キミに言えないことがある

kimi ni ienaikoto ga aru

キミに言えないことがある
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神117
  • 萌×240
  • 萌24
  • 中立12
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
20
得点
829
評価数
199
平均
4.3 / 5
神率
58.8%
著者
もふもふ枝子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
プランタン出版
レーベル
Cannaコミックス
発売日
価格
¥750(税抜)  
ISBN
9784829686201

あらすじ

内気で元いじめられっ子の佳澄と、活発でクラスの人気者だった恭介は、小学生からの幼馴染み。
何度も窮地を救ってくれた恭介は佳澄にとってのヒーローで、時には恭介も佳澄に助けられてきた。
お互いを意識し合っていて二人が社会人になった今、恭介と佳澄には言葉にできない想いがあって......。

表題作キミに言えないことがある

アートディレクター
会社員,幼馴染,既婚者と不倫している

その他の収録作品

  • 描き下ろし

レビュー投稿数20

やるせない

小学校からの幼馴染である恭介と佳純のお話です。

佳純が既婚者の女性と不倫していますので、苦手な方はご注意下さい。

恭介が男同士の恋愛は正しくないから佳純を不幸にしてしまうという身勝手な思い込みから脱却し、佳純に気持ちを伝えるまでにかなりの時間がかかるので大分ヤキモキさせられます。
それまで恭介に振り回される佳純がとても可哀想でした。

最後は恭介がこれまでのことを佳純に謝って丸く収まりますが、そもそも恭介が大学の時に佳純の告白を断ったりしなければ佳純が不倫をすることはなかったのにとやるせなさが残ります。

シーモアは白抜き修正でした。

0

現実的、真面目系◎

男性同士の恋愛について、正しくないとか相手を幸せにできないとか悩んで迷って、でも愛し合うっていうとても美しくまじめに誠実に描かれた作品でした。

幼馴染→ずっと一緒にいる→受けが一回告白してて攻めも元々好きで両思いだったけど「それは勘違いだ」って言って友達関係でいたっていう

親とか社会とか、生きにくい感じの現代を感じさせてくれました。
男を好きなのは気持ち悪い、とか正しくない、という価値観を親が子供に感じさせてしまっているんですよね。

そしてお仕事では頑張ったのに出来レースで負ける、という、あー世の中って嫌だなーってなるんだけど、そういう現実を描いた上で「でも生きていこう」ってやってくれるのが好感持てるんです。

描きにくい所に踏み込んで丁寧に繊細な問題を描いて、自分なりの答えを見せてくれるようなメッセージ性のある作品は、表現者として誠実な姿勢を感じて、とても好きです。

清水さんいいキャラだなーー

0

弱さからの予防線

昔買った筈が、それを忘れてまた買ってました。とほほ。

外面はイケてるけど、内面弱々な攻・椎名。
ぼけーっとしてるけど、やるときはやる受・佳純。

仕事もバリバリ、幼馴染の佳純に対してはできる男、明るい太陽みたいに振る舞ってる椎名ですが、実は内面は幼い頃の父親からの呪いの様な言葉に縛られている。
その結果、独りよがりな偽善者ムーブで、佳純の純粋な思いを否定してしまいます。
告白に対しての否定って、フルよりも酷いですよね。
佳純が、椎名を思って胸を温めた日も、椎名のおかげで乗り切れた困難も、全部が嘘だって本人から言われてしまったら。
幸せだった気持ちを否定されたら。
残酷です。

それを、自分も佳純から否定されて、初めて気づくんです。
狡いですよね。ひどい。
佳純を悲しませた分まで取り戻す勢いで、幸せにしてあげて欲しいです。

1

間違いなんて、ない

普段はわりと尖った話?を好んで読んでいます。この作品は、自分の中ではわりと地味なお話だったのですが、読んだ後しみじみといいなあ…人生だなあ…と思いました。いつもは両片思いを見てると、うだうだせんと早よくっつけ!ってなっちゃうのですが。

