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初芝と乾、二人の未来に幸あれ!✲゚。.(✿╹◡╹)ノ☆.。₀:*゚✲゚

私は、あらすじやレビューを念入りに確認してから本の購入を検討します。
自分に合わない本を読んで後悔したくないからです。
その後、購入した本は別な本を読むなどしてなるべく内容を忘れるよう努めます。
そうやってまっさらな状態で読むのが、私の楽しみな本の読み方です。

でも本書は、HIVという重たいテーマを扱った作品。
生半可な気持ちで読んでは悔いを残すに違いない。
しっかりと胸に刻み込み、決して忘れずにおこうと決めました。
そして「よし、今なら読める」と覚悟してから読もうと考えました。

実は購入の際は迷ったものです。
BLとしては重たすぎる内容なのではないかと言う理由で。
けれども木原先生の作品と言う事で、期待の気持ちの方が強く購入の運びとなりました。
今回、未読本の中から本書を選んだのは、ふいに「読んでみたい」と言う衝動が沸き起こった為です。
特にこれと言った理由もなく、いきなりそんな気持ちになりました。


リベット(82%)初芝公平(受け)視点
リベット2(17%)乾武則(攻め)視点
あとがき(1%)


あらすじ
ノンケの初芝公平(受け)は、ゲイの乾武則(攻め)と同じ高校教師。
乾よりも年上で先輩の初芝は28歳。
付き合って1年半になる由紀という彼女がいます。
乾と知り合ったのは4か月前。
新卒採用された乾の指導を任されています。
乾は酒癖が悪いが、素直で明るく口もうまい。
生徒にもよくなつかれています。
そんな乾が心ひそかに想いを寄せているのは初芝。
初芝は歯に衣着せぬ物言いをするが、根はやさしい。
ある同僚の結婚式の夜、酔いつぶれた乾は初芝のアパートに連れて来られます。
酔いの冷めた乾は、初芝と話をしたがります。
そして発せられる意味深な言葉。
初芝は乾に、「誰にも知られたくないある秘密」を勘付かれてしまったのではと疑いを持ち始め…。


読了後まず思ったことは、確かに重い作品だけど読んでよかったなあ!と言う事。
HIVに感染した人の暮らしぶりや心の動きなどを窺い知ることが出来、勉強になりました。
また、乾が学生の頃していたというボランティア活動も大変興味深く拝読致しました。
1人のPWA(エイズ患者)に1人のボランティアがついて、精神的なサポートをするというシステム。
有り難いシステムだなあと感心しました。
精神的に落ち込んでいる患者の、どれほど心の励みになることか。
そんなボランティアをしたことのある乾が、精神的に初芝の支えになっていくお話しです。

初芝がHIVに感染したのは高校時代からの親友に無理やり襲われたことによるもの。
初芝はまったくのノンケであり、男同士の恋愛など全く興味がありません。
一方、乾はゲイ。
学生時代にバディをしていた経験から、初芝がIHV感染者だと気付きました。
1人で闘おうとしている初芝を放っておくことができません。
傍にいて、支えたい、愛されたいとまで願うようになります。

本書はバッドエンドではありません。
ですが、BL的ハッピーエンドとも違います。
なぜならラストになってもまだ初芝は、乾の想いに応えるところまで行っていないからです。
けれどもそのラストこそが素晴らしい作品でした。
未来が明るい光に照らされて、キラキラ輝いて見えました ༓٩(❛ัᴗ❛ั ๑)༊༅͙̥̇⁺೨*˚·

あとがきで木原先生が仰っておられました。
「性格上、初芝が乾のことを心底受け入れるにはあと2、3年ともう1つくらい大きな何かがないと無理のような気がします」と。
私もそんな風に感じました。
でも乾の初芝への想いはいつか必ず叶う!
そしてそんな日は案外遠くはないと、そんな風に思えるラストでした。

生死が絡んでいるだけに辛いシーンもありましたが、だからこそ感動するシーンも盛り沢山でした。
安易にBL的ハッピーエンドにしないで頂き、逆に良かったです。
是非多くの方にこの感動を味わっていただきたいです。

本書にもあるように、未だHIVウイルスを体内から消滅させる治療法はありません。
けれども早期発見と適切な治療により、平均余命を40年にまで引き延ばすことが可能になりました。
40年って言ったら、20歳で感染したとしても60歳まで生きられる計算。
これはすごいことですよ。

江戸時代の平均寿命は30~40歳でした。
癌になり余命数ヶ月を宣告された患者だっています。
比較をしても詮無い話ですが…。
でも陽性を告げられた感染者も、発症さえしなければ長生きできるのです。
覚悟を決め生きるための闘いをしているうちに、画期的な新薬が出来、治る可能性だってあります。
この作品はそうした生きる希望を与えてくれる素晴らしい作品だと思いました (˶′◡‵˶)

最近見つけたエイズに関するサイト。
とっても分かり易く解説されております。
TOPページをご案内いたしますので、右側のBOXの上から8番目をクリックしてみて下さい。
知識として知っておいた方が良いことばかり。
BLを読むうえでも勉強になりますよ。
http://se1byou.net/

メンタルをどこまでも深く描いた話 (ღˇ◡ˇ)♡

この度も木原音瀬先生の作品の中から選びました。
スイートなタイトルと素敵な表紙イラストに惹かれて。


攻め:笹川吉郎、30歳、ノンケ、公務員
受け:朝霞武史、26歳、ノンケ、ブライダルコーディネーター


目次
・恋について(朝霞視点)
・恋について2(朝霞視点)
・マンガ
・あとがき


あらすじ
朝霞と笹川の最初の出会いは一年前に遡ります。
ブライダルコーディネーターとして、朝霞がプロデュースした最初のお客様が笹川夫妻。
結婚式当日、朝霞は大失敗をしました。
けれども笹川夫妻は一言も責めたりしません。
逆に気遣い、感謝してくれました。
式の後は後悔で涙が止まらない朝霞でした。
けれども一念発起、今ではベテランの域に成長。
朝霞はかの新郎・笹川と偶然再会を果たします。
これを機に、間もなく結婚記念日の二人に花を贈ります。
いつしか二人は飲み友達に…。


ノンケ同士のすれ違いLOVEストーリーです。
二人のぐるぐるした恋愛を中心に、物語が展開していきます。
中には主人公二人の進展しない恋愛にイライラする方もいらっしゃるかもしれません。
でも私はこのゆるゆるとした展開も結構好き。

それに本書の良いところは、朝霞の仕事について結構多くのページが割かれているところ。
上手くいかない恋愛を想って、主人公がうだうだ悩むだけだと流石に疲れると思うのです。
けれども巧みに朝霞の仕事を絡めているので、まったく退屈せず、楽しく読み通すことが出来ます。
ブライダルのこと、部下の高円寺のこと、教会での式を希望するゲイのお客様のことetc。
興味津々で読ませて頂きました。
さすが木原先生、うまいなぁと思いました (๑>◡<๑)

最初、笹川が偽装結婚をしていたと知った時は、驚くよりも納得の気持ちの方が強かったです。
やはりね、BLですからね、と。
でも笹川も奥様もどちらも同性愛者と思いきや、奥様だけがそうだと知り、そこは驚きでした。
しかも笹川は奥様を心から愛していたと言うではありませんか。
いつか自分の愛に気づいて欲しいと儚い望みを託しながらの偽装結婚。
上手く行くはずなどなかったのです。
また上手くいかなくて良かった (๑˃̵ᴗ˂̵)و ヨシ!

