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rakuen made mousukoshi dake
一冊まるごと表題作。自身の全てをかけた自己犠牲のお話で、初めて恋を知る喜びと、記憶喪失の切なさの両方を味わえる。ラストにかけて、いろんな要素が綺麗に納まっていく感があり、すごく整っている一冊だった。
前半はセクサロイドの本田視点。晴に出会い、恋心を自覚する本田。相手に合わせて自分の設定を変えるとか、やってることはアンドロイドでも、心理描写はただの恋する人になっていて可愛かった。
すんなりくっついたと思ったら、晴が難病に侵される展開。自身を売ってでも晴を助けたいと願う本田は、“生”が正であり善である価値観を持っていたのか、ただ純粋に生きていて欲しいと願っていたのか、どっちなんだろう。
気になったのは、本田も“うっかり忘れる”ことがあり、それが伏線でもなんでもないただの物忘れとして描かれていたこと。アンドロイドなのに?と違和感が。
後半は晴視点に移るため、記憶を消された本田の内面は分からない。このもどかしさが読んでいてとても面白かった。
タイトルは高橋の願いからきてるのかな。
電子特典SSは鈴木とおもちが可愛すぎ。切なさでいえば鈴木の状況もメインカプに負けてないくらいだったので、元気そうで安心した。いつか鈴木視点のお話も読んでみたい。
設定が強めなせいか、キャラや心理描写が弱く感じ、深みがあと少し足りない気がした。セクサロイド設定の恋愛小説とくれば、恋を知る戸惑いや感動を実感する心の機微に注目したいが、そこはさらっとしていた印象。
また、それぞれのエピソードに新鮮味がなく、ガワを変えただけでよくある内容を無難にまとめた感じで、上手いんだけどでも……とすっきりしない。個人的に安西さんの好きなとこが今作では見られなかったのも残念だった。
人工知能搭載型のヒューマノイドの製造が全面禁止になり、流通しているものは登録が義務づけられるようになった時代、性愛のために開発されたセクサロイドは所有者が登録逃れをし、地下流通をしている。
セクサロイドの本田は15年前に所有者の隙を突いて逃亡し、その後、人に紛れるようにして転居を繰り返し、日常生活を送っていた。
この設定を読んで、他作者様の某作品を思い起こしました。でも読み進むうちに、そのようなことは忘れ、すっかりこの作品世界にはまってしまいました。
本田、セクサロイド仲間の鈴木、家電ロボットのおもち、家電量販店で出会った晴、ロボットおたくの金丸、登場人物みなが魅力的でした。
普通の人間である晴に恋をしたセクサロイドの本田が、自分の事情を打ち明けられず、大好きな人に隠し事をしていることを責め、一生一緒に居たいのにそう出来ないことに悩み、二人で過ごすことが楽しいけどそれ以上に苦しいという、切ない恋心に目が離せませんでした。
どうなるんだろうと目が離せず、見守っていたら、想像もしなかった出来事が起こりまして。
もう、このときの本田の行動、そして、のちに真実を知った晴の気持ち、何もかもにひどく揺さぶられました。
読んで良かったです。大好きな一冊になりました。
家電ロボットのおもち、微妙にずれていて、でも可愛らしい。私も遊びに行って「粗茶」を出してほしい。
というよりも、おもちを我が家に欲しいです。無意味に恋占いしてほしい。
安西リカ先生の本を読むのはまだこれで5冊目ですが、初めて1冊まるまる一つの作品でした。
これまで読んだ4冊はいずれも、本の3分の2くらいでエンドマークが来て、残りのページはその続編、というのばかりでした。
私が読んだことのあるBL小説は、一冊の最後にエンドマークが来るものが多かったので、まだ残りページ数がこれだけあるからこのあと一波乱があるだろうと思っていると突然エンドマークが来るのに慣れず(目次を敢えて見ていない自分にも非がありますが)、そういうこともあって余計に満足度が高かったです。
とても良質な恋というか、愛の話でした。
恋に落ちる瞬間だったり、もしかして?と恋をしている自分を自覚する描写ってなんでこんなに素敵なんでしょうね。
セクサロイドと人間の恋のお話といえば、やはり切なさMAXなんて印象があるんじゃないかななんて思うのです。
こちらの作品ももちろん切ない部分があります。
あるのですが、私はどちらかというと想いの強さや優しさだったり、切なさよりもあたたかみを強く感じたかな。
それもこれも、主人公でありセクサロイドでもある本田が主人公だったからこそに尽きるでしょう。
人間よりも人間らしくて、愛にあふれた感情豊かな人です。
読み進めながら、これほどまでに人間味があって愛情深い彼のことを人工生命体だとはとても思えませんでした。
恋をするはずがないセクサロイドが恋を知る様子が2パターン読めるのもすごく良かったなあ。
恋を自覚して次々と花が開くような本田と、相手がいなくなってから恋を自覚した鈴木。
これからがある本田の恋に胸躍る自分と、終わってしまっている切ない鈴木の恋に惹かれる自分がいました。
鈴木の恋はかなり切なそうですけれど、いつか彼のお話も読んでみたいです。
私がもし秋月さんの立場だったら同じ選択をするかもしれないなと共感する部分もあったりと、恋愛面以外のところも楽しめました。
ラストはやや駆け足に感じましたが、ロボットと人の恋ならではのハラハラしてしまう定番要素も抑えつつ、明るい未来を想像したくなる結びに持っていくのはさすが。
もしかしたら鈴木の恋も近々成就するかもしれませんね。
だって、楽園まであともう少しだけなのですから。
そして、家庭用ロボットのおもちがかわいらしくて!
