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ayamachi wa shinshi no tashinami
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
先達のレビューを拝見するに、雑誌掲載時には表現が異なったり、雑誌に続編が掲載されたりしていたようで。後者は『ミッドナイト・ベルボーイ 松尾マアタ 短編集』に収録されています。
こう落ち着いたかぁ。曖昧にしているけれど、この「母さんごめん」には「それでも僕は」と続くと想像できる。そうでないと真実を述べて幸せになった彼の兄のくだりと話がつながらなくなってしまう気がする。個人的には。
長い時間を経てポールの家族は幸せになれるのだとして、ではジュディとアビーは?あとがきを読む。そうね…なかなか答えはでませんね。結局、兄はこの世で迷惑をかけてもいい唯一の存在である(と私は思っている)両親には心労を与えたけれど、ポールは他人(から家族となった人)を巻き込んだんだもんなぁ、と思ってしまう。これが現時点の自分の価値観とか信条なのか。
隠れゲイの教授x翻弄され学生、の続編。
私は続けて読んだけど、実際は7年越しの発表です。
真意のつかみどころのない教授に惹かれていることを認めたくないジョナサンだけど。
今回ジョナサンに新しい出会いが⁉︎
気も合って年相応に話し合えるお相手だったけど…
この男の子もさ…
多分本当にジョナサンが好きだったんだと思う。でも方法とタイミングが違っちゃってたのかな…ご縁がなかったというか。
ジョナサンにはこっちの子の方が合うのにね〜……
ここが、前作のエンジェル君の合わせ鏡で、「でもやっぱり好きなんだ」…ってヤツ。
その上、いろんな物事がことごとくジョナサンと教授を結びつけるみたいに働くなんて。
なんか悔しい。
はじめは生意気なコに感じたジョナサンはどんどん優しくて可愛い子になっていって、教授みたいな大人に捕まっちゃうのはもったいない!
だって…良くも悪くもずるく立ち回ってたヒトでしょ?仕方なかった、だけじゃないと思うの。確信犯の部分もあったはずで、そこは変えていけるのかしら?
こうなったら教授にはちゃんと更生して、誠実を示してもらわないとね。
評価に迷いました。前巻から変わらず良質な洋画のような雰囲気は十分に楽しめました。前巻と比べてこちらではポールがいろんな男にふらふらするシーンもほぼなく、むしろジョナサンがポールを振り回すシーンの方が多い。新しいキャラのエヴァンと恋人のふりをするジョナサンを、落ち着いた表情ではあるけれどどこか物欲しそうに見つめるポールの、静かな横顔が印象的でした。
ジョナサンは恋人がいる体だし、ゲイである兄の同性との結婚にポールは自分の人生を考えさせられるなど、単純に2人の駆け引きを楽しめていた頃とは様相が異なってきます。式で兄と会話したことで、尊敬と羨望の複雑に入り乱れた兄への気持ちや、ゲイでありながら妻を持つことへの考えが、ポールの中では確実に変化した。でも、「離婚しようと思う」と告げたポールに手放しで喜べないのは、やはりジョナサンと同じく妻子の気持ちも考えてしまうからでしょうね。しかも、ジョナサンは彼女達と同じ立場に立たされたこともある。
確かに偽りの気持ちはいつか破綻するかもしれない。今はどんなに幸せそうに見える家庭でも、ポールが妻をそういう意味で愛せない限り、永遠の円満は約束できません。かといって本当に妻子と別れてジョナサンを選んだら、ポールは一生罪悪感を背負うかもしれない。ここで何を選択するのが正解かは誰にも分かりません。できれば3巻に続いて、彼らのその後を見守って、ラフな関係のままでもいいからいちゃついてる2人が見たかったというのが本音です。でも、読者が想像できる余白を持たせたこの結末も、けっして悪くはありませんでした。
前作の『嘘つきは紳士のはじまり』が最近読んだ作品の中では断トツはまってしまって、即こちらも購入。前作同様こちらもとても読み応えがあってものすごいよかった…。松尾マアタさん、めちゃくちゃイイです!
