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首にかけた鎖は愛か憎悪か──。
fragile
先生の作品は数作だけ拝読しています。本作と「箱の中」「美しいこと」が好きな作品。こちら久しぶりに再読したのでレビューします。
前半『FRAGILE』は受け視点、後半の『ADDICT』が攻め視点。
【FRAGILE】
大河内(受)が有能な部下の青池(攻)を毛嫌いしていじめ抜き、社内で襲いかかられ退職に追いやる。直後青池が大河内の自宅に押し入り、拳銃で脅され、裸にされて犬のような扱いをされる。
とにかくこの前半は、青池のあまりに酷い鬼畜な所業に、何度もゾッとさせられます。
特にドッグフードの下りは、かなりエグくて何度読んでもウエッとなります。
いくら「可愛さ余って憎さ百倍」とはいえここまでする?!てなります。ここはもう木原節というんでしょうか。
延々と甘さのない話が続くのですが、展開が面白いのでどんどん読んでしまいます。
また読めば読むほど大河内が性悪な酷い男で、青池はなんでこんな男を好きなのか?と思ってしまいます。
こんな酷い扱いしてるのに、大河内が体調を崩して緊急入院した時、眠ったふりの大河内の手にキスする青池…。拗らせるにも程がある(汗)
前半最後は、反撃を試みた大河内が失敗して、青池に手酷くやり返されて終わり。
雑誌掲載時はここまでだったとのことで、当時読まれていた方は「いったい何を読まされてるんだ?」という気持ちになったのでは、と思ってしまいました(^_^;)
【ADDICT】
攻め視点となり、青池が大河内をどのように好きになり、憎むようになったのか語られる。
好きになるシーンが甘酸っぱくて、今後の展開を思うと切ない…。
現在に戻り、青池自身、大河内への気持ちが愛情なのか憎しみなのか分からなくなり、もう終わらせるべきだとわかっているのに、自分でもどうにもできない強い執着がまた切ないです。
あるきっかけから、大河内との体の関係が始まる。ここからやっと関係性が変わってきます。
大河内を愛しく思う気持ちが大きくなってきて、大河内も青池と普通に会話するように。
全ページの7割くらい進んだところで、ようやく甘さが出てくる感じでしょうか。ここまで長かった〜!
濡れ場は、高慢な大河内がグズグズになり、青池が優しくなだめながら、思うさま征服していく描写が、大変エロチックです。敬語責めもエッチだな。
大河内と結ばれて、とうとう首輪を外して、恋人同士のような同棲生活が始まるのですが…。
終盤の展開は、ネタバレすると面白くないので割愛しますが、すごく面白くて好きです。
最後の数ページは受け視点に戻る。ここの大河内のツンデレ具合がたまりません♪
前半の『FRAGILE』はかなりキツい内容ですが、そこをのり超えて『ADDICT』を読むと、はあー、ほんと面白かったーーー!となると思います。
読了後には、ある種のカタルシスを得られる作品じゃないかなと思います。
再読も面白かったです♪
「FRAGILE」
怖かった。
木原音瀬先生の作品で一番、読むのが辛い作品。
25ページぐらいから、とても怖かった。
とにかく胸糞悪い怖さだった。
これが愛?可愛さ余って憎さ百倍?
恐怖です。
確かに受けの大川内は酷い男だけど
ここまで攻めの青地が酷いことをする理由がわからなかった。
これが小説ならOKなんだろうな。
これがマンガならNGなんだろうな。
そして
「ADDICT」
攻めの青地からの視点。
ここでやっと攻めの青地がどうしてあそこまで酷いことをするのか。
「愛してる」なんて言うのかという理由がわかる。
これがなかったらまったく救いのない恐怖小説だった。
「執着を超えて犯罪」そのものの物語。
でも愛はあるハピエンだって。
怖かった。
いやぁ~流石です。クソ野郎を書くのが本当にお上手!
上司のいるお仕事をされた方の多くが共感できるだろうクソ上司wwここまで酷い上司は流石にいませんでしたが、青池に共感同情してしまいます。何度妄想でコ◯したことかw
最後まで自分が悪かったと微塵も思わないところは本当にリアルですね。悪酔いしてバーでくだまいた時ぐらい?w
でも青池のやり過ぎにドン引きしちゃいました。大河内の家に人を呼んだ時はマワしちゃうのかなとハラハラしましたが、結局他人が大河内に触られるのが嫌なのかと安心。大河内のベッドでおっ始めたの青池行きつけのバーのマスターですかね?いや~モラル無しw
視点が変わると2人の容姿の印象がガラリと変わりました。青池は野暮ったい見た目なのかと思ったらモテ男のイケメン。大河内はスラッと長身の男前かと思っていたら小さめの美人。大河内の嫌な部分がここでも顕になって面白かったです。
視点が変わってからの解放だったので、大河内の演技はなんとなく察していましたが、どちらともツメが甘かったですね。
大河内は心が強いなとつくづく思いました。鎖に噛みついて血を流したり全身の毛を剃ったりして狂ったのに、演技をするまで回復が早い!っていうか、髪の毛を刈っている途中で電池切れなら、先にアンダーヘアいったの?
この作品メリべになるんですかね?私の中ではハッピーエンドです。
結局最後青池は刑務所に入ったりしておらず仕事も続けているということは、大河内は青池を訴えてなかったということですよね。横浜なんて中途半端な距離を取ったのも、なんだかんだと大河内の心に青池が棲みついてしまったんだと思っています。
表紙が気になってた作品です。
DMMブックスの還元祭りで数年前に大人買いした中の一冊でずっと積んでましたが、やっと読みました。
いやぁ、全然BLじゃないやんってお話が延々と続きました。
青池はクズだし、大河内はカス。どっちもどっちなんだけど、私的には青池はひど過ぎる。
好きだった人から仕事で酷い仕打ちを受けたから可愛さ余って憎さ百倍なんだろけど、それにしてもやり過ぎだよ。自宅に居座って全裸に首輪と鎖で繋いで食事はドッグフード食べさせるって。
それ以外にも、精神的にも肉体的にも追い詰めるような事がてんこ盛り。
そんな事しといて、好きになって欲しいなんてそんなのあり得ない。
どの行為も酷いと思うんだけど、ゲイ仲間を大河内の家に呼んで全裸に首輪の男を辱めたのもやり過ぎ。そのスジの人がやる事かなと思ったら普通に知り合いだったんか。だれか青池を咎める人いなかったの?って思っちゃったわ。
それにしても木原作品の受けはメンタル最強。今作の大河内も心壊れてもいい扱いされてたのに、タフ。身体は壊しちゃったけど、めげずに虎視眈々と復讐のタイミングを見計らってる。
でもね、こんな激しい経験しちゃったら普通には戻れないのわかってたよ。自分でも回想で言うてたもの、「激辛料理の後に豆腐食べてるような感覚で普通のSEXが味気ない」って。
なので、最後はよかったね〜な終わり方でした。
あとがきなかったのが残念。
このFRAGILEは、ちるライブで木原音瀬先生の特集をしていたとき、白米さんが紹介していました。とても興味唆られるプレゼンだったので、購入して読んでみることにしました。
うまく言葉にできないのですが……もう色々しんどい、やばい、って感じです。
〜以下、ネタバレあります〜
ぶっちゃけると、前半部分(監禁、ドックフード生活、暴力)などは全く平気だったのですが、後半の後半からの怒涛の展開に、頭がクラクラしてしまいました。
私の場合は、途中から攻めの青池に感情移入してしまい、彼の大河内に対する愛(クソデカ感情)を知ると、めちゃくちゃ切ないというか複雑な気持ちにさせられ、後半にかけて、徐々に二人の距離が縮まって和やかな雰囲気になると、「こ、このまま結ばれてくれ……!!!」と心の中で必死に願っておりました。
けれど、さすが木原先生。
大河内が手紙に書いた二文字は、衝撃しかなく、その後の青池の自サツ未遂や、ラストまでの流れが、本当にエグい。これはやっぱり木原先生にしか書けない物語だと確信しました。
特にラスト。これは何エンドなの? ハッピーエンド? バットエンド? いや、違う。これは『木原エンド』だと思いました。木原先生にしか描けない終着点、二人の歪な関係性。この二人はこれからどう続いていくのだろう。大河内はいつか青池のことを愛するようになるのだろうか、青池は大河内に対しての感情を変わらず持っていられるのだろうか(大河内の関心がいつまでたっても自分に向かないことに、いつか発狂してしまうんじゃないだろうか)……その後の二人の行く末を考えてみると、どう転んでも、もう地獄やん……と頭を抱えてしまいました。
読了して一晩経ち、今このレビューを書いているのですが、胸のモヤモヤが残っていて、まだFRAGILEの世界に気分を残しています。この、後を引く妙に陰気な読後感……これもやっぱり木原音瀬先生の成せる技だと思います。
木原音瀬先生作品は今まで何冊も読ませて頂いていて、そのどれもが素晴らしく、唯一無二の存在で、心の底から崇拝しているのですが、うん、やっぱりすさまじいお方だと、今回のFRAGILEを通して思いました。
これからも先生のことを追いかけるので、先生にしか書けない地獄の世界を、ぜひ見せてほしいです!
色んな意味で、すさましい作品でした!!! ありがとうございました!
木原音瀬先生に最近ハマりまして、何作品か読んでいます。この作品はYouTubeの方のちるちるで木原音瀬先生特集をやっていてソムリエの白米さんが2位(だったかな)にあげていたので気になって読んでみました。
監禁ものなので覚悟して読んでいたのですが、受けが本当にクズといっても過言ではないモラハラ上司受けなので、性悪な分痛い目にあっていてもそこまで可哀想に思わなかったかな。逆に攻めもっとやれ!!と思ったし、酷い目にあってる受けにせいせいする感じでした。とはいえブチギレた攻めは本当に容赦ないので胸悪くなる人はいるかと思います。
この作品は攻めに同情することが多かったですね。途中で攻め視点の話になるんですけど、どっちが可哀想なのかわかんなくなっちゃいます。受けに期待しても自分の想いは一方通行でしかない、簡単にあの男(受)は裏切る。とわかっていても期待じゃうんですよね。ここの心情はどの作品でも木原先生の才能が光ってると思います(私がみた作品では受けがそういう心情多かったですがこちらは攻めですね)。
そして痛みあるシーンや話の転になる部分が一回で終わらないのも木原先生の魅力の一つ。最後の最後で驚愕しました。普段みている作品では越えないであろう部分を越えてくるあたりさすがです。
えっ、ここで終わるの?!みたいな完結な終わり方をしないのが読者が考える隙間がある最後になったと思います。なんなんだろうな、「なにもこんな奴好きにならなくたって」って私たちは思ってしまうんですけど、それが作品の良さなんですよね。うんうん。
全然ハッピー要素ないし、暴力的、屈辱的シーンありますがそこまで苦なく読めました。素晴らしかったです。
この作品を読んだのは約10年以上前ですが、当時衝撃を受けすぎて手汗びちょびちょになりながら読んだのを覚えています。執着攻めラバーになるきっかけになりました。
かつて受けの部屋でおしっこをまいたり精子をかけたドックフードを食べさせる攻め様がいらっしゃいましたでしょうか。くず行為を平然とやり通しときながら絶対的権威を前にしたら抵抗できない大河内が哀れでした。一瞬で嫌いになれるね。
今考えるとつっこみたいところでてきたんですが、他人が本人の代わりに辞表を出してもいいものなんですか?どうでもいいけど。
凄まじい余韻を残してくれる監禁ものとして、永遠に私の中に君臨し続けるであろう作品です。青池の執着が粘着質で、監禁も相当に徹底されていて、相手の尊厳を根こそぎ剥ぎ取る醜悪な方法であることも作品の要と言えるでしょうが、それ以上に私は大河内という人物、彼の性質が最も肝であるように感じます。
大河内の蛇のような小狡さ。狡賢さ。逃げ足の速さ。プライドの高さ。事件前に彼が職場で青池にした仕打ちは最悪で、この点に関して彼への同情の余地は一切ありません。しかし彼が凄いと思うのは、こんな仕返しに遭っても、ほとんど心からの反省は感じられなかったところです。あれくらいでこんな目に遭わされるなんて割に合ってない、酷いじゃないか、自分の築き上げたものを壊しやがって、とどこまでも自分本位。青池の気持ちをちゃんと相手の立場に立って推し量ってみたことは一度もないのではないか、そんな気さえします。
私はそんな大河内を非難しているわけではなく、彼のその性質が最後まで貫かれていることが最大の魅力だと思っています。いかに自分が損をしないように生きるか。とにかくそれが一番大事な人間っていると思うんです。母親との関係があまり良好ではないことを示すシーンが僅かにありましたが、かと言って彼が本物の愛情、激しい愛情を欲しているという描写はありませんでした。彼は誰かに愛されたいと渇望している人間ではない。自分を常に一番高みに置いて、あえて孤独に生きている人間。ここが他の作品と一線を画す点かなと。だから、彼のような人間を好きになった時点で、もう誰も彼に太刀打ちできないのだと感じました。
蜜月期間は私もすっかり騙されました。ストックホルム症候群的な影響もあり、彼は青池に気を許したのだと。青池の中盤までの仕打ちは忘れて、あと一悶着くらいはありそうだけどなんだかんだハピエンに向かうのだろう、と私も気持ちを昂ぶらせていくところでした。そこであの手紙です。もう5分くらい笑いが止まりませんでした。そうだ大河内、お前はそういう奴だった。彼が青池から受けた仕打ちを帳消しにするわけない。青池の憎悪が消えていく代わりに、今度は再び大河内が彼への憎悪をじわじわと募らせていた。
再会した時、また振り出しに戻るのかと思いましたが、青池はもう負けを悟っていましたね。どう足掻いても、大河内と並の恋人のようにはなれないと。大河内にとって、青池から与えられる快楽が気持ちいいのは事実でしょう。でも、そこから青池を好きにはならないし、気持ち悪いという感情も併存している。女とヤるのは青池とヤるほど気持ち良くないし、また監禁生活に戻るのも御免だ。彼の思考は最後まで自分本位だったと思います。孤独に苦しみ愛に飢えたマイナススタートな人間がゼロになろうというのとは違い、元からプラスだった人間が味を占めただけ。なくてもいいけど、あったらより良い。それが大河内にとっての、監禁するほどの狂気は取り除いた青池の好意なんでしょう。青池がそれでいいと諦めるしかないのかも。それでも私はこの2人の関係が好きで、どうしようもない大河内というキャラの現実味にどこか安心もしてしまうのです。
みなさんのレビューと木原音瀬さん、ということで心して読み始めました。
最近は、ハピエンを求められるのかも知れませんが、この二人にとってのハピエンはこういう形にしかならなかったのだろうなと思う。
当初は青池君何すんねん!嫌もうヤバいやつやん。
大河内さん、会社行ってる間になりふり構わずに逃げて!
