不器用で純粋、もどかしくて甘い

恋の話がしたい

koi no hanashi ga shitai

恋の話がしたい
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神56
  • 萌×229
  • 萌28
  • 中立4
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
38
得点
484
評価数
123
平均
4 / 5
神率
45.5%
著者
ヤマシタトモコ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
レーベル
MARBLE COMICS
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784904101322

あらすじ

言うつもりのなかった「好き」
受け入れられると思わなかった「自分」
考えもしなかった「関係」
好きな相手と付き合うのが、こんなにも怖くて
幸せだなんて知らなかった――。

戸惑いながらもひたむきな恋愛を描いたシリーズ連作に
短編2本と描き下ろしを収録した最新刊コミックス!

表題作恋の話がしたい

28歳,天真爛漫で美成命な男
31歳,インテリアショップ店員

同時収録作品Re : hello

叔父さんの友人
夏実の母の弟

同時収録作品スパンク・スワンク!

デザイン会社社員
機器営業マン

同時収録作品フェブラリー・メッセンジャー

その他の収録作品

  • 昔の話はしたくない。
  • 間取りの話がしたい
  • Re : hello 叔父さんの好きだった人、とは
  • カバー下(postscript)

レビュー投稿数38

コメディ短編が好き

短編集。どのお話もおもしろかったです。
イルミナシオンに続きヤマシタ先生のすごさを感じています。
イルミナシオンでも出てきましたが「人を好きになることが悪いことなわけないじゃない」とか「わたしはあんまり恋というものに興味を持たなくなってしまった」というセリフが印象深いです。
あと「ピュアいのって笑われるような悪いことですか⁉︎」も残るセリフでした。

表題作。
美成がおネガで独りよがりなのは自分は恋愛できないと決めつけていたからで、それが恋によって変わり普通になり、覚えたことはたぶんもう忘れない…この変化がよかったです。
恋愛によって自分と世界と人生が変わり、日常になった恋の話がしたいというお話。

「Re:hello」
叔父さんの未送信メールが切なかった。
夏美を嫌な子に描かないのが好き。
夏美が送ってしまったメールが「まだすきだ。」ではなく「元気ですか?」なのがとても好き。


「フェブラリー・メッセンジャー」
かわいらしくておもしろくてすごく好きなお話でした。
「聖ヴァレンティヌスの使者」なのにサンタ帽がかわいいし(照れ隠しよね)
「乗れ」「とばすぜ」とメット被せてママチャリなのコントだし(照れ隠しよね)
ラストの「…なんとかの使者は?」「…辞職しました!」は笑いました。オチが効いている。
告白の流れなのにずっと照れてごまかしているのがかわおもろ〜です。

「スパンク・スワンク!」
こちらもおもしろくて好きでした。
カミングアウト、性癖の暴露の表現がおもしろい。
自覚ある人の言い分って興味深いんですよね。
特にできる営業マンがどⓂ︎でそれを客観的に人に話すのが最高です。
緊縛の練習をポットや人形でやるのもツボ。
開き直ってキレながら告白して歩み寄る流れがおもしろすぎました。

「昔の話はしたくない」の邑崎はやっぱりそうだったのね、遅かったね、気の毒ね、くらいの感想だったんですが。
世の中的には悲恋好きや不憫萌えが結構多いのかな〜と言う印象です。「Re:hello」の叔父さんについても同じく。

あとがき、今回もおもしろかったです。
先生のどこか冷めた視点が好きです。
「イベントごとが苦手」「記念日とか言い出すやつ、めんどくせえよ」に激しく同意でうれしくなりました。

こういうことあんまり書かない方がいいのかもだけど(未だにマナー的なことがわからなくてすみません)絵、特に切れ長な目元が吉田○生先生に似た印象を受け、吉田先生作品と読んでいた頃を思い出して切なくなることが結構ありました。

0

すっごい恋してて可愛かった

邑崎が独占欲があったとか告白したり、本を返す中にメモ入れてたり、終電逃したとか言って泊まろうとしたり、遠回しに何をやっても真川が真っ直ぐにそれを超えて行って美成には真川のしか見えないのが恋の話読んでるなってとても思えて面白い
電話のときは頑張ってたように見えるけど、やっぱり恋心はいいタイミングでズバリ言うのしかダメなのかも知れんね
やっぱり初めのリアクションからして邑崎はもう付き合ってるようなもんだと思ってたんだろうから、可哀想ではあるんだけど…やっぱ好きって言ってないのは難しいよね

美成と真川は付き合い始めの楽しいとこをすごく楽しんでて可愛くって良かった

0

なんかすごく好き

この作品、むかーし読んだときには全っ然良さが分かんなくて、話題の作者さんだけどハマれないな~と思ってました。でも何年か寝かせて再読したら、謎にすごく好きになっちゃって。なんだこれ神ですよ!

