一緒に歩いたかわからないと、思い返してみる先生。

物語は春井先生視点で語られていくので、どうしようもないくらい伊瀬君に惹かれているのに、だからこそ彼にだけは こんな報われない想いを抱えていることを知られたくない、伊瀬君に何もしてあげないことが、唯一自分にできることなのかもしれないと、先生が少しずつ彼と距離を置く様に、胸を締めつけられっぱなしでした。

二人が どういう結末を迎えるかは、是非 本編を読んで確かめて欲しいです。
先生の年齢が四十代と言う事を、実は知らずに読み始めたのですが、それを気にする間も与えない海野さんの文章は、やはり凄いなぁ 好きだなぁ。

評価は、萌×2にしようか迷いましたが、伊瀬君の心意気(本編ラストに語られる)に感動したのと、草間さんの描くメガネ男子の口絵が好き過ぎるので、神評価です!!

4

カワイイ50目前教授が大学生にオチる話

大学生×教授であっても、30代の見目麗しい教授じゃありません!物語のスタート時点では大学3年生×48歳さえない教授です。オヤジ否定派をすっぱり排除する思い切った設定に、冒頭部分ですでに拍手喝采でした。

丸ごと1冊表題作です。春井の目線で進みます。
春井(受け)教授は、優秀な大学生・伊瀬(攻め)に何かと叱られてばかり。そんなある日、伊瀬のパソコンに「好きです」の文字があり…。

理系男子の数学用語ラブレターに笑いました。バラの花という意外な情緒の後に呪いの手紙とか、緩急が面白かったです。春井が徐々に惹かれていく過程が自然で受け入れやすかったです。

さえないオヤジが格好良く変身することもなく、自覚はなかったけど周囲から見たら色っぽいというわけでもない。そのままのオヤジに一目惚れして6年がかりで人生設計を立てた伊勢は賞賛に値する男です!その惹かれたツボは理系男子じゃないと分からないかもしれませんけど(笑)

「四十を過ぎた」という風な描写が多々登場するのですが、実際は「五十近い」だろ、と心中でつっこみを入れて読んでいました。年齢で引いてしまうオトメを考慮なんでしょうか。春井の性格からしては年齢に抵抗しなさそうですし。そこがちょっと思い切り悪い気がして残念でした。

メガネ萌えでなくても萌えさせられてしまう、メガネ伝道師の草間さかえさんのメガネ×メガネのイラストも良いです。表紙、地味なオヤジだからバラでも飛ばしたのかと思えば、ちゃんと理由があったのにぐっと来ました!表紙めくってすぐのカラー挿し絵、男前ぶりに感嘆です。竹中先生のイラストも見たかったです!

さえない外見、でも中身はとろくて可愛いオヤジが、優秀で男前な大学生に落とされてしまう話です。コミカルで楽しい作品です。メガネが作品の小道具としてしっかりと使われていますので、メガネ萌えの方は必読です!私は、今まで読んだこの作者様の作品では一番好きな本です。

3

穏やかな年の差CP

オヤジ受に誘われて読んでみました!

冴えない春井先生の研究室にはなぜかイケメンで優秀な伊瀬くんがいる。
ある日先生は伊瀬くんのPCをのぞき見してしまった。画面に表示されていたのは恋文だ。
それを読んだのがバレて、その恋文の添削をお願いされてしまう…

春井先生はとても不器用な人。本当は才能があるのになかなかそれを発揮できずどこか自分でもあきらめ気味で、日々流されてる。
そんな先生の本当の良さをわかってる伊瀬は、春井先生をほっておけない。
だから言葉きつめに接してしまうが、それは先生を想ってのこと。
でも春井先生は伊瀬くんは自分のことを頼りないと、先生とは思ってくれてないからあまり「先生」呼んでくれないのだと思い込んでいる。

伊瀬くんのやさしさと想いが見えるのでとってももどかしいのですが、同年代としては先生の気持ちとか態度とか鈍感なところとか理解できなくもないです。
若干枯れすぎではありますが、冴えない中年が独身であればそんなものかもしれないと思うのです。

ゆるやかに本当にゆるやかに鈍感な先生も伊瀬くんの気持ちを考えたり、自分の気持ちに気づいていくのが読んでいて心地よかったです。

伊瀬くんの最後の「恋文」にはやられました。
こんな恋文もらいたい!
先生にもちろん伊瀬くんの気持ちは伝わります。

ふたりの気持ちがひとつになって、先に進もうとするとき、「やらせてください」で始まる恋文を書いたくせに無理強いをしない伊瀬くんはかわいく、それを今度は先生が促すような関係に微笑んでしまいます。

優柔不断な性格の先生は伊瀬くんに決めてと最後の決断をさせてしまいますが、こうなった責任は自分が取るからと力強く決意して、そして伊瀬くんに「手紙を書こう」と思うところが素敵です。

たぶんこれからたくさんの困難が待ち受けるだろう年の差CP 。
でも、きっと幸せになるでしょう♪

3

どきどきした~

全編にわたって、
激しく高ぶることがなく落ち着いた感じに進んでいくのかなって思って読み始めました。
先生のおとぼけっというか(天然なんだけど)
いくらなんでもさ~っと唸るくらいのキョドっぷり怯えっぷりがすごい。
自虐ぎみなくらい控えめで、
踏み越えないし、わきまえてるし、一応見栄もあるし、、
でも、だけど、と気になってしまう、そのとき。
恋していると気づいたときのドキドキ感は、すごかった。

それまでが、静かに心の内でイジイジしていた先生の感情が溢れようとするんだけど
それでもやっぱり先生は先生で、気持ちをまとめられなくって。
そんな先生をまんま受け止める伊瀬くんは「神か?」って思っちゃう。

伊瀬くんもかなり情緒面では不器用さを発揮してますが
それはそれで素直さの現れでもあって、面白かったです。

2

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