エリート御曹司×絶対服従いとこ

因果の魚

inga no sakana

因果之鱼

因果の魚
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神13
  • 萌×216
  • 萌14
  • 中立11
  • しゅみじゃない7

--

レビュー数
13
得点
182
評価数
61
平均
3.3 / 5
神率
21.3%
著者
新井煮干し子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
祥伝社
レーベル
on BLUE comics
発売日
価格
¥620(税抜)  
ISBN
9784396783525

あらすじ

いとこ同士で幼なじみの逸成と涼一。
社長御曹司で俺様な逸成と、彼に従うばかりの陰気な涼一との間にはいびつな主従関係ができあがっていた。
心酔する逸成からの征服を受け入れ、
喜んで体を差し出してきた10代の涼一。
しかし数年後、同じ会社に入った2人の関係は少しずつ変わりはじめて――?
描き下ろし収録!

表題作因果の魚

藍園逸成,社長御曹子
清水涼一(藍染涼一),同じ会社の従兄弟で幼なじみ

その他の収録作品

  • Bonus Track(描き下ろし)
  • あとがき(描き下ろし)

レビュー投稿数13

逸成の顔がいい

この作品を正しく理解して読めているのかはもう解らないのでおいておくとして、教会で仲良しに見えると評されて嬉しそうに優しく微笑む逸成の顔がとても好きで、途中ちょっと読むのしんどくなった人がいたとしてもそこまで読んで欲しいなと思う

生まれついたときにいた環境、少ない限られた身内だけの関係、水槽の中でその役割をこなしてしまうって結構色んな人が経験していながら成長の中で外での顔を身に付けた後知らんぷりして生きているんだと思っている
姉が絶対でグズな妹だとされている人とか、なんでかお父さんを大好きってことにされてしまっている人とかその中で不適切な関わりを経験している人実際チョイチョイいる

逸成と涼一は会社で約束されていた再会をしたことで水槽と外とを行ったり来たりしている
意地悪をした側の方が捕らわれてしまうものだろうし元からする側の方が執着が強いんだろうとも思うので逸成の方がしんどそうに見える
しかし、逸成が最も力を発揮できるのは涼一がいるところなんじゃないかと思えるので逸成は頑張って欲しい
水槽の居心地が好きな訳じゃないんだけどそこから離れるのが苦しいんだろうって解る

女の子のネクタイを結んでやってキスをするところとか、 夢の中の涼一がすごくカッコいいこととか、フランスの写真見ながら自然にキスする場面など従兄弟なんかに生まれた二人の因果が憎くなるけれど、他人だったら二人の個性はもっと控えめに収まったかも知れなく友達くらいなら…なれたかな?教会でのモノローグの通りだなと、本当に思う

二人が知らんぷりして生きていくのか、誘いあってときどき水槽に帰るのか
どうするんだろう
成長して平気で生きていける図太さを身に付けて子供同士を遊ばせるような関係になってもそれはそれで美しいようにも思う

3

水槽

表紙の背後に逸成がいることに今更気づきました。もう何度か読んでるのに…

「ひとりじゃおちおちくるえもしない」

読むたびに理解が深まる(気に勝手になってくる)この作品。最初、ほんと集中力不足で読んだので、新井先生好きなはずなのにな〜んかよく分かんなかったな〜となり、読み返すたび沼にハマるような好きになる。スルメ系。
逸成が完全にマウント取ってるように見えて全くそんなことないのが面白くて。涼一も逸成の側にいて役割を与えられていなければ或いは…という。"事務の三好さん"のように彼に気づいてしまう人もいるし。

2人の顔が似ているような気がする時があり、一方で全然似ていない時もあり、絶妙だ…新井先生に限って作画の稚拙さなんてあり得ないと思ってるので(信者)コントロールされてるんだろうなと思うと恐ろしい。

1

半身

社長御曹子の逸成(攻め)と、いとこで幼馴染みの涼一(受け・表紙で口を塞がれている方)。
暗く出来の悪い涼一は、常に逸成の言いなりだった。
しかし社会人となった涼一は
仕事もでき女性にもモテる存在となり
逸成はそれに微かな苛立ちを覚え…。

幼少からの根の深い執着関係を
ときに哲学的に、ときに幻想的に描き出す
シリアスな物語です。


まず、視覚に訴える表現力が凄い。
冒頭、涼しげな面差しのイケメンとして登場する
社会人・涼一ですが
逸成に対しては、彼に盲目的に付き従っていた陰気な子供時代そのままの顔を見せる。

逸成に礼を言われた瞬間の
涼一の笑顔の気味の悪さは何とも言えません。
目を見開き、歯並びの悪い口元で
ニッと笑った顔のアップはどう見てもホラー。
そんな涼一を部屋に残し、一人シャワーを浴びる逸成の、何かに脅えるような横顔も印象的。

