条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
3bansen no Campanella
失恋によって、自分の人間性を疑わされてしまっているところ気の毒で、寂しいとか色々とあるし、まぁしんどいよねって本当解る
単に多分合わない人だったんだけど、加納は可愛いタイプだから好きな人と付き合ってる嬉しさ楽しさが彼より長く続いてたんだよね
合わなかっただけなのよ
そんな自信喪失したり無気力にならされたりするほどのことじゃなかったのよ、きっと
店長の方はよく考えなきゃいけなかった気がするけど、言葉で伝えるのが上手な加納となら合うのかも知れない
何しろ互いにセクシーだと思ってるとこ、良いじゃん!!
そんで、旅の中でカンパネルラと乗り合わせていた時期があったこと、加納には宝物だよね
高校生のこと少し性的に見てしまったりしてるんだけど、ちょっと良いなって思うくらいは別に悪くないでしょう
彼に恋する同級生だったら楽しそうだって憧れ方、なんか解る〜こんな風な加納は一人の人とやってけるタイプだと思う
カンパネルラ自身がどんな子かとかじゃなくて、加納がカンパネルラと乗り合わせて彼に救われたと感じていることがカンパネルラをカンパネルラにしていてそれが良いの
彼が加納の乗る列車にいてくれたときに新しい恋が始まって良かった
店長の無神経に傷つけられてダメになってしまわずに良かった
相手によって傷ついて、それを苦しんで苦しんでお互いだけで解決するとかはあんまり恋には見合わないような気がして、こんな風にちょうどのタイミングで別の人が散らしたり薄めたりしてくれてなんか上手く行ったってのは妙に説得力を感じる
おじさん二人を救ったカンパネルラ、スーツ作ってもらいなよね
読後の余韻が心地いいです。主人公が失恋から立ち直れずに、いつまでもタラレバと引きずってたり、電車で出会ったDKや、苦手意識のあった店長もらった缶コーヒーを見てときめいたり、いやいや勘違いだと考えたり。主人公のたくさんの思考がとても人間臭くて、共感を覚えました。吐いた後に「もったいねー!」ってなるのもリアルでわらいました。最後にDKにお礼をとネクタイを渡すシーンが一番好きです。救世主のDK。最後の方まで結末の読めない展開でとても面白かったです。
作家買いです。
テーラー、上司と部下、年の差、とても好みの設定
良い感じに力の抜けた絵柄もタイプです。
深い部分の心情だったりを細やかに表されている作家さんだと思います、1回…2回と何回も読み返していくとより先生の思いが伝わってくるかと。
終盤に出てくる電車の乗り降りを人生に例えたお話、すごく共感しました。好きです!加納くんの妄想っぷりも好きです!(表紙も好き!)
あとは高校生の彼も、バイトの男の子も幸せになってほしいな。
私的に京山先生の作品の中では3番線のカンパネルラが1番あまあまなのかな?と思ったりもしますが…切なくもハッピーエンドなお話が多いような気がするので、笑顔で結末を迎えるのがお好きな方にはぜひ読んでいただきたいです!
聞こえない声、見えない星、枯れない花の後に本作を読みまして、絵がめちゃくちゃ洗練されているなと。特にトーンのグラデーションな使い方が美しいと感じました。
ヘブンリー〜、スリーピング〜でどストライクに好きなスキンシップ、絡みの描写がやはり健在でそこを見るだけでも京山先生作品を読んでよかった、となります。
本作は特に、ストーリー展開が読めずおもしろかった。
最初に出てきたDKと加納のお話だと思い込んでいて、タイトルからも、でも店長いいなぁ、いい脇キャラね、なんて思っていたらまさかの店長とのらぶ!
表紙の手前の後ろ姿は店長だったのね!
これはしてやられたわぁ!と楽しくなりました。
失恋して生きる気力がなくなった加納の生きるか死ぬか一人問答がおもしろい。
「自分はもしかして生きなくてもいいんじゃないか?」
「別に積極的に死にたいわけでもないけど」
は誰しも一度は考えたことではないかと思うし。
でも恋愛体質の加納はDKといい感じになってすぐ「両思いじゃん?」「つき合う?」と思ったのに笑ってしまったw そうね、そういうものよね、と。
DKと電車に乗っていて、銀河鉄道の夜みたい、の場面は美しかった。
加納の独白がたまに銀河鉄道の夜の口調になるの笑ったw
加納の考えていること、人の見方もおもしろいんですよね。
店長が元妻に「優しさがうすっぺらい」と言われたと聞き笑っちゃうとことか。
店長とお互いセクシーな部分を言い合ってちゅうする場面はまさに京山先生!!色っぺ〜!!
致しながらの加納の独白「ああ 幸せ」も最高ですしね。
加納がうえーん、えーん、バカー、と豪快に泣くのも子どもみたいというか恋愛体質というか憎めない人ですね。店長がかわいいと思うのわかる。
嫌いになろう、キライ、嫌い…と自分に言い聞かせていたのに、店長に「今晩話そう」と声かけられたら、大好きぃ─となっちゃうしw
「ブラックホールの質量は 重いんだ」
「そんなのは特性だし あきらめなきゃ」
はいいセリフだなぁ。そうよね特性なんだから受け入れるしかないもんね。自分の重さも。
「ああ…生きている 脈をうつ 愛しい身体──」
生きる気力をなくしていた加納がこれですよ。そうでしょうな、よかったですね。恋愛の醍醐味ですね。
特に仰々しい展開や描写はなくとも、見せるところはしっかり見せる、話の進め方が淡々としながらもずっとおもしろい、セリフや独白もいい。
好きだとは思っていましたが、作家買いする漫画家さんに決定しました。
京山先生未読分も全作制覇します!
