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好奇心が引き合わせた、大人の苦い恋、お届け。
kimi ga shuuchakueki
你是我的终点站
ロッキーさん独特の繊細で有機的なお話でした
完璧で隙のないエリートサラリーマンを装っている幸村
でも、それは自分のマイノリティな性癖を隠す為の鎧だった
そこに現れた適温の中でぬるく生きてきた大学性の沙樹
ゲイ×ノンケの物語です
幸村は父親に知れてしまった性癖を治すように
マトモな男をしての生活を強いられ、自らもそのように生きる事で
異質な自分を閉じ込めようとしていた
でも、変われず、その歪みから秩序を乱されると我慢出来なくなる
強迫症に陥っていた
きっと、乱れた自分から漏れ出る異質な部分が他者の目に触れてばれる
事を恐れていたから
でも、沙樹に出会い惹かれ受け入れて欲しいと思うようになる
沙樹も周りのマイノリティへは偏見無く過ごしてきたが、それは積極的に受け入れている訳でもなく、無関心なだけだった
しかし、幸村に惹かれていく自分。
でも、この恋に先は無い、そして普通ではない
お互いに深く踏み込み考える事を避けながら、でも触れずにはいれずに、
手を伸ばし体を繋げる二人
でも、幸村は世間への葛藤等から疲弊していき沙樹を手放す事の難しさよりも失ってしまうかも知れない現実を受け入れる方を選択する
沙樹も幸村に関わりながらも、覚悟を持ってとまでは出来なかった
それぞれの人生の流れの中で自然に離れていく二人
そして日常の中で再び巡りあう二人
沙樹を初めて引き止めた幸村
幸村に渡されたお守りは持ち続けていた沙樹
今、ようやく二人で向き合い出す
自分たちを受け入れてくれる人達もいる
そして、何より君を手離してしまった後悔よりもつらいものはなかったと
弱さ、迷い、逡巡を乗り越えて行くまでも過程が丁寧に描かれてました
付箋の様な美しいセリフを追いながら再読するとより一層心に沁みます
すんなり甘くなれない二人 マイノリティの葛藤がリアルでとても好きでした
ロッキーさんの大人BLの世界観
脆くて儚げで、でもそんな二人が向き合えるまでの過程が感情移入しながら
見てました
そっとしまっておいて、心が疲弊した時に見返したいそんな一冊です
ロッキーさんの美しい絵も眼福でした
これからも、しっとりと内面に焦点をあてた素敵な作品を描いて欲しいです
大好きです、応援してます
絵柄と空気感とモノローグが完全に合致して、作家さまにしか描けないストーリーを作り出す。前作は短編集でしたが、今回は表題作のみ。じっくりと物語の世界を堪能させていただきました。
大学生の沙樹は一人暮らしを始めたばかりで、食事時に一人になるのが苦手。友人達と晩ごはんするのに必死なのだけれど、皆予定があって振られてばかり。ふと知らずに入ったゲイバーで、幸村という男と出会う。
沙樹にはゲイの友人がいるので、男同士の恋愛は遠い世界の話ではない。幸村は物静かな大人の男だが、バーで沙樹に声を掛けたのは彼の方。二人の距離の詰め方が秀逸です。沙樹の家族や幸村が抱える問題などがさらりと盛り込まれながら、流れるように心温まるエンディングへと辿り着くことができました。
勝手ながら個人的に神作品とさせていただく目安に、読んでいる最中に前のページに一度も戻ることがない、一読で人物の名前が頭に入る、誰のセリフか見失うことがないというのがあり、この作品はそれらをしっかりと満たしてくださいました。けれどわたしの力不足で読みどころを旨く言葉で説明することができません。余裕がありましたら、ただただ読んで感じてみていただきたいのです。
繊細な作風の作家さまの作品なので、それに相応しいセンスが良くて文章がお上手なレビュアーさまがたくさんいらっしゃる中、わたしなどがレビューを挙げて申し訳ありません(汗)。こんなオバでも心動かされた作家さまの魅力を伝えずにはいられませんでした。乙女心を持つ方には是非読んでみていただきたい、とても素敵な作品です。
優しくて理解のある人だなあと思っていた人は、実は物事に”無関心”だからなんだ、と身近でもそう感じることがありました。それが心地よいと感じるか否かは人それぞれだとは思いますが、沙樹の無関心が故の受け入れの姿勢が、周りの人間にとって、大きな包容となっているお話。
沙樹の無邪気な無関心さや幸村さんの危なげできっちりしすぎた性格の表情等・・・ロッキーさんの絵がはまりすぎていてすごく引き込まれます。どこか背徳的なものを漂わせる絵というか。表紙もとっても綺麗でタイトル部分が白いパズルになっているのも内容とリンクしているのですね。
沙樹の姉と友人のキャラもよかったです。とくにお姉ちゃん。び、美人!笑 姉ちゃんのストーリーももっと読みたくなりました。笑