前回では手練れたオジサマの立ち回りの巧みさにドキドキ、きゅんきゅんさせられっぱなしでしたが、こちらではそんな風に上手く世の中を渡ってきたように見えるオジサマのやるせなさのようなほろ苦い感情をじっくり味わいました。
自分の性的嗜好を隠すことなく生きることで、家族を傷つけ苦しめてきた兄デイヴィッドを見て『嘘をつく』ことだけでなく『真実』も人を苦しめると悟ったポール。
ゲイであることは家族には内緒で墓場まで持っていくつもりでいたのに、デイヴィッドが一躍ハリウッドスターとなり同性の恋人と堂々と結婚し、まわりから祝福されている姿を突きつけられて、性的嗜好を隠して生きることを選んでしまった自分の生き方や、巻き戻してやり直すことができない過去に物悲しいような寂しさが漂い、やるせない想いが胸にせまって苦しくなりました。
一方のジョナサンもポールから離れようとしながらも折りにふれて思い出してしまうだけでなく、ポールの魔の手にかかりそうな人間を近づけないようにする始末。
そんな自分でも整理できていない宙ぶらりんの感情の中で、ポールからの突然の離婚発言に戸惑い、それ以上の言葉を言わせまいと遮るように口づけし、身体を重ね、一時の快楽に逃げてしまう。
多少の罪悪感は持ちつつも隠れて逢瀬を重ねてこれからも楽な道をとるか、妻子から奪ってでも自らの気持ちのままに生きるか、覚悟を決められない彼の揺れる想いにむしろ真実味を感じました。
さらにはポールとジョナサンが隠れた恋をしなければならない状況を自らが起こしたことが原因だと感づき謝罪するように感謝の言葉を述べるデイヴィッドの苦しい表情は、たった2コマながらも非常に印象的でした。
こんな魅力的な話がここで終わってしまうなんて本当にもったいない(泣)二人の選ぶ道をあれこれと想像するのもいいですが、ぜひもう1,2巻じっくりと読ませてほしい、切なる願いです。
『嘘つきは紳士のはじまり』の続編が、前作から7年の歳月を経てついに単行本化。
最終話がOPERA vol.47(2014年10月刊)に掲載されて以来音沙汰なしだったので、遂に単行本化され嬉しい限りです。
ちなみにこの最終話、単行本化にあたりほぼ全ページ改稿されています(後述)。
あらすじ:
上流階級出身で妻子持ちのポール・トーマス・ハスキンス教授(攻め・表紙右)と関係を持ってしまった医学生・ジョナサン(受け・表紙左)。
教授から距離を置こうと努めるも、空港で偶然鉢合わせた彼とメキシコのカンクンへ行くことに…
前作で、継続した関係を求める教授をスマートに振ってみせたジョナサン。
前作の洒脱なオチには唸らされたものですが、ポールが既婚者である以上、続編となればそこが掘り下げられるのは必至。
クールでスタイリッシュな作風は健在、コミカルなやり取りも楽しめますが、
ゲイのポールが妻帯者として生きている経緯、ジョナサンとの今後といったシリアスなテーマも内包され、
ほんのり切ないドラマに仕上がっています。
まずジョナサンですが、ポールを避けようとするも何だかんだ気にかけてしまうツンデレぶりは健在。
ポールとの一夜を思い出してしまったり、彼に構われて照れたり…と、なにげに表情豊かなところが可愛いです。
ポールに迫られたら拒めない程度には彼に対する想いを自覚しつつも、
彼の妻や幼い娘のことを思いやる程度には良心もあり。
善人にも悪人にもなりきれず結論を先伸ばししてしまう姿に人間味を感じます。
そしてポール。
妻子を愛しつつも「真夜中のアイスクリーム」はやめられない、
ジョナサンを口説きつつも本気度がいまいち計り知れない…
そんな彼が「嘘つき」になった原因が今回明かされます。
それは、自分より先に両親にカミングアウトし勘当された兄の存在。
兄に先を越されたことで両親に打ち明ける機会を逃し、「良い息子」として生きる道を選択。
一方、家を出た兄はハリウッド俳優として成功し、同性のパートナーと近々挙式予定で…
兄に会ってきてほしいという母の頼みを受け、結婚式の行われるカンクンへ行くことになったポール(なりゆきでジョナサンも同行)。
兄への嫉妬も恨み言も一切なく、彼と抱き合い涙ながらに祝福の言葉を贈るポールの姿は感動的ですが、哀しいほど「大人」な彼にギュッと切ない気持ちも芽生えます。
ポールとジョナサン。
嘘つき同士の二人は果たして最終話でどんな結末を迎えるのか。
雑誌掲載時の最終話『Don’t Ask Me Why』は二人の(特にジョナサンの)本音の部分が分かりやすく言葉にされた内容でしたが、
改題・改稿された『Quicksand』の方が二人の今後について如何様にも想像できる余白があり、個人的には後者の方が好み。
ポールはジョナサンが答えを出すまで待ち続けるのか。
ジョナサンはポールの妻子を思いやり彼を諦めるのか、或いは彼の「友達」でい続けるのか。
幾通りもの未来が想像できますが、現時点ではハッキリした結論は出ない。
クールで天の邪鬼で、程々に常識も思いやりも持ち合わせた、愛すべき「嘘つき」二人にとても相応しいトゥルーエンドだったと思います。
お洒落で軽妙な世界観が楽しくサクッと読めるのに、海外のLGBT映画を一本見終わったかのような充足感も味わえる素敵な一冊。
前作と併せてオススメです。
(後日談が読めるOPERA vol.64も必見です…!)