全て朝霞視点のため、笹川が何を考えているのか分からず、疑問に思うシーンも多々ありました。
ただそれすらもミステリー小説を読んでいるようで楽しかったです。
ラスト近くになっても、笹川の行動の意味や真意が分からず朝霞とともに悩みました。
とはいえ終盤の朝霞と同じ思いが私の中にもずっとあったのです。

良い雰囲気になった時に朝霞が笹川をはねのけたことがあります。
そこから全ての歯車が合わなくなりました。
また朝霞が泥酔した夜、同僚の部下の家に泊まったことがありました。
朝霞は、恋人の笹川に誤解されることを恐れ、敢えて本当のことを話しませんでした。
でも朝まで帰らなかったことを笹川は知っていたのでは?
そんな印象を私は受けました。
この時、仮に朝霞が同僚のところにいたことを正直に打ち明けていたら…。
また朝霞が笹川をはねのけた理由を素直に話していたら…。
「IFストーリー」が出来上がってしまいますね。

でも現実にもそんなことって沢山あります。
特に恋愛中で壊れがかっている二人には、こんなもしもが沢山付きまといます。
現実にこんな「もしも」があった場合、既に壊れている可能性が大です。
でも朝霞の性格と笹川の性格がうまく融合し、最後はバッチリ上手くいきました。
本当に素晴らしい恋愛小説。

途中まで読んでイラっときた方も、どうか最後まで読んで欲しい作品です。
「終わり良ければ総てよし」と言う言葉の通り、とにかくラストが良かったです。
ヘタレな攻めですが、長いこと一方的な片思いに苦しんでいたため、恋愛下手なのですね。
そこら辺、朝霞も大目に見てあげて欲しいなと思いました。

ラストもよかったのですが、何と言ってもクライマックスシーンが圧巻でした。
全ての言葉が胸に突き刺さり、それまでのトロトロが嘘のようにハイスピードでした。
全て胸に来る文章のため、そのうち一つを上げるのはとても無理です。
無理と言いながら「この箇所分かる~!」と思う文章があり、その部分を抜粋させて頂きました。

━━━平凡で、地味で、特別な才能もなくて、ただただ話を聞くことだけが上手い、気の弱い男。この男のどこがそんなに自分をとらえたのか、凶暴的に好きだと思わせるのかわからなかった。━━━

いやぁ~、これは朝霞の笹川への想いのわけですが、すごく共感できました!
恋愛においては、性格が良いから、顔が良いから、お金持ちだから、など好きな理由は沢山あります。
でも私は「その人の何を好きになったのか分からない」という「好き」もアリだと思うのです。

つまり、気づいたらいつの間にか好きになっていた、という感覚。
「好き」と言う気持ちがより本物のような気がするのです。
何かしてくれたからとか、何かしてくれそうだとか、何かしら理由がある方が打算的な気がします。
もっと言うなら「嫌いになりたいのに好きが止まらない」方が運命的でロマンティックで好き。
と勝手なことばかり持論を展開してしまいました (๑→ܫ←๑)ノ ハンセイ

本書では、最後まで二人の本番は拝めませんでしたが、それ以上の「想い」を堪能させて頂きました。
楽しかったです。
これまた宝物の本が1冊増えました。
長ったらしいだけの拙いレビュー、読んでいただき有難うございました (‾◡◝*)(* ◜◡‾)

読まなきゃソン! (๑→ܫ←)b☆イェィ♪

評価が高く、泣ける作品ということで手にしました。
表紙イラストもめちゃくちゃ好み。
そう!私は物語性のあるイラストが大好物なのです!
タイトルを挟んでの2つのイラスト。
コントラストが絶妙で気に入りました。
上段にメインCPの二人が、オデコとオデコをくっつけて満足気に俯いているイラスト。
そして下段にはその二人の大胆なキスシーン。
背景には二人の行きつけのバーが描かれています。
派手さはないものの、眺めているだけで幸せを実感でき、上手い!と思いました。
何時間でも想像の世界に浸っていられそうな気がします。

次に扉イラストが、遊び心満載で素晴らしい!と思いました。
映画「タイタニック」で有名な、「両手を広げて風を受けるシーン」と同じポーズをしている二人がマジ可愛い!
またそんな二人を、手前にいる後ろ向きの白い猫が見ている図もひょうきんで愉快!
ユーモアのセンスが光る素敵な作家先生だな、と思いました。
「西」と「ヒガシ」を田んぼの田で結んだペンネームもお茶目で個性的。
何と言っても絵が私の好みにぴったりで、大ファンになりました。

ヤクザ×ヤクザのCPということですが、二人とも実に紳士的で良かったです。
バーで出会ったモダンでカッコイイ男二人の心模様なども楽しく拝見しました。
お互い相手に一目ぼれという感じの出会いがロマンチックで萌えました。
二人ともにゲイ。
とそこは良かったのですが、二人ともタチ専です。
いったいどんな展開が待っているの、とページを捲る手が止まりませんでした。
が、扉イラストの通りの位置関係に収まりましたね。
すこぶる嬉しいです。

なぜって悲恋ものの映画を観て涙する、そんな春本の性格が可愛くて、可愛くて…。
可愛い春本には、是非「受け」であってほしいと思いました。
ヤクザなのに、大人の恋なのに、すごくピュアで優しくて新鮮な作品。
絶品です。
最初、部下同士が揉めているときに放った春本の言葉を聞いたときは、
「あれ?春本って部下に罪をなすりつけようとする嫌な奴?」と心配になりました。
でも、春本はそんなちっぽけな人柄じゃありません。
それどころか部下の為に自分の幸せを投げ打つ覚悟のある人。
大好きです。

作中、水田が褒め称える春本の歌う「モナ・リザ」。
どんな曲なのか知らなかったので早速ググってみました。
ナット・キング・コールのヒット曲で、バラード曲なんですね。
YouTubeで拝聴しました。
なんて素晴らしい歌声なんでしょう!
この歌を聴きながら、本書を読むとより心地よい臨場感で胸がいっぱいになります。
にしても…春本はこの英語の歌を歌うのかー。
スゴイなー、カッコイイなーって思ってしまいました。

お互いに相手の素性を知らず、やみくもに惹かれ合う二人。
本当は、二人はともに敵対する暴力団員。
春本は水田のことを医者だと思い、水田は春本を会社経営者だと思っています。
素性を隠して会っているうちに、二人の気持ちはどんどん高まっていきます。
そして、ついにお互いの正体がバレる時が来ます。
水田は地上げ物件に住人として居座り、そこに春田らが立ち退きをさせようと乗り込みました。
ここで初めて二人はお互いの素性を知ることになります。
一通り暴力団らしい修羅場が繰り広げられました。

