恋のまんなか

恋のまんなか
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神98
  • 萌×234
  • 萌24
  • 中立9
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
48
得点
707
評価数
171
平均
4.2 / 5
神率
57.3%
著者
松本ミーコハウス 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
ミリオンコミックス HertZ Series
発売日
価格
¥600(税抜)  
ISBN
9784813051602

あらすじ

「俺 あーゆーのいじめたくなんだよねー」
内気な優等生の一之瀬司は、密かに同級生の松原千歳に想いを寄せていた。だが、ある日、その気持ちを本人に見破られ、無理やり告白させられてしまう。松原のアパートに連れていかれた一之瀬は、言われるままに松原と体を重ね……
どうしようもないほどのさみしさを抱えた少年たちの行く先は?
出版社より

表題作恋のまんなか

一人暮らしのような父子家庭の高校生
母子家庭の優等生

その他の収録作品

  • 2匹の伴侶

レビュー投稿数48

ふるえた

数年前、美しい野菜①がピンとこなくてそのままだったのですが、今回松本先生作品をまとめて読もうと思いまして。

て、本作が初BL単行本ということにビックリしました。
もう、序盤、中盤、ラスト…つまり全部、ストーリー作り、漫画が上手すぎる!!(プロの方に失礼だけど)

セリフ少なく絵で読ませるのも好きだし、冒頭から引き込まれる作りが、力量なくしてできない技!とど素人が生意気ながらしびれました。

孤独な子同士がお互いを支えにするようになった、と言ってしまうとそれまでだけど。

その過程、見せ方がすばらしい。
ちょっと私の頭では言葉にできないですすみませんいつものことですが(涙)

一之瀬の目が大きすぎるのが、普通なら私は苦手な範囲なのですが、そうじゃなかった。
かわいいもの。
彼の性格、気持ちが目に表れている。

松原がいじめるのが好きと言っていたのが怖かったんですが(苦手)それは彼の家庭環境などからくるものだとわかり。

一之瀬のことを「怖い」と何度か言うのが、どんどん本気になっていって。
「俺はおまえなんかいなくても生きていける」「生きていける…」
は、そうじゃなくなっていることが怖くなっての言葉で。

そんな松原が素直に気持ちを吐露する場面は泣きそうになりました。
「お前の隣で寝なきゃよかった」
「お前が俺の頬をなでなきゃよかった」
「お前がキスしたいとか言わなきゃよかった」
「お前が…」
海辺で、初めて照れ顔になる。エモすぎ(涙)

「自白する犯罪者ってこういう気持ちなんだろうな」
が松原の気持ちがわかる!となったし、先生上手い!!となりました。

これラストどうなるの?メリバもありえる?とドキドキしたんですが、ハピエンでよかった〜。

でも、彼らの将来は大丈夫だろうかといらぬ心配をしたらば、ちゃんと描いて下さってて。
「2匹の伴侶」で大人の2人が同棲して何年も経っててらぶらぶで。2人とも安定しているみたいで(涙)
一之瀬母もしあわせそうでよかったよかった。

1

心の隙間が埋まる

先生の作品どれも好きですが、神作品と思ったのはこちら。この表紙からこの話が出てくるとは浅はかな自分には想像もできませんでした。傷を抱えた少年(二人ともガチで大変な境遇)が癒しあう話といえばベタだし、こういうテーマの作品はよくあると思うのですが感動しました。誰もが抱える心の隙間を静かに丁寧に埋めてくれるような感じと言いましょうか、癒されました。幸せの真髄をサラリと嫌味なく伝えてくれる。エッチもいい・・だんだん松原くんが一之瀬くんに包まれていく感じが伝わってきて癒されました。

0

それだけ

あとがきに書かれている松原の「いじわるでよわむし」ってのがまさにです。松本先生は冷静だ。

家庭に問題がある少年と少年の逃避行作品です。松原が徹底的なクズかと思いきや…序盤は徹底的なクズなんですけどね…きちんと救いを持たせる終わり方に安心する。色んな作家さんが描き、色んな帰着点をもつ逃避行作品ですけど、割と王道ながら松本先生の味がしっかりある1冊です。
松原が一之瀬を好きだと認められたこと、家に帰った一之瀬の身に起きた事件に対して、一ノ瀬が松原に助けを求めることができ、また松原がすぐに一之瀬を助けにいけたこと…これが逃避行によって得られたものだなと感じられる、良い構成でした。必要な時間だったんだ。
彼らが落ちきらなかったことがわかる「2匹の伴侶」も素敵です。彼らが松原のアパートの一階の男女のようになる可能性だってあるわけで、それが会計士と花屋のアルバイトとして生きていられることの尊さよ。