本田の部屋で「おかえりなさい」と言って、粗茶を出してくれるおもちが愛おしくてたまらなかったです。
ヒューマノイドとの恋…。
悲劇しか待ってないっ!と思い恐る恐る
ページをめくり読み進めるわけですが、
なにこれ、多幸感しかない。
前半、ヒューマノイドである攻め君視点で話が進みます。
私、攻め視点のお話し大、大大好きで
しかもこの攻め君、おおらかで包容力抜群、
お茶目なおしゃべりときてますので
消極的な受け君の心を自然に開かせて
攻め視点からの受け君の初々しい魅力が
どんどん私たち読者に伝わります。
くー、さすが安西先生!
後半ではロボットと人間の恋、やっぱり苦悩とか
たくさんの問題にぶち当たり視点は受け君に
変わります。
でも大丈夫。ハラハラドキドキありますが
受け君の勇気と決心と行動で思いもよらない展開に。
いやー、やっぱり安西先生最高です。
攻め君の友達、鈴木君いいよ〜。
あと、おもちもね!ワタシもそちゃ出してもらいたい。
SFにもファンタジーにも超〜疎い人間のため、セクサロイドってなんだっけ?レベルなもので……。
なるほど、セックス方面に長けたアンドロイドってことなのかーと。
(射精機能まで備わっててすごい。)
セクサロイドの本田と、ふつーの青年・西間木との出会いと恋。
自我を持たないとされていたセクサロイドの本田が恋におちるんだけど、西間木を想う気持ちはホンモノなんですよね。
とことん愛だった。
愛のかたまりだった。
たまに人間の心を持っていない鬼畜としか思えないような犯罪者がいて、世間を震え上がらせるじゃないですか。
ああいう人間であって人間ではない奴らよりも、よーーーっぽど本田のほうが人間らしいと思いました。
生命体じゃないのだけど。
記憶喪失が大好きなのですが、記憶喪失とは言えないけれど一種の記憶喪失みたいな展開になるところも切なくて萌えました。
忘れられてしまった側の苦しみや哀しみも堪能させてもらえて満足。
お仲間の鈴木と高橋も良かった。
「すー」呼びは反則だわ。
おまけに高橋の夢だった料理屋話も、切なくてグワッとなります。
強面だけど気の優しい料理人と、美貌の女将的な鈴木との組み合わせ。
あんたら無自覚だけど、それは夫婦経営ってやつじゃん!!って思いました。
きっと彼らの未来は明るいものだと私は信じている。
そして、おもちも愛らしくて癒されました。
「2人のベッド」がとても素敵なお話で、先生の作風が自分に合うと感じたので新作のこちらも読んでみました。
2人の出会い、別れ、そして再会、とてもドラマチックだけど受け攻めどちらにも共感性が高くて、2人が幸せだと嬉しくて、辛い時には涙が出てしまう、そんな風にハマれた作品でした。
小説のファンタジーに手を出さなかったので新鮮味があり、だけど表現に分かりづらいものも無かったので想像しやすかったです。
ハッピーエンドで本当に良かったです。
鈴木と高橋ももしかして?と期待したのですが、この作品内ではそこまでのお話は読めませんでした。
スピンオフを期待しています。
本田と晴、どちらが先に一生を終えるのかはわかりませんが、きっと幸せな一生を送るんだろう、そんな幸せな余韻のみで読み終えられました。
素敵な作品でした。
家事ロボットの「おもち」がめちゃくちゃ可愛い。あとがきの後におもちの設定画みたいなのがあります。超可愛い。電子限定書き下ろしSSはおもち主役(たぶん)でニヤニヤする。
主役のカップルもよかったけど、攻めのセクサロイド仲間の鈴木と、鈴木が片思いしてる高橋の二人の話がすっごく読みたくなった。
意思と感情ば芽生えたら、もうモノじゃない。
これからロボット大国を目指すなら、日本人が今考えないといけないテーマだと思った。
良作BL。
製造中止になった時代に残る自立型セクサロイドが主人公。
闇市場で高値が付く希少な存在。
無いのは代謝と死。
