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亡き兄の恋人はΩ。そして俺はα。
ani ga nokoshita koi no yukue
短編のように、語られてる時間は短いのですが
残る余韻が素敵なお話でした。
タイトルから分かるとおり、
兄という人は亡くなり
残された2人の複雑な想いが語られるお話です。
3人を結ぶものは、
兄と弟であり、恋人であり、想い人でもあり
それぞれ違うダイナミクスを抱えながらも
それらを各々の気持ちを形にしていました。
特に良かったのは、所謂オメガバっぽい事件がメインになっていなくて、
ダイナミクスがアイデンティティにはあるけれど、なによりもお互いのことを大切にしたいという3人の気持ちの方がメインになっているとこが刺さりました❤︎
兄の恋人は、弟の想い人。というからには
早々に想いを爆発させるのかと思いきや、です。
ここは、読んでじんわりきて欲しい❤︎
ラストの静かに新盆を迎えるところまで
亡き人を悼む2人の気持ちが丁寧に語られていて、とても自然で素敵な読後感でした。
裏テーマは、「新盆」かな。
こんなふうにも描けるんですね、素敵だ…
読んで良かったな、おすすめです❤︎
向日葵は、真夏の花なのに、
向日葵にまつわる作品は 何故か哀愁を伴うものが多い
βの兄、晴樹が病死。
兄の恋人は、Ωの幸人。恋人を失い、思い出から動けなくなっている。
兄も、幸人のこともずっと好きだった、一樹。
兄の葬儀の後の夏、兄の日記を持って幸人が暮らす家を訪ねる。
βと偽って、傷心で痩せた幸人に一緒に暮らすことを提案する・・
αの一樹は、ずっとβの兄とΩの幸人の恋の邪魔にならないように、
Ωの幸人から距離を置いていた。
兄も、幸人も、大好きだったから、壊したくない。
真夏に揺らぐ陽炎のように揺らぐ、一樹の長くて淡い恋。
見守ってあげたくなる結末だった。
ストーリは、名作にはいるんじゃいかな。
タイトルがよく中身を表しています。
オメガバースですが、それが自然に物語りに取り入れられています。
兄の恋人にほのかな恋心を頂いていた弟。
その兄がなくなり、ひとりになった彼氏を支えようと、家に住み込みで面倒を見るようになる。
最初は邪険にしていた彼も、自分の恋心を隠して一生懸命自分のために尽くそうとする好青年を受け入れるように。。
恋人がベータで、アルファに番にされないようにと、抑制薬を飲み過ぎて体調が悪かったオメガの彼。
弟は自分がアルファであることを隠していたが、彼が幸せであればと自分の欲は抑えている。
そんな二人はどうなるのでしょうか。
決してオメガバースという設定に流されず、じっくりと二人を描いた良い作品でした。
亡くなった兄の晴樹と恋人だった幸人を好きな一樹。これだけでも複雑な導入ですが、この作品はさらにオメガバースの設定も含んでいます。βだった晴樹とΩの幸人の間に、運命の番の登場に怯える気持ちがずっとあったのがしんどいですよね。個人的にはそうして運命に抗うβとΩやαとβの作品がもっと増えて欲しいのですが。しかし、晴樹は病で亡くなってしまい、残された一樹と幸人が一緒に暮らし始める。昔から幸人を好きだった一樹が兄の死に乗じたわけではなく、彼は最後まで晴樹の遺志を尊重していたんですね。一樹と幸人の距離が縮まっていくのがとても自然に思えました。
よつもじとはまた全く雰囲気の異なる作品。
それでいて、流れるようにぐんぐん読めてしまうのは変わらず。
本作は特にストーリーものだったので、ぐいぐい引き込まれました(この流れるように読めて引き込まれる感覚がたまらない。これが味わえる作家さん好きです)。上手い。
オメガバ要素が薄いのもいい。
だけれども、バース性はしっかり活かされている。上手い。
晴樹の日記の内容がわかって、晴樹がしたかったことを一樹がしてくれていたとわかるくだりはぐっときました。
三者三様の気持ちがわかって。
幸人が一樹の気持ちを確かめて、幸人も晴樹が遺してくれた言葉に応えるのもよかった。
なんと言っても、描き下ろし、膝枕からの髪さらっお手手ぎゅ…デコちゅー鼻ちゅーお手手きゅ…からのちゅーで終わるのが最高でした。上手い。
と思ったら、その場面、表紙でしたね。いい!