読み始めて、あれ?そういえば前にこれ読んだことあるかも?と気付きました。
初めて読んだ時はそんなに印象に残っていなかったのですが、1〜2年越しに読んですごく素敵な作品だということに気付けました。
いわゆる「萌え」とか「可愛い受け」とか「えっちなシーン」なんかを求めてる人には向かないと思います。これらを求める人にはちょっと退屈になるくらい、リアルな感情の揺れ動きが描かれています。
・(同性/異性に関わらず)恋愛の悩み
・LGBTに対する表面的な理解
・弱っていると優しくしてくれる人みんなにフラフラしてしまいそうになる心
・「ノンケ」と「ゲイ」
誰しもがこの中のどれかは経験があるような、そんな身近な悩みから、同性恋愛ならではの悩みまで。内容はぎっしりですが、ゆったりとしたペースで綴られています。
絵柄か、雰囲気か、ストーリー構成か、何か分からないですが、読みやすいのに一冊とは思えないようなボリュームに感じました。
絵柄は独特ですが、繊細でちょっと色っぽい主人公がとても好きでした。
また一冊、人におすすめしたい本が増えました。
毎日の生活は、つらいことや理不尽でやるせないことだらけですが、BLコミックを読むことで最近は日常に潤いが生まれて楽しく過ごせるようになりました。次に何を読もうかと考えあぐねたので、AIのBLソムリエさんに選んでもらった1番先頭の作品を読んだところ、大当たり!感無量です。
特に、主人公加納クンの描き方にリアリティを感じウルウルしました。恋人と別れた後、本当のところ、なぜ別れることになったのかなんて、わからないですよね。別れを切り出した側はその理由を自覚していても、別れを告げられた側は、推しはかるしか無い。多くを語らない相手ならば、尚のこと、なぜ?どうして?という気持ちが、折にふれ蘇り、涙してしまいます。
この作品に感じるリアリティの要素としてもうひとつ挙げられるのが、恋愛の絡まない人物との出会いがキチンと描かれて噛み合っている点です。素晴らしいです。
最後に、レビューとは関係ないことですが、私自身、鎖骨フェチなので、加納クンの首元ボタンについての店長コメント、めっちゃ刺さりましたw
レビューをあまり読まずに読みました。
高校生との出会い。
ああ、この子と恋に?と思ったのも束の間、オフィスラブでした。
自分を助けようとしてくれた(勘違いであっても)高校生に癒しを感じたり、毎朝電車に乗るときに仕事行きたくねーってなったり、一年半も前に別れた恋人の事をふいに思い出したり…。それにしても泣きすぎだけどね、加納くん(受け)。
上司とご飯を食べに行くようになって、気持ちにブレーキをかけたいのに止まらない。シャツの袖をまくってる腕が気になる。
そういう心の動きが丁寧で、いつもは壁になってますが、受け目線になりました。
ゲイの加納くんと付き合おうってハッキリ言うのに、俺はゲイじゃないって言っちゃう店長。
まぁこういうパターンが多いんだろうな。胸が痛かった。
高校生くんがお話の中で恋愛に絡んではこないんだけど、いい清涼感をもたらしてくれ、暗すぎるお話にならないです。素敵な出会いでした。
あっさりとした作画なのですが、Hシーンはかえってそれが色っぽかったです。
あらすじを読まずに、本編を読みました。
加納がどうしてこんなに落ちてるのか。元カレに何を言われたのか。
一気に情報を与えず、スローペースな展開の中で、少しずつ見えてくる状況、人柄、関係。それがモヤモヤしながらも心地よい。そんな感じの作品でした。
あらすじを読んでいないので、誰とどうなるのかすごくドキドキしました。加納がすぐによろめきやすいから。でもわかります。大多数の人って実はそうなんじゃないかなぁ。気に掛けてもらえたら、好意?、偶然会えたのが続いたら運命かも、1人でいるのは寂しい。そんな当たり前なことでも、落ち込んで加納は悩んでる。
読んでいて、店長の人柄が徐々に見えてくる感じがすごく良かったです。人が感じる印象なんて接してみないとわからない。加納のボタンを気にかける理由もいいですね。
言葉は少ないけど一緒に居てくれて助けられた高校生の存在もいいですね。
読後に表紙を見ると、より好きになりました。
京山あつきさんの作品はこれで3冊読了しましたが、毎回お話の展開に「ええ~っ!」とさせられます。
BLの面白さでもあるのですが、京山さんの作品は この恋に悩む姿がとても良いのです。
読み終えてはじめに浮かんだ言葉が「綺麗」でした。
この作品のいいところは、登場人物の過去を必要以上に表現していないところだと思います。主人公の加納がなぜ元カレに振られたのか、どのくらい付き合っていたのか、どういう関係だったのか、そういう事が断片的にしか描かれていません。
でも、それって人間と同じなんじゃないかと思います。
誰でも傷ついた過去があり、それを必要以上に語りたがる人なんていないと思います。街で流れる歌や道端に咲く花、男子高校生に助けられたその手を見て元彼を思い出す。それを必要以上に描かない、そういう表現の仕方を漫画でされているので、2次元の登場人物というより、「加納」という人がいてそれを2次元で表現した、人生ドラマだと感じました。
名前のない男子高校生に救われた事で、新しい恋に気付き、一緒にいる選択をし、生きることを選んだ加納。死にたいわけじゃないけど、生きてる意味がわからないと感じていたのに、最後は他人の幸せを願えるほど素敵な人になっていました。
私も誰かの幸せを願えるような人間になりたい、生きててもいいんだと、心に大きなものを残してくれる、文学のような美しい作品でした。
ぜひ、読んでほしいです。
京山先生の独特な世界観が好き。
本作ではメインのCPだけではなく主人公が駅で知り合った男子高校生の存在感!