とか思うとこはありましたが(笑)結局、大河内さんは往生際が悪いタイプですかね、まだ過去の、平和だった頃に戻れるって思ってる、おバカさん。その夢から覚めるには最期の青池君の命をかけた行動があるまで無理なんですよね。しかし大河内さんの意志力ハンパないす。引越し手配出来るほど、気持ちが萎えてないのが凄い。
心のどこかで、無意識に、気持ちがあったんじゃないかと思えてしまう。自分を不幸だとか愛してないとか言いつつ、欲する気持ちがあったから・・・
いや、大宮から帰ってきたらまた荷物が無くなってるとかあるかもな。
でもハッテン場に行こうとしたりしてたり、あったもの、経験したものの喪失感を認識してるからそえはならないのかも。
「嫌よ嫌よも好きのうち、を壮大にした感じ」のストーリだな。全てがスケールでかい。会社でのいじめパワハラも、監禁も、そこからのイヤイヤ(書き置き事件)、躯はスキスキ、結局のとこ青池君の勝ちなんかな。。。
こういうのを読ませる力ってさすが木原音瀬さんだなって思いました。いゃもぅ素晴らしい。
最初はまじめでイケメンなゲイの部下が自分をクビにしたパワハラ上司に復讐していく話だと思って読んでいましたが、だんだん2人の関係が変化していきます。
木原音瀬先生にしか書けない綱渡りのストーリー、主人公2人の人格破綻しまくった心理描写が読み応えありました。
1回目に読んだ時はラストに向かう怒涛の展開に先が読めず震えましたが、2回目以降は結末が分かっているので、また違った視点で楽しむことが出来ました。
最初は「大河内って人付き合い上手くて人に取り入るのに長けてるって設定だけど、むしろ友達少なそう。。。」と思ってたのですが、中盤以降に青池が手玉に取られる姿を見て「なるほどなあ。」と感心してしまいました。
冒頭から巻き起きる事件。嫉妬。憎しみ。復讐。執着愛。
最後まで付き纏う、何とも言えない不快感と妙な切なさ。
夢中になって読みました。
才能ある部下・青池の持ってきた企画を尽く握りつぶす上司の大河内。そんなパワハラに加え、ゲイであることをバラされた青池は、ある日大河内に襲いかかってしまい退職に追い込まれることに。
そこから始まる復讐と愛憎劇の行方を描いたこの作品。
青池に脅迫され、半監禁生活を送ることになる大河内。
首輪で繋がれ犬扱いをされ、人としての尊厳を奪われる同居生活が始まります、
青池のすることは常軌を逸しているし、酷いことだし、暴力は大嫌いなんだけど、序盤はいまいち大河内に同情出来ませんでした。
何故ならこの人は青池にしてきた悪事を自覚しながら、まったく反省していないから。
犬扱いされている自分の惨めさに涙することはあっても、相手の人生をめちゃくちゃにしていたことを悔いる気持ちはひとつもない。
一方で、なかなか理解できなかった青池の心理は、後半の彼視点の物語で明らかに。
あれほどの憎悪に至った根本に、純粋な恋心があったとは。爽やかな恋心がドロドロの憎しみに変わっていく。徐々に壊され狂っていく様子が悲しい。
前後半で視点が変わり、片方の心理がわかるともう片方の心理が読めなくなるのが面白かった。
ラストは壮絶…。本当に壮絶でした。
二転三転するラストに、残りページ数とにらめっこしながら「ええええ!!」「えーーっっ!?」と息も絶え絶え。
監禁ものは、狂った加害者と支配されて狂っていく被害者…という図式が多く、そこに芽生えるものを愛と捉えるのは難しいのですが、2人の中で他人には理解し得ない新しい世界が生まれるのは確か。
いやー、それにしてもこれは…
木原先生の筆致のなせる業か。
人間の嫌な部分やそのままの感情を、ぎゅぎゅっと凝縮して歪に丸めたまんま、取り繕ったり装飾したりせずにポーンと読者に投げてくる木原先生は本当にすごいと思う。
心地よくないのはわかっているのに読んでしまう。そんな悪魔的魅力がたまりません。
苦味ばかりの男が気まぐれに落としていく飴は、ことさら甘い。
作中の一文、まるで木原さんの小説のようですね。スペイン映画「私が、生きる肌」を彷彿とさせる監禁と愛(こちらの方が先ですが)、最後の1ページまでハッピーエンドなのかバッドなのか全く読めないのは相変わらず面白く、半端ない読み応えでした!
素敵な挿絵は今でも古くありませんし、内容とのイメージが私にとって差がなく助かりました。
ゲイの青池が好きな上司の為に完璧な企画書を出すも、嫉妬を買い虐めに合う。愛が憎しみを生むお話。
大河内からのぞんざいな扱いで青池の胃に穴が空いたりするわけですが、それでも監禁は明らかに酷過ぎます。容赦がなく、よく思いつくなと失笑してしまうくらい。それでも青池がされた事がどれだけ彼を蝕んだのか、自分の行いがどれだけ人に影響するか真剣に考える、それくらいは日常生活で活かせる教訓です!
テレビドラマでは殺人動機や出来事を映し、愛が憎しみに変わっていくというのはあまり丁寧に描かれない部分な気がします。青池はかなり自己分析していて、大河内の嫌いになりそうな部分も少しの飴を見つけ好きになってしまったり、監禁までしてしまうのに自問自答する場面が丁寧に描かれていました。そういった感情になかなか出会ったことのない読者でも、理解できない事にいつまでも頭を使う事なく集中してサクサク読めました。大河内をどうすれば自分は気が済むのか、監禁をしている事に対して迷う心理描写は個人的にとても新鮮でした。この気持ちの変化で監禁体制も変わっていくのが面白いし、この迷いの果てがそのままラストに結実しているのだと思います。
後半戦にすすみ「えっこれってハッピーエンドなのっ!?」という甘い展開も驚きましたが、台詞も可愛く楽しめました。ここは「飴」だぞ、これからどんな激辛が待っているのだと待ち構えつつ、もしかしたらこのまま終わるのもアリかなと逡巡するのが、毎度楽しいです笑。
新アパートでの事件もかなり劇的で映画に出てきそう。青池が出した一つの答えですね。そのまま二人死んでも壮絶で支持しますが、希望が見えて少しだけほっこりする終わり方で読み終えられました。本当に凄まじい作品です。
この手の読み味のBLは減った気がします、
メリバという言葉がありますが少し前までハピエンが約束みたいな風潮がありましたし。
軟禁でなく完全に監禁です、
イジメ方も半端なく●ーメン載せのドッグフードとかどう考えても萌えません。
ただこの作品のすごいのはそこまでしてもBLとして成立してる所だと思います。
青池も大分異常ではあるけどちゃんと攻めで文章力がある以前にBLへの愛が溢れた作家さんなんだろうと思いました。
だがそれがいい…。
木原先生の作品に惚れ込み五冊目。
これまた凄かった…休む暇もなく読み続けるしかないと思えてしまう。
どれもこれも心も体も痛めな話ですがバリエーション豊富で毎回満たされまくっています。
監禁もの、そして犬扱い…受けの全裸でいる時間が長いこと長いこと!
序盤の容赦ない仕打ちの連続に全身引き込まれました。
愛のない全力のアレコレはとても読み応えがあります。
ドッグフードの食事や小スカ…
お風呂にいれてもらえない、歯も磨いていない……そんな扱いを受けていれば仕方がない匂いや汚さ。
そこらにあるシリアス話では書かれないような細かな描写が醜くも現実味あふれていて私はとても好きでした。
そして何より衝撃的だった一つが出世欲の強い受けを攻めが辞職させたこと…。
ここまでしてくれたかと。生活の中心だったそこを奪うことまでしたんですよ。
やることなすこと中途半端なんてないんですよね。
内容はえげつないんだけど、ありえない…とか怖くて読みたくない…とかそういう気持ちが一切湧いてこないんです!
元の性格だったり尋常ではない執着だったりお互い性格に難アリなのですが、木原先生の書く人物ってどうにも嫌いになるってことがないんですよね。
自分の好み関係なく惹かれるっていうのかな。だからこそどの作品もじっくり読みたくなるんですよね。
そんな異常な二人の生活も攻めが受けにも愛が芽生えたかもしれないと信じたくなりとうとう首輪を外すにいたるんですよね。
人間らしい生活をさせられていなかった受けが何か行動するかと思いきやまさかの甘めな生活が続くんです。
え、まさか木原先生の作品でそんな……こんなご都合ハピエンルートに入るわけない…そうだと言って……とゾクゾクしていたら終盤でもバッチシ見せてくれました。
とんでもねぇことした側が反省して改心してそれでも愛を求めたり
された側が攻めの真意に動かされ心変わりしたり仕方ないなと広すぎる心で受け入れたりのよくあるウルトラハッピーエンドを迎えるわきゃない木原先生の作品が大好きです。
どシリアスなよくある話って終盤で懺悔タイムに入り普通らしい愛の形で終わるのいつも違和感だったんですよね。
そこまでしたんだから愛でも歪な形したままの方がリアリティあって私は好きなのですが…物語らしいご都合的愛し愛され話にならないところが素晴らしいです。
こういうのをBLでも読みたかった、求めていたので大満足です。
今回もたっぷり堪能させていただきました。
木原先生の作品もっともーっと読みたいです!!
美しいことがそこまで好きにはなれず、木原作品に消極的でしたが、レビューをみて再チャレンジ!
結果、最高に面白かったです!!!
木原さんってリアリストだなーと思ったのが第一の感想。みなさんが言うほど攻めも受けもゲスいとは思わなくて、おるなー、こういう人。BLは人格者多すぎすぎ、スパダリが多すぎるだけで、現実の人間ってこんなもんやんなーと思いました。
BLってある意味ファンタジーで、書き手も読み手もそれを承知してるエンターテイメント性が高い物が多くて、それはそれで楽しく読めるけど、木原さんのは妙にリアル、だからしんどい!イケメンな受け、だけと仮性包茎で小さめなんて描写、ファンタジーBLだとなかなかお目にかからない!