塾のアルバイトのドライさが、私は好きです。

1

ずっとまんなかにいて欲しいと願う

 表紙のイメージを裏切るような、なかなか重たいストーリーでした。ただし、読後に負の感情を引きずることはなく、どこかすっきりした気分になるような、不思議な作品でした。序盤で、秀才だけどぼっちの一之瀬の好意を利用して、彼を性処理道具のように扱い始める松原。俺様な劣等生と気の弱い優等生の、ちょっと痛い系の恋愛が始まるのかと思いきや、意外にも2人の関係性は早い段階で変化していきます。松原が一之瀬を自宅に招いた時から、2人はお互いの家庭環境など、普通他人には見せたくないと思うようなことを自然と共有する仲になっていくのです。

 父親に放任され、食べるものもなく、いつアパートを追い出されるか分からない松原。離婚してから精神を病んだ母親の、許容できる範囲の中でしか生きられなかった一之瀬。そんな環境に不平不満を並べたっておかしくないのに、2人ともそれらに対する愚痴や不安はほとんど口にしない。諦めて受け入れているからでしょうか。父親や母親への情が残っているからでしょうか。私には、子供の自分達にはどうせ足掻いたって何も解決できやしない、と2人が悟っているように見えました。

 確かに子供のできることなんてたかが知れている。でも、そんな2人が恋愛をして、この閉塞感溢れる生活から一瞬でも抜け出して、何でもできそう、どこへでも行けそうな気がすると思えたこと。2人の人生の中でかけがえのない経験になったんじゃないでしょうか。一之瀬が母親と対峙した時彼女を押し退けられたのは、松原という好きな人の存在が大きかったんじゃないかと思います。以前の彼なら抵抗しなかったような気もするんです。松原も動転せずに冷静に一之瀬に寄り添えたのは、同じく一之瀬に恋をしたからなんだと思います。閉ざされていた世界からようやく出てこれた子供達。若者らしく、これから恋愛を存分に楽しんで欲しいですね。

0

独特の世界観

B L初コミックスなんですね!
すばらしいです!!

お互いに親に恵まれない、松原と一之瀬。
いつも、熱っぽい目で自分を見ている一之瀬に苛立ちを感じる松原。
半ば無理やり告白させ、セフレ状態に。
松原のためなら、時間もお金も全てを投げ出す一之瀬。
そんな一之瀬を怖いという松原だが、おそらく一之瀬に見捨てられることに怯えているのだろうと思う。
お互い、親の愛に飢えている。
依存しあい、惹かれあっていく。

一之瀬が何故松原を好きなのかは分からないが、松原が一之瀬に惹かれていくのは分かります。
無償の愛情なのでしょう…
でも、松原はキチンと一之瀬の気持ちに応えます。
そして、大人になった2人の幸せそうな姿も描かれています。
それがとても嬉しかった。
危うく脆い2人が、ずっと一緒にいられたという事が分かって良かったと心底思いました。

シリアスだし痛い部分もあるけど、なんて清々しい読後なんでしょう。

0

可愛らしい絵柄を裏切る重々しさ

本の整理をしてたら久しぶりに発見して、読み返しました。
いじめっ子×いじめられっ子が好きな私のバイブルでもあります。
最初は攻めが感じ悪い嫌な男なんですが、段々と受けにハマっていって、最終的には力関係が逆転するというこの感じがたまらなく好きなんです。
そして可愛らしい絵柄に似つかわしくないこのダークさ。
自分のことをただただ好きでいてくれて受け入れてくれる存在、それがいなくなると思うと、それは恐いですよね。
ただ、当時はあまり感じなかったのですが、今読むと攻めの生い立ちが結構過酷で可哀想でした。。
書き下ろしでは2人のその後の穏やかな様子が見られてホッとできます。

0

途中までのゲスさに萎えましたが・・

途中までこれゲスいなぁ、もう読むのやめようかなぁなんて思ってました。
やりてぇ松原とそんな松原に恋してる一之瀬。
一之瀬が自分の事を好きなのをいい事に、ひたすら自分勝手な欲望をぶつける松原。
一之瀬は恋しているというよりも頭のネジが吹っ飛んじゃってるかのようで、へへ・・・と笑う顔もイかれ風味がキツくてちょっと不気味。
お互いの家庭環境が複雑で共依存、執着系って大好物なんですけど、それはお互いが愛し合っていてこそ。
愛が感じられないエロは嫌いなので途中までそこがダメでした。

