恋の心に黒い羽

koi no kokoro ni kuroi hane

恋の心に黒い羽
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神29
  • 萌×219
  • 萌15
  • 中立6
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
22
得点
272
評価数
73
平均
3.9 / 5
神率
39.7%
著者
ヤマシタトモコ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
東京漫画社
レーベル
MARBLE COMICS
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784904101056

あらすじ

ドMの二神(ふたかみ)は同僚の中頭(なかず)に恋心を抱いている。
好きという純粋な気持ちと、それを覆う汚れた性癖。
交錯する感情の狭間で引き出される二神の本心とは───。
表題作「恋の心に黒い羽」ほか、日常から生まれるドラマチックな瞬間を綴った6編のラブストーリー集。

表題作恋の心に黒い羽

ケーキ店店員
ケーキ店店員,ドM

同時収録作品ベイビー, ハートに釘

高校の同級生
高校生

同時収録作品イッツ マイ チョコレート

同僚
6人兄弟の長男,27才

同時収録作品悪党の歯

ヤクザ,余命わずか
パパの中学からの友人で部下

同時収録作品その火をこえてこい

高校生
高校生,図書委員

同時収録作品FOOL 4 U

中学からの友人
34才

同時収録作品フォトジェニク

デリヘルボーイ
デリヘルを呼んだ男

その他の収録作品

  • SHORT CUTS(4作品)
  • 悪童の歯
  • ONE 4 FOOL, FOOL 4 ONE.
  • カバー下作品コメント

レビュー投稿数22

ノーマル罵倒男とド変態の心の叫び

ヤマシタ先生の短編はいいですね〜。と毎作言ってしまいます。

表題作が好きでした。
女好きのドMがいきすぎてバイになったド変態と口が悪くつい罵ってしまうノーマルがパティシエで同僚という設定だけでもおもしろいのに。
それぞれの言い分がわかるし、なのにわかり合えないもどかしさ。
「二神」の名前はバイだからニがつくんですかね。性癖と感情が別という意味もありそう。そして性癖は神であると作者から言われているよう。
「中頭」は中(ノーマル)で理性的で理解したい人だから頭なのかなと思いました。

ニ神が自分を好きと言いながら罵られ欲情しにきていると感じる中頭わかります。プレイであって恋ではないだろうと感じてしまいますもんね。だからニ神の気持ちを知りたい。
ニ神は本当に中頭が好きだけど、好きになってもらえるわけないからと黒い羽を取ろうとはしない。傷つくことを恐れてできない。
中頭が悲しいのはニ神が言うように相手を傷つけて振るからというより、中頭がニ神のことを理解したいのに心を開いてくれずわかり合えないからだと感じました。
今後、本当に中頭にドSの羽が生えるかも知れない。そうすると2人は性癖でも感情でも理解し合えるのでは。ドSとドMで相性ピッタリ! なんて想像しちゃいました。

悪党の歯
もよかったです。ヤクザBL大好き。片思いでもいいんです。男の片思いは切なくていい。
最後の組長のセリフが男の友情、仁義で泣かせます。

0

ねんごろ

私がBLを読み始めた頃にはまだバリバリBLで活躍されていた先生。あまり長編はないんですよね。意外なことに。まだ持ってる本も少なかったので、何度も読んだ一冊。

◾️ベイビー、ハートに釘
だからといって足田を許せるわけじゃないけどね。当事者目線ではないところから語られるBLが好きですが、こちらは特に姉目線なので絶妙な肩入れがまた良い。

◾️イッツマイチョコレート!
「同期の阪下とねんごろ」ってフレーズだけでも萌えられる。こういう男が突然泣くだけでも萌えられる。そんな"だけ"がいっぱい詰まって、もはや萌の坩堝。

◾️悪党の歯
歯と指が転がったら泣くだろがい。
男から恋愛的な意味で好意をもたれていると分かっているが、"あくまでもその好意を恋愛の意味では受け入れない男"が好きです。BLの世界でくっつかせるためにはノンケは大方"ほだされる"わけですが、そんな世界でそれを断れる男。大変に誠実ではないか。そんな作品を描ける先生は貴重。おそらく編集に同じ趣味の人がいないと難しいのでは。皆んな基本ラブラブハッピーが好きさ。自分もラブラブハッピーよりメリバ優勢になってしまったら、そりゃ違うと思うでしょうし。勝手だけど。