現実では少なくとも一方がノンケだと99パーセント恋愛にはならないし、セフレはあったとしてもハッピーエンドってなかなかないわけで、それでもBLにしたければ、ノンケの価値観を打ち破るだけのショッキングな何かが必要で、今回の監禁調教はそれに値する出来事で、リアリストな読み手を納得させてくれるストーリーだった。監禁調教の何が受けを変えてしまったかって、それが単なる身体の快楽だけなら、それだけの陳腐なストーリーだけど、攻めから逃げるまで間に、何度も攻めを絶望に陥れる妄想してそれにとてつもない快感を得ていたっていう描写で、憎しみ余って愛しさ100倍というか、そういう精神的なベクトルが攻めに向いてることをきちんと書いてくれたことで、ゲイ×ノンケの共依存的なハピエン?に納得できました。
ラストが特に好きで、映画のラストシーンのような余韻が気持ちよかったです。
多様な感想があるこの作品ですが、自分は読み終わった後、面白かったなぁ! と素直に思いました。木原先生の作品を読み始めて、いろいろ酷い?カップル達に慣れてきたせいかもしれませんが……。
大河内が青池に対してやってきたことは、普通にパワハラで、しかも会社に居られないように徹底的にやる! って感じで、最初は大河内という人間に全く好感が得られませんでした。
けれど青池の奇行を見ていくうちに、だんだん大河内が可哀想になっていきます。元パワハラ上司だけど、流石にやりすぎ。
途中までは、青池がそのくらい大河内のやってきたことに怒りが治らないんだと思っていましたが、長く長く監禁が続くうちに、ただ単純に、青池が大河内から離れられないだけなんだと気付きます。
そこからは青池から大河内への気持ちが一方通行すぎて、青池の視点に立つと読んでいて気持ちが痛かったです。やることヤバすぎですが!
それでも読書的には楽しんで読ませていただきました。
ただBL的には、この2人の関係が果たして恋愛にまで発展するのか、最後まで疑わしかったです。
自分のような感想はもしかしたら少ないかもしれませんが、青池がやることにビクビク怯えていた大河内がいつ仕返しをするのか、ずっと待っていました。
ハッピーエンドとまでは行きませんが、これも一つの終着点のように思います。
攻めの属性に『健気』とあって「物は言いようだな!」と思いました
これ、健気ですかねwww?
木原さんは面白い作家さんで痛いのもコメディも読んでて楽しいです
ほんと、ハズレがない
今回のこの作品も夢中で読みました
受けが安定の卑劣な男で『いつものきたわー』と思いながらwww
まぁ、こう言う上司っているよね
自分の出来ることが人脈作りと根回しや接待って分かっててそこ頑張ってるなら別に仕事してると言えるんじゃね?と思ったのでそこはあんまり気になりませんでした
気に入らない部下に嫌がらせも悲しいかな良くある……
反対に気に入らない上司に刃向かう部下もいるわけだし……それもあり
が、人の企画横流しはダメだろー?と思いました
それで結果受けは散々な仕返しを受けるのですが『なんで俺がこんな目に』ってwww
いや、お前が悪いわとwww
序盤、受けのマンションに同性愛者の仲間を引き込んだ攻め
そこで受けはレイプされそうになりますが攻めがモブを足蹴にして事なきを得ます
この辺りから『あーはん?もしかして?』と思いました
いや、いくら仕事で虐められ、辱められ、退職に追い込まれたとは言えやってる事は常軌を逸してましたからね
好きなんだー、でも受け入れてもらえないどころか徹底的に拒絶されて捻じ曲がったんだーって思いました
そうやって読むと、まぁ攻めのやってる事が稚拙に思えて
やられてる受けも悲壮感はないしね、なんとかやり返そうとするし
一度、受けが衰弱死しそうになりますがその時の攻めの行動やその後の葛藤を読んでて『あー、ザマァねえな』と思いました
好きになって欲しい、受け入れて欲しいってダダ漏れ
受け入れてもらえるわけないじゃん
あんた、ただの犯罪者だよ?と
少しずつ、受けが攻めのことを受け入れるような描写が増えてきて『そろそろくるな』と思ってたら案の定攻めは受けに逃げられます
しかも『死ね』と置き手紙……!
こんなに胸が空いた事はありません!
ざまぁ!
受けに同情もしませんが攻めに嫌悪感も抱いてたんで
今までの木原さん作品ではなかった事です
初めて攻めに『こいつホントどうしようもないな、痛い目みりゃいいのに』と思って読んでたし
最終的に逃げた受けを待ち伏せし見つけ出し付け回しレイプ
いやー、受けも危機感なさすぎ
ドア開けるにしてもドアチェーンは外さないもんですよ?今まで受けた経験を少しは活かせよ!
しかしね、この受けホント強い
精神的に打たれ強い
普通発狂するよ?
何事もなかったかのように日常に戻れるとか凄すぎる
結果、刃傷沙汰で警察沙汰
そしてまた同棲が始まる
『共依存だな』と
『割れ鍋に綴じ蓋だな』と
一生攻めの青池は受けの大河内に妄執し続けるだろうし、それがデフォになってきてる
これも一つのハピエンなんだろな、と思いました
狂犬ストーカーの青池と、ずる賢くて性悪な大河内。
正直、木原作品によく出てくるタイプのクズキャラだなぁという印象で、青池が大河内を陵辱、監禁するシーンも描写としてはキツいですが木原作品をすでに結構読んでる身としてはキツい描写に慣れてしまってそこまで新鮮味ないな…と思って読んでました。
しかしそう思うのも序盤だけで、どんどん物語にひきこまれまい…
大河内視点のときは青池の思惑がわからず、青池視点のときは大河内の思惑がわからず、ゾクゾクしながら一気に読み進めてしまいました。
終盤は、大河内が案外あっさり陥落したと思いきや、突然落としてくるという…青池が手紙を手にしたシーンは衝撃でした。
最後の最後まで大河内って嫌な奴だったなと…(青池もやばい奴ですが)
でも木原作品の良いところは、嫌な奴がなかなか良い奴にならず、ほぼそのままの人間性のまま両想いにたどり着くところだと思うので、期待を裏切らない落とし所でした。
滅茶苦茶な恋愛関係(といっていいのか…)だと思いますが、こんな憎しみ合いカップルもまた一つの萌えでした。最高でした。
初めて読んだときは過激な描写に圧倒されて、あとがきの「ハッピーエンド」が納得できなかったのですが、繰り返し読むうちに、傷つけ合い、相手の嫌なところも体も全て知り尽くした男二人がたどり着いた結末と考えれば、これはありだと思うようになりました。
表題作「FRAGILE」は、優秀な広告プランナー・青池が卑劣な上司・大河内に凄まじい復讐をする話。
大河内が犬のように裸で首輪につながれ、辱められ、プライドをズタズタにされる描写には背筋が凍りました。青池の怒りの凄まじさ。中でもドッグフードの場面は吐き気を感じるほど。
大河内の視点で書かれているので、途中までは青池がただ恐ろしく残酷な男にしか見えなかったのですが、大河内が入院した時には大慌てしたり、お粥を大河内にかいがいしく食べさせたりするあたりから、何かあるような気がしてきました。そして大河内に「愛していますよ」と言う…。青池の中に隠されている感情がほんの少しだけ暗示されて、この話は終わります。
人の自尊心は壊れやすく(=FRAGILE)、理不尽に傷つけると痛い目にあうという教訓は感じても、続く「ADDICT」を読まなければ、なんだか消化不良で。
一転して、青池視点で語られる「ADDICT」では、真面目で繊細な青池の人間性が浮き彫りになり、驚きました。卑劣な男と分かっていても、好きと言う気持ちをどうしても手放せない。大河内の反応にいちいち傷つく青池が哀れです。
憎しみが薄れ大河内を性的にいたぶるようになると、青池は心を手に入れられない虚しさを感じ始めます。この「調教」が後に大河内の中でじわじわと毒のように効いてくる仕掛けが面白い。
たまらず青池が「好き」と口にした時から、大河内は密かにそれを利用して復讐の機会をうかがい、強烈な仕返しをします。しかし、傷ついた青池が自爆するような行動に出て…。渡辺淳一の「失楽園」を思い出しました。若い人はしらないかもしれませんね(笑)。失楽園は合意の上でしたが、こちらは青池の強制。そんなに大河内がよかったのか。青池も「自分は頭がおかしいんだろう」と言っていますが、有能な男が卑劣で臆病な男にここまではまるのは、まさに中毒(=ADDICT)。
一方、大河内の体も、知らないうちに青池の「調教」で青池中毒に。物語の最後、大河内の視点に切り替わり、青池に付きまとわれる自分は最高に運が悪い、不幸、とつぶやくのが、まったく説得力がなくて、笑えます。青池に「もう一個」とブドウを催促する言葉のなんと甘いこと!汁気たっぷりのブドウがまたエロティックで。体の相性が良く、取り繕う必要が全くないないなんて、青池は見栄っ張りな大河内には最高の相手だと思います。本人は認めていませんが。
一番面白かったのが、大河内が女性との普通のセックスが激辛料理の後の豆腐料理のように味気なく感じるというくだり。お豆腐、おいしくてヘルシーですが、辛い料理のおいしさを知ってしまったら、戻るのは難しいですよね。すごい説得力です。
この作品が激辛料理のようだと思いました。辛さに慣れると、酸味、旨味、甘みをじわじわ感じて。その混然一体のおいしさを、読み返して何度でも味わいたくなります。
あっさり好きになったなと思ったら、やっぱりそこはさすが木原作品。
どんでん返しがありました。
まだ木原作品を語るには数は少ないですが、
相変わらずキャラブレしないですね〜!
クズは直らない。ということで、清々しいほどのクズ。しかし憎めない!青池が沼にハマるのも分からなくはないです。
萌えやBL的要素は少ないお話です。BL好きな方が読むと神や萌えではない展開だと思うので評価を中立にしました。個人的に執着ものが好きなのでこちらのお話はドストライクで大好きです。ネタバレはしませんが最終的には事件ですし、その事件の内容も怖すぎますし、精神的に追い詰められていく攻めと受けが可哀想・・・この悲劇的展開しか想像できないストーリーを木原音瀬さんが描くとこうなるのか!とまた木原ワールドが好きになる一冊でした。高緒拾さんのイラストも最高です。
ちょっと前に読んだのですが、未だにすごい作品だったなという印象があります。
精×かけたドックフードを食わせるBLがある、というのをネットで見かけて何それどういう状況!??やばいでしょ…?と思い買ってみたという経緯があり、事前にレビューなどでかなり人を選ぶこと、結構きついことを知っていて心の準備を完璧にしながら見たのですが……それでも結構苦しいBLでした。
高飛車で、気高くて、偉そうで人としてどうなの?という人物である大河内。彼からひどい仕打ちを受けていた青池。青池が大河内に復讐する、というような内容ですが、いや報復にしてもやりすぎでしょ!と目を瞑りたくなるようなこともしばしばでした。けれどこの2人がどうなるのか、大河内が陥落するのかと先が気になって恐ろしいながらもページをめくる手が止まりませんでした。暴力や強姦の末愛が芽生え…かと思ったら陥落していなかった!というシーンではもうめちゃくちゃグッときました。BLの酷い仕打ちを受けるもの(主に強姦)の受けって、陥落がすごい早い印象があって。陥落しないで!がんばって!逃げて!と謎の応援をするタイプなので(笑)置き手紙の衝撃といったら!!! すごい破壊力でした。その後の展開も恐怖と衝撃の連続でした。本当にすごい作品です。
とはいっても、最終的には収まるところに収まるのですが。ハッピーエンドというか、バッドエンドというか。メリバですね。互いにとって不幸なようでもあり、幸せ!…とは言い難いように思いますが、これもひとつの愛の形かなあと。
第一、青池の不幸は大河内を好きになった時点で始まっていますものね。彼は結局幸せを得られたのでしょうか?