死にそうな顔をしていた主人公加納を自殺志願者と勘違いして飛び込んじゃダメ!って抱きついてきたのが物語の始まりだったからこの子と恋に落ちるんかなーと思ったらぜんぜん笑。
でも度々駅や車内で遭遇し挨拶を交わすようになった素直で優しい彼の存在は確かに加納の心の救いになっている。
加納は元カレとの別れを引きずりつつ勤務先の店長に惹かれ始め、とメインの恋愛は着々と進行しつつ合間合間に例の男子高校生との他愛ないやりとり。
不思議なお話運びです。
引っ越すことになった、のは店長と同居かな…
さらっと一言で恋の進展を表してみせるとかほんとムダなくお上手だなぁ、と思います!
読みおえてほわっと気持ちが温かくなる素敵なお話でした。
「銀河鉄道の夜」に思い入れが深い方は結構多いのではないでしょうか。私もそんなくちで、原作にも派生した創作物にも思い入れがあります。
始めはそんな思い入れが邪魔をしてきましたが、読み進めるうちに、好きな「派生した創作物」のひとつになりました。
今まで読んだ商業 BLの中でもトップクラスに感傷的な主役だったと思います。作品全体もとても繊細。終わった恋に1年以上たっても心が捕らわれている加納、自分にはない感覚で純粋に興味深く感じました。
これで男子高校生と付き合うような話になっていたら全く好みではないのですが、いや京山先生ならそれでも面白い作品だったかも知れない、主役でも相手役でもないのにとても存在感のある立ち位置です。
一方、店長は加納の新たな恋の相手でありながら、表紙では背を向け、名前すら出てきません。元来登場人物の名前が出てこない作品は苦手なのですが、色々な枠の当事者と部外者という曖昧な(あるいは不要な)線引きの上にいることが現れているようでした。
そう思うとLGBTを公言する児玉の登場のさせ方も、うまいなぁ。
ジョバンニ、いい店名
こんなにタイトルと内容が合っていると感じた作品は
ありません。
タイトル通り、カンパネルラとは「銀河鉄道の夜」
の登場人物です。
命をかけて友を救ったカンパネルラ…
今作では、主人公・加納を自殺志願者だと勘違いし、
救った高校生をカンパネルラとして描いています。
恋人に振られ、立ち直れないままヤル気のない
日々を過ごす加納。
自分を救ってくれた高校生との電車の中での時間が
唯一の癒しです。
そんな中、加納は職場の店長と交流を深めていく。
直ぐにときめいてしまう加納は、恋愛に臆病で、
それでいて誰よりも恋愛にのめり込むタイプ…
遊びの恋なんて出来ない!
好きな人と、ずっと一緒にいたいと願っています。
店長の優しさは薄っぺらく、人の気持ちを深く考えずに
勝手に決めてしまうような人です。
でも、とても素直で自分の欠点を受け入れられる人。
振られたことを、どこか恋人のせいにしている加納とは
反対のタイプに見えました。
店長と一線を超えてしまう加納だけど、店長はあくまでも
ノンケであり、ゲイの加納とは違う…
その事に傷付きつつも、店長の中のプライドを大切に
しようとする加納が切な過ぎます。
カンパネルラとの電車の旅は何てことはないけど、
それでも加納に前を向かせてくれました。
加納が乗っていたから乗ってきた店長と、
店長が乗って来たから降りなかった加納…
その電車は、人生そのものです。
あなたがいるから私もいる。
カンパネルラがいなくなっても、ジョバンニの人生の旅は
続いていくのです。
読んでいて、加納はジョバンニなのだと思いました。
そして、テーラーの名も「GIOVANNI」であり、
それがわかった時には胸が熱くなりました!
店長と旅していくことを決めた加納は幸せにあふれており、
別れを恐れて一歩踏み出せなかった姿はもうありませんでした。
Hは官能的で大人の男同士という感じで、
とても良かったです。
2人の甘いイチャイチャも見れて、
これ以上言うことありません!
