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pittosporum
私はBLを好きな理由に同性愛に苦悩する切なさがあるのですが、この作品はまさにそれが詰まっていました。また誰かを好きになる瞬間と片想いの様子が丁寧に描かれています。
ネタバレします。
子供の時に父親と男性が性行為をしている現場を目撃し、それだけでも物凄いショックであろうに自分もその指向があることに気づいてしまった攻め。家庭は破綻し母親は精神的に追い詰められ、自分は絶対に父親と同じようになってはいけないと言い聞かせてきた。不特定多数の女性とのセックスでその不安を払拭していたが、ついに同性である受けのことを好きになってしまう。たぶん初恋なんだろうな。認めたくないが好きな気持ちは大きくなるばかりで、遠くから見つめるだけで恋心と欲望を押し殺そうとしていたが、受けと寮で同室になってしまい、関わっていくうちに押さえ込んでいる気持ちが溢れ出てきて…。
主人公は攻めですね。この攻めの葛藤と苦悩が切ない。受けが節約のため帰省しないと知って大事な母親との約束も破り、話せないのに残り寮に2人だけなのを噛み締めるとか泣ける。いつも離れたところから受けを見つめる姿も切ない。なのに、仕方ないのですが序盤、受けにただのヤリチン問題児と認識されてるのが、もう…。受けに近づきたいのに、いざとなると母親の言葉が頭をよぎる。切なさのオンパレード。
あと父親の描写が結構生々しくて、キスマークは息子に気づかれるし、真っ昼間に外で自分の息子に見られたと気づいたのに挿入れられて喘ぐとか。せめて隠す努力くらいしてよ。この父親の姿を見てしまうと、そりゃ同性愛に嫌悪感とトラウマ植えつけられるわ。母親も攻めも本当に可哀想。途中、苦しむ攻めが吐いてるところがあって痛々しい。
両者のキャラクターも良いんです。
何もかも恵まれているように見える攻めですが、実は大きな悩みを抱えていて、精神的に寄り添ってくれる存在はなく孤独。調子よくヘラヘラとしているけど内面は陰がある。女性にモテて相手に不自由していないけど本当に好きな相手には一途な純愛とか、忍ぶ恋って萌える!
正反対の受けもいい。金銭的に余裕のない特待生で努力家。家族想いで真面目。僻んだり歪んだところがなく真っ直ぐ。無愛想だけど、八方美人とか偽善っぽさがないのがむしろ好感。誰かを好きになったことがなく性的なことに耐性がない純粋さ。よくBLだと同性に触られて急にあたふたみたいな描写がありますが、この受けは男前でそこは変に過剰反応しないところがアッサリしていて良い。大好きな家族と離れている寂しさを隠して心配かけまいとする姿も健気。
攻めが受けを好きになったきっかけがあるのですが、見た目とかではなく受けの人間性に恋した感じで良かった!
上下巻ではなく、一葉二葉となっているので続きが読みたいです。出会ってすぐに体の関係になるものが多く、あまり心理描写がなくて萌えず、もう面白そうなのは読み尽くしたかなと思ってましたが、素敵な作品に出会えました。
全寮制の高校に通うルームメイトでトラウマ持ちヤリチン君の小田島と努力型の天才・矢野君のお話です。
とにかく小田島の感情面の描写が読んでいてめちゃくちゃ引き込まれました。
ヤリチンで男子寮に女生徒を連れ込み性行為に耽る彼、そんな彼と同室になりその姿を目撃してしまった矢野君。
字面だけだとチャラすぎる最低男の小田島だけどとんでもないトラウマと矢野君に対する仄暗い恋慕が凄かったです。
彼のトラウマを考えると「クズ男」と断罪するのは忍びなくて…家でも学校でも何処にも休まる場所はなくて。
そんな彼にとって矢野君は唯一の聖域だったのかもしれません。
けれど望んでしまったら、手を伸ばしてしまったら…全て自分の中で終わらせようとしてもがく姿が本当に苦しくて切なかったです、、、
上巻にあたる「一葉」を読んでる時点ではこの二人どうにかなれるのか?ドキドキと心配が先行して結末が本当に気になってハラハラしました。
矢野君は基本努力家で凄く健気に頑張るいい子で嫌なところがひとつもない人物なんです。
でも小田島がどうしても気になって彼の気持ちに読者感情をどうしても寄せてしまいがちでした(笑)
あと、読むなら必ず「一葉」と下巻にあたる「二葉」を一気に読む事をおすすめします!
感想「二葉」に続きます
二回目読んだ感想です。
ラストはわかっていながら、一葉部分に対して書きます。
なんだこのDKたち・・・!