読む人は選びますが、色々と考えさせられる、読めば心に蟠りが残るような作品です。この作品にぴったりな言葉はまさに愛憎でしょう。
※前に読んだ作品ですので思い違いがありましたら申し訳ございません。
木原音瀬作品を初めて読む、またはBL初心者という方にははっきり言ってオススメしない。とても大衆的ではないし、物理的にも大変不快な描写が差し込まれているというのが、前提です。
今作は大きく分けて3部構成で描かれていると感じました。物語は、受け→攻め→受けの順に視点が変わっていきます。
まず受けである大河内の視点で始まるわけですが、攻めである青池に殺されかかるほど憎まれる男とは一体どんな人間か。いかに大河内が狡猾で性根の腐った男であるか、青池の視点で描くよりも遥かに効果的です。
大河内は極度のナルシストであり、己の為ならどんな手段も辞さない。物事は全て利害関係で成り立ち、一度敵と認識すれば容赦のない仕打ちを罪悪感なしに与えます。このナルシシズムは自己陶酔とは違います。彼は客観的に己を省みる事が出来、才能がないゆえに人に媚びへつらう事で処世術を磨き周囲を蹴落として来ました。顔立ちは綺麗でフェミニンな雰囲気を纏ってはいますが、男としての象徴は仮性包茎で小さくお粗末な代物、というのも彼の根本に渦巻くコンプレックスを匂わせます。手数が少ないからこそ、自己愛に必死になるわけです。
一方青池は真面目で才能豊か、身持ちもかたく一見誠実さを兼ね備えた好青年のようなエピソードが、彼の周囲の人間から語られます。そんな男の憎悪は凄まじく、大河内に向けられる数々の凶行に今作をリタイアする方も多いかもしれません。真面目な人間ほどキレると怖いとはよく言います。
序盤から完全に青池がイニシアチブを握っており、支配するものとされるものの図式はとても明確です。大河内は恐怖に、青池は憎しみに囚われたまま、この奇妙な同居生活が始まります。
やがて憔悴していく大河内は青池の気が済めばいつか解放されるのではという望みに縋り、自身が楽になるためなら犬にだって成り下がります。解放の兆しを感じたのも束の間、大河内は青池が抱く執着の根底が、自分への好意という真実を知ります。
そして、それをまざまざと見せつけられた時、憎悪よりももっと恐ろしい、終わりの見えない絶望に落とされるのです。
続いて視点は青池へと変わります。ここから物語は大きく動いていきます。
青池は憎しみによる一方的な執着に、自分で辟易し、止めたいのに止めることが出来ず苦悩している事が彼の視点で明らかになります。不毛だと理解する一方、大河内に対する恋情を捨てられないという、非常に不憫な恋が描かれていきます。
この二部では、情緒不安定に陥った大河内が、次第に従順に変化していく一方で、青池は大河内の要求を満たしていきます。大人しくなった大河内はさながら本当に犬のようで、頭を洗い歯を磨かせ甲斐甲斐しく世話をする青池はまさに飼い主。
読者は大河内の意外な可愛さに魅了され、青池がどんどんとのめり込んでいく様を切ないようななんとも言えない複雑な心持ちで見守ります。やがて理想が現実のものとなり、夢のような時間がやってきます。
けれど、蜜月の日々はそうは続かない。といったとこまでが大体二部。
最後に大河内視点で、短いものの最大の山場となる三部が待っています。
終始物語として面白いのはこれが間違いなく心理戦を描いたサスペンスだという事です。一度読み終えたら、青池視点の箇所からもう一度読み返す事で、この物語の味わい方が大きく広がるのではないでしょうか?大河内の言葉の裏に隠された真意は、後に彼自身が教えてくれるものもあれば、大河内自身も気付いていない片鱗がある気がしてなりません。
この二人の一番の面白味は、良い意味でも悪い意味でも、人を惹きつけるだけの魅力を兼ね備えた人間だということ。幸福を得るためには他者を蹴落とすということは必ずしも悪ではありません。意識せずとも、みなそうして生きています。そんな中で根拠のない自信にまみれた二人には決定的な『行動力』があるのです。これほど物語を劇的に面白くさせる素養はありません。大河内にしても青池にしても、その行動力たるや半端じゃない。恐らくこの二人は似た者同士であり、大河内が磯野ではなく青池を囲い込んでいれば、最強の相棒に成り得たに違いないのです。
もう一つ大事なポイントとして、二部ではいつの間にか大河内がイニシアチブを握り青池が支配されて行くという流れは非常に巧みです。読者さえ騙すほどに。媚びへつらう大河内の流石といった手管に、青池は全く気づけず罠にハマってしまう。これぞ惚れた弱味でしょうか。最も繊細な部分をえぐるからタチが悪い。このように変化していく二人の立ち位置も、今作の大きな魅力と言えます。
病室にて、青池と大河内の筆談する場面が印象的です。最後の最後まで自分にかかる不利益に否を申し立てる大河内に、声の出ない青池が爆笑する。傷つく心すら枯れ果てたと語る青池は、予想通りの大河内の言葉に安堵したのではないでしょうか。期待する必要がないという諦めにも似た安堵感は、青池を少なからず幸せにし得るという予感がありました。
青池を疎ましく思いながら、彼のそばで本を読み身体に触れさせる大河内は、憮然とした態度ながら青池を受け入れ、感じたままの声で喘ぎ、媚びへつらう事をやめました。何も言わずに大河内をセックスへとなだれ込ませる青池はそんな彼を好き勝手に貪り愛します。何も取り繕うことも無くありのままの自然体で描かれた二人は、ようやく対等になりスタート地点に立った気がしました。
二人に行動力があるがゆえに、事象によって目まぐるしく展開していくので、心が置いてけぼりにされてしまいキャラの真意を掴むのに苦労する印象。ですが、この終わり方には救いがあり、どこか前向きです。不幸のドン底まで追いやるのはいつでも出来る。少しの期待と予感を匂わせるのは、今作では充分過ぎるほどのエンディングではないでしょうか。
今まで読んできた木原さん作品は、痛くても気持ち悪くてもなぜか最後まで徹夜までして読んでしまう作品ばかりだったのですが、この作品は申し訳ありませんが途中飛ばしました。。。読んでいられなかった。。。
ドッグフードにxxxをxxxしたものを食べさせるとか、よく思いつくよね!!木原さん大丈夫?!と、登場人物や話の内容がどうよりも、作者の心の健康が気になる作品でした。
と言いながら懲りずに木原作品に手を出す私。。。中毒性高いです。
この作品は…木原先生作品のエグさに慣れていない方にはオススメしないかもですね(笑)。ちるちるさんの評価見て、神評価と中立・しゅみじゃないがかなり分かれていて納得しました(汗)。これは確かに…木原先生の作品の中でもハードルの高いやつですね。
エロこそ少なめですが、調教シーン(ガチです)がほんとに衝撃でした。愛しさが強ければ、同じく憎さも増していき虐めたくなる。たしかに大河内は人間、上司として最低ですが、青池も頭のおかしいヤツだなぁと思いました。だからこそこんな2人はぴったりお似合いではないかと思っています(笑)。
なぜか逃げるために青池を騙し、愛しているふりをする大河内を見て天使のカイルを思い出してしまう…。最後大河内は青池を好きになったかというと、わたしから見るとまだ恋愛としての好きではないと思います。でも前みたいに嫌いではないような気がするし、青池のこと認めているし、2人のこれからは無限大の可能性があります。
今回も素敵な作品ありがとうございました!
実はもう大分前に購入しておきながら放置状態となっていた本作。皆様のレビューを拝見し、評価が分かれる作品であることが分かり、読もうか読むまいか悩みつつ後回しにしていた作品です。でも一度は読みたいと思っていた著書。ここのところ木原作品を立て続けに拝読し、並々ならぬ奇才ぶりを認識するに至り、是非とも拝ませて頂きたいと手に取りました。
目次には「FRAGILE」と「ADDICT」の2つのタイトルがあり、両方で1つのお話です。「FRAGILE」は大河内(受け)視点、そして「ADDICT」は青池(攻め)視点で描かれ、最後の方で再び大河内(受け)視点で幕を閉じます。
あらすじ
上の人間には媚びへつらい、ライバルは蹴落とし、無能の部下は大切にするものの、有能な部下はないがしろにする、そんな陰険な上司が大河内(受け)。そしてないがしろにされる側の有能で実直な部下が青池(攻め)。長いこと職場で陰湿ないじめをうけていた青池(攻め)ですが、ある日職場で大河内(受け)にプライベートを暴かれます。青池(攻め)は我慢も限界とばかりに大河内(受け)に襲い掛かり、退社をよぎなくされました。本当は大河内(受け)にずっと恋心を抱いていた青池(攻め)。ノンケの大河内(受け)に振り向いてもらうのは無理と諦め、せめて仕事で能力を認めてもらい、片腕として傍にいられたらと願っておりました。ところが大河内(受け)に、そんな気持ちは微塵も通じず…。青池(攻め)が退社してから1週間後、大河内(受け)は自宅マンションで待ち伏せしていた青池(攻め)に首輪をつけられ、犬のように扱われ…。
読み終えた直後は何やらホーっと放心状態になりました。激しい、激しすぎる。でも読んで正解。面白かったです。青池(攻め)から大河内(受け)への報われない愛の気持ちや、愛から憎悪へと変貌する「可愛さ余って憎さ百倍」の気持ち、また暴力シーンなど、どれも皆すさまじ過ぎて圧倒されました。けれども小説として最高にドラマティックで素晴らしい作品でした。ページを捲る手が止まらず、夢中になって読みました。
私はハッピーエンドが大好きで、それさえ守られていれば、途中どんなに痛くても酷くても大丈夫なのです。ところが最後の方で青池(攻め)が自刃を試みた時には焦りました。バッドエンドだと思い込み、その凄絶な愛と苦悩に涙が溢れ、読書の途中で小休止。わんわん泣いてしまいました。泣くだけ泣いて続きを読み始めてみると、新たなる展開が繰り広げられており、ホッと安堵で心が満たされました。
このハッピーエンドに関してですが、捉え方によってはバッドエンドと思われる方もいらっしゃるかもしれません。なぜなら、青池(攻め)は大河内(受け)を好きで、好きで、文中その愛をいたるところで感じますが、大河内(受け)が青池(攻め)を好きだと想ったり語ったりするシーンが一つも見受けられないからです。それに何と言っても最後の最後にこのセリフなのですから。
「……愛してもいない男と、こんな生活を送る自分はどうしようもなく不幸だ」
これは紛れもなく大河内(受け)のセリフです。でも本人気づいていないだけで、本当は滅茶苦茶幸せな人。だってこんな人でなしのナルシストを、ここまで深く愛してくれる人など世界中どこを探したっておりません。青池(攻め)くらいのものです。それに口では不幸だと言いながら、大河内(受け)の身体は実に正直で、青池(攻め)を求めてやまないのです。すっかり青池(攻め)によって開拓されてしまったのですね。
そして体だけでなく心の方も。たぶん潜在意識下では既に惹かれ始めています。それはもう後半の甘ったるく満足げな生活態度で分かります。愛されて、甘やかされて、美味しいものを食べさせてくれて。これ程の至福はないのではないでしょうか。それゆえ私はこれをハッピーエンドと捉えました。そうそう、青池(攻め)の大河内(受け)への愛の強さはこの言葉に凝縮されていると言っても過言ではないでしょう。
「これから先、誰と愛し合ったとしても、俺以上にあなたを憎んで、好きになる人間はいない」
私もそう思います。良かったね、青池(攻め)。ようやっと想いが通じ合ったね(^-^)v
最後に申し伝えておきます。いわゆる監禁ものです。過激な暴力や気持ちの悪い表現、読んでいてゾッとする描写もあります。甘々ほのぼの系がお好きな方、また感情移入が激しい方には向かないかもしれません。とはいえ流石の筆才で評価が高いのも頷けます。読書中は、再読なんて有り得ないかもと思っていたのに、これがなんと不思議なことに、2度3度読むうちにもっともっとその良さが分かってくるという…木原センセ、凄いゎ**(/▽/)**
昨今のストーカー殺人事件を連想させ、不愉快にお感じになる方もいらっしゃるかもしれません。けれどもフィクションとして、またファンタジーとして、私はとても楽しい読み物だと思いました。もしも木原先生のファンであるならばご一読を!私は電子書籍の為あとがきが掲載されておらず、それだけが残念でした。
監禁もの。
ここまでやっちゃう!?と思わせる攻めさんの非道さにびっくりです!(いい意味で)
ふつう受けが可哀想になるはずなんだけど、その受けが見事にクズなので、全然同情心湧かなくてむしろちょっと笑いながら読んでしまいました笑) クズキャラって私は嫌いな方なんだけど、ここまで性格悪くて小心者だともはや痛快の域。
恋愛としての萌えは、私はあんまり感じなかったんですけど、でも作品自体が面白すぎるので全然いいです笑)一応最後は結ばれた感じになってるけど、絶対幸せになりそうもないなって感じでした。
実は、初・このはらなりせ作品。(木原さんが活躍し始めた頃、私BLから足を洗ってたので・・・)
皆さんのレビューを読んで、何かコレはヤバそうだ!と思い、購入。
結果、すごい衝撃。
うーわーやーばーいー。
これは、後引くわ!
