羽生山へび子作品集 II

habuyama hebiko sakuhinshu

羽生山へび子作品集 II
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神38
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
5
得点
190
評価数
38
平均
5 / 5
神率
100%
著者
羽生山へび子 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
シリーズ
晴れときどき、わかば荘
発売日
電子発売日
価格
¥1,300(税抜)  
ISBN
9784813032724

あらすじ

羽生山へび子先生の初作品集が2冊同時発売!!
笑いあり涙ありのオムニバス『晴れときどき、わかば荘』シリーズと、未完の新作『あれはカモメと誰かが言った』を収録した作品集☆
人の営みの数だけ、愛の形は存在する。
めいっぱい悩んで生きる男たちの群像劇!
さらに…わかば荘にはじめ&先輩がやってきた!?
夢のコラボ短編『晴れときどき、僕の先輩』も収録

表題作羽生山へび子作品集 II

(仮)小田島翔,高校2年生
(仮)千葉晃太,わかば壮に住む高校2年生

同時収録作品103号室 長崎恵一~ムーンリバーと俺~前後編

清川誠司,30歳,自動車メーカー勤務
長崎恵一,30歳,自動車メーカーの営業

同時収録作品102号室 幕之内大輔~青い影~前後編

一条誠,人気ジョッキー
幕之内大輔,元トップジョッキー

同時収録作品ごはんですよ 前後編

松本,40歳,木工職人
湊晴彦,松本の職場の後輩

同時収録作品小田島翔×101号室~そわそわDEAD☆OR☆ALIVE~

小田島翔
千葉晃太

同時収録作品202号室 鮎川要~あすなろ~前後編

澤村亮,29歳,203号室に住む飲食店の経営者
鮎川要,33歳,202号に住む高校英語教師

同時収録作品小料理屋わかば 春野わかば~HARD LUCK WOMAN~前・中・後編

春野ケンジ,36歳,板前
春野わかば,小料理屋のママ

同時収録作品晴れときどき、僕の先輩

二宮三郎,建設工
飴宮はじめ,大学1年生

その他の収録作品

  • あれはカモメと誰かが言った
  • 羽生山先生を偲んで―

レビュー投稿数5

明るくて楽しいのに切なくて堪らなくなる。

なぜこの作品をもっと早くに読まなかったのだろう。
読後のこの高ぶる気持ちを、先生にお手紙でお伝えしたかった。それを考えるだけで涙が出てきてしまいます。

懐かしさを感じる物語は日常に溶け込んでいて、登場人物たちと実際に街ですれ違っているかもなんて錯覚してしまうくらいにはリアルでした。

カップルの数だけそれぞれの形があって、悩んで衝突して進んでいく。
若い2人の恋から、成熟した大人の恋までが感情の機敏を本当に丁寧に描かれています。
それぞれの気持ちが繊細で尊くて、じんわりと心に沁み入ってきます。
登場人物たちがわちゃわちゃしているのも、人情に溢れていて読んでいて楽しくなります。

この稀有な雰囲気を出される作品が、もう新しく読めることはできないなんて。寂しいですね。

未完結作品は、1話を本誌で読んだときの印象が蘇ってきました。
読んだ記憶はだいぶ前だったので完結していないとは思っていなかったのですが、未完結だったのですね。
ネームが先生の絵で描き起こされたときの、漂う独特の雰囲気や感情を味わってみたかったです。

1

遺作…泣

「晴れときどき、わかば荘」と羽生山先生の遺作になった「あれはカモメと誰かが言った」が掲載されてました。

わかば荘シリーズも大好きなんですが、当時読んだ気持ちを思い出しながら読みました。

どの作品も楽しくてちょっぴりしんみりするんですが、1番のお気に入りはママとケンちゃんのお話の「小料理屋わかば 春野わかば」編です。

2人の出会いから、別れ、再会までで泣いてしまいました。そして男らしいケンちゃんに感激です。まだ幼かった時からわかばの本当の姿を知っておねえちゃんと言っていたんですね。良い男だ…


それから悲しい事に遺作となった「あれはカモメと誰かが言った」は初読みでした。全5話予定で3話からはプロットのみです。

作品集にある2つのシリーズと比べるとシリアス調でヒリヒリとして痛々しい感じがします。
プロット自体が最初のままなので連載を続けるうちに変化したかもしれないし、漫画になった時点で印象が変わったかもしれないと思うととても残念で悲しくなりました。

亡くなってこのような作品集が発刊される作者様ってなかなか居ないと思うんですよね。
それだけ羽生山作品は愛されていたと思うし、ご遺族と出版社に感謝したいと思います。