じわりじわりと胸に迫ってくるものがあり、
ちょっとしたやり取りや表情、
気持ちの動きがとても素晴らしかったと思います。
きっと忘れられない作品になることでしょう…
基本あらすじや攻め受けを確認せず評価と直感で買うので、てっきり駅のホームで会った男子高校生と関係が進んでいくのかと思いきや、職場の上司とだったのには驚きました。何せ主人公の加納と、彼が働く洋装店の店長との折り合いは、最初はあまり良くないんです。だから店長は加納のストレス要因として描かれていくのかなぁと思っていたので、途中で店長が加納のことを疎ましく思っているわけではなく、むしろどこか気になっている存在だったんだということに気付いた時には、驚いたしワクワクしましたね。
簡単に人を好きになってしまいがちなゲイの加納は、一方で直近の失恋をかなり深刻に引きずっており、若干人間不信気味でもあります。誰かに好きだなと好意を感じた後で、1人になると過去の失敗を思い出し、反省と自己嫌悪と己を牽制する日々。彼がえーんと泣くシーンが多々あり、とても軽いタッチで描かれてはいるのだけど、その孤独や寂しさは痛いほど伝わってきてこちらも泣きそうになってしまいました。だって誰も悪くないんです。常に本気になってしまう加納も、いろんな気持ちのサインを出していた相手も。
惚れっぽいのだって、私は素敵なことだと思います。それだけ人の魅力に気付けるって1つの才能じゃないでしょうか。そういう人だから、思いがけないところから好意が舞い込んできたりする。店長は確かにゲイではないんでしょう。でも、加納の機嫌が気になって、加納の首元に色気を感じて、加納との食事が一番の楽しみになった。店長の中ではきっとこの時、性別のことなど消え去っていて、ただ加納とのやりとりに心が満たされていたんだろうなぁと思うと、とても温かい気持ちになりました。結婚とか付き合うとか以前に、人と人との繋がりって素晴らしいなぁと。結局どんな関係もこういうたわいないやりとりから始まるわけですから。誠実な店長の傍で、加納が1人泣かない日々を送れることを祈ります。
表紙のイラスト、タイトルの空気感に惹かれ購入してみました。
彼氏に振られ、落ち込みながら味気ない日々を過ごしていた主人公。偶然駅のホームで出会った男子高校生と接点が出来、毎朝の出勤の楽しみになります。初めはこの高校生の男の子と恋愛が進んでいくのかと思っていたのですが、優しさに飢えている主人公は務めている店の店長に心を揺さぶられ始めます。
場面ひとつひとつの主人公の感情がとても繊細に描かれていて、同性愛者である私は「すごく分かるな」と思いながら店長の優しさにキュンと来たり、何気ない一言に傷ついたり…。
起承転結のある「物語」ではなく、主人公の気持ちに寄り添うエッセイのような感じです。BLでこういうテイストの漫画は少ないんじゃないかな……。
「生きる」と「恋する」を彷徨う各駅停車のトリップラブ。話の中にも出てくる「銀河鉄道の夜」のような、 とても現実的なのだけれど美しく、どこか暖かい、誰かの夢を見ているようなお話でした。
とても良かったです。
実は後ろ向きな受けってちょっと苦手なんですけども
加納はなんとなく共感出来る部分がありました。
寂しさに襲われながらも日常は当たり前の顔をして毎日やってきますし
社会人だからどうにかやりすごしていても
振られた方は引きずりますよね当然。
忘れたくても何かのおりに思いだしちゃってまたツラくなって…。
そんな時に優しくされたら好きになっちゃうに決まってます。
意外だったのが高校生くんに恋したんじゃなくてお相手がまさかの店長!?ww
だって最初の感じだったら嫌なヤツにしか思えない。
でも店長の色んな面がわかってくると魅力的な人物でしたね。
意見できる加納も素敵でした。
高校生くん、恋愛云々ではない他愛のないやりとりが愛おしかったし
別れのシーンでは読み返す度に涙が滲んでしまいます。
彼にとって加納は大人だけど繊細さをわかってくれて
シンプルな優しさがとても温かかった。
悲しみも寂しさも無くなるわけではないし
何かしらの問題は常にあったりするけど
小さな幸せを大事にしながら生きてゆくのですね。
作者の京山あつきさんは
個人的に合う、合わないがあるので読みっぱぐれてました。
ちょっと購入躊躇しましたが読んでみたらすっっごく面白かった。
「失恋で落ち込んでる主人公」の型にはまらぬキャラでした。
予測つかない思考・言動。
だからといってそれが突飛で全く理解できないわけでもないので、読み手も振り回されつつ、どうか彼が幸せになりますように!と見守る、というか。
気持ちがゆらゆら〜〜な主人公が
誰とどのように新しい恋をするのか。
少し不思議な浮遊感と共に、グイグイ惹きつけて離さない巧みさもあり、
最初から最後までページをめくる手が止まらなかった。
これは良いものに出会ったなーという読後の感想です。
ところで京山あつきさんの描かれる男性って時にめっちゃエロくないですか?
セックスの時の生々しさもだけど、
なんか…なんか…
エロい!