今見てもキャラの行動が唐突で、うん???ってなるところはあるんです。始まり方も1話飛ばした?ってとこからで。でも気付いたらこの空気がクセになってる感じ。メインキャラ3人が皆愛しい…。
年下彼氏のキラキラした勢いとか、臆病ゲイのもだもだとか、セフレの昔の泣ける話とか。この世界でキャラがしっかり生きてることに感動しそうになったり。
何気ないセリフとモノローグの重なり方がすんごく良くってじんわりキます。

同時収録の「Re:hello」は泣きました。

キャラが好きとかストーリーが好きとか、そういうのはもちろんあるけど神要素はそこじゃなくって、作品そのもの?空気?雰囲気?みたいな。上手く言葉にできませんけど、なんかすごく好き!ってなるやつです!

0

君は運命の人だから

dialogue
ただ恋をする日常を描いた作品だけど、その普通の恋をすることのときめきや切なさをぎゅっと凝縮したような幸福感溢れる作品。読むと頭の中でスピッツの歌が鳴り響きます。
割と低音な登場人物が多いけど、その低音動物の心が動く瞬間を描くのが上手いなあって。
まっ正面からまっさらな恋愛がしたくなるような佳作。大好きです。

Re:hello
短編なのだけど、ものすごく心に残る作品。
主人公の叔父にはいつまでも忘れられない男がいて、そんな彼とのデータが残っている古びた携帯を捨てられずにいて…という。
終わった恋愛は、でも他方にとっては終わってないことの切なさ。続きを望んでしまうけど、怖くて一歩が踏み出せない辛さ。
でももしかしたら…という。
これもたまらなく好き。
少ないページ数でこれだけ凝縮した物語って凄いです。

フェブラリー・メッセンジャーはお馬鹿な2人のコミカルで前向きな一編。
スパンク・スワンク!は、アブノーマル扱いされがちな性癖の人が普通に生きて普通に恋する話。この二編は作者の作品によく見る作風な気がします。

これらにプラスして、ボーナストラック的な書き下ろし超短編が3本入ってます。
その中では、
dialogueの裏話的な「昔の話はしたくない」がとても印象的。
結ばれる二人がいるということは時には結ばれなかった人間を生み出すんですよね。
その側の切なさを描くことで、作品が複層的になっている気がします。

0

恋の話が

ヤマシタトモコ先生の作品の中で、おそらく一番好きな1冊です。
会話のテンポがヤマシタトモコ節バリバリで、BL漫画でこんなに特徴ある人も珍しいってぐらいヤマシタトモコ。流れでレビュー書くと影響されちゃう。

◾︎表題
◾︎真川(ノンケ 年下)×美成(インテリアショップ店員)
久々に読み返したのですが、邑崎(美成の友人)のことがとにかく記憶に残っていまして、記憶ではラストシーン泣いていたと思っていたらそうではありませんでした。でも、私の解釈では彼は泣いていたんだな〜あるいは泣きたいけど、泣けないんだな。大人だから。大人の恋って辛い。
真川と美成の恋愛も非常に好きなのですが、邑崎のことばかり考えてしまうんだよ私は。この叶わなかった恋のことをさ!

同時収録作も珠玉の作品ばかりです。
「Re : hello」好きなんですけど、カバー下のあとがきに書かれてる情報は知りたくなかった。そういう解釈で読むのと全然違ってきちゃうよ。ご自身で仰ってますが、本編で出すか最後まで秘密にして欲しかった、そのレベルの設定は。

※電子書籍ひかり
カバー下有り、裏表紙無し

0

全ての腐女子は読むべきです

素晴らしかった!
いや、本当に!!

