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kaibutsu deliver to itoshiki hibi
【私は躾が悪くてね。これ以上待てが出来そうにない(仁坂)】
エロス度★★★★
おやおや。愛に飢えた大学生で〝怪物デリバー〟の異名を持つ絵本作家を好きになってしまうのがかわいいですね。
仁坂と律人が紡ぐ祝福の恋物語で、仁坂の浮世離れした独特なキャラや仁坂と律人の身長差・仁坂に対して愛しい気持ちが芽生えていく律人がツボで、愛を知らない仁坂と愛に飢えた律人の幸せでほのぼのとした時間がとてもよかった。
仁坂と恋人となり幸せを感じる律人ですが、仁坂は絵本が描けなくなり、律人は日常生活よりも仁坂と過ごす時間に依存するように・・・。
怪物との歪だけど愛しい日々の結末にはグッときます。
フードデリバリーの配達員と客というだけの、何の接点もないふたり。
注文された食事を玄関先に届けたら顔を合わせることなく終わる、とっても無機質な関係だったけれど。
ある雨の日のトラブルをきっかけに、そのカタチが変わるところから始まるお話でした。
登場シーンのインパクトの強さだけではなく、知れば知るほど変わっているのがわかる仁坂。
大食いで、なぜか"温かい食事"にこだわっていて、すごく優しいのに掴みどころがなくて…
そんな彼と関わっていくうち、律人の考え方や周りとの付き合い方などが変わっていくのですが
そこには微笑ましさとか恋に浮かれたドキドキ感だけではなく、どこか不安になるような危うさがありました。
恋愛感情を抱くとは思っていなかったところから、自然と惹かれ合って。
同じ気持ちだから身体も重ね、一緒に過ごす時間が増えていくのは恋人同士なら普通のこと。
…なんですが、ふたりにはどこまでも交わることがない思考の隔たりがあるのがわかっていきます。
それは変えられない過去に繋がっているので、いくら"現在"の気持ちを整えてもどうにもならないことを思い知らされるだけなんですよね…。
好きだけでは一緒に居られないその状況が切なすぎました。
離れる決意をこめた仁坂の「お願い」からは律人のことが本当に大切だということが伝わってきて
ただただ胸が締め付けられましたが。
悲しい別れではなく、前に進むための一歩として
それぞれの転機になっていたのが素敵でした。
離れた時間があったからこそ、お互いに依存するだけの関係にならずに済んだのでしょうね。
想う気持ちは変わらぬまま、また新しく出会えたような再会シーンは本当に感動でした…!
これからのふたりの日々にたくさんの幸せが待っていることを祈ります。
(「さいごのごちそう」の仁坂による制作秘話もすごく良かったです!
drapHPにて読めます。本編を読んだ後、ぜひ。)
攻めのデリバーさんの魂の救済のお話。
人物あるいは大切な何かを守ろうとして、傷つけたり傷ついたりする状況には陥ってしまいますが、嫌な人は誰ひとりとして出てきません。
それが余計に苦しく切なくて どうしようもないのだけど、そこ抜きにしてこの物語は成り立たない。
デリバーさんの人物像。一見して変人なのに他者を不快にさせない不思議な魅力があります。話し方は丁寧、ときどき不気味だけどキュートで、でも絶対に立ち入らせない何かを持っている人。
とても胸の痛くなるセリフがあって。
「私は食べ方が汚いだろう
だから外食はしないと決めている」
哀しい過去と未来への諦めが示唆されている印象的なシーンでもあります。
デリバーさんのことをあれこれ語ってしまいましたが、前情報なしに是非読んでみてください。
何気ない日常の中で幸福につつまれている実感に鼻の奥がツーンとしてしまう。そんな瞬間がデリバーさんと律人くんのこれからに、何度でも起こってほしい。私はそう願いながら静かに読み終えました。
仁坂×律人
難解で重みのある一冊。
全体の過程にはやや無理を感じた(個人的には)。
まったりと縮まる距離感の中で、
襲いかかる不穏さ、そして優しさ。
胸がズキンとしたのは、ラストの切ない展開。
最後に残る温かさが心に沁みる。
絆され合い、依存の匂いが漂う2人の関係性。
律人の愛は、仁坂を包み込む救済のようなもの。
「愛に飢えた」大学生・律人と、
「愛を知らない」異彩を放つ絵本作家・仁坂。
2人が出会い、
風変わりな仁坂の食の求めに、
律人がご飯の世話をする日々が始まる。
次第に見え始める仁坂の異常な執着も強引な行為も、
律人が平常心で受け止めていくという流れ。
心の崩壊と不安に対する防衛が、
狂気へと転じる境界で揺れる仁坂。
そんな彼が律人に強くこだわる姿がいいところ。
愛を求めすぎて隠れた危うさを抱える律人も、
仁坂に絆されてしまうくせに、感情が溢れで、
ズカズカと仁坂に入り込んでいく進行がエモい。
その真っ直ぐな愛は、まさに尊さの権化。
決してコミカルではなく、
シリアスさが強く刺さるわけでもない歯痒さがあるけど、
セリフのすべてに計り知れない深みがあるみたいで、
じっくりと味わう必要があると思う。
お互いの欠けた部分が噛み合っていく過程が、
濃厚な人間心理が詰まった一作でした。