好きなシーンはふたり床に寝転がってパズルしているところ。可愛い。
最後の「未練なんてないって思いながらパズルのピースを持ってた」という沙樹の思いが、以前の沙樹の無関心を裏返しているよう。幸村との出会いが変えた沙樹の最後のページの表情にキュンときました。笑
デッサンがしっかりしていて描写が綺麗。
場面展開がシネマのようで、読んで疲れなかった。
難を言うなら、白黒ページは人物の識別が難しいように感じただけです。
情動せず冷静な分析を心がける主人公の、人関係構築を感情を抑制しながら観察した記録のような展開の、シネマっぽい背景の描写。
同性愛嗜好がカミングアウトして、親に拒否られた時の心の傷が癒えない年上と、でき婚した姉を持つ大学生の恋についてのこの作品のテーマは「受け入れることが出来るか?」・・かな?何度も作中にキーワードが出ています。
主人公の姉は、両親から将来を期待されていた聡明な人。大学入学後にすぐ家庭教師の男性と駆け落ち、でき婚。姉が産んだ息子はとても素直なかわいい子。
姉の恋愛をうけいれて「応援する」と言ったのは唯一、弟だけ。
主人公が、知らずに入った専門のバーで出会った恋人は、親との関係に悩む、心が壊れた潔癖症。
恋人に教えられて、真っ白なパズルの組み立てを始めて、仕上げの1ピースを抜いたまま「忙しくなる」の言葉の後に一年余り音信不通に。
主人公も連絡をせず、そのまま1ピースを保持したままの主人公と恋人は、偶然街で見かけて再会。出会った頃には想定できない言葉を交わす二人・・恋人は少し病んだ心が癒えていました・・という場面で幕。
知性が感情を押さえる二人の恋愛は、冷たい水の中で感触を探りあう魚二尾という感じの、パズルのピースを確認しながら埋めていくような恋愛描写です。
ハッピーエンドで終われたのは、主人公がなんでも受け入れるキャラ設定だから、ということなのかな。心理学を土台にしているのか、綺麗な描写の作品でした。
ドロドロなエッチシーン無しなので、私は好きす。
ロッキー先生の作品は3作目です。
説明は最小限で語られていますが、
かなりセンシティブなお話で沁みました。
そして、こうなのかな。と思うところが
定まるまでに時間がかかり
レビューも何度か修正しました。
いいね、をくださった方、すみません。。
とても読み下すには複雑な心境を
最小限の演出で描かれているため、
解釈のような形になったことを
ご了承ください。
レビューのタイトルにさせてもらった
平凡な日常を送る、話のなかの2人をはじめ
読んでいる、こちら側にもめちゃくちゃ刺さってくるのは
普段は言葉にしたことなく
したところでどうにもならない
見て見ぬふりをしてやり過ごしてる心境を
見事に言葉にされてしまってるから。
現実とのリンクがヤバかったです。
お話は、大学生の主人公が
大人の男性と出会い、色々な経験をしながら
本物の恋愛を経験していくという物語です。
主人公の沙樹くんは、友人から無関心だと言われてしまう人物。
その理由は語られておらず、
ただ家族間の確執を側でみてきたり
しながら、自分も他人との関わり方を
模索しているような、
また、ひとり暮らしも始めたばかりで
ひとりでする食事が寂しいと言ってることから
まだ若く世間知らずの普通の大学生です。
とはいいつつも、ゲイの友人がいて、
世間でいわれる多様性についても
とりあえず承知して付き合いうことができる。
当事者にはなれないけれど。
ただ周りを見ていると
家族の反対を押し切って駆け落ちまでして
結婚した姉と、
いかにも想いが通じ合っている旦那さんの
仲睦まじい姿や
恋人を欲しがっているゲイの友人を見ていると
自分はそこから取り残されているような気分になってしまう。
どうしたら、自分も…
そうしているうちに
ひょんなことから、家族でも友人でもない
いかにも大人の男性、幸村さんと出会います。
他人との関わり方や、自分のこと
知りたい好奇心のおもむくまま
食事をしたり、相談に乗ってもらったりと
付き合っていくうちに
幸村さんの心の病のことを知ります。
彼の印象をひっくり返してしまうくらい
その症状は軽くなく、
打ち明けられた事を嬉しく思う一方で
関係は今までになく深いものになっていきます。
それを経験として捉えていく沙樹くん。
なんだかまだ恋愛とは違うものなんですよね。
自分はゲイではないし、
治す薬はないと言われてしまった
幸村さんの心の病を気の毒には思えるけれど
当事者になるとは考えられないでいる自分。
対して、ゲイの幸村さんは
沙樹くんの好奇心を利用するかたちで
距離を詰めていく。
自分を受け入れてくれそうだからというのも
ありそうですけど、