あちゃー、もうダメ (。・ˇ_ˇ・。)
今後の二人は冷戦状態が続くだろうな。
あのいい雰囲気に戻ることは当分ないだろうな。
とこの時はそう思いました。
でもお終いまで二人が冷戦状態になることはありませんでした。
一度も。
どこまでも自分の気持ちに素直で、お互いを慈しみ愛することの出来る二人。
とても素敵で感動しました。
甘いけどほろ苦い恋愛映画を観ているような気分になりました。

例の物件から帰る自動車の中で、失った愛を嘆き、春本が泣きじゃくるシーンは圧巻でした。
私の目からも涙がポロリ。
大人でヤクザな男の涙、めちゃくちゃ愛しかったです!!
物語はまだまだ続きますが、小説と違いコミックスは割と早くに読めてしまいます。
あまり内容を詳しく語り過ぎても興ざめしてしまうと思いましたので、ここら辺で止めておきます。
もしもまだ読まれていらっしゃらない方がいらっしゃったら、是非読んでみることをお勧めいたします。
ラストでは二人とも社会的な制裁を受けますが、ストーリーに合ったとても素敵なハッピーエンドでした。
安心して読んで欲しいです ლ( ❛ ◡ ❛ ლ)

愛と裏切りと赦しの…(ू˃̣̣̣̣̣̣︿˂̣̣̣̣̣̣ ू)

例によって例のごとく木原音瀬先生の作品の中から選びました。私は購入の際はあらすじや評価を丹念に読みますが、購入後は一切の情報を忘れるよう努めます。今回もあらすじを読まずに読了しました。後から知ったのですが、あらすじとして紹介されているのは「The end of youth」の方のみなのですね!本書は2話に分かれており、したがって2CPが登場します。いわゆるスピンオフ作品です。



目次
・あいの、うた(攻め・小菅博近×受け・久保山明人)攻め視点(44%)
・The end of youth(攻め・小日向力×受け・田頭眞一)受け視点(50%)
・その後の…The end of youth(受け視点)5%
・・・・・・chapter1(受け・田頭視点)
・・・・・・chapter2(受け・田頭視点)
・あとがき1%



・あいのうた
あらすじ
小菅博近(攻め)はエディターになって3年の25歳。大学時代にバンドをやっていた影響で音楽に携わる仕事をと思い、小さな雑誌社で働いています。187cmと長身の小菅はゲイです。編集部一押しのバンドSCUAの良さが分からない、いわゆるアンチSCUAです。
ある日、そのボーカルの久保山(受け)に自分の音楽観を語ったところ、短気な彼に顔を殴られボコボコに。その頃から小菅のコンサート通いが始まります。才能のない奴らだと烙印を押す、その目標を胸に。ところがあるキッカケから久保山が小菅の家に泊まることが多くなっていき…。

感想
面白かったです!今回は音楽ネタです。しかも!売れないミュージシャンのお話し。サクセスストーリーではありません。そのため全体的に重々しく、厳しい現実感を見せつけられます。

SCUAのボーカル・久保山は28歳。170足らずの身長で線が細く、顔も小さい。プライドが高く自分の曲に対して絶大な自信を持っています。すぐに血が上り、手も早い。一方的な喋り方をするし、頑固ですがとても繊細。

でも小菅は久保山と接していくうちに、いつの間にか好きになっていくのです。BLだしゲイだから当たり前の流れかもしれません。でもそれまでは嫌いだと思っていた相手をいつの間にか好きになる過程が素敵で、応援したくなりました。

SCUAは今年でデビュー6年目になるバンド。けれどもヒット曲もなく、レコード売り上げも芳しくありません。しかも今年の9月で事務所との契約が切れてしまいます。そんなSCUAの窮地を救うべく奔走する久保山ですが、現実はあまりにも厳しかったのです。

一時は何もかも上手くいくかにみえた久保山の努力。ところがその努力も一瞬にして海の藻屑と消えていきました。小菅自身も会社が窮地に陥り…。でも今はまだ先が見えないものの、BL的には最後がとても良い終わり方でした。

とはいえちょっと攻めが強引に迫った為、嫌いな方は嫌いかもしれません。言うまでもなく私にはめちゃくちゃ好きなラストでしたがね (ノ≧ڡ≦)テヘペロ



・The end of youth
あらすじ
田頭眞一(受け)は、一時はアイドルとして成功したことのある28歳。でもミュージシャンとしての才能がなかったため今は落ち目です。でも俳優としての道だったら残されていました。ところが自分には才能がないと分かっていながら音楽への未練を断ち切ることができません。
ある日、高校時代の同級生でありバンド仲間だった小日向優と再会します。田頭は皆を裏切るような形で上京した過去がありました。それなのに気さくに話しかけてくれた優。その後、優の弟・小日向力(攻め)が近くの店でマスターとして働いていると聞きます。
10年経った今も、あのきつい眼差しと、人を食った物言いは変わらないかもしれない。そう思うと会うのが怖く辞退したものの、一緒に行こうと誘われ…。

感想
2話目は、1話目で攻めだった小菅の編集長として登場していた田頭の若い頃のお話です。1話目の田頭は37歳の設定。いろいろあったんだな~、と感慨無量。この2話目こそメインだったのでしょうか。心に残るとても良い作品でした。

とは言え、嫌いな方は嫌いなストーリーかもしれません。過去には、受けの攻めに対する嘘や裏切りがありました。それゆえ若い頃の田頭を嫌いと思う方は多くいらっしゃることと思います。

でも私は小ズルかったり、人を裏切ったり、卑怯なところとかも、案外人間らしくて好きなのです。本当の悪人は私も嫌いです。情がなく、冷酷で、平気で人を殺せるような人。でも少しでも情があって、ある時目が覚め、心から改心し、赦しを乞うようなシーンとかはグッときます。

そうそう攻めの力ですが、標準語じゃありません。それはもうコテコテの関西弁で最初は違和感。そのうち癖になると言うか、力の話し方はこうじゃなきゃ!とまで思うようになりました (。◠‿ ◠。)


・その後の…The end of youth
・・・chapter1
2話目の「The end of youth」から2年後のお話し。田頭が編集プロダクションを立ち上げ、音楽雑誌「move」を創刊。そこでの奮闘ぶりがサラッと描かれています。そして何年か経ったある日、求人を募ります。面接に訪れたのは1話目のメインCP・小菅でした。


・・・chapter2
1話目の「あいの、うた」から3ヶ月後のお話し。田頭は偶然、小菅に会い「山千」で一緒に飲みます。小菅は無事、女性誌で働いていますが、音楽雑誌の仕事への未練を仄めかします。SCUAも新しい事務所が決まったことが分かり、素敵な情報が聞けました。そして小菅らしく正直にカミングアウト。力は相変わらずの力で…。出会って20年経つと言うのに、衰えることのない田頭への執着。ラストがまた、余韻がたまりません…。この物語に続きがあって本当に良かったなあ、とホッとしました (*´◒`*)

place 小説

木原音瀬   

もどかし~い!!!純愛  (๑◔◡◔๑) (๑>◡<๑)