直前の、涼一が逸成を押し倒すかに思われたシーンの
緊迫感も含め、余計な台詞がなくとも
絵だけで二人の特殊な関係が伝わってきます。


物語は、社会人の二人の現在編に
子供時代~の回想が挟まれる形で進行します。

光と影、王様と家来のような関係が
大人になって微妙に変わっていく。
現在と過去との対照の描写が秀逸です。

逸成にとって、暗愚で従順な涼一は
もう一人の自分のような存在で
涼一にとっての逸成は
おそらく憧れであり崇拝の対象。

水槽を泳ぐ魚のように離れられない二人の関係は
涼一が自立した大人になったことで
終わりを告げる(と私は解釈しました)。
健全で対等な関係に近づいたという意味では
ハッピーエンドですが、
この先二人が恋人としてやっていくのかは不明。
爽やかさと切なさとを同時に感じさせるラストです。


BLと言うより、モラトリアムからの脱却を描いた成長物語という印象が強く残りました。

エロシーンは学生時代から社会人に至るまで数回ありますが、どれも短く静か。
エロさは控えめですが、表情や構図から伝わってくる切なさや背徳感が何とも言えません。


全体を通して、やはり絵の魅力が大きいです。
小学生のとき割箸に墨をつけて描いたクロッキー画を思い出すような、力強い独特のタッチが印象的。

ちなみに、たまに逸成と涼一の見分けが
つきませんが(私だけかも…)
もみ上げのある方が逸成、ない方が涼一です。

同時発売の『アラウンド』(こちらは楽しい学園物)と
一緒に読むことで、煮干し子さんの引き出しの広さが感じられるのではないかと思います。

11

官能的な静謐さ

作品を読み終わった後、著者あとがきの「暗い話~?任せろ!?…気持ち悪い話~?任せろ!?」を読んで、尚更惚れました。全体を漂う、色彩もお話のトーンもブルーな感じ。開かれたBLではなく、閉ざされたBL。同性愛に理解がある人たちに恵まれた環境で描かれる内輪な世界とか、時代ものやファンタジーなら抵抗ないよねとか、読者層があらかじめ想定されているゆえに、安心してナチュラルにボーイズの恋愛を読んで楽しんでいる自分に喝を入れてくださいました。ただ、帯には萎えましたが。

ずっと昔からこんなことは、あった。だけど誰にも言えなかった。言う必要もなかった。理解者なんていらない。ただ、あのひとだけがいればいい。一心同体なのに別々の身体に閉じ込められてしまったもどかしさ。問わずとも禁忌を冒さざるをえない、暗黙の了解には凄味を感じてしまう。読者すら寄せ付けない、二人だけの濃密な関係はとてもエロティックです。

真剣なことを面白おかしく伝えるのもいいけど、真剣なことを重苦しく伝えるのもまた、いいですよね。

5

“運命”というのはそもそもこういうことなんだろうな。

表現豊かで難解な言い回しの多い日本語は、あえて平易な英語に言い換えることで解り易くなることも多々あって、こちらのタイトルなんてまさにそんな感じ。
「因果の魚」と言われてもいまいちなんのこっちゃピンと来ないのだけど、その下に小さく書かれている“fish tied with fate”で、あぁ成る程これはそういうお話なのかと。

ポイントは“tied”ですね。
ぶっちゃけ、帯の「執着系ヤンデレBL」ってなんか違うと思う。
このコピーを見て「共依存モノかな?」となんとなくのアタリを付けて読み始めちゃったんだけど、どちらかと言うと中村明日美子さんの「ダブルミンツ」のような、ベターハーフを題材にした上でそれを作家さんなりにBLに落とし込んでアレンジされたお話とでも言えばいいのか。
だけど「ではこれはベターハーフのお話なのか?」と言えばちょっと違っていて、そこが面白かったです。
とにかくポイントは“tied”です。
難しくはないんだけど、スルッと理解できるかと言えばなんとも難解な作品でした。
オチまで分かるといい感じにニヤリと出来ます。

あとがきで「最近はよく人の出会いの数奇さについて考えます」と書かれていますが、私もそういうことをよく考えるタチで、この出会いは偶然か必然かと考えた際、偶然の出会いを双方が必然と思うのなら偶然=必然になるよなと。
「因果」ってのがそもそもそういうことだと思いますしね。
人が“そう”だと思うからそうなり得る訳ですね。

執着とか病みとかそういう話ではなく、運命の出会いとは?に対する一つのアンサーを描かれた作品かなと思います。
BL的な萌えはあまりないけど、運命共同体のようなカップルが好きな人にはおすすめです。

5

温故知新

煮干し子さん3作目。これはまた薄暗いなあ。絵といい内容といい、80年代の漫画としか思えない。大友克洋とか柴門ふみとか鼻の形があの辺のラインで、この時代にこういう絵は新鮮なのでは。一冊同じカップルの話が現在と過去といったりきたり。二人の一生の内のいくつかのシーンを切り取って見せてもらったような、そんな感覚に陥る作品でした。主従関係ではあるけど、共依存でもあるように思える。どちらかが結婚しても、この関係は続いていくような予感を含めた終わり方もよかったです。

