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akuyaku ouji to okakae no hariko
いや、蜘蛛!蜘蛛受けとは…!小説の世界本当にすごい。
むかーし、映画ジュ◯ンジに出てきた巨大化した蜘蛛を見て恐怖に震えた記憶が蘇りました。
中原先生のこちらのお話、発売当初からものすごく気になっていたのですが蜘蛛か…と思い躊躇していましたが;
迷いを捨てて読んでみて、良かった…!
レビュータイトルどおり、受け君の可愛らしさ・健気さに胸がきゅっとなる物語。
蜘蛛、可愛いやん…!
王弟が蜘蛛の怪物に食い殺されたことにより、人間と怪物が共存できず、蜘蛛は徹底的に排除されるようになってしまった王国。
その設定と、終盤明かされるエピソードによる回収が見事で、読みながらおおお…と声が出てしまいました。
周囲に恐れられ嫌われる王子でありながら、実は虐げられるものに対して心優しい攻め様グレンも素敵だった(〃∇〃)
そりゃ、フィンも一目惚れするよね…と。
口から糸を吐いてせっせと刺繍する姿、得意の妄想でも補えるのですが、やっぱり挿絵で見たかったな…と、それはちょっと残念でした。(あと刺繍もイラストで見たかった)
あと、森へグレンを助けに行ったフィンの口の中に指を入れ、そのまま押し倒しちゃうグレン。ちょっと唐突じゃないか!?;と正直思ったかな。。
グレンがフィンに惹かれていく過程、エピソードがもうちょっと見たかったかも。
ただ、エセルバート第一王子に煽られて、「俺が欲しいのはフィン自身だよ!」「フィンを愛している。だから返して欲しい」と叫ぶ姿は個人的萌え大爆発シーンでした✨
あ…ちなみにエセルバート第一王子、蜘蛛に対するあのシーンさえなければ自分の中で攻め様に並ぶいい男だったんだけどなあ。
フィンが正体を明かした直後の蜘蛛に対する仕打ちには、ええええええ…となっちゃいました;
と、色々言いつつも。
糸を吐いて神秘的な刺繍をする受け君の健気さ・一途さにきゅんきゅんし、中原先生作品ならではの秀逸なストーリーに唸る、ファンタジーでした・:*+.
「地獄から戻った王子」と呼ばれている攻めと、そんな王子に専属お針子として仕えることになってしまった受け。
そこに丹念に施す壮大な刺繍のお話が相絡まって面白かったです。
本当は第一王子の専属になりたかったのに、人々から忌み嫌われている訳ありの第五王子・グレンの専属となってしまったフィン(受け)。
「気に入らない針子の首をすぐに刎ねる」というグレンの噂を知りビクビクするも、人となりを知らないとその人にふさわしい刺繍はできないからと必死でグレンを知ろうとしていくところが良かったですね。
グレンは、いわゆる「極悪不良で知られるあいつが雨で濡れている子猫を……」みたいなギャップ萌え路線。
そして、フィンがこの目で知っていったグレンの本当の姿を、まるで生命と意思が宿ったかのような生き生きとした刺繍を施していく描写が読んでいて楽しかったです。
でも女王の思考回路にいまいち付いていけなかったなぁ。
蜘蛛の怪物に喰われて〜という助言のせいで蜘蛛の怪物と人間との決定的な断絶が生じてしまったし、愛を貫けなかったのは自分の弱さのくせに、お門違いの憎しみを蜘蛛にぶつけて蜘蛛退治!とか。
おまけに、今まで散々あれこれやってきた女王である母親を許すのぉ〜?とちと思いましたが、許さないと後味悪いですしね。
まぁ悪役は一人でいいのかもしれない。
それとエレルバートの腹の中が読めずヒヤヒヤしてましたが、ホッ。
着地点が良かったです。
母親に嫌われ、自分の存在が国の災厄になると己を粗末に扱っていたグレンによる
「お前のおかげで自分を好きになれそうだ。」というところ。
最近、別作家さんの小説で「受けの愛の力で、ようやく自分を肯定できるようになった」攻めの話を読んで萌えてたので、ここにも!!!と嬉しくなりました。