今すぐ幸せになってほしい・・・!
はじめは、ただのハイスペヤリチンくんが外部受験(二人は何やらハイソな感じの共学私立高校?に通い男子寮に入っている)の優等生を気に入って手を出して、、という、ウブDKがヤリチンに翻弄される話だと思っていました。
が!
苑くんの境遇が、、くるしい。
たしかに恵まれた家庭で育っているんですが、幼いころ、パパが男性とセックスしているところを目撃してしまい、そこからママも自分もメンタルを崩して、、。
『パパが悪いよね!』で済む話ならば、ここまで苑くんが苦しむことにはならなかったかもしれない。サイテーな父親を反面教師に、生きていけばよかったかもしれない。
でも、苑くんは『自分も同性を好きになる可能性』に気づいてしまい、同時に『それを嫌悪し苦しむ母親』に執着され、、幼心に、『父親と同じになってはいけない』と自分に言い聞かせる。自分を“矯正”するために、何人もの女性と関係を持つ、、_(:3 」∠)_
寂しさからとか、ただセックスが好きとか、そんな理由ではなくて。自分が、母親を傷つけない、自分を失望させない自分であるために、、。
無論、相談相手もおらず、友人にも異性にもスペックで選ばれ、利用され、心をすり減らす苑くん。
そして、目の前に現れた矢野くん。キラキラした彼に惹かれる。自分をスペックで判断しない彼に惹かれる。でも、彼は同性で、彼を好きだということを受け入れることは、自分自身のこれまでを否定し、母親を裏切り、もしかすると、矢野くん自身をも不幸にすることで・・・!
好きだけど、好きになりたくない。
触りたいけど、触りたくない。溺れたくない。
そんな、ハイスペイケメンの葛藤が、ぎゅーーーーーーっとつめこまれた本です。天才?
作画も儚さを感じる、ストーリーにぴったりなもので。目を細める苑くんがせつなくてセクシーでたまりません。好き。
「一葉」が上巻、「二葉」が下巻になる続きものです。上下巻って書かれてないから困惑しますけど、なかなか粋な書き方で素敵ですね。
ピットスポルムを聞いたことが無かったので調べてみました。
切花とかでよく見る植物でした。フラワーアレンジメントにも使用されることもあるとか。
なぜこれがタイトルに?と思い、花言葉を調べてみると、「飛躍」「偏愛」「慈しみ」だそうです。それと名前の由来が、粘着質な種(くっつきむし)からきているともありました。
タイトルを付けた作者さまの思いは分からないですが、「ピットスポルム」の名に合った物語だと思いました。
この作品は上下巻ものなので、併せて読むことを激しくおすすめします。1巻だけでは物語の回収は全くできません。
とにかく切なくて苦しいシーンが多いです。
視点は矢野かと思いきや、小田島の視点も多い。…これがまた何とも言えないのです!
最初はチャラくて遊び人の小田島と寮が同室になって、矢野がはちゃめちゃに振り回されていくのかなー…って思っていたら、どうやら違う感じだぞ、ってなりまして…もうそこからはグイグイ引き込まれました。
小田島の心の闇というか枷というか、これが読んでいて苦しい。小田島は金持ちで頭も良くてスポーツも出来て完成な人間なんですが、その裏に秘めている矢野への想いは、見た目の陽キャとは全く違います。そのミスマッチなギャップが、こう…ゾクゾクっときます。
矢野への気持ちを隠すために、敢えて女子とセックスしまくったり、矢野に陽気に絡んできたりするのですが、それが痛々しいんです…
小田島の抱えているものが大きくて重すぎて、彼が素直に生きてこれない辛さや悲しみに胸がえぐれそうになりました。小田島は笑顔が多いけど、その笑顔の下では泣いているように見えちゃって…もう苦しいです(泣)
こんなに深い話だと思わず、手にとってしまったけど読んで良かったです。
女子とのセックスシーンがあるので地雷の方は注意して下さいね。そういうシーンも矢野への気持ちを押し隠すための行為なので、必要だと思うけど……やっぱあんまり見たくはないですね(◞‸◟)
早くこの胸の痛さを打破したいので、下巻が読みたくて堪らない!