3

近親憎悪なのかな

近すぎる二人のいびつな主従関係を描いた作品。
かなり、陰々滅々としたストーリーが、抜群の画力で静かに展開されるのだけれど、、、。

ほぼ、二人だけで展開するストーリーの、この涼一と逸成。
従弟同士という設定は、ある程度顔の造作も似ていて、でも、生まれついた家と生い立ちやそれによる性格の違いが顔の雰囲気にも現れているということをこの抜群の画力で的確に表現されると、その差が繊細すぎて逆に二人の見分けが付かずにストーリーを見失うという羽目に陥り、でも、この、どっちがどっち?的な怖さこそを味わう作品だとしたら、それはそれで大成功なわけで、とにかくこの作品が凄いのは確かだと思う。

3

二人の関係性

「上下とか強弱とか……あるつもりでこなしてたら ほんとーにそうなっちゃうんです」
二人の関係を聞いた同僚女子のセリフ。

この作品を読んで思い出したのは「スタンフォード監獄実験」でした。
一般の人々を集めて半分に分けて片方に囚人、片方に看守という役割を与えると、自然と人間はそれらしい行動を取り始めるというやつです。

逸成は涼一に出来の悪い子供という役割を与えて、涼一もその役割を嬉々と甘んじて演じていく。涼一は逸成が考えているほど愚鈍ではないと思います。
「大学と前の会社とおまえ一人で ひとりだけで何か学べたか?」と逸成が涼一に言うように「一人じゃ何も出来ない涼一」というポジションを与えて育ってきた二人。

この二人がときどきどっちがどっち??と見分けがつかなくなるんだけど、それが従兄弟同士という微妙に似通ったところのある二人である事を否応なしに意識させられますし、二人で一人みたいなものを感じます。

こういう作品って頭で理解するもんじゃなくて、もう理屈抜きで感覚的に好きか嫌いかだと思います。
好きな人にとっては、細かいセリフの意味なんか解らなくてもこの閉ざされた世界観がたまらなく痺れるはずです。

私は共依存や、世間からどう思われようとも「二人だけ」愛し合って理解していればいいといったような閉ざされた世界が好きなんですが、なぜだろう、この二人には惹かれなかった……。
ちなみに好きな「二人だけ」の作品は、ヨシダリョウさんの「僕等の夜は嘘吐き」ビリーバリバリさんの「朝とミーチャ」などですが、いずれも世間から遮断されたような愛が描かれています。
それに対して、この二人はお互いを縛り付けあっているものが愛なのかどうなのかが解りづらいからかもしれない。
そもそもこの二人は愛し合ってるんですかね?私にはそこが解りませんでした。

お互いの主従関係は社会人になって変わりはじめる。
逸成がいなくても涼一はきちんと仕事が出来るようになりバランスが崩れ始めている。
そして涼一が逸成に示した初めての明確な否定「そんなことはできない」という言葉。
この先二人はどうなっていくのかなぁ……。凡人には想像がつきませんでした。

私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、新井煮干し子さんの作品「ふしぎなともだち」とこちらの「因果の魚」でした。

一番ぞくぞくきた箇所は「ひとりじゃおちおちくるえもしない」このセリフは神だと思います。
ただ私自身の想像力が足りないせいか、提示されたもの以上を作品から読み解くことが出来ませんでした…。
「ふしぎなともだち」と全く異なる作品で、多才な作家さんだなぁと感嘆しました。

教えてくださり本当にありがとうございました。

2

暗いけどハッピーエンドでしょ?

装丁もいい。カバー下もキモくて良かった!
ピラルクかな?
今後は作家買いしよう。

逸成の凄まじい独占欲に震えた!
人からの見たら人生勝ち組の逸成だけど仮面の下は実は激しく暗くて病んでるってイイね!
オトコが鬱々とした負の感情に悶え苦しむ姿は大好物なので、楽しく読めました。

暗くて病んでるけど、お互いに想いあってるから
ハッピーエンドな話だと…

現在.過去と時間軸の入れ替わりが激しいけど分かり易くて読みやすかったです。

1

一期一会

深い!
劇深い‼︎
評価も萌でいいのか分からないです……

従兄弟同士の逸成と涼一のお話です。

従兄弟として出会っていなければ、
関係性は変わっていたのかも……
それでも、こうして出会ったことが奇跡で運命だと感じる二人。

お互いに思い合っているのに決して言葉にはせず、
それでいて離れがたいのがよく分かる。
セリフは少ないし、さりげない表情や視線を頼りに読み取るしかない物語は、非常に難解でした。

自分の解釈と他の人の解釈とは異なるかもしれません。
それもまた本作の魅力なのでしょう。

二人の行く末が気になって仕方ない……
非常に尾を引く作品でした。

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