特に精巧な造りのセクサロイド、機械の本田が人に恋をする。
恋した相手;晴は遺伝性の難病。
晴は本田に「一生一緒に居よう」と請う。
本田に無かった自意識が目覚め、人のように恋人を想い、葛藤する。
愛する晴の治療費を作る為に、本田は闇組織に自分を売る。
晴の今後を仲間の鈴木に託して姿を消す本田。
治療を受け快癒した晴は、全てを知り、他人の所有物となった本田を探す。
・・ 記憶をリセットされた本田が、また晴に恋をする。
ハピエン。
アンドロイドが社会を支えていた時代、マスターが変わるたびに記憶がリセットされていわゆる真っさらな状況になるはずが、アンドロイドのかなに自意識が芽生えてくるものたちが出てくる。
機械と思っていた人間たちはその進化に恐れ嫌悪を抱き彼らを排除していく。
アンドロイドの中でもsexに特化されたセクサロイドはその用途に為に非常に高機能に作られており、自我が芽生えた後、マスターから逃げ出し社会にひっそりと溶け込んで生きてきた。
ただ自我芽生えたと言っても愛などの感情は育たないと思われていた彼らの中で、恋愛感情を持つ個体が生まれてくる。
恋をしないと言われていたセクサロイドの本間が恋をした相手は普通の男の子晴だった。
本間は永遠に姿の変わらない自分の秘密にいつ晴に気付かれるかと思いながらも、彼を諦め、恋を捨てることができず、2人は穏やかに恋を育てていく。
そんな時晴にに病が見つかる。
彼の母もその病で亡くなったと言う難病だったが、アメリカの超富裕層だけが受けられると言う最新の治療を受ければ病が治るかもしれないと知った本間は、自分の身を売ることにする。
病を治した晴は自分のためにした本間がくれた献身を思い涙したが彼を諦めることなどできなかった。
穏やかに、ユーモラスを交えつつ穏やかに恋を育て、相手に自分の全てを打ち明けることに尻込みし、相手を失いのではないかと恐れるところなど恋を前に魂を交えたいと望む相手を前には種族関係無いと思う。
アンダーグラウンドで生きるしかないセクサロイドが抱く、周囲への恐怖や切なさ、生きにくさを抱えつつ生きていかなければならない諦めや悲しみも勿論ですが
本当の自分を晒す恐怖、受け入れてもらえないかもと思う悲しみが胸を打ちました。
でも家庭内ロボットおもちや彼らアンドロイドを支える地下組織など優しさもあってとても癒されるお話でした。
また寿命について彼らが出した結論も優しくてうれしかったです。
自我がが芽生えたアンドロイドたちが、隠れて生きることに膿、コールドスリープを経て穏やかな自殺へと進んでいく姿はとても切なくて…彼らに人権が与えられ鈴木が高橋に告白できる日が来るといいなと願ってしまいました。
とても良かった。
セクサロイドと人間の恋というSFな世界観なんですが、いつもの安西先生らしい素朴な二人の恋物語でした。
攻めはセクサロイドなんだけど、ちょっとせっかちでおしゃべり好きで寂しがり屋でめちゃくちゃ人間臭いキャラクターなのが魅力的だった。二人の恋の始まり方もめちゃくちゃ普通で本当に平凡な人間同士の恋みたいで、余計に攻めが抱えるただ一つの問題がとても深刻でつらい。結局バレるまで隠し通す道を選ぶんだけど、家に爪切りとか体温計、常備薬等がなくて焦るシーンが印象的だった。細かすぎて必要ないと思いつかないようなアイテムは大変そう。
攻めが孤独を慰めるために買った家事ロボットのおもちがポンコツなんだけどとても愛嬌があって可愛かった。イマイチ会話が噛み合ってないところや、来客に毎回粗茶(冷蔵庫から出したお茶のボトル)を渡してくれるのが可愛い。
攻めのセクサロイド仲間の鈴木くんもとても魅力的なキャラクターで、3人とおもちが楽しそうにわちゃわちゃしてるシーンが大好き。
最後の、世界はあなたが思っているよりも優しいよという希望の持てる終わり方も好きだった。そしてタイトルに感動。なるほど〜。