テーラーに務める加納とその店長の話ですが全体的に静かです、壁ドンやスパダリには無縁な世界線です。
まあある意味同じ列車の男子高校生はスパダリですがそこで安易にくっついたりしません。
他のBLに比べて雑音が多いですね、脇キャラに「あのひと本当こまかいわ~」と遠巻きにされる攻めとか他じゃありえない。
でもそこが良いんです、上手く書けませんが漫画としての出来がいいからこそ初めてBLの要素に萌えられる気がします。
最近流行りのあっさりした絵で中身まで淡白で薄いBLや、肉食系でタイトルを口にするのも恥ずかしいようなBLにウンザリしている人におすすめです。
何というか大好きですね、こういう作品。
BLっていうよりも、ちゃんと人間ドラマになっているのが京山さんの作品の素晴らしいところだと思います。
仕立て屋さんの、加納。ホームでぼーっとしているところを、高校生に自殺に間違われ、助けられる。善意の、若い高校生をカムパネルラにみたて、恋人と別れて失意のうちにあった加納を救うキーマンとしてお話は進んでいく。
大人同士の恋、色々悩んで一進一退の加納のモノローグや、仕事場での会話、ひょうひょうとしてかっこいい店長など、よい人間ドラマをみているようで本当に面白い。
そして、恋になる雰囲気を作るのがとてもうまい。何度読んでもじわっとした気持ちになれるだろうなあ、というお話でした。
これは読ませますね。
はじめは、加納と高校生の物語なのかな、と思うわけです。
でもそうではない。
そして、そうでもある。
というのは、恋愛事情としての相手が高校生ではないだけで、進行上はこの高校生との会話が気づきとか転換点のようになってるから。
失恋してしまい、自己肯定感も低くなっている加納が主人公。
次の恋はこの高校生なのか?いや違う。
LGBTを公にしているバイト君の起こす小さなさざ波。
彼に対する店長さんの言動。
そこに思わず意見してしまう自分。
そして、そこから近づいていく店長さんとの距離…
あ、この人と?
…っていう感情の波が、読者側にも起きますよね。
それでもまだ、店長さんはノンケだからと加納は自衛してるんだけど、非常に自然に「そういう」空気になる。
これはね。ヤバい。
それって空気感ね。何気ない空気のはずが、足を取られる激流になる。
あ、独身同士なら別にいいですよ。行く所まで行ってみるのもいい。
で、本作は男同士だけど別に二股でも不倫でもないんで、行く所まで行くわけです。
一度は不用意な言動で加納を傷つける店長さんだけど、山あり谷ありのアトラクションのような旅する人生列車に一緒に乗り合わせる…
生きている身体が自分の横で、今隣に居合わせる、その不可思議。
この作品は特にBLなので、ノンケの店長さんがごく自然にゲイの加納との恋に乗り合わせていく所がしみじみと沁みてきます。
愛は生きているうちに、生きている人と。
ノンケの洋装店店長とゲイの仕立て職人・加納の恋物語。
宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフに、二人の揺れる心を繊細に少しロマンチックに、不思議な魅力で描きだしています。
「人生は旅」とはしばしば聞く表現で、私も漠然とそう感じていました。
本作品ではさらに、店長が自分と関わる人たちを「同じ列車に乗っている」と例えたところが、とても新鮮でした。
人生を旅する列車。そうか、今はもう会うことのない人たちも、あの時は私と同じ列車に乗っていたのだ…。人生の出会いと別れの不思議さが『列車』という言葉で胸にストンと落ち、「人生は旅」を実感できたような気がしました。
私とは別な列車に乗り換えた彼等は、今はどこを旅しているのか。同じ列車に乗っていたひと時が愛おしく思えてきます。
同じ職場にいて意識したことなどなかったのに、いつの間にか距離が縮まる店長と加納。初めて体を重ねた翌朝、不用意な言葉で店長は加納を傷つけてしまいます。すれ違いそうになる二人が向かい合えたのは、加納が心を整理したくて乗った列車の中でした。
店長は加納に言います。「君はある日、俺と同じ(人生を旅する)列車に乗ってきて、気づいたらとなりに座っていた」と。人生の旅の道連れに男も女もゲイもノンケも関係ない。君がとても大切なんだ。店長の真摯でロマンチックな告白にグッときました。加納の心を柔らかくほぐしていく、このクライマックスシーンがとても好きです。
人生が旅ならば。二人がいつまで一緒に旅していけるかは分からないけれど、だからこそ、共にいる時間を大切にしたい。「生きているのがうれしいんです」。店長の温もりを確かめながら呟いた加納の言葉には、そんな気持ちが滲んでいると感じました。
行き先の分からない旅をする者には、お守りや灯のような、心を支える何かが必要だと思うのです。
もしかしたら、それは感謝や祈りなのではないか…。加納が自分を救ってくれた高校生・カンパネルラくんに感謝し、彼の前途を祈る終盤のエピソードに、ふとそんなことを感じました。出会いに感謝し、互いの幸せを祈り合えるなら、人生の旅がときに険しく暗闇であっても、乗り越えていけるかもしれない。明日を生きる勇気が静かにわいてくるようです。
店長と加納が幸せに、良き人生の旅を歩めますように。
本作品は、私にとって、いつまでも傍に置きたい大切な作品となりました。
久々にのめり込む作品でした。
先生の他の作品でも感じたことがあるんですが、
登場人物の想い(意図)がまったく台詞や表情で読み取れないので、
主人公の返しが正しいのか正しくないのか・・・
相手にどう伝わったのか・・・
それが読んでいてドキドキするし、次のコマ・次の台詞に夢中になっていっちゃいました。
そして、主人公加納が頭の中でゴチャゴチャ考えちゃって無限ループしちゃう感じがこちらにも伝わってきて一緒に「ん”ん”ん”~」ってなっちゃうのが楽しかった(笑)
全ての台詞・全ての仕草に夢中になれる作品でした。
京山あつきさんの作品って、レビュー書きづらいなぁ……って思うのは私だけかしら。
「スリーピング・バグ」も2年以上、書けない……と放置してる。
この「3番線のカンパネルラ」も書きづらいけど、永遠に放置しそうなのでとりとめもなく書きます。
一言で言えば「人生だなぁ」と思いました。
人と人との出会いや、心がヨロめいたり揺れ惑う様子も含めて、じんわりくる。
てっきり、私はあの自殺と勘違いして止めてくれた男子高校生とくっつくのかと思ってたんです。
そしたら、まさかの店長と‥‥。
これがすっごく新鮮に感じた。
お約束のように、誰と誰がくっついて、しかも攻め受けまでわかるものが多い中……あ、こっちとくっつくのか!と思った作品は初めてだったので。
この誰と誰が出会ってくっつくかと思ったら、違う人と惹かれあってみたいな揺れや予測不能感がリアルな人生っぽいなぁって。
(銀河鉄道の夜は遠い昔に一度読んだきりなので、カンパネラとジョバンニっつーのが(どっちが主人公かも記憶にない)銀河鉄道の旅をするというやつしか知らないので、もし作品を知ってたら「カンパネルラ」の立ち位置みたいなのも含めて予想がついたのかなぁ?)
