あかい
おうちのありか前後の話。潮視点
潮と計が、唯一ペアで持っているのは
毎年12月に社員へ配布される、旭テレビオリジナル手帳。計は愛用しているが、ほとんどの社員が貰ってもそのまま放置しているので、それを潮は横流ししてもらってる。
その手帳にまつわる過去のエピソード。
クリスマス中継、あわや大失言しそうになった若手女優に、唇の前へそっと人差し指を差し出してフォローした計。
まるで映画のワンシーンのようで、潮は「仕込み?」と計に訊いて怒られた。
そして竜起司会の正月特番を一人見てる潮。
文春砲を食らった先輩の代打ロケで計は不在。
番宣で出演してるのはあの女優さん。
好きな男性のタイプは、年上の王子様発言に、クリスマス中継を見ていたひな壇芸人が「あれやろ、国江田アナやろ」と盛り上がる。
慌てつつも否定しない女優さん。
そして番組が終わり、竜起から潮に電話。
「旦那、あの女優本気でっせ」と面白がる。
正月休み明け、手違いで計と潮の手帳が入れ替わってしまって。
カフェで気分転換を兼ねて仕事してた潮、ひょんなことから、その手帳を見つけてしまったのは、変装したあの女優さん。
裏表紙にあった国江田計の署名に、どうして国江田さんの手帳を潮が持っているのか詰め寄る。
何を言っても信じてもらえず
面倒になった潮は、計の仕事用携帯へ電話。
実は今日の収録で必要だと分かり、旭テレビへ届けることに。
国江田アナに会えるとわかってソワソワする女優さんから、仕事の悩みを聞いたり、国江田アナへの淡い恋心を聞いたり、相変わらずの良い人潮。
クリスマスのとき、国江田アナの指は唇に触れなかった。「触ってごめんね」と言われたが、絶対に触れないと決めているような拒絶感に、普段の笑顔とのアンバランスに興味を持ったと。
だから、もう一度だけ会いたいと。
でも潮は知ってる、その一度が、一度で終わらないことを。
心の中で計は譲らないと呟く。
旭テレビに来たのが、潮だけじゃないことに計は訝しむ。潮の連れがあの女優さんだと分かると、なんとか笑顔で応じるが、「握手したください」というお願いを「イヤです」と笑顔のまま一蹴。
「そんなことより、いい女優さんになってください」
と、軽く流してしまう。
「いい女優ってどんな女優ですか?」
「それは僕に聞くことじゃないと思います。」
「いいアナウンサーは?」
「簡単に分かったら、こんな必死にアナウンサーやってません」
女優さんは仕事の指針のようなものを計から貰い、納得して旭テレビを後にする。
家に帰ってきた計は当然ながら、ゲキギレ(笑)
掻い摘んで説明すると、元はと言えば、朝手帳を間違った計が悪いので、少し大人しくなるが、別の事で苛々してる。
「告白を断ることなんて、なんでもなかったのに」
今までも、ごめんねありがとうって、国江田さんの笑顔で何度も断ってきた。勝手に好きになるなよぐらいの気持ちだった。
でも計はもう知ってる。本気で人を好きになることを。
そして、潮が隣に居たから、より強く断ってしまった。
「女の子との握手ぐらいで怒らねぇよ」と言う潮に、竜起のときは最終的に断ったのに!怒っただろ!差別だ!ガイドライン出せ!と、わめく(笑)
普段計が照れ死ぬから、ワザとからかいの中に入れる愛の告白を、直球でバンバン投げる潮。
やっぱり照れて「バカ」としか返せない計。
新居を計に見せる少し前。
あの女優さんが口紅のCMに。
化粧品のCMって女優のステイタス?
凄いと感心する潮だが、計は「新色に興味ねぇ」
【いつかの4月】
潮が計と出会うずっと前、選挙にまつわるお話。
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今、手元にないので
セリフ等、細かい所は間違ってると思います。
女優さんへの計の態度が、国江田さんらしからぬ態度で、ほんの少し女優さんに同情しちゃいました。
女優さんとの話は、おうちのありかの前なので、潮の周りに不穏な空気が漂い始めてます。そんな中で計への愛を再確認する潮でした。
イエスノーシリーズの本編の主人公計&潮の番外編。
時間軸としては第3作のイベントが起きる前の不穏な1月の出来事がメインで、後日談として4月.6月の話。
番外編の番外編として、計と出会う前の潮の4月が描かれています。
また1月の出来事の前日譚として、同人誌Flagに描かれたクリスマスイブの話があります。
あらすじとしては、計と潮が手帳を取り違え、さらに潮が取り違えた計の手帳を、計に惹かれた若手女優さんが拾ってしまい…という感じ。
計とある種似た、望まれて業界に入って順風満帆だったものの、何がしたいかわからないという悩みを持つ若手女優さんが、計の鉄壁の防御を物ともせずに計に共鳴するように惹かれていく様を、察しの良い潮が気付いてしまってさあどうする?
というのと、完璧な外面を誇る計がどう対処する?というのが読みどころです。
ちょうど物語的に潮の仕事に不穏な様子が見られいつもは安定している潮にかすかな不安がある中、潮によって変わっていく計が、今までとは違う行動をとり、それが潮への愛故だと知った潮は…?
という。
不穏さもありつつ、甘いお話で、最終的に新しい春が来たなあと感じられる物語でした。
長く続く物語は登場人物の変化をおえて、それがとても楽しいですね。
安定していてオープンな潮に不安定で裏表がある閉じた生き方をしている計、と言ったバランスだった2人が第3作目から少しずつ変わっていっていくその続きをこれからも読みたいなと思いました。