作家買い一辺倒はやめにしよう!などと思っていたのも束の間。すっかり木原先生の作品の魅力に取りつかれてしまいました。最近ではろくにあらすじや評判など確認せず、木原先生の作品というだけで手にしています。これがまたハズレが一つもありません!全て面白く、安心して読めます。大好きな作家先生の一人です。と言う事で今回は「place」をゲット。ビジネスバッグ持ったリーマン二人が、お互い背を向け合っている表紙イラストが印象深く、気に入りました♪


目次
・place(受け視点⇔攻め視点、交互)27%
・liar(受け視点⇔攻め視点、交互)35%
・slow(受け視点)30%
・thought(攻め視点)7%
・あとがき1%


上記目次をご覧の通り、サブタイトルが4つあります。全て横山明夫(攻め)と加賀良太(受け)の二人がメインCPのお話です。


あらすじ
攻めの横山は30歳のノンケ。背中には羽がついています。幼いころ病死した父親が天使だったから。3年前に母親も病死。羽のことを知っているのは世界で叔父と横山の2人だけ。羽以外にも天使の資質があり、それは人の真意を感じ取れること。この資質のお蔭で、営業一筋の横山は商談の類に一度も失敗したことがありません。
2か月前に地方から本社に栄転した受けの加賀は25歳のゲイ。頑固で融通が利きません。それゆえ一緒に組んで仕事をする横山は最近よく胃の痛みを感じます。ところが横山の意に反し、加賀は横山に恋心を抱いています。加賀は気持ちを知られたくないあまり、好きになった相手には逆にきつく当たる癖が…。


感想
良かったです!!「天使の羽」が出てくるので、もっとメルヘンの要素がたくさん出てくるのかなと思っておりました。が、あとがきにもあるように普通のリーマン物として読んで差し支えのない内容でした。

木原先生の作品、ここまでいろいろ読んで参りましたがどれもみんな秀逸です。奇想天外なストーリーと言い、一風変わった、それでいて等身大のキャラ設定と言い、申し分なし!それにいろいろ挑戦されているなーと、いつもながら尊敬の念でいっぱいになります。

思うに木原先生は作品作りの際に、三題噺(さんだいばなし)を活用されているのではないでしょうか。今回、「天使の羽」が物語に盛り込まれたことから、過去の作品とも照らし合わせ、そのように感じました。私の尊敬する偉大な漫画家、手塚治虫先生もよくこの方法でストーリーの練習をされたそうです。

三題噺は、もともと落語の形態の一つ。お客様から出された3つのお題(=言葉)を使い、その場で落語のストーリーを演じるというものです。この技法で練習をされた作家先生は数多くいらっしゃいます。私もよく一人遊びをしたものです。でも案外難しくて、いつも途中で挫折します (◞‸◟)

何の脈絡もない3つのお題。例えば、「財布」「トンネル」「美術館」などと自分にお題を課します。次に、順不同で構わないので、必ずこの3つの単語をどこかに入れて一つの物語を作らないといけません。本書で言うと、お題の中に「リーマン」や「天使の羽」が入っていたと仮定すれば、容易に想像できます。もしホントにそうならば、実に上手な「天使の羽」の使い方です。


ちょっと楽しかった加賀の趣味。キツイ性格と容赦のない物言いの加賀が、意外にも天使グッズを集めているというくだりがあります。ギャップ萌えと言うのでしょうか。可愛いなーと思いました。

加賀は中二の時に溺れかけたことがあります。その時に天使に助けてもらったことで、天使グッズに愛着があります。この天使というのが実は横山だったのです。この話をされたとき横山は驚きました。自分が助けた子供との偶然の再会。でも本当に偶然?もしや運命の再会だったのかも…って。


加賀には大学時代から親しくしている友人のさおりがおります。このさおり、結構キツイ性格です。2年付き合った彼と職場結婚しますが、旦那さんに浮気をされたことが赦せず離婚します。そのさおりが離婚前に放った一言に疑問を感じました。

「男同士でうまくやろうなんて無茶なのよ。男と女でも難しいのに」

うーん…。むしろ男と女だから難しいのでは?と思ってしまいました。俗に、「男は火星人、女は金星人」と言われます。これはそれほど男女というのがかけ離れた存在であることを表した言葉。思考回路、感じ方から、行動パターンまでまったく違うため、相手を思いやることが難しいのです。

逆に言うと男同士、女同士の方が相手をより理解でき、一緒にいて楽な存在。男同士の方がうまくやれるし、無茶なことではありませんよ!と、さおりに言ってやりたくなりました。


最後になりますが、改めてカミングアウトって難しいなーと思いました。加賀は、恋人の横山の叔父に認められたのが嬉しくて、自分も!と思ったのでしょう。横山を母に紹介します。でも加賀の母親はとても頑なで、二人の仲を容易に認めることはしません。

さすがに加賀の母親。頑固なのは血筋かな。でも…こればっかりはしょうがないかもね。ロミオとジュリエットじゃないですが、認められない恋の方が燃え上がるって言うものです (*˘︶˘*)

原始インディオに拍手 ♫♬(◕◡◕❀)

木原先生の作品としてはあまり評価が高くない本作品。どれどれ、どんな感じだと低評価になってしまうの?などと逆に興味津々、手に取りました。


目次
●無罪世界(攻・山村仁史×受・榊宏国)攻め視点


本編まるまる100%「無罪世界」!!いやはや、タイトルがタイトルなだけに、法廷ものかと勘違いしておりました。電書のため削除されることも多いイラストやあとがき。今回イラストはOKでしたが、あとがきは掲載されておりませんでした。ですが紙本であとがきを読まれた方から、タイトルの件で木原先生が悩んでいたとの情報を得ました。「無罪世界」の英訳「イノセント・ワールド」にすべきか否か。

そうかー…。「イノセント・ワールド」の方が心地良い響き。法廷ものとの勘違いも避けられ、適正だったかな?とはいえインスピレーションがピピピと来たのかもしれませんね。そう言えば、ミスチルの曲名にも「Innocent World」ってありました。大好きな曲です。



・あらすじ
悪徳訪問販売会社で浄水器の営業をしている山村仁史(攻め)は28歳。ギャンブル好きで、借金もあり、生活は楽ではありません。そんなある日、顔も覚えていない伯父の遺産相続の話が舞い込みます。弁護士と面会し、相続の条件を聞くことになりました。
その条件とは、亡伯父の息子の面倒を見ること。山村には従兄弟に当たる榊宏国(受け)は22歳。幼い頃に原始インディオにさらわれ20年をブラジルで過ごしました。そのため日本語をまったく解しません。
山村は借金が返せると棚ぼたの遺産を喜んでいました。でも宇宙人みたいな従兄弟の面倒がついてくると分かり意気消沈。いざとなったら大金を手にして逃げよう、そう思ったのも束の間、遺産は月々の分割払いと告げられます。であれば半年ほど面倒を見て、実績を作った後に前借りしてとんずらという手もある…。



