みのりの森

minori no mori

みのりの森
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神45
  • 萌×237
  • 萌22
  • 中立14
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
19
得点
453
評価数
122
平均
3.9 / 5
神率
36.9%
著者
まりぱか 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
バーズコミックス・リンクスコレクション
発売日
電子発売日
価格
¥760(税抜)  
ISBN
9784344849365

あらすじ

町役場に勤める昌典は、ある日、東京にいた親友・慎太郎の訃報を聞かされる。悲しむ間もなく葬儀の手伝いをしていると、突然見知らぬ青年が会場に現れた。男は実と名乗り、慎太郎の東京での友人で、四十九日の間はこちらにとどまるつもりだという。実を自宅に泊めることにした昌典は、その夜、誘われるがまま彼と一夜を共にしてしまい…!? 親友の死の真相、実の目的、昌典の秘めた恋――。謎と嘘が折り重なり、導き出される想いとは。山深い田舎町を舞台に二人の青年の不器用な恋を描く、珠玉のミステリアスBL!

表題作みのりの森

町役場に勤める青年
亡き慎太郎の友人

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数19

生きるとか死ねないとか死とか

大きな打撃を受けた後、自分はどうするのか?死なない限り生き続けます。生死のチョイスと生を選んだ場合又は死を選べなかった場合の生き方。そんなお話だと思いました。

評価がバラつく理由は恐らく最後まではっきりスッキリしない点があるからかな、と思いますが、私はそこが良かったと評価しました。やっぱり「死人に口無し」で不明瞭なケースが多そうな気がしましたし、そのモヤモヤ感の為にみんな気持ちの切り替えし辛い→でも切り替えなきゃさ!という頑張りに焦点が当たったかな、と感じています。

11

スッキリしなさも含めて良かった

すごく良かったです。号泣はしなかったけどすごく心に残る作品でした。

キャラの心情が丁寧に描かれてて、でも重すぎず表情豊かに描かれているので読んでても辛くなりすぎませんでした、でも最後残るものがある。

人の気持ちはその人にしかわからないし、それを全部説明しなかったところに私はすごく誠実さを感じました。
理由はたぶんつけようと思えばいくらでも納得いく形でつけられると思うんですが、それをされなかったからこそ安心して最後まで読み切ることができました。

人生はスッキリしないこともあって後悔も残るしもっとこうであればとか色々考えるけど、それでも前を向いて生きて行けたらいいなと思うような最後でした。

9

君と過ごした日々のその先へ

幼馴染みの慎太郎を亡くした、地元の役場で働いている明るく優しい昌典(攻め)と、慎太郎の葬儀に突然現れた、自称東京での慎太郎の友人の謎多き青年・実(受け)の、大事な人を失って迷った者同士が手探りながら手をとってやがて道を見つけ出す、シリアスラブストーリーでした。参考までに書くと、表紙の顔が見える彼は受けの実です。死ネタあり、というかむしろ主題です。ネタバレ気味になりますが、感想を書こうと思います。

切ない。やるせない。でも面白い。
私の中でいろんな感想が出てきたけど、一番ピッタリ来るのがこれです。私は電子で買ったのですが、297ページありまして、その中に色んなテーマ、伝わってきた思いが沢山ありました。

どうして?どうして??と、何かヒントや手がかりは無いかとページをいったりきたり拡大したりしながらあちこち読みましたが、真実はわからなくて、憶測の域を出ないんです。初めはそこにもどかしさや歯がゆさを感じましたが、昌典と実、慎太郎の母の気持ちを追いかけると、段々とその割りきれなさがキャラクターとシンクロしてしまい、「それもそうか」とストンと落ちて納得してしまい、同時に切なくなってしまいました。

「彼」と「彼」の過ごした十数年
「彼」と「彼」の過ごした約2週間
「彼」と「彼」の過ごした49日間
それぞれの時間が、かけがえなく、繋がっていて。

二人を通して前向きになれる、素敵なお話でした!

