生前に、凄く、好きな人がいたんだ。

猫の王国

neko no oukoku

猫の王国
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神39
  • 萌×227
  • 萌25
  • 中立12
  • しゅみじゃない5

--

レビュー数
21
得点
390
評価数
108
平均
3.8 / 5
神率
36.1%
著者
犬飼のの 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
価格
¥689(税抜)  
ISBN
9784778124243

あらすじ

猫を助けて死んだ由良が目を覚ますと、猫耳と尻尾が生え“猫の王国"と呼ばれる天国に居た。ここでは猫騎士になれば願いを1つ叶えてもらえるという。自分が親友・泉 貴洋との喧嘩が原因で自殺した事になっていると知った由良は、その誤解を解くため騎士を志願する。騎士学校で由良の専任になった教官のイズミは貴洋によく似ていた。二人が重なり不思議に思う由良だが、イズミは過去を語るのはルール違反だという。優しくいつも傍に居てくれるイズミに次第に惹かれていき…

表題作猫の王国

由良の幼馴染に似た指導教官・騎士
猫を助けて死に猫人になった高校生

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数21

動物好き読者は悲喜交々かと

犬飼のの先生の作品は、暴君竜シリーズや薔薇の宿命シリーズなどその他複数、拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

自分の命よりも猫を助け、命を落とした者だけが、入国を許された天国。そこは猫の為の天国、猫の王国だった。猫を助けて死んでしまった由良は、猫耳と尻尾が生えた猫人として猫の王国に迎え入れられる。そこで由良は、親友の貴洋との喧嘩が原因で自殺したと誤解されていることを知る。謂れの無い批判を受けてしまう貴洋の為、誤解を解くには猫騎士となり、願いを1つ叶えてもらうしかない。そして由良は猫騎士を目指すべく騎士養成学校、クリソベリル・キャッツアイに入学する。騎士候補生として由良は専属の指導教官のイズミと出会うが、イズミは貴洋とよく似た猫人だった。

猫を助けるなど、動物の猫は勿論だが、猫の王国では猫耳と尻尾が生えた猫人が多く登場したり、驚いたり感嘆した時に「ニャッ」と鳴いたり、猫耳や尻尾の動きの描写や猫人同士の毛繕いなど、動物よりも猫人要素が多めな気がするが、個人的、各項目5段階で
猫 4
ストーリー 4
ファンタジー 4
切なさ 3
エロ 1
な感じだと思います。

シリーズ物ではなく一冊完結で、物語のその後が気になったりしますが、一区切りとしては綺麗にまとめられていると思いますので、ページ数的にも読み応えはあると思います。
しかし注意点として、猫を助けて命を落とす者達がいると言うことはすなわち、猫が危険な目に遭う描写があると言うこと。更には猫騎士の使命として魔を祓うのだが、その魔と言うのが人に虐待されて命を落とした猫の怨念なので、猫派の自分は割と平気ではあったが、猫派じゃなくても動物が辛い目に遭っているのが嫌と言う人には、読むのが少しばかり心苦しい可能性が無いとは言い切れません。
ですが、それを乗り越えた時、飼っている猫をもっともっと愛してあげようと思える、慈愛を分けてもらえます。自分は頂きました。

冒頭は主人公の高校1年生の由良君が親友の貴洋くんといつの間にか疎遠になってしまったことやクラスメイトが用意した偽物のラブレターの所為で貴洋くんと更には関係が悪化したりと序盤から由良君にとって辛くて切ない展開に読んでいて胸が苦しかったです。

読み始めた時から、貴洋君は由良君のことが好きで、好意を悟られない為や男同士だからと言う理由で疎遠になったのではと予想していたが、その予想が当たっていたとしても貴洋君の言動で、偽物のラブレターの件で「貴洋のことは、ただの友達」と抗議した由良君に対して「いつから友達になったんだ?」と言い放ったり、遂には、由良君を呼び出しておいて当の貴洋君は彼女と帰る所を見せ付けると言う鬼畜の所業に少しばかり業腹でしたよ。

更に許すまじなのは、由良君が助けるきっかけとなった仔猫を虐待していた悪童達。由良君がガツンと叱った時は、よくぞ言ってくれた。悪童への一喝が勇ましくて格好良いよ。その後のメインクーンとなった番人とのやり取りがちょっと微笑ましてくて、悪童への苛々が緩和されました。メインクーンって大きいもんね。
しかし個人的には悪童達には少しでも痛い目に遭えばな、と思ってしまった自分もまた悪なのか。

命を落とす前の由良君は寂しく思い悩む姿の印象が強いのだが、猫の王国での由良君はとても穏やかで優しく、貴洋くんとの誤解を解く為一生懸命に、そしてイズミさんの指導に応える為健気に、猫騎士を目指す姿に頑張れと応援したくなります。
個人的に様々な場面で猫語で鳴いたり無意識に猫の尻尾を絡ませ合ったりするのが可愛くて、猫らしくて癒されました。

由良君が出会った猫人達は表紙にも描かれていてとても魅力的だが、やはり気になるのは貴洋くんに似た猫人のイズミさん。ストーリーやCP要素的にこうなのでは?と予想はするものの、由良君とイズミさんのおおよその年齢差や猫の王国に来た時系列などで疑問が残ってしまうのだが、全てが明かされた時は、自分のおつむでは予想出来ない展開で脱帽致しました。

親友と疎遠になったり家族との死別だったり切なくて辛い描写もあるが、猫要素は勿論、異世界ファンタジーな学園物としても楽しめると思います。更には協力書店限定SSではマタタビでとろーんとする由良君が可愛くて、本編も特典も是非とも読んでほしいです。

0

誰かにとっての救いは誰かにとっての絶望でもある

 作家買いなのと、yoco先生の素敵な表紙に惹かれました。
 いつものことながら犬飼のの先生の緻密な設定に感心させられ、特殊な世界観を楽しむことができました。
 ネタバレてんこ盛りな感想なので、未読の方はご注意ください。