まず、受けくんの佳純が人妻と不倫をしていて軽く衝撃がきます。それを諌める攻めに対して、「昔、俺のことふったくせに…」って言い返すところでええ?となります。不倫は攻めに振られた心の穴を埋めるためと、当てつけみたいな感じであったようです。

攻めの恭介は真っ直ぐゆえ、間違ったことに抵抗があるたちで、それが元でふたりの関係がこじれていきます。男が男を好きになるのは正しくない、不倫も正しくない。そんな考えが自分も佳純も追い詰めていることをうすうす感じながら、どうすることもできない。

そんな恭介に、上司がかける言葉が良いんですよね。「人生って間違えても、そこで行き止まりじゃなくて、そこからまた別の道が開けるんだよな」決して説教くさくなく、じんと心に染みる言葉の数々! 自分がやらかしちゃったとき、ココ読み返したいと思いました。

両思いでいながら、ふったり振られたりしていた二人が、ようやっと最後に思いをぶちまけあって結ばれた時はホッとしました。肌を合わせながら二人してぼろっと泣いちゃうところは、スレきってる私もじんときましたよ…

ただ泣けるだけでなく、人生を教えられることもあるんだな〜。BL、深いです。

2

地雷がなければ絶対におすすめ

Kindle unlimitedで読みました。久しぶりに泣けた作品です。「最高」の一言に尽きますね。話の流れ、キャラクターの心理描写、そういうところに関して言えば本当に文句なしです。ただ、不倫があるので地雷注意です。佳純(受け)が思いっきり人妻と不倫してる前提で話が進むので、不倫が地雷なら絶対にアウトだと思います。逆に地雷じゃない人には読みやすいです。私も特に地雷ではなかったので本作は本当にハマりました。
恭介(攻め)は仕事ではアグレッシブだけど恋愛には臆病、本質的には弱い人間として描かれます。これは優等生あるあるなので共感しやすいと思います。恭介はゲイだけど、男を好きなことを親に「正しくない」とされた過去から、「正しい」ことに拘って生きている。仕事で結果を出すのは正しい、男が好きなのは正しくない・・・その呪縛から生き難くなっている。この前提に反して恭介は仕事で失敗してしまうのですが、この時の上司のアドバイスがまた良いんですよ。「正しい」とは、「間違い」とは、結局何だったのか?間違いながら進んだ道が想定された正しさと異なったとしても、全力で切り開いた道の方が想定された正しいルートよりも魅力的な場所かもしれない。そもそも「正しい」ことが最良ではないと教えてくれます。個人的にはここから佳純の手紙が一番好きですね。恭介は男と付き合うことが正しくないと思って佳純を突き放したのに、当の佳純は恭介といる時間が一番幸せだったというメッセージ。クライマックスに相応しい展開でした。攻めが泣くのも好きなので、恭介が泣きながら佳純に告白するシーンも好きです。このドラマチックな展開だけでも「神」を付けたいと思いました。

1

切ない両片想い


学生の頃に拗らせたまま大人になった両片想いの二人の恋が成就するまでのお話です。

視点も交互で、とても綺麗にまとめられていて読みやすかったです。

同性同士という壁が分厚く、悩んではぶつかり、すれ違ってしまう二人。
一見すると人気者で明るくてクラスの中心的な攻めが、意外にも自分の恋には自信がなくて臆病なのは新鮮でした。
想いを伝える時、攻めも泣いてしまうシーンには胸がグッときました。

また、お互いの育ってきた環境も拗らせてしまった要因の一つ。
そんな二人が親からの呪縛を解いて幸せになれるのか…。

続きはぜひ、読んでお楽しみください。
 

0

An Emotional Beautiful Love Story

CW: Thoughts of suicide, Depression, Cheating with a Married woman,

This was such a beautiful story. We follow two young men as they navigate their rocky relationship. They're total opposites and that brings them drawn to one another even more. Kasumi is reserved and soft spoken, while Kyousuke is more outgoing and popular. Kasumi has been pining for Kyousuke for years, but because they're still questioning who they are, it's hard to be together.
I loved this so much. The characters were nuanced and realistic in a way I wasn't expecting. My emotions were put through the ringer with this one! If you're looking for a deep story, check this one out!