正直、この受けが失恋して一年以上過ぎていても時々死にそうな気分を引きずっていたり、次に深手を負ったら致死量で死ぬかな…みたいな恋愛脳というか恋愛ドップリ感には、うーん……というか、重い……というか、はっきり言って好みではないです。
でも、うへぇ……とはならずに読めたのは何故だろう、不思議。
帯にある「終わりの来ない恋がしたい」って多分、誰でも思ってるけど、来るときはくる。
この二人ももしかしたら終わりがきてしまうかもしれない……
特に別れを思わせるものは何もないけれど、不確か感みたいなものを感じました。
でも、確かな恋愛なんてどこにもないんですよね。
先が見えない終わりに怯えて過ごすよりは、隣にいる相手と共に過ごす時間を大切に、今を見ていたいなと思わせる終わりでした。
あとあの高校生に幸あれ!と願わずにはいられない。
人と出会った末に傷つくこともあるけれども、かけがえのないものを生みだすきっかけにもなるんだなと思いました。
うん、とっても京山あつきさんでした。
良かった!
登場人物が面白いね。
作家買い作家様なのであらすじもよく読まずに買ったのですが、タイトルになってるカンパネルラくんは主役じゃなかったんだね。
カップリング重視の方は攻め受け情報をよく見てから買ってくださいねー。
今作は「生きる」=「恋する」な主人公のお話。
当たり前のように相思相愛だと思っていた彼氏に突然フラれて、それを1年以上引きずってしまっている〔加納〕が、ある朝いつものように「仕事…行きたくないなぁ…」と無気力にホームに立っていたら飛び込むと勘違いした高校生に必死に止められて・・・
この出会いをきっかけに毎朝同じ電車で顔を合わせるようになって、無気力だった加納の心に少しずつ色めきが戻ってきます。
で、この高校生がお相手なのかなと思ったら、彼は例えるなら線路の分岐器。
本当のお相手は、無気力だった時には全く気にも止めていなかった職場の店長。この急にくる感じがなんともリアル。
リアルなんだけど、お膳立てされた作り物のラブストーリーとしては逆に珍しく感じるのが面白いな。この始まり方なんだかグッときました。
そこから加納の恋心が少しずつ育っていく過程もリアルで良いんですよ。
職場の上司とオフィスラブなんてナイナイ!なんて浮かんだ気持ちを打ち消してみたり、でもやっぱりふとした時にときめいてしまったり。距離が近付いて恋愛脳が刺激され過ぎると過去の恋愛の失敗が蘇って落ち込んでしまったり。日常恋愛あるあるですね( ´艸`)
その合間合間に行き帰りの電車で例のDK(加納は彼をカンパネルラと心の中で呼んでいます)と顔を合わせる日々も続いていて、眩しい若者との交流で気持ちを上手くリフレッシュさせながら、ストーリーは進んで止まって進んで止まっての各駅停車で進んでいきます。
・・・と思ったら!酔った勢いでサクッとエッチしちゃうあたりがまたなんともね。笑
加納はゲイだけど店長はノンケなので、え、そんなサクッといっちゃう??とツッコみたくなるんだけど、作者らしいといえば作者らしいかも。
緩急が巧いのかな。ガッといくとこはいく京山さんのお話の進め方好きです。
クライマックスの手前で、仕事帰りにまた電車で出会ったカンパネルラくんと行き当たりばったりで電車の旅をするんです。「銀河鉄道の夜」のジョバンニとカンパネルラのように。
そして戻ってきた時、店長が偶然ホームにいて・・・
ここからクライマックスのドラマティックなこと!
店長のロマンティック野郎ぶりにもヤラレター!!!