 本作の舞台は、猫を守ったり救ったりした際に命を落とした人だけが死後に招かれるという天国の中にある猫の王国でしたが、こんな風に現世で何らかの徳を積んだ人が死後に何らかの形で報われる世界が本当にあったらいいのにな、と何度も思いました。死後の楽しみがあれば、現世はもっとがんばって生きようと思う人がたくさん増えそうですよね。
 あと、本作は映像化に向いているなと思いながら読んでいました。グラスソードやデートと称した跳躍シーンや戦闘シーン、そして何より猫耳や尻尾がついたキャラが動いているのを想像するだけで愛らしいです。

 中立評価にしましたが、由良が過去を改変するまでは神寄りの評価でした。
 生前の場面は辛かったけど、生前も死後も由良があれだけ執拗に貴洋にこだわっているのを見せられたので、イズミはおそらく貴洋だろうと思っていました。そうなると貴洋が由良より先に死んでいないと矛盾しますが、そこは犬飼先生の手腕で上手く納得させてくれるだろうと期待していました。
 なので、由良がイズミに惹かれながら二人の距離が縮まっていく過程に萌えていたのですが、全てを明かされてからではイズミが卑怯な人間という印象が強いです。
 素性を隠したまま望みが叶った通りにイズミとして由良に近づき、子孫繁栄の必要がない世界だから同性愛や同性同士で番になるのも普通のことだと刷り込み、由良から恋愛的な意味で慕われているのを確信してもなお、由良が過去を改変して貴洋の罪がなかったことにされるまで真実を話しませんでした。この一連の行動がどうしても保身に走っているようにしか見えません。
 結局由良のゲイ疑惑をでっち上げたのは誰だったのでしょう? 貴洋は普通でいたいから由良への恋愛感情を抑圧していたはずなので、そっちの方面で由良を吊し上げるのはおかしい気がするし、かといって他の誰かであれば自分も被害者として揶揄されている状況も耐えられないと思うし、由良が友達としか思ってないとゲイ疑惑を否定した直後に貴洋が友達とすら思ってないとわざわざ傷つけるようなことを言ったのも、愛憎なのか何なのかよく分かりません。
 由良が川で溺れた件だって、子供たちが猫を虐待したことはもちろん人としてありえませんが、貴洋が由良を呼び出して放置しなければ由良が死ぬことはなかったのです。それも由良から一方的に恋愛感情を向けられているのであれば、彼女といるところを見せつけるのは効果があると思いますが、友達としか思ってないと言った由良にこれをする意味とは一体……。
 貴洋は由良のことを家族を捨てて死ぬような人ではないと言っていましたが、極限まで追いつめられた人が衝動的に自殺という今まで考えたこともなかった選択をするのであって、普段の人柄なんて何の参考にもならないと思います。それを第三者の立場が思うならまだしも、本当に自殺に追いこんだ可能性があるかもしれない立場の貴洋がそう思うんだ……とガッカリしました。
 おそらく、遺族が由良の死の真相を知ったとしても、やっぱり貴洋を責めずにはいられなかったと思います。

 そして由良ですが、とにかく貴洋第一なところにあまり共感できませんでした。どんなにひどい扱いを受けてもあそこまで執着するなら、いっそのこと貴洋に恋している設定の方が納得できたのではないかと思います。
 過去改変の場面も、結果的に自分だけでなく貴洋の死に繋がってしまう人物だったとはいえ(でも由良はまだそのことを知らない)、猫を虐待した子供たちをクズ呼ばわりする由良に違和感がありました。
 猫の王国で騎士になるために猫の死と向き合ってきたからこそ沸き起こった憎悪なのだと思いますが、私からすれば貴洋もクズに等しい行為をしたと思っているので、子供たちには写真を撮ってデジタルタトゥーをちらつかせて脅した上にデータを消すことを失念したのに、一方で貴洋の所業は無条件で許して貴洋の罪を消すことで頭がいっぱいになっている態度の落差について行けなかったです。
 何より、過去改変の被害者は由良の家族だと思います。
 事実をねじ曲げた失踪なのに、家族は由良の悩みに全く気づけなかった自分を一生責め続けるのではないでしょうか。特に弟の紗良は全力で由良を引き止めなかったことを両親に責められたかもしれないし、これからずっと悔やみ続けるのかと思うと本当に気の毒です。
 由良の死に直面しないとはいえ、二度と姿を見せることのない由良の帰りを待つ人生は果たして家族の救いになるのでしょうか。私ならこちらも相当地獄だと思います。真実を知っているだけに、ただただ家族がかわいそうという思いしかありません。
 由良の望み通りに過去を改変して一番救われたのは貴洋です。貴洋の家族も加害者一家というレッテルはなくなりましたが、事故死だったはずの貴洋が謎の失踪に変わったので新たな苦しみがずっと続きます。改悪と言ってしまいたいほど貴洋本位なのに、そこまでのことをしておきながら友情しかないのはさすがに突っ込みたくなります。
 無自覚で好きだったわけでもなく頑なに親友の憧れと言い切りましたが、もしも猫の王国が同性愛が普通ではない世界だったら、同性愛を全く意識しない由良はイズミに恋しなかったという裏づけになるのでは? と思ってしまいました。せめて両片想いだったらまた別の見方ができたのかもしれません。

 辛口な感想になりましたが、どんな過ちを犯しても、何かしらの善行があれば天国に行ける可能性があるという希望を持たせてくれる作品です。
 納得できない部分はあるものの、小規模なセカイ系と解釈したら、まあそういうものなのかなと思いました。

3

後悔する攻め様がいい( ^ω^)

攻め様の後悔や悔恨といったものが大好物なので、とっても萌えさせて頂きましたヽ(*^^*)ノ


受け様の由良と、攻め様の貴洋は、幼なじみ。
高校生になる頃から、貴洋が素っ気なくなって、由良は寂しい思いをしていた。

仔猫を助けようとして溺れた由良は、目が覚めたら猫を助けて死んでしまった人だけが来れる『猫の王国』に迎えられていた。
自分が溺れる前の出来事により、自分が貴洋のせいで自殺したとされ、家族や貴洋が苦しんでいると知った由良は、それを回避する為、猫の女王に願いを叶えてもらえる騎士を目指すことに。

自分の行いが自分に帰ってくるから、人を蹴落とすんじゃなく、自分が頑張る。
名前も出なかったユラの隣室の人の恋人になりたい子達も、そんな邪魔の仕方ならいいわね、なんて思っちゃいました。
他にも、騎士の学校のメンバーは、魅力的(^-^)