4

涙が止まらない

泣いた……
どこかレトロな雰囲気を感じさせてくれ、ラストはハッピーエンド。
そんな、へび子先生の作品が大好きで全作品読んでいました。
もう二度と会えないと思っていたので、作品集が出たことがとても嬉しかったです。
作品集の刊行を許して下さったご遺族の方々に、感謝申し上げます。ありがとうございました。

作品集の最後に収録されている『あれはカモメと誰かが言った』は、2話までが漫画化されており、残りの3話はプロットです。
たった2話だけで、キャラの濃さとストーリーの切なさに引き込まれました。
そして、プロットを読ませて頂き、とても詳細に描かれている事に驚きました。

最後まで夢中で読んで、七生と成田のラストに泣きました。
この作品をへび子先生の漫画で読んでみたかった。
そう思うと涙が止まりません。

それでも、こうして先生の遺作が世に出た事を嬉しく思います。
これからも大切にしていきたい作品たちです。
今までありがとうございました。
ご冥福をお祈りいたします。

3

きっとこの先も、笑いたいとき、しんどいとき、何度も読み返す

羽生山へび子先生作品集Ⅰに引き続き。
本書は『晴れときどき、わかば荘』シリーズと
わかば荘&僕の先輩のコラボ短編『晴れときどき、僕の先輩』、
へび子先生の遺作『あれはカモメと誰かが言った』が収録されています。

『晴れときどき、わかば荘』
商店街の近くにある小料理店「わかば」とその路地裏のアパート
「わかば荘」に住む人々の日々を綴るオムニバス形式の物語です。

そこは家族と疎遠ななんちゃってヤンキー高校生、社畜ライフに
疲弊しきった会社員、落ちぶれた元人気ジョッキー、恋に臆病な
高校教師、立派な紋紋を背負った硬派なバーテン、女装の女将と
その傍らに寄り添う若き板前、と色んな人生を生きる人々が集まるアパート。

そんな彼らの人生の一部を垣間見ているような感覚でした。
人生は決してハッピーなだけじゃない。
むしろ、苦しいことの方が多くて、幸せな時間は一瞬で。
尽きることのない悩みを抱え、心折れそうになりながらも
それでも歯を食いしばって生きてゆく。
幸せの瞬間を思い浮かべながら、幸せに手を伸ばしながら。

コミカルな作風の中にそんな人生の苦みを感じました。
だけど、しんどいとき、誰かとご飯を一緒に食べたり、
誰かに気にかけてもらえたり、みんなでワイワイしたり、
それだけのことに救われることもあるんだなって。

胸の中に人と触れ合う温もりがじんわりと広がってゆきました。
「笑いあり、涙あり」ってまさにこういうことを言うんだと思います。

ゲイ率の高めなアパートですが、カップルごとに関係性もそれぞれで、
できたてホヤホヤで活きのいいカップルからしっとりと大人の味わいある
カップル、大人の色気ムンムンな艶めかしいカップル、夫婦のように
酸いも甘いも噛分けたようなカップル、と色々な愛の形がありました。

どのカップルも魅力的ですが、中でも締めの女将&ケンちゃんの
お話はひと際素晴らしくて、心に響くものがありました。
二人の出会いから現在に至るまで、そして、これから…
その愛の深さに心打たれ、最後には涙がせりあがってきます。

また、ジョッキー同士の恋を描いた大輔&誠のお話では
へび子先生の競馬愛が多分に感じられてニヤけてしまいました。
この二人のお話はどちらかというとコミカル寄りなのですが、
後半で描かれる馬上でキリっとした表情の大輔が格好良かったです♥

カバー下では住人紹介があり、そこで板前のケンちゃんの
苗字が女将と同じ「春野」であることに気がつきました。
そんな小さな発見だけで胸が優しさでいっぱいになれました。
女将は年齢不詳だけど、いくつなんだろう…なんて無粋かしら。

本書で描かれたのはわかば荘の住人たちの一生の中のほんの一瞬で、
物語の幕が下りた後も彼らの日常は続いてゆくのだと読み終えた後も
心の中で彼らがいつまでも生き続けていく気がしました。

『晴れときどき、僕の先輩』では小料理店「わかば」に
訪れたはじめちゃんとわかば荘の面々との交流が描かれます。
まさかの再会と邂逅にへび子ファンなら歓喜間違いなしの作品でした♬

最後は未完の遺作『あれはカモメと誰かが言った』の
「ihr HertZ」で掲載された2話分と残り3話分のプロットが収録されています。
できる限り先生が書かれた文章のまま、という文面には所々で
へび子先生らしさが感じられ、脳内で先生の作風で描き起こしながら読みました。

完結まで読むことが出来なかったのは本当に残念で、悲しいことでしたが、
それでもこうして普通ならば見ることの出来ないプロットという形で
物語の結末を見送ることが出来たことを嬉しく思います。
こうした形での発表を了解されたご遺族様と
出版された版元様、ありがとうございました。

