パブリックスクール-ロンドンの蜜月-

public school London no mitsugetsu

パブリックスクール-ロンドンの蜜月-
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神196
  • 萌×223
  • 萌10
  • 中立6
  • しゅみじゃない4

250

レビュー数
24
得点
1108
評価数
239
平均
4.7 / 5
神率
82%
著者
樋口美沙緒 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
シリーズ
パブリックスクール-檻の中の王-
発売日
価格
¥693(税抜)  
ISBN
9784199009785

あらすじ

美術系出版社に勤めていた中原礼の恋人は、イギリスの巨大海運業CEOで
貴族の御曹司エドワード・グラームズ。
長らく長距離恋愛を続けていた礼は、ついに会社を辞めて渡英し、
エドとの同居生活を始めることに──。
けれど、いざ仕事探しを始めた礼は、日本での経歴が全く役に立たない
厳しい現実に向き合う。
エドの名前に頼りたくない礼は、ひとり奔走するけれど…!?

表題作パブリックスクール-ロンドンの蜜月-

エドワード・グラームズ,28歳,英国貴族で社長
中原礼,26歳,ギャラリー勤務のキュレーター

その他の収録作品

  • 展覧会と小鳥

レビュー投稿数24

10周年おめでとうございます

文句なしに神でした。

今作は何でも持っているエドがその力を使わずに、礼が自分で決めて踏み出すまでをじっと見守っていました。

序盤は日本に居る礼と遠距離恋愛中のエド、ようやくイギリスに移住して来て2人きりで過ごす甘々な様子にエド可愛いと悶えながら読みました。

日本にいてもイギリスに来てもエドの名前で理不尽な思いをする礼でしたが、意固地にエドに頼ろうとしません。読者さえも危なっかしいとハラハラするのだからエドはいかばかりであったのかは、秘書のロードリー視点の初回限定ペーパーで語られてます。

ダミアンにアーティストとしての存亡の危機が訪れて、悩んで悩んで考えた礼はようやく愛するものを守るためにエドの力を借りる事を決心します。

それはこれからエドと対等にはなれないと言うことでもありますが、力があるのに礼から求められない事で傷ついて来たエドの愛に気が付いたからでもあります。

礼が礼としてエドの側にある為に、乗り越えなければならない壁でした。

献身的な礼の説得と友人達の働きによって危機を脱したダミアンも他者との関わりを持つことを始めました。

礼がエドの側でどう生きて行くのかを傷付き挫折しながら模索して、ようやく結論を出せたようです。

イギリスに行った事があるので空気感が凄く伝わって来て樋口先生は凄いと思います。

凄いボリュームなのに長いと全然感じませんでした。

続巻も4月に出るようなので楽しみにしています。

23

各所で涙あふれました

読み始めた途端、随分久し振りだというのにこのシリーズの空気感を思い出し甘く幸せな気持ちにさせてくれる。
これって凄いことですよね。


今回はイギリスでの礼の仕事にスポットが当てられていましたが、深みある描写に一緒に嬉しくなったり心痛めたりと夢中になりました。
共感し感情移入させてくれる魅力がありすぎる!!!

このお話を通して誰もが何かしら思い出したり考えることがあったのではないでしょうか。
自分に通じるものがあり思わず泣きたくなる何かを私はかなり味わいました。
正論だの合理的だの頭では分かるけどそうなりたくない気持ちだったり、圧倒的な力の違いを感じつつも対等でいたい気持ちだったり、いくら愛してくれているからこそとはいえ、自分の心が納得できないことだったり…。


また舞台は日本からイギリスへと戻っています。
考え方や価値観の違いに戸惑う礼の気持ちがことごとく分かり本気で応援したくなりました。
日本人ならではな気持ちをこんなに色濃く書きつつも、相変わらず英国側の表現も巧みで、先生本当は何人なの?と疑いたくなりました(笑)

アートに特に興味のない私でもその魅力が伝わってくるし、デミアンのこともむちゃくちゃ好きになってました…!あんなに扱いにくい人間なのに、同じく愛おしいと思える人間性を見事に書ききってくれている!

