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nakano no narushimasan to fumikun
あたし、こういうのに弱いんです。
平凡な日常の中に一瞬キラッと輝くものが見えてしまうお話。
二人がそれぞれに見て「あれは何だろう?」と目をこらして……それってもう、恋の始まりですよね。
この『キラッ』から『おずおず手探り』を経て『ラブラブ、甘々』になるまでの課程を、丁寧に丁寧に描いた今作、まだ誰も『神評価』を付けた方がいないみたいですが、臆せず叫ぶぞ。
みなさーん、この本は『普通の恋のキラメキ』が詰まっている名作ですよー!!
リアル社会での『ま○だらけ』をモデルにしたような『ちんだらけ』のエリアマネージャーをしている成島は、新しく入ったバイトの佐藤史隆(ふみくん)から発される『拒絶オーラ』に戸惑っています。身に覚えがないのに。あまつさえ、初見の印象は『美少年(ヒゲだけど)』だったのに。土砂降りの日にバイト帰りのふみくんを社用車で送っていった時に(過呼吸を起こされかけて)過去の恋愛の傷の所為で、成島のような大人の男性に苦手意識を持っていることを知ります。理由を知った成島はふみくんの笑顔が見たい、喜ばせたいと思うようになり、また、ふみくんはふみくんで、成島がいい人と分かって、苦手だと思い込んでいた反動もあり『すっごい素晴らしい人』に見えてきます。好感を抱き合う二人は、ゆっくりと近しくなっていくのですが……
この『ゆっくり感』を楽しめるかどうかが、お話の評価に直結すると思います。
二人とも手探りなんですね。
でも、臆病だからと言うよりは、相手のことをおもんばかった結果なのです。
身体的結合も視野に入れた『恋愛』というものは、どこかの時点で思い切る必要があります。
その時の経験によっては決定的な決裂が訪れる可能性があるからこそ、ほんの少しずつ、確かめながら歩み寄ろうとする二人の姿勢がたまりません。
そして、その怖ず怖ずぶりが『臆病』という部分まで踏み込みそうになる直前に
「恋愛って二人でするものでしたね……」
という成島さんの独白。
これ、たまらなくないですか?
よくありそうで、でも実は滅多にない、幸せな恋愛がここにあります。
是非、ご一読を。
最近村上さんはブラックというか、シリアス寄りな作品が多かった気がしますが、今作品はほのぼの・まったり系の可愛いお話でした。
ネタバレ含んでいます。ご注意を。
主人公はレアものやレトログッズといった珍しい商品を取り扱っている「ちんだらけ」のエリアマネージャーをしている成島さん。
ある日、彼が担当している店舗を訪れると、新しいバイトの佐藤くんが。
可愛い顔をしているのにひげを生やしている佐藤くんが気になる成島さんだけれど、佐藤くんはなぜか自分に対してだけ拒絶オーラを発している。
なにもした記憶がない成島さんは、ある日、佐藤くんに理由を尋ねるがー。
というお話。
過去のトラウマから、成島さんに対して苦手意識があった佐藤くんですが、このことをきっかけに少しずつ仲良くなっていく。一緒にご飯を食べに行ったり、ちょっとしたことが楽しい。そんなこんなで、恋人同士になる二人だけれど。
なんだろ。
喧嘩したり、男同士という葛藤もないし、サクサク~と恋人になっちゃう二人のお話で、切なさ皆無だし、セックスに至るまでの過程に起伏も何もない。はじめから最後まで、ひたすら、ず~っと甘々です。
障害を乗り越えて恋人になる。とか、
切なさがなきゃ面白くない。とか。
そういったものを読みたいときには拍子抜けする1冊かもしれませんが、このほのぼの感がなんだかたまらなく良い。
たまにはこういう甘々、ひたすら甘々、みたいなお話も良いよね。
村上さんはシリアス路線のお話も描かれますが、村上さんのほのぼのとした絵柄にはこういった可愛らしいお話のほうが合ってるような気がします。
ただ、全くもって個人的な好みですが、
受けくんのひげが嫌。
でした。
ひげがあまり好きじゃないのが大きいと思うのですが、受けくんに全然似合ってない…。
彼がひげを生やしたのには理由があるのですが、でもね。という。
ひたすら甘く、そしてほのぼのなお話が読みたいときにぴったりの、可愛らしい1冊でした。