◾️表題
適度に茶化さないと告れないってやつ。
中頭くんはちょっと絆されました。完全には落ちてないけど。夢売るケーキ屋といい、この人相当ピュアよな。

◾️しおさい
これも表題とテーマ近い気がします。六条は中頭君的にピュア。高校生だからより。

◾️FOOL 4 U
結が、この風貌で受だし「いたい」って繰り返すのがマジで可愛いです。バカな感想。

◾️フォトジェニック

0

不器用で、もどかしい男の子達

◆ベイビー, ハートに釘
 ゲイの弟の姉目線で描かれるのが斬新でした。弟の基久が決死の思いで伝えた好意は、報われず。同級生の足田は彼を利用したり、学校ではこっ酷く接したりもする。けれど、足田は完全な悪役というわけではなく、彼も本当は基久に真摯に向き合いたいのだけれど、他の友人の手前、基久と同じゲイや隠キャとして扱われることに怯えているんです。その気持ちも分かるから、何ともやりきれない気持ちになりました。少なくとも基久にはいつでも味方でいてくれる姉がいるから、それが救いになるといいな。

◆イッツ マイ チョコレート
 6人兄妹の長男・実。家に帰れば弟妹の世話に明け暮れ、恋人・阪下にも愚痴ってしまうほど。弟妹は何かあれば実に相談できるし、彼を頼れば守ってもらえる。では、実は? 彼は誰に相談できて、誰に守ってもらえるのでしょうか。実の我慢の糸が切れた、怒りの叫びが胸に刺さりました。弟妹を愛していても、やっぱり一番上は辛いですよね。でも、自棄でやったカムアウトも、弟妹は誰もからかったりはせず、それがこの家族の良さだなぁと。今後は少しずつ、周りに甘えられるようになれればいいですね。

◆恋の心に黒い羽(表題作)
 ゲイで、好きな相手に罵られたい、手酷く扱われたいという性癖を持つ二神。彼のそれは本心でもあるし、それを淡々と伝えることで、好きな相手に完全な拒絶を受けないための最後の砦でもある。なんだ、単に性欲の対象か、と思えば確かに相手の気は楽になりますよね。でも、生憎中頭はそんな人間ではなくて。純粋に好意を伝えられていたら向き合えたのに、いつまでもドMさをアピールし続ける二神にキレた中頭。拒絶されたくないという二神の気持ちは痛いほど分かるから、もどかしい平行線には目を瞑るしかないのです。最後はしんみりするわけではなく、コミカルに終わってくれたので、その平行線がいつか交わる可能性に賭けたいなと思いました。

0

むしっちまえ そんなモンは‼︎

ヤマシタトモコ先生作品の中で一番好きかもしれない。
内容は、ヤマシタ作品の特徴ともいえる女性の存在感と、非BLとの境のようなものも多い短編集。

「ベイビー, ハートに釘」
社会人の姉と高校生の弟。親は亡く二人暮らし。
視点は姉。弟は同級生に恋をしているらしい。
保護者面談で学校に行った姉は、弟がホモとからかわれているのを見て…
弟は苦しんでいる。それを見る姉も苦しい。でも、どうやら告白された相手の心にもしっかり釘は刺さっているみたい。

「イッツ マイ チョコレート!」
これ面白ーい。ていうか、私は一人っ子だったんで兄弟が沢山いる家という状況が実感できないんだけど、そういう事なのかーって。あーそれなー、って。
お母さんがのほほんでよかったんだよね、きっと。

「悪党の歯」
でたっ、ヤマシタ女子。
ヤクザの娘で、近々父(組長)がガンで死ぬ事になる。
父の盟友はずっと父に恋してて、父によく似た目をした娘は彼に容赦ない。
ヤマシタ作品によくある、BLそのものじゃなくて、周辺から見せる形式。

「恋の心に黒い羽」
感情と性癖は別の場所にある…
この概念は、新しいような、そうだったのか!というような。
表題作だけあって熱量を感じる。
恋心が芽生えるからそこに黒い羽が生えるのか?それなら好きとM感情は絡まっているのではないの?違うの?

「その火をこえてこい」
三島由紀夫の「潮騒」がBL風味で。なるほど!
でも私の好みより明るすぎて、すぐHになるところが違う〜!って。潮騒ってこうじゃないでしょ!