そしてグレンが噂通り血に飢えた男ではなく虫の音や木漏れ日、風のささやきなどを愛する男であるといった途中の発見が印象的だったので、最後の木漏れ日が注ぐ芝生の上でくつろぐ二人の姿に嬉しくなりました。
穏やかに日常を紡ぐ二人のSSがあったら、読みたいです。
血腥い噂の絶えない第5王子×蜘蛛と人間との半妖であることを隠しながら第5王子専属となった針子。
受けの蜘蛛描写が苦手というレビューも見受けられましたが、個人的にはとくに気にならなかったです。
受けのフィンがとにかくいい子でかわいかったし、攻めの第5王子も悪評とは裏腹に優しさの塊すぎて、誤解されている状況を思わず擁護したくなるような、こちらもそんないい人でした。
そして攻めの兄である第1王子は、実は裏切りものだったら…とドキドキしていたら、最後まで優しいお兄ちゃんでホッとしました。
展開が展開だけにね。
もしかしたら裏切り者かもと、ひゃっとするのです。
そして最後まで読み進めていくと、女王自ら国にお触れを出していた蜘蛛殺しの真相が、まさかそこに繋がっていたとは!とあとで伏線だったことに気が付き、ラストで種明かしされた時にはノーマークだったエピソードがソレだったことにさすが中原先生!! と目を瞠りました。
心温まるじんわりほっこり可愛いお話が好きな方には、ぜひオススメしたいです。
童話みたいな心温まるお話だと感じました。
お抱え針子、紹介文に、体から糸を出して何かを作る。
・・それなら、受は蜘蛛?と思ったら、そうだった。
★蜘蛛が主役 昆虫苦手な方は注意。
土台は、ギリシャ神話の「アリアドネの糸」
アリアドネ(Ariadnē 尊き女神)は、クレタ王ミノスとパシファエの娘。
恋人テセウスの迷宮ラビリントス脱出を糸で助ける。
「刺繍の作業中は部屋を覗かないで」と言うフィン、ここは夕鶴を連想。
目が六個、下半身蜘蛛の怪物、舌下から糸を吐き出し刺繍する。
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●セルセンフォート国:
織物が特産。蜘蛛の怪物アラクレル族と共存。
15年前、人食しない筈のアラクレルの娘が恋人(王の弟)を食う。
アン女王が蜘蛛族討伐、怪物絶滅で蜘蛛の糸の刺繍は「失われた技術」になる
アン:前王の妃 現女王 王子四人は王の子、末子は愛人の子。
グレン:五番目の王子 蜘蛛も殺さない
占い師が「母親を破壊する子」と予言 ・・母による暗殺未遂 「地獄から帰ってきた王子」
フィン:18才。 父は人 x 母はアラクレル
新月の日と、刺繍の作業中に蜘蛛化
素性を隠して、王子専属の針子に応募、第五王子の針子を拝命
先生買い。刺繍がテーマの一つになっていたのですが、受けがちょっと苦手で、申し訳ないです中立にしました。読めないかもとビビりましたが、刺繍話は面白かったので、最後までなんとか読めました。「苦手なものがあったとしても、スルー出来るスキル」があればもっと楽しめたんだろうなあ、とちょっと残念です。本編280P弱+あとがき。
農民の両親に愛され育ち、刺繍が大好きで大得意のフィン。織物と刺繍が盛んな国なので、王族には専属の針子(刺繍する人)が付くことになっています。昔、第一王子に助けてもらったことがあるフィンは針子に応募しますが、担当になったのは冷酷、恐ろしいと知られる第五王子で・・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
女王、第一王子(キラキライケメン)、大臣、針子仲間、受け両親、攻めに仕える女官、ぐらいかな。第一王子が好き♡
++苦手だったところ
受けが、人間と蜘蛛の怪物の種族との間に生まれた方で、口の中から特殊な糸を出すことができるという設定だったんです。
・・・。
蜘蛛がどうにも苦手でして冒頭に蜘蛛の怪物の設定が出てきた時に、「もうだめだ・・」と気が遠くなりました。蜘蛛が超苦手な私でもなんとか読み終えることが出来たので、あまり気にしない方でしたら、大丈夫だと思います!
