条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
public school
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
舞台はまたリーストンへ。今作はスタンと桂人の物語。桂人、アルバート、スタンの過去が壮絶でしんどかった。 スタンもアルバートもちょっとずつズレているが何故なのか…最後に明らかになるけれど…。桂人が愛を知らず、愛を知り、人を愛そうとするところがまた健気で泣けたよ…。そしてスタンの印象が色々と変わっていくのも面白かったです。 メンべラーズはさすがヘッドボーイだけどその観察眼は怖いほどだったわ〜!ある意味エドより怖いかも
攻めが不特定多数を抱いてる男娼設定はすごく好きです。
受けは、一巻目の主人公と違って、女々しくなくて外見も女子供っぽくないからまだマシだった。
ただ読んでるとすごくストレスの溜まる登場人物ばかりだな〜って印象。
受けは養父から性的暴行されてたからいいけど、攻めが……実の母親とだったから胸糞だった。同性ならウェルカムだけど、母親と息子の近親相姦は気色悪すぎる……。可哀想とか同情ではなくて本当に気持ちが悪い。
パブリックスクール4冊目にしてエド礼ではないCP。作中にエドやデミアン・ヘッジズが卒業生として出てくるので時系列的にも4巻というところなのでしょう。
今回は監督生同士のCPで、スタンと桂人の6年生同士。スタンにも桂人にも過去に親から受けた虐待の記憶があり、その過去にずっと苦しめられていました。でもその過去からどう身の振り方を変えたかというのが2人の選択が逆になっていて、スタンは双子の弟への贖罪から不良を演じ、桂人は目立つ行動は避け常に優等生の笑顔を貼り付けている。交わりようのない2人がある事件をきっかけにお互いの仮面の裏を知るようになって話が進んでいきます。
やっぱり樋口先生は素晴らしいなと思うのは、「人が人を好きになる瞬間」だったり、「相手に惹かれる理由」を疎かにしないんですよね。だからこそ話に大きな説得力がある。スタンや桂人の生い立ちも壮絶ですがそこを抜きにして2人がお互いに惹かれたり思いやることはないわけで、その部分もとても丁寧に描写してあるのですごい吸引力で話に没頭してしまいました。
そして何よりこの本を読み終わっての感想は、メンベラーズ、恐ろしい子…。生まれながらにして人を統べる人間っているんでしょうね。いくら幼なじみで昔から知っていた双子でも、スタンとアルバートの共依存や拗れにわずか14、5歳で気付いてしまう。そしてそんな2人の確執を解消してくれる存在を探し出し、けしかけ、誘導する。今思い出してもそんな恐ろしい17歳のメンベラーズに震えます(笑)。もう影の存在ではないけど、影の主役ですね。BLにはならないのでしょうけど、そんな彼が恋に落ちたお話を読んでみたいとさえ思ってしまいます。
脱線してしまいましたが、そんなメンベラーズの計らいによって結ばれたスタンと桂人がメンベラーズ卒業後も、そして2人の卒業後も愛を誓い合うシーンがとても心に染みました。
シリーズ読んでまして、時々読み返したくなる作品です。
そういえばレビュー書いてなかったなぁと。
大まかなストーリーは他の方が書いてくれてるので省略。
前作はエドがあれだけ態度に出していたりするのにレイはすぐマイナスの思い込みで否定してしまったりとんでもない鈍感さとかあまりにもツッコみたくなるところが多かったんですが、この作品はそれがなかったです。
スタンサイドの語りがないので終始桂人サイドで読み進めなくてはいけません。
色々あって桂人はスタンに惹かれ、スタンも何故か桂人に優しくしてくれるものだから、あ〜スタンも好きなのかなぁと思ってたんですけど、最後まで確証がもてなかったんです。スタンサイドもあるかと思ってたら作品が終わってしまったんですよね。桂人がスタンに惹かれる過程はかなり丁寧に書いてくれていて桂人自身成長するきっかけにとなったわけで納得いけたんですけど、スタンはいつ本気で好きになったの??と。スタンはスタンで問題を乗り換えたけれどそこの過程はほぼアルビーに視点だし、スタンから語られることなくメンバラーズの口からでしか知ることができませんでした。結局どうやって乗り越えることができたのかよくわからないまま。突然わだかまりが解けたから桂人と付き合いますって流れで急いだのか尺が足りなかったのか…個人的にはスタンの目線から桂人に救済されたっていう過程を細かく知りたかった。そうすれば最後にあった少しのご褒美ページもより楽しめたと思います。実はまだ続編読んでないのでその辺読めたりするのかな?と期待してます。
ストーリーも世界観もキャラクターも魅力的で前作よりもオススメかもです。ただスタンサイドも掘り下げて知りたかったです。
ちるちる不朽の名作ランキングにランクインされていたので、最近小説読んでます。
大作『パブリックスクール』シリーズの4作品目で、この巻はメインカップルのエド×礼はほとんど出てこないもう一つのカップル、スタン×桂人(けいと)のお話です。
