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ヨネダさんの非BL作品。非BL作品ではありますがヨネダ作品なら面白くないわけない、という事で発売を心待ちにしていました。ネタバレ含んでいます。ご注意を。
主人公は保険調査員・夜明至。
保険会社が保険金を支払う前に保険金額の査定の調査を行う調査員が主人公、という事で殺人事件だったり交通事故だったりとやや生臭い事件が舞台。
なのだけれど、ドロドロした雰囲気にはならない。ヨネダさんの淡々とした絵柄のせいもあると思われますが、それより何より夜明至という人物は何事においても感情を揺さぶられることがない。からなのです。
1巻では二つの事件を調査しています。
一つは射撃場で起きた事故。
もう一つは交通事故。
調査員・夜明は、どういった経緯で事故が起き、なぜそういった結果になるのかを調べていく。
夜明という男性はとても魅力的な人物ですが、彼を取り巻く周囲の人たちもかなり個性的。
夜明の事務所で事務を担っている元キャバ嬢の千秋。
夜明の友人(なのかな…)の、鯨と鮫。
キャリアで警視の行政。
そして、行政が連れてきた、定時制高校に通い始めた訳あり少年・玄。
事故に絡む当事者たちがつく「嘘」を見抜くために、夜明と玄がコンビを組む―。
1巻という事でまだまだ謎だらけ。夜明のバックボーンが少しずつ見えてくるだけにとどまっている。なのだけれど、さすがヨネダさんというべきか、その「謎」の見せ方がとてもお上手。
人の感情が色で見えるという玄の能力と彼の家庭環境。
玄に見破られた、感情が「無色」だという夜明の過去。
それらがうまく絡み合い、ストーリーに引き込まれてしまいました。二人とも、抱える過去はかなりシリアスっぽい様相がそこかしこに漂っていて、続きが気になって仕方ないです。
非BL作品ではありますが、ちょいちょいとBL臭が漂っています。
で。
夜明をサポートする鮫と鯨ですが、彼らってあれですよね。『囀る~』にちょびっと出てますよね。思わずにやけてしまった…。
登場するキャラが、全員が個性的で魅力的。なのに、それが絡まることなく物語が進んでいく。ミステリーの様相を呈しながらも、根底に流れるのは複雑な愛の形で、それを飄々とした夜明が紐解いていく。
とにかくめちゃめちゃ面白い。
非BLだしな…、と腰がひけている腐姐さまもいらっしゃるかもですが、ぜひとも読んでいただきたい神作品です。
ヨネダ先生の非BL新刊。
非BLではありますが、そこはそれ、さすがのヨネダコウと言うべき作品。
ストーリー自体は『保険調査で「嘘」を暴く新感覚ミステリー』、作中で扱われる保険調査案件の他に、主人公には何か大きなものを抱えているのが見え隠れして…、とまだまだ続くようです。
この作品、絶対的な非BLとして描かれているのに、ここからBL的な二次展開がいくらでもできそうな、何か非常に香しい雰囲気がひしひしと感じられて、その辺のツボの押さえ方がさすがというか、なんというか、
非BLだからこそ妄想のしがいのある、非BLな所が逆に萌えるし、性的な場面が全くないからこそエロい。
面白かったです。
主人公の登場で思いっきり逆光を使ってくる漫画ってあまりないんじゃなかろうか。始まりですぐにヨネダコウさんの漫画を読んでるなーという実感がすごかった。人物の表情もだが、この逆光が上手い具合に雰囲気を作り出し、作品世界に引き込まれていった。
各話のラストは引きのある終わりになっていて、続きが気になる。特に玄の物語は興味深い。
玄の「色が見える」という、一見ファンタジーな設定に説得力を持たせる理由付けがされていたのが良かった。個人的に、能力だったり不思議な現象だったりを強引に成立させるシーンがすごく好き。こういう説明セリフがあるのとないのとでは、作品の世界観が大きく変わってくると思う。ちゃんと地に足の着いた物語にしてくれる重要な要素。
一巻では、メイン人物たちの背景にある謎を提示しつつ、保険調査員として事件をいくつか解決する。その内容に特筆すべきところはない。申し訳ないが、事件部分だけを見ると一般作品の中にあっては凡作だと思う。面白いが過度に持ち上げるのは違和感がある。
BLカテゴリの本ならミステリ推しで絶賛レベルだが、一般カテでこれは厳しい。固定ファンの底上げありき。
出てくる人物は皆個性的で魅力的。このペースで事件を解決しながら、ゆっくり事情が明かされていくのかな。いまいちどこに軸を置いた物語なのか把握できない。まだ一巻なので紹介的な意味合いも強いのかもしれないし、次巻以降に期待したい。
一巻の終わりはそこまで引きのあるものでなく、事件も綺麗に解決しているため、試しに一巻だけ買ってみようという人にも読みやすい。次は完結してからまとめ読みでもいいかなあと思った。
非BL、青年コミックジャンルだけど、ヨネダコウ先生のファンを公言するなら読まなきゃでしょう!と思い。もちろんBL的な萌えは期待せず読んでみたのですが…
あはは、何これ‼︎ BLファンへのちょっとしたサービスがありますよ〜。ありがとう先生!
