銀座ネオンパラダイス

ginza neon paradise

銀座ネオンパラダイス
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神174
  • 萌×2109
  • 萌42
  • 中立11
  • しゅみじゃない9

--

レビュー数
36
得点
1443
評価数
345
平均
4.2 / 5
神率
50.4%
著者
ウノハナ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
日本文芸社
レーベル
KAREN COMICS
発売日
価格
¥680(税抜)  
ISBN
9784537133578

あらすじ

昭和23年、東京・銀座--。
東京の片隅で、葵は戦争から戻らない幼馴染を待っていた。
それは出征の前夜、ただ一度だけ身体を重ねた男(ひと)でもあり…。
ところがその鷹彦が突然目の前に現れて…!!
相変わらずのワガママさで葵をあきれさせるが、人を引きつける力も昔と同じ。
そして役者になるという夢に向かって少しずつ変わろうとする鷹彦に、葵は秘めていた恋心を止められず…。
痛くても、苦しくてもお前とともに生きたい--お前は俺を照らす光、俺の生きる理由だから。

表題作銀座ネオンパラダイス

郡司鷹彦、老舗呉服問屋のドラ息子
見目葵、下請けの縫製工場の息子で進駐軍通訳

レビュー投稿数36

鮮やかに魅せられる、ウノハナ流メロドラマ

なんともベタで、なんともいい!
そんな一冊。

描かれる男たちが魅力的でいい味ながら、
以前は何か一味足りないと思っていたウノハナさん、
ここにきて一気に練れて味わいが深くなっている印象。
表紙の美しさも一際。


昭和23年、銀座。
進駐軍の通訳をしている葵には待ち続けている人がいる。
終戦の前年出征していった幼馴染の鷹彦だ。

銀座の老舗の御曹司ながら放蕩の限りを尽くし
ついに父親から勘当を受けていた彼は
終戦の前年出征したきり行方がしれなくなっていた。
もう諦めようと思いながら諦められずいた葵の元に
ある日突然昔のままの風来坊ぶりで戻ってきた鷹彦に
葵は鉄拳を食らわす……

なんと役者を目指しているらしいが、相変わらずの鷹彦。
一緒の家にいても香水の匂いをさせて帰り
葵とは親友の距離のまま、
出征前の一夜の熱は刹那の感情だったのか…‥


回想を織り交ぜながら、銀座の街を背景に
不器用な男二人の長い恋が実るまでが描かれる。
鷹彦の妹や、彼を助けて一緒に大阪から上京した女、
葵の上司のウォルター中尉など、味のある脇役が絡み
切なくも、テンポよくどこか心が浮き立つ物語が展開される。

真面目で冷静な黒髪の美形、鷹彦のことだけに感情をあらわにする葵、
優男に見えるが実は強い彼の健気さ。
映える長身、派手な二枚目、憎たらしい程の笑顔、
ひとたらしの鷹彦の不遜な態度の裏にある葵に向ける真摯さ、
どちらもお互いのことになると見せる表情の可愛さ!


話はよくある話と言ってしまえばよくある話。
しかしそれを陳腐にならずに現代的な味付けで読ませるのは、
ウノハナさんの描線の魅力と洒脱なセンスだろう。
波乱と混乱の時代を描きながら、そこはむしろ掘り下げず
ドロドロしたりやりきれない面はさらりと
二人の男の綺麗な気持ちに焦点を当てているのだが、
その細かいセリフや仕草や表情が、とてもいい。
カバーしたの作者のあとがきや、ペーパーなどの小ネタも楽しい。

作者が目指したという昭和のメロドラマのエッセンスは残しながら
ちゃんと現代風に軽やかにアレンジされているのが魅力。
気持ちよく世界に乗せられて、キュンとし、涙を流し、
そして最後は爽快な晴れやかさを味わえる。
好き!