そして揺るがぬ強大な愛と共に寄り添ってくれているエド……末長く二人で幸せに暮らしていくビジョンが見えます。
今回も素晴らしいお話でした。

自分の生き方についても、なんだか前向きになれる気がします。

このシリーズは読み終わった後の胸いっぱい感が半端ないですよね。
今回も大事にしたいと思える一冊でした。

14

最愛の人のために

本シリーズは巨大企業の社長でもある名門貴族の御曹司と
彼の恋人で日英ハーフのキュレーターのお話です。

日本から英国に拠点を移した受様が絶大な力をもつ攻様と共に生きる為
様々な軋轢を受けながらも自分らしい生き方を見出すまでの本編と
受様の日本での最後の仕事となる前日譚を収録。

受様は母により天涯孤独となった受様は英国貴族だった父の親族を頼り、
英国に渡ります。受様が引き取られた家は攻様の実家で、受様は否応な
く英国の貴族社会の末端に組み込まれていきます。

受様は攻様の義弟としてして進学したパブリックスクールで貴族社会特
有の様々な軋轢に晒されながらも、誠実で真面目な人柄で徐々に自分の
居場所を見出していきます。

攻様は伝統を重んじる名門貴族の御曹司として、持てる者特有の寛大さ
と冷酷さ、そして孤独な心を抱えて生きていました。受様の存在はそん
な攻様の心を揺さぶり、受様もまた攻様に惹かれていくのですが、互い
の手を取る術を知らず、恋が成就するまでには多くの時間が必要でした。

日本の出版社でキュレーターとして働いていた受様ですが、攻様と生き
るために英国への移住を決意、最後の仕事となった国立美術館の企画展
も盛況のうちに終え、日本を旅立ちます。

そして向かった英国で受様は最愛の攻様と濃密な1週間を過ごします。
そして職探しを始めるのですが、日本での出版社勤務でのキュレーター
実績は英国では経験として認められず、美術館でも出版社でも全く相手
にされません。

英国では現代アートに多大な影響力を持ち、美術館顔負けの企画をも行
うギャラリーも多く、めぼしい出版社にほとんど落ちた受様はロンドン
市内でも大規模なトップギャラリーの1つ「スクエア・ギャラリー」を
訪れます。

訪れたギャラリーではチーフ・ダイレクターと対面しますが、受様の日
本での経験を悪くないとはいうものの日本のアート市場の未熟さを指摘
され、受様自身のアートに対する姿勢を質され、受様は打ちのめされる
のです。

すげなく門前払いされた受様でしたが、ギャラリストからの攻様の縁故
者を無下にできないという指示により、アシスタントとして採用が決ま
ります。しかしながら経験不足を指摘されている受様のギャラリー内の
仕事はデレクターの雑用係で、受様は1週間もすると個々で働いている
意味を見出せなくなります。

そんな中、ギャラリストが次の企画展を人気アーティストの競作とさせ
ると言い出します。1人は企画展に出資している投資家のお気に入りの
アーティストでしたが、もう1人は攻様をパトロンに持ち、受様と懇意
にしている気難しいと評判のアーティストだったのです。

どうやら彼は受様のために企画展への出品を打診してきたらしく、受様
が担当しするなら半年で新作を作成するというのです。ギャラリストは
大乗り気で受様も彼ならと担当する事となりますが、競作相手のアーテ
ィストまでもが受様を担当にと言い出して!?

英国の名門貴族の御曹司である攻様と彼の義弟として育った受様の恋を
綴ったパブリックスクールシリーズの最新作は、前日譚である雑誌掲載
作をおさめての受様の英国での新生活の始まりの章となります。

2人の恋が成就した3巻目の後にハードカバーでスピンオフが出たので、
2人の続編がまた読めるなんて思っておらず、かなりびっくりしました。
嬉しいほうのびっくりはいつでも大歓迎です♪

再び英国に舞台を移した2人の恋物語は2人の恋よりも、受様のこれから
の未来、生き方そのものに重点を置いたお話でたいへん面白かったです。

受様は日本での企画展を成功させて花道を飾り、名門貴族の御曹司であ
る攻様に相応しくありたいと意気揚々と職探しを始めますが、なかなか
上手くいきません。受様はパブリックスクール時代に散々受けた偏見や
差別に再び直面することになるのです。

攻様の紹介ならどんな職でも思いのままですが、名門貴族としても経営
者としても影響が大きすぎるし、受様はそんな攻様だからこそ彼の隣に
いるために自らの足で立たなければならないと思っていたのです。

そんな受様と受様を見守る攻様、攻様が出資しているアーティスト、
競作相手のアーティスト、そしてギャラリーの面々が複雑に絡み合い、
物語りは進んでいきます。

競作相手のアーティストの画策も先見の明のあり過ぎる(笑)攻様の対策
によって阻まれ、受様が選んだアートという世界にどう関わりたいのか、
アーティストとのどうやって関っていくのかという答えを見出すまで
ハラハラし通しでした (>_<)