1

囚われる

友達以上の感情をお互いに抱いているのに、幼馴染みということもあって付かず離れずの関係が続いている恭介と佳純。
ふたり共がすごく不器用だなという印象で
途中までは応援したい気持ちでいっぱいで読んでいました。

でも恭介は何が正しいかとか佳純には幸せになってほしいとか…
そういうのに囚われすぎていたしその思考のループで
読んでいて少し疲れてしまったところがありました。
仕事ではあんなにグイグイいくのに
佳純の気持ちひとつ汲んでやれないのか…と。
親から言われたことがずっと引っ掛かって
その呪縛にも囚われている恭介も可哀想ではあるんですが。
同じベッドで眠るくらいに近い存在なんだから、もっと早くに相手のことも自分も信じていたら
こんなに苦しまずに済んだのになー、と思いました。

そして佳純が不倫に走ったのは、どういう理由であれ納得できなかった。

涙ながらに想いを伝え合う場面には
感動ももちろんあったけど、正直"ようやく"感が否めなかったのです…

洋服がオシャレなところとかはすごい好きだったのですが、中弛みしているような展開が残念でした。

0

キャラは好きになれないけど

とても読み応えのある一冊でした。佳純と恭介のキャラをしっかり作ってあって、共感とか全然ないのにw面白く読めました。

恭介はすごく正義感が強いキャラクター。細かくてうるさいオカン気質で押しつけがましく、好きになれないんだけどw佳純もネガティブ方向に自己完結しちゃって扱い辛くてめんどくさくて好きになれないんだけどwでも読んでいくと二人を応援したくなるんです!

世間一般の正しさに囚われ過ぎた恭介は、唯一無二のインスピレーションが大事な仕事をしているのに、そこだけは頑固。佳純を好きな心はずっと子供のまま未熟で成長していないようでした。
恭介はずーっと正しいか正しくないかでぐるぐるしてるんだけど、「男だから」とか「男同士」とかの単語が一度も出てこないんですよね。基準が正しいかどうかの一点だけ。このワンクッションが大きい。だってこっちが勝手に深読みできるから。

そんな恭介が正しくない選択をするとき、「俺がお前を不幸にしたい」って言うんですよ‼このセリフでぐわっと何かがキまして!「幸せにしたい」より「不幸にしたい」の方が覚悟がいるんじゃないかなって。
私の好みとして、傲慢さの見える「幸せにしたい」が嫌いなこともあって、めちゃめちゃ心掴まれました。幸せには、してもらうより勝手になるから派なの。

ラストまでの数ページは、無音で二人の幸せそうな様子が描かれてます。じんわり浸らせてくれる終わり方ですごく好き‼でも別に二人のことは好きになってないんですwなのにこの作品はすごく好きで。
この先生の他の作品も気になります。

0

好きな人に幸せになって欲しいから

初読みの作家さんですが二人の気持ちを丁寧に描いていて、ようやくくっついたと思っても、またしても別れてしまってと、最後の最後まで焦らされる感じ、嫌いじゃないですね。

でも、攻めの恭介が親子共々クリエイティブな仕事をしているのに頭でっかちな真面目な考え方をするのには、かなりイライラしました。(←クリエイティブな仕事の人って、考え方も枠にはまってない気がするのは偏見かしら?)なので、小さい時にお父さんが陰で言っていた"男の人を好きになることは正しくないこと"って言う意味のことを聞いて、"自分がいる世界は正しくないんだ!"と思い込んでしまうのが哀しい。そして、それは愛するが故なのですが、"佳純が自分を好きだと言うことはかんちがいだ、こっちの世界に引きずり込んじゃ佳純が不幸になる"と思って、佳純の気持ちまで否定してしまうのがなんとも切なかったです。