男同士だからこその悩みみたいなものが詰まった短編集です。
表題作のほか3編収録されており、プラス番外編です。

表題作はもちろんのこと、
その他の短編も素晴らしく切なくて涙が出ました。
特に気に入ったのは、「 Re:hello」です。
泣けたー
叔父に恋していた姪っ子目線で進む話なのですが、
切なさの極みでした。
描き下ろしで少し笑ってしまいましたが、
その先を想像させる素晴らしい作品だと思います。

全ての作品において三点リーダーなどの行間に意味があり、
とにかく会話劇のようなお話ばかりで感動しました。

0

1つひとつが印象深い恋の短編集

◆恋の話がしたい(表題作)
 雰囲気とモノローグと、2人のやり取りがとっても素敵な作品でした。自分が恋愛には向いてないと思い込んでいる美成。まさかの展開で好きになった年下の真川と両想いだったことが分かり、付き合うことになるのだけど、いろんな場面でついネガティブ思考を発揮してしまいます。その思考のせいで居酒屋に置き去りにされたりもした真川ですが、美成の行動は全部自分を好きだから、嫌われたくないからという理由であることをちゃんと理解していて、怒ったりせずに1つひとつ美成の考え方を変えさせようと根気良く言葉をかけ続けてくれます。いきなり全部変わることはできないけれど、こうやって相手に寄り添いながら2人なりに日常を過ごして、不安が生じるたび2人で解決していく。これが付き合うってことですよね。真川と恋の話がしたいという最後の美成のモノローグに、心がじんわり温かくなりました。

◆Re : hello
 女子視点で描かれるストーリーです。叔父に失恋した夏実は、叔父がずっと誰かを待っていることに気付いています。こっそり見てしまった叔父の古いケータイには、千葉という男から受信したメールと、叔父の未送信のメールがたくさん。当時彼がどんな気持ちでこの文章を打っていたのかな、と考えるとやりきれない思いになりました。千葉は最後まで登場することはないけれど、夏実がうっかりとってしまった行動に、叔父が彼のことを良くも悪くも清算できる日が来るかもと少し希望が持てた作品でした。

◆フェブラリー・メッセンジャー
 バレンタインも過ぎた17日の何でもない日に、バレンタインに託けて自分の気持ちを伝えようとする2人がすごく可愛かったです。特別なイベントの力を借りて、なかなか言えないことをポロっと言えないだろうか、なんて軽率に考えたっていいじゃない。大人になるとイベントから遠ざかる人も多くなると思いますが、そんな大人だってここぞという時は、イベントを最大限利用してやったらいい。今後を読みたいなぁと思うような可愛いカップルでした。

0

その感じ、ラブい

1冊の半分くらいを占める表題作と、短編3作、描き下ろしです。

「恋の話がしたい」
ヤマシタトモコ作品、1つだけあげるなら?と言われたら、この一編のような気がする。
恋愛も、本当の意味で誰かと付き合ったこともないネガティブな男の、初めてたち。
初めての告白、
初めての承諾、
初めてのデート、
初めての好きな相手との行為、
初めての絵文字…
もしも、もしも、もしも、と怯えていた、構えてた。だけど呆気ないほど普通に空気は流れて。
あばら骨が痛くなるほど心臓はドキドキするけど、なんでもない普通の話、それが恋の話になる、
それが恋愛なんだろうね…
考えすぎる美成(みなり)はともかく、明るく自然な真川(しんかわ)がすごくいい。
2人で一緒にお蕎麦を茹でる後ろ姿の自然さがいい。

「Re : hello レスポンス・トゥ・ハロー」
わざとじゃないんだろうけど、人の携帯を見るな…って思うな。まして未送信メールを送ってしまうとは…!
ヤマシタ作品の特徴の1つといえる、側面から心象風景や状況を浮かび上がらせる手法で叔父さんの抱える苦悩や寂しさが露わになる。
私は、このメールが届かない方が叔父さんは幸せだと思う。

「フェブラリー・メッセンジャー」
ヘタレ男子のヴァレンタインデー。
板角の海老せんべい(?)をサンタ姿でデリバリーなんて…可愛いのか?可愛いんだね。

「スパンク・スワンク!」
秘密のゲイと、秘密のマゾヒスト。
人はみんな何かしらのマイノリティなのだ。
ところで、最後のページの末友さんの顔が西田○ガシさんの描くリーマンさんぽい。

「昔の話はしたくない。」
美成をゲイの道に導いた同級生でセフレの邑崎。彼は本当は美成が好きだったのでしょう。
美成は真川とうまくいって、邑崎は邪険に扱われる。でも同情はしない。伝えなかったから伝わらなかったのだから。邑崎も話ができる恋をしてください。

「間取りの話をしたい」
「Re : hello」
ギャグで落とす描き下ろし。シリアス度は和らぎますね。

さて、カバー下に作者様の作品へのコメントが載っているのですが、私の読み違い・認識のズレならごめんなさい。ヤマシタさんてあんまり自分の作品好きじゃないのかな、って感じた。モチーフへの冷ややかな目線や、仕上がった作品を突き放し冷笑してるような…