お話としては、刺繍話は素敵だし、「不器用、人を信じない王子」と「純粋純真で一生懸命な子」との恋話で、ドラマティックな要素あり、楽しく読めるのではと思います。第一王子の腹読ませない感も良かったしなあ。蜘蛛が大丈夫でさえあればもっと楽しめたのに。残念。
今回は女王に憎まれる第5王子と蜘蛛の半妖の針子のお話です。
攻様の攻様の専属針子となった事で
重臣の陰謀が阻まれ攻様が女王に認められるまで。
セルセンフォートは
高品質の絹の生産と優れた加工技術をもつ織物の国です。
その技術は初代王が刺繍の名手と名高い蜘蛛の怪物の
アラクネル一族を民として技術を学び進化させたものですが
世の中の変化で人間と怪物は共存関係が保てなくなり
道を分かちます。
セルセンフォートも例外ではなかった上に
王弟が恋した蜘蛛の怪物に喰い殺される事件がおこり
王は哀しみの末になくなります。
新王なった女王は蜘蛛を悪しき存在とし
「蜘蛛はたとえどんなに小さくても殺さればならない」
という法を制定します。
受様の母は迫害される事となる蜘蛛の怪物で
半妖の受様は怪物の姿は持ちませんが
新月の夜には小さな蜘蛛になります。
3年前の新月の夜、受様は蜘蛛姿で王家の別荘に迷いこみ
死を覚悟していた所を琥珀色の瞳の王子に助けられます。
この別荘は第1王子がよく使う場所で
受様は助けてくれた王子に恩返しべく
彼の針子になりたいと望みます。
受様母は人間にとって「失われた技術」を体得しており
受様は母からの継承して王家専属の針子に採用されますが
第5王子の攻様の専属針子となります。
攻様は血を好む王子と噂され
王子の政務も果たさないので衣装もあまり必要ないと
針子は受様1人です。
果たして受様は針子生活を平穏に遅れるのか!?
前王の血を引かず破滅の王子と予言された攻様と
半妖で失われた刺繍技術をもつ受様の
人外ファンタジーです♪
攻様は生誕時に女王を破滅させると予言され
成長するにつれ王ではなく母の家臣に似てきたため
不義の子なのは公然の秘密でした。
女王は12才の受様を狩り場で殺す計画を立てますが
攻様は家臣の血まみれの服とともに堂々と帰城、
女王は攻様への嫌悪と恐怖を募らせます。
受様は攻様の過去に胸を痛め、
攻様自身を知って彼のための刺繍をしたいと考えますが
孤高の攻様に近づく術がありません。
女王を破滅の導くと占われた攻様の孤独
受様を恐れる女王の愛憎
母女王の所業を苦々しく思う第1王子の思惑
女王の信頼の厚い大臣の裏の顔
受様が半妖という秘密はバレるのか
女王と攻様が歩み寄る作はあるのか
受様が身分差のある攻様と結ばれる道はあるのか
攻様の頑なさと受様の健気さがかみ合わず
状況も苦しい展開へ向かうようにしか見えず
正直、なかなか頁が進まなかったのですが
受様が半妖と知った黒幕が動き出した時から
巧みに張られていた伏線が次々と繋がっていき
ハラハラな展開も見事に乗り越えての大団円まで
頑張って読んで良かったです (^-^)v
ただ女王の心情と言動が理解し難く
モヤモヤしてしたので「萌2」としました。
中原一也先生の既刊作品は拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。
個人的、各項目5段階で
ファンタジー 4
健気 4
ギャップ 2
エロ 1
な感じだと思います。
グレン王子×針子のフィンのカプです。蜘蛛の怪物と人間の間に生まれた半妖のフィン。新月の夜、小さな蜘蛛の姿になってしまうフィンを助けてくれた琥珀色の瞳の王子。その王子の為に針子になると決意し、念願の王家の針子となったのに、専属の王子は血生臭い噂があるグレン王子だった。
針子というものを、私があまり知らないのもあり、とても新鮮はファンタジー物でした。受けのフィンくんが蜘蛛の半妖で口から糸を出したり、失われた技術で特別な力が宿ったり、読み応えのある設定でした。