で、ユラの前に教官として現れたのは、貴洋そっくりな容姿のイズミ卿。
イズミ卿のそばに居るのが嬉しくて、自然と惹かれていくユラ。

イズミ卿の正体は想像がつくものの、なぜ?と不思議に思いつつ読み進めました。

全てが分かった時は、なるほど、そういうことだったのか~。

全編由良視点で進むので、貴洋の方は想像するしかないのですが、それを考えるとめっちゃ萌えた(≧∇≦*)


攻め様の後悔する姿を読みたい時に、手に取る1冊です(*^^*)

0

アニメ化希望(笑)

2018年刊。
温情溢れる寛大な女王陛下に常に見守られている、猫好きだったら堪らないであろう天界の一国の物語。
作品ごとの独自の世界観を味わえる醍醐味は犬飼さん作品ならではのものだ。
今回は特に細部に渡って設定が凝っているのもあって、綺麗な色彩で映像化された状態でも見てみたいな…なんて思った。
もしアニメ化されるなら頑張って全話見るぞ(笑)

猫を守った為に命を落とした者達が招かれる"猫の王国"。
そこに招かれた主人公・由良はその後に遺された家族や友人が荊道を歩む人生を憂い、一つだけ女王陛下に叶えてもらえるという願い事で死の直前のトラブルを回避したいという想いを持ち、猫騎士を目指す。
一番心残りだった友人・貴洋に対して由良が抱いていた気持ちは、思春期特有の友人を独占したい気持ち、とも取れるけれどね。
猫の王国で専属教官として由良の前に現れたイズミが貴洋と瓜二つの容姿で、かつての由良の気持ちに恋愛感情が芽生えていたかは定かではないが、そういう目線で意識し出す。

周囲の猫人達も自由恋愛を謳歌している環境なのだが、性欲でギラギラしておらず発情期とかマウントといったようなものがなく始終穏やかだ。
最近BのL面では性癖こだわりとか過激エロが重用されている中で、久々に穏やかなLOVEを読めてほっとした。

肝心の話の展開も御座なりにされる事なく流れているのには見事だ。
これだけ設定が凝っている中でもきちんと各キャラクターの個性が伺えて、心情が入り込める余地があるのが嬉しい。

1

ちょっと辛口でごめんなさい…

・感情で読ませるタイプ 樋口美沙緒先生、朝丘戻先生、一穂ミチ先生、凪良ゆう先生etc…
・物語の起承転結、勢いがある展開で読ませるタイプ、犬飼のの先生、夜光花先生、かわい有美子先生(この方はたまにものすごく静謐なお話も書かれますが)etc…
みたいな印象を持ちながら読書している私がレビューします。
神評価沢山あるので、良作と受け止めつつ、こんな意見もあるよ〜程度に見てくだされば!幸いかと!


yoco先生の挿絵が入った小説を読みまくる月刊だったこともあり、こちらの作品にも縁がありました。
重力を感じさせない素晴らしい表紙と、それとは裏腹に思いの外切なくてシリアスめな内容だというレビューを好ましく思い購入。

全体的にはさすが犬飼先生なだけあってぐいぐいお話を読ませてくれたんですが、私的にユラが良い子すぎると言うか…ちょっとそれに違和感があってなかなか入り込めず…泣
猫に対しての気持ち、悲惨なニュースに鬱々とするのはわかるんですが、それをバネに騎士になろうと励む気持ちに共感しきれず、共感しきれなかったからこそ、所々、いきなり泣いたり膝を着いて蹲ったりした場面の、感情の起伏についていけなくて取り残されてしまいました。
正義感が強いのかな?正しすぎて、ちょっと引いてしまったというか…
でもそういう受け様は犬飼先生の作品の魅力の一つでもありますよね。難しい…

貴洋や、家族のことを思って騎士になりたいのはわかるんですが、頑張ろう、頑張ろうって言葉が響いてこず、また貴洋の性格も把握しきれず…

ただ、最後の最後で、貴洋の長い悔恨の人生が、やっと救われたな、という部分には大変萌えました。
攻め様が人知れず受けを想い苦しんでるのって、切ないのに心がぎゅっとしてしまって、とても良かったです!

1

出来てない人間で出来すぎた展開

 ユラがお人好しすぎだと思った。
 序盤の貴洋の行いは、仮に好きな子をいじめちゃう〜とか素直になれなくて〜だったとしても、ユラの死後の扱いは当然。親族や友人に罵倒されたり縁切られたりとか当然の報い。
 なのにユラはそんな扱いは貴洋が可哀想! みたいな……。
 たしかに自殺した訳では無いけど、ユラに対する態度とか言動行動を考えると、そのままのほうが貴洋ざまぁ展開でいいと思う。

 騎士になるための訓練中も、イズミが憧れだなんて烏滸がましい! 同じ土俵に立っちゃいけない! だから他の人の名前出しとこ! みたいな謙虚さが少しイラッとします。
 謙虚な態度は人を苛立たせる、ってよくわかる性格のキャラです。

 二人がくっつくところも、うーん……。
 前半は徐行してたのに、くっつきそうですよ〜ってにおいが出た途端、急発進した感じ。

 死後の猫の世界設定と挿絵のyocoさんが好きなので「萌」評価です。
 差をつけるためだとは思うんですけど、猫は猫耳と尻尾姿。(そう見えてるだけで実際は動物の猫姿)人間は人間耳と猫耳と尻尾。しかも人間耳の方が機能していて、猫耳の方はお飾り。四つ耳が苦手なので序盤から微妙な思いで読み進めてた。

 あと、受けは結構ニャーニャー言っちゃうけど、イズミやほかのタチはなんであんま言わないんだろう。皆無に等しい。

 以降はネタバレもネタバレになります。
 死後の世界でのイズミが貴洋の可能性って、ユラが先に死んだのにありえなくね? って一瞬考えた。けど多分、ユラが猫の世界に着いてから目覚めるまで時間がかかった〜とか、実際溺れてから死ぬまで植物人間みたいな感じなんだろうな〜って想像してたらその通りだった。やっぱりねってかんじ。
 最後だけタイムリープの要素が出てきた。