・感想
もう!ほんっとーに!面白かったです。こんなに素晴らしい小説がなぜ低評価なのでしょうか。恐らくは受けの宏国が原始人みたいで、そこに萌えを感じられない方が大多数だったのでしょう。でも、なぜか私の感性にはピッタリでした!機知にとんだ設定と言い、深みのある文章と言い、笑いあり、涙あり、驚きあり、萌えもしっかりあって!また原始インディオや誘拐、アルミ缶や資源の無駄遣いなど、知らないことだらけで勉強になりました。

本書の攻め・山村は御多分に漏れず、しっかりと難のある性格(笑)それゆえ最初は嫌な奴と思ってしまいます。でも毎度のことですが物語の終わり頃には嫌な奴から大好きな人に変わってしまうから不思議です (˶′◡‵˶)

山村は中学の時に両親が離婚、母親に引きとられ育ちました。その母親も、高校2年の時に突然山村を置いて家を出て行ってしまいます。そうです。山村は文字通り捨てられてしまったのです。薄情な母親です。山村少年があまりにも可哀想で同情せずにいられませんでした。

ある時こんなことがありました。外出先から戻ると部屋には明かりが煌々とついているのに宏国がいません。母親が出て行った17歳の頃を思い出し、切り捨てられたと呆然とするのです。結局、宏国はユニットバスでシャワーを浴びていただけでした。がその時の恐怖と来たら…。私も山村の気持ちになり涙が出る寸前でした。山村は本当はものすごい寂しがり屋なんだなぁ… (TдT)

宏国マジキレの恐ろしいシーンがあります。最初の頃、山村が宏国を怒らせ、すごい反撃が返ってきたことがあります。宏国は身長が170cm程で山村の方が高い。それゆえ甘く見ていたのでしょう。山村は、宏国の横腹を激しく蹴り上げました。怒った宏国は「ホキァー」と大声で叫び、目覚まし時計で山村の頭に殴り掛かかってきました。山村は死の恐怖を感じ、その後失神。強い、強い、強い!宏国、強い!このことがあってから、山村は宏国に一目置くようになった気がします。

萌えに関してですが、萌えがなかったと言う評価が大多数の中…私は思った以上にドキドキしました。山村はゲイです。そして宏国はノンケ。でもインディオの男は嫁取りが大変で、結婚するまで男同士で仲良くするのはよくあることらしいです。最初は宏国がマスターベーションをするシーンを山村が偶然目撃してしまいます。

宏国の肌は浅黒く、細身だけど筋肉の発達した綺麗な身体をしています。何となく宏国を意識するようになった山村。別の日に宏国は、眠っている山村の太股でスマタを始めてしまいます。でも、山村はうとうとしかけていただけで、バッチリ起きていました。だんだんと宏国を意識するようになっていた山村。今度は山村が宏国に同じことをします。宏国は嫌がりませんでした。そしてある夜、とうとう…。うーん、木原先生の作品群の中でも結構エロイ方ではないかなー、などと思ってしまいましたよん…( ´˂˃` )

ちょっと物騒なシーンもありました。山村が売りつけた浄水器をめぐり、ヤクザから付け狙われることになりました。宏国を危険な目に遭わせたくない気持ちとは裏腹に、宏国ともども捉えられてしまいます。しかも!宏国は結局銃弾に倒れます。でも、文明の利器を使われるまで宏国は強かったです。山村を守りたい、助けたい、その一心でヤクザと戦う宏国。痺れました。山村も力はないものの宏国を想う気持ちがすごく強く伝わって来て、怖いけど素敵なシーンでした。

山村は最初こそ半年たったら遺産の分け前を前借りし、宏国を捨てて逃げようと考えていました。でもミイラ取りがミイラ、と言うのでしょうか。山村はいつしか遺産とかお金などいらない、宏国を愛している。彼と一緒なら生きていけると思うようになります。その心の変化が実に良い!私は読みながら何度も感動で心が揺さぶられました。こんな素敵な恋!何遍でも読み返したい作品となりました (*´~`*)

揺れる乙女心ならぬ揺れる男心!--2CPとも ٩(ˊᗜˋ*)و

以前、雑誌デビュー作「眠る兎」を読んだ時、その文章力の高さに驚きと尊敬の念を禁じ得ませんでした。その後、12歳頃から小説を書いていらっしゃると知り、そうだったのか、さすが!と納得。本作も単行本デビュー作ということで、期待を胸に手に取りました。

目次
●水のナイフ(攻・明智拓磨×受・砂原先生)攻め視点:34%程
●ONE NIGHT(攻・明智拓磨×受・砂原先生)受け視点:2%程
●セカンド・セレナーデ(攻・掛川進×受・橋本道也)攻め視点:44%程
●その後のセカンド・セレナーデ(攻・掛川進×受・橋本道也)受け視点:6%程
●わがまま(攻・掛川進×受・橋本道也)割石友和視点:8%程
●いじわる(攻・明智拓磨×受・砂原先生)攻め視点→受け視点:6%程

上記目次からもお察しの通り、本書は2組のCPのお話しです。砂原を除く3人が、共に性格が悪いというのは私も同感です。でも、みんな許容範囲 ( ˆ◡ˆ )


●水のナイフ
・あらすじ
恋の四角関係です。分かり易く図式化してみました。
明智→大友(美少女)→砂原先生←掛川
ご覧のように明智は大友に片思い。また大友や掛川は砂原に片思い。肝心の砂原は、この時点では誰のことも眼中にありません。クラスで文化祭の出し物を「映画」に決め、映画作りをきっかけに4人+1人は急接近することになります。ある日、明智は掛川から大友が砂原を好きらしい、と聞かされます。明智は一計を案じ…。

・感想
面白かったです。特に明智が嫌いな砂原に愛の告白をするシーンが!もちろん砂原は信じません。そこでありとあらゆる手を使って信じさせようとします。そこのところが楽しくて。とりあえずデートを重ねる二人。さすがの砂原も、いつしか明智の演技力に丸め込まれ陥落。そして明智も徐々に砂原になびいていきます。少なくとも私たち読者にはそれが分かります。ところが明智自身は自分の本当の気持ちに気づけず…。考えてみれば砂原も明智もノンケ中のノンケ。自分の気持ちに気づけという方が無理。でも明智の揺れ動く心の内、それはもう恋なのです。

悲しかったシーンは、丸め込まれすっかり明智を好きになってしまった砂原が振られるシーン。イイ雰囲気だったのに…デートの帰り道、明智は砂原に別れを告げました。この時の砂原先生の何げない一言「ああ、ね」が、胸にズドーンと来ました。そして最後の会話。
明智「今日は楽しかった」(←社交辞令)
砂原「俺は最低だった」(←振られて凹む)
ズドーン! (๑T﹏T๑)