既刊2冊分と短編、新作3話分という分量なだけにものすごい分厚さでした。
残りのページ数が少なくなってくるにつれ、へび子ワールドに
浸れる時間もあと少しなんだな…と寂しくなってゆきました。

最後まで読み終えて表紙を眺めていたら帯の「先生だいすき」が目に入って、
ぶわっと感情が膨れ上がって、もうなんだか泣けてきてしまいました。

きっとこの先もしんどいとき、笑いたいときにはまた
へび子先生の作品をこうして読んでしまうんだと思います。
何度も読み返して、その度に好きになっていくんだろうなぁ…

普段は人にこの本は絶対読むべき!なんてゴリ押しなんてしませんが、
この作品集だけは多くの人が手に取られてほしいと切に思いました。

7

多くの方に手に取っていただきたい神作品。

『羽生山へび子作品集 I 』と同日発売になった『羽生山へび子作品集 II』。
『羽生山へび子作品集 I 』は羽生山先生のデビュー作である『僕の先輩』が収録されていましたが、今巻は羽生山先生の代表作の一つと言って良いでしょう。『晴れときどき、わかば荘』が収録されています。

『晴れときどき、わかば荘』は1巻目である『晴れときどき、わかば荘 あらあら』と、続編である『晴れときどき、わかば荘 まあまあ』の2巻から構成されていますが、今巻には2冊とも収録されています。
「あらあら」と「まあまあ」の2冊分に、わかば荘に『僕の先輩』の三郎とはじめがやってきたコラボ短編も収録。さらに、羽生山先生の未完の作品である『あれはカモメと誰かが言った』も収録されているという、なんとも豪華な1冊です。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。



わかばママが経営する小料理屋とアパート「わかば荘」を舞台に、わかば荘に住む住人たちのオムニバス作品。何が魅力的って、登場人物たちが等しく魅力的。高校生からリーマン、元トップジョッキーなど、住人達は多種多様に溢れていますが、DKでもリーマンでも、大人でも、過去や悩みはあって。そこを、彼らは自身の手と恋人の存在、そしてわかば荘の住人たちの手助けで、乗り越えていく。

羽生山作品は、濡れ場はあまり登場しません。ほぼないか、あるいはあっても朝チュンとかね。先生の絵柄もあって、エロというよりはストーリー重視の作品が多い。そんな羽生山作品ではありますが、濡れ場も、あったりします。

この濡れ場がさ、めっちゃ、エロいのよ…。
切なさとか、儚さとか、深い愛情とか、そういったものがミックスされてる感じ。エロが少なくても萌えさせるエロを描きつつ、所々でガツンと描かれるこのエロさよ。羽生山先生のすごさを、そんなところでも感じます。

どのCPのお話もとても素敵なのですが、個人的に一番お気に入りなのはわかばママのエピソード。

女装趣味、幼児虐待。
バックボーンはドシリアスですが、そこで紡がれていく心温まる交流に落涙し、安堵し、そして萌えた。

すさんだ心にじんわりと染み入ってくる。心が洗われる、といってもいいかも。とても素敵なお話なのです。

で、わかば荘×僕の先輩、という豪華なコラボ短編も収録されています。
先輩とはじめも、そのうちわかば荘に引っ越してくるんじゃないかな。と妄想しています。

わかば荘のお話は若干シリアス寄りなものもありますが、基本的にはほのぼの系なお話。今巻はわかば荘シリーズ、なのでほこほこと心が温かくなりながら読み進めましたが。

終盤に、別のお話が収録されています。
タイトルは『あれはカモメと誰かが言った』。
わかば荘と異なり、こちらはドシリアス一辺倒のお話。
綺麗なビジュアルを持ちながら、同級生相手に、あるいは裏社会の大人相手にウリをしている高校生・明菜(男の子です)と、明菜と知り合う健全な剣道男子の成田のお話。

今作品は雑誌「ihr HertZ」で2話まで掲載されていた作品だそうで、未完の作品なのです。が、先生のご遺族の方のご好意により、プロットが3話分掲載されています。

色々な意味で、なんとも切なくなりました…。

先生や、ご遺族の思いを、読者はきちんと受け止めて丁寧に読まなくてはいけないなあ、という真摯な想いに駆られました。

どの作品も、どのページも、とにかく素晴らしいです。
今まで羽生山先生の作品を読んだことないという方にも、もちろん羽生山先生のファンの方にも、ぜひとも手に取ってほしい素晴らしい作品です。

私たちは先生の作品を読むことで、いつでも先生に会えるんだなあ、と。
この名作を、ずっと残し、読み続けていきたいなあ、と。

そんな風に思う、神作品でした。

16

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