2

憧れる世界です

凄い世界観!!
ファンタジーのみを期待して読み始めたのですが、単純な話の展開かと思いきや、その真逆!何て綿密に練られた設定なのだと驚きました。

猫を助けたために死んでしまった由良が、猫の国に導かれ、そこである願いを叶えるために、騎士になる決意をする。

騎士になるための学園が男色で溢れていて、色恋沙汰に関心のない由良を、指導教官のイズミがさり気なく助ける様子や、騎士になる意志は強い由良だけど、不安に押しつぶされそうな時に、癒やしとなってくれるイズミの存在が、すごく温かくて幸せでした。
また、由良の「こんな事を考えるのは、おこがましい」といった思考が健気で、育った環境の温かさや、性格の良さか出ているなぁと随所で感じました。
嫉妬や不満がない世界で、この先ずっと幸せなんだろうなぁと思うと、究極のハッピーエンドですね。
また幸せを感じたい時に、再読したいと思いました。

1

NoTitle

猫を助ける事で命を落とした者だけが入れる天国、猫の王国。

その設定からふわっとした話を想像してましたが結構シリアスでした。
由良の死亡した理由も馬鹿な子供が川に放り込んだ猫を助け自分は流されたから。

猫の王国に転生出来ると耳や尻尾等の変化と運動神経の向上が見られますが、
それ以外にも自分の姿に違和感を覚える由良。

yocoさんのイラストからも想像できる通り、猫耳騎士候補生達による学園生活は大変楽しめました。

1

かわいい!けど、トーンダウン……。

悪ガキのせいで川に流された子猫を助けたせいで、死んでしまった由良。
気づくとそこは「猫の王国」と呼ばれる天国で……ということで「死後の世界」であることは重々承知してたんですね。


そして騎士になると一つだけ望みを叶えてもらえる、ただし生者として戻れるのは一時間だけという厳しい条件だけど、犬飼先生ならではの大どんでんで、もしかしたら、もしかしたら……二人とも生き返ってすべてをやり直すことができないかなぁという薄い望みを抱きつつ読んでいたのだけど……







やっぱりそこは覆らないのですね……。


私はこの世で結ばれてハッピーエンドになってほしい派なので、いくら本人たちが幸せそうとはいえ、死後成就でめでたしめでたし……というのは、読んでて心が萎れました。

もし由良が天涯孤独ゆえに遺された人々の悲哀といったものが描かれていなかったら、多分、あぁ結ばれて良かったなぁって思えたと思うんです。

だけど、由良が自殺したと知って半狂乱になる母親、遺された側の苦しみといったものが描かれていて、そこに気分がシンクロしてしまった。

本当は猫助けの末の溺死なのに、攻めとの諍いが原因の自殺とされている。
だから自殺ではなく「とある女性と添い遂げて幸せになるための失踪」と書き換えるべく、由良は必死に頑張るのだけど、自殺よりも失踪のほうがマシなのか?と。

この世のどこかで生きててくれているという希望を持たせるための優しい嘘ではあるのだけど、自分だったら、どこ歩いててもあれ?息子かも?と探してしまう。
いつか戻ってくるかも……と期待を捨てきれない。
電話がかかってくるたびに、もしや?!とドキンとする。
会いたいな……なんで手紙の一つもよこさないんだろう……なんで打ち明けてくれなかったのか‥‥そんなに信頼されていなかったのか……嫌われていたのか……と涙にくれる。

残された側としては、終わりのない地獄だなと。

そして個人的には攻めよりも、ミケーレの方がいいなと思ってしまった……。


良かった点は、あちこちに散りばめられたネコ萌え。
時々「ニャッ」と猫語になってしまったり、ラティーノ系イケメン猫人なのに、白耳でおまけに耳の内側がピンク色描写とか読んでてたまらなかったです。

4

もふもふファンタジー好きにはたまりません

表紙買いです。もちろん犬飼のの先生も好きな作家さんなので、ダブルで嬉しい感じです。
yoco先生のイラストがとにかく素敵で可愛くてカッコいい。
主人公の由良の笑顔にキュンキュンしました。
あらすじは割愛します。ここからネタバレします。



私はどうしても言いたい。攻めの貴洋がいただけない。いくらゲイバレしたくないからって、幼馴染で大好きな由良をあんな風に傷つけていいわけ?
しかも自分から「話がある」って呼び出しといて彼女と二人でいる姿をわざわざ見せつけるって人としてサイテー。
他に好きな人がいるくせにそれを隠したくて女と付き合うって、その彼女の気持ちはどうなの?
・・・という下りを貴洋の口から言い訳というか弁明を聞きたかった。
それに生前の教室で二人をからかって仲違いさせたのは結局誰だったの? そこは本筋と関係ないからスルーなの?
その辺がスッキリしなかったので残念でした。

ただ、本当に由良が健気で一途で家族思いなので救われました。
最後の伏線の回収はさすがでした。
お二人共末永くお幸せに、というところでしょうか。

3

ちょっとモヤモヤしちゃって

表紙が1枚得として素晴らしすぎる。
下部の空白がとても美しいですが、書店では帯が付いていたんでしょうか?

お話はちょっと痛々しかったです。

高校生になってから幼馴染みの泉貴洋に避けられ始めた森本由良は、川に捨てられた猫を助けようとして命を落としてしまうのですが、猫のために命を落とした者達が行く『死後の世界』に迎え入れられます。
由良は自分が溺死したのではなく『失踪した』という風に過去を書き換えたいと思っていました。なぜなら、自分の死因がいじめによる自殺だと思われていて、その原因を作ったのが貴洋だと誤解されていることを知ったからです。
由良は猫の女王に望みを叶えてもらうため、王国を襲う『人間に恨みを持って死んだ猫の怨念』を浄化する騎士になることを誓うのですが、指導教官として現れたイズミという猫の騎士はまるで『大人になった貴洋』の様な姿をしていて……

いや、面白かったんですよ。
おぼこい由良は健気で可愛いし、ものに動じないイズミが時折ヤキモチをやくのも「ちょっと萌え♡」だったし、ミケーレや番人、オルカなどのバイプレーヤーも魅力的です。
でもねぇ……なんかモヤモヤしちゃったんですよ。

一番は「失踪したことにすれば死ぬよりましなのかなぁ?」と思ったこと。
身の回りの人に失踪されたら「そこまで悩んでいてどうして打ち明けてくれなかったのか」と悶々としてしまうと思うんですよ。
あとキツかったのはいじめ描写です。
「高校生だから」って考えると貴洋が取った態度は「あるかも」って思うのですけれど、2人が通っていた進学校っぽい高校で「こんな小学生みたいな形のいじめってあるかしら?」とも思ったりしました(いじめや偏見がないっていっている訳じゃないんですよ。もっと巧妙で複雑な感じだと思うんです。だから現実は余計ヤバイ訳なんですが)。

その辺がずーっと尾を引いていた所為で、心から楽しめませんでした。
何度も書きますが、お話自体は面白かったんですよ。

5

相手が泉じゃなかったら?