血を好むと噂のグレン王子。よくある設定で、その噂は実は…となるとですが、どうしてもツンツンし過ぎて、健気なフィンくんがちょっと可哀想な…。でも馬や普通の蜘蛛に接する時の対応は素敵でした。
しかし、グレン王子が実は心優しい人であったからこそ、グレン王子の母親である女王の対応にはどうしても最後までモヤモヤして許せなかったです。最後は改心していましたが、それで今までのグレン王子に対する仕打ちは、私は忘れないからな。と思ってしまいました。元はと言えば女王の所為ですよ…。
健気なフィンくんが怖がりながらもグレン王子のことを知ろうとしたり、グレン王子の為に懸命に失われた技術で刺繍をしたりする姿はいじらしくて応援したくなりました。グレン王子もフィンくんに想いを伝えるのが意外とストレートな言い方でそこにはギャップ萌えしました。
健気な受けが頑張って、ツンツンな攻めの優しいギャップが素敵で、ファンタジー要素が堪能出来るので、是非とも読んでほしいです。
中原一也先生は読ませる力はピカイチだと思っているので、今回も迷わず予約していました。
過去の自分の中原先生の作品の評価を見ると、実は泣かせられた作品に神評価を付けていることが多いんですよね。www
今回は涙腺にピクリとも来なかったので萌2にさせて頂きました。でも、それだけではないんです。実は途中に個人的にとても萎える場面があって、珍しく今回は好みじゃないのかと心配になったんです。最後まで読むとあの展開はグレンとフィンの危機を救う為に必要だとは分かったのですが、グレンという人物を考えた時にあんな事をするだろうかと最後まで引っかかってしまったのも確かなのです。
更に今回は王子なのに用心棒のような事をして積み荷を守ってるんですが、国の荷物なのに盗賊に襲われちゃう規模なの?ってそこら辺も引っかかって駄目でした。
グレンの本当の姿とか彼の清廉さとかには凄く惹かれました。あんな目に遭いながらも優しい心を捨ててない姿に凄く萌えたんです。
また、フィンの半妖に隠された秘密なんかは、全然想像してなかったので凄く驚きました。
後半にグググいーと引き込まれたんです。この辺りがやっぱり上手いなぁと思いました。
ただ、やはり引っ掛かる点が多かったのと途中のアレが好みじゃなかったのでこの評価でした。
決してあの姿を見られてはいけないよ。だなんて、まるで御伽話のようでわくわくしてしまいますね。
地獄から戻った王子と呼ばれ人々から畏怖されている王子と、国内で忌み嫌われる蜘蛛の怪物・アラクネルと人間の間に生まれた針子の青年という組み合わせ。
織物といえば糸、糸といえば蜘蛛だと連想して今作を書かれたとのことですが、そこからこんなに魅力的なお話になるのかと驚き。
静かにそっと歩み寄るような心の動きがむずむずと心地良い素敵な作品でした。とっても面白かったです。
美しい絹織物で名を馳せる、養蚕業が盛んな豊かな国。
そんなセルセンフォート国では、各王子に王子の針子として繊細な刺繍を施す者がいて…と、国の設定がまず面白いです。
過去にあったとある事情から恐れられている第五王子・グレンの針子となってしまったフィン。
彼のことをもっと知りたいと思うフィン視点でグレンを追う度に、時に損なほどに優しすぎる彼の本当の姿が明らかになってきて、ああこれは好きになっちゃうよなあと、フィンが針子としてグレンのためだけに針を通したくなる気持ちが分かってしまう。
別に人に知られなくても良い、理解されなくても良いと思っているグレンのぶっきらぼうな優しさがなんだかどうしようもなく胸に刺さるんですよ…
なんの罪もないはずの彼の深い悲しみや、幼い頃から胸にぽっかりと空いていた孤独な部分が、フィンがひと針ひと針心を込めて施した美しい刺繍によって少しずつ繕われていきます。
繰り返しになりますが、両視点でゆっくりと少しずつお互いを知っていく過程が心地良くてとても素敵なのです。