この後もいろいろありましたが最後はハッピーエンド。明智から「ごめんなさい」という謝罪の言葉が聞けて胸がスーッとしました (*˘︶˘*) にしても!砂原1人に対し、3人もの人が恋をしていたとは!モテモテやん…。


●ONE NIGHT
・あらすじ
「水のナイフ」の実に6年後のお話し。砂原の30歳のお誕生日を巡っての2人のハートフルストーリー。明智は意外にも几帳面で、砂原の誕生日を忘れたことがありません。そこいくと砂原は…。

・感想
明智がだんだんイイ男になっていくのが分かり、心温まります。


●セカンド・セレナーデ
・あらすじ
「水のナイフ」からは3年後のお話し。掛川は砂川先生に大失恋。傷心のあまり誰でも良いからと、第一印象最悪の橋本をターゲットに体の関係を築きます。昼間は大学に通い、夜は橋本のマンションに寝泊まり。大学では「映画に出演してほしい」と林田からのアプローチ。砂川先生との交流も続きます。そうした中だんだんと橋本を好きになっていく掛川。橋本の結婚話が浮上し…。

・感想
二人とも同じく性格が悪い。ただし掛川は外面が良いので一見良い人に思われがち。一方、橋本はズケズケと本音を言うので皆から嫌われるタイプ。正直者って美徳のように言われますが嘘も方便。人間関係を円滑に進めていくためには、事実でないことを表現できる力も必要なんです。正直者と言いましたが、橋本はプライドのため嘘もつきます。落ち度を人に知られたくないのです。でも…何となく気持ちがわかると思ってしまう私。最後には可愛く見えてきてしまって ( *´艸`)


●その後のセカンド・セレナーデ
・あらすじ
掛川は俳優への道を一歩一歩踏み固めている真っ最中。撮影現場に恋人の橋本を連れて行くのが日課となりつつあります。

・感想
受け視点です。どうやらやっと橋本の気持ちが少しずつ見えて来ました。攻め視点の時には、掛川は橋本の性格の悪さを嘆いていました。ところがどうでしょう。立場が変わると景色も変わるもの。橋本が掛川の意地の悪さを嘆いているのが妙にシュールで面白かったです。


●わがまま
・あらすじ
芸能事務所の社長がめちゃくちゃ惚れ込んだ俳優、それが掛川。マネージャーの割石は、掛川のことを何も知らないまま面接。掛川に悪印象を持たれ、部屋を出て行かれてしまいます。社長に怒鳴られた割石は、掛川に土下座して謝り事なきを得ます。ところが今度は掛川の恋人の橋本と接触。綺麗な顔の嫌味な男。割石の橋本に対する印象は最悪でした。どんな手を使えば円満に二人を別れさせることが出来るだろうか…。

・感想
映画俳優を目指す掛川の真摯な姿を拝めて幸せを感じました。ここでも橋本の毒舌ぶりは凄まじく、嫌われまくっていました。でも割石が安堵したように、橋本の毒舌は特定の人に向けてのイジメではありません。あくまでそういう性格の人なので許せてしまいます。それに可愛いと思える瞬間も沢山。


●いじわる
・あらすじ
明智は友人から合コンに誘われます。ドタキャンした別人の代わりとして。拝み倒され、仕方なく出席の返事をします。でもちゃんと「彼女いるけどいいの?」と断りを入れるのを忘れません。合コンを終え、砂原の元へ。そして合コンに出席したことを報告。砂原はムッとして…。

・感想
うん。二人のイチャイチャぶりがとても良かったです +。:.゚(๑>◡╹๑)(๑╹◡<๑):.。+゚

1話目は設定が神! 2話目は切なさが神! 。・゚・(´□`*)・゚・。

この度も電子書籍化されている木原先生の未読作品の中からセレクト。タイトル&表紙イラストに惹かれて。ですが挿絵イラストは拝めずそこは残念でした (T_T)

目次
こどもの瞳(柏原岬・受け視点)75%
こどもの瞳2(堂本広喜視点)25%

どちらのお話もとても良かったです!長さから言ってもメインは当然1話目。血のつながりのある実の兄弟のお話です。2話目は書き下ろし。小学校の先生と生徒のお話です。どちらも同じタイトルですがCPが異なります。しかし2話目を読むことにより、1話目でCPとなった二人のその後の幸せをも垣間見ることが出来ます。

まず1話目ですが「実の兄弟」もの。これだけでダメな方はダメかもしれません。「実の兄弟」という響きには何やら淫靡で、卑猥で、タブーなイメージがあります。「地雷」として眉をひそめる方も多いことでしょう。また2話目も「ショタコン」もの。きっと嫌いな方は嫌いでしょう。バッドエンドですし…。でもハピエンだったら犯罪だし…切ない。それゆえラストは涙腺崩壊! (つд-。)



ガチ兄弟に対する私の見解は以下の通りです。

聖書では同性愛をタブーとして禁じております。理由は子孫繁栄に繋がらないから。子孫の繁栄に直結しない性愛行動は神さまの御心に反します。同じ理由でオナニーも禁止。近親相姦は奇形児が生まれる可能性が高いという理由から禁止。同性愛も、オナニーも、近親相姦も、元を正せばタブー視される理由は全て同じ。「子孫繫栄に繋がらない」この1点に尽きます。

でもBLは男同士の恋愛に寛容なジャンル。タブーなど取っ払っている世界。であれば実兄弟ものもOKと言うのでなければ矛盾するような気が致します。奇形児が生まれるわけではないし、BLを好きになってしまった時点で私自身は無問題と考えております。

もちろん人にはそれぞれ考え方があり、生理的に嫌と言うものを押し付けるつもりはありません。かく言う私も数年前まではBLを気持ち悪いと敬遠しておりました。けれども今では偏見&食わず嫌いだったと反省しきり。よって「気持ち悪い」とか、「地雷」とか、「鬼門」などはさて置き、試しに読んでみて頂けると嬉しいです (-人-)



1話目の主人公は25歳の柏原岬(受)です。2年前に妻を亡くし男やもめで6歳の息子・城太郎を育てています。岬には幼い頃離れ離れとなった兄・榎本仁(攻)がおり、今や大企業の社長です。17年も音信不通でしたが、妻の病気でお金の遣り繰りが困難になった時会いに行ったことがあります。ところが兄・仁は冷たく、怒った岬はお金を借りることを断念。その場を去りました。もう二度と会わない。そう思っていた岬の元に、事故に遭い記憶喪失のため6歳児に退行した仁が訪れ同居することになります。

このお話は設定が最高に面白かったです。思わずクスリとなるシーンが何度もありました。Hなシーンも満載で、「6歳児の脳」恐るべしと思いました。また6歳児の脳の仁と、ホントの6歳児の城太郎が、体格の差をものともせず「仲良し」なのが微笑ましかったです。あと記憶が戻ったばかりの仁の、意外にも激しい口づけ。これにはめちゃくちゃドキリとさせられました。これからは二人の関係は変わる、そんな予感めいたものを感じさせるシーンでした。大好きな作品です。


