条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
秋月こおが描く名作BL「富士見二丁目シリーズ」ベストセレクション登場!
今更ながら、BLノベルの金字塔と呼ばれる富士見二丁目交響楽団シリーズ総集編一巻を読みました。完全に初読です。金字塔は伊達じゃなかったです。
ちるちるさん曰く「(BL史上)エポック・メイキングな(衝撃)シーン」が登場する「寒冷前線コンダクター」も収録されていますので、ご存知無いという読者様には是非読んで欲しいです。
まずテーマの選び方に感心しました。ただ音楽が好きで楽器を持っている事を条件とした大人の趣味サークルの域を出ない市民楽団が舞台で。そこには、自ずと人間臭いドラマが生まれてくるのは必然で。それでもベタな展開であれば、読者も萎えますが、そこは秋月先生、ストーリーの動かし方も巧妙で、分厚い本でしたが、一気に読み終えました。
音楽に人生を捧げられる恵まれた環境にある一握りの人達の華やかな世界が舞台でなく、普通に楽器好きな社会人や学生や主婦の人達が皆で音色を合わせるオーケストラの魅力に囚われて、日々の生活を犠牲にしない範囲内で音楽に打ち込む中で生まれる悲喜こもごもや奮闘ぶりがクローズアップされていて、共感を覚える部分が多くて良かったです。人間愛溢れるストーリーで一つ一のエピソードも心に残りますし、クラッシックに纏わるウンチクも楽しめました。
組織の目指す方向性や理想とする音楽と現実とのギャップなど富士見二丁目楽団の悩みは尽きないので、続きが気になります。 圭と悠季の仲良くなる過程も最初は唐突に思えたのですが、後から丁寧に描かれていたので微笑ましかったです。コンダクターとコンサートマスターのカップリングは最強だ…。BL作家さんは目の付け所が違うなぁ。
この小説が描かれた1990年代頃はLGBTという言葉も定着していず、同性愛は日陰の身である時代背景であったでしょうし、天性の才能もあり、恵まれた環境にありつつも、芸術家とはいえゲイという大きなハンディを持った圭の胸中とか色々察せられる部分があります。そこも圭の魅力を深めている部分であるんですが。JUNE小説はそういう暗部がそこはかとなく感じ取れる所がいいです。今の時代なら権利を主張し、戦ってというキャラクターになるかもしれません。
富士見二丁目シリーズのちるちるさんの受攻紹介の所で悠季の肩書きが毎巻バラバラで散々な言われようなのが笑えました。いつかは白鳥になる日が来るのかな?富士見二丁目楽団の今後も含めて次巻が楽しみです。
書籍としては豪華版でボリュームはありますが、ベスト版なので収録されていない話があるのは残念でした。今となっては、電子書籍で読むしかないなぁ。