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umi to futari no enbun noudo
『声はして涙は見えぬ濡れ烏』があまり好みではなかったので迷った末の購入だったのですが、ドンピシャだった……。
受けについて必要以上に過去が描写されるわけではないのですが、モノローグの言葉の選び方ひとつひとつが丁寧で、なにごとにも自分を押し殺して我慢することを続けて大人になってしまった人なんだな、とわかります。わたしの好きな年上受けです。その淋しいこころを若さゆえの愚直でまっすぐな愛で溶かす攻め。わたしの好きな年下攻めです。
内縁の妻に逃げられた受けの傷心に付け込む攻めとその愛を利用して自分をなぐさめる受け……なのですが、どちらもそれを自覚していて、その葛藤を軸にストーリーが進みます。2人とも性格の良い落ち着いた男で、それが全体的に静かな雰囲気を生んでいるのかな。夜の海辺の印象の強い作品です。激しい起伏があるわけではありませんが、それだけに2人の関係や心情の変化が丁寧に、ドラマティックに描かれています。日常BLはそれほど好きなジャンルではないのですが、こちらは胸に沁み入るような萌えを感じました。なんでも他人に譲ってしまう、自分の欲は我慢しがちな年上受けが、年下攻めの猛攻にほだされ、どうしてもほしいものをこらえきれずに「ほしい」と言ってしまうシーンは本当に良いものです……。
女性が絡むストーリーで、女性の存在が単なる悪役や当て馬や解説役に成り下がっていないBL、その女性にも幸せになってほしいと思えるような物語が好きなので、大変満足しました。現代日本に生きている人々の話だな、という感じがします。BL時空のBLも好きなんですが、本作は落ち着いたドラマのような作品でした。
よかったです。
余韻にしばらくひたってしまう、雰囲気のある作品でした。
夏の終わりから、秋、冬にかけて、『海』ってものさみしくて切ない感じがしますが、そのままの感じが作品に漂っています。
きちんとハピエンですが、生きていれば誰しも、どこかで泣いたり傷ついたり、しんどい思いをしている訳で、甘いだけではない人生の苦味が描かれているのがよかった。 少しビターです。
受けが年上で、ずっとキレイな彼女がいたという設定なので、女性が登場します。といってもモノローグというか、過去を振り返ったり、人の噂で登場するだけなので(顔も出てきません)、基本女性が登場するのを歓迎しない私ですが、気になりませんでした。
年齢設定からしても、元カノがいて、辛い経験をしてっていう方が、普通なのかなとも思いますし…。ただかなり引きずっていますので、苦手な人もいるかもしれません。
ウノハナ先生の作品は毎回発売日に購入して読んでいますが、最近の作品の中では断然好きです。
大人の方に特にオススメします。
これの前に読んだ小説が、
いい意味でも悪い意味でも物足りなかったので、
久しぶりにガッツリBL読んだなという感じにさせてもらいました。
ここのレビューを見ると、
やはり女性の影が見えると拒否反応出る人多いなと。
私的にはあまり気にならなかったし、
そこが尚希の弱みにもなってた。
ノンケの寂しい年上男が、
年下の一途ワンコにどうほだされていくのか。
その辺の尚希の心情が、移り変わる海の景色と香りの中で
季節の変化とシンクロするように描かれている。
ポイントポイントにドラマチックな展開もあり、
ウノハナさん、上手いなぁと。
尚希の大人な対応と、その内面に抱える寂しさが
ひしひしとわかってしまう私も、十分寂しい大人です。
強いていうなら、
やはり隆太の背景が全くわからなかったところが、ちょっとだけ引っかかった。
でも、そっちも描いていたら、この長さでは収まらなかったのでは。
その分尚希の方に絞れていて良かったのかもと。
願わくば、この先もずっと隆太が尚希の側にいてくれますように……
そしてお約束のように、刑事組が気になる腐女子v
インパクト的には萌×2くらいな気もしますが、
尚希の幸せを祈って「神」評価で!
電子書籍のサイトのおすすめで知り、試し読みから購入しました。
隆太くんのひたむきさがすごく良かったのと、尚さんと元カノさんとの話もリアリティーがあって、物語にのめり込んでしまいました。
尚さんの長めの髪がさらさら揺れている描写が印象に残り、こちらも潮風を感じます。夏からはじまる恋が季節を重ねていく様子が好きですし、今を真剣に生きている二人と海と猫の世界、続きがあれば大変嬉しいです。
猫好きなので、ちくわみたいに、気づくとそこにいる猫、とても良かったです。
ふううううう。
どうしよう、溜め息しか出てきません。
この余韻にしばらく浸っていたい。
海辺の居酒屋。
夏だけのアルバイトの隆太とオーナーの尚希と猫のちくわ。
ただ見つめるだけだった隆太の恋が動き出す…。
はああああああ。
だめだ、溜め息が止まりません。
読み終わった今も胸の真ん中にぐーーーーっと押しつけられるものがある感じ。
尚希と彼女の姿を横でいているだけだった1度目と2度目の夏。
自分の想いから逃げて、会いに行かなかった3度目の夏。
そして迎えた4度目の夏に彼女の姿はなくて、尚希とちくわだけに出迎えられた隆太。
10才の年の差があって、尚希は大人の余裕で隆太をかわそうとするけれど、隆太の真剣で強い想いがそれを許しません。
頭の中で考えていることと気持ちは別物で、「こう伝えよう」と決めていてもいざとなると気持ちが先に口から溢れてしまう。
