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barairo no hoho no koro
(※旧版を読んでの感想。)『Jの総て』の前日譚ということで、Jが学園にやってくるまでのモーガンとポールの話が描かれていました。進学校であるが故に、大人達に都合よく利用されてしまう2人の子供の激情のぶつかり合い。読んでいて苦しくなってくるほどでした。モーガンが自分の感情を真っ直ぐぶつけ続けるのに対し、ポールは諦念を覚えどんどん感情表現が乏しくなっていく。この対比も虚しかったですね。
2人とも家庭に恵まれなかった(お金はあるけれど両親と和やかには暮らせなかった)という点では共通しているはず。でも、モーガンはまだ両親に怒りをぶつけることができるけれど、ポールにはもうその対象すらいない。それが2人を対照的な性格に変えていったのかもしれません。ポールに感情を取り戻させたのがモーガンではなかったのは残念でしたが、こんなに周りの人のために生きてきたモーガンにもきっと、晴れやかな人生が待っていると祈りたいですね。ジェリーとユージーンの気持ちの行き違いも、この時期にありがちな話で共感できるものでした。
旧版を持っているので購入をためらっていたこのシリーズですが、こちらの描き下ろしが読みたくて、発売日に買いに走りました。
『Jの総て』の前日譚ですが、旧版のレビューで多くの方が『J』から読むことをお勧めしていますが、どちらから読んでもいいと思います。『Jの総て』は異性とのSEXが結構あからさまに描かれているし、Jが性同一性障害の主人公なので、ちるちるユーザーなら『ばら色』だけを読むのもありかと思います。『ばら色』にも異性とのSEXはありますが、サラリとしています。『J』を読まなくても、こちらだけでも読んでほしいなと思うぐらい、とても素敵な作品なのです。
12歳のギムナジウムの男の子たち。中村明日美子という人は、この年頃の男の子を描くのがなんてお上手なんでしょう。いや、男の子だけじゃないんですよね、近年描かれている少女漫画の女の子たちも然り、思春期の少年少女たちの、子供であるゆえの未熟さとか痛みとか、どうしようも出来ないもどかしさが、明日美子先生ならではの個性的な絵柄で展開して、その絵柄はギムナジウムという舞台にピッタリで、彼らの父親を絡めたストーリーは切なく胸に迫り、その突出した個性は私の琴線を激しく揺さぶり、魔法にかかったように惹き込まれてしまいました。
ポールとモーガン、相容れない彼らの心が確かに近づいて、そしてまた離れてゆく展開は苦くて青い青春そのもので、当時の描き下ろしで大人になった彼らが穏やかに談笑しながらも、チクリと小さく胸を刺すような痛みが、青春を振り返る年齢になった私には、キリキリと心が締めつけられる思いがしました。
旧版との違いは本のサイズと、表紙、旧版の表紙の次のタイトルページが新装版には無く、旧版の表紙袖にあったジェリーとユージーンのイラストが新装版の最終ページに背中合わせにカラーで描かれています。その前のページには旧版の表紙絵のポールとモーガンのカラーイラストです。
そしてこれが目的で購入した描き下ろし『Christmas holiday』。クリスマス休暇に寮に残るポールを訊ねるモーガンが4ページで描かれています。不器用で優しいモーガンと、いつものように対応するポールの「ありがとう」に、ぽっと心が温まる物語。たった4ページですが買ってよかった。