条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
kokoro ni itsumo
お店ものが好きなので、特に期待しないで(すみません)購入。
作家さんも初めての方だし……と思ったら、以前「恋と罪悪」読んでました。ああ、あの方か。
中古レコード店を営む東海林と記憶喪失のタイ。加えて、上の雑貨屋のサトコさん。
この三人の関係が、とても好きでした。
最後はタイの過去絡みで色々ある訳ですが、ここらへんがちょっと微妙だったような。
とんでも設定がいきなり出てきます。まあ、それでタイの能力の説明も付きますが、ここまでなくてもよかったような。
加えて、最後のエロも個人的にはなかった方がいい気がします。
独特な雰囲気で、次回作も楽しみになりました。
前半が重く苦しい。
後半、記憶が戻って、謎解きとタイちゃんが自分の生き方を自分で決めて終わるのだけど、オペラの「恋とはどんなものかしら」の歌詞や『アルジャーノンに花束を』を読むと、深みが増します。
久しぶりに凄く面白いと思った作品で、謎解きの読み返しを5回してしまった。
★この作家は、背景など余計なものを入れず、暗示を込めた台詞や小道具を読んでくれ!と意図を込める手法で描いている人なので、台詞の中の言葉を掘り下げると、先の暗示まで理解できます。
残念だけど、タイちゃんの未来について、悲しい暗示がさちこの台詞に出されていた。
『アルジャーノンに花束を』のアルジャーノン。
東海林さんが世話をしている、行き倒れをしていたタイちゃんは、記憶喪失。
音楽を聴いて、映画を観て、キスをしてもらったら、記憶を取り戻してしまい、
タイちゃんは夜半にママを訪ねて住所を調べ、「鬼畜」な(親)の元に戻って行った。
去る時に一枚だけレコードを持ち出していた、タイちゃん。
タイちゃんは、サヴァン症候群。父親に薬物投与されて脳を育成した実験体。本名は律果。
タイちゃんの素性が分かった後、東海林にさちこさんが言う。
・・鬼畜な親が運営する研究所の「タイちゃんは、秘密のアルジャーノンなのね」
東海林がタイちゃんに会いに行く。
「好き」を知って、脳の雑音が増えてしまったと言う律果の父親。雑音とは、「思い出」のこと。
研究所がいう「つまらない人間」として生きることを選び、律果は東海林とススキ野に戻る。
薬物投与を止めた後の後遺症の心配もあるけれど、東海林と恋を始めた「タイちゃんの今」は幸せ。
---
▶一枚だけレコードを持ち出していたレコードの曲。
Voi che sapete:
オペラ『フィガロの結婚』「戀の惱み知る君は」ケルビーノのアリア。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲
K.492/opera 《Le Nozze di Figaro》 Voi che sapete che cosa è amor
▶アルジャーノン(Algernon):『アルジャーノンに花束を』
①ダウン症の胎児を出生前に治療できると期待される化合物の名称。
②ダニエル・キイスの小説『アルジャーノンに花束を』に登場する脳手術を受け「天才」になった白ネズミの名前。飛びぬけた知能を持つ「天才」になるが、手法に「欠陥」があった為、不幸な結末に至る。
タイちゃんの少し先に起きることを暗示している?
中古レコード店を営む東海林(攻め)は、ある日ゲイバーのママから記憶喪失の青年(受け)を預かる。1年前にひどい様子で行き倒れていたというその青年にタイと名を付け、共に暮らすようになるが、タイには記憶がない代わり、一度聴いた音楽をすべて記憶するという能力があった。
記憶喪失の受けと、中古レコード店店長の攻めの話です。
受けには聴いた音楽をすべて記憶する能力があり、その能力を使ってレコード店の客の「こんな曲を探している」という要望に応えています。
攻めはレコード店とともに便利屋もしています。やや無愛想ながらも、音楽以外には圧倒的に知識が足りない感じの受けの面倒もよく見ています。
夜には店舗兼住居でくっついて眠っています。
一般常識もなく、言葉も知らず、「好き」という感情も理解できなかった受けが、周囲の人々との交流や、音楽を聴いたりして、攻めに対する気持ちが他の人に対する気持ちと違うことに気づいていきます。
そんな穏やかな日々が、受けを探していた人物によって壊されます。
じんわりする、いい話でした。でもちょっとわからなかった点がいくつかありました。
なぜ受けは、自分から元の居場所に戻ろうと思ったの? とか。探されていることがわかったとは言っても、自分から逃げ出した場所に自分から戻る意味がわからない。攻めの安全を盾に脅された、とかならわかるんですが。