さて書き下ろしですが泣かされましたー。こちらもショタコンと言われ禁断もの。24歳の小学校の先生・堂本と、1話目に登場していた受けの息子・10歳になった城太郎のお話しです。切なくて、苦しくて、辛かった…。でもそれだけにめちゃくちゃ心に沁みました。

数ページ読んだだけで、「あ、悲恋ものだ」と分かりました。堂本先生が転職をし塾講師の面接を受けるところから物語が始まるからです。だから覚悟をしながら読みました。途中、楽しいシーンがあっても逆にウルっと来てしまい、鼻の奥がツーンと痛みました。覚悟はしていたものの最後はやっぱり悲しくて、すすり泣きが積乱雲のように湧きあがりました。

実は1話目のラストは意外なところで唐突にお仕舞いとなりました。二人はハッピーエンドで結ばれたのです。でもまだまだ問題は山積しており、今後の新たな展開を楽しみに頁をめくりました。ところが急転直下、物語は終わりを告げるのです。「えーっっっ、ここでお仕舞い?」「うっそー!」と読者にはちょっと残念なラスト。

それは2話目にも言えること。冒頭で堂本先生は愛する城太郎の未来を想い、別れを決心しました。その後7年経って、彼の成長した姿を偶然見かけるのです。もちろん城太郎は気が付きません。でも堂本先生は遠目で見守り「ようやく本当の意味で城太郎にお別れが出来た」と涙一つで見送るのです。この余韻がもう!何とも言えません。涙、涙、涙。だって!体の関係こそないものの二人は両想いだったのです。恋人同士だったのです!城太郎のこんな言葉やあんな言葉が忘れられません。

「先生が俺のこと好きっていったら、付き合ってあげてもいいよ」

付き合ってあげてもいいなんて…!めちゃくちゃ傲慢で強引な城太郎の言葉。大人が口にしたら小憎らしく妖艶なセリフも、小学生の城太郎が口にするから可愛い。こんなキュートで愛らしい子、堂本先生ならずとも好きにならずにいられません。私も大好き!きっと城太郎のこの性格は攻めに違いない!などと一人勝手に思ってしまいました。でもラストは城太郎に気づかれないまま最後まで堂本先生の視点で終わります。こみ上げてくる悲しい思いを抑えきれずにボロボロ泣きました。泣いて、泣いて、泣いて。そして涙にはものすごいデトックス効果があるということを実感しました。思いっきり泣いたあと気持ちがスッキリしましたもん (゚ー゚。)

ドキドキハラハラ、読後はシアワセー (*˘︶˘*).。.:*♡

上下巻の下巻。完全に続き物ですので、上巻を購入の際には下巻も購入されることをお勧めし致します。なんかレビューというよりは、あらすじになってしまったかも…。ネタバレが含んでますので、嫌な方はお気を付けください。


●「月に笑う3」のあらすじ。(路彦18-23歳・山田22-27歳)
山田は良太と、その恋人の中国人留学生・美鈴(メイリン)の3人で、美人局を始めました。
      美人局(つつもたせ)=男が妻や情婦に他の男を誘惑させ、
      それを言いがかりにし て、その男から金銭をゆすり取ること
      (語源由来辞典より)
これは組への上納金の主な収入源。山田はそのお金を納めに組を訪れます。すると制裁を受けボッコボコになった男が床に倒れていました。その後、よろよろと男は出口に向かいます。そこへちょうど入ってきた惣一とぶつかります。惣一は組長の一人息子。大卒で頭が良く、株取引で莫大な資金を稼ぎ出します。惣一は呟きます。「ケジメをつけさせろ」そして男は小指を1本失いました。

惣一。私の抱くヤクザのイメージとはまた少し違い、洗練されています。しかし、この冷徹さがめちゃくちゃ怖い。ひょんなことから、山田はこの惣一の下で働くことになります。情があり根は優しい山田と違い、この人の非情さは本物。そう感じたため、山田に何事もなければ良いがと祈る想いで読み進めました。

山田がスーツを購入するエピソードが楽しかったです。今までスーツを買ったことがないため、選び方が分からないのです。早速駆り出された路彦。すんなりと店員さんと話をつけ、無事スーツを購入。実は路彦も東京の大学に進学。近くの引越センターでアルバイトをしています。そのお蔭でしょうか。背が高くマッチ棒のような風貌だったのに、徐々に筋肉に覆われてきました。私の路彦への評価は高まるばかり。

さて、ここまでが上巻。いよいよ下巻です。

君嶋という仕手師の世話係、それが山田のお仕事です。この君嶋ですが、30前後のハゲデブのオタク。山田は年がら年中アキバにフィギュア等を買いに行かされます。お陰で路彦にも八つ当たり。

ある日惣一が襲われそうになった時、偶然傍にいた山田が庇い倒れます。手術した上30針縫う大怪我。路彦はボロボロ泣きました。大好きな山田がこんな目に遭ったのです、路彦の気持ちがよく分かり切なくなりました。山田が疑似家族と称するヤクザの世界。それは勘違いなのだと気付き、足を洗ってくれたらという思いが強く膨らみます。

私が好きなエピソードの一つに、惣一が山田を銀座のクラブに連れて行くシーンがあります。「どの女でもいい。お前に抱かせてやる」と言うのです。巨乳好きの山田は胸の大きな女を指名するものの、最後の一線を越えることはありませんでした。路彦に気を遣い、バレないと分かりつつ胸だけ触ってお仕舞い。山田と路彦の関係はなかなか進展しないものの、精神面ではしっかりいとくっついています。そのことが分かってとても嬉しかったです。裏切らない山田に拍手。

刺傷事件をきっかけに、山田は惣一から圧倒的な信頼を得るようになります。そして山田も、惣一を守るためなら死ねると思うのです。ところが、そんな山田に水を差す路彦。売り言葉に買い言葉の応酬が続き、二人は喧嘩別れしてしまいます。そんなある日、君嶋が大学の後輩を助手につけることになりました。山田はそれが路彦だと知り、大慌て。路彦をヤクザに関わらせたくない。それ程大事に想っているのですね。

されど君嶋はおろか、惣一がそれを許しません。そうこうしているうちに山田のケータイに良太からの電話が入りました。でも電話に出たのは良太ではなく、別の組のヤクザ。美人局の商売がバレ、良太が捉えられてしまいました。良太を救おうと必死に奔走する山田。それなのに惣一はけんもほろろに見放します。

ここで初めて山田は疑問を感じ始めます。組と言うのは疑似家族。こういう時にこそ助け合うものではないのかと。万策尽きた山田が最後に頼ったのは警察。これが功を奏し、無事山田を取り戻します。けれども、組への不信感は消えません。路彦の件と言い、良太の件と言い、自分の本当に大切なものを守ってくれない。そんなボスを信頼出来ない。山田は惣一の付き人をやめたいと申し出ます。