主人公の桂人もスタンも、キーマンになるアルバートも、みな想いや悩みは違えど愛に飢えていて、誰にも言えない闇や孤独を抱えているのがひしひしと伝わってきました。苦しくもありながら、相手に気を配る姿に心が震えました。
この一巻だけでも内容モリモリですが、特に心を突いたのはスタンが『愛される時がちゃんとくる、愛する時も』といった言葉に桂人がスタンにキスをしたシーンです。
幼少期に性被害にあい、スタンと地下の図書館で会った時にひどくされた事がありながら、桂人からスタンにキスをしたのは凄く意味のあることだと思い、困惑するスタンに読み手としてとても熱が上がりました…。
他にもスタン(兄)とアルバート(弟)の双子の確執や共依存のような関係も桂人を真ん中に嵐のように沢山の出来事があり、桂人にひどい仕打ちをするアルバートを憎く思ったり、地団駄踏みたくなるようなヤキモキした気持ちもありましたが、それでもアルバートを憎まず寄り添う桂人だったから、最後は感動的な終わり方だったように思います。
同時収録の描き下ろし『寮代表は祈りを捧げる』はウェリントンの寮代表メンベラーズ視点のお話になっており、ああ〜メンベラーズ美しきかな..。裏で色々と手を回していたりするんだろうなとはもともと思いましたが、その気持ちは改めて変わらず、本質として嘘のない人で、自分が卒業した後のリーストンに残る学生たちが上手くやっていけるよう心から心配できる慈悲深い人だなと思いました(><)
メンベラーズは魅力のあるキャラクターだと思うので是非スピンオフで主人公やってほしい。
まとめですが素晴らしい作品です、私はどっちか選ぶならエド×礼よりスタン×桂人が好みです♡
面白くて一気読みしました。スピン元の「パブリックスクール」のときもそうだったな〜と思いつつ、そちらよりずっと好きな作品でした。礼がやや苦手である一方、桂人はかなり好きなタイプで。「愛」の捉え方も桂人のアプローチの方が好きです。
スタンやアルバートがもつ弱さも凄くいい。完璧な人間ではないけれど、その脆さを支え合う双子の兄弟に美しさを見出さないわけがないです。終盤の、幼児返りしたように可愛いアルバートも、勝手で傲慢なスタンも愛しい。
そして何よりの推しキャラ、寮代表メンべラーズ様!!!好き!!!!およそ欠点のない男よ…序盤のスタンに抱かれるメンべラーズのみ種明かし後も違和感がややあるものの、すっごく好きな人物です。家庭環境が完璧なのも良い!BL作品の登場人物って家庭環境に問題あり率が高くて…この作品も桂人、ストーク兄弟がそうですし…円満家庭で才色兼備で己の能力を完全に理解して使いこなしている人物!ま、眩しい…
そんな彼が挫折を知って這い上がる様がものすごく読みたい。しかしBLでは読みたくないという我儘。
パブリックスクールの気高い雰囲気、感動的泣きどころ、エロティックさ、ポップで笑える部分、総合力で群を抜いた作品でした。天晴れ。
こんなに完成されてるのに続編がある不思議と期待。
すごく邪悪で陰湿なイジメがあったりSM的な主従だったり、表紙キャラが性悪の権化みたいな感じなのかな?って勝手に思ってました。
だって、ダークな雰囲気醸し出してるよね?ね?
全然違った、やっぱり樋口美沙緒先生作品は、愛のお話でした。
発売順ではなく、先にエド礼を全部読んでから(続きが気になって我慢できずに)スタン桂人編に戻ってくるような読み方してます。
主要人物は4人、双子の寮監督生 スタン、アルバート、寮代表 メンベラース、主人公の寮監督生 桂人
ここからは感想を箇条書き
双子ってなにかと比べられて大変ね
桂人自己評価低いけど、きっと凄く美形
メンベラース食えねぇやつ
あっ!エドとデミアンが!挿絵まである!ありがとうございます(T ^ T)
「やはり小鳥がお好みでしたか」ってエドに囁くメンベラース、エドと礼の事は調査済みですか?恐ろしい子っ!
エドからの寄付金も目論んでのキャスティングだったら計算高い。
ショッキングなシーンは、独白と未遂だけなので優しい。
美しいハーフなだけにイギリスでも日本でも異質な桂人
母のために自己犠牲で耐え、母亡き後は後ろめたさでアルバートの為に生きるスタン
母のために自己犠牲で耐え愛されない自分は人を愛せないと思い込み目立たぬ様過ごしてきた桂人
そらお互い分かり合えるはず。
愛されたがってる子と許されたい男
モテ始めてるのに無自覚な桂人にヤキモキしたスタンが言葉と行動チグハグなのが面白い。きゅんきゅんポイント。
スタンの未熟さがかわいらしい。
しかし、桂人は盗み聞きしてしまう事多いなw
桂人SEXトラウマなんかと思いきや、最初からすごい乱れっぷりでめちゃくちゃエロかった。気持ちよさそうだった。
樋口美沙緒先生の受けキャラ、大人しそうなのにエロくてそそられる、攻めが手放せなくなる子が出てくるー。
なかなか愛してる、好きって言ってくれないスタン(行動ではバレバレ)に切なくなる桂人。
上手くスタンの嫉妬心煽ってくれるメンベラースがいてくれてよかったー。ラスト最高!