猫の王国 犬飼のの先生 読了

犬飼さんの作品はこれで初読みになります。yocoさんの表紙に惹かれて、友だちの感想を読んで面白そうだし、さらにネコミミと健気受けちゃんもかなり好みの設定なので購入しました。

結論から言うと、萌え度(?)は全然百点満点中100点です。王道の男前攻め×小動物系受けちゃんコンビはかなりグッと来ました。ファンタジーだけど、そこの世界観の設定もいろいろしっかりしていて、おもしろかったです。

ただし、キャラクターたちには色々疑問を抱えざるをえなかったです。犬飼さんは純粋でお人好しで、健気な由良を描きたいのは分かりますが、ただの友だちの泉にそんなに執着を持ってたのはどうなの?って思ったりしました。

泉も由良を意識し始めて疎遠しようとしたのは理解できますが、普通そこまで虐めたりしますか?ってのも少し違和感を覚えてました。

ま、そこは人それぞれなので無理とは言わないんですが、ノンケである由良がユラとして猫の天国に行ったら急に人間である時じゃ恋愛意味で好意を持てなかった相手を好きになった、という流れはどういう意図なのかってすごく疑問を持っていました。

それは環境のせい?周りでは男同士の恋愛、あるいは肉体関係が普通であるから、自分も自分に親切で、親友に似た男に恋をしてしまったのか?

じゃああの時死なずにずっと男女の恋愛がノーマルの世の中で生きてたら、永遠に泉の恋愛感情に応えることができずにいたかもしれないということでしょうね。

逆にいうと天国で逢ったのはイズミでなくても、泉でなくても、そこで現れた親切でカッコいい騎士に恋に落ちていたんじゃないの?って少し残念に感じました。

だから犬飼さんはそれを承知された上でこの物語を作ったのか、そもそもその「if」が考慮範囲外を前提でこの「たまたま相手が泉だから」の物語を構築したのか、というのは個人的に作品の評価にかかるポイントになります。後者だったら、人間の話は全部やめて、猫耳天国のみの世界観の話の方が個人的にもっと楽しめたって思いました。

ファンタジーもののBLに色々考えすぎたかもしれませんが、違和感を感じたら集中できなくなる性格なので、BLのそういうルーズさ(?)こそが好きな方には申し訳ないですが評価は控えめにさせて頂きます。

7

女王陛下、万能に近いほどの力、っていうか全能すぎ

善良な魂は空に向かい無垢な魂魄として浄化され
意識も何もかも消されてしまう死後の世界

でも猫の王国はとくべつに人間を招くことがある
天国全体は大空で、国は雲の一つに相当する、その独立小国で、少年は騎士を目指す--


なんだか懐かしい感じ
どこかで知っていたような……
と、思いつつ読みすすみ、
むかーし朝日ソノラマあたりで読んだような、
と思いついて気づきました
これは今でいうラノベなのかな?

ずいぶんなほど主人公がいい子で、
登場人物たちが、みな妙に幼く感じることもあるし
剣と魔法の学園ものだし

たぶんあてはめるなら
異世界(異次元)ラノベの仕立てだな、と
BLじゃなくてもいける、というのはありますね

と、いうつもりで読んでも
ついつい引っかかってしまうのはSF読みのくせみたいなもので
イズミが出てくればまずタイムパラドクスが気になるし、

番人の説明には、
それいくらなんでも偶然多すぎ都合良すぎでは
なんて、スカウト率や男子校に皮肉めいた感想をいだく-ようでは楽しめないと思い、

気を取り直して読むと
描写がうまく、細かい設定の組み立てに破綻もなく
恋に修行に日々頑張る少年のお話なのに、どこかふわっとした雰囲気のある印象的なお話でした

そもそもフィクションとして大きな嘘を成立させないほどの小さな嘘はない
のだけど、なんか違和感を覚えるのは
なぜだろう?

とはいえ、
人間を深く愛する女王陛下はご自分の箱庭で、お好みの人間を猫に寄せて愛でている、という精神世界で
結ばれるべき恋人同士は転生の末に相思相愛を叶える
なんて、これぞ天国というものでしょう

作者はこの設定を楽しまれたのだろうと想像しました

※後半から脳内BGM「時をかける少女」がぐーるぐる

3

思いもしなかった結果と後悔と



高校2年になる直前、増水した川で流されている猫を助けた森本由良(受け)は自分は溺れて死んでしまいます。
気づいた先は猫の王国。猫を助けた無垢な魂が生前の記憶を残したまま送られ猫人として幸せに暮らす天国。
猫人となった由良はユラと名前を変え、のんびり暮らすか女王陛下の騎士となるか選択を迫られます。騎士とは人間に虐待された猫の怨念の集合体から猫の国と女王陛下を守る役目を負った猫人のことです。騎士になると女王陛下からの褒美になんでも一つ願いが叶えらえるといいます。現世で自分が幼馴染の泉貴洋からの虐めを苦に自殺したと思われていることを知り、その誤解を解くため騎士にな
るべく騎士養成学校へ通うことにするのです。マンツーマンで教わるというユラの指導教官イズミ(攻め)は20代前半で、名前も容姿も貴洋そっくりでした。

出会ったときに何か知っているように見える態度なのに、褒美を記憶を消去することに使ったという貴洋にそっくりなイズミは誰なのか?ユラは騎士になり過去を変えることができるのか?