8

深くて心に残る作品


自分は作品を読んで号泣しました。

ストーリーは、慎太郎の自殺をから繋がっていく人物たちが交わってそれぞれの心情が絡み合っていく物語です。

読み終わった後の感想は、『腑に落ちない』『やるせない』でした。物語の軸となる慎太郎という人物の自殺ですが、慎太郎はどこか他人と違う脆さを持っていて闇をかかえているという表現だけで結局なぜ自殺をしてしまったのかが分かる表現やセリフなどが無く、そこが1番腑に落ちないところでもありました。

慎太郎の死に、たくさんの人物が悲しさや悔しさ、懐かしさなど思うことは様々です。昌典や実の流す涙を見るとこちらも涙が出そうになります。しかし、そんな彼らも誰もかもどこか諦めてるというか『なぜ死んだのか』を知ろうとしてないんです。言うならば、『そっか、死んだのか』という感じです。まだこの世にいるような雰囲気です。

だからこそなのか、読んでる側の腑に落ちない感覚も段々と無くなっていくのだと思います。
でもやるせなさだけはずっと頭にこべり着いていて、
凄く頭にも心にも残る深い作品だなと思いました。

レビューを書いてる皆さんも言っている通り、死ネタ軸として発展していく物語なので抵抗がある方は少なくないと思います。でも、自分は読んで良かった。出会えて良かったと思う作品です。
もし、少しでも興味があるなと思ったのであればぜひ読んでください。

3

何度も読みたくなりました

まりぱか先生の話を読むのは「エンドランド」以来2作目です。

エンドランドでかなり泣かされてしまったので、帯の号泣必至‼︎の文に警戒しながら読んだのですが、号泣する程ではなかったです。

親友が自殺という方法で亡くなってしまった昌典と、その親友の友人という実。
謎に包まれた実を家に泊める事にした昌典ですが、寂しさを埋め合わせるように体を重ねてしまいます。

実については最初何も分からない謎に包まれた人でしかないのですが、親友を失ってボロボロになっている昌典に寄り添っています。
時折見せる辛そうな顔や、自己犠牲の域に達している昌典への尽くし方に、何かあるんだろうなと思いながら読み進めました。

話が進むにつれ、親友と実の関係性や、自殺する前の親友の足跡などは分かりますが、親友の死の真相など明らかにならない話もあり、ちょっとモヤモヤは残ります。
でも残された2人の話なので、これが良かったのかなと思います。

全ての真相を知った後にもう一度読み返すと、涙腺が緩むポイントが増えました。
じわじわと泣かせに来ました。

自殺という暗いテーマを扱っているので、人は選ぶ作品ですが、自分は読んで良かったです。

2

あたたかな森

昌典と実、ふたりを繋ぐものは"慎太郎の死"という重たいものなので切ない雰囲気が漂っていて…
でも悲しみだけではなくそれが無ければ感じられなかった温かさも確かに存在しているような深いお話でした。

実の正体がはっきりするまでは、複雑な理由がありそうだし親切すぎるのが逆に怪しくもあって。
枕元に残された土の謎や慎太郎の母の意味深発言もあったので、何者かを知るのが怖くもありました。これ以上昌典にツラい出来事が起きなければいいな、と。
でも慎太郎と実の関係や自殺をするまでのふたりの日々、そしてその後の実の気持ちから見えてきたのが誰かを傷付ける結末ではなくてホッとしました。

日々いろんなことに折り合いをつけて生きていても、ふとその狭間で立ち止まって全て投げ出したくなることはきっと誰にでもあるはずで。
そんな時にふたりは死を選ぶことを決めて、そして死までの日々を共有した、と。
その時に話に出ていた昌典と会ってみたいと思ったことで実は自殺を思い留まり、そして実際に想いを通わせることが出来たことは
慎太郎が巡り合わせた縁なのだなと感じました。

きっと慎太郎は昌典と電話で話せていてもいくら実が止めても、その心は揺るがなかったのでしょう。すごく悲しいけれど昌典宛ての遺書にさえも弱さを見せなかったのはそういうことだったのではないかと思いました。

慎太郎の死が話の中心にあるので暗さはどうしても拭えないけれど
"生きる""死ぬ"というのは捉え方次第でいくつも道が出来て、それは遺された人にとっても同じだということや
そんな時にも人の温もりや優しさは心を和らげるのだということを伝えてくれてくれるような素敵な作品でした。

2

もしかしたら好みが分かれる作品かも。

作家買い。
まりぱかさんはシリアスなものからコミカルなものまで描かれる引き出しの多い作家さまですが、今作品はシリアス寄りのお話。「死」にまつわるお話なので苦手な方は注意が必要かもです。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。