パワハラする下らない上司・大河内。彼が痛い目をみるのは、ある意味当然かも。(ゲイを犬以下みたいに言うしね。自分が犬になって反省させられるのは、必然なのかも・・・)
けど、どんな痛い目をみても、変わらないっていうのが、すごい!
プライドが高いって言うか、むしろプライドないのかよっていうか。
こういう男を凌辱するのは愉しいし、執着しちゃうよねえ・・・。
この、大河内という受け(犬)が、本当に性格も意地も悪くて、普通の人間なら、反省して丸く優しくなったりするようなことでも、変わらない。
ここまで一貫した男っていないから、他の男では替えにならないかも。
後半、攻め・受け、両方の視点から描かれるあたりが秀逸。
夢のような蜜月が、はかない。
大河内にとって、愛ってなんだろう?
大河内はいっそのこと、快楽に、希望に、絶望に、堕ちていくのが相応かも。
ちょっとそんなことを思った、すごい話でした。
きっつい話が好物の方には、おすすめです。
追記・電子書籍(レンタさん)で購入したのですが、皆さん賛否両論の「あとがき」は、入ってなかったです。それから、終わりの方で、文章のつながりが何だかおかしいところが。どうしてだろ?
友人から「木原音瀬」はいいよ。心に来ると言われ、まずはこれから読んでみました。文庫サイズでお値段も手頃だったし……。でも後悔。
ちょっ…、これ何?
あり得ない!ドッグプレイですよ、それも好きだった男をマッパにして首輪つけて、精○かけた犬缶口だけで食べさすんですよ!
ある意味心に来たーっ!!!!!
……斬新すぎて
あとから友人が「一番ヤバいのから引いたね」だって。
いいけど。
でも読み進めていうちに、甘くなるんですね。
でも受けは最後まで「愛してる」とは言わない。
ハードでヘビーなまま終了だと!
心に残りますが、後味も悪い。
でも「木原音瀬」はすごいと思った一冊です。
他も読んでみます。
ピンクの背表紙と、それに相反するようなハード表紙。
近年あまり手を出していなかった【全裸の受に首輪付き】ですよ。
読む前からヤバイ香りが全面に押し出されてますが、読み始めると自分の読みの甘さにのけぞりました。
鬼畜犬プレイがガチすぎです!
受の大河内が徹底的に嫌なやつすぎて、同情する気にもならないのですが、攻の青池のヤンデレっぷりももう半端なくて、完全にヤバイ人です。
普通にこんな人いたら、即仕事なんて辞めて海外にでも飛んで逃げたくなるくらい、もの凄い執着でした。
本編は救いがなさ過ぎて読むのがしんどすぎたんですが、続編がこれまた容赦なし。余すところなく鬼畜を書ききってます。
大河内を追いかけてさらなる執着を見せた青池の行動は、もうこっちの予想なんてはるかに上回りすぎてて完全にカオス……。
普通の執着攻じゃ物足りないというツワモノはぜひ。
一言で言えば凄まじかったです、今まで読んだBL小説の中で、いや今まで読んだ普通のホラー小説などを含めても一番衝撃的で怖かったです。ただ、真に勝手ながら個人的にはもっとエロエロなものを想像していただけに残念、大河内に対する青池の仕打ちには全然エロスを感じなかったし、個人的にこういう設定の物に(勝手に仕事を辞めさせられて大河内が泣きながら騒ぐシーンなどといった)現実的な描写?が多いとなんとなく受けが可哀想になってしまうため途中から読むのが辛かったです。
最後のオチも取って付けたようで正直残念、皆さん青池のことを可哀想、切ないとおっしゃってますが私には恐ろしい異常者だとしか思えなかったため全く感情移入できず…しかし、私は大河内の嫌がる態度が少し可愛かったので(すごく可哀想でもありましたが)「そこは萌があったかな?」と思います。
作者様の文章力は流石だと思います、人を選ぶ内容ですので安易にオススメはできませんが、多くのBLを読んで食傷気味な方は読んでみるといいかもしれません…
追記:他の方のレビューを見てオチの意味を自分なりに理解しました、結末は別に取って付けたわけではなさそうですね。
初めて木原小説にエロスを感じた作品です。作家さまの淡々としたリアルな作風が好きで、濡れ場も即物的な描き方なので、えっちで滾るBLというよりはそれを遥かに凌ぐ物語の独自性に思わず心奪われてしまうのですけれど、正直これまで読んでいてエロいなぁ…と思ったことはあまりなかったのですよね。(喘ぎ声に色っぽさを感じられない…。)
職場の上司と部下という関係で出会った大河内と青池。大河内は出世欲の塊で、今や独立してしまった実力派の植田とはかつてライバル同士だった。植田が辞め、彼を慕っていた植田組の社員がごっそり抜けた後に残ったのが青池。大河内の下についた彼をライバルだった植田の部下だったということで大河内が徹底的に苛め倒した結果、待っていた悲劇とは…。
この物語はイントロから一体何が起こったのか読者もパニックに陥ってしまうようなワンシーンから展開していき、しかも現実に起こり得そうなことがきっかけだったりします。その日常と非日常の脆い一線を超えてしまった狂気の世界を描くのが本当にお上手です。それでいて人物が狂気の世界に至るまでに段階が踏まれ、ちゃんと整合性が見受けられるところが作家さまの最大の魅力で(つまりは透徹した理性の持ち主でもあるのでしょうが)、たとえ極悪非道な鬼畜行為が描かれていたとしてもその裏には愛があると納得させられてしまうのです。ただこの作品についてはエンディングが曲者で …。あとがきで作家さまがハピエンであるとコメントされていなければ、神作品と評価したかもしれません。あえて曖昧さを残したエンディングだったとしても、予防線を張らずにオープンで読者に託して欲しかったかなぁ。
ゲイの青池がなかなか大河内を凌辱しないところに萌えてしまいました。咥えさせたりはするのですが、大河内が他の男に犯されそうになったり、衰弱して死にかけたり、一日中やることがなくて発狂したかのような行為に出て無様な姿を晒しても、青池の中に微かに残る愛に裏打ちされた良心のようなものが、結局憎悪すべき対象である彼を救ってしまうんです。他方、命が懸かっている大河内が青池に服従する姿がなんとも淫猥で…。物語終盤に描かれる束の間の蜜月が非常にエロティックでした。復讐心から酷いことをしてやりたいのに、壊してしまいたくない。相手を繋ぎとめるために奇しくもSMの様相を呈さざるを得ない、二人の抜き差しならない関係性が個人的にはツボでした。読後、大分昔に観てすっかり忘れていた『愛の嵐』という古い映画をふいに思い出してしまいました。
コミックスでもえげつない?関係性を描いた作品は多々ありますが、小説でもゾッとするのに引き込まれてしまう作品に出会うことができてよかったです。…そう言えちゃうのも作家さまのファンだからなのかな。
うーむ…私にはダメでした…
途中読んでて、あぁ〜もぅやめよっかなぁ〜と思いつつ、
けれどここまで来ると、救いがないと、どこかでこの状態を納得しないと自分の中で不快さだけで終わると思い…読んでました。
結局最後迄読んじゃったんですけど。
それ位、かなり重くて、どっと疲れる作品。
救いはなかったし、中途半端感あり。
どなたかのレビューにもありましたが、キムギドクのような世界、同感です。
キムギドクは嫌いではなく、むしろ好きな方で、
やってる事は不快極まりないんですが、
でも綺麗さや澄んだ感じをどこかに感じる、不思議な事に。
観終わった後、どこにも気持ちの持って行き場はないのに、
何故か空気が澄んでるような静寂さを感じるような、
あの感じが好きです。
ただ、こちらの作品にはそこ迄は取れなかった…
頭では解るんですけど、青池が大河内を好きだからって動機も。
なんでこんな状態になったのかって思ってる気持ちも。
まだ青池が会社をやめる前、なんであんなに頑張ってたのかとか想像すると確かにせつない、青池を愛おしく感じる。
ただ、その頃の事が説明だけで終わってるので、
こっちは、頭では理解する止まりで共感迄いってないから、
やっぱり犬扱いしてる青池に同情やせつなさをあまり感じられず、
ただの鬼畜行為感から抜けれなかった。
後半の大河内の逆襲は、そうでなきゃと思った。
ここで吊り橋効果だかなんだかで、複雑だけどハッピーエンド♪なぁんて事になったら、読んでたこの時間を返せ状態でしたから。
なので、本当の最後の最後がなんとも複雑でした…。
あとがきに木原さんご自身が、大河内の中に愛が芽生えたと書かれてましたが、
私には、どうしてもそうとは思えなくて…
(作家さんご自身に何言ってんの?と思いますが…すみません…)
大河内が青池を好きになると思えるエピソードも特にないし、
退院して大河内が青池をどうして部屋に入れたのかがまったくないから、
私の中では「死ね」で大河内さんが終わってるので、
ちょっとご都合な感じがして、中途半端感が残った。
惰性の元の場所に戻った感がした。
青池の喉を切る所は、良かった。
って考える私も相当最低ですが…
そこまで追い詰められてんのに、行き場がないのに、まだ好きを突き進む感じ。
すごいです。
なので、最後、
しつこいですが、退院から一緒にいる所に行き着く迄がないし、
あれだけの事があったのに大事な部分には触れず、
ただ元に戻った感じっていう風に感じたので、
しつこいですが、うーむ…中途半端…。
この作品の続編がもし出たらどうなるのかなぁ〜
木原さんならまたすごいの書いてくるんじゃないかと、
勝手な読み手はそう思う…1冊でありました。
はじめは青池の大河内への反撃が小気味よく、
「もっと苛めてしまえー!」
なんて楽しく読んでいたのが、虐め度合いが益々酷くなってゆき、だんだん読むのが辛くなってきて途中で本を閉じたのが3回。
でもやっぱりラストが気になるので、辛いながらもなんとか読み終えてしまった。
客観的に見れば、いいところなんて無いに等しい自分が全てのクズ大河内。
そんなことはよくわかっているのに、どうしても大河内から離れられない青池の気持ちがとても切なかった。
あれこれあったが、結局二人は仲良く(?)暮らしている。
青池に悪態をつきまくりの大河内を上手くあしらう青池。
二人のやりとりがドラマでよく見かける熟年夫婦のようで笑えた。
重い、痛い、辛い、怖い。そんな描写の繰り返しです。BL小説というジャンルに収まらない作品だと思います。読み応えはありすぎるほどありました。時間を忘れて読みました。でも評価は★2にしておきます。読後感は「疲れた」の一言です。
木原音瀬作品はいくつか拝見しましたが、ここまでタフな作品は初めてでした。鬼畜攻め、監禁モノなど、この物語を表すキーワードはいくつもありそうですが、もっともっと深い場所、人間臭い部分に焦点があたっているように思います。理不尽なことばかりで辛くて可哀相でも、それが愛ゆえ(あるいは憎しみゆえ)と思うと切なさを感じました。
これを読み切った今、自分に読破できないBL小説はきっとない!と思います(笑)
内容を知らずに、ごくごく軽い気持ちで手に取って読んでみたら、なんとまあ!!表紙イラストも裏のイラストも肌色で、首輪と鎖が書かれていて、おやあ?と思いはしましたが・・・これは木原さん上級者向けの作品だと思う。
まずは、青池のやったことは、愛やら執着やらを軽々と超えてもはや犯罪ですな。監禁罪と暴行傷害罪は成立します。ほかにもいろいろ、大河内のプライドをずたずたに引き裂くあの暴挙。大河内は確かに嫌なやつなんですが、さすがに序盤、中盤はかわいそうでした。
「もう嫌だっ嫌だっ嫌だ!誰か助けて助けて助けて!」と天井に向かって目を見開きながら叫ぶ大河内はさすがにかわいそうで・・・31歳で分別のある大人でも、こんなに変わってしまうのかと、ある意味勉強になったなあと(笑)
でも、二人は徐々に距離を縮めていって、一緒のベッドで寝るようになって、少々強引だけどセックスもして、手枷も首輪も鎖も外して、普通に愛し合うようになったかと思いきや・・・
まあ、木原さんはそんな矛盾を許しはしませんよね。修羅場に次ぐ修羅場を超えた後は、なんだかんだで青池の粘り勝ちというんでしょうか。ハッピーエンドでいいのかな?