会社の上司との話で「正解とは?」って聞かれて、恭介が「辿り着きたい場所の最短距離が正解」と答えるエピソードがとても印象的でした。そこから、なんで佳純とのことにピンときたのか私にはイマイチわからなかったけど、このエピソードと上司からの答えはこの二人の話関係なく心に響いたな。


1

二人の気持ちに寄り添えず

表紙に惹かれたのと、試し読みで作画も好みで読みました。
幼なじみのお話で、「正しいことをしなければいけない」という呪縛に取り憑かれていて気持ちに蓋をしている恭介と、恭介の事がずっと好きだけど受け入れてもらえず、心の隙間を埋めるために不倫している佳純のストーリーです。

子供の頃からお互い好きなのに、父親から言われた言葉のせいで間違った事はしてはいけないと、佳純の告白をつっぱねた恭介。
佳純が不倫している事も知っていて、別れて幸せになって欲しいと思っている。

佳純が不倫相手に別れを告げられ、恭介にまた気持ちを伝えて恭介も今度は受け入れるのですが…。
ここまでは良かったと思います。
恭介はちょっと正しい事にとらわれすぎだなと思いましたけど、佳純を受け入れた時の「どうせ不幸になるなら俺がお前を不幸にしたい」というセリフも良かった。
そうだよ二人なら不幸も怖くないよ〜とか思ってたんですが。

ラブラブも束の間…「今までありがとう、さようなら」
ん?なんで?どーしてこーなった?
恭介の辛い顔は見たくないとか言ってたけど、そんな場面あったかなぁと何度もページ戻ってみたけど、うーんよく分からない。
幼い頃からずっとお互い好きで諦められなかったのに、そんな簡単に手離せるものなのか、と。
手紙にまで幸せだったと書いてるのに。

残念ながら共感できませんでした、どちらにも。
クライマックスの涙ながらのやりとりも、ノリきれずに終わってしまった。

1

刺さらず。。

人気の先生だし表紙も素敵なので
気になっていました。が、
幼馴染のすれ違いは大好物だし
せつない両片思いなんて好みには違いないのに
全く刺さりませんでした。。
分厚い割りに内容が薄く感じてしまいました。
攻めの正しくあらなければ不幸になる、父親からの
呪縛、自分がゲイである後ろめたさなど
シリアスな内容ありなのになんかつるっとしてて
セックスもためてした割りにスムーズだし
不倫エピソードもきいてないし
なんだかありがちな感じに思えてしまいました。
最後の手紙にいれた短冊の
「恭介がずっと幸せでいられますように」
いやこれはあざとすぎるでしょ、、
短冊は笹につけて願いごとしよう
でもって自分から去ったのにいまさらって言うけど
いやいや
未練たらたら短冊作戦やないかって
思ってしまう私がまがってるんすかね?
グッときたかったんですが
グッとなれず、、
好みじゃなかったです。

3

「正しい」の呪縛

◾︎椎名恭介(デザイン事務所勤務)×雨宮佳澄(会社員) 幼馴染

父親の「正しい」に縛られている恭介と、恭介の「正しい」に縛られている佳澄のお話でした。
"厳しい親"のバックボーンは食傷気味ではあるのですが、この「正しい」の使い方が新鮮で楽しめました。親の「正しい」が身体に染み付いて、その呪縛から逃れ難くなるの非常によく分かります。無自覚に親の嫌いだった部分をトレースし始める恐怖ったらない。

上手くいったかと思いきや、とにかく拗れに拗れてすれ違い続けるふたり。
1話の始まり方からも、丁寧な生活の完璧主義っぽい恭介が、佳澄の前で泣くのが良かったです。
一方、佳澄はよく泣く。話が恭介視点で進むせいもかってか、性格的にもキャラビジュアル的にも佳澄が全然好みでなかったのが少々勿体無かったです。恭介の魅力ほど、現在の佳澄の魅力が伝わってこない。好みだったらさらにハマれたな。