昌典は田舎の町役場に努める青年。
彼の幼馴染で親友の慎太郎が亡くなった。悲しみに暮れる時間もないまま葬儀の手伝いに駆り出された昌典だったが、そこに一人の青年がやってくる。家族のみの葬儀であることを伝えても帰らないその青年・実は慎太郎の友人だという。

とある事情で慎太郎の友人は誰も参列していない葬儀で、実だけの嗚咽が聞こえてきて―。

慎太郎の死因。
明るく人気者だった青年の葬儀に誰も来ない理由。
そして、実と慎太郎の関係は―。

序盤、それらが分からないままストーリーは展開していきます。
物語のキーとなるのは慎太郎と実の関係。読み始めたとき、実は慎太郎の恋人だったのかな?と思ったんですけれども。この二人の関係について、ぜひとも手に取って確認していただきたいです。

昌典にとって慎太郎は初恋の相手であり幼馴染であり、親友だった。
そして、実にとっても慎太郎の存在は大きい。

「慎太郎」という大切な人を失った二人の男たちが、傷口を舐めあうように身体を重ねていく。

と、簡単に説明するとそういうお話なのですが、そこにいくつもの因子が絡み一筋縄ではいかないストーリーに仕上がっていました。二人が慎太郎の葬儀で初めて出会い、そしてすぐに身体の関係を持つに至ります。その展開が急すぎて、頭の中に「?」が飛び交いました。そこに行きつくまでをもう少しじっくり描いてほしかったなあ、とか思いつつ。けれど、読み進めていくと昌典の慎太郎を失った痛みと、実の贖罪の気持ちが透けて見えてくるようになり、それに従って、彼らが性急に身体を繋げた理由も見えてくる。

秀逸だなと思ったのはタイトル。
彼らの住まう町にある山。嘘をつくと帰ってこられなくなってしまう「正しい山」と呼ばれているが、その山の名前は「みのりの森」。その山に隠した秘密や慎太郎と昌典の子ども時代の楽しかった記憶、そして実の名前と絡めていること。

凄く味わい深いタイトルだなと思いました。

大切な人を喪う。
それは、それだけで大きな痛みを伴うことですが、人それぞれ立場や関わり方があって、だからこそ痛みも大きい。「たら・れば」を封印し、精一杯生きよう、後悔のないように。そんなまりぱか先生のエールのように感じました。

「慎太郎」という青年は、昌典たちの回想という形でしか登場しません。しませんが、彼の中身がきちんと読み取れる。その描き方も素晴らしい。だからこそ慎太郎を喪った痛みが読者にダイレクトに流れ込んでくる。

人の死を扱った作品ですので、もしかしたら好みが分かれるかもしれません。
けれど、いろいろな、壮大な愛の形を描いた良作です。
精一杯生きる若者たちに、心からのエールを送りたいです。

12

ぜひ一度だけではなく何度か読み返して欲しい

『ハニカム』に続いて読んだ まりぱか先生の作品です。

町役場勤務 昌典と無職 渋谷 実のお話。

――東京で暮していた親友が死んだ。
小学校からの幼馴染みで、面白くて賑やかで真面目な慎太郎。
山奥の田舎で執り行われた家族葬に一人の青年が訪ねてきた。
その青年は、東京で慎太郎に世話になったと言うけれど…。

裏山にある「みのりの森」
嘘つきは道に迷って元の世界には戻れない。
そして、「みのりの森」は昌典と慎太郎にとって遠い日の遊び場所。

小学生の頃に東京から田舎の祖父母に預けられた昌典。
母親は我が子を残したまま行方不明になってしまいました。
まだ幼いため寂しさもあった昌典ですが、慎太郎や周囲の人たちに支えられ、優しく純粋に育ちます。
やがて時は過ぎ、いつも一緒にいた昌典と慎太郎は別々の道を歩むことになりました。
田舎に残る昌典と東京に行く慎太郎。
それが、永遠の別れになるとは知らずに。

一方、四人兄弟の末っ子で唯一出来が悪かった実。
大学受験に失敗して家を追い出され、バイトをしながら受験を目指すも挫折します。
――誰かのために頑張りたいと思っても自分の周りにそんな人はいなかった
結局、自分のためにすら頑張れなくなり、たどり着いた答えは…。