受様を愛するが故に受様を苦しめる全てから遠ざけたいと願う攻様です
が、今回は受様が助けを求めるまで動こうとしません。愛する人に頼ら
れない辛さ、自分が動く事によって受様の気持ちを思いを踏みにじる事
になる事を恐れる攻様もまた裏ではすごく辛い日々を送っていたと思わ
れて、そんな攻様の愛にも萌え萌えでした♡

特定書店で頂けるペーパーがそのあたりの攻様の状況が語られていて
すごく良いので、ペーパーの付く店舗で買われる事をおススメします。

本作から4ケ月連続発刊が予定されていますが、4月ラストの刊行が
本シリーズの続編です。今からもうワクワクです (^O^)/

11

この1冊だけでも素晴らしく面白い

シリーズを丁度読み始め順に読んでいき、ようやく新作まで読めました。
タイトルには蜜月とありますが、蜜月なんてとんでもないですね。ようやく二人のただ甘いだけの日常が見れるかと思いきや、今回も試練の連続でした。

今作から読み始める方は誤って買ってしまった方くらいかな?と思いますが、今作だけでも読めるつくりにはなっていたと思います。勿論シリーズ最初から読むのがおすすめ。

パブリックスクールの凄いところは、本編2作はもちろん、続編の2冊もただの番外編に留まらず作品として1冊で素晴らしく面白いつくりだということ。

レイがイギリスに戻り、エドと共に暮らしていく。この地で働き、生きていく。仕事をどうするのか、生きていく上では大事な問題です。もちろんエドがいる限り働かなくてもいきていけます。エドは絶対にそれでもレイを愛すと思いますが、レイはなるべく対等でいたいと考えている。たくさんの葛藤を抱えながら成長していく。

母親からもらった言葉が今もレイの中で生きていて、やり返す権力と知恵をエドがくれたとしてもそれを不用意には使わない。使うべきところで、正しく使う。素晴らしいです。

それからエッチなシーンも勿論あるのですが、レイがどんどんエッチになっていってたまらないですね。かわいいです。エドの嫉妬は今回は少なめかな。神シリーズです。

10

心が震えます

このふたりの続編が読めるなんて…
樋口先生ありがとうございます!

今作品は、ようやく英国に渡った礼が「エドに相応しい自分とは…」ということを軸に、ダミアンの自己理解と表現者としての葛藤や、人種差別やマイノリティの現実など苦しさがそこかしこにこめられ、いつもながらでありますが、とても深みがあるストーリーでした
ギル、オードリー、ジョナスの懐かしい面々に支えられ、礼が更に魅力的に成長していく物語に、どんどん引き込まれていきます そしてエドの果てしない礼への愛の深さとその行動力にも感嘆です!

これからふたりが紡いでいくロンドンでの暮らし、是非とも垣間見たいです。まずは、また1作目から読み返そうと思います!

8

現代アートシーンも学べるし色々

現代アートシーンを学べてすげえ!てのが1つ。

てかもう。語り尽くせません。

お仕事のお話が中心でエロ少なめですご注意を。
エドは糖度5000%以上でした。ニヤケしか出ません。
でも礼が少しでも嫌がれば辞めます。(エド紳士!)

樋口先生の素晴らしい点。今回も、物語の材料に対しての情報収集に余念が無いです。
好きだからこそすごい熱量。脱帽です。
つい実在かな?と思って見てます。
現代アートのお話も純粋に勉強になりました。より興味を持てば、もっと奥が深そう。

本編ですが、何しろ3巻も経てぶつかり合ってるエドと礼。2人の衝突はあまりありません。
礼と社会のぶつかり?礼が社会を受容する印象が強いです。

いつも思いますが、本当に本当に本当に礼は頑固ですよね。
まあそこはね!!!3巻読んで分かってはいましたので、今回は覚悟して読みました笑笑
相変わらずでしたが、それでも頭ごなしにエドにすぐ突っ掛からなくなったし、レベルの差などを受け入れなかった頑なさが減ってきてました。進歩!

とにもかくにも感動したのは、周りが倍速で大人になっていて…!
精神的な話です。
エド、ギル、オーランド、ジョナスが、学生時代以上に、精神的に大人でした!!!感動した!!!
礼の性格を隅から隅まで理解し、見守り、本人から救いの手を求められた時に初めて、諸手をあげて全力で力になる。

もはや、礼は生まれて初めて1人で歩こうとしている幼児であり、エド達4人は、それをさりげなく、でも転んだ時にすぐ助けられるようにと全神経を注いで眺めて見守り、初めて歩き出す瞬間を待ちわびる親のようです。

さすが会社のトップに立つ者、それも経済界でも上位に立つ者達のスキル!!人を成長させる為の腕前!!!
私もその会社に入りたい!!!(静かに)
エドもだし、ギル、オーランド、ジョナスも登場シーンが少なめで少し寂しさはありますが、存在感は学生時代よりあります!!!
痺れます!!!