「FOOL 4 U」
超鈍感で変人な男にずっと片想いして、ハンサムな恋人を失う悲惨。が急転直下、夢中を露わにしていい解放感。

「フォトジェニク」
試しに呼んだデリヘルボーイ。写真と顔が違うし、何より攻める予定だったのに犯られてしまった!という可哀想な話。

巻末は「構想からネームに至る段階でカットしたシーンたち」4作、
「悪党の歯」「FOOL 4 U」の描き下ろし。
そしてカバー下に作者様による作品解説的コメント。


話自体はエロが多いわけでもない、でも周辺から攻めてくる視点、つまりは端から眺める客観性を感じて面白い。もとよりBLそのものが、当事者になりえない男同士の恋愛を壁から、空から、空気になって見る客観性があるわけで、その上に更にもう一段の客観が加わる所が面白いのかなぁと感じる。

1

心震える

短いページでこうも人間を描いているのがすごいと感じました。女性キャラクターも生き生きとしているのがいいですね。面白かった…
・ベイビー、ハートに釘
姉から見た、弟とその友人の話。私は姉と同じ視点に立って、部外者ながらも心苦しくなる気持ちでした。良い…
・イッツマイチョコレート
大家族の長男と、その恋人の話。騒がしい毎日が、とにかく生きている感じで良い…。
・悪党の歯
長年を共にした友人・よく似た親子、その一言で言えない関係性の描き方がかっこいい。セーラー服と機関銃いいよね。
・恋の心に黒い羽根
タイトルからお?シリアスかな?となりつつ扉絵が笑えますが表題背負っているだけあってすごくよいです。
まだ他にも作品あります!一冊でいろんな関係性が摂取できてお得~!おすすめです。

2

BLっぽくはないけどお気に入りの1冊

ヤマシタトモコさんは、非BL作品(=さんかく窓の外側は夜)はとても萌えるのにBL作品はあんまり萌えないという不思議な作家さん。
個人的には「BLには萌えがないとダメ!」ってタイプではないんで、面白ければ萌えなかろうが一向に構わないんですけど、不思議な作家さんだなぁって思いながら読んでます。

これはタイトル買いしたもの。
「黒い羽」に中2病ゴコロをくすぐられたんです(笑)
短編集です。
“ラブ”というものについて、主人公達がそれぞれの視点で、時には主観的に、時には客観的に思考している作品集という感じ。
だからこれはBLなのかと言われるとちょっと違う気もする。
だから萌えないんだと思うんだけど。
でもお気に入りの1冊。

『ベイビー,ハートに釘』
姉から見た、同級生の友達に恋している弟の話。
親でも男兄弟でも妹でもなく、お姉ちゃん視点ってところがいい。

『イッツ マイ チョコレート!』
6人兄弟の長男として頑張るお兄ちゃんの話。

『悪党の歯』『悪童の歯』
ヤクザの組長の娘と、組長に30年片思いしている男の話。
これもやはり、息子ではなく娘ってところがいい。
表現のカッコよさはこの作品がピカイチ!

『恋の心に黒い羽』
ピュアな心をドMという性癖で鎧う男の話。
これすごい解るなぁ。自信がないと鎧っちゃうよね。
お話としてはこれが一番好き。

『その火をこえてこい』
同級生同士。萌えもあって唯一BLっぽい作品。

『FOOL 4 U』『ONE 4 FOOL, FOOL 4 ONE』
20年来の腐れ縁。「もしも女だったら」の一言がこじらすバカな男達の恋模様。

『フォトジェニック』
デリヘルボーイ呼んだら写真と全然違う男が来て、そこから始ま…りそうな?恋の話。

そういえば少し前にヤマシタさん自ら、さんかく窓〜は非BLだけどBLのつもりで描いてると明かされてましたね。
だからあっちはちゃんと萌えるんだろうな。
BLレーベルでBL描かずに非BLレーベルでBL描くヤマシタさん、あまのじゃくでしょ(笑)

3

歪み純粋な愛

私のBLイメージ払拭キッカケを与えてくれた作品の内の1つ。
(3つありますが、全てヤマシタさん作品です)

雑誌掲載作6本+描き下ろし4本からなるこちら。
特に私が好きなのは、表題作の【恋の心に黒い羽】と【FOOL 4 YOU】。
他の作品は、物によっては「BL?」と思うような作品もありますが、ヤマシタさんはこういう独特な雰囲気を描かれるイメージが有ります。
好きな人は嵌るけど、嵌らない人は面白いと思わない、という極論が生まれるような。

・【恋の心に黒い羽】
Mが行き過ぎてバイになった二神と、二神が恋したSの中頭のお話。
結果的には平行線で進んでいくだろう2人。
二神はきっと何があっても中頭をいつまでも好きで居そうだし、中頭は二神を理解しようと近寄るけど決して恋にはならない。
それでもつかず離れず変わらず、というような。
まず中頭が絆されて流されるタイプではないので、それがきっと又二神にはドンピシャなんでしょう。