書き下ろし面白かった。
『全てはメンベラースのシナリオのままに』だった事が驚き。目的の為なら尻をも差し出す。
もっかい最初の図書室の情事のシーン見返したよ。
確かに目的ありきの行為だった。
スタンと桂人応援したくなる2人だなー。
エド礼とは、違った良さがある。
「パブリックスクール」のスピンオフ作品。
受けの桂人はまたまた小鳥ちゃん系男子なようだけれども少しは強か?と思いきや本編とそこまで変わり映えしないキャラクターたちだった気がします。
有能な美男子だらけの空間。
受けの心の闇に射し込む攻めという光…
意識してからは攻めへの気持ちを心に宿し続け…
攻めは攻めで並々ならぬ気持ちを抱えつつも素っ気無く…まぁた長期戦だぜー(笑)
必ず現れる不穏な生徒たち。お決まりの体求め展開。健気な下級生を守ったがために自分が危機に陥る受け。必ず現れる攻め。
攻めの前では全てを吐き出すことができ、よく涙ポロポロ流しちゃうようになる受け。
受けが素の姿をさらしはじめるとその魅力に皆が気付き懐き周りの環境もあたたかくなり嫉妬する攻め。
この手の流れがお好きなんでしょうね。
これぞ!!と思う方には本当にぴったりな作品だと思います。
個人的にはもう少しガラリと変えた顔ぶれを期待したく…なってしまいました。
ただヘッドボーイのメンベラーズは…凄く好きでした。
なんだろう、別に中性的というわけではないのに…彼の声は安達さんで再生されていました。
多分某作品のドイツ代表天才レーサーがチラついていたんだと思う。
自分でもよく分からんが漠然と。
序盤、彼がメイン受けやってるとこ見たいぞ?なんて思ってしまいましたが、書き下ろしで彼の思惑を知り…そんな不埒なことを考えるのはよそう…と思いました。
樋口先生の代表作品の一つでもあるパブリックスクールシリーズのスピンオフ作品ですがこちらだけでも楽しめます。(本編のキャラも出てきますが本当にチラッとだけです)
メインの話はしつこく読み返すくらい読んでいたのですが、メインのカップルが大好きすぎたのでスピンオフになかなか食指が働かずズルズルと引き伸ばしてしまってました。年末になって時間が取れるようになったので意を決して読んだら……まさに滂沱、涙涙でした。平日に絶対読めない作品です。
もし表紙で「なんかチャラそうなキャラだ」と思っている人は、読めばいい意味で騙されたと思うはずです(白状すれば私もその一人でした)勇気を出して手にとってほしいです。キャラクターの、そして樋口先生の愛の深さに打ちのめされてください。
がんばって(飛ばし斜め読み)してシリーズ読了。好みに合わなくて苦痛な、礼君シリーズ。
パターンが同じ。スピンオフのケイト君シリーズは、幼児虐待のPTSDを扱う作品です。
テーマは『幸福な王子』
王子への愛の為に、渡る時期を逸して死んだ燕・・皮肉と哀愁を秘めた寓話です。(ワイルド自身の投影が「燕」らしいです)・・色々な愛が登場する物語の中で、副題「ツバメと殉教者」が気になる。
ケイト君は、幼児期に義父の性的虐待と母からのネグレクトを経験した美少年。
メンベラーズの策に嵌って恋におちた、ケイト君の恋人のスタンも母親による幼児虐待を経験している。母は、自殺。
燕のような瞳と髪を持つ美しい父親似のケイト君。父は役者、日本人のシンジ・スガイ。父は「愛」から逃避、失踪する。母子家庭となり、精神を病んだ母。虐待を受けた後【ケイトの懇願】で、「デルフィニウムを贈った父の元ファン」と成立した母の再婚。
★ケイト君の切り札は、自己犠牲と加害者への条件交換取引がパターン。
この作品時点は「萌2」。ケイト君が情に負けたら「趣味じゃない」に。
★この作品を読んで、初めてオスカー・ワイルドを調べました。男色で裁かれて英国を去り、不遇のまま亡くなって、作品評価は死後に上がる。
---調べた物:
▶『幸福な王子』(The Happy Prince)
The Happy Prince and Other Tales の通称。作者は、アイルランド出身のオスカー・ワイルド。男色を咎められて収監され、出獄後フランスに渡る。享年46歳。晩年は不遇だった。代表作は、戯曲『サロメ』、小説『ドリアン・グレイの肖像』、童話『幸福な王子』。
あらすじ:報われない結末の『メリーバッドエンド』
【燕はその町に来る前、一本の葦に恋をした。ツバメは葦に失恋、仲間より6週間遅くエジプトから旅立つ。渡り先の町で幸福な王子像と出会う燕。葦も王子も動けない。燕は、王子の自己犠牲を伴う要求に心を打たれ、王子の要求に従い続け、冬に衰弱死。燕の死を知って王子の像の心臓が割れる。燕と共に炉に入れられ溶け残りはゴミ箱に。神様と天使がそれを見つけて「一番美しいもの】として持ち帰る。天国で暮らす燕と王子】
▶オスカー・ワイルドの恋人、ロード・アルフレッド・ブルース・ダグラス
翻訳家であり小説家。ウィンチェスター・カレッジ卒業。ダグラスは、我儘で無茶なことも平気、傲慢で浪費家。
ダグラスの凶暴な父親は、クイーンズベリー侯爵。侯爵から受ける度重なる嫌がらせに業を煮やしたワイルドは、ダグラスの勧めで名誉毀損で訴えるがワイルドの不利に進展。裁判で同性愛が明らかになりワイルドは逮捕され、その後の刑事裁判で有罪判決を受けた。
★三島由紀夫「完本獄中記 ワイルド作」に仔細記述あり。
▶『亡きインファンタのためのパヴァーヌ』Pavane pour une infante défunte
フランスの作曲家モーリス・ラヴェルが1899年に作曲したピアノ曲
特定の人物への葬送曲ではなく、スペインにおける風習や情緒に対するノスタルジアを表現したもの マルガリータ王女の肖像画からインスピレーションを得て作曲
なんとなく避けていたパブリックスクールシリーズ。
いざ読んでみたら面白くて面白くて、あっという間に引き込まれてしまいました。
しかーし、読む順番を間違えて、先にスピンオフを読んでしまった((;゚Д゚)))
なんか思ってたのと違う?と違和感はあったものの、あとがきを読んでやっと気が付きました。
こちらの主人公たちは新刊も出ているようなので、とりあえず次はそちらを読みたいと思います^^;
お話はというと、深い愛と許す心をもった健気で強い受けがとても気に入りました。
〝きみはかわいそうになるほど、強い〟と言われたケイト、
まさにその通りの人物でした。
愛とは何か?