心に沁みついて離れない作品に出会えました。
攻め様が受け様の事が好きで認められられる為だけに色々してきたのに、それを攻め様の暴露や陰湿な小細工によって好意から増悪に変わって…監禁したり…ドックフードを食べさせたり…放置したり…。
色々やりたい放題でした。でも、一線だけは越えなくて…。(まあ、別の意味で越えてるのかも知れませんけどね…笑)
でも、やっぱり色々されても好きなんですね!!
監禁生活を辞めたくて、受け様を放置しても結局は気になって様子見たり…。他の人にやられそうになっても守ったり…。はぁ~笑
だから、攻め様の嘘だったとしても、心が通い合ってやっと交わった時は萌えました!凄く二人が可愛かったです!
いや、でもその後の「死ね」は受け様、性格悪すぎ…汗
展開が分かってても、受け様ぁ…逃げるなよぉ~。
でも、そこはまた攻め様の頑張りと偶然によってまた捕まえますけど!攻め様が受け様の中にいたまま死のうとするなんて…!!さすが、執着力!!
執着力がやはり決めてですね!!
展開が若干読みとりにくいかも。
職場にも行きながら軟禁されるというシチュエーションにどうしても緊迫感やリアリティがついて来ない。
結局お互いに愛していたのか、明白な救いがない話なので余韻が楽しめる話ではあると思う。
続編があるのならば今後どうなるのか気になるところ。
私は実はハードな濡れ場展開を期待して手にしてみたのですが、期待の分星は少なくなってしまいました。
キワモノとしても、いろんなレビュでみた程キワどくもないかなと。
いや~微妙でした。
同作家の別作品でがっかりしたので汚名返上で評価の高い本作に手を出しましたが、やはり微妙。
人間の尊厳を奪うストックホルム系統は好きで、キム・ギドク、鈴鹿ふみ等々、こういう展開そのものには堪らなくゾクゾクしますが、
どーしてこの作家はこう因果設定が下手なんでしょうねえ…
会社組織のパワーゲームの果ての無視、不当な叱責等々のメンタルイジメ。
確かに腹は立ちますが、こんな理由で傷害、監禁、暴行してたら世の中は犯罪者だらけ。隣のご主人も会社の上司もみんないまごろ犯罪者でしょう。
呆れました。
BLは所詮お伽話です。
この作家に限らず、
下手に中途半端に現実じみた設定を持ち込んで、それが現実ズレしてて、読者を興醒めさせるくらいならば、
はなからバカバカしいくらいの現実離れしたトンデモ設定にしてくたほうがはるかにマシというのが、一貫した私の意見です。
相性が悪いのだと思います。
評価の高い作品に共感できないのは寂しいので、もう手を出しません。
そんな作品。
私にとって、大河内に驚くほど感情移入ができないお話でした。
普通主人公に少なからず共感してしまうのに、冷めた感情しか湧きませんでした。
大河内がライバルである植木の部下というだけで、青池に存在を無視するように酷くあたった。その事実が明らかにされた時点で、大河内に同情しようという思いは最後までありませんでした。
青池が可哀相で仕方がなかったです。青池好きな私の意見ですが。
抑え切れないほど恨みを持った青池は、大河内を犬として扱い、放尿、全裸に首輪、ドッグフード、嘔吐、素晴らしい調教に拍手でした(笑)
大河内も「やっ…やめっ…」ではなく「うわぁぁあああああああ」。
調教系が苦手な方には本当にオススメ致しません…(^_^;)
青池の「愛しています」にゾクッとしましたね。木原先生怖いです。
本当に木原先生の攻め様は魅力に溢れています。
後半「ADDICT」にて。
青池が大河内を好きで好きで、優しくしたいのに受け入れてくれない事に不安がってなかなか監禁道具を外せない。
段々好かれているかも…?と思い始める青池。
初めて枷を外した時の青池のドキドキっぷりと言えば…。本当に健気なんです。誰よりも。
それから二人のラブラブっぷりに知らぬ間に涙が出ていました。ラブラブというより、青池の想いが溢れていた、という感じですが。
しょうもない大河内がどうしようもなく好きな青池。
今まで犬のように扱ってきたのに、いざ本番の時はすごく優しくしようとするのが伝わって、涙がぼろぼろ零れました。
痛い表現が多い分、このシーンは最高でした。
二人は本当恋人だなと思い、幸せモードでラストに突入。
私も青池と同じで完全に気を抜いていました。今読んでるのは木原先生の作品だということを忘れて幸せに浸っていました…。
家に帰ると大河内の荷物が全て無くなっていて焦る青池。
私も信じていなくて、「お母さんがどうかしたのかな…大丈夫かな」と思っていました。
しかし大河内が書き残した
「死ね」
この言葉が目に入った瞬間、「あ、木原音瀬先生だ」とふと思いました。最後数十ページになっても。普通には終わらせてくれない。
前に読んだのが「薔薇色の人生」だったもので!
当然の如くラブラブエンドだろうと浮かれたのが、ガーンと殴られた感覚です。
ラスト、あの憎しみが戻って来ました。
大河内が憎い。大河内が好きな自分も憎い。それでも狂うほど愛している。
大河内も自分を否定して、青池への憎しみで自分を守ろうとしている。
この作品は、ただ感想を述べろ、と言われても何て言えばいいのかわからないのです。
魂ごっそり持って行かれました。他にはない作品です。
ストーカー男×性悪男の、がちんこ勝負な壮絶監禁凌辱ラブストーリー。
監禁凌辱な部分は共通項の「熱砂と月のマジュヌーン」は好きだった私ですが、この作品の青池と大河内には共感皆無でした。当然、萌えもなし。
でもこの作品に萌える人は萌えるというのも、分かります。
たしかに萌える要素は意外に詰まってる…ただとにかく地雷だらけなので、地雷を踏んでしまうと全て吹っ飛ぶという。
この作品、攻めによる受けの監禁凌辱モノでありながら、二人がSとMではないってところがとても斬新ですよね。先に書かれた方のレビューにも「どっちがSでどっちがMなんだか」とありますがその通りだと思います。
通常の監禁モノだと、そもそも監禁される方には潜在的にM性があり、程良いところで被虐に目覚めてくれて愛情が萌芽…とトントン拍子に話が進むのですが、この作品の場合、監禁される大河内は、どちらかと言えばS。それもかなりしぶとい方の。
監禁凌辱というシチュエーションにおける二人の相性はかなり悪い方と言えます。
最初は、結局ラストで愛が芽生える展開なら、大河内を逃がしたりややこしいことせずにストックホルム症候群落ちでも良かったのでは?と思ってました。
でも、この二人の場合には、やっぱりもうひと手間必要なんですよね。
最終的に、青池が大河内に「死ね」と言われたから死んでみせるという究極の執着Mを演じてみせた(というか実際死ぬつもりだったんでしょうが)ところで、漸く大河内は青池に落ちます。
体は監禁で馴らせても、大河内のS性を満足させるこの事件がなければ、二人が結ばれることはなかったのでは…という気がします。
それにしてもラストの、青池と大河内のいちゃラブっぷり…私は大河内(私の中では「ザ・嫌な上司」。私にとってこれが最大の地雷)を好きになれなかったので、不幸だと言いながら幸せそうな大河内には納得がいきません(笑)
できれば、大河内には一生青池の犬やってて欲しかった。大河内の犬っぷりには萌えなかったけど…
嫌悪感を持ってる人間の犬プレイって、やっぱり嫌悪感しか沸かないもんだなと改めて認識させられました。
とにかく高いハードルを設定した作品だと思います。
大河内がMなら、青池はこんなに苦労せずに済んだのに。
青池はどうしてこんな相性の悪い相手を好きになってしまったんでしょうか。
やっぱり青池という男、とんでもないマゾじゃないかと思ってしまいます。(そういう意味では二人は相性バッチリ?)
この一見結ばれそうにない二人を壮絶バトルの末にハピエンに導いた作者のスキルの高さには敬意を表したいと思いますが(なので「萌」です)、人間的に醜悪で、しかも自分を好きになる気配のない大河内に執着し続ける青池の心理といい、個人的に共感不能な作品。
私はありきたりなストックホルム落ち監禁モノで十分…という気分になりました(汗)
好みからすると「しゅみじゃない」なのですが、
そんな、自分のものさしや尺度を捨てざるを得ないような、圧倒的な力のある作品です。
まず、自分の中の「鬼畜」のイメージがいかに甘かったかということを実感。
驚愕の連続で、心臓がバクバクいいっぱなしでした。
特に後半激しくネタバレします******************
自分本位で人を見下し、職場の後輩の青池(攻め)を徹底的に苛め抜き、青池がゲイであることをバラした上、退職に追い込んだ大河内(受け)。
いつか大河内に復讐をすることを誓い、そして彼に対する暗い愛情を心に秘めた青池。
二人の愛憎劇です。
監禁。
凌辱。
小スカあり。
大河内の
「ひぃぃぃぃ!」
「ぎゃあああ!」といった
色気のない断末魔の叫びが、行為の異常性を物語っています。
鎖で監禁され、絶望する大河内。
大河内を掌握し、凌辱を繰り返す青池。
その場面は目を覆いたくなるくらい酷いもので、読んでいて、精神的にきつくなったほどです。
やがて、お互いの計算や思惑、心の機微や、相手の態度に心を動かされる様子などが見えるようになり、物語が動いて行きます。
印象的だったのは、
鎖で繋がれ自由を奪われた状態で、長時間たった一人で放置された大河内が精神的に追い詰められ、シェーバーで自身の全身の毛を剃ってしまうくだり。
「だって…何もすることがないから…」と涙をためて訴える様子は邪気がなく幼子のようで、思わず心を揺さぶられました。
ご褒美(本)を与えると嬉しそうに笑う大河内。
帰宅の遅い青池を責め、しがみついて涙をこぼす大河内。
いけ好かない会社員だった頃の面影はなく、どんどん可愛くなって行く大河内に完全に萌え☆でした。
そのため、
“大河内側の心情の描写が一切ない”という伏線を見落としました。
案の定、青池は大河内を心から愛してしまいます。
凌辱している相手を愛してしまったことの葛藤。
一方、大河内は抵抗をしなくなり、青池に身をゆだねるようになるのです。
凌辱ではない、愛のあるセックス。
抱き寄せて髪を撫で、初めての口づけを交す二人。
大河内は、手錠を外しても逃げません。
青池も、一抹の不安を抱えながらも、大河内の心を疑おうとはしません。
私が好きなシーンは、初めて手錠を外した日の朝。
逃げることを選ばず、自由になった手で大河内がまずしたことは、青池の鼻をつまんでいたずらっぽく笑うことでした。
そしてそれを抱きしめる青池。恋人同士のような風景に、胸がいっぱいになりました。
どうかこのまま終わってくれ!と思いましたが、ここで終わってしまったら、この作品がここまで支持されている理由が弱く、終盤は、ヒヤヒヤしながら、「何かが来るぞ…来るぞ…」と思いながら頁をめくっていました。
うわぁぁ!そして来たぁぁぁぁ!!