不器用にしか生きられなかったグレンの心情の変化も、その心を動かしたフィンの懸命さもすごく良かった。
グレンの良きお兄ちゃんのエセルバート王子、使用人・針子仲間など、サブキャラクターも魅力的でした。
お兄ちゃんとグレンのやり取りには萌えてしまった。食えないキャラクターのお兄ちゃんに見せる姿がキュートすぎる…
気になる点としては、やはりグレンの母親である女王でしょうか。ちょっと呆気ないというか、グレン優しすぎるよ…と思ってしまったり、後半もぎゅっと駆け足で内容が詰められていた印象があり少々惜しいです。
ですが、もしかしたらアリアドネの糸に導かれてこうなったのかなと思える締めの部分は素敵なものでした。
一風変わったファンタジーをお求めの方はぜひ。
作者買い
疎まれて育った王子と人間と蜘蛛の怪物との間に生まれた半分蜘蛛の男の子のお話です。
かつてこんなに蜘蛛が可愛く思ったことはないかもしれません。
もちろん虫シリーズも既読ですがここまで可愛い蜘蛛じゃなかったように思います。
表現がすごく繊細な作品でした。
最初のキスシーンも非常に斬新なキスの始まりで色んな意味で驚かされたし、心に残ると思います。
これはどうやってエチシーンに持っていくのだろう?と不安になりましたがいざ始まってみるとさすが中原先生。変態プレイは欠かせないんですね(笑)
残念だったのは、グレンを表す紋章がどんなものなのか、挿絵が無いので想像でしかわからず、絵心のない私には想像するのが難しかった事です…
不器用だけど甘々攻め、不憫だけど健気に前向き受けがお好きな方にオススメです。
人外もので蜘蛛モチーフは初めてです。
蜘蛛かぁ……ビジュアル的にどうなんだろうと興味津々でしたが、挿し絵に蜘蛛は描かれていなかったのでちょっと残念。頭の中で色々と想像しながら楽しみました〜
というわけで。
蜘蛛と人間のハーフの青年・フィンが、王子・グレンの専属のお針子に採用されることから物語が始まっていきます。
人間の父と刺繍の名手と名高い蜘蛛怪物(アラクネル)の一族である母との間に産まれたフィンと、不遇の境遇に置かれたグレンの恋愛ストーリーは、まさに山あり谷あり。どちらともにワケありな事情が物語を盛り上げていきます。
この作品の大きなキーポイントは"刺繍"。
アラクネルが紡ぐ刺繍には不思議な力があり、それを狙う悪役も登場します。
フィンの刺繍の才能は狙われる対象にもなるけど、グレンとの距離を縮めるキューピッド的な役割もある大事な要素。刺繍に全てを捧げるフィンの姿にご注目下さいね^ ^
フィンの真骨頂はアラクネルの血を引いた素晴らしい刺繍の才能です。
仕事中は、誰にも部屋に入らぬように人払い&内鍵ロック!
というのは、フィンが仕事をするときは普通の姿ではないからです。口から糸を出し、翡翠色のライン模様が身体に浮かびあがる。見事な刺繍を施していく彼の秘密の姿は内緒です。それに、新月には完全に蜘蛛化しちゃうので、フィンの正体は絶対に知られてはならないのです。
フィンにとってリスキーな仕事なのは間違いありませんが、刺繍はフィンの天職。身に付ける者の生き様や人となりを糸に込めた想いが、誰をも魅了する素晴らしい作品となって舞い降りてきます。
グレンの心を少しずつ溶かしていくフィンの刺繍。もちろん刺繍だけじゃなく、健気なフィンにも惹かれていくグレンの気持ちの変化も見どころです。
このままグレンのお針子として幸せな日々が続くと良いけど、そう簡単にはいかないんてすよねー…。
フィンとグレンを襲う陰謀や、結末までの伏線だったり過去の出来事だったりね、そこには長年の母と子の確執も含まれていて、色んなことが後半には複雑に絡んでいきます。
最後は怒涛の回収ラッシュ。真相があれもこれもと暴かれて大忙しです。
多少の詰め込みと駆け足感は否めないかな。
グレンの母である女王には喝!