0

日常生活BL

表題作がだいすきです。
あたりまえの生活があって、そこにそっと存在する恋の話という感じでしょうか。設定はもとより小物や服装、台詞やなんかにいちいちセンスを感じます。一話を「dialog」として区切るのにも、タイトルにつながるふたりのあり方を匂わせるところが素敵。
どこか淡白で、穏やかでとくべつなことはなくても、水面下では静かに熱い感情が行き交っている。ヤマシタトモコさんのお話のなかではわりとライトな方なので、はじめてヤマシタ作品にふれるならぜひこれをおすすめします。

2

ヤマシタ作品のリアルさに、思考がループする。

表紙に流れる雰囲気が物語にも流れている、
そんなお話でした。
そしてすごく絶妙なタイトル。
読んだらそれが幸せから来る
欲なのだと分かるけれど、
じんわりと切なさも持っているような、
そんな響きな気がします。


表題作「恋の話がしたい」。
優しい、っていうほど優しすぎることはない。
でも幸せな日常で。
あまあま、ってほど甘過ぎることはない。
でも本人たちのテレっぷりは微笑ましく。
せつない、ことは切ないけれど、
落ち着くのは平和な日常。
このお話はなんだかそんな感じで、
他のヤマシタトモコ作品にも思うのだけれど、
不思議な読後感です。
そしてまるまる一冊ふたりの話ではないし、
日常風景が主なのに
ものすごく密度が濃いと言うか、
しっかりふたりも邑崎も印象に残っている。

メールの絵文字の話とか、
もし他の作家さんが描いてたら、
きっともっと「萌え!」とかなってた気がするな。
でもそうならないのは、ヤマシタさんが描く世界が
すごくリアルで現実感があるからなんだろう。 

そして、描き下ろしの「昔の話はしたくない」は
表題作のスピンオフ的ショート。
短ページなのに「うわ…」と思いました。
ヤマシタさんの痛い引き出しだ…と。
邑崎のラストのモノローグが
本編の幸せな美成のモノローグと
対比してダブり、余計に苦しい。


実はヤマシタトモコさん作品、
そんなに自分の趣味に
合うテイストではないのです。
コミカル・シュール、
もしくは
人の心を抉りまくる痛さ、
どっちかを強く感じすぎてしまうから。
んでどっち中心の話でも、
ちょっとずつ別のどっちかの要素が入ってる。
(痛い系にコミカル・シュールな一面が入ってたり、
 コミカル・シュール系に抉るような
エピや要素が入ってたり)
だからものすごく、人間が人間臭くて
そんな人間の汚い部分を見るのがすごく苦しいから
少し苦手なんだろうなと自分では思ってる。
全体的に、世の中や人間を、
引いて冷めた目で見ている感じがする…というか。
でも人間は嫌いになれない、という感じというか。
とにかく私にとっては難しい作家さんなのです。


同時収録の「Re:hello」は
痛くて私、泣きました。
女の子の視点からの話だし、
BLっていうよりも大人が読む漫画って感じで
ココから広げて小説とか書けちゃいそうな感じです。
描き下ろしのほうはちょいクスッとなったけど、
別にきっと、オチをつけたいわけじゃ
ないんだと思ってる。
人を多角的に見ていろんな細かなエピソードも
入れてるような気がする、ヤマシタさんは。
それが見てる方にはシュールに見えたりするけど、
案外人ってそんなもんで。
シリアスな話をした直後に煩悩にまみれてたり、
涼しげな顔してものすごい妄想してたり。
だからそういうのを見て、
なんか現実を突きつけられたように感じるから
私は少し苦手なんだろうな。
目ェ逸らすなよ、って言われてるような
息苦しさを感じるのです。
ああ、そんな思考のループに陥るのだ、
彼女の作品を読むと。

他2作はコミカル色が強く
そんなに好みではなかったですが、
やっぱり人間臭さと欲がからみあってて
ヤマシタさんの作品の雰囲気は、きっと誰も
真似できないだろうなという気持ちにさせられる。


シュール要素に耐性があって、
甘いだけじゃない、
現実味のある作品が好きな方にオススメです。
好きな世界観が一致すれば
かなりハマるのではないかな。


ループしながらいつも行きつく結論は、
この方、すごく才能と言うか、
引力のある方だなということ。

6

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