中頭を好きだと言う気持ちに嘘偽りなく愛情を持って接するんだけれど、どうしてもMという性癖が邪魔をする。
あの黒い翼は、どうしたら羽ばたけてどうしたら彼の気持ちを救えるんだろうか。
中頭にどれだけ罵られ馬鹿にされても、嫌いになんかなれない。
それでも近付きたいけど、彼の罵声がぞくりとする程気持ちがいい。
そんな葛藤に悩まされていきます。
彼はMだから、罵倒されて蹴られて踏みつぶされて、と思うんだけれど。
本心はやっぱり、中頭の愛が欲しいのです。


・【FOOL 4 YOU】
幼馴染のユイとミツオのお話。
ユイはカタギに見えないのは置いておいて(笑)、ユイの長い長い片思いがダメ人生を作ったと言っても過言ではないでしょう。
それでも好きだ。
ところがミツオが、素の部分を吐き出した。
色々紆余曲折しながら、お互いの本音の部分で交じり合えるのが凄く嬉しかった!


かるーくオススメ出来ないのがヤマシタさんですが(苦笑)、私的にはこちらは100点満点です。

1

その火をこえてこい


と、表題作が好きです。

高校生の、性への興味。
好きな子は男の子で、女の子よりエロい!
スキっていうよりセックスしよう!
かわいいお話です。w

表題作の中で、心に残る言葉にであいました。

「 鎧わないで・・・素できみを好きだなんて 言えないだろ
 だって  きみは絶対におれを好きにはならないのに 」

気持ち、すごくわかるんですよね。
私もそうだなって。
冗談で、軽く好き好き言ったり、
全然好きじゃないフリしたり。
絶対にかなわない相手に対して
鎧わずに自分の気持ちをまっすぐに伝えるのって、怖い。

ああ胸が痛いなって。
そんな作品です。是非。

0

女性キャラ視点のBLってとても難しいのでは無かろうか

何だろう、凄く上手いと思うんですよ。ただ、上手すぎて要らん所まで見え過ぎるというか…。どうしても書きたかったので。長文注意です。

■『ベイビー,ハートに釘』『悪党の歯』『悪童の歯』
BLを読む・惹かれる理由って人それぞれだとは思うんですが、

“男性同士の関係にはどうしても女性では入り込む事の出来ない部分が有り、しかも女性はそれにとても憧れ(がちであ)る”

これは、その理由の中で結構重要なウエイトを占めているのかな、となんとなく私は考えていて。その憧れ部分をものすごく濃くしてドリーム成分も多少入れて巧い具合に形作ったものを、作品ジャンル的にBLって呼ぶのかなーとか考えてたりするのです。

“どうしても入り込めない”ってやはり女性としては羨ましいし、ちょっぴり悔しくもありますよね。指くわえて見てるしかない。それをBLを読むことで中和してるのかも知れません。

それを前提としてBLを読んでるこちらからすると、この本の作品中の女性達からも同じ種類の“悔しさ”がどことなくにじみ出ている気がして(しかも何故かそれにシンクロも出来なくて)「そんなコト百も承知だし、わざわざ形にして目の前に晒されたく無い!」って思ったりもしなくはないかなーと。だってまさにその感情をどうにもできなくて、どうにかしたくて読んでるワケだから。同族嫌悪って事ですかね。言いたいコトは解るけどそれをここで言われても、みたいな。

要らない所や見なくてもいい所まで読み手が見過ぎてしまうのか、それとも描き手が見せ過ぎてしまうのか分かりませんが、そこに更に持ち味(冷めた視点とか)も悪く作用していて私は読後にかなり悶々としてました。他の収録作と足して割っても中立評価かな…。

作品としては本当にクオリティ高いと思うんですよ。なので…女性キャラの目を通してBL作品を描くというのは凄く難しそうだなあと感じました。そうなるとむしろレディコミ寄りなのかも。(レディコミほとんど読まないけど←あっ)

女性抜きじゃ成り立たなかったんだろうかこれらの話は。『歯』のヤクザの二人とか超気になるのに。

■描き下ろし作品
あれっ全然ピンと来ない…この作家さんの作品裏話は人を選ぶと思いますなんとなく。あとカバー裏も。

■他
以上に挙げた以外の作品をまとめたコミックスだったら素直に萌えたのに!いや、凄い面白い話ばかりですよマジで!!もうそういう方向で良いと思うんだけどな。表題作は黒い羽が生えるシーンと、歩いて行って最後にうずくまるシーンが秀逸です。あとオチに作家さんの本音みたいなのが見える感じで良いなー。家族ネタのも、図書室の二人も、バカとしか言えない超バカも、全部凄くイイのに!!!…デリヘルはあれホラーだよねw