ここからがいよいよクライマックスです。山田の逃避行が始まるのです。山田は惣一から拳銃を渡され、言う事を聞けないのなら「君嶋を殺せ」と命令されます。山田はその命令を実行に移すことが出来ませんでした。それどころか目前にいる君嶋に「逃げろ」と伝え、自身も走ってその場を後にしました。どこを歩いても、組の人間がいるようで、山田と一緒になって恐怖に震えながら頁を捲りました。

慌ただしくスリリング。でも面白い♪このスピード感たるや、まるでジェットコースターに乗っているみたい。途中、路彦と合流。二人で追っ手を撒きつつ逃走します。緊迫感あふれて息詰まる展開が続きます。そうした中、ようやく二人が結ばれるシーンがあり、ラブ&スリルを堪能できます。ここからはあえて解説は致しません。是非ともご自身でお読み頂きたいです。最後はもちろんハッピーエンド♪安心して読めます。

最後になりますが、YouTubeの素晴らしいURLを張り付けておきます。ご興味のある方、または梨とりこ先生のイラストを拝みたい方は必見です。髪の毛がより黒い方が路彦(攻)です。惣一のイラストもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=ismOBiyzWbE

いじめられっ子・路彦の成長物語 ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

ただ今、木原先生の作品群を読み漁っております。今回も電子書籍化されている未読の作品の中から、「月に笑う」を選びました。まず美しいタイトルに心惹かれ、次に梨とりこ先生の表紙イラストに魅せられました。温もりのある暖色系の柔らかなトーンが私好み。加えて二人の男の子たちがまったりと可愛いく一目惚れしてしまいました。


目次
月に笑う1(加納路彦(攻)視点)上巻(55%程)
月に笑う2(山田信二(受)視点)上巻(30%程)
月に笑う3(山田信二(受)視点)上巻(15%程)+下巻(100%程)

上下巻とも読了!最高に面白かったです♪9年に渡る2人の愛の軌跡を描いた超大作。上記目次をご覧になればお分かりの通り、長さから言ってもメインは「3」。「1」と「2」を上回る面白さです。もちろん「1」と「2」も大変面白く、これらを読まずして「3」を読むなどあり得ません。

「1」と「2」は比較的スローペース。対し「3」は、後半どんどんハイスピードになります。ハラハラドキドキと手に汗握り、ページをめくる指も速まります。レビューも興奮のあまり長くなり過ぎました。よって、上巻であるこちらに「1」と「2」のレビューを、下巻に「3」のレビューを書かせて頂きました。


●「月に笑う1」のあらすじ(路彦14-16歳・山田18-20歳)
深夜の学校で偶然クラスメイトの女生徒の転落死を目撃する路彦。その女生徒の交友関係を探ろうとする4歳年上のチンピラの山田。二人は偶然の出会いから交流を深めることに…。

実はヤクザものってちょっぴり苦手だったりします。平気で人殺しをするなど凶暴なイメージがあるからです。それになかなか小説のヒーローにはなり得ない職業だと思うのです。しかも山田はヤクザの大物ではなくただのチンピラ。大抵は小説の脇役として「覚えてろよー!」の捨て台詞を吐いたまま消えていなくなる存在。

ところがこの小説は、そんなヤクザでチンピラな山田を主人公の一人に据えるのです。やっぱり木原先生はただ者ではありません。路彦も、ヤクザに関しては一般人と同様のイメージを持っています。でも本人に向かって直接「ヤクザって、人を殺すの?」と聞くあたり肝が据わっているなと思いました。こんな事言ったらぶん殴られそうと思うのは私だけ?

イジメから救って貰い、喧嘩の仕方やHなことを教わり、だんだんと山田を好きになっていく路彦。小さくて喧嘩が弱くて、でも頭が良くてお金持ち、厳格な医者を父に持つ路彦。普通だったらこれ程の優等生がヤクザと交わることはないと思うのです。でも路彦にはお友達がおらず、山田が唯一のお友達です。

そして路彦と言う人間はとても意思が強く、一度こうと決めたら誰が何を言おうと変わりません。今のご時世、平気で裏切り嘘をつく人間が多い中、路彦の決然とした信念は目を見張ります。路彦が良いです。どんどん好きになっていく自分を止められません。特にラスト近くは感動。

山田の兄貴と称する男は、例の転落死した女子高生と関わり合いがありました。ある日、路彦のせいで山田がその兄貴からフルボッコにされます。警察に助けを求めたものの、あまりに無残な山田の姿。路彦は大人たちから、山田が死んでしまったと思い込まされました。そして歳月が過ぎ、高校進学。入学式を目前に、偶然デパートのトイレで死んだはずの山田と再会。嬉しかったです。

タイトルの意味が分かるくだりがあります。山田はTシャツを捲り上げ、路彦に背中を見せます。まだ塗り絵のようで色がついていない刺青で、龍の絵が描かれています。山田自身は「月に吠える龍」がカッコイイと思っています。でも路彦は正直に自分の感想を述べます。「…この龍、笑ってる」と。そう、「月に笑う」と言うタイトルはこの山田の刺青の龍のことだったのです。その何気ない会話にほっこり。


●「月に笑う2」のあらすじ(路彦17歳・山田21歳)
山田と、山田を「兄ぃ」と慕う良太と、路彦は待ち合わせ場所から海を目指してドライブ。花火遊びをして、バカ騒ぎをして楽しみました。山田が久しぶりに組事務所に赴くと、他の構成員たちは辞めた後で、早くも若頭となるのですが…。

山田は身長が170cm。そして路彦は山田の背丈を抜かし、なんと数cm高くなったのです。私はこの小説は路彦の成長物語だと思っております。出会った頃は小さくて、喧嘩が弱く、泣き虫だった路彦が、だんだんと大人の男になっていきます。その変化が楽しくて、まるで母親の様な気持ちで見守ってしまいます。

ある日とうとう山田の所属する組事務所が解散。山田は東京に進出することに。けれどもなかなかそのことを路彦に切り出せず…。ようやく東京に向かう車の中、パーキングエリアで告げます。「そんなの聞いてない」路彦は怒り、泣き出してしまいます。ホント!なんでもっと早く告げてあげなかったのでしょう、路彦を不憫に思いました。でも山田には自身の過去や故郷への想いがあり、それに訣別するための時間が必要だったのだろうと思いました。

そして路彦とは、永遠の別れと言うわけではなく、今まで通りメールや電話で交流を続けていけるのです。山田は路彦から「学校が休みになったら会いに行く」という言葉を引き出すことに成功。ようやく生まれ育った街への未練を断ち切り旅立つことが出来ました。

山田の生い立ちを読むと結構壮絶で、胸にポッカリと穴が開いたような虚しい気分になります。こんな愛のない家庭に育ちながらも、一時は叔母の愛を浴びたことのある山田。だからこそ山田は心底悪人にはならず、情のあるチンピラになったのでしょう。それにこれからは路彦がいます。路彦の愛が山田の人生を救います。そう言えば、「1」では路彦が、山田を「守りたい、守りたい」と言っておりました。この路彦の守りたいという気持ちが、「3」での活躍に繋がるのです。