2人が乗った電車が「快速」だったってとこもね( ´艸`)
私は人生における「恋愛」の優先度がものすごーく下の方なので、ぶっちゃけこの主人公の「独りで生きてても意味がない」みたいな思考回路には全然共感のきの字もないんですが、そんな恋愛しない脳の私にも効くリアルさと真摯さが良きラブストーリーでした◎
とってもラブストーリーなんだけど、一方でもっとテーマ広く「人生」について描いたようなストーリーになっているのが“効く”感じがするのかもしれないな。
既刊の「ヘブンリーホームシック」とあわせて大事に心にしまっておきたい本になりました。
「銀河鉄道の夜」、実はずいぶん昔に買ってちょっと読んだものの読了できずに本棚に眠らせてたんですけど、今こそ再チャレンジするべきかなと早速引っ張り出してきました。
松ケン(好きなの^^)バージョンの表紙がカッコよくて、表紙ひとしきり眺めただけで今若干満足しかかっています。イカンイカン。さて読了出来るでしょうか・・・笑
【電子】シーモア版:修正-(描かれていない)、カバー下なし、裏表紙×
カンパネルラといえば、『銀河鉄道の夜』。
長野まゆみ作品とともに密かにBLとして読んでいたわたしにとっては、ど直球で胸に刺さってしまいました。
帯の惹句も素晴らしいです。
このお話に捧げられたからこそ強く響いてくるフレーズですよね。
主人公の加納は傷ついて終わった恋を引きずっていた。その痛みをこらえながらも心の底にある淋しさや欲望は無視できない。時には痛い本音を自虐しながら、やまない胸のざわめきに翻弄される日々の中で、彼は通勤中に出会った男子高校生に救われる。
カンパネルラとあだ名をつけた男子高校生は、通勤電車の中でしか会わない、名前も知らない男の子なのに、加納が辛い時に必ず出現して勇気づけてくれる不思議な存在です。
物語は加納とカンパネルラとのラブストーリーになるのかと思いきや、新たに別の人物が登場します。
当初、加納の上司はストーリーの主要な部分に関わってくるような重要なキャラだとは思いもしませんでした。先が読めない展開にぐんぐんと引き込まれて、読み終わった後はじんわりと不思議な幸福感に包まれていました。(あとをひきます…)
立場とか性別とか自らが置かれた境遇だとか全部ふっとんで、
ただ、相手と切実に繋がりたい衝動。それが若さゆえではないところが逆に切なく、大人同士の恋がそうであったっていいんだ、とたたみかけてくる。
終盤は静かで情熱的な、大人らしいエロスに溢れています。
一番胸を打たれたのは、ゲイとノンケの間の境界線をもふっとばしているところ。
もしかしたら、この恋もいつかは形を変えて終わりを迎えるかもしれないけれど、大切な人を失った深い悲しみに打ちひしがれているいつかのジョバンニに、このお話を教えてあげたい。
京山あつきさんの作品を読むと、いつも優しい気持ちに満たされます。
人の心は一本道じゃない、一筋縄ではいかないよねってお話。
主人公の、あちこちに揺れ動く心が凄く伝わってくる。
絵は淡白でサラッとしているけど、ストーリーはけっこう複雑です。
主人公の加納に、主にかかわる人物は3人。
駅のホームで出会った高校生、別れた彼氏、今の勤め先の店長。
加納は、毎日淡々と通勤してお仕事していますが、心の中では、日々、妄想したり、後悔したり、困惑したり、期待したり、この人とはこんなことがあって、あの人とはこんなことがっての、今はこうなった。
恋愛体質を持て余しつつひっそり落ち込んでいるゲイが、その危うい色気でノンケホイホイしちゃう、なんかしみじみとと色っぽいお話でした。
先生買い。どんなお話かなと思っていましたが、またもや苦しくて嬉しくて泣いちゃいました。好きだなあ京山先生。on BLUE掲載分の加筆修正版+先生のあとがきコメント付きおまけ2P。できればメンタル状態が手酷くない時にお読みいただいた方がよいかと思います。前半受けさんに引きずられてツライかもなので。(あ、カバー下は表紙の絵の背景(ホームの絵)と思われるものでした)
しょっぱなのセリフが「仕事・・・行きたくないなあ・・・」。(ええ、行きたくないです、はい。と全面同意)同居していた彼が出て行って1年、まだまだめっちゃメンタル落ちてるテーラー勤めの眼鏡さん、ホームをふらっとしているもんですから、傍から見たら、かーなーりー危ない。そんな彼に「ダメです!」と抱き着いたのは初々しい学ランの男子高校生で・・・と続きます。
登場人物は、テーラーの同僚さん、バイトさん(♂、美人さん)、抱き着いてきた男子高校生さんぐらいかな。男子高校生さんが良かったなあ・・・
**じわっとしたところ
最初は、出て行ってしまった元カレのことを想って、受けさんがずいぶん落ち込んでいて、こっちも泣きそうなくらい辛かった・・・1年も経っているのに立ち直れなくて、次の恋なんかして振られたらもう無理だと思ってて、なんで分からなかったんだろうとぐるぐる考えてて・・・ぐっすん。
美人さんという描きっぷりではなく、私から見れば「ちょっとクタビレた眼鏡っ子」なので、ほんと大丈夫か、飛び降りちゃうんじゃね?この人?という印象でした。
それが純粋、可愛い高校生(いや、今どきいるか、こんな子と少し思うが)に出会って、ちょっと浮上して、ちょっとは人生捨てたもんでもないという気持ちになったんじゃないかと感じるんです。
そんな救われた感、最後の方で高校生に直接「有難う」と伝えているシーン、泣きましたー。泣いたー。そんな風に誰かを無意識に救ったり、誰かに救われたりしてるのかもと思うと、良いなあと。
不器用店長さんとちょっと重めテイラーさん、なんとなく一緒の電車に乗り込んで、どこへ向かうんでしょうね。そんな人生もありますよねと、すぐ隣にありそうなほんわり幸せ感で、こっちも、もう少し頑張ろうという気持ちになれるお話でした。
高校生くんも頑張れよ!