まず、主人公、夜明の友人(元同僚?)行政が糸目のドS。詳しくはドS風変態。と言うか、変態さん的なセリフをポンポン言います。夜明の「尿道にカテーテル突っ込みたい」とか、夜明を「三角木馬に乗せたい」とか。「後生ですからどうか踏んで下さい、行政様と言え。」とか。
もちろん言う程の事はしないし、悪い人では無いのですが。こういう人が好き!という行政ファンをにわかに増やしそうな予感!
行政さんはキリッと三揃いを着こなした、警視庁キャリア。夜明はしがない保険調査員ですが、シャツの皺と緩めたネクタイさえセクシーで。男の佇まい自体セクシー!っていう、そういうのにも魅かれます♡
そしてそして、「囀る〜」4巻、5巻に登場した三角さんの部下、矢代を見張っていたおっちょこちょいコンビ、鮫と豚鯨が友情(⁈)出演しています‼︎ チンピラなりに何とかやってまして。「囀る〜」でもそうなように、そのヘッポコぶりには癒されます。やっぱりチンピラだけど、この人たち悪い人ではないんだな、っていうのが分かりますよ。
肝心の物語ですが、四角形で囲んだ説明が多くて、『The 青年コミック』っていうのが最初読みづらい〜と感じましたがそれさえ慣れれば。感情を色で見る事が出来る共感覚の持ち主の少年、玄と出会った夜明は、彼の力を借りて嘘を次々と暴いて行くというミステリー。事件自体は1話完結で、次々と色々な事件を解決していくのですが、そこに夜明の過去、少年、玄の現在に至るまでの経緯などが少しずつ表れて行くといった、二重にも三重にも重なった謎解きになって行きそうな予感。
そこはさすがヨネダコウ先生!とっても面白いのでおススメしたいです!
保険調査員に焦点を当てた創作物を読んだのは初めてだったので、とても新鮮でした。こういう仕事は保険会社に内包されているのかと思っていましたが、外部に依頼するんですね。あくまで中立の立場の、ほぼ探偵と変わらない職務という感じでした。事件を紐解いていくミステリー作品として十分面白かったです。事件の内容は殺人から事故まで様々。一番印象に残ったのはやはり最後の轢き逃げ事件ですかね。被害者は怪我で済んだんですが、被害者加害者共に、抱えている事情が人間味と現実味溢れていて、心に暗雲立ち込めている者同士の不幸な事故に思わず同情してしまいたくなりました。どちらに味方・敵対するわけでもない調査員の夜明の調査の仕方が粋だなぁと感じます。
また、ひょんな経緯で夜明が高校生の玄の面倒を見ることにもなるので、2人の関係性が今後何かしら変化していくのかも気になりますね。玄のキャラ設定も面白くて、人の感情の色が見えるという共感覚を持っているんです。私も文字に色を感じるタイプの共感覚があるんですが、玄の場合は世界がどんな風に映っているんだろうなぁと想像してみたり。非BLなので夜明と玄の間にそういう関係は求めてないけれど、玄が孤独を埋められるようになるといいなと思います。サドと中二病が混ざったような性格の、夜明の友人らしい行政もお気に入りのキャラです。