「さーて、面白くて萌えた作品について書こう!」と思ったら全っ然文字数足りないよ!!…まあ、ここまで色々とこちらの頭を刺激してくれる作品を描けるのがヤマシタさんの凄い所って事なんじゃないでしょうか。いや、決して皮肉じゃなく。素で。

3

おもしろい

けれど、この作品を単純にBLに分類していいのかすごく悩む。
そんな短編集。

最初のお姉ちゃん視点とか、大家族の中の長男(ゲイ)とか、テーマ的にあんまりBLっぽくない話が続くが、個人的にはそれがすごく好きだったりする。
ヤマシタさんはいいなあと思う部分がいつも微妙にラブから離れたところにあるんだが、これは単純に私の好みの問題なんだろうか。

『悪党の歯』の留守電のシーンが好きだった。届かない想い。ひとりごと。

あとヤマシタさんの描くバカはかわいい。

1

この人の作品はBLとして括ることができない。

どの話を見ても登場人物みんな血が通ってるカンジがする。
男だけの世界じゃないところも好き。
出てくる女性のキャラがまたいい。

あと、漫画の文脈じゃないというか文学的。
モノローグのうまさがいい。

表題作は、ドSでノンケの同僚に訴え続ける健気なドMの話。
ですが、単純にドMなだけじゃなくて、その中にある相反する感情、葛藤が晒け出しているのがたまらなく切ない。

【悪党の歯】【ベイビー,ハートに釘】もヘビーだけどすごく好き。
【その火をこえてこい】はやりとりが魅力的。

この人の本では一番この本がおすすめ。

3

黒い羽は誰にでもあると思うんだ

表題作「恋の心に黒い羽」
黒い羽=欲望・性癖。悩めるドMくんのお話。
これ、すごい解る!切ない!けど笑える!
"人間椅子"を読んでMに目覚めたとか…解る…!
私は"芋虫"を人に薦める勇気はない(笑)
「真面目な話ってなに?」からのくだりが好きです。
オチもナイス。

「イッツマイチョコレート」
6人兄弟妹の長男が主人公。家族もわらわら出てきて面白い。
普通に生活の中の1コマって感じ。
この人の作品の好きなところってこういうところでもある。
ナチュラルだからこそのリアル感。

「その火をこえてこい」
学生モノ。夏休みの図書室っつー閉塞的空間。えろす。
文学的エピソードもよい◎

「FOOL 4 U」
これ一番好きかも。テンポがすごくいい。
20年来の友人に恋をしている結。
なにかと結を頼ってくる大バカ者・充夫。
充夫のせいで恋人にレイプされる羽目になった結。
へろへろで家へ戻ると充夫が待っていて、イキオイでカミングアウト。
それを聞いた充夫も、やっと結への気持ちを自覚する。
充夫の告白を聞いて結はエロスイッチ・オン。

結がえろいよ!
三つ巴が好きな私的には、結の恋人の存在もツボ。

「フォトジェニック」
同僚の男に告白された主人公が、お試しにデリヘルボーイを呼んでみた。
…ら、自分が呼んだのとは違う、バリタチの男が現れて…。
バリタチくんに一目惚れ?されて結局掘られちゃいます。
軽めの短編で好きでした!ハメ撮り…(笑)

2

リアルで切ない

この作品はリアルだし切ないに、ちょっと笑える要素があるのが好きです。
一番ツボだったのはおったっちん。(笑)フォトジェニックはただ笑えました。
二番目は、書き下ろし ONE 4 FOOL,FOOL 4 ONE の
「頭から花が生えてる充夫」の絵!
頭の吹き出しからでているゾウとか・・・・ぶっ
かなり変なところでツボりました・・・

一番好きだったのは表題作の「恋の心に黒い羽」

まず・・・私はいまだ、Mについての理解があまりないです。
自分がSな自覚はありませんが、Sな人の気持ちはなんとなーくわかると思います。
その、いじめっ子体質というか、他人を虐げたり、だとかを
性的快感とまではいかなくとも楽しいとか憂さ晴らしになると
感じる人は居るんじゃないかなぁ、と思います。
でも他人に虐げられて嬉しい・・・気持ちいい、ましてや腹痛フェチはまったく理解できません・・・。!