あと、攻めがいつ受けを好きになったのかもよくわからなかった。
それから、悪役というか受けの元保護者の設定がよくわからなかった。出てきたのも突然すぎたし、受けに執着していた割にあっさり手放すし、そもそもなぜ攻めと会ったのか。受けを取り戻そうとしている攻めとわざわざ会うなんて、危機意識が足りないと思う。
受け攻めのレコード店の上で雑貨屋を開いているサトコさんというキャラがすごく好きでした。三十路なのに受け攻めのお母さんみたいでした。
サトコさんはじめ、いろんな人に可愛がられてる受けは微笑ましかったな。
札幌のちょっと中心から外れた商店街の片隅の中古レコード屋。
その「きつね屋」の店長・東海林に拾われた、記憶のない青年タイ。
一度聞いた旋律は忘れない、音楽の生き字引のような彼だが
好きな音楽はないという……
たうみまゆさんは好きな……というか、とても気になる作家さん。
この新作も、そのひと味違う独特の味わいは健在。
CD屋じゃなくてレコード屋というところもいいし、
商店街の彼らに関わる人たちもとても味わい深い、
人の感情や記憶と分かちがたく結びつく音楽というモチーフも、
一話ごとに一つの曲が当てられている構成も秀逸……
だったのだけれど、テーマが結構大きかった為か
今ひとつまとめきていない感じが残念だったかと思う。
浮き世離れした子どものようなタイ。
無垢な彼が「好き」という感情を知る。
後半、え?そういう背景でしたか?という
少々トーンの変わった感じについていけなかったこともあり
すごく感動的なテーマと結末に
個人的には浸りきることができなかったのが残念だか、
登場人物達も暖かく魅力的で、テーマや構成も意欲的な作品。
今後もますます楽しみな作家さんだなぁと思った。
良い意味で恋愛至上主義で雑多感のないストーリーラインを売りにしている印象の強いDear+に、たうみまゆさんの人間ドラマ色の強い作風は合っているんだろうか・・・と思うのですが、今んとこディアプラからのコミックが何気に冊数出てるんですねぇ。
個人的には何となくゼロ年代のマーブルコミックスの印象がつきまとう作家さんです。
札幌の商店街で中古レコード店を営む〔ユイ〕は、一度聴いた音楽を忘れないかわりに自分のことを何も覚えていない青年〔タイ〕と暮らしている。
特殊な能力以外はまるで小さな子供のようなタイが、ある時何気なく口にする問い。
──「好き」ってなに?
最初はタイちゃんが「好き」を知っていくお話なのかなと思ったんです。
でも、読み進めていくとどうやらそうではない。
タイちゃんを通して、すでに「好き」を知っているはずの周りの人間や読者が改めて「好き」に向き合わされるお話なんだなと考え直しました。
タイちゃんの言葉も、ユイの言葉も、さとこちゃんの言葉も、達郎ママの言葉も、読者を少し立ち止まらせてくれます。
やさしい温度感でじんわりと沁み込んでくるお話でした。
※この先ネタバレありです。ご注意ください。
私が子供の頃、飛び抜けた暗算力や暗記力を持った天才児たちがテレビでもてはやされていて純粋に「凄いなぁ!」と思いながら見ていたのですが、大人になってからその子たちが披露していた“凄い能力”は「サヴァン症候群」の能力なのだと知りました。
その時「天才って何なんだろう?」と思ってしまったのですよね。
タイちゃんの頭の中に一体何千曲、何万曲の音楽がインプットされているのか分からないけれど、その旋律も歌詞も全てがただの「データ」でしかないならそれらを覚えていることに何の意味があるでしょう。
タイちゃんは、記憶を失ったんじゃなくて、そもそも記憶が“無かった”。
「音楽データ」以外のものは全て「ノイズ」。
タイちゃんが脳にノイズ(=記憶や思い出)を残すことは許されなかった。
そんな脳でタイちゃんは毎日どんな風に生きていたんだろう。
何も考えられないだろうし、何も思い浮かばないだろうし、「空っぽ」の頭の中。
タイちゃんはなんで逃げ出せたんだろうなぁ。
そこら辺は少しフィクションの世界での都合のいい展開だったかもしれないけれど、なんとなく希望的観測も込めて、人間の高性能な脳は人間がそうそう完全に操り切れるものではない、という風に解釈しておきたいです。
「ココロニイツモ」、いいタイトルです。
【電子】ひかりTVブック版:修正-、カバー下なし、裏表紙なし
やっぱり好きだなぁ、たうみまゆ先生。
こちらは未読だったのですが、読んでみたらこれまた良かった。
独特な雰囲気で優しい気持ちになりました。
ある日、倒れているところを拾われたタイ。
音楽に詳しいタイを引き取ったのは、レコード屋の東海林。