改心していい感じに落ち着いたけど、これまでのグレンに対する仕打ちは酷いよ!?…という若干モヤる気持ちを物語の片隅に置きつつも、全体的にはハッピーエンドになったので読後感は良かったです。
グレンとフィンは、産まれや育ち、身体も性格も人種も違うけど、本当の自分を周囲に隠しながら生きてきたところは似ているなと思いました。だから自然とお互いに惹かれていったのかも。
フィンがグレンのために紡いだ刺繍が、フィンの想いとなって形となり、それをグレンが身に付けることによって、フィンの気持ちがグレンに伝播していく。刺繍が繋げたささやかな愛が心に響く作品でした。
2人の周辺部は割と騒がしいけど、BL展開はゆっくりで控えめで派手じゃないのが私には刺さりました^ ^
ちょっと一風変わったファンタジーを味わいたい方におすすめです。
因みに私のお気に入りは、「鶴の恩返し」のようなフィンの作業シーン。誰にも部屋に入らせず蜘蛛化してせっせせっせと刺繍仕事するなんて、まさに"それ"じゃないですか〜
フィンの能力に引き込まれちゃいました♪
作家買い。
中原さんの新刊はファンタジーもの。あらすじを拝見して、ちょびっと買うのをためらいました。すみません。
ワタクシ、蜘蛛がとっても苦手なのです…。
まあ買いましたけどね。
そして、とっても面白かったです。
主人公はフィン。
彼の住まうセルセンフォートは養蚕業が盛んで、ほかの国では真似できない技術の織物によって豊かな財源を誇る国だ。かつて蜘蛛の怪物・アラクネルが織りなす刺繍に目を付けた初代国王の手腕によって、セルセンフォートは財を成したという歴史がある。
アラクネルと人は良い関係を築き共存を図っていたがとある事件が勃発。以来、蜘蛛を見たら殺すようにという女王の命が発動され、今では蜘蛛は忌み嫌われる存在になってしまった。
そして、フィンは、母を蜘蛛にもつ半妖。
誰にもその秘密がばれないように隠し通してきたが、フィンの夢は「王子の針子」になること。自分の刺繍技術を生かしたいと思っている。そして果たしてフィンは王子の針子として起用されることになるが、フィンが配属されたのは「血を好む」という悪い噂の多い第5王子のグレンだったー。
というお話。
蜘蛛の出す糸で刺繍を織りなすという設定からして非常に独創的というか、BL作品で「蜘蛛」が主要人物というのは斬新というほかないなと思いつつ読み始めました。いや、個人的に蜘蛛が苦手というだけなのですが、でも蜘蛛の半妖が受けさんて…!
石田さんて非常に画力の高い方なので、めっちゃ「蜘蛛!」というビジュアルで挿絵があったらどうしようかと思いましたです、はい。が、私と同じように蜘蛛苦手な腐姐さま方、安心めされい。大丈夫です。蜘蛛の挿絵はなし。むしろイケメンさんしか登場しないので眼福でした。
蜘蛛の怪物が織りなす織物で豊かな国となったセルセンフォート、という設定。
女王が蜘蛛を見たら殺すように、という命を出したこと。
そしてフィンが針子になりたいと思ったその理由とか、フィンが仕えるようになった第5王子のグレンとか。
全く関わりがないように見えるこれらのバックボーンが実に緻密に繊細に絡んで進むストーリー展開はさすが中原先生といったところか。「血を好む」と噂されるグレンの素の姿はめちゃ男前。ナイスガイすぎて悶絶しっぱなしでした。
そして、フィンという男の子がとにかく可愛いのです。
彼が王子の針子になりたいと願ったのも、グレンの優しさを知っていく過程も。
人から忌み嫌われる蜘蛛の半妖だという負い目が彼にはあるのかな。なんか、蜘蛛嫌いでごめん、という気持ちになってしまった。
グレン、そしてフィン。
共に、自分の感情の変遷に理解が追い付いていないさまがまた良い。
彼らが、相手に対して抱いているのが「恋」だ、と気づくまでの過程にめっちゃ萌えました。
で、フィンが蜘蛛の半妖、という部分に絡んでの彼の身体の秘密がめっちゃエロかった…。これから蜘蛛を見かけたら思わずこの作品を思い出しそうです。本物の蜘蛛ってお尻から糸出すんじゃなかったっけ…?
ストーリーも面白いですが、斬新な設定、そして登場人物たち。
何もかもが素晴らしい1冊でした。個人的に第1王子が好き。彼のスピンオフ、描いてほしいな。と切望しています。