冒頭に出てくる昭和23年のヒット曲は
『港の見える丘』で知られる平野愛子の『君待てども』。
作詞作曲:東 辰三、この方作詞家の山上路夫のお父様だそうです。
そして、すでに死後50年経っているので著作権に触れないんですね。

 

17

焦土に灯る

昭和二十三年(1948)、今から68年も前、戦後の混乱期に軸を求めたストーリーです。
攻めが復員兵で受けがGHQの通訳、bl界無限といえど異色のカップリングではないでしょうか。
無頼漢というか、昔の言葉ではバンカラ(?)な鷹彦と楚々とした葵、主人公二人の魅力もさることながら、良く出来た作品であると思いました。(生意気にすみません)
戦中、戦後というのは我々読者もウノハナ先生も未知の領域ですが、しっかりと時代考証して描かれたのが分かります。
私、年齢の割にはこの当時を反映したものを読んでいるかと思うのですが、生死不明の夫を待つ奥さんであるとか、卵が貴重品であったとか、頷けるところが多々ありました。
昭和三十年代に入ると世の中も落ち着いてくるようですが、二十年代前半の頃というのは、食糧に物資欠乏甚だしく、道で行き倒れで人が亡くなっていても誰も驚きもしないような、正に混乱の時だったようですね。
電力は安定せず頻繁に停電が発生していたことから、街に華やかな明かりが戻るまでは時間が掛かったことでしょう。
そんな焦土の東京に灯る葵と鷹彦の愛、何度か読み返したい秀作です。

8

戦前と戦後、ネオンに照らされて燃え上がった恋

昭和の時代、日本が戦争で負ける直前の話、そしてその直後を
描いたノスタルジックな話です。

戦中は輝くことができなかった銀座のネオン。
その中を行く2つの影……。
2人はこうして戦後も銀座を歩けるのだろうか……。
想像するだけで、涙が溢れてくるような
悲しく切ない昭和のロマン譚です。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

《CP》
女にだらしない幼馴染 × 勉学に打ち込む学生→通訳

幼馴染の攻めが、いつも女のもとに遊びに行くのを知っていた受け。
しかし、どんなことになろうとも最後には受けのところに
帰ってきていました。
しかし、戦火が日に日に大きくなり、ついに攻めにも赤紙が来ます。
出征の前の晩。
お互いに分からないながら、恋しあっていた2人。
たった一夜、2人は一線を超えます。

ああ、こんなに哀しい出来事があるだろうか。
最後の夜。
生きて帰れるかも分からない。
1人はお国のために戦争に出征し、1人は眠れぬ夜を過ごしながら
日本で待つ……。


そして、恋しい人を待って3年…。
やっと攻めは受けのもとに帰ってきます。
嬉し泣き、悔し泣き、複雑な思い…それらがぐるぐるになって…。
一体受けの想いをどのように表現すれば良いのか。
一緒になって泣きたい程、待ち人の帰還を複雑に受け止めました。

帰ってきてからも、女のもとへふらふらと遊びに行く攻め。
しかし、受けと気持ちがつながってからは女のもとにはいかず、
まっすぐに受けのもとに帰ってきて、一緒に継ぎ接ぎの布団で寝ます。
戦地で一体どのようなことが起こったか、
どのように仲間が次々と死んでいって、
攻めがどのように戦地を駆け抜けて、そして生き抜いたか…
「最後にお前を抱けたからいい」
そう思いながらも、何が何でも帰りたかったと言う攻め。
もう一度銀座のネオンの中、受けと一緒に手を繋いで歩くのだと…。

ここは本当に良いシーンでした。
戦地から帰ってきて、初めて2人が抱き合った夜。
気持ちがつながって良かった。
攻めが何を思い、戦場を駆け抜けたかを受けが知って良かったと
思う場面でした。
事後の布団の中で語る2人は、本当に幸せそうで…
2人共、本当に生きていて良かったとそう思わせられました。

「おまえは、俺にとって銀座のネオンなんだ」

つまり、お前がいなくては明かりがなくて歩けない…。
受けは攻めにそう言います。
まるで受けにとって、攻めが道標でそれをなくしては
生きていけないかのように、その言葉を受け止めました。

   ◆◆   ◆◆   ◆◆

2人は、辛い思いをしたぶん、戦後復興を見つめながら、
幸せに穏やかにずっと一緒に
手を携えて生きていったのではないでしょうか。

時代の大きな流れとうねり、転換点、
きっとそれらを一緒に乗り越えたのだと思います。

銀座のネオンはいつだって、優しく2人を見つめていたことでしょう。

8

素晴らしい。

素晴らしかったです!詳しい内容は既に素敵なレビューがされていますのでお任せして、お話の感想のみを。

本当に素晴らしい、その一言に限ります。
他の方も仰られていますが、まるで映画を観ているような感覚に陥りました。
自由奔放だけどそれを上回るほど魅力的な攻めの鷹彦。なんでしょう、ある意味人間らしさがすごく表れてるのかなと思いました。そして同じぐらい魅力的な受けの葵。芯がしっかりしてて強い、だけど健気でもあり…。
戦争、戦後という時代背景の中で揺れ動く二人の想いと絆に、胸が熱くなりながら読みました。
読み終えた後に残る、少しの切なさ。そしてそれを上回る感動。
きっと何度も読み返す作品になると思います。

6

泣けた〜〜!