「お前ちょっと怖いな」って何をしても許す一之瀬に対して言うセリフ。
どこまで許してくれるか試すって事は それだけ相手の深いところまで潜って試す必要がある訳で気がついたら絡め取られて溺れているかもしれない。
「僕を全部あげる」だなんて本気で言える人間、そりゃ怖いよ。

途中からキスをするようになり、好きだって言えと一之瀬に強要するようになってからは、一生他人の割り込む隙のない最強の二人が出来上がる過程を見させていただいたって感じです。
「俺はおまえなんかいなくても生きていける」と自分に言い聞かせているシーン、海岸での後悔まじりの告白シーンが松原の弱さや脆さが露呈していて胸打ちました。
途中までは萎え萎えでしたけど、全編通じて読むと、あんな経験をした二人は絶対死ぬまで離れないだろうな・・というものを感じる事ができて良かったです。

【2匹の伴侶】は甘々全開。もっと沢山読みたかったなぁ。

どうも絵柄が好みではないのでずっと手を出さなかったんだけど松本ミーコハウス先生作品。
最近絵柄がどーのこーの言ってはいけないと気づいて読んでみました、一之瀬の顔にやたら赤面斜線が入りまくっちゃうのだけは最後まで違和感・・・でした。

2

逃避行の先に見えたもの

子供の延長線上に大人があるという認識が薄く、まるで子供と大人の間に壁があって別の生き物のように捉えている所なんかは思春期の子供として凄くリアルだし、一之瀬も松原も自分が子供という事を理解している上での無責任さや未熟さ、言い訳に出来る狡さや無力さの体験がこの話の根底にあるのだと思いました。

一之瀬は松原の言う事を本当に何でも聞いていて、ただ好きだからという理由だけでは普通ならとっくに愛想尽かしてるだろう事もそれすら嬉しそうに受け入れているのを見ていると疑問を通り越して只々純粋に好きなんだなと思えて来ます。

そしてその純粋さに奇妙な違和感を感じてしまうのは何故なのでしょう。
純粋過ぎるが故に想いが強いというか、最初一之瀬が松原に抱いていた感情はおそらく憧れからくる「好き」だったと思います。
それが目の前に居て、触れてくれる。
どんな酷いセックスをされても嫌いにならない程純粋に好きなのです。
まさに恋は盲目といった感じ。

一之瀬の表情が本当によく物語っていて、笑える様な状況じゃないのに笑っている。
それが何か怖くてちょっと頭の弱い子なんじゃないかと思う程てす。

逃避行の始まり、電車で並んで座る二人。隣りで眠る松原。そして一之瀬のモノローグ。
『まるで天国に向かっているみたいに白かった─僕はこの空間を一生忘れないと思った』

朝の誰も居ない車両、柔らかい陽の光が窓から差し込んで真っ白に見えるあの感じ、分かるなぁ。
そこだけ異空間みたいな。

まるで世界にたった二人だけ取り残されたかの様な神聖な雰囲気で、とても印象的なシーンでした。
二人を乗せた白い箱は何処へ向かうのか···。

松原が一之瀬に言った「俺はおまえが怖いよ」という言葉。
自分の中で一之瀬の存在が大きくなってもう一之瀬を知らなかった頃(一人で居た頃)には戻れない、そうなるのが怖い、 という意味だと思っていたのですがどうもそれだけでは無い気がします。

何でも言う事を聞く、深みに嵌っても笑っている、そういう一之瀬の自分に対する気持ちの底の見えなさみたいな物もあるんじゃないかなぁと。

でももう怖いと思い始めた頃からすでに手放せなくなっていたんですよね。
それでもそれを認めたく無くて「おまえが居なくても生きていける」と言葉にする事で自分に言い聞かせる。
その姿が何だか弱々しく不安定で、本当の松原を見た気がしました。

帰ると決めた辺りからの海辺のシーン、松原がまるで憑き物が落ちたみたいにどこかすっきりして雰囲気が心持ち穏やかになったように見えるのは私だけでしょうか?
というか多分これが素の顔なんだろうな。

海辺の告白、松原からの「···好きだ」にこんなに泣かされるとは。
あんな酷いことばっかりして一之瀬を泣かせてたのを我慢して読んでた甲斐があったと言う物です。ホロリ。

でもここで終わりじゃありません。
夢の逃避行の代償が待っているんですね···。
「子供だし」を言い訳に見て見ぬふりをして家を出た代償、一之瀬の母親の暴走。
殺されかけ殺しかけヘビーな展開。まさに上げて落とします。