「死」を題材にした作品は重く暗くなることが多く、しばらく引きずりかねない繊細なテーマです。
しかし、こちらはミステリー要素と少しだけコミカルな雰囲気を絡ませており、今までにない切なさとやるせなさを味わえ、人生について考えさせられる一冊に仕上がっていました。
まりぱか先生の作家インタビューに書かれていた「絶対に誰も悪役にしない」の通りに全てのキャラクターに愛情がこもっています。
丁寧かつ力強さが感じられる絵柄と作品の世界観がマッチしていて最後まで物語に入り込めました。
個人的には、慎太郎が上京した理由を含めてもう少し掘り下げたエピソードが読みたかったです。

決して他人事ではなく、誰にでも起こり得る大切な人との突然の別れ。
残してしまう苦しみと残されてしまった悲しみは、きっと当事者以外にはわかりません。
それでも、残された人達は前に進まなければならない。
昌典に隠している実の秘密とは?
そして、実が訪ねてきた本当の目的とは?
290Pにも及ぶ本編を読み終えた時…まるで映画を観ていたかのような充実感に溜息が出るでしょう。

このお話には、当て馬は登場しません。
脇キャラとしては、亡くなった慎太郎、慎太郎の母親 幸子さん、町の人々が登場します。
息子を失った幸子さんの悲しみを堪えた気丈な振舞いにグッときました。

Hシーンは、本編で2回あります。
どうしても作品のテーマが頭にあるので幸せなエロさを感じられませんでした。
でも、2回目のセックスでは辛さや寂しさからではなく、お互いに求め合い愛情を注ぎこんでいるのが良かったです。
とくに、昌典が実のことを大切にしているのが感じられてキュンとしました。

――真実を知らん方がいいこともある。
人は誰でも弱くて脆い。
その弱さと脆さを見せられる相手に出会った2人。
亡き親友が残した繋がりが明るく愛に溢れる人生を送れることを願っています。
ラストは、昌典と一緒に眩しさで目を細めました。

読んだ人によって捉え方や考え方が異なるとは思いますが、ぜひ多くの方に手に取っていただきたい作品です。

7

人の人生とは

とてもテーマの深い作品でした。

BLというよりも、後悔、懺悔、想い残しに苛まれるときにそばにいてくれたのが男性だったという捉え方の方が自然な気がします。
その流れからラブに発展したという流れでしょうか。
BLというくくりにせず、是非色んな方に食わず嫌いせず読んでほしいなぁと思いました。

『死』ましてや『自殺』、、、人って本当にいきなり目の前から消えてしまうんですよね。慎太郎が何故自殺をしたのか、はっきりとした理由は作中には出てきません。繊細な人というだけで。
けど、そこがリアルで訴求されているようだなと思いました。亡くなる時は本当に一瞬なんだなと。だからいつだって後悔のないように、伝えたいことは絶対に今伝えようと思わされました。

5

亡き親友を巡る二人の恋

(※タイトルは帯タイの煽り文です)
発売後即重版!!……と、帯タイにデカデカと載せている通り、都内アニ⚫イトさんではしばらく店頭在庫がなかったりしたコミックスです。
表紙イラストのクオリティが本の最初から最後まで続きます。作画の質だけでも大変高いのですが、内容の質も高いです。
ほのぼのとしたBLが好きな人は苦手かもしれませんが、シリアル寄りのBLが好きな人は満足する展開と内容だと思います。
個人的には全てに救いがあるご都合主義的な展開よりもこういうお話の方が好きです。(闇の腐女子)
フィクションだから気持ちのいいハピエンがいいという方も当然いるかと思うのですが、こういう❝タラレバ❞が残る物語は現実との延長線を感じられてとても素敵だと思います。

ノット三角関係です。トライアングルBLが苦手な人も読めます。
(帯や裏表紙のあらすじに死ネタの表記があるので死ネタが苦手な人は自衛しているかと思いますが)死ネタが苦手な人は、終盤が最も苦しい展開かと思います。

この先微ネタバレ要素(?)










死んだ親友・慎太郎について
とても魅力的なキャラで、作中では生前・実と出会った経緯などが描かれています。
とても魅力的なキャラだったからこそ、個人的にはもう少しバックボーンが欲しかったですけど(骨だけにとかいう話じゃないですよ!)、物語の中とは言え、人の死を書き切るとなると1冊じゃ纏まらなさそうな文量になるだろうと考えるとあれくらいがちょうどおさまりがよかったのかな、などと思いました。
実を導く優しいお兄さん的な立ち位置で描かかれており、昌典×実のメインカプの邪魔にもなっていない点は流石だと思います。

2

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