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soshite nagai yoru ga aketanara
上下巻まとめてのレビューです
全然、知らない作家さんで
商業デビュー作らしいんですけど
めちゃくちゃ良かったです。
四年半かけて、描かれた同人誌をまとめたものらしいんですけど、自分の為に描いたという内容は本当に自由で、一切の妥協がなくて
作画から、モノローグから、
モノローグなんて、哲学者の言葉のを引用してたりしますからね。
(それもさり気なくなので、難しいとかはないんですけど)
自分のために、っていいよなぁ
でも重たくないのはセンスなんだろうな
言葉のセンスや、会話の内容がリアルで
またさり気なく音楽の話も挟まれたりしていて
読んでいても楽しく、表現力の幅が広く豊かで
読み応えがありました。
ストーリーは東京のどこかで暮らしてる
普通のリーマン2人のはなし。
2人ともクローゼットゲイで、攻の転職をきっかけに
関係が親密になっていくんですけど
元カレとの再会に古傷いたんでしまったり
職場でオープンにするかどうかという話になったり
あらすじで言うとほんとシンプルですけど
ひとつひとつのシチュに揺れていく心情がほんとリアルに表現されていて、引き込まれます。そのシチュエーションも意外な展開だったりして、お決まりパターンとならないのがまたイイ。そして、解決していく過程もまた丁寧に且つ、重だるくならずに共感していける感じが半端ないです。
そうして迎えたラストは、
どれだけ彼らが色々な呪縛から解け
心からお互いのことを求め合ってるのか
かけがえのないものなのかが
めちゃくちゃ伝わってきて涙が出てしまいました。
おすすめです。
皆んなに読んでもらいたいです、ほんと。
夜のオフィスで、背を向けて座っている二人のリーマン。
視線は絡み合っていないけれど、お互いに意識していることが分かる印象的な表紙に惹かれ、手に取ってみました。
帯に「やまねあやの先生推薦!!!」と書いてあり、読む前から期待でどきどき。
こちら、30代のゲイリーマン同士の恋のお話。
…ではあるのですが、性的マイノリティ(ゲイ)であるゆえの疎外感や、失った恋の痛みに悩む主人公・西片(受)の心の動きがフォーカスされ、丁寧に綴られています。
同い年だけれど攻めが一年浪人しているため、後輩×先輩という関係。
ある日二人で気軽に飲みに行き、「2軒目に行くか」と西片(受)が誘いをかけたところで根津(攻)から「実は転職をすることになった」と告白されます。突然知らされた事実に驚き思わず寂しさを吐露したところ、根津にキスされ、流れで体を重ね、そのまま流されるように関係が始まってーー
と続きます。
クローゼットゲイである西片の抱えた失恋のトラウマ。そしてそんな悩み・気持ちを気軽に友人にも吐き出せない辛さや痛み…
表情やモノローグから伝わる西片の心情が切なく、読んでいて苦しくなりました( ; ; )
5年間も付き合ったバイセクシャルの恋人。この恋人がひどい!! 一方的に「もう前みたいな情熱はないだろう 別れよう」と言われ、納得できないまま別れて3年…新しく恋の一歩が踏み出せるかと思いきや、デート中に思わぬ場所で子連れの元恋人と再会、それがきっかけでデートの雰囲気も壊れて根津との関係はギクシャクしてしまい…と、悪い流れは止まらず。
攻めの根津は根津で元彼に浮気され傷ついて別れた過去を持っており、「愛され愛したい」と願っていて…攻め受け共に同じ思いは持っているのだけど、うまく噛み合わない歯車にもどかしさが募る…!!
こちらの作品、受け視点と攻め視点の両方があり、攻めの根津視点での、恋をしていると自覚したエピソードが個人的にたまらなくグッときました。
飲みの席で隣になった二人。うとうとしてしまった西片は根津の肩にもたれてしまうのですが、はっとそれに気付き、顔を上げて青ざめるんですね。
”ゲイだとバレたんじゃないか”という恐怖で…
そんな繊細な西片が、根津の転職話には自身の手を根津の胸に押し付け、縋り付いて惜しんでくれる。「俺に触れていいの 触れてくれるの こんなに近くて」という根津のモノローグに、心をぎゅーっと鷲掴みにされました。
なんだろうな…明るい「萌え!」ではないんだけど、間違いなくそこにたまらない夜明けの萌(?)を感じるというか。
上下巻ものということもあり、切なさパート多めなのでちょっとそこは好みが分かれるかもしれませんが、自分にはとても沁みて、考えさせられる作品でした。