最初の由良が死ぬエピソートはちょっとしんどかったです。
ずっと親友だと思ってきたのに高校に入ってから急に避けられるようになり寂しく思っていた由良が、貴洋のことをよく見ていたからという理由で、誰かに偽ラブレターを黒板に張り付けられいきなり虐めの対象とされてしまいます。誤解を解きたいと強く思うあまり激しく否定したことで、貴洋からは「友人とも思っていなかった」と言われ、深く傷つく由良が気の毒で。
その後、貴洋に話があるからと呼び出された橋の下での待ち合わせに貴洋は来ず、小学生に虐待され川へ捨てられた猫を助けて死んでしまうのです。

猫を虐待した小学生が口を噤んでしまったこと、呼び出したくせに彼女と帰る貴洋を非難するメールが残っていたこと、偽ラブレター事件の話が両親に伝わったことで、由良が自殺したと思われてしまうのです。自分が変なメッセージを送ってしまった後死んでしまったために、自分の家族や貴洋とその家族が辛
い目にあっているだろうと心配し、もう少しうまく言い訳していれば貴洋にこんなことを言わせないで済んだのにとか、偽手紙を作った相手に対してさえ想像力が足りなかっただけで悪気がなかったんだろうとか、一番落ち度がなくそして一番傷付いたのは由良なのに、そのことについては一切恨み言の一つも言わず、周りの心配ばかりしている由良がどんな聖人君子なのかと思ってしまい、ちょっと違和感を感じました、もう少し恨みに思ってもいいんじゃないかと。

騎士養成学校では43人ほどが在籍しており、そのなかで騎士になれるのは半年から一年に一人という狭き門です。
食欲はないけど性欲は残るので気ままに恋愛を楽しむ人も多く、由良もいろんな人に誘われます。

番人と呼ばれる保健室の先生のような役割の猫又や早々に夜這いをかけてくるけど断ってからはちゃんと友人付き合いをしてくれるミケーレやオルカ・男癖は悪いけど騎士になりたくて頑張ってるシェリーなどいい人(猫人)ばかりで猫の王国ではストレスはありません。

騎士になるためには、虐待され悪霊となった猫を思いやる気持ちや来世に人間にかわいがられることを祈る気持ちなどを込めたグラスソードという剣を作ることが最初の試練となります。グラスソードを作れるようになったら、それを振り回しても霧散してしまわない集中力が必要となり、ユラは虐待された猫の気持ちを考えるあまり闇に飲まれそうになったり、眠れなかったりと自己と闘いながら研鑽を積んでいくのです。
目標のために頑張るユラとそれを支え励ますイズミ。この二人の関係はとてもよかったと思います。自然と惹かれ合う二人ですが、ユラには騎士にならなければ何も始まらないと自分を律するのです。


とても面白く、ファンタジーの設定も書き込まないといけないこともあってページ数は多かったですが、もっと読みたいと思いました。

結局、由良の決断は自分の周りの人を絶望からは守れたとは思うのですが、諸悪の根源たちのこととかを思うとちょっともやもやしました。
そして、最後の種明かしには驚きました。自分でもいろいろ考えながら読んでいましたが、矛盾なくうまくできていてすっきりしました。

ただ、貴洋についてはちょっと疑問は残りました。結局自分本位だったことは否めませんし、貴洋は一体何を考えて川辺に由良を呼び出したんだろうか、彼女と帰る姿を見せることに何の意味があったのか。友達としか思っていなかった由良にそれを見せてもどうしたかったのか。できれば、貴洋からちゃんと経緯を聞きたかった。
彼はその後生き地獄を味わいましたが、自業自得といえばそれまでなのですが、一番の諸悪の根源のことを思うとそこまでの罪でもなかっただろうと思うと少し気の毒ではありました。

できれば、騎士となった由良が活躍する話、貴洋が心穏やかに暮らせる日がくるところまで読みたかったと思いました。

イラストはとても素敵でした。世界観とyocoさんの絵の雰囲気がとてもあっていて絵本をみているような気持ちになりました。

2

これぞファンタジー

作家買い。

作家買いですが、yocoさんの描かれた表紙も、そして帯の「生前に、凄く、好きな人がいたんだ。」の文句も。どれもとても素敵。

で、肝心の中身ですが。
内容は書いてくださっているの感想を。ネタバレ含んでいますので、苦手な方はご注意を。







もう圧倒されました。

素晴らしい世界観。
盛り込まれたギミック。
そして魅力あふれた登場人物たち。

これぞファンタジー。

猫を助けて死んでしまったことで、猫の王国に猫人として転生した由良(猫の王国では「ユラ」という名前に)。その王国で、ユラ専属の指導者になったのが、生きていた時に親友だと思っていたのに最近そっけない態度をとられていた泉。にそっくりな「イズミ」。

読んでいて、イズミ=泉なのでは?と思う。思うのだけれど、でも時系列を考えるとイズミが泉ではありえない。
どうストーリーが展開していくのか、気になってページをめくる手が止められませんでした。

さすが犬飼先生というべきか、最後の最後まで読んで、こうきたか!と唸らされる。

個人的に貴洋がめちゃめちゃツボでした。
「普通」からはみ出たくない。
好きな人に拒絶されたくない。
まだ高校生だった彼が、そう思ってしまうのはごく自然なことに思えました。
そこから彼が起こした行動が素晴らしかった。
懺悔の想い、恋慕の想い。
様々な想いが、彼を突き動かしたのだろう。と。

そして、ユラくん。
良い子過ぎるでしょ。
自分が死んでなお、残された者たちへの配慮を忘れない。

可愛いんです。とっても。
彼の、人を想う優しい気持ちが、このストーリーの基盤になってるんですね。

版元がショコラ文庫、だからなのか、犬飼作品にしてはややマイルドな作品だったように思います。けれど、ただ優しいだけではない。
猫への虐待といった、目をそむけたくなるような事柄もきっちり盛り込まれていて、だからこそ、優しく甘いだけのお話にあらず。
奥行きのある、骨太な作品でした。

モフモフも良いし、時々出ちゃう「ニャ」という言葉も良かった。

イズミ×ユラだけではなく、魅力的な登場人物たちがたくさん登場しています。ぜひとも、同じ世界観で、ほかのCPのお話も書いていただきたい。
個人的に番人さんがめっちゃツボでした。