小田島の心に明るい光が照らされる時が来るのを期待して、二葉の窓を開けに行ってきます。
二葉まで読んだ上での感想と評価です(ネタバレ有り。
いや…あの、こちらの作品は支部の一話試し読みでたまたま見つけてたまたま絵柄が好みって理由でたまたま読んでて気付いたら漫画を買っていたというのが三上さん作品との出会いです。
高校生ものだしほのぼのしてる良い感じのやつ〜なノリで読んでいたのですが、第一の感想が小田島…ッ、小田島ッ…です。←何言ってんだこいつって感じですが読み終わった後こうなるはずです。
BL漫画は大抵女性と絡んでる描写あるの、読者さんの中でも苦手な方多くいらっしゃると思いますが自分は個人的にあんま苦手という訳ではなくこの漫画で改めて女性との描写シーンにこんな深い訳があるなんて、、、と痛感しました。
攻めの小田島くんは父の浮気(しかも男)、そしてそれがきっかけで抑うつ状態になる母が原因で自らが同性愛者であるということを隠し認めないようにして生きてきました。矯正(自分が同性愛者では無い事)をするため寮学校へ進学し自分は女にしか欲情しないんだ、と刻印をするかのように毎日のように女性とおせっせしています。
そんな中とあるきっかけで受けの矢野に出会い恋をしてしまいました…………でも本人は認めないようにその想いは隠し続け半年くらいずっと秘めた片想いしていたんでしょうね。その想いは彼にとっては絶対に許されない事であるから必死に必死に押し殺してきたのですがなんと…2年になり同じ寮部屋になってしまったんです。←キャー
小田島にとって恋愛対象になるのは男性で矢野であって、それでも押し殺さなければいけないから女性を抱けば自分は治る、だなんて恋とか恋愛対象とかを治るなんて言葉を使うなんて10年以上悩み続けていた彼の気持ちを想うと胸が痛いです。←しかもトラウマの現場見た歳多分小学生だよね?泣
そんな色々ある小田島ですが矢野という受けは慣れない感情や気持ちに背けながらも必死に向き合って小田島を受け入れるわけなんですよ、二葉です。←良かった…幸せになって……最後の小田島の笑顔と涙といったら泣泣
コマ割がとにかく上手くて小田島の視線や瞳の色
等細かく見れば見るほど全部読み終わった後にあ〜こういう事だったのか〜!と気付きます。
特に一葉で矢野の首から顔を見るシーンがあって、何だこのいやらしい視線はなんて思っていたんですけど全部読み終わってまた読み返してみるとアッ…ずっとずっと好きだから、矢野が大好きだから、でも手が出せないからパジャマ姿の女を抱きに行ったんだッ…うわ〜泣となりました。その日に女を抱きに行ったのってそういう意味だったのか……。多分矢野を見て欲情する度に女を抱いて自分は男は好きじゃないと刷り込ませていたんだな……でも無意識的に矢野に少し似た要素を入れて抱いていたとも思う…。←実際そうだったよね泣いちゃうよそこまでして否定するなんて。
ヤバい書き足りないどうしよう……。
とりあえず三葉出るし小田島母も息子とちゃんと向き合えたようで良かったし続きがめちゃくちゃ楽しみで仕方ありませんね!!!
あとあと個人的に好きなシーンは矢野とゴールインした後に行為中ずーーーーっと矢野を見ている小田島です。幸せだ…良かった。
もどかしくて、切なくて、どうしようもなく好きな気持ちが溢れてしまう、そんな思いがふんだんに描かれたた『ピットスポルム』、一葉、二葉続けて一気読みしてしまいます!
三上志乃先生が描かれるキャラクターの表情も大好き!心の揺れ動きに一緒に見ている側もキュンとなってしまいます!
本当の自分に蓋をして沸き上がる思いを隠しながらそれでも好きが溢れてしまう、小田島くんの心の葛藤が描かれた一葉。
お金持ちのヤリチンのイケメンで常に周りに人がいて、勉強しなくても常に学年一位、何で持っている小田島くんだけど、トラウマで唯一絶対に手に入れてはいけないもの、それが矢野くん…
自分とは真逆の世界にいる真面目で綺麗事を言う矢野くんの事を疎ましくさえ思ってただ見ていたけれど、矢野くんの言葉に救われ、気づいた時には、『可愛い、触れたい、自分の物にいたい』押さえれなくて暴走してしまいそうな感情が芽生え、苦悩する小田島くんの表情の変化にグッときます!ヤリチンになった理由もちゃんとあったのです。
そして矢野くん、もう大好きな受けちゃんですね!頑張り屋で一生懸命でまっすぐで、家族思いで純粋!
家族に電話をするシーンがあるのですが、可愛さと切なさで矢野くんの事をギューっと抱きしめてあげたくなっちゃいます!是非見ていただきたい、矢野くんの人柄が現れている素敵なシーンです!
小田島が抱えるトラウマにどう向き合っていくのか、矢野くんの動き出す思い、続きはニ葉です!!!