※電子書籍ひかり
裏表紙、カバー下有り

1

温かい気持ちになれる作品です

表紙に一目惚れして購入しました。

2人ともかわいい…2人ともお互いのことが大好きで大好きで大好きで…
もどかしさとせつなさ、読みながら2人に幸せになってほしくて仕方なくて胸が熱くなりました。

もふもふ枝子先生の絵もや文字もとても可愛らしくて、2人のけなげさや懸命さに磨きをかけている気がします。

読んだ後に温かい涙が流れるような、そんなお話でした。

4

なんか冷めてしまった

評価が高かったので購入しました。

でも途中から妙に冷めちゃいました。
これがね、10代の若者なら分かるんです。恭介って20代後半ですよね。しかもアートディレクターって仕事柄、いつまでも父親の言葉に影響されるってありますか?上司の清水さんに言われるまで分からないものかな?私が薄汚れてるだけ?
しかも佳純にあそこまで言わせて何も言えないなんてどんだけガラスのハートの持ち主と、他の方のように感動出来ませんでした。

作者さんはすれ違わせて、盛り上げようとしたのでしょうが全然逆効果でした。

カバー下の両親の設定にもシラけてしまいました。
昔の頑固オヤジにふわっとしたおしゃれな母親とか、毒親の典型にしか思えませんでした。

13

2人が描く幸せのカタチ

すれ違って、もがいて、いっぱい泣いて、すごく素敵な作品でした。苦しくて切なくて辛い分、しっかりハピエンになりますので安心してください!


特にお気に入りのシーンがあります。
両片思いの2人。男を、俺を好きだなんて、それは正しくないんだよ。不幸になっちゃうよ。お前には幸せでいてほしいんだよ。
佳純へそう思っていた恭介が、それでも佳純が自分を想ってくれている事や、自分も佳純を諦めきれない気持ちから、

"どうせ不幸になるなら
俺がお前を不幸にしたい"

と伝えるシーンが、忘れられません。
自分を否定しつつも、そこに愛情を感じてしまう言葉だと思いました。不幸にすることは良くないことだけど、それは本当の意味の不幸ではなく、恭介なりの"わざと"な言い方に思えて、大好きなシーンです。

恭介や佳純と同じように、私も泣いて、揺れて、最後は嬉しくなりました。素敵な作品に出会えました^^

2

いろいろと抉られる作品でした…。

一見地味な表紙なんですが、初見から凝視してしまう、切なさが滲み出ていて目を離せない。
初読み作家さんだったので電子発売を待って購入したんですが、
読後に見る表紙は、切なさに温もりを感じる…丁寧で繊細な描写と画力の高さに鷲掴みされました><
既刊作品全て拝読しましたが、内容はもちろん、表情と手で表現する描写がすばらしい!
久々に画にドハマりし、恭介の号泣に貰い泣き…あの泣き顔は今年一番かもしれない。

もちろん画だけではありません。テーマが深くて…
恭介がかなり七面倒臭いことを言っていると気付いてからは、
感情だけでなく脳をフル回転させても一回では消化できず、繰り返し読みました。

正しい、正しくない、幸せ…何度もでてくる恐怖の言葉。
お互いに相手の幸せを願い、良かれと思って取る行動が、必ずしも正しい結果になるわけではなく、
いろんな気持ちや行動に必ず理由付けをする…ぐるぐる悩んで選択するのに、なぜか幸せになれない。

上司の「もっと心に素直に生きればいいんだよ」という言葉に背中を押された恭介でしたが、
その言葉がスッと心に入ってきたのは、長い間遠回りしてきた痛みを経験したからこそですよね。

すれ違って、カラ回って、傷つけて、傷ついて…
お互いに遠回りしたことで、怖くて無意識に抑え込んでいた父親が埋め込んだトラウマのフタを、
やっと取る勇気が出た恭介。
小さい頃から同性が好きだったこと、佳純をずっと好きだったこと、臆病で弱い自分を素直に
さらけ出せるまで…必要な遠回りで強くなった二人だと信じたいです。