ファンタジーものって何でもありな世界。
なのだけれど、そこにしっかり根本となる設定があってこそファンタジーという世界観が生きるというもの。

すごく面白い作品でした。文句なく、神評価です。

5

可愛いだけではないファンタジー

ファンタジー。
由良くんがいいこで、おぼこくて性格含めてとっても可愛かったです。
時々猫語で「ニャッ」とか出ちゃうのも可愛かったです。
いじめられたりしても相手を恨まないってなんてピュアでいい子なんだ…と。
由良くんの純粋さが際立って、猫耳・しっぽ姿も可愛かったです。

貴洋のした事や行動はいただけないけど、あの年で由良のピュアさに邪な自分の想いを昇華できなかった彼の葛藤を考えると辛かっただろうな・・・と。

死んでしまってるんだけど、猫の王国で、ある意味生まれ変わって幸せになれてよかったです。
返す返すも由良くんいい子過ぎです。

ちょっぴしコミカルなところもあり、そして、謎もあり気になりながら読み進めました。
重い重いとひーひーなりながら番人を抱えて走る姿も、目に浮かぶようでした。

猫の王国、こんなところがあったら素敵ですね。
虐待された猫たちの事を思うととても哀しかったですが、本当に生まれ変わったら次こそは愛されて欲しいなと。
動物虐待についてもすごく考えさせられました。

ミケーレやオルカ達その他のキャラも魅力的でした。

そして、作品の世界観とyoco先生のイラストがぴったりでとっても素敵でした!

4

取り返しのつかない過去をやり直せるとしたら…。

犬飼ののさんの作品は好きなので大抵読んでいますが、yocoさんのイラストで猫耳&尻尾の挿絵がいっぱい見られるーとウキウキと手に取りました。

他の方もおっしゃる通り切なくて優しいファンタジーでした。

仲の良かった幼馴染と諍いがあった後川に流された猫を助けようとして死んでしまった少年 由良。
自分が原因で自殺したと思い込んだ幼馴染 貴洋。
猫の国に転生した由良が苦しんでいるだろう幼馴染の誤解を解きたくて頑張るんです。

由良に対する貴洋の行為が酷くて、それでも彼を罪悪感から救いたいと努力する日々が健気でした。
同性を好きになってしまったことから起きた由良の悲しみや苦しみが猫の国で癒されていくのが良かったです。
猫の騎士候補をはじめとして登場人物たちが魅力的で萌えました。

好きだった幼馴染によく似た優しい騎士学校の教官との関係がどうなっていくのか、夢は叶うのかワクワクしながら読み進め結末に感動しました。
そして、自分のためではなく他の人の幸せを願う気持ちが尊くて頑張ったみんなの願いが叶うようにと願わずにいられませんでした。

8

ストーリーは面白かったです(ネタバレあり)

Twitterでたまたま見掛けて、
こちらのレビューであらすじや感想を読ませて頂き
設定や謎要素がとても面白そうだったので、
BL小説は全く買ったことがなかったのですが即購入しました。
とても面白く買って良かったと思いました。




以下ネタバレあります。










貴洋は自分が勝手に恋しただけなのに、
普通の自分を守る為に由良を傷付ける様な事ばかり
していたのがそもそも勝手すぎます。
その後も自分に都合の良い考えの元行動していて
好きになれませんでした。

自分を蔑ろにし続けた挙げ句、
間接的に自分が死ぬきっかけを作った貴洋に
由良が悪感情を抱いていなかったからこそ成り立つ事で。

由良が少しでも貴洋にわだかまりを持っていたら、
貴洋と容姿が似ているイズミが担当になるのは
猫の王国で騎士を目指す上では好ましくない事だと
思うんですね。
もし少しでも悪感情があったとしたら、
イズミを見ることで貴洋を思い出し悪感情が増幅し
由良の言動に悪影響が出て猫の王国から追放される
という事態になる可能性もあるんですし。

由良の性格をよく知っていたとは言え、
そのリスクを侵して近くで見守るというのは、
由良の為と言いながら、自分の思いを優先させている様で、
やはり自分本位な人だと思わずにはいられませんでした。

由良も小さい頃から一緒に過ごしてきた大好きな友達に
避けられて悲しいのは分かるのですが、
貴洋にあそこまで避けられ続けて、
自分を卑下してまで何故あそこまで貴洋に執着するのか、
ちょっと理解できませんでした。



貴洋と由良の事は受け入れられない部分がありましたが、
イズミとユラの関係性は好きでした。
頑張るユラ、適切に熱心に指導して楽しい息抜きもしてくれる教官イズミ、
とても良い師弟でした。
そりゃ、恋に発展しちゃうよな~という感じで。
まぁ、ユラ視点で描かれているからそう想えるんですけど。。。



物語自体はとても面白くて好きでした。

猫の王国は実際こんな死語の世界があったら楽しそうですし、
魔の存在の成り立ちや滅し方などは心が痛くなりました。

また、ユラの成長、イズミとの師弟関係、
他の騎士候補生達のキャラも魅力的で楽しめました。

こちらのレビューに書くのは好ましくないかもしれませんが、
BL要素がなかったとしても、充分楽しめる設定・ストーリーだと感じました。

引っ掛かる部分はあれど、個人的には満足な1冊でした。

11

各々の願い

読み終えて真っ先に思った感想が「優しい」でした。
主人公の由良が亡くなった直接な原因ではないけど、キッカケの一つはクラスメイトの悪意からだし、それに対する幼馴染の貴洋の態度には腹が立ちました。
しかし読後は、各々の優しさが染み渡るようなお話だと思います。

以下、物語の主要部分をガッツリネタバレ感想なので下げます。












イズミの後悔と苦悩が、すっごく切なかったです。
由良が意識を失ってからの数年、イズミは辛い思いの日々だった事でしょう。
自身が死後、由良を助けるがために騎士になる努力をし、でもそれが間に合わないとなれば、真実を告げずにサポートに徹するイズミ。
由良が真実を知らずにイズミに告白し、好きならそう言って欲しいといった返しのイズミの言葉に涙腺刺激されました(;ω;)
「好き」は言えずに「愛してる」という、言葉の重さというか深みがガツンときます。

騎士になったら叶えられる願いを、イズミは由良のために使い、ミケーレは由良に願いを叶えて貰う権利を譲り、そして由良はいつか自身が騎士になったらイズミにそれを譲ろうと考える。
それぞれの願いは皆、他人の幸せを願うものなんですよね。
優しい選択に胸がいっぱいになります…!