愛されたことがあるから愛することができるのか?
愛するから愛されるのか?
自分を愛してるから他人を愛せるのか?
他人に愛されたことがあるから自分を愛せるのか?
コロンブスの卵とまでは言いませんが、深い悩みだなと思います。
でも、ケイトはほんの些細な人の好意を愛だと感じられる青年なのです。
それを自分が愛された経験として捉えて、人を愛することができる。
それってすごいことだと思うし、人を憎むより許す事を選べるケイトは神様みたいだとさえ感じました。
愛する人や愛されることに寄りかからず、自分の居場所を自分で決める勇気。
そして、自分の存在は自分自身が決めるという強さと、望めば何にでもなれるという柔軟さ。
本当にすごく強くて優しかった。
こんな受け初めて見たかもしれない。
そのケイトが初めて愛した肉親以外の存在が、スタンです。
優しくて賢く美しい男……でも、自分勝手で嫉妬の塊。
完璧なように見えて欠点だらけのスタンもまた魅力的で、とても愛しい存在でした。
本編自体はとても切なくて苦しいところもあるのですが、
何より書き下ろしが最高だったと思います。
ここに萌えが詰まってる!恋は盲目^^
美しい男が愛に苦悩する本編もいいのですが、嫉妬に狂ってダメダメになっている姿にきゅんきゅんしました♡
本作を動かす影の主人公・メンベラーズ視点で書かれています。
この人の思いも、きっと愛なんだろうなぁ。
広くて大きい愛の人。
いつか同じくらいメンベラーズを愛してくれる人に出会って欲しい……そんなふうに思いました。
それにしても、樋口先生すごいなー
このエモーショナルな雰囲気を最後まで崩さず、作品の中で登場人物たちを見事に成長させてくれました。
もう、感動しかない!
この2人の続編が出るとの事で、文庫版を再読。
こんなに分厚かったかな、と驚きました。
そういえば単行本版は2段組だったかも。
何度読んでも息が詰まりそうな閉塞感が漂う作品です。
樋口先生の作品は「愛について」考えさせられるテーマが多くありますが、パブリックスクールシリーズには特に「愛」という言葉がついてまわっていますね。
正直、英国人×アジア系・辛い過去・差別意識・健気だけれど慈愛に満ちた受け…と、スピンオフ元と被る点やパターン化してしまっている印象も受けてしまいます。
ですが、エドとレイのお話とは違った角度から愛について悩み、苦悩し、パブリックスクールという小さな世界でもがいているまだ年若い学生達の姿を追っていると、愛って一体なんなんだろう?と、読んでいる私自身もよく分からない気持ちになっていく。
丁寧に作り込まれた、良い意味で感情をぐしゃぐしゃと乱される物語です。
設定が重く、気軽には読めないでしょう。
けれど、この分厚さを一気に読ませてしまう。お見事です。
オスカー・ワイルドの「幸福な王子」を取り入れつつ、作品全体のテーマである「愛について」を、箱庭のような閉塞的な空間で暮らす学生達が手探りで考え探していく。
所々に王子と燕のエピソードを交える演出がまたにくい。
読後に改めてタイトルを読むと考えてしまうものがあります。
桂人もスタンもアルバートも、立場は違えど親から愛を与えられなかったという共通点がありますね。
愛されなかった子供は、人も自分も上手く愛せずにいて、愛されたいがために自己を犠牲にして心の拠り所を探してしまう。
悲しく辛い過去によって、痛々しいまでに歪んだ形で他者を愛していた者達が、自分の弱い部分も認めて愛し、まずは自分を愛する事で初めて人も愛せるのだと知り、視野を広げ共に成長していく彼らが愛おしいです。
蓋を開けてみれば、愛し方や愛され方が分からなかっただけで、誰もがとても不器用で愛情深く優しい人間でした。
序盤と終盤で登場人物達の印象が大きく異なる点も見所かなと。
終わる頃にはどの子にも愛着が湧いてしまう。
イギリス人になれないのなら日本に行こう、と居場所を求めて彷徨っていた桂人が、日本人観光客と出会うシーンが特に印象に残りました。
憑物が取れたような喪失感と共に、僕は僕なんだと思い直し殻を破っていく桂人が好き。
レイとはまた違った強さを持った人です。
そして、初読時も再読時も、私は序盤から中盤辺りまでのアルバートに気味の悪さと怖さのようなものを感じていて。
桂人が言う「ずれ」の部分ですね。
この部分の樋口先生の描写が凄いなと思ったのです。