夏の海の賑やかさや客で溢れる店内の喧騒はあるものの、この世に2人と1匹しかいないみたいな、すごく静かで穏やかな空気がずっと漂っていました。
その空気感がすごく心地良くて、その中でお互いの気持ちに正面から向き合う2人がとにかく愛おしく思えて、ふううううう、ですよ。ほんとにそれしか出ない。
すべての雰囲気が良くて、そのまま映画になりそうな作品です。
モノローグも素敵だし、2人が口にする言葉も素晴らしい。
寂しさや不安を抱える大人の狡さも通用しない相手に、腹を括って正直に向き合う尚希もカッコいいし、年下だけど深くて大きい愛で包み込むように尚希を愛する隆太もカッコいい。
読んでください。
まだ読んでいないという方は、今すぐ購入を。
絶対に後悔はしないと言い切れます。
読み終わったあともずっとこの世界に触れていたいと思える作品でした。
5年越しの恋をあきらめるために来た夏の海。
好きな人は一人で、猫と暮らしていた。
っていう、絵になるシーンで始まる物語。
ウノハナさんの作品っていつも、ストーリーが映画のように脳内で展開するって感心するのだが、この作品も映画で見てみたいって思う。
十歳年上の居酒屋の主人を、高校生のころから夏ごとにバイトに来ていた現在大学4年生の若者が口説き落とす話で、これ、居酒屋主人が女性設定の男女の話としても通じそう。
だけどお話のメインはやっぱり、年下の、それも男をセックスで受け入れることへの葛藤にあって、そこがBLとしてしっかりとおもしろくて、私の好きな年上受けでした。
そんなふたりのキスシーンがすごくツボでした。
初めてのキスシーン。
攻めの方が長身なので、受けが下からぐいぐいいく感じがキュンとしました。
片思いだし、傷心に漬け込んでるし…
で、最初は受け身だった攻めが、
「俺を夢中にさせてみろよ」って挑発されてぐいぐいし返すのがまたいい。
片腕で肩を抱いて、もう片方の手は首にそえて。
なーんか、すごく大事に触れてるのが伝わってきて、ものすごくキュンとさせられました。
二度目のキスも受けのリードではじまります。
元ヤンだから?(笑)
こう、Tシャツの胸元をがしっと掴み寄せてするんです。
そこを引っ張ったまま、攻めをベッドにまで引き倒しちゃいます。
なんつー男前な誘い方なんだ。
季節は冬の手前まで過ぎ。
ふたりにとってはもう何度目のキスか分からないけど、読者から見れば三度目のキスは。
猫の餌やりでしゃがんでる攻めをバックハグからのキスなので、珍しく攻めの方が位置が下。
いつもと違うの、もえる。
そして肝心の、本当に心が通ってから初めてのキス。
やはり受けからでした。
でも今度は胸元じゃなくて、頬を両手でがっと掴んで。
何度も言うけど、身長差がよい。とてもよい。
攻めは辛くてもひとりでやり過ごせてしまう受けとの人生経験の差を、受けはまだまだこれからの攻めの将来を考えたりして。
物語自体はゆっくりゆっくり展開されます。
なのにキスとかえっちはけっこう情熱的で、男臭いというか、男前なのがよかった。
男らしい、ノンケな二人が、いろいろあって恋仲になるストーリー。無理なところがなく、自然な感じがやっぱり素敵
新しいサーフボードが欲しくて始めた、居酒屋でのバイト。夏限定、雇い主は友達の兄。彼の横には美人な彼女がいて、二人はすごくお似合いで、どうにもならない恋心を引きずって、一年、また一年と過ぎていく
諦めるつもりの、最後の年。そこに彼女の姿はなかった。恋焦がれていた人は一人になっていて、その背中は寂しそうで、無理やり消そうとしていた気持ちに、また火がつく
無理に身体の関係を迫るでもなく、何か理由を探して脅すわけでもなく、まっすぐに気持ちをぶつける、、若いって素敵だな〜
長年付き合っていた彼女に裏切られた尚希とその尚希にずっと片思いしていた隆太の物語でした。
諦めるはずだった尚希への気持ちが、尚希が1人になっていたことによって溢れ出して、やりきれず告白してしまうシーンが素敵。
抱きしめられた尚希と同じように、隆太の熱や海風の香りを感じました。
ありきたりの断りの台詞を尚希が色々考えた挙句、結局言わないのが良かったです。
自分でも何なのか分からない衝動に突き動かされて、交わしたキスが熱い!
尚希の台詞も男前でした。
尚希に会えない1日が長く感じるっていう隆太の気持ちが本当に健気で可愛くてキュンでした。
ずっと一緒にいたいと同じ気持ちになってくれて良かったね、隆太!
描き下ろしがまたとっても良い。
社会人になって国内外を忙しく飛び回ってる隆太が、久しぶりに尚希に会ってまぁイチャイチャするわけですが、大人になった尚希が主導権を握りつつあるのがエッチくて良かったです。
それでも尚希と一緒に店をやってくのが夢なんて可愛い事も言ってくれて…早くそんな日が来たらイイなぁって思いました。
長い片思い、好きなんですよね。
彼女持ちの尚さんに恋い焦がれて夏の度に尚さんの居酒屋でバイトして、今年で諦めようとやって来たら、彼女と別れていて。隆太に告白されて、今まで自分の彼女を見ているんだと思っていたのに、それが自分を見ていたんだと知った時に、気持ち悪いと思わなかった時点で、悪い気はしてないですよね。ちくわのことも、自分より先に探しに行ってくれたり、細かいところですが、もともと弟みたいに可愛がっていた隆太のことを好きなんだと気づいて行く過程が丁寧に描かれていて、じわじわとくる作品でした。
それと、サーファーがサーフスーツを腰のところまで脱いで、休んでたり、ボード持ってうろうろしている姿は大好物です。表紙はご馳走ですね。