もおおおおー泣いた!泣きましたよ!!時代感もたまらず好き。
好き過ぎて雑誌でも読んでたけど、単行本素晴らしいです!加筆部分で深みが出てすごく良かった!!!
素直じゃない者同士、意地っ張り同士、なんて素敵なんでしょう!!
どうして題名が銀座でネオンパラダイスなのか…加筆部分でよくわかりました!男は船、女は港ですなぁ。待ってた時、戦地を必死で駆け抜けた時、帰って…。いやぁ、泣けますわ〜。
苦労ばかりかけたから安心させたい…。男になったなぁ!
ウォルター少尉もいい人ね!彼も幸せになってほしいけどお国にでもいい人置いてきてるんじゃないの?と思ってしまうくらいいい男!

4

素敵です

ウノハナさんの作品全部読んでいますが、この作品が一番好きです。
コミックス全編このふたりのいきさつという美味しさ。
後半デレデレじゃんと思えるかもしれませんが、そのふたりの時間が育てた想いと関係性がまだまだまだ続いてほしいと願ってしまうような、そんな思いを抱かせる作品です。
俺様攻・けなげ受・ごくたまにキレルる受が好きな方にはお勧め。

4

心に沁みる物語

戦後間もない昭和が舞台。トローリーバスが走りだした頃。 
ウノハナさんの2015年の作品。 
読後感が、凄く良い作品。

★鷹彦が戦友の遺品を届けた未亡人が、葵に言う
「どうして? 醜くてみっともないのがいけないの? 可愛いじゃない 必死で生きてる証よ」 
・・この沁みる台詞のために作った作品じゃないかと思った。

出だしの場面は有名な歌、「岸壁の母」を連想。
終戦後の帰還兵を乗せた船が着く波止場でずっと鷹彦を探して待つ葵
葵は、米軍将校の通訳をして生計を立てていた。

鷹彦が戻る日を信じて、ボロボロの借家に住み続ける葵。
葵の古い借家に、出征以来、行方不明となっていた 幼馴染の鷹彦が訪れる。
ひょっこり帰ってきた鷹彦は、役者の卵になっていた。

1

ありがちなのに泣ける

Kindle unlimitedで読みました。
王道にスパイスが効いた感じで一気に読んでしまいました。戦後という重い時代背景がありながらも、ちゃんとラブストーリーとして落とし込めるところがウノハナ先生の力だなと感じました。再会要素もあるのに前半は特にお涙ちょうだいというところがなくて、鷹彦の図々しい俺様的な性格が中心に話が進んでいくので、あんまり暗くなったりしんどくなったりはなかったです。なのに、ラストの映画のシーンは泣けましたね。鷹彦の強引さとか華やかさがスクリーンを通して伝わって、彼の魅力がダイレクトに伝わってくる。「やっと帰ってきたんだな」という安心感が一気に感じられて、このシーンのためにすべて構成されていたのではないかという気持ちになりました。
ありがち展開なのにドラマチックさがあり、ノスタルジックなところもあるけどどこか現代的、というまさに良いところ取りの作品だと思います。

0

昭和のメロドラマ

分厚いです!\(^o^)/
手に取った時にソレだけでもテンション上がりますね♪

舞台は闇と希望が入り混じる終戦後の昭和。レトロな雰囲気がウノハナさんの作風にマッチしてて違和感がなく、とても良かった!!
不遜な男と昔気質の一途で健気な男が昭和の街で繰り広げる恋の物語。
昭和ロマンの世界観に浸れる1冊でした。


ーーーーー(以下、ネタバレ注意です)ーーーーー


銀座老舗呉服店長男坊、不遜な態度で自由気ままな鷹彦(攻)。そんな幼馴染に振り回されながら恋心を秘め、女が途切れた時だけフラッと現れるのを健気に待つ葵(受)。ある日鷹彦の元にきた赤紙で、2人は初めて素直になり「これで最後かもしれない」という刹那の感情で一夜を共にし、別れます。