後半で、何故あれ程までに気味が悪かったのかがきちんと回収されていて、そういう事だったのかと。
物語の中に各登場人物にまつわる小さな違和感がさり気なく散りばめられていて、知らず知らずのうちに張られていた伏線が回収されていくと違和感の答えが分かる…という細かな部分の描き方が本当に上手い。
互いの存在に救われ、惹かれ、寄り添い合う桂人とスタン。
これからの学校生活はどうなっていくのでしょうか。
どちらも愛されるよりも愛する側に偏っている気がするのですが、なんだか不安定そうだけれど大丈夫かなと思ってしまったりして。
スタンの方が桂人よりも脆そうに見えるので、やや不安も感じながら続編も見届けたいと思います。
文庫版の書き下ろし番外編はメンベラーズ視点。
彼が居なければ誰も救われなかったのでは?と思えるほどのキーパーソンとなっていた人物です。
本編の舞台裏と言いますか、本編では暗躍していた風だった彼の心情が描かれています。
メンベラーズは双子の事も桂人の事も、ずっとずっと前から優しく見守り愛していたのですね。
ちょっぴり食えない王さまな彼がどんな恋愛をするのかも読んでみたい気がします。
優しい雰囲気の、読めて良かったなと思える短編でした。
スピンオフですがシリーズでこちらの作品が一番好きです。桂人の冷静さと内面のマグマが合わさった性格が良いです。
スタンは最初劣化版エドのようであまり興味持てなかったのですが家の事情や双子の弟との確執で敢えて馬鹿を装い実際はエドよりも繊細なキャラでした。
身分違いでハーフ設定など色々本家と被るのですがブロンテ姉妹の某ロマンスホラーの様なダークさがあります。
話が重いので地雷が気になる方は調べた方が良いかも。
パブリックシリーズのスピンオフ作品。
パブリックスクールを舞台にしていて同じ世界観ではありますが、本編のキャラクターはほぼ出てきません。「八年後の王と小鳥」より後の世界線です。
パブリックスクールという狭い檻の中での差別と傷と愛と成長の物語。登場人物は少し多め。キャラクターがみんなきちんと立っているので、無理なく覚えられました。
近親相姦、レイプ(未遂)、攻めの他キャラクターとの行為が苦手な方は読まない方がいいです。
個人的には攻めの双子の弟がどうしても許せませんでした。人としてそれってどうなの?と思う場面が多々あるし、いくら変わったとはいえ変わる前が酷すぎました。人の上に立つ力量の人間では無いです。
スピンオフなので本編のキャラクターをほぼ出さないのであればもっと違うタイプのキャラクターやストーリーの方がよかったです。
本編と同じく優秀な生徒(言えないけど嫉妬深い)×東洋とのハーフ(大人しめな優しいいい子)なので、元からその設定が好きで上記に書いた点が苦手で無ければ読みごたえのある一冊です。
このシリーズがお好きな方にはごめんなさい、
これは三部作から本作まで含めての神評価です。
より正確には、本書読了後のいまは、三部作がエチュードのように思える、ということです。
『パブリックスクール-檻の中の王-』を読んだとき、沈む思いでした。たとえるなら、『死のロングウォーク』(リチャード・バックマン著(スティーヴン・キングの別ペンネーム))の読後感です。架空の国で選抜された十四歳から十六歳までの少年がただひたすら南へ歩くだけという単純な競技で、最後の一人になるまで、昼も夜もなくつづく。彼らは歩きながら、境遇を語り、冗談を交わし、おたがいを励ましあう、そんなディストピア小説で、この設定だけをベースに、不条理と絶望の中での友情と、生命の輝き、そして… と、長い物語を読ませる。
三部作も本書も、その長さを一気に読ませる。このパブリックスクールというディストピアにもユートピアにもなる狭い世界で、少年たちが生と死に向き合いながら過ごしている。
このシリーズでは、ここで描かれる世界の設定を受け入れなければ、はじまらない。でも抵抗がないわけではない。ただ『パブリックスクール-八年後の王と小鳥-』まで三作通読して、ひじょうに面白い、という共通点を感じたわけです。抵抗は手法にもあって、落として落として上げる、そのやり方が好きじゃない。だけど、起承転結でいえば転以降の怒涛の愛は激しく甘く、その効果がよくわかるので……
そして本書ですが、これは三部作と共通点を多く持つ物語で、愛が救済をもたらし、受けさんがマリアのごとく輝いています。比較しても起伏もより激しく、挿話もよく効いているし、登場人物の置かれた境遇の救いの無さといい、つらく、切なく、濃厚な物語になっている。