空っぽの部屋。
「死ね」のメッセージ。
大河内の心情が描かれなかった理由。
鋏で、自らの喉をかき切る青池。
容赦のない怒涛の展開です。
心身共に健康な方以外にはおすすめ出来ません(-_-;)
そしてエンディングを迎えます。
このエンディングがとても不思議。
青池は、大河内と一緒に食べようとぶどうを取り寄せしているし、大河内は、ぶどうの実を食べさせてもらうために口を開けている。
そして、大河内は「こんな自分は不幸だ」と思っているという、まんざらでもない余韻を残すラスト。
これは作者さんのあとがきで補完されます。
そっか、やっぱりそうなんだ!!という、安堵と嬉しさがありました。
あぁ、このラストで良かったなぁ…。
誰にでも気軽におすすめ出来る作品ではありませんが、鬼畜モノが苦手という方にも、ぜひ一度読んで頂きたい作品です。
ず~っと前に一度読んで、心に傷を付けた一冊です。
好き嫌いは確かに分かれると思うんだけど、読んだ人の心には必ず残り続ける作品だと思うのです。それくらい衝撃的。
他は結構ポロポロ忘れるんだけど(若年性アル…いやいや)、これは忘れられないです。
恋です!なんて言葉で表せないんだけど、青池の執着心と、二人がお互いを貶めるための執念は…どこかで愛にも近い何かな気もしなくもない…(曖昧な言葉になるけど、読んだ人なら誰しもそうなるはずです)
萌えるか、萌えないかって言ったら、萌えません。なんだかそういう感覚とは対極の気持ちを持ちました。一冊を通して、狂気じみてる…。
でも、読んで良かったとも思うんです。
こんなに人を憎んだり、執着する感覚は普通に人生で味わう人は少ないんじゃないかな。
クライマックスの青池に対する大河内の一言には、鳥肌が立ちました。
上手いなぁ…木原先生は。
例えば、どちらかがこの先家庭を持つことになったとしても、二人の歪んだ関係は長く続くんだろうなと思います。
絞め殺しの木みたいに、お互い絡み合って、人生を歪めていくんだろうなぁ…。
これ、怖いもの見たさで音声化して欲しいです。
帝王×遊佐さんとか、良い作品に絶対なると思うんですよね。
宝くじ当たらないかなぁ…、BLの神様!お願いします!オラに力を!
読んでみてください。
。
最初に読んだのは、高校生の頃でした。
受験生だったような気がします。(曖昧)
なんというか、王道に飽きてしまって、そして、なぜか、表紙に魅かれたという事を覚えています。この時点でおかしい。
でも、この、ろくでなしで、そして、最後の挿絵が、血みどろ、って言う時点で、なんだろう、これはハッピーエンドになるのだろうか、とわくわくしました。
どこまでも受けはろくでなしというか、本当に性格が悪いのですが、それでも、なんというか、蜜月ともいえるあの甘ったるい部分からは、受けが攻めに対して甘い感情も持ち出したのではないかと思いました。
でも、たぶん、それは、普通で小心者で、という受けにはキャパオーバーだったんだろうなあ、と思うのです。
だからこそ、相手がいなくなれば、とも思って、あの、赤字の二文字になったのではないかと思います。
でも、最終的には、お互いがお互いへの執着があるのは間違いはなくて、そして、葡萄の甘さはきっと、受けの攻めへの、奥底にある甘い気持ちを表しているのではないかなあ、と思いました。
だから、ハッピーエンドだと思いますし、これは、中毒になる話で、お勧めです。
この、人間と思わないような対応は嫌だと思う方もいるかも、と思うのですが、執着とか、どうしようもなく愛憎で壊れている人、という点では、適当であると思っています。
私はかなりいいな、と思いました。
信じられないほどのクオリティの高さ、
まるで映画を見ているようでした。。。。
読んでいる途中、攻めの受けに対する陵辱は、あまりにもリアルで、
そこに愛があるのかないのかも分からず、
ただ泣き叫び狂う受けが可哀想で惨めで、哀れで、
読むのを断念しようと思ったくらい、胸糞悪かったです。
もう一度言います、胸糞悪い!
いくら大河内が理不尽な仕打ちで自分を苦しめたからって、
ちょっとやりすぎだろう!と、青池が憎くなったくらい、鬼畜な男でした。
いったいどうなるのか展開が見えず、
早くこの二人の結末が見たくて、読むのを止められず、
4,5時間で軽く読めましたが、
中身は重くどんよりしていて、決して軽い物語ではありませんでした。
最後の最後までどうなるのか分からなくて、
読んだ今も胸のわだかまりが消えない感じ。
でもこの結末はこの物語にはとても似合っていて、
十分萌えました。
良作だと思います。読んでほしいBLNo、1!
何度も彼らの行動に驚かされ、
なんといっても大河内の手紙の内容には、背筋がゾクッとしました。
このシーンで、今まで可哀想だと思っていた大河内が、
少し腹立たしくも思えましたw
とにかく毎回びっくりさせられます。
ただ、陵辱シーンは精神的にキます。
痛いだけじゃなく、まるで拷問ともいえるそれは、
読んでいても気分が悪くなりました。
なんといっても現実味があり、非常に生々しく、
(体が臭くなったり、髪がべとついたり)
容赦ないので・・・
「どうせ愛あるんでしょ!甘いんでしょ!」
的なノリで読むと、痛い目みます。(私みたいに)
精神的に病んでるときは読むのオススメしない。
これ冗談抜きでwwww
落ち着いているときにぜひ読んでくださいね。
スカトロ、暴力アリで、他酷い陵辱も沢山。
というか物語のほとんどがそれなので、
苦手な方は読まないほうがいいかと思いますが、
こんなにも完璧で、新鮮で、容赦ないストーリーは、
BLではこれしかないかも~!とも思いますので、
「まあたぶん平気」くらいなら、
ぜひ、ぜひぜひ読んでください!
噂に聞いていた痛いBL、FRAGILE……
痛いBLは個人的に物凄く好きなので、排泄とか監禁とか意識不明、お犬様プレイはとてもツボでした。
何より先を予想させない、先が読めない木原マジックが凄まじい。次に何をするのか、そして登場人物の感情が読めない。読み進めるのが楽しくて楽しくて、でも重くて。小休憩を挟みながらゆっくり読んでいくのがベストだと思います。
青池、すごく好きです。
どう足掻いても大河内のことが嫌いになれず、深みにはまっていく。優しくしたいけど鎖を解きたいけれど逃げられる恐ろしさが邪魔をする。そして大河内のキャラもとてもよかった。プライドが高くちょっとしたギャップの持ち主。自分のためなら媚だって売るし嘘だって平気でつく。
そんな二人が内面や外面を傷つけ合う様は見ていてハラハラしました。面白い!
最後にはいるまでは本当に神確定でした。予想できなかった大河内の逃亡、青池の自殺未遂。ラストに近づいているのに一体どうなってしまうのか、手に汗握りました。
ですが最終的に、好きなのか愛なのかはっきりしないままの実質的同棲再開。大河内の抱いてる感情が愛だとわかるのは木原先生のあとがき。無理にハッピーエンドにした気がしてなんだか突っかかりました。
ここまで非道なことを貫き通してきたのなら、ラストも胸糞悪い終わり方をした方が作品のイメージを貫徹できたのでは、と思ってしまいました。感じ方は人それぞれで、ハッピーエンドがいいという方も多いと思うので個人的な要望なのですが(;ω;)
しかしやはり木原先生は素晴らしい。やめられないとまらない。彼女の作品を読んでいると三次元が疎かになります。
木原作品は ムショウに読みたくなります。中毒性が強いです。
この本は 何十回読み返したかわからないほど 読み込んでいる。いつも鞄に持ち歩いているくらいだ。近々 名作が文庫になるが 全国民に素晴らしさが伝わると願いたい。
まさしく 鬼畜の所業!
どっちもどっちなんだけど この2人。
放尿・スカトロ・汚物などなど いろんなモノがオンパレード。これでもか!と次々技を繰り出してくる。
流石だな。読者からどうにも為らない感情を引き出す 恐るべし!木原先生!
まだまだ この本から 逃れられないのです。
久々に読み応えのある一作に出会えました。
読み応えあり過ぎて、これを読んだ後暫くは何を読んでも薄味に感じてしまったほどです。
年間何百冊もBLを読む割には、そういえば木原作品てほとんど読んだことない気がします。
文庫にしては厚みがあり、改行を多用しない文体で(BL小説に多い、段落が頻繁に出てくる文体ではないという意味です)、文章量も相当多いと思いますが、一気にラストまで読んでしまいました。
おそらく読んでいる間中、眉間に皺がよりっぱなしだったと思いますが…。
前半は受視点。後半は一転、攻視点に。
それぞれの行動心理が丁寧に描かれていて、なおかつ、その書き方自体がオチへの展開の布石にもなっていて、そのあたりの読み手の引きつけ方が実に見事で、唸らされました。
ところでこの作品。所謂スカトロ的なシーンが頻繁に出てきます。
世の中に陵辱監禁ものは多々あれど、ここまでBL的ご都合主義を排した作品も珍しいのではないでしょうか。
排泄や飢餓、無精ヒゲなど。生活の自由を奪われた人間がどうなるのか。そのあたり大変潔く、人間の生理を赤裸々に描いてます(笑)
しかし、基本的には“小”止まり。
“大”の露骨な描写がないのは、作者の最後の良心といったところでしょうか。(と考えると、丸木作品『義父』のあのシーンはやはり衝撃的だった…)それ以外は、全部盛です。
読み応えは、確かにあった。
しかし、神評価はできない。したくない。
その理由は、オチ。
このオチは、どうなんだ。
アリなのか、無しなのか。
私的には、これはない、これだけはないと思った。
オチに至るまでの過程を、寝食を忘れるほど没頭して一気に読まされただけに、拍子抜けも甚だしかった。
人間としての尊厳を奪われるようなことまでされて、青池を心底嫌悪していた大河内になぜ、こうもあっさりと「愛」が芽生えているのか?
それだけがどうしても、理解できない。
監禁から逃げる際、あの、これ以上ないくらい青池を拒絶する言葉を残していった大河内が、なぜ?
攻が受をこれほど手酷く扱った作品を、ほかに見たことがない。
また、受が攻をこれほど嫌っている作品も同様。
ここまで修復のしようのないことをお互いにしあったのだから、せっかくなら最後の衝撃的なベッドシーンで、思いっきり後味悪く終わってもよかったんじゃないか。
その思い切った選択をしていたなら、文句無く神認定でした。
『BL小説はハッピーエンドでなければいけない』というセオリーをぶち壊すのは、この作品をおいてほかに無かったかもしれないのに。
本当に、それだけが心底、残念でなりません。
かわいさあまって憎さ百倍。
一言で言うなら、FRAGILEはそういう作品です。
木原先生の作品の根底には「好き」と「嫌い」は紙一重だという心理があるわけですが、
それがもっとも端的にあらわれた作品だと言えましょう。
片思いとはいえ、好きな人にこきけなされ、罵倒された反動は大きい。
自己の精神を揺るがすほど、殺したいほど憎い。
それを体現してしまう青池の行動は、およそ容認できるものじゃありませんが、
ちょっと胸のすく思いでした。
それにしても、木原先生作品で、本当に恐ろしいのは「追いかける側」、つまり「攻め」ではなく、
平気で相手を傷つけたまま「嫌い」と言い放つ「受け」のほうです。
愛されてほだされても心折れないどころか、容赦のない反撃をしてくる。
まったく、どっちがSでどっちがMなんだかわからなくなる。
監禁し、人間としてのプライドを剥ぎ取るような青池は、一見、鬼畜ですが
それ以上に大河内は精神的な超鬼畜なのです。
後半での大河内の去り方たるや、めまいがする。
こんなド鬼畜な去り方ってあるだろうか。がけから突き落とすとはまさにこのこと。
また、はじめて二人が肉体関係を持つ際の丁寧な描写はエロスを超えたエロス。
木原先生の作品っていうと、あまりエロさはなさそうな印象ですが、
非常にストレートかつ緻密な表現が生々しい。
やおい穴もなければ、勝手にアナルが濡れちゃうとかトンデモBL表現は皆無。
「広がるっ!」っていうのは名言ですな。
リアリティ重視の方は作中のエロ描写必見でしょう。
こうくるか、こうくるかと何度突き落とされたことか!
容赦ない展開に痛い、痛いよ~っ!となりつつも、最後まで目が離せないのです。
息苦しくて、読み始めた当初はもんのすごい展開に「これ、ラブはあるのか…?」とも
思ったのですが…そんな愛とか甘さだとか全部置いといて、まず浮かぶ言葉は
「愛憎」です。
あらすじに『2人が踏み込んだ愛憎の迷路』と書かれていたのですが、
まさにこの作品にピッタリですよね。
最後の最後まで、どうなるかまったく予想つかず、飽きさせない展開。
さすが木原作品!一筋縄じゃいかないです。だからこその読み応え!