タイの過去が謎に包まれていて少しミステリー風味もあります。
タイの父親と東海林のやり取りはグッときました。
だったらもっと早く踏み込んでほしかったと思わずにはいられなかったけど、東海林の優しさに感動でした。
「つまらない人間」は、当たり前の人生を当たり前に生きてる人だと思う。
だけど、それを貴重で尊いと思う人だっている。
タイと東海林、彼らを取り巻く面々といつ迄も「つまらない人間」でいて欲しい。
心に残る作品でした。
ちるちる内でちょっとやりとりをさせていただいた方が、たうみまゆ先生がお好きと仰ってまして、それきっかけで読みました。
BL漫画というよりも、もっと広いエンタメないしサブカルの文法を使ってる印象を受けました。深夜ドラマとか、そんな感じ。音楽にまつわる周囲の話で展開させつつエッセンスを置いていって、ラスト付近で主役の謎に迫る、時間の枠がちょっと短い深夜ドラマでみる手法。商店街が舞台というのもそれっぽい。
「BL漫画が読みたい」って方だとちょっと違うと思ってしまうかも。
セックスが"もう始まってる"っていい着眼点だな〜ナイスタイちゃん
すごくシビアな話でした。
まさかそういう方向に転んでいくとは…。
古い商店街にあるキツネレコード。
店舗の奥で暮らす店主兼便利屋のユイ。
その2階で雑貨屋を営むさとこさん(32)。
「でんきあんま」という名前のゲイバー。
夏はかき氷、冬はたい焼きを売るコウジくん。
うろ覚えでレコードを探しに来るヒロシ。
ある冬の雪の日に、「でんきあんま」のあるビルの裏で傷だらけのまま倒れていた「タイ」が、ゲイバーのママに拾われて、ユイに預けられてからの話です。
タイは不思議な子で、音楽全般の知識が豊富。
豊富と言うレベルではなく、もはやデータベース。
だけど自分の名前も覚えていなければ記憶もないし、ふつうのことがわからない。
「好き」という感情や、「キス」をどうしてするのか。
そういうことが全く分からない子です。
タイという名前も、ユイが「たい焼き」からつけたもの。
全体的にほわっと優しい雰囲気で、周囲がタイのことを見守って、最初はちょっと他人行儀だったさとこさんが、ちょっとずつお母さんみたいになっていくのが微笑ましいです。
そんな毎日の中で、消えた恋人を探す男がくちずさむ鼻歌で恋人が見つかったり、ヒロシのろくでもない父親が大事に持っていたレコードの秘密が明かされたり、音楽と結びついた思い出がいくつも出てきます。
匂いと音楽が呼び起こす記憶って、結構根強く頭と心に残りますよね。
街でふとすれ違ったひとの香水で昔付き合ったひとを思い出したり、ラジオでかかった昔の曲で当時のことを思い出したり。
でもたくさんの音楽を知っているタイには、呼び起こされる記憶がないんです。
後半はタイの謎をユイが突き止めていく展開でした。
前半のまったり感と終盤のテンションがだいぶ違うので、「おお?」ってなってしまいました。
「おお?」とはなるけど、ひとの「好き」という感情に対して、見返りを差し出さないといけないように考えていたユイが、「相手に自分が何をしたいか」で動いたのには感動したし、「好き」という感情を知って、音楽に思い出が結びついた単なる「データベース」ではなくなったタイが、自分のために生きる道を選ぼうとする姿にも、心が震えました。
深かったです。
想像していたものとは違ったけれど、あたたかい何かを受け取れた作品でした。
じんわりほのぼの商店街の日常とじれじれパキッとした展開が面白かった!!
各話、曲と絡めたお話になってるのも、脇キャラの味も良い。記憶喪失不思議ちゃんだったタイ、のらりくらりなユイの変化も良い。センスの塊~
"でんきあんま"の キャラもみんな濃いくて良い人ばかり!!さとこさんが後半、キャラ変わってきたのも笑っちゃいました。
これまで読んだたうみまゆ先生の作品と雰囲気(特に受け)が違ってたけど、こういう優しいお話も好きです。魅せ方、会話が子気味良い!!
そして、修正気にならない安心アングル!!
微エロだけど、初めてのキスシーンにグッときました!!ユイの漢気を見た~~~
まるまる一冊表紙の二人のお話です。
記憶喪失のタイちゃん。ゲイバーのママにひろわれ、レコード屋のユイのところに居候しています。
音楽の記憶力が半端なく、一度聴いたら忘れないし、どんなワンフレーズでもピタリと言い当てしまう。それを活かしてユイの仕事を手伝っています。
タイちゃんの過去、ご近所さんの女性、ゲイバーの温かい人たち。
そんな人間模様が面白く、二人の恋もリアルな感情があって読み応えありました。
独身でお店持ってるような女はもうオカマよ〜、のセリフに爆笑。どこかコミカルながらも哀しみがあるお話、じんわりきました。