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boku wa hai mo nokoranai koi ga shitai
超お久しぶりのユキムラさんの新刊、ということで楽しみに待っていました。6つのCPのお話が収録されている短編集ですが、リーマンもの率が高い!リーマン好きな方にはめっちゃおすすめかもです。どれもとってもかわいらしいお話でした。
表紙、そしてタイトル。
ややシリアスなお話かな、と思いつつ読み始めました。
表題作『ぼくは灰も残らない恋がしたい』
主人公は圭。
ゲイであることに引け目を感じ、今まで好きになった人に告白することすらできなかった。
そんな圭は失恋したばかり。幼馴染で圭の初恋だった男性が、よりにもよって自分の姉と結婚したのだ。やけになってゲイバーで知り合った男性とホテルにしけこむが…。
名も名乗らず、けれど圭のために心を尽くしてくれた、その男性・ユウ(これが本名かわからない)。
告白もしたことがない。
だから振られたこともない。
そして、もちろんセックスはおろかキスもしたことがない。
そんな圭に、いろいろな「初めて」を教えてくれたユウ。
圭視点のお話なので、圭の気持ちは手に取るようにわかるのだれど、ユウという男性が非常にミステリアス。彼もまた、心に何か秘めているようなのだけれど。
何しろストーリー展開が非常にお上手で、ぐっとストーリーに引き付けられます。
『ラブチェア・アフェア』
リーマンの長岡くん×伊原くんのお話。
長い付き合いの彼らですが、酔った勢いでキスをしてしまう。
無かったことにしよう、とふるまいつつも、お互い意識しちゃって…?
好きなのに一歩踏み出せない。
そんなモダモダな二人がすごく可愛いんです。二人が素直になるきっかけが卓球、というところに、めっちゃ笑わせてもらいました。
『社内恋愛』
これもリーマンもの。
主人公はリーマン・奥田くん。
同期の結婚式に参加した彼ですが、奥田くんは「社内恋愛」が苦手。
なぜなら、関係がありつつ、何食わぬ顔をして一緒に仕事をする、というのが理解できないから。
ということで、早々に帰ろうとする奥田くんですが、帰ろうとしたときに同じ結婚式に出ていた、同じ会社の望月さんと一緒になり…。
望月さんの、秘めた恋心にギューッと来ました。
といっても、望月さんが恋していたのは女性。なので、もしかしたらちょっと苦手な方もいらっしゃるかな…?
が、そんな望月さんと、彼の気持ちに寄り添う奥田くんの恋が可愛いです。キュンキュンします。
『体感熱』
これもまたまたリーマンもの。
本社に移動になった神田川くんが主人公。
そこで再会したのは、大学時代に関係を持っていた友人の守屋くんでー。
視点は神田川くんですが、彼の目を通して見えてくるのは守屋くんの恋心。
守屋くんがめっちゃ健気です。
可愛いです。
神田川くんがサイテー野郎です。
守屋くんの恋が成就してよかったです。
『星にシャバダバ』
こちらもまたまたリーマンもの。
とある会社の社長の第三秘書である田端くん。彼は無人島にやってきた。秘書の先輩である櫻井さんを連れて。
理由は、休みを取らず、社長のためだけに尽くす櫻井さんを見かねた社長に頼まれ、櫻井さんを休ませるため。
櫻井さんは社長のことが好き。
報われることのない恋をしている櫻井さんに、少しずつ惹かれていく田端くん。
よくある話といえばそうなのですが、この櫻井さんという男性が何しろ魅力的なのです。
社長のために尽くしているときはピシッと隙のない秘書なのに、「秘書」でなくなった途端に腑抜けてしまう。そして、はかなげな男性ではなく、結構がらも悪い。
そんなギャップもよかったし、社長に向けるひたむきな恋心もよかった。
『裏通りの姫』
この作品は唯一リーマンものではありません。
そして、すんごく短いお話です。
なのですが、すっごい萌えた…。
お金持ちの男性と、その彼にお金で買われた「ドレイ」のお話。
と書くと、痛い話かな、と思うのですが、このお金持ちの男性の、不器用な恋心に激萌えしました。
そして、そんな彼の想いをきちんと理解している「ドレイ」の彼にも。
これだけのページ数で、彼らの関係とか想いをきちんと描けるってすごいなと思います。
基本的に身体の関係から入る、という展開のお話が多いのですが、そこからきちんと彼らの恋心が透けて見えてくる。短編ゆえにその後の彼ら、が読めないのは非常に残念なのですが、そこはかとない余韻が残っていて味わい深い作品ばかりでした。
評価で悩みましたが、ユキムラさんが再びBLを描いてくださった!という付加価値もポイントになり、神評価で。