でもまぁ虐めてくる相手が好きな人だったら考え方も変わるのかな?
と考えてみると、まぁ凄く、凄く好きな人にされることならなんだって
嬉しいのか・・・・・・?うーん、私だったらむかついて萎えてしまうような気がする。Mの自覚がある方、教えてください(笑)

・・・・と、Mについても改めて考えさせられました。
そして性癖という翼に純粋さを妨げられる・・・。
心と性癖は別の場所にあり、感情と性癖は一緒じゃない・・・・
うーん・・・難しい、難しいです。
とても深い作品でした。

3

胸がギューっとなる

トキメキとはまた違う、胸が苦しくなるような、そんな作品でした。
切ないのから、ほのぼの、バカ可愛いのまで色んな作品が詰まってます。
どの作品も何といっても表情がイイ!
ヤマシタトモコ作品は台詞がなくても成り立つくらい、顔がモノを言ってます。
特に切ない、戸惑うそんな表情を描かせたら逸品ですね。
あの追い詰められたような表情を見るとゾクゾクします。
ほんと、魂が宿ってますね。スゴイ。

『ベイビー、ハートに釘』
弟が友人に告白するのを聞いてしまった姉。
告白以降も家にやってくる友人。そして二人から流れる妖しい雰囲気。
そして、弟が友人にキスを請われて、切ない表情でキスをする現場を見てしまった姉。
友人は弟と二人のときは優しいのに、学校では弟に対し「ホモ」と罵倒し、いじめています。
山田ユギ「小さなガラスの空」でもありましたが、周囲の目を気にして自分の気持ちに素直になれずそれがイジメに発展してしまう…というパターン。
大人になったらもっと上手に立ちまわれるだろうに、それが上手くいかない、
そんな思春期特有の不器用さがすごく痛々しい、でもどこか愛しい。
ラスト数ページを読んでいると、友人も弟のことを大事だと思っているようだし、
希望はあるのかな…と思ってしまいます。
弟の告白が痛々しいけど、健気でとっても素敵ですね。
こんな風に素直になれたらいいんだろうに…。
お姉ちゃん視点で語られるのがまたオツですね。

『その火をこえてこい』
切ない路線とは打って変わって、高校生同士の胸キュン話です。
ゲイの鹿目は六条に恋している。
そんな二人は図書館で逢瀬を重ねる。
鹿目の欲望に濡れた目や、ツンデレ六条の鹿目への感情が隠し切れていないその表情が非常に萌えます。
そして図書館でイタしてしまうわけですが、ここでの「やらせろ」「やだ」の攻防のまたまた可愛いこと!

『恋の心に黒い羽』
ドMな二神。きみに輪切りにされたい、串刺しにされたい、罵倒されて蹴られたい…
ヤマシタ作品の中でもかなりの名言だと思います。
罵られて酷いことをされたい!でも、本当は好かれたい…
もー絶妙ですよね!!罵倒されたいけど本当は好かれたいなんて、自分の中でもいろいろ葛藤はあるんだろうと思います。
愛ある罵倒をしてあげてほしいと思います。
いくらドMだといっても、酷い扱いばかり受けるとショックですよね
ドMだから打たれ強いんだと思わせておいて、実は人一倍傷つきやすいんだと思う。
最後、しゃがみこんで「きみに好かれたい」のところはゾクゾクしました。
巧いなーホント。
そして、二神に黒い翼が生えるシーン。これも二神の心境をうまく表現していてたまらなかった。
あれはあの表現以上にいいモノはないですね。最高のシーンだと思います。

4

真面目なんだかふざけてんだか

現在ヤマシタトモコに恋をしていますv
短編の中に押し込められたメッセージ性が強いこと強いこと。
痺れますよ!

【ベイビー,ハートに釘】
姉と弟。ふたりきりの家族。
弟はゲイで、片思いの同級生にいじめられている。
ふたりきりのときは甘いのに、他人の目が気になるといじめる同級生。
目撃してキレる姉。止める弟。だっておれが好きなんだもんっ
汚い言葉で傷つけられても
ハートに釘を打ち込んだのは、こっちなんだぜっ!