これの続刊があるかわかりませんが、三部作の描いた愛と、本書の到達したところは近いところにあると感じます。であるなら、もしこちらの数年後を描くことがあれば、と考えてしまいます。それを読みたいような、こわいような……
それにしても細かいところの描写がほんとうにうまくて、回収もじつに鮮やか。読んでいて疲れるほどの圧を感じるのだが、またしばらくしたら読み返してみようと思います。
攻めのスタンが一風変わった魅力を持っていて素敵でした。地下の図書室で客を取る男娼(抱く方の)と呼ばれ、冒頭では攻めが寮代表の男を抱くシーンを受けが目撃するという衝撃のシーンが。BLでそういうのは珍しいですよね。他にもちょっと落ちこぼれの子を抱いてあげてやる気を出させるとか…一棒一穴主義の姐様にはちょっと辛い話かもしれません。
でも私は本当はハイスペックなのに双子の兄弟との確執からわざと不良ぶってる彼が魅力的に思えました。表紙の胸元を開けて悪そうな表情の攻め、なんとも言えない色気です。これで16歳とは恐ろしや。
対して受けも非常に辛い環境で育ったにも関わらず、美貌と頭の良さでどん底から這い上がった根性のあるところが良かったです。女々しいような見た目と裏腹にクライマックスではなかなかの行動力と勇気を発揮してかっこいい受けだと思います。
ただ悪役の人達がどうにも酷すぎて胸糞が悪かった。攻めも受けも親が毒親すぎて可哀想でした。あの親からこんないい子達生まれる?と疑問に思う位です。キーパーソンとも言える攻めのスタンの双子の弟アルバートも同情すべき環境で育ったとはいえ、反省したからってあんな奴を次期の寮代表に推していいのか?と思います。だって人を差別したり後輩や同級生がレイプされそうになった時見殺しにするだけでなくそれを言いふらしちゃうなんて…放校まではいかなくても代表に推すような人格ではないな、とラストでもやもやしました。
今回は学内はもとより寮内でも問題児な監督生と
ダブルの血ゆえに目立たず優等生を貫く監督生のお話です。
問題児である攻様とは正反対の優等生である受様が関わる事で
互いの抱える秘密が晒される事で新しい絆を結ばれるまで。
古い歴史を誇る全寮制パブリックスクールの中でもリーストンはとりわけ
歴史が古く、およそ100人ほどを抱える寮には5年生から最高学年である7年
生の各学年から3名ずつ選ばれる9人が厳しく寮生を監督しています。彼らの
内の1人が寮代表として全ての寮生の頭上に君臨するのです。
受様は成績結果から寮監の強い推薦で監督生になります。しかし、受様の片親
が日本人という事からアジア人と呼ばれ、自分達イングランド人とは違うと評
されることが多いのです。受様は監督生からもいつも見えない壁を立てられ
彼らの輪の中に入れず、居場所を持てないでいたのです。
受様は貴族の母が舞台役者立った日本人の父に一目惚れして、両親の猛反対
を押し掛けて駆け落ち同然で結ばれ生まれた子供です。しかし、父は母を
捨て、自殺未遂を起こした母を救うために自ら養護施設に入ります。
長じて11才の時にある貴族に引き取られてから初めから恵まれた人間に負け
ない様にひたすら努力を積み重ねてきたのです。そうした努力で監督生と
なりますが、嫉妬や羨望によるいじめを受けない様、花は全て他人に持たせ、
裏方として真面目に徹してきました。
新学期を迎え、受様は監督生としては2年目の6年生となります。受様と同学
年の監督生は名門出の二卵性の双子ですが、兄は素行の悪い不良として有名で、
弟はあまり目端が利くとはいいがたい性格なのです。2人は今の寮代表により
推薦されて監督生となっていました。この双子の兄が今回の攻様になります♪
攻様は指名されたものの監督生としては全く役立たずです。受様は攻様に関わ
る気すらありませんでしたが、資料を探しに入った地下の図書館で寮代表が
攻様に抱かれている現場に遭遇してしまうのです!!
あまりに倒錯的な事実を前に受様は震えてしまいますが、2人の逢瀬は初めて
の事では無い様です。しかし、2人の事後の会話は何やら意味深でした。そし
てその後に攻様を探して現れた弟との会話は2人の確執を浮き彫りにさせる
ものでした。
憤った弟が去った後、攻様は隠れていた受様に近づき、勝手に覗いた事の代価
として受様の身体を要求してきて!?