まずはこれまでのユキムラさんらしくない表紙にがつっと持っていかれました。すごくいい。もともと味わい深い作品を書かれる方だと思ってましたが、こういう表情はイメージじゃなくて、でもすごくいい。それだけでずいぶん評価アップだった上に、内容もとてもよかったです。
表題作は言葉にするなら切ない恋のお話なのですが、これを言葉なんかで説明してしまうともったいない気がします。心の機微が作品の雰囲気を作り出していて、これが奥深くていいのです。しばらく雰囲気に浸って切なさをかみしめられます。
ほかの作品も短編なのですが、どれもよい。短編だから当然短いのだけれど、その短さの中で世界が出来上がっているというか、しっかり表現されているので読みごたえがあります。たとえるなら、言葉の数は少なくすぐに読み終えられるのに、小説を読んだように満足感がある詩のような。ポエムっぽいのとは違います。
私はこれ、Stingの曲が似合う気がしました。主張は強くないのに聞けばちゃんとそれとわかる、少し掠れていながら艶も伸びもある、さりげない表現力がすごい。軽やかなのに土台はしっかりしている。そういう複雑な味わいがあるところが共通していると思います。
そこが大人向けだと思った理由です。
ヨネダコウさんの「どうしてもふれたくない」から甘さをぐっと控えたようなイメージ。
これはじわじわ来ると思います。
ユキムラさんってもうBL描かれないのかなぁと思っていたときの新刊だったので嬉しくて買ってみました。
中身は短編集であとがきでユキムラさんが仰っているように「リーマンがうっかりセックスするばかり」です。
だからちょっと記憶が混同しやすいのだけど、私が一番好きだったのは【星にシャバダバ】
社長命令で南の島で強制バカンスをする羽目になった第一秘書・櫻井と第三秘書の田端青年のお話。
この発端は、櫻井が勤続20周年のリフレッシュ休暇を得たのに、自宅待機をするばかりで全く動く気配がない事を心配した社長が、田端に櫻井の様子を命令したことから始まります。
自宅訪問するとそこには社長の命令を待ちつつも、魂の抜け殻状態の櫻井が…。
社長秘書・櫻井は20年間、幼馴染である社長に忠誠を、そして叶わぬ恋心を抱いてきた人物なんですが、この人の七変化がすごい。
会社ではスーツをキリリと着こなしいかにも有能そうな社長の右腕って感じなのに、待機中の自宅ではボヘーっとした腑抜け男に、そして南の島では幼馴染である社長との思い出を語る切ない風情を湛えたオジさまに、そして「有意義な休暇を望んでるよね?」と誘い受けをするところはなんとも色香が漂っていて、この人をもっと見てみたかったなぁ。スーツのまま抱かれちゃう様子とかも見たかった。
表題作【ぼくは灰も残らない恋がしたい】
「ぼくは灰も残らない恋がしたい」つまり燃え尽きるような恋がしたいと思っているものの、恋どころか告白すらした事もなく、当然なにもかも未経験なリーマン・圭のお話です。
初恋相手が自分の姉と結婚してしまい、初めて訪れたゲイバーで出会った相手とホテルへ行く圭。
相手の男は圭が何もかも未経験だと知ると「最初は誰だって好きな人とがいいでしょう?」と言うんです。
この人は、仕事で行き詰まるとウリ専ボーイを呼んだり、ゲイバーで男引っ掛けて寝て気分転換するような男なんだけど、そんな人でも「最初は誰だって好きな人とがいい」と思ってた過去があったんだなと何かこのセリフが印象的でした。
この他たった4ページの【裏通りの姫】が印象に残りました。
これはリーマンものではなく、恐らく外国が舞台のご主人様と自称ドレイのお話です。
男を愛してしまった事を認めたくなくて、わざわざドレスを誂えて女の格好をさせるご主人様なんだけど、ご主人様はいつか素直に認める日がくるのかなぁ。
それをご主人さまは自覚していないのに、ドレイのほうが知ってるところが萌え。
自分の気持ちすらままならないのに
ましてや相手の想いなんてもっとどうにもならない。
言い聞かせようとしても、誤魔化せない“好き”という感情。
こんなはずじゃなかった、
こんな恋なら終わらせてしまいたい、
熱を感じ合ってしまったら尚のことツライのに
それでも求めてしまうのは彼だけ……。
忘れたかった恋、こじらせた恋、新しく始まる恋、
そのどれもが切なく、いとおしいものでした。
どんなかたちの出逢いやきっかけでも
相手がその人でなければ深入りすることもなかったような
素敵な短編集です!
各話、みんな大人なのに取り繕えなくて
スマートさをどこかに置いてきてしまった様子が可愛らしい。
セクシーな表情にもぐっとキます。
表題作はヒゲ受がとても美味しかったです!!!(ズバリ)
あと『星にシャバダバ』の、
社長に尽くしてきて自分の事はどうでもいい秘書のポンコツ具合が極端で
気の毒なような愛を感じるような。
真面目な年下攻めもナイスでした!!