【イッツ マイ チョコレート】
大家族の長男はゲイ。
同期とねんごろ。カミングアウトなんかできないぜ。
毎日、帰宅すれば家はてんやわんや
お兄ちゃんの愚痴は誰が聞いてくれるんだーっ!
って、結局、家族みんなに最後は甘えてしまえるあったかい家族でよかったね。

【悪党の歯】
組長に片思いしつづけるオヤジとその組長の娘。
小道具が卓球ですよー。
闇を切り裂くスマッシュで胸を切り裂かれ恋におちて30年。
けっきょく片思いの日々は、闇の中のような気がするのです・・・

【恋の心に黒い羽】
異常者レベルのMに恋された、ドS。
罵れば罵るほど堂々巡り。
傷つくのが怖くて、感情を嘘で鎧う人は多いけど
このドMってば、性癖で感情を鎧うんですよね。
でも鎧を取ったら中身は、みんな一緒だよねv
そこが、じぃーんとしみるんだよー。

【その火をこえてこい】
ゲイじゃない!おまえとセックスしたいだけ高校生。
ドウテイの高校生。
夏休み、暑い図書室で繰り広げられる問答がじつに文学的。

【FOOL 4 U】
長所バカ短所バカ特徴バカ全てがバカのノンケに
ずっと恋してるゲイが、結局のところもっとバカっていう話v
受けっぽくないほうが受けで、乙女思考なのが萌えツボです。

【フォトジェニック】
デリヘル。しかもボーイw
ネコ呼んだつもりがバリタチ呼んでしまってチェンジできねぇw
よくわかんないけど、バリタチのひと目惚れっつーことだな。

おまけで各話の構想からネームに至る段階でカットしたシーンを
収録してあって、それはそれでおもしろかったwww
ヤマシタさんの人柄が見えるような気がする。

おまけで「悪童の歯」「ONE 4 FOOL,FOOL 4 ONE」も、収録。
どちらも、プッと笑える。

このコミックス。けっこう読むの辛いと思うんですけどw
なんか重いというか1話読んだ後に、頭殴られたような感じがするんです。
でも、ヤマシタさんの性格なのか軽さも盛り込んでて
真面目なんだかふざけてんだかつかみどころがないんですw

3

久しぶりに

引っ張り出して読みました。
あらためて読んでも面白いです.。゚+.(・∀・)゚+.゚
なんていうかさ、ハッピーエンド?え?ちょっと、これじゃ満足できないよ!!
そんな話が多いんですが(苦笑)、センセイの「その後は妄想で補ってください」というのを少し考えてみる。
妄想は自由ですからね。案外どんな話でも妄想の世界ならすべてハッピーに変換できるのではないだろうか。
おいといて。
今回の代表作『恋のこころに黒い羽』は、ドMな男が好きになったノンケ。
そんなお話。正直、帯の単語に踊らされて最初に読んだときは、なんと思わなかったんですが、こうやって読み返してみると案外深いのかも?と思ったり。
ののしられ、けなされて喜びを感じる。もちろんそれもひとつのテーマではあるんですが、なんていうんだろう、素直に心を出すのが怖いからっていうのがちょっとあったのがね。うんうん。

他短編たちも面白かったです。
案外センセイのいうようにハッピーエンドが詰まった1冊にも思えてくる。
ほら、ハッピーっていっても人それぞれあるわけですから。
決してアンハッピーではない。そんな気がしてなりません。
続編が読みたいものとしたら、いっちばん最後のデリヘルボーイのやつ。かな。

5

女の子が活きている!エンターテイメントに満ちたBLジャンルの新天地?

「くいもの処・明楽」で一躍有名になったヤマシタトモコさん。
「くいもの処~」も読みましたが、私は断然この本の方が好きです。あの話は連作で、この本は短編集ということで、また違った楽しみがあると思いますが。

ヤマシタさんではじめて読んだのがこの本でした。衝撃でした。これはまた、すごい投げかけをしてくる作家さんだなぁ…と思って。
ところどころにある会話やちょっとした笑わせどころもテンポがよく読みやすく、絵もストーリーもあっさりしているのに、なぜか後まで引っ張られます。
その上、ふとしたところにやけに時々エロスを感じる。
とりあえず、私はこれを読んだ後から、この恋の心に生える黒い羽について必死に考えています。そして読めば読むほど、感動する…。

鈴木ツタさんの「あかないとびら」からはじまり、BL界ではドMブームが来ていたのでしょうか?(いまも?)
本を買う前、本屋でこの本の立ち読み用冊子が置いてあって、ちょっと読もうと思ったんですが、なんだか書店で立ち読みするのは最初の2ページから憚られました…。みなさんこれはおうちで読みましょうね!!
この表題作以外も素敵で、なんだかこの方の本は、すごく色んなところにお楽しみがあります。ヤマシタさんが物知りなのでしょうね、小ネタもおもしろいし。
SHORT CUTSは嬉しいおまけでした。ヤマシタさんが構想からネーム段階で切り取ったシーン集なのですが、カットした理由がまたおもしろかったりして。
そしてまたカバー裏の資料がスゴイです。読んでから見るとすごく楽しかったです。
そしてここに書いてあるBGMもまた趣味がいい!このBGMを描けながら漫画をもう一度読むと、二度楽しめますよ!