エロは少なめです。
中盤に由良へのイズミのお口奉仕と、最後にH。
普段、漫画なり小説にエロは必要派なんですが、この作品はエロが無くても満足したかも。
たとえエロ無しでも内容がしっかりしてる、素敵なファンタジーなお話だと思いました。

3

猫になって やり直し

表紙買い。早くも今年の№1ではないかと思うぐらい大好き・・空中の浮遊感というか、重力を切っているような感じにうっとりです。yoco先生素晴らしすぎる。
笑うところはあまり無く、せつなめお話280P超+先生のあとがき でした。個人的にやだなと思った箇所は、冒頭にある、高校生たちのLGBTへの偏見的言動ぐらいでしょうか。ちょっと辛かった。それとBL的要素以外の部分で、あまり得意ではない箇所があったため、中立よりの萌です。

小中と仲良かったお隣さんの泉が、高校入ってから何となく疎遠になってきていることに悩んでいた由良。高校の教室でそのことをからかわれ、泉からも手ひどい言葉を投げつけられます。その日の帰り、泉に呼び出された川べりで待っていると、彼女と帰る泉を見かけ、由良は呆然。そのショック受けている直後に、小学生3人が子猫を段ボールに閉じ込め川に流しているのを見かけ、猫を助けようと川に入ったのはいいけれど、増水した川の流れに足をとられ・・・・気がつけば猫の王国 と始まります。

登場人物は
番人(猫の王国で猫人を見守る猫又 表紙の一番右上)、オルカ(猫人、表紙で番人の下にいる子。騎士養成学校の仲間)、ミケーレ(学校の仲間、表紙左上部)、シェリー(学校の仲間)です。

挿絵情報:カラー口絵は二人の着衣キスシーン+しっぽ絡み図♡猫を飼ったことないのですが、じゃれあう時、こんな風にしっぽ絡めるんでしょうか?超絶キュートなんですが!モノクロは全部で8枚。もう1枚しっぽ絡み図があります。お話の方でもしっぽが感情を豊かに表現しているように思えて、しっぽ好きには嬉しい~

****** 個人的に今一つ好きになれなかった部分(かなりネタバレ)



由良が自分が自殺だと思われていることの誤解を解きたくて頑張った結果、起こる事態が苦手でした。いや、それはない と頑なに思ってしまって、いや話成立しなくなるからこれでいいじゃんという気持ちもあり、どうにもこうにもすっきり割り切れず、評価下げちゃって申し訳ありません(泣)
由良ちゃんもイズミも今一つ性格的に自分に響いてこなかった(二人とも善人)のも、ちょっと残念だったかな。しっぽ記載はとても萌えたのですが。
うーん、やっぱりちょっと残念だった。表紙で期待度MAXだったので余計そう思うのかも(泣)

5

「悔恨」の物語であると同時に「赦し」の物語でもある

もう凄かったです。
物語としての巧みさにとにかく驚かされると言うか、衝撃のネタバレに悶絶すると言うか。また、そのネタバレからのラストが萌える・・・!
ホント、最高でした。

内容です。
川に流されていた子猫を助けて死んでしまった由良。気が付くとネコ耳と尻尾が生えた姿で「猫の王国」と呼ばれる天国に。
自分が死んだ原因が、親友だった貴洋との諍いで自殺した事になっているのを知り、願いを一つ叶えてもらえると言う「猫騎士」になって誤解を解こうと決意します。
そんな由良の猫騎士になる為の指導教官・イズミは、何故か貴洋に良く似ていて-・・・と言うものです。



まずのっけから、結構切ない展開です。ずっと仲の良かった幼馴染みで親友の貴洋からいつの間にか避けられるようになり、寂しさを感じている由良。
そんなある日、由良が貴洋の事を好きなホモというイタズラの文章がクラスで張られ、動揺した由良は「ただの友達としか思っていない!」と強く否定します。そんな由良に対して、「家が隣なだけで、いつから友達になった?」と冷たく言い放つ貴洋・・・。
その後、流されて来た子猫を助けようと川に入った由良が死んでしまい、「猫の王国」へー・・・という流れです。

こちらの作品ですが、とても可愛い印象のタイトルに反して、実は悔恨の物語でもあるんですね。後悔だったり悲しみだったりと言う切なくほろ苦い心情が世界観と絶妙にマッチしていて、独特な雰囲気を作り上げていると申しましょうか。

とは言え、切ないばかりでは無く、指導教官であるイズミとともに猫騎士になるための修行に励んだり、同じく猫騎士を目指す候補生達から言い寄られたりと、ほのぼのしてたり萌えるシーンも多々ございます。また、候補生達が個性の強い魅力的な面々なんですね。そんな中で、可愛い系の由良はモテモテという設定。

このあたりが個人的にめちゃくちゃ萌えてですね~。
性格も良く男としても魅力的な強力な当て馬・ミケーレと言うキャラがおりまして!
彼から甘く口説かれというシーン自体にも萌えるのですが、それ以上に萌えるのがイズミの嫉妬ぶり。「指導教官だから~」と何かと理由を付けてミケーレから由良をガードしてるのが可愛いったらありゃしない!バレバレですよ・・・。

あと衝撃のラストですが、こちらはネタバレ避けます。
が、お見事な回収ぶりとだけ。
先に悔恨の物語でもあると書きましたが、やっぱりこの部分がひどく切ないです。
貴洋のやってしまった事はとても残酷で、「幼かったから」で納得は行かない・・・。でも、彼のその後の行いを見ていれば、どれ程苦しんで後悔して来たかも良く分かるのです。
なんでしょうね・・・。悔恨の物語であると同時に「赦し」の物語でもあると感じるのです。この部分で、もう涙、涙といった所。
貴洋を許せないと感じる方もおられるかも知れませんが、個人的にはもう十分だと思いました。
また、そう感じさせてくれるお上手なストーリー運びなのですよ( ノω-、)

とにかく、めちゃくちゃ感動しました!

17

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