幼少に埋め込まれた父の言葉の呪縛は、直ぐにはなくならないかもしれませんが、
道理や理性で抑えられた気持ちを、これからは佳純がそばで崩し続けてくれるはず…。

それにしても、ずっと佳純が健気で不憫で見ていて辛かった…。
全て良かれと思ってとった恭介の行動が、結局は佳純を不幸にしボロボロにして傷つける…
「不幸になるならオレがお前を不幸にしたい」

やっと結ばれた二人ですが、恭介の「普通が幸せ」という価値観が今度は二人を苦しめ佳純から離れる。
佳純がしのばせた恭介への手紙は泣くしかない内容で…恭介の愛情を同情と思い込んでいる佳純が
本当にせつなかった…しかも恭介の懺悔と号泣に続くので、もうずっと泣き…二人が結ばれて更に泣く。

子どもの頃からの二人の関係や、成長するようすがとても丁寧に描かれていて、
ずっと続いてきた二人の道のりが解りやすかった…入り込みすぎたくらい。

佳純の幸せは恭介がずっと幸せでいること。
恭介の幸せは佳純の側で生きること。
二人が一緒に生きることが幸せ…こんなに簡単な答えに辿り着くまでが、こんなに遠いなんて。

個人的には、佳純の初めての告白場面が一番萌えました。
ふざけて倒れた佳純に覆いかぶさる恭介…恥ずかしくて手で眼を隠すジリジリ感のある場面で
押さえきれない佳純の想いが言葉になる「恭介が好きだ」…指と表情が堪らなかった><
描き下ろしの、あまあまの温もりも大好きです。

6

誰だって間違いは怖いけど

相手を好きな気持ちが間違いだなんて思いたくないけど
“普通ではない”から諦めなきゃいけないしんどさ、
どうにもならないですよね…。
でも佳純の告白を「勘違いだ」と否定するのは酷だったなぁ。
おとなしい佳純がきっと一生分の勇気を振り絞ったにちがいないのに。
相手を思うが故のすれ違いを、
取り返しがつかなくなる前に修復出来て本当に良かった!
恭介と佳純の家庭環境はそれぞれ違っていても
親の言動がかなり影響を与える事が気の毒でした。
小さい頃受けたそれは大きくなってからでも
無意識のうちに呪いのように心を呪縛してしまう。
それでも一番大切なものを見失わないで素直になれれば
おのずと幸せに近づけるんですね。
恭介の泣き顔のアップがとても響きました。
ツライ想いをした分、これからはいつだって笑顔でいられるのでしょう。
そして何より、清水さんのような上司がいてくれたら
仕事もめちゃくちゃ頑張れそうですね!!!
公私ともに視界が開けてくるようなアドバイスをしてくれる理想の上司……。
なんかもう清水さんに惚れましたww

7

”幸せになって欲しい”。。。適切な人と。

じれったさと切なさの極みでした。

何よりも個人的”BLの真骨頂”である
【好きだけど俺とでは彼は幸せになれない】
が余すことなく!ぎっしりと詰まってました。


小学2年の頃、仲の良かった男の子が引っ越した時、すごく落ち込んだ恭介は母親の「まるで恋をしていたみたい」と言う一言で自分のその感情の意味を知りドキドキするが即、父親の「気持ち悪いことを言うな」と言う一言で自分の気持ちは「正しくない」と思い込む。

小学5年で佳純と出会い、仲良くなりいつも明るい恭介が悲しかった時真っ直ぐな言葉で恭介を救ってくれる。
そんな佳純に恭介は恋をするが「好きな人と幸せな結婚をする」という佳純の将来の夢を知っている恭介は”友達”としてずっとそばにい続ける。。。。。


「両片想い」のじれったさに加え、実は恭介が佳純を一度ふっていたという衝撃の事実もあり、じれったさはどんどん膨れ上がるけど、恭介の「佳純は適切な人と幸せになって欲しい」という思いが強く切なさも比例してデカい。
佳純の想いが分かってからは、表紙の”恭介が二人の口を塞ぐ”姿を突然思い出して胸が熱くなりました。