心臓をぎゅーっと掴まれているような苦しさで、読んだ後はずーんといろいろ考え込み
ました。そして、またしばらくして読み直す。そんな忘れられない作品なのです。
そして、なんといっても大河内と青池。なんって濃い2人でしょう!
しかし決して憎めないキャラたちなのです。
端正な顔立ちで、華やかな男・大河内。
仕事の中で自分自身に能力や才能はないものの、上に媚びる営業力や口先だけは一流で、
ずる賢い大河内のやり方についていけない同僚もいて、嫌われキャラでもある大河内。
そして、青池。
倒産した会社から大河内のいる会社へ再就職し、大河内と出会い、ゲイである
青池は大河内の容姿は好みのタイプであり、当初は理想の人だと憧れていた。
真面目で仕事もできる青池は、当初は大河内に認められたい、頼りにされたいと
一生懸命斬新な企画を大河内へ提出しますが、大河内は青池がいつか自分の地位を
脅かす存在になるのではと恐れ、彼の企画・彼自身に対しひどい扱いで接します。
それが原因で、物語の冒頭の事件へとつながるのですが…
青池の大河内への行為は、もうドSとか可愛いもんでなく、『家畜のように飼い殺して
やる』と青池が大河内へ囁きますが、まさにその言葉通りの扱いです!
初めて読んだときは「BLって、すげー…」とBLの深さを改めて認識したものです。
そして、終盤の『手紙』シーンは、もう、ちょっと固まりました。
ページを捲る手が止まり、背筋がサーッと!
すごい展開で、こうくるか…!とわたしも青池と同じように息を呑みました(笑)
本当に濃い、一筋縄ではいかない作品です。
痛いけども、苦しいけども、普通のBLとは違うものを読ませてくれた作品でした。
良くも悪くも、人間らしいメインキャラ二人。
まじめで、努力家、優秀な社員の青池×と
企画力に乏しいことをきっかけに、たいていの企画書を
上へ通す人脈を築いた、大河内係長。のお話。
この大河内、他責的で臆病、パワハラと
とんでもない人ではありますが。口だけで企画書を
通すのは無理だから、基本的には、努力家だと思う。
評判どおり、外道的な内容が含まれていて
読書中は、不快感を感じない、と言えば嘘になるけど
結果だけ見れば、異常者に違いなく理解できない行動も
作者が、「考えて→決断→選択→前進」そして重なって今がある。
という、あたり前な過程を一つ一つ丁寧に書いているので
常軌を逸した行動や台詞も、共感できて、やたらと説得力があって
すごく楽しかったです。
後半の、大河内は可愛くて仕方ない。
青池のフィルターを通しているから、さらに可愛い。
すーごく度肝抜かれた作品です。噂には聞いてたのですが、想像以上の内容でビックリしました。こんなに互いを傷つけ傷つけ合い、そして、憎み合う作品はないと思います。
萌評価にしてますが萌なんてほとんどない。やっとあったと思ったらすぐさま突き落とされるスリルを感じました。すごくすごくこわかった。。。
その言葉の裏にある本当のたくらみとかマイナスの感情が読者にバンバン伝わってくる。特に大河内が青池から手錠を外され解放された時のあの第一声…鳥肌が立ちました。
木原作品では受か攻のどちらかが性格に難がある傾向が高いんですが、今回どっちもどっちってかんじで、、、うーん、いつもはどちらかの視点に立って読み進んでいくんですがホントにどちらにも肩入れできないです。。。正直「キライ」でした。
しかしながら、最後にはあの2人を読み手として「愛しい」って思わせる木原さん恐るべし!まさに木原マジックです。なんだかんだ言って青池はもちろん、結局大河内も大河内で青池を突き放せないんですよね。
最後の最後まで大河内のホントの気持ちがわからなかったんですが、木原さんのあとがきで大河内の弁解が書かれていたので少し救われた気がしましたw
これまで読んで木原作品の中ではダントツ痛い作品ですね(笑)
もう何回読み返したか分かりません。鬼畜の極みに萌え死にそうです。
犬扱い、犬食い、嘔吐、失禁、放尿、意識不明、自慰・・・スカトロ・汚物マニアには究極の作品なのでは。というか、ここまで1つの作品で失禁しまくって嘔吐しまくっているものも見かけたことがありません。(私が出会っていないだけかな)
見かけたことがないといえば、主人公の大河内の性格の悪さもほんとに主人公か?と思うほどの胸くそ悪い性格です。そして陵辱とかされても、よくある攻に対して「急になよなよ」っとしてしまうこともなく、かなり男な部分も残されつつ話はすすめられます。そこらへんは、強烈なツンヤン(デレがつけられない)鬼畜好きにも安心して読ませてくれました。
「青池、そこまで執着する大河内の魅力は何?」って最初訊きたかったです。
監禁拘束や屈辱を与えるシーンは、大河内の罪から考えてみても自分的に納得できました。
やっちゃってーてさえ思えましたし。
だから、青池の時折見せる“緩さ”に・・・BLの恋愛要素で“萌え”なんだと分かっているけど、何だかイラッとしてました。
本来はM男の青池のその“緩さ”が、タフな大河内にとって起死回生のオアシスの泉になって、あ~やっぱりな展開となる。
スゴイよ~大河内のその強さは並大抵じゃない!
それに対抗するのは、青池の最終手段だった最期まで死んでも尚、繋がっていたいとする自殺だった訳で(死んでいません)。
これ程執着する男に、大河内も(自分も)もう「呆れ」の遥か彼方な気持ちだっただろうな。
色々罠を張って「喰ってやる」と追っかけるトムと、それをかわしたり利用して反対に感電させたり重傷を負わせたり飼い主に叱られるように仕向けるジェリー。
敵対する猫とネズミの、あの米アニメが頭にふっと浮かんだ。
そんな2匹なのに、第3者によって相手が窮地になると助けたりする、変な関係なんだよね?
乞う相手の魅力は、そいつしか分からないんだって。
あばたもえくぼだし。
強いて言えば「図太さ」かなぁ?
最後の“お取り寄せ”を甘受する2人のシーン、この変な2人のハピエンに、これからも青池は苦労するだろうなぁ~と苦笑しつつ思い遣ったのでした。
BL萌えよりも、作者の2人のキャラと話の持っていき方の上手さにそそられました♪
キレイで無い表記(尿や嘔吐や汗臭)が大丈夫な方にお薦め^^
ひょんなかとから木原先生を知り数冊手に入れ、何の情報もないまま、たまたまこの作品から読んでしまった。
途中と言わず最後の方まできつい。本当、読み進めるのが苦痛だった。
しかし最後、青池が大河内を探し出してからの浮上感ったらなかった。
木原マジックにかかってしまった。
嫌いだと大河内は思っていて、青池も大河内がどんな奴かわかっているのに、そんな二人の間に見える愛情がたまらなく胸にくる。
読み終わった後、しばらく気持ちが浮上できなかった。
他の作品を読む気にもならなかった。
ひたすらにこの作品の後半を繰り返し読んで、しばらく自分自身が使い物にならず、家族から非難を浴びる程だった。
読後、本当に浮上するのが大変なハマってしまった作品だった。
凄いよ!と予め聞いてたんですが、いやーーー予想以上に色々凄かったです。
陵辱物は抵抗無い方なのでドックフードのくだり辺りはえげつないなーとか思いつつも読進められたんですが、怖かった!!!
何が怖いってやっぱりあの手紙の2文字がすっごいすっごい怖かった!
その文字見た時に、時間が止まって心臓がぎゅって掴まれた気がしたですよ。
読んでる自分がこうなんだから青池の心境はと思うと、背筋に氷水ぶっかけられる気分になったです。
その後の展開はもう転げ落ちるが如くに前半よりむしろ容赦無いですが、読後感が悪くないから不思議。といっても読後感が良いってわけじゃないんですが不快ではなくこう心臓ぎゅっとされた感触が残って徐々にゆっくり呼吸が戻る感じ。
しかし木原さん上手いというか語弊がある表現になっちゃいますが狡いなあと思うのは、大河内が憎みきれない、それでも可愛い部分が確かにあるってとこです。
それは青池の愛情で歪んだ視点からそう見えてるのかもしれないけど、拗ねてみたり本やDVDにに夢中になったりする大河内はやっぱり可愛いなと思っちゃう訳で。
読者側もこいつ可愛いとこもあるじゃん~~と感じ始めたとこであの手紙でうわぁあああああ!!!
でも逃げた後も、ミステリはちゃんと買ってたりする姿がこいつどうしようもない男と分かっていながらこういう所は可愛いなあと感じてしまったり。
痛いってより人によっては生理的に受け付けない描写があるので万人向けとは言えないけれど、自分的には名作でした。
萌えは決してないです、私的には。
けれども「中立」や「しゅみじゃない」にできる作品ではないし、やはり「神」に次ぐ評価に置きたい…と思ったとき、「萌」にするしかなくて、とても心が抵抗を示しました。
それほど、作品としては読ませるのに、BLとしてツライ作品でした。
正直、私は陵辱や虐待や調教は好きではありません。
排泄物なんて論外だし、アレのかかったドッグフードなんて読むだけで吐き気がします。
なのに、読むのがこんなにツライのに、それでも手を止められず、どんどんページをめくってしまいました。
それはもう、取り憑かれたように、手が止まらないのです。
次のページにこそちょっとは光があるかもしれない…と、心が出口を探していたのかもしれません。
結局出口なんてずっとなくて、ただ闇がドンドン深くなるばかりで、いよいよドツボにはまるんですが、それなのに読み終えた後その闇がちょっとだけ温度を持って見えるのは何なんでしょうね。
もう2人はこうやって、閉じた世界で、お互いを苦しめることで独占欲を満たしていけば良いじゃない。って思いました。
読んでいてなにより辛かったのは、大河内がどこにでも居る人だということです。
実際読んでいて、最低な人間だと思うんですよ?
けども、よ~く考えると、こういう人って普通に居ます。
どうしようもない小者で、ズルくて、卑怯で、卑屈で、人に擦り寄って媚びることで上手に自分を守りながらのし上がっていく人、社会人やってたら普通に周りにいます。
そういう私だって、とてもズルくて、心の中を全部小説にして人に見せれば「最低」と言われること間違いなしです。
それが、これほどの罪なの?こんな仕打ちをされるようなこと?
と思うんです。
そんな風に小説を読むことが間違っているとは思うんですが、私はどうしてもその辺に考えが及んでしまって、苦しかったです。
そんな大河内が、ちょっとずつ青池に体も心も開いていき始めたのは、つり橋効果なんじゃないか…と心配した私の気持ちすら、あっさり裏切られました。
あの、大河内が出て行った後に残した手紙の一言に、ぶわっと鳥肌が立ち、怖さで涙が出ました。
絶対に萌えとか、青池に同情したとかじゃないです。
ただ本当に怖くて。
この作品は、「萌え」とは言えないとかいうレベルじゃなく、好きとか嫌いとか、そういうカテゴリにすら入れられない気がします。
それなのに、やっぱり次こそは、どこかに私が読み落としてしまった「光」があるんじゃないか…と期待して何度も読んでしまうから、やはり「名作」とは言っていいんだと思います。
胃に来る一冊。
体調が良くない、精神的ブルーな方は、健康になった時に読まれたほうがいいと思われます。
既に方々でレビューや感想を読んでいたんで、コワイモノ見たさ半分の気持ちで私は読み始め。 タイミング的に、ちょうど自分の中で、『BL』とはなんぞやと考えてた時だったんで、凄い極論見たなって気分でした(笑)
人を好きになる、そのことで臆病になる、振り向いてくれなくてつい強引な手段を使ってしまう…それが、よじれて拗れたら、こうなるのかなと。
正直受のような上司の態度は、身に覚えが非常にあり(笑)
愛がなかったから、憎しかなかったけど、その人には。
ストレスと愛憎とがごっちゃになったら、そりゃあ人間どこか壊れるよなぁ、と。
私は非常に、攻に同情的でした。
結末含め。
ヤンデレやら、監禁・凌辱、なんて言葉で釣り上げられるお嬢さん向きの、望む内容の斜め上いく展開ですが。
人と人が生身で向き合う、愛と憎を垣間見たい人には是非。
人が人を簡単に好きにはなれないこと、同時に簡単に嫌いになれないことを、ありとあらゆる手段を込めて描かれた作品だと思いました。
そういえば、タ〇リさんが『愛』て感じは心をがんじがらめにして、身動き出来ない状態だと言ってましたが。
そんな感じです。