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shintan kairou
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
自分の事でいっぱいいっぱいだった柳田が渚くんを救いたいと向き合う4巻。
まるまる渚くんの過去の回想録です。
もう小学生時代からしんどすぎる。渚くんの周りに悪い大人が多過ぎるし、渚くんが自分の心を守るためには、そうせざるを得なかったなって。
渚くんの話を聞いていると少年の肉体を搾取する汚い大人側と自分を重ねてしまって罪の意識でどうにかなりそうな柳田。
罪を償いたい(楽になりたい)柳田と、そうなると自分は惨めな被害者になるのかと自我が崩壊しそうな渚くん。
柳田どう受け止めてどう導くだろ。いや、導かないか、2人で錯誤しながらやっていくのか。
紙本で購入
修正がいるような描写はなし
5巻が発売されるにあたり4巻を買い逃していた事に気が付きました。コミコミさんではいつの間にかBLではなく一般枠扱いとなっていたからです。
確かにBがLする作品ではありませんが、ちるちるさんでは是非BL枠のままにしておいて欲しいです。
こちらの作品の凄いところは小さく狭い島の中でありながら、現代社会の縮図がちゃんとあるところです。それも人間の負の部分というところが凄まじいんです。
渚が9才の時に受けた性暴力は手慣れた常習犯による計画的なものでしたが、その後も色んなタイプの男たちに狙われて渚が出した自己防衛手段が悲し過ぎました。
なかった事にしたい、なので誰にも相談出来ないままに渚は大きくなりますが、彼が同級生の中で普通の子として擬態しながらひっそりと生き続ける姿は、現実の性被害者の姿にも重なって来るのが更に悲しみを誘いました。
渚の告白とともに更に自分の過去と向き合わねばならなかった山田(柳田)でしたが、彼もまた渚によって変わりつつあります。
前巻のレビューにも書きましたが、どうこのお話を決着させるのか想像すら付きません。願わくば渚にはまともな大人がいて守って貰える安心感を知って貰いたいと思いました。
そして現実でも性加害者には去勢とマイクロチップの埋め込みをして欲しい。現実の被害者(子ども)が受けた身体的被害は更に悲惨です。渚が生きててくれて良かった。
BLを読んでいると好いた相手以外の男に無体を働かれるシーンというのは多々目にすることになるわけですが、大概はその後本命の彼に救われたり、慰められたり、ハピエンへの布石になることが決まっているから私たちはさほどしんどい思いをせずに済むし、なんならメイン2人の絆の強さを感じたいがため、そういうシーンがあって欲しいと望んでしまうことすらありますね。
しかし、そういうハピエンが用意されていない行為というのも実際には多々ある。ただ蹂躙されるだけの彼らに向き合うことは、普段前述のようなシーンを望んでしまう我々読者にもしんどいものがあります。それとこれとは別、でしょうか。本当に? 分からなくなってきました。自分は何かを奪われたのだ、と思いたくないから自分の方から仕掛ける、お金をせびることを覚えたという渚の言葉に、誰かの性を消費する行為の本質を改めて突き付けられた気分です。だからそういうシーンを描いてはいけない、求めてはいけないということではなく、創作の中で非現実として楽しむ私も、一方でこういう現実世界が常に存在していることをけっして忘れてはならない、と思いました。
ぐぐぐ……
一体何を読まされてるんだ⁈と言いたくなるような。
喉に真っ黒い何かを詰め込まれたような。
渚の悲惨すぎるこれまでが明かされる。
そしてそれは正に柳田のやってきたことの裏返し。
渚の語る事実、その一つ一つが柳田の全てを突き刺す。
渚のされた事。吐き気がする。
でもこれはきっと隠されていても現実ですぐ近くで起こっていることなのだろうと思った。
渚のような子がいたとして、一体何ができるだろう私に。
渚の言葉、事実は私も突き刺す。
…というのはそれとして、だ。
この「深潭回廊」。一体何を伝えようとしているのだろう。
性犯罪の悲惨さ?
ダメゼッタイ?
被害と加害の連鎖をどうすればいいかってこと?
もう「萌」だとかそんな話じゃないな。どう読めばいい?
3巻のレビューでも書いたけど、渚を救う/助けるのは大人じゃないと思う。
まだ続く。一体どう続くの?