本屋にずっっとあったので気になって購入させていただきました。
スーツを着た男の人達の話が多いと行った印象で、絵柄も表紙の通り(褒め言葉)です。
萌とかそういう次元ではなく、大人の恋愛?って感じがしました。高校生同士の若々しい恋愛も見るのは大好きなんですけど、やっぱりこういう複雑な感じの大人の恋愛もいいですよね…。若気の至りとは違って、色々考えた上での恋愛となると、それこそ色々なものが降り掛かってくるわけであり…。男同士となると…とか考え出す大人同士の葛藤とががうまく描かれていていい感じでした。まぁ、なんかやかんやで恋する男性は世界の宝というわけです。
ほんと場違いなこと言うかもしれないんですけど…、表紙の男の子が誰かわからなくて……。それこそ代表作の子かな?って思ったんですけど、代表作の子たちとはなんか違うというか……。誰なんだろう…。
評価が難しい作品でしたが、是非たくさんの方に読んでいただきたい作品でもあります。
短編集で、超短編の1作品以外は全てリーマンものです。
「ぼくは灰も残らない恋がしたい」
一度も告白も経験もないゲイ・圭が主人公。
初恋相手と自分の姉の結婚式のあと自暴自棄になり、初めてゲイバーに行き泥酔して、目が覚めたら見知らぬ緩い雰囲気の男性とホテルにいて…
初めての他者との肉体的触れ合い。その「初めて」がいつまでも心に残り、ゲイとして経験を重ねるようになっても想いがこじれていた…
そんな始まりですが、この後はけっこう意外な展開。
偶然再会して、なぜか3Pして、相手男性の抱えていた秘密を知り。
結局偶然も続くと運命。になるんでしょうね、多分。
私の驚きは、圭が「攻め」になっていたことです。
「ラブチェア・アフェア」
私、この1冊の中でこの話が一番好きです!
会社の同僚の長岡と伊原。一緒にDVD観てて、酔って、自然にキスしてた…
そこで我に返ってごまかして、会社でも何もなかった素振り。
でも伊原は実際はグルグルしてます。
そんな気持ちのまま会社の女の子に誘われてスポーツ施設に行ったらなぜか長岡がいて卓球勝負になる。お互いすごいプレー炸裂。
その帰り道でお互いの気持ちを確かめ…
自然にキスを交わすときの気持ち、それは幸せな気持ち、ただ好きだっていう気持ち。
足だけで器用にパンツを脱ぐ伊原がカワイイエロい。
そしてどっちがいい?と聞く長岡も。(伊原は入れてほしい側でした。)
「社内恋愛」
社内恋愛が苦手な奥田。それはアレコレやってるのによく素知らぬ顔ができるな、という潔癖性?
そんな社内恋愛CPの結婚式後に、一緒に飲み直してた望月(♂)となぜかそんな事に。コレは男女だと結構あるあるですよ。
でもこれで「何食わぬ顔の仲間入り」っていうのは面白いね。
「体感熱」
再会もの。
学生の時、自慰の延長、好奇心の行き過ぎで抱いていた相手・守屋。
でも守屋の方は、もちろん好きでなければ抱かれたりはしない。2人はまたここから始まります。
「星にシャバダバ」
ちょっと変わったお話ですね。
幼い頃から一筋に「社長」を想う秘書・櫻井。
櫻井がちゃんと休暇を取っているか見張り係になった社員・田端は無人島で櫻井と一泊する事に。
そこで田端と櫻井はそういう事になり…
櫻井は社長を吹っ切り、田端は櫻井に恋しちゃったかも。
「裏通りの姫」
超短編。時代も国も背景も不明。
美しいドレスを持ってきて家に囲っている男に着せる主人。
主人のねじれた恋心。それがわかっているから男の方から誘っている…
「おまけまんが」
「社内恋愛」の奥田x望月その後。ラブラブのようですよ。
表題作で結構ボリュームがあった気がしますが、他にも短編がいくつか収録されていました。
久しぶりのユキムラさんの作品。
表題作は、ふられてしまったゲイの主人公が、一夜限りと自分の初めてを捨てに行ったところで、物書きに出会うというお話。
ひょっとすると読み切りだったものが連載化したものか、少しお相手のキャラがぶれたような気がします。
出会いでは割と節操のない遊び人という雰囲気でしたが、後半は、こちらも一世一代の恋に破れて恋愛ベタになっているという肉付けがされていました。
背景が少し白っぽいのが気になると言えばなりますね。
短編の方はどれもピリッと小気味が効いていて、むしろ表題作よりよかったです。
そちらはおすすめ。
恋心を伝えられずに終わった初恋。
その男と姉との結婚式の帰り、はじめてのゲイバーに入り男性をひっかけてホテルへ。
話を聞いてもらい、身体を重ねて別れた。
その時のことが忘れられず、そのバーに通い詰めるもあの人とは出会えなかった……しかし?
というお話なんですが。
執着、忘れられない気持ち、偶然の出会い、といったものが
あますことなく込められた作品です。
同時収録のお話もなかなかにぐぐっと心の深いところに入ってくるような作品たちでした。