「今の気持ちにピッタリくる言葉が存在しない」と思うことがよくあります。
そんな時、その気持ちを何とかして表そうとして言葉を重ねれば重ねるほど、伝えたかったことから遠ざかってしまったりして「ちがうちがうちがう。私の言いたいことはそういう事じゃない」という事態に陥ることもしばしば。
私の語彙が少ないせいもありますが、それを差し引いたとしても、言葉の数が足りないのだと思うのです。
この言葉の不足を、言葉ではないもので表す様なコミックがとても好きです。
だから、on BLUEコミックス刊行の京山さんの作品はグッと来るんです。
この本もまさにそんなお話でした。
「仕事に行きたくない」と思いつつ駅のホームでぼんやり立っていた加納は「ダメです!」と叫ぶ高校生に抱き留められます。
飛び込み自殺と間違えられたのですね。
でも、加納には心当たりがあるのです。恋人と別れた後、1年以上もアンニュイな日々を送っているから。
吹っ切れないのは、加納には彼の心変わりを察することが出来なかったからなんです。何故、恋が終わったのか解らない。一度好意を寄せ合って、自分は変わらず好きなままで、楽しいままでいたから、どこが嫌われたのかも解らず、考えれば考えるほど自分を全否定することに繋がって行ってしまいます。
どうしてそんなことになってしまったか解らない加納は、流されて恋をしたくないと思っています。
でも、恋なんて論理的に始まるものじゃないですよね?
ちょっとしたきっかけから、加納は勤め先の洋装店の店長に惹かれていきます。
助けてくれた高校生や新しく店に入ってきたカムアウトをしているLGBTの若い同僚、そして何となくずれているけれど加納が指摘した誤りを誠実に謝罪する生真面目な店長との触れ合いを通して「他人の考えていることが解らないままでも、もう一度、好きな人と深く関わりたい」と加納が強く思うまでが物語で描かれます。
どんなに相手を好きだったとしても、人と人が完全に解り合うことはないのだろうと思います。
でも、ほんの一時「今、通じ合っているよね?」と思う時があります。
その時間が過ぎて、相手が言ったことややったことで傷ついた時「やっぱりあれは幻想か」と思います。
でも、もし2人が、それを『幻想』と考えずに歩み寄ろうとすれば、その『一時』は何度でも何度でも訪れるのではないか、それこそが『終わりのない恋』なのではないか、と思いました。
派手なお話ではありません。
読んだ後に、何度も何度も繰り返し、じんわりと心に染みる、珠玉の物語。
自信をもってお薦めいたします。
蛇足
お話に出てくる『背中が濡れない傘』ですが、私も持っているんですよ。
あれが似合う人ってなかなかいないよ。私がさすとギャグになっちゃう。
似合う加納はかなりの『シュッとした』男性とみた……うっわ、萌え!
とても心に響く話でした。恋ってこういうものだよな~というちょっとセンチな気分になります。
題名通り、「銀河鉄道の夜」になぞらえた鉄道が物語の重要な役割として登場します。どこか文学っぽくしっとりと進み、劇的な展開はないですが、どこにでも存在する当たり前の恋に触れる事ができます。
この物語、登場人物の名前が明確に出されていなくて、その部分が物語に雰囲気を与えている気がします。
ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー
攻めの店長は、ノンケで真面目。彼のことは物語のなかでそこまで深くは触れられていません。
自分とは違う性的嗜好の人のことを理解しているようで、その実できていない。でもそんなもんだよなあと思います。だって当事者じゃあないんですもの。
受けの加納は、ゲイ。過去の恋の終わり方をひきずっているよう。彼は、好きになったらずっとそれが続くと信じる人。自分が好きだったら相手からも同じ好きが返って来ると思っています。
こういう気持ちって、恋をしたら当たり前の感情と言うか、好きになったらずっと続けば良いなと思うものだと思います。
終わりがくるのにとても臆病になっているようでした。切ない。「恋=生きる」くらいの感覚でいる加納はどこか重く感じることもあります。
もう一人物語の中でよく登場するのが、加納が電車の中でだけ交流をする高校生。友人ともいえずとても不思議な出会いと関係なんですが、加納を救ってくれた1人です。
店長と加納の恋は、ゆるゆると進み近づいたかと思えば、ぐらぐらと脱線しそうになります。
性質の違う2人はきっとお互いの事を完全には理解しきれないけれど、でも今現在2人が同じ電車に乗っている限りは共にいられる。
そういう文学的でとても切ないけれど、甘いしっとりとした結末でした。
恋をするということにしっかりと触れた気がします。