ベータの晴樹とオメガの幸人は恋人でしたが、晴樹は若くして亡くなってしまいます。
晴樹の弟一樹は、晴樹が亡くなってから二人が一緒に暮らしていた家で、幸人と同居します。一樹は亡き兄の身代わりとも思えますが、一樹も幸人のことが好きで放っておけないのです。
幸人はアルファとつがわないように抑制剤を飲んでヒートを抑えていますが、薬の多用でいつも具合が悪いのです。
幸人が好きなのはなくなった晴樹で、一樹が好きなのは幸人です。同じ屋根の下で亡き兄のことを理解している一樹と暮らす幸人、幸人のことが好きな一樹は、お互いに微妙に何かがずれていて、人生ってうまくいかないことばかりだなと思いました。
オメガバ―スなのにエロがない!
だけど、しっかりオメガバ―スでした。
こういう描き方も良いなぁとじんわり。
晴樹(β)の不安を除くためにも
抑制剤を過剰に飲んで身を守ろうとする幸人の姿から
Ωとしての辛さや春樹への想いが伺えて切ない切ない。
晴樹を失って気力がないのも…
昔からの憧れの人であることや、兄(晴樹)の想いを知って
幸人の元を訪れた一樹は2人のことが本当に大事だったんだろうな。
幸人に煙たがられながらも、徐々に昔の距離感に戻って、
晴樹の想いも一樹の想いも受け止めて前に進めたことに胸がいっぱい!!
じわじわ穏やかな物語で、ひたむきな想い、優しさが沁みました。
日常の風景、ひまわりも効いてる。
イチャイチャが見たいなぁとも思うけど
この2人はゆっくり、こういう距離感も良いのかな。
新しいオメガバースのかたちですね。
話は少し重ため。
大切な人を亡くしたという事実が幸人のやつれた表情や痩せた体でリアルに表現されていて
その姿は痛々しくツラいものがありました。
でも、亡き兄のやり残したことを完遂させるため
かつての想い人のもとへ全て隠して乗り込んだ一樹が一番辛かったんだろうな。
幸人を大切に思う気持ちは誰よりも強いのに
それをストレートにぶつけることもできない。
ヒートがきてしまっても助けることもできない。
たくさんの葛藤があることが
悩んで考え込んでしまうようなシーンから
読み取れました。
なので、幸人が一樹に寄りかかることを
決心してくれて本当によかったな、と。
走って一樹を引き止めに行ったとき
思わずこぼれた幸人の本音にめちゃくちゃ感動しました。
何より描き下ろしの幸人が最初に比べたら健康そうになっていたのが嬉しかった!