「パブリックスクール」3部作完結後にハードカバーにて出版された
スピンオフ(に書き下ろし短編を収録)の文庫化になる本作は、主カプ達が
巣立った後の数年後のパブリックスクールを舞台にした監督生を主軸とし
た物語になります。
ハードカバーは持っていますが、書き下ろしが目的で購入しました。ハード
カバーでもかなりな厚さだったのですが、文庫になったらさらに厚くて、
読み切れるのか!?と思いつつも、読み始めれば物語の世界にグイグイ惹き
込まれまして読了できました (^-^)
良くも悪くも血筋を誇る貴族にとって代々の伝統とは踏襲するべきものであり、
子息たちが通うパブリックスクールは貴族社会の縮図というイメージがあり
ます。愛と憎しみが渦巻き、血筋と権力がものをいうみたいな世界(笑)
どう生きても血筋という逸脱できない歴史を背負うを彼らにとってパブリック
スクールでどう過ごすのかが以降の生き方を左右すると言っても過言ではない
くらい重要な意味を持つのです。
そんな限られた世界の中に入れられた受様は何事もなく卒業する事を目標に
目立たず、優等生然としてうまく立ち回っていました。それは受様自身がある
秘密を抱えていた事にも原因がありますが、攻様とのある出来事でバレてしま
うのです。
しかも寮代表は監督生として全く機能していない怠惰な攻様の面倒を見る役
目を受様に一任されてしまうのです。受様は攻様に関わる気はさらさらないの
ですが、寮代表の言葉は絶対です。受様は受様なりの方法で攻様を変えるべく
説得を試みても、口の回る攻様には勝てません。
果たしてこんな2人が惹かれ合う要素は何処に!?と思わせる展開なのですが、
そこは樋口先生なので徐々に明かされていくそれぞれの過去とそれによって
秘されていた事実がより2人を近づけていくのです。
そして攻様を雁字搦めにしていた糸を受様が断ち切る事で、攻様と弟の関係を
も変えていく展開はさすがです。2人がというか、攻様が受様の手をとるまで
たいへん楽しく読ませて頂きました。
最初、見た目から俺様攻×不憫受かと思わせられますが、徐々に受様が強く
しなやかになっていって、最後はヘタレ攻×男前受になる逆転シチュが
MYツボでけっこう萌えでした♡
本作のラスボスというか影の仕掛け人である寮代表の思いは本編でも語られ
ていますが、書き下ろしの彼視点で更に深みが出たと思います。コレだけ
のために買ったようなものでしたが大満足です (^O^)v
今回は全寮制学院が舞台のお話での雪代鞠絵さん『全寮制櫻林館学院』シリー
ズはいかがでしょうか。こちらは日本が舞台です♪
表紙がなんとなく怖いなあと思って手をだすのを躊躇っていましたが読んで良かったです。レイとはまた違った強さを持つ桂人も、ヘタレだわと思うと可愛くなったスタンも好きだし、メンベラーズもアルバートも好きでした。本編420Pほど+メンベラース視点のSS26P+あとがき。義父や実母との関係が少し記述されているので地雷な方はご注意ください。義父がどうしてもイヤだったので神にできず萌2にしました。
9月を迎え名門リーストンに新しい入寮生がやってきます。六年生となった桂人はウェリントン寮の監督生。彼ら20名のプロフィールで気を遣うべき点を思い出し、同じ監督生のアルバートにさりげなく耳に入れ、あと2年何とかしのげばここを卒業して、日本に行けば居場所が見つかるかもと息をひそめています。ある日資料を探しに行った図書室で、同じ監督生だけど非常に不真面目なスタンと寮代表のメンベラーズの色事を目撃してしまい・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は
メンベラーズ(寮代表)、アルバート(スタンの二卵性双生児で弟)、桂人の義父、母、その他寮の下級生やメンベラーズの取り巻き等多数。エドとデミアンがちょい役で出てます♡(レイは風邪っぴきでお休み)
**好きだったところ
桂人がイタイ過去もちで、根無し草傾向強いですが、内面からにじみ出る人の好さ、強さが良かったです。ただ、あまりにも人が好すぎるので危ないことこの上ないわーという気持ちでいっぱい。お話の後半にかけて固かった蕾が少しずつ開いて綺麗な花を咲かせてしまったので、幸せなのは良いもののスタンも不安たっぷりだろうなあと、めっちゃ思います。絶対一緒の大学行かないとね・・
スタンは「ああ、これ不器用な奴ね」とエドよりずっと分かりやすく、最後はなんとヘタレわんこ化していたことか。失神するまで抱いてしまった後、ひたすら謝り夕食を用意して、あれこれ構ってました。嬉しそうにニヤニヤしてやってるんではなく、ごめんなさいごめんなさい、赦して?という怒られた犬状態に感じられたので爆笑でした。
アルバート(スタンの弟)は最初どうしたものかと思いましたが、自分のやり方を見出した後は母性本能くすぐる系に感じられてめっちゃ好きでした。スタンよりアルバートの方が絶対御しやすいと思うんだけどな(笑)策士メンベラーズ視点の後日談も本編の裏話になっていて、良かったので、私は文庫の方を読んで助かったわと思いました。
パブリックスクールがお好きだった方でしたら、是非。
パブリックスクールの前作全て大好きなのですが、今作は未読でした。
今回文庫化にあたり購入。
厚さに胸を踊らせて読みました。
樋口先生は健気不憫受けを描くのがとてもお上手で、今回の受けである桂人もまさしくそれです。
桂人は、自分は誰からも愛されない、なぜなら自分が愛を持たない冷酷な人間だから、と思い込んで1人寂しく学生生活を消化するだけに過ごしています。
しかし実際は誰よりも愛情深く、大きな愛を常に周りに自然に分け与えています。
その誰よりも愛情深いところに段々と気づく周りの面々が、まるでお母さんのように無償の愛を捧げてくれる対象として受けになついてしまうのが可愛かったです。
表紙から得ていた攻めスタンの印象が、小説を読むと180度変わりました。
自由奔放で自分勝手なプレイボーイかと思っていたら、誰より不自由な檻に閉じ込められた真面目で優しい男の子。
「男の子」というのがおかしくないのは読んだ方ならわかるかな。
双子の弟共々、桂人から溢れてくる愛に触れるためにピヨピヨ周りをうろつく雛鳥みたいだなぁと表紙の表情とのギャップがすごいです。
書き下ろし部分もとても良かったです。
厚い本でたっぷり読ませていただいたのにもう続編が読みたい!