そして、終戦後に再会。

役者になると言ったものの相変わらずのフラフラいい加減な鷹彦に振り回されつつ、鷹彦が帰ってきた喜びを隠せない葵。
一夜の温もりが忘れられず求めたい気持ちがあるものの鷹彦が何を考えて居るのか分からず、半ば諦めもあり強く気持ちをぶつけることはしません。
そんな折、終戦後3年行方不明だった鷹彦が何をしてたか 何を思っていたかを知りーーーーー。


素直じゃなく恋に関しては不器用な2人が素直に気持ちを話す瞬間が好き!
一途で健気で鷹彦を待つだけだった葵の
「もう、待ちたくない・・・」 ぁぁぁぁヾ(⌒(_///∀//)_
その後の2人寄り添う甘い同棲生活!! ぁぁぁぁヾ(⌒(_///∀//)_
いつも振り回す側だった鷹彦からの嫉妬!! ぁぁぁぁヾ(⌒(_///∀//)_

回想シーンで見せた鷹彦の本音も良かった・・・チャラさに隠してる弱気な一面にギャップ萌え(///Д///)!!

エッチシーン3回あるのですが、やはり戦地に赴く前の ツラく切ない表情の中で好きな人と肌を合わせてる甘さが混じるエッチがスゴく良いです。

昭和ロマンで男女のよくあるお話と言ってしまえば正直そうなのですが、(そういう意味では目新しさはナイです) ソレを幼馴染の男同士でやってくれる事に萌えがありますね!(・∀・)b

ボロ屋で抱き合った2人の
「生きてんだ…な俺たち」「帰ってきてくれて、ありがとう」
の言葉にじんわりなりながらキュンとする、良いお話でした。

評価は神よりの萌え×2です(^ ^)
(神に変更しようか悩んでるので、取り敢えず萌え×2で上げておきます)

9

ネオンの明りに照らされて

思わず目を奪われる、魅力的な装丁が素敵。
ウノハナさんの時代物の新刊、とても楽しみにしておりました。

物語の舞台は戦後の東京・銀座。
戦争が終わって3年、ようやく東京に戻ってきた鷹彦と
彼の帰還を待ち続けた幼なじみ・葵の物語です。

戦争を挟んでいる物語なので、
どんな波瀾万丈の展開が待ち受けているのだろうと
どきどきしながら読み進めましたが、
辛さや複雑さはそれ程伴わず、全体的に読み易いお話でした。

まず、葵のキャラクターがすごく好ましいです。
真面目で勉強家の葵が、幼い頃から鷹彦に振り回されながらも
輝く光に焦がれるように、一途に彼を想う姿がとにかく健気で良い。
鷹彦やウォルター中尉(好き♡)が葵のことを
可愛くて仕方ないと思う気持ちがとてもよく分かります。

鷹彦の方は、葵を傍に置いておきながらも
自分は酒に女に賭博にと、やりたい放題の放蕩息子。
実際にこんな人を好きになったら苦労が多いだろうなあと思うけど、
人を惹きつける天性の魅力があるんですよね。
優れた画力と表現力も伴い、憎めない男として巧く描かれています。

ただ、役者を目指しながらもフラフラ漂っている鷹彦が
葵のために”本物”になりたいと思う変化はとても良かったのですが
大阪から東京へ戻って来た経緯を含め、変化に辿り着くまでを
激動の時代背景を活かし、もう少し丁寧に描いて頂きたかったと、
そんな思いが自分の中に潜んでいることは否めません。

それでも、ふたりが想い合うシーンにはすごく萌えました。
健気な葵も、嫉妬を爆発させる亭主関白な鷹彦も、
イチャラブシーンを含めて、萌えの充足感たるや!
(ウォルター中尉が葵を諦めていないところもイイ)

又、過酷な戦争の最中、互いの存在が生きる支えだったこと
そして、葵が鷹彦を銀座のネオンの明りに喩えた直後の
『帰ってきてくれて ありがとう』の言葉の重みと鷹彦の表情は
読み手の心をやさしく温めてくれる素晴らしいシーンでした。

銀幕の中で生き生きと芝居をする鷹彦を目に映し
号泣する葵に胸が熱くなったし、
鷹彦が記者たちから逃げるようにして葵の手を取り
銀座の街を駆けるふたりの姿も清々しくてすごく良かった!

ウノハナさんだからこそ、”ここをもっと掘り下げて頂きたかった”
という個人的な想いはありますが、
読み易く萌えもあり、素直に楽しむことができる作品です。

現在人気作『犬と欠け月』の続編を執筆中のウノハナさんから
今後も一層目が離せそうにありません!

7

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