それでも夜が明ければ少し落ち着きを取り戻し、嵐の後の静けさの様な病院での母親の姿に、決して良い事では無いのに何故かホッとしたりして。

一之瀬は母親も自分もあんな事があったのにこんなに淡々としているものかと思う程普通で、もしかしたら泣き虫だけど本当は強い子なのかもしれません。

そして印象的なラストシーン。
病院の屋上かな?干されて風に揺れるシーツの波間に二人の姿が。
そこでの会話が本当に子供らしいと言うか、先の事は知らない分からない、今目の前にあるものが全て!と言わんばかり。
でもそれで良いのかもしれません。だって彼等はまだ子供だから。

そしてこれだけの物語を『それだけのことだった』で締め括るところが余韻を残していて素敵だと思いました。

1

気持ちが凝縮されたセリフに圧倒

読んでセリフだけでもすごくないですか。もちろん主人公を取り巻く環境、人間関係、10代の若者の先のみえない未来など、題材的には見たことがないわけでもない。しかし、この絡み合い具合が独特の世界観からにじみ出てくるのでしょう。。そこらの40代の不倫カップルにみせて説教(!?)したいくらいの、わ、こんなこと高校生が言えるのね。。
これでもBL初作品でいらっしゃるとは本当に驚き。美しい野菜でも確信をつく(といってSMの何をしってるかという私ですが)愛あるSM、、、わー初めて読んだ、気がしてました。杉本彩の映画とか、、、すいません、大家の名作もなんか私わかってなかったわ、そこらの官○小説じゃ気付なかったものがそこにあった気がしました。愛かな。。。
正直美しい野菜のときとか、表紙絵とかみたとき思ったのは今の主流に絵柄ではないな、という気がしていました。そこでスルーさせちゃいけない!!こちらは瑞々しい若者の、魅力色気も満載だと思います。最後の方は洗練されてる気がしました。いや、この方は読んでくとにじみ出てくる、こういう色気はほかにないなあと思う。

窮鼠はチーズの夢を見るも大好きなのですが、「渡る世間は鬼ばかり」的に語りつくすリアルな心情、(すみません、この文章いろんな作品がぼっとでてトっ散らかっています。)こちらはそぎ落としたセリフのパワーというか想いの力に圧倒されたいと思います。
「お前なんて知らなきゃよかった」

2

高校生の彼らだから・・・

 絵柄が自分的に圏外だったのでスルーしていた作家様だったのですが『美しい野菜』の評判が良くて、なんとなく購入してみたら大変面白く、一気に気になる作家様になったところ、こちらをお勧めしていただいたので購入しました。
 帯に書かれた「大丈夫、僕を全部あげるから」。全然大丈夫じゃない境遇なのに「大丈夫」って、恋ってすごい力を持っているんだな。そんな彼らの逃避行を、海辺の少年二人きりというシチュに憧れていたという松本ミーコハウス先生が描き切ったなぁという作品です。
 レビューが沢山あるので、今更私が書くこともあまりないのですが、一之瀬が松原を好きになった理由について・・・。松原が関係した年上女性を夢に見て「不幸な奴は不幸な奴に同情するんだ、だって同情したいから」というモノローグがあるのですが、一之瀬が松原を好きになったのは同情とか寂しさを感じ取った共感なんかじゃなく、ただ「好き」になったのだと感じました。女の子が男の子に恋するように・・・。一之瀬から見て松原は「地味にしていても目を惹く」男の子です。容姿に惹かれて見つめているうちに、その行動も全てが好ましく思えて好きになる。言葉も交わしたことのない「憧れ」。その「憧れ」がふいに自分の元にやってきたら、舞い上がってしまいますよね。何度してもHの度に恥ずかしがる一之瀬に、松原への強い憧れを感じました。
 松原にとっては多分最初は好奇心。きっと今までの彼女たちと変わらなかったと思う。でも一之瀬は彼女たちとは違っていた。ただ受け入れて、求められて、全てを肯定されて、一之瀬を自分の好きに扱っていた松原ですが、彼自身の思いが変わることで一之瀬も変わって行く、そうして辿りついた彼らのあたたかな『恋のまんなか』。
 読んでいる時に、主人公たちは高校生より中学生の方がいいと思っていました。義務教育期間で大人になるまでが永遠に思える時期と、大人への時間がすぐそこの任意の高校生活では閉塞感がまるで違うから、中学生の方がもっと刹那なほんの一瞬きらりと輝くような作品になるのになぁと感じていたのです。だけど最後まで読んで考えが変わりました。高校生の彼らだからこそ、破滅せず悲劇にならず、『恋のまんなか』に辿りつけたのだと思います。
 先生が憧れていた海辺に二人きりの告白シーン。涙、涙です!このシーンで『神』決定です。

2

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