読みたい読みたい読みたい!
パブリックスクールシリーズのスピンオフ作品。シリーズを読んでいなくても、楽しめるお話です。シリーズを知っている方は、ひょっこり登場したあの方々のやりとりにちょっとニンマリできるでしょう。
監督生だけど、目立たないように影になり周りの人に華を持たせてきた、アジアンの血を引くケイト。
監督生なのに、悪い噂が立つ不良者、スタン。
そしてスタンの双子の弟で、厳格な、けれど視野の狭い監督生のアルバート。
色んな所に目を光らせ、上に立つ者である寮代表のメンベラーズ。
この4人がメインで、話は進んでいきます。
ケイト、スタン、アルバート、監督生それぞれの仮面と、仮面の下で受けた傷が話が進むにつれて明らかとなっていく。それは辛くて苦しいですが、仮面が剥がれかけた所に何があるのか、剥がすのは誰なのか、そして仮面の下の素顔とは?カップリングはスタンとケイトですが、アルバートやメンベラーズをメインに、スクールの生徒達との関係も描いています。
受のケイトが弱々しいタイプではなくて良かった。家族に対する姿勢や、過去のトラウマは苦しかったけれど、強くて凛とした心優しい少年です。攻のスタンも、悪ぶっているけど本当は優しい元優等生。ふとしたときの優しさが、かっこいい。
私は、スピン元も好きでしたが、本作の方がより好きだなと思いました。
スピンオフ作品ですが単体として読んでも大丈夫です♪
かなり分厚く、読み応えがスゴイです。
私は小休憩を挟みつつ読み終えるまで7時間ほどかかりました。(グッとくるシーンを反芻しながら読んでたせいもあるかも…)読み進めれば進むほど深みが増す世界観にドップリ浸かり読後は心地良い疲労感と満足感で、ほ~っとしたため息が…。すごく面白かったです!
文庫本化にあたり約26Pほどの書き下ろし(メンベラーズ視点)が追加されていました。
メンベラーズの独白は大きな意外性はなかったものの(本編で桂人に語った通りです)、メンベラーズが最初から見抜いていた桂人の愛情深いエピソードや、本編後にスタンと桂人が温もりを分け合う姿にホッコリして、こちらも非常に良かったです。
(以下ぶわっと興奮のまま感情がまとまらず支離滅裂な文章ですみません;)
(書籍版に素敵なレビューが沢山上がっていますので…!)
このお話は「攻め」と「受け」だけで物語が成り立っていないのですね。
彼らにまつわる人達がなんらかの影響を与え、人格を形成していく。
そういう意味では脇役と呼べる人はいなかったかもしれません。
沢山の憎しみ・嫉妬・歪み・愛情が絡まり展開します。
犠牲の連鎖・憎しみの連鎖・悲しみの連鎖。
親からの性的虐待をうけ、罪悪感や憎悪に絡め取られる。
似たような心の傷を持つ彼らは真逆を歩いていました。
攻め:スタンはそれらを憎むことで立つことが出来、
受け:桂人はそれらを許し自分を殺すことで生きてきた。
けれど憎むにしろ、許すにしろ、容易ではない感情です。
どちらも正しくもあり、間違いでもあったのか。
スタンが桂人を代弁するかのように怒り、
桂人はスタンが守っていた歪な現状にメスを入れる。
負の連鎖を見てるしかない第三者だからこその行動です。
互いが互いを想い、前を向いて生きられるように。幸せになれるように。
沢山傷ついてきた彼らは、傷ついている他者への優しさを持っていました。
残酷な世界の中で2人は酷く優しい人間で、痛々しく、切ないお話です。
また、スタンと桂人の間に立つ人間が2人います。
スタンの双子の弟・アルバート。
個人的に序盤は嫌悪しかなかったです。視野が非常に狭く上に立つ器がない。
スタンからの献身的な愛情にすら気付いているのかどうか…という風に見える。
けれど彼もまた負の連鎖の犠牲者でした。
後半、原点に立ち返ったアルバートに涙しました。性格が全然違う…!
スタンには埋められない別物の愛を与えられた彼は非常に可愛かったです。
寮代表のメンベラーズ。
自然と当たり前のように上に立つ者の風格・人格が備わっている人間です。
計算をするタイプではあるけれど私利私欲ではなく、彼もまた愛情深い人間だった気がします。
スタンとアルバートが作った歪な2人だけの世界に気付きなんとかしたかった。
スタンにもアルバートにも負の連鎖を断ち切って欲しいと見守っているお人です。
そう、この物語のキッカケは
双子をどうにかしたいと願うメンベラーズの思惑が作り上げた世界でした。
愛情深い桂人ならきっと事態を好転させてくれると願ってーーー。
(この辺りの詳細を書き下ろしで描かれています)
愛を知らない桂人は自分を冷酷人間だと思っていたのですが、
メンベラーズは桂人の本性、慈愛に満ちた心を持っているのを見抜いていたのが胸熱です(;///;)
親に愛されたくて、愛されなくて、犠牲になってきた子供たち。
憎んで、憎みきれなくて、自分を責めて、殺して、それでも親を愛して。
すれ違いながらも不器用に寄り添って傷を癒やし慈しみあう姿はまさに尊いの一言でした。