私はヤマシタさんのコミックスは全て読んでいるのですが、今のところ1冊以外女の子が存在しない本がないのです。
BL世界じゃ時にタブーともなる女の子ですが、ヤマシタさんの描く『女の子』たちは決して嫌なタイプでなく、むしろとってもカッコイイ!ストーリーの中で光っているのです。

面白い言葉遊びのようなキャラクター同士の応酬、あっさり地味ながらどこかにドキリと感じるイラスト、それからBGMやらキャラクターのファッションセンスまで。いたるところにヤマシタさんのセンスが光ってます。
いわゆる『王道』が存在しない。
あらゆる意味で新しいBLジャンルのエンターテイメント。そして時に、女の子がいるが故か、妙にリアル。
フツーの巷に溢れるBLに飽きたら、ぜひ読んでみてください!
「BLに女の子がでるなんていや」と思っている方にも、ぜひ一度は読んでみてもらいたいです。物は試しです!
新たな世界に出会えるかもですよ。

5

健気(>_<)!

ぎゅーって
締め付けられて息が詰まりそうでした。
衝撃。
表紙作は、簡単に書いてしまうと

好き。
だけど罵倒して欲しい。蔑んで欲しい。
好きだから悲しい筈なのに、罵倒されると気持ちがいい。

みたいな感じですかね。
鳥肌たちました。
二神の背中に「ブワッ」っと黒い羽根が生えるシーンがあるんですが、その時の表情が堪らなくいい!
なんだあれは!
衝撃でした。


そういうシーンが無くても充分満足です。
好き嫌いはあるとは思いますが、わたしにはエロスが感じられます(笑)

4

バカ可愛い

良いっ

表題の『恋の心に黒い羽』ももちろんいいが、
中でも『ONE4FOOL,FOOL4one.』が一番好きだ。

バカがいます。

もう20年も前からの付き合いで、

でどうしようもないバカな馬堂充夫×ゲイの波古結のはなしで、

結は充夫が好きなのに、充夫はよく、結に女だったら嫁にしてたっていうんです。

結が可愛そうすぎて、切なくなる作品で、そして、誘い受けっっ。


チョーいいので是非読んでみてください

4

文学的!?

な香りがします。
ヤマシタさんは、後ろから語りかける、モノローグが得意ですね。
聞いていようが、見ていようがまったくかまわない。でも一人語りするというのが楽しいです。

0

ベイビー、ハートに釘

映画「恋愛小説家」では、ゲイの画家が登場しますが……、
その人のセリフで、「ストレートなら人生は楽?」ってのがあります。
この作品を読んでいてそれを思い出しました。

もちろん答えはノーだと思います。
ゲイだとかストレートだとかが、
幸せ不幸せ、それそのものに直接影響するわけではないと思います。

だけどやはり、身内が、となると話は変わります。

偏見とかそういうことではなくて、
単純に傷ついてほしくないという、
心配する気持ちはどうしても生まれてしまいますよね……。

「ベイビー、ハートに釘」に出てくるお姉さんと弟(ゲイ)の話は、
読んでいて胸が痛い感じがしました。すごい切ない話です。
私はこの話だと完全に感情移入するキャラがお姉さんになってしまいました……。
ズシーンと重いです。

だけどあまりBLを読んでいるという気にはなれなくて、
萌えなかったので評価は中立。

そう、それと、このレビュー表題作についてのレビューじゃないんですが、、、
他の短編も全体的に切なさや痛みがあるストーリーです。
読む人によって意見が分かれそうな感じですね。











3

BLとはちがう方向に向かっている?

ヤマシタさんは、せつない、打開できない閉塞感を表現されるのが
とてもうまい方です。
表題作は、ラストでぼやかしていますが、前のページで終わってもよかったのでは
と思います。ほとんどBLじゃない作品も入っています。
ヤマシタさんの漫画は考えさせられるものが多いですね。
もはや漫画の純文学です。
BLそのものより、文学の表現をBLを借りて、行っているという印象です。

1

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