エドが!!!エドがほんとに!!!ようやくやっと礼と一緒の暮らしを手に入れたにも関わらず、それでも、自分の持つ力で礼を傷付けないかと不安を見せる!!!
たまりません!!!
さらに、礼に「3日やる。覚悟を決めれば俺の力をお前のために行使できる」的なことを言ったあの時の本当になんというか、ようやく自分のやりたいことをできる、みたいなエド。感動します。
エド、エド、あーほんとに、礼と出会って礼を愛して、今まで権力に縛られても耐え抜いて本当に良かったね…(号泣)です。

礼を助けたいけど力は押し付けない。
しかも気遣ってる風にも見せない。
痺れる…じわじわと、4人の凄さを感じています。
本当に素晴らしい恋人と友人を持ったものですよね、礼。

礼に対していつも、素直になればいいのに、と辟易してしまうのですが、お恥ずかしながらいつも終盤で気付くんです。

礼がどうしてこの4人と渡り合えるかといえば、やはりそれはずっとこだわっている「対等でありたい」という思いから。
見栄でもなんでもなく、心から敬愛するからこそ。
相手に敬意をはらっているからこそ出る「対等でありたい」とする高潔な精神を持つ礼。
だからこそ4人は力になりたいと思い、礼の悩みに寄り添いたいと思うのだなと…。

礼は今回の巻でしきりに自分のことを「何も持っていない者」と認識して落胆していますが、圧倒的な権力を持つ恋人、友人がおり、しかも彼等は心の1番大事なところで礼に対しても敬意を表している。
そのような人脈があることそのものが「持っている者」だということなんですね。
ただ、礼はそのことを気付けず、ずっと4人のことを自分の「持つもの」ではなくて、「利用」することになるのではと引け目に感じていました。
覚悟が決まってよかった。大事なことですよね。

4人のことばかり言ってしまいますが、デミアンとロブについてだって語り足りないし語り尽くせない。
一歩間違えばお互いにお互いを傷付けて大変なことになっていた2人の関係。
どこかでもっと交わってくれたらいいなと思いつつ、でも交わらないながらすれ違いを重ねる関係も良いなと思いつつ。
終盤、デミアンがスピーチするシーンでは泣きました。人の成長はなんとも美しいですよね。

樋口先生は本当に素晴らしい作家だと思います。
BL枠なのがもったいなく、お金をかけて映画を作ってもらえないかなと思ってしまう。
今回は特に、アートシーンの理想と現実は、割とどこの業界でも持ち合わせている問題だし、読み応えがありました。
この作品も読めて良かったです。

8

レイの苦悩と見守る愛

あらすじを見たら、ようやく遠距離恋愛を卒業して一緒に暮らしてラブラブな日々が送れるのね…と思って手に取りました。

とはいってもまじめで自立した男な礼くんがダーリンの権力を利用することもなく実力で地位を獲得していこうと頑張っちゃうんだろうなと思いっていました。

そんな礼の成長物語でした。

健気で努力家の礼を温かく見つめるエドが、もっと自分に甘えてくれないかなといつでもおいでと両手を広げて待ち構えている様子が見て取れて、それでも強引に割り込んだり手早く片を付けることもなくじっと見守る姿に愛を感じました。

そして、礼とともに周りにいる人たちも巻き込むように変わっていくという展開がとてもよかったす。

そういうわけで甘いロンドンでの生活に至るまでが長かったです。
でも、異国の地のアート業界で歩き始めた青年をが成功に向かっていく歩みを見るのは楽しかったです。

これからも二人がどうなっていくのか楽しみです。

6

まだ好きになれない

やっぱり私はレイが好きじゃありません。
大人しい顔してブライドが高くて、ここぞという時に何も言えない弱さに腹が立ちます。
だから、私はきっとレイとはずっと分かり合えないのだと思う。
今はそれでもいい。
でも、いつか理解できたらいいなと思います。

ストーリーには、今回もボロッボロに泣かされました。
それは、エドの包容力にでもレイの愛にでもなく、ヘッジズの無念さにです。
本作の影の主人公は、間違いなくヘッジズです。