縁側の膝枕のシーンは感動で胸がふるえました。
たくさんツラいことがあったぶん、ふたりにはこの先、穏やかで幸せな日々を過ごしていってほしいなと願わずにいられません。
あちこちからセミの声が響き渡り、ひまわりたちが背比べをしながら太陽を向き、地面がゆらゆらと揺れている光景が見えるような。
そんな、うだるような夏の暑さを感じる作品。
こちら、本当に素敵な作品でした。
あらすじにもありますが、静かにほろりと沁みわたる。
季節は真夏。初めにも書いた通り、あちこちからセミの声が響いているというのに、作品全体になぜか静謐さを感じるのは、一樹と幸人をつなぐ「兄」という存在が既に故人となっているからでしょうか。
オメガバース作品なのですが、あまり数多くは見かけないタイプの作品だと思います。
性描写はほとんどありません。むしろ不要かと思います。
人を想う気持ち、人の心の動き、遺された人、遺していったもの。
そういった繊細な部分が丁寧に描かれています。
オメガバースという設定上、どうしても性描写はつきものですよね。
もちろん、性描写が多い作品も素敵だと思います。
けれど、オメガバースという性が絡む題材を扱いながら、バース性よりも「人が人を想う気持ち」をメインに、ここまでしっかりと独自の世界観で描き切っている暮先生がすごい。
ならばいっそ、オメガバースである必要はないのでは?とも思えるかもしれません。
ですが、この作品はこの題材だからこそ活きるお話でした。
味付けがとてもお上手です。
10歳年上のβの兄・春樹と、その親友で、やがて恋人・伴侶となったΩの幸人。
そして、春樹の弟・一樹。
三者三様の想いが、夏の陽炎のように静かに揺れている。
物語は、兄亡き後、広い家に1人で暮らし続ける幸人の元へ一樹がふらりと訪れるところから始まる。
未亡人のように憔悴しきった幸人を心配し、幸人から歓迎はされないながらも同じ敷地内で暮らすことになります。
幼い頃の一樹の回想シーンがあるので、ただ単に幸人を心配してなのか、それとも…?と勘ぐってしまいましたが…
そうじゃなかった。彼はあまりにも優しい人でした。
時が止まったような草だらけだった庭での作業。
慣れない料理。いつか食べたものよりも焦げた焼きおにぎり。
誰もいない海辺で、景色を眺めながら絵を描いて語らう。
一樹の初恋がΩの幸人なこと、気付いた時にはβの兄の恋人だったこと、兄のことが大好きだったこと、自身がαであること。
すごく複雑なんです。未亡人のようになってしまっている幸人を奪いたいのかと思いきや、きっと「兄のことが好きなままの幸人」のことが好きなんですよね。
どちらのことも大好きで、少しでも幸人が安らげるのならば良いという気持ちしかないんです。
αとなってしまった自分が、βとΩである2人に近付いたら関係を崩してしまうのではと隠し続けていた一樹。
それでも幸人に会いに来て、やり遂げたいことがあった。
すべての真実を知った時、春樹・幸人・一樹、3人への愛おしい気持ちでいっぱいになる。
βであるがゆえに、Ωの幸人の元へαが現れたら?と恐れていた春樹。
Ωであるがゆえに、自身の元へαが現れたら?と恐れていた幸人。
αであるがゆえに、2人の元へ近付けないと思っていた一樹。
たった3人の登場人物だというのに、バース性の複雑さと苦悩をさり気なく描いていて、本当に上手いなと思います。
その後を読者に想像させる終わり方も好み。
ひまわりの花が印象的なカバーイラスト。
ひまわりの花言葉は「憧れ」「あなただけを見つめる」だそうです。
読み終えた時には、きっと特別なものに見えて来るはず。
タイトルまで胸に泌みる、人の幸せを願う人々の切なさと優しさがとても素敵なお話でした。
漫画がうまい!漫画のうまさって絵のうまさだけではないから、やっぱ漫画がうまい先生の漫画は当たり前だけど面白いです。オメガバースの使い方も好き。オメガバースはどうしても性的な使い方が第一になってしまうところがありますが、人間と人間の関係性、社会との関係性で見せてくる作品が好き。
暮先生は長らく趣味で描かれていた「よつもじ。」のイメージだったので、こういう作品も描かれるんだと嬉しい驚きでした。これからも新刊楽しみです。
終わり方がいいですね。BL漫画にはありがちで、勿論自分も描き下ろしでそれがあるととても嬉しくなるエッチシーンですが、この作品に関してはなくて良かったと思えました。咲いた向日葵に一緒に添え木を当てている様が見られたことが幸せですし。
彼らがどういう関係性なのか、首に噛み跡はあるのかすら描かれません。まだ薬を飲んでいるということは…
先生の中ではあるのかもしれませんが、それもまたいいなと。
一樹の立場(職業)と年齢でてきましたっけ?気にしない方も多いのかもしれませんが、生業が気になる性分でして。この世で生きてる感が薄らいでしまう。