自分の気持ちが「正しくない」と子供の頃から思い続けた恭介が、仕事で壁にぶち当たり
「じゃぁ何が正しいのか」となってしまう。
その時の上司との会話はたまりませんでした。


この良作に尚且つこの重厚感あるカバー。
全てが最高でした。

12

「正しくない」は間違いなのか

分厚いです。
1冊まるっと表題作で読み応えあり…!
すれ違ってしまう心が丁寧に描かれています。

『この感情は、この関係は、きっと「正しく」ない』(帯より)

正しい行いをすれば幸せになれるのか。
間違うことは不幸なことなのか。
そもそも彼にとっての幸せはどこにあるのか。

「正しい」か「否か」で雁字搦めになっている攻めと、
攻めをヒーロー視して攻めの弱さに気づけなかった受けと。
両片思いの幼馴染みが遠回りしながら模索する恋物語です。


攻めは子供の頃から人望があり、クラスの人気者です。
厳格な父親の影響で「正しい行いが大切」と善悪をハッキリつける傾向があります。
そして恋愛対象が男かも知れないと気づいたとき、これは「正しくないこと」なのだと…。
なのでずっと気持ちを隠しながら片想い相手である受けと接してきました。

受けは要領が悪く 昔はいじめられっ子でした。
そんな中 攻めと出会って、友達になって、いつも一緒で。
受けにとって攻めはいつも一番辛いときに助けてくれたヒーローでした。
憧れはいつしか恋心へと変わり…。

1度だけ、受けが攻めに思わず告白をしたことがあります。
けれど攻めはそれを勘違いだと否定してしまいーーー。


受けは攻めにフラれた後、既婚女性と不倫をしていました。
正直この設定受け入れられるかな…?と不安でしたが、
ストーリーが進むとストンとくるものがあり嫌悪感なく読めて良かったです。

攻めは受けの幸せを心から願いながら側にいます。
受けのことが好きで好きで好きで溢れそうな気持ちを抱えながら、
自分の気持ちは「正しくない」ことで不幸にするから押し殺しているという…(;ω;)
攻めが正しさばかりに雁字搦めになっているのが息苦しかったです。

そんなこんなで長年遠回りを続けるのですが、
ある日とうとう攻めは気持ちを伝えるのですね。

けれどそれは雁字搦めの殻を突き破ったのではなく、
自分の「正しくない」気持ちに受けを巻き込んで不幸にする覚悟を決めたマイナス感情。
両思いになれたはずなのに全くハッピーじゃないのですよ(;ω;)

「正しい」が呪縛になっていてどんどん攻めを追い詰めていく。
これがもぉ~~~重くてシンドイ(泣)

で、受けにとって攻めは完璧なヒーローだったので
同情されてると勘違いしてしまい心はすれ違っていきーーー。

これ以降がズビズビ泣きっぱなしで読みました(;ω;)

ずっとずっと子供の頃から両思いなのに
なんでこんなに上手くいかないんだろう?
幸せってなんだよ。
正しくないってなんだよ。
好きって気持ちはシンプルでいいんだよ!もぅッ!

あああ!良かったよーーーーーーぅ。゚(゚´Д`゚)゚。

ずっと受けを不幸にすると思っていた「好き」の言葉。
何度も何度も幸せそうに口にする姿にウルキュンでした(;///;)
描き下ろしはめちゃくちゃ甘い後日談でこれまた堪らんのです。
長年気持ちを押し殺した反動か、攻めがデレッデレw

呪縛からは解放されたようで良かった。。。
心置きなく幸せになっておくれ…+゚。*(*´∀`*)*。゚+

評価は神寄りです。
(シレッと変更する可能性もあり。1発で決められなくてすみません;)

※変更しました。
何度読んでも心の昂ぶりがあって良い!
回想の中の恋愛を意識しはじめたエピソードはキュンキュンします。
幼馴染みとしての歩みも丁寧に描かれていて物語に入り込めます。

22

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