相変わらず考えが甘いレイ。
エドの名前でギャラリーに就職しておきながら、エドありきにしか扱われないことに不満を抱えています。
しかも、アートを売値で評価することに違和感を感じている……
ギャラリーに勤めておいて、それはないよと思います。
しかも、ヘッジズを地の底に落とすような大失態……
全てレイが悪いわけじゃないのは勿論分かっています。
悪いのはヘッジズの作品を盗作し、その罪をヘッジズに着せようとしたロブです。
でも、この結果は読めてたよ?
自分の都合のいいように考えていたレイもやっぱり悪いと思う。

それでも、後半の仕返しにはワクワクしました。
エドの権力と財力をフル活用し、友人たちのコネを利用してヘッジズを救ったところ。ここは胸が熱くなった。
天才だけど不器用なヘッジズが、最高に愛しいキャラ。
誰かに見せるために作ってるわけじゃない……そう言うのは評価されなかった時のための予防線で、傷つきたくないヘッジズの強がり。
本当は誰よりも理解され、愛されたがってるのが分かる。

アートは心の糧だと思います。
なくても生きていけるけど、あれば心は豊かになる。
そして、その価値を決めるのは見る人である。
有名なアートよりレシートの裏の落書き、母の日の似顔絵、ここに価値を見出す人もたくさんいると思うし、それでいいと思う。
だけど見てもらわなくては何も始まらない。
なんだかんだ、ヘッジズの作品を世に出したレイの功績は偉大だと思います。
いつかヘッジズの作品が誰かの杖になっていくのだと思うと、それだけで胸がいっぱいです。

そして、世の中は矛盾に満ちている。
エドと生きていくためには、それを受け入れる強さを持てるかどうかなのでしょう。
何度も出てくる〝矛盾〟という言葉に違和感を感じていましたが、なるほど、ここに繋がるのかと納得。
持つものはその権力を使う事に、持たざる者は悩みながらその権力を甘受することに苦しみます。
矛盾があるけど愛があるから受け入れられるし、それでいいじゃないかと思います。
エドと肩を並べる事は出来ないと知ったレイの辛さは理解できるけど、レイが日本で撒いた種はちゃんと育ってたじゃない!
もっと自信を持ってほしい。
そして、自分なりの努力でいいのだと感じてほしい。

続編があるか分かりませんが、レイはこのままでは終われないと思う。
いつも書いているけど、もっと強くなって欲しい。
たくさん泣いてたくさん考えさせられました。
こんな作品、他にはない。
蜜月というほど甘くないけど、たくさんの人に読んで欲しい。
そういった意味で、間違いなく神作品だと思います。

5

余韻がすごい

すみません、エドレイが気になりすぎて、八年後の王と小鳥の後スタン桂人編飛ばして読んじゃいました。(この後読みます)
すごく良かったです。
読後の余韻がすごい。
名台詞もたくさん、マーカーで線を引きたくなるくらいグッとくる台詞の数々。
今回は、さまざまな愛のかたちが描かれていました。
懐かないネコ(デミアン)が心を開く。
一緒に美術館行こうって誘ってきたり、自分からメール送ってくるとか。ホント礼くんは人たらしだな。
そんな礼くんが新天地では今までの実績は評価されず認められず、エドの愛人としかみてもらえない辛い日々。
それが、ラスト近く気持ちいいくらいの巻き返しでカタルシスを感じられた。
半○○樹的な、爽快さ。

親友のピンチに駆けつけるギル、オーランド、ジョナスの登場、みんなを呼び寄せたエドそれにブライトとロードリー。このシーンで胸熱で思わず泣いてしまった。

日頃の誠実な人柄のレイに引き寄せられたみんなが結局助けてくれる、辛い経験も全て未来に繋がっている。全部自分に返ってくるのだな。

最後に、礼のセリフ。
[世界にはいろんな表現がある。音楽や詩、小説や演劇。映像や、アートもそうです。それらは少なからず誰かが生きる助けになる‥‥表現は、神さまが入念に選んだ人にだけ与えられている奇跡です。僕はそのお手伝いをする奇跡をもらった。あなたは‥‥あなたなりの表現の奇跡を、生まれてくるときにもらったんじゃないでしょうか]

心が動いた作品を良かった!と言う事はみんなができる事。これからも作品の感想を書いていきたい。

4

もっと早く出会いたかった

最近一気読みしてハマりました。
受けの健気な礼もスパダリ執着攻めのエド。そして、身分差…全てが好みです。
しかし、このような褒め言葉の羅列はBL作品にはありふれています。
それ以上にこの作品には個性豊かなキャラクター、描写があり「BLを超えた」素晴らしい作品になっています。

愛とは何なのか、友達とは、国家の違いとは、仕事をする意味とは…

これは幼くして母親を亡くした礼が壮絶な人生をかけて答えを見つけていく物語でもあります。本当に出会えてよかったです!

3

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