↓ネタバレ含みます!
以前読んだ三上志乃先生の別作品が刺さり、連載中だったこちらの作品も単行本にまとまるのを楽しみに待っていました!
一葉、ニ葉という題名ですがこちらで綺麗に纏まっているので上下巻という感じです。二冊構成なので読み応えがあり、また同時発売なので気になるところでお預けにならないのがありがたかったです!
自分勝手な振る舞いを見せたと思ったら矢野の助けになることをしようとして、かと思ったらからかって。なんとなく察するものはありつつも、最初は苑の行動がよくわかりません。たまに見せる可愛い反応や何かを抱えている感じに引き込まれるキャラです。
一葉の後半から苑視点の回想が見れ、抱える苦しみや矢野への気持ちがわかります。苑の葛藤を考えると辛いです…帰省時の行動だったり部屋割り表だったりから滲み出る気持ちの感じが凄い好きです…。前半部分はどんな想いで矢野と接してたんだろうと読み返しました。
矢野は元気で良い子で真っ直ぐで、シスコンな所や方向音痴な所が可愛いです!頑張り屋で自分の意見をしっかり持ってるかっこよさもあります。ザ・光属性という感じなので頼むから苑を救ってくれ…!と思いながら一葉を読み終えました。
描き下ろしは2枝での苑視点の裏側です。3ページですがこれだけでも胸がギュッとなりました。
続きが気になる終わり方なので2巻同時発売で本当良かったです!ストーリーには関係ないですが巻数や話数の付け方がオシャレでめちゃめちゃ好きでした!
初めての作家さんです。
とても丁寧に物語が進んでいくのと線が細く綺麗な絵でまた読みたいな…!と思いました。
苑くんが矢野くんを好きなんだろうというのは1話から伝わってきましたが、暫くは不即不離な関係が続き…苑くんの時折見せる表情にアレコレ予想しながら読みました。
にこにこしている時と目がマジな時の差が良かったです!
矢野くんと話して何かを感じたであろうハッとした顔も印象的でした。
後半になって苑くんのお父さんとの過去や矢野くんを意識していくまでの様子が明らかになり、彼が女の子と関係を持っていたのはトラウマの払拭と矢野くんへの想いを隠す為だったのだなと腑に落ちました。
本当にしたくてしてることじゃないから辛くてで切ないです。
我慢できず矢野くんに近づきすぎてしまうのも、そのあと距離を取ろうとするのも好きなんだなぁと伝わって来ました。無理やり自分の気持ちを押し殺しているのがク~~ッ!どうか報われてと思って読んだ上巻でした。
矢野くんは真面目な優等生だけど妹たちのことになるとキラキラした表情になるのがとてもかわいかったです…!
家族想いで表には出さないけど裏では血の滲む努力してるし自分の考えをしっかりと持っていて、、苑くん自身を見てない周りに対してはっきり物言うのにスカっとしました。そら惚れるわ…
繊細な絵柄に反して内容は結構がっつり色々かかれていたので良い意味でギャップがありました。続きが気になりながら下巻にいきます。
初めて三上志乃先生の作品を読んだのは「湯気のむこうに朝をみる」だったんですが、あちらも凄く良かったですがこちらの作品も負けないくらい面白かったです。
画力ももちろんですが構成力も素晴らしいものがありました。繊細でいて10代の瑞々しさと怒りと諦観を描いてて、苑の視線の動きに何度もゾクっとした色気を感じました。
ヘラヘラした奔放さの陰に隠した傷付いた心を誰もが気が付いていないのが凄く悲しかったです。そんな苑が真っ当な感覚を持った矢野に惹かれて行くのが必然に思えました。
正反対な2人が惹かれあってくっ付くというような単純なお話では無く、苑が何に怯えて何を忌避してるのかを知るととても可哀想に思うのです。
まだまだ親の庇護下で力の無い彼等がどんな困難に向かい、どんな道を歩いて行くのか凄く気になりました。これから二葉に進みたいと思います。
小田島くん、辛い過去を持ってますね。
お父さんがゲイよりのバイだったなんて、知らなければ今も幸せに過ごしていたんでしょうか?お父さんがバイである事は責められることではないけれど、家族を裏切って浮気してたんですもんね。
それも外で。
ちゃんとホテルでしなさいよ。もしくはちゃんも車のドアを閉めるべき。
お父さんの影響で男同士の恋愛は悪いこと、と小田島くんの身体に刻み込まれてしまった。
愛し合う事は、同性であっても悪いことじゃないのに。
小田島くんの傷ついた心をどうやって矢野は癒してくれるんでしょう。楽しみです。