緩やかなこの関係が、いかにも大人のそれで
読んでるこちらに気を持たせるというか
ほんとここの描き方は絶妙なんです。
そして出会ったとはいっても、
ここで描かれてるように
何かのきっかけで簡単に距離ができ、
関係を修復させたいと思えるエネルギーもなく
そのまま自然消滅する関係は珍しくないものだということも
現実のあるあるも容赦無く描かれます。
これ、BLマンガ的なときめきとか萌えといった
演出とは無縁のリアリズムで描かれていくんです。ほんとヤバい…
この場面は沙樹くんのモノローグで綴られていくんですが
最初、その冷めた感覚に追いつかなかったんですけど
ストーリーの上に流れる少しの気持ちの揺れも描き逃さないロッキー先生の視点に
今は痺れまくっています。
親切な語りとは違いますが、
すぐに全てを分からなくていいと思います。
読み返したくなった時の自分でまた気付いていくような読者体験もありだな、と。
自分が誰かにとっての特別な存在になる
沙樹くんは味方、という言い方をしていましたが
恋愛の先のかけがえのない想いを交わす
ことのできる相手との縁は奇跡に近いものなのかもしれません。
最後はそれを静かに噛み締める沙樹くん、幸村さんに
自分もまた、自分なりに幸せを感じて読み終えました。
なかなか掴むことのできない曖昧なもの
でもそこに確かに救いを感じられる
素敵なおはなしでした。
静かな時間を過ごしたい時などに
おすすめです❤︎
何年も前に読んだ作品ですが、今でも強く印象に残っている作品です。
ロッキーさんの「86万円の初恋」が何回読んだか分からないぐらい大好きなので、本作も可愛いオンマユであっけなく陥落。
あ~今気づいたんですが、この作家さんの場合、とにかく髪型にツボをことごとくやられてます私。
すっごい良いです・・・とにかく絵が唯一無二のテイストで、すんごく良いんです・・・!
ロッキーさん著作を読んだことない方には、ぜひとも本作、もしくは前述の「86万円~」の試し読みだけでもしていってほしいです。
「ゲイ会社員xオンマユ前髪がひっじょーに可愛いノンケ大学生」
内容も絵柄に超絶似合う、静かな空気がゆっくりと流れていって、大人の雰囲気しっとり、そしてじっくりと惹かれ合う。
逆に無表情なのがあまり好きじゃない方には合わないかもしれません。
てゆーか1話の最終ページよぉおおおーーー!!(←落ち着け)
○を握って、なおかつあのセリフはずるい!
ギュンギュンきました。
これはイケオジに入るんだろうか?
イケオジ本棚に入れようかどうしようか迷う…
(とりあえず入れておく)
本作と「僕の幸福を紹介します」は試し読み部分が常に33ページ(丸々1話)もあるのでぜひ。
あと、アンソロ本「メスイキ×熟れおじBL」に収録されてる同著者の「はじめまして、おひさしぶりです」が、さいっこうのイケオジでさいっこうなので、作者名とタイトル併記で画像検索してみてください。
(ダブルクォーテーション(")でタイトルを囲んで、フレーズ検索にすると確実です)
このレビューをきっかけに少しでもみなさんにロッキーさんの良さを知ってもらえたら幸いです。
あ、50ページ目で「ごっくん」して攻めのノド仏が動きます!
これって激レアでは?
ノド仏フェチさんはぜひ!
大学生の沙樹(サキ)は一人でご飯を食べるのが苦手。
夕飯後、友達と別れ何気なく入ったカフェバー(ゲイバー)にてサラリーマンの幸村(こうむら)と知り合う。沙樹がゲイではないと知りつつ、二人は時折夕食を共にする仲に。この穏やかな関係が続くと思っていた沙樹。しかし幸村の自宅へ初めて招かれた日、優しい彼の弱味を知ってしまう。
ロッキーさんの作品、初めて読ませていただきました。
表紙に惹かれて買ったのですが、繊細な絵だけではなく物語にも作者さまの世界観が現れておりとても惹かれました。言葉選びや人物の切なげな表情が素敵です。
他人のもつ『個』に偏見も否定の言葉ももたない沙樹。
嗜好や性癖、各々が抱えている事情に深く立ち入ることはせず、常に傍観の立場でいました。
友達との関係も女性との関わり方も可もなく不可もなく、流れるように生きてきた沙樹。
『受け入れることでしか他者と関われない』
そう考えつつ、仲睦まじい姉夫婦を眺める沙樹の胸中は淡々としながらもどこか言いようのない寂しさを滲ませています。
そんな沙樹が初めて踏み込んだ相手。それが幸村でした。
幸村との時間を過ごすなかで沙樹はそっと彼のことを観察します。
会話や表情、ささやかな仕草。パズルのピースのように散りばめられる「幸村さん」という一人の"個"の欠片。それらを少しずつ拾い上げ、合わせながら沙樹が幸村を深く理解しようとしていく様がとても印象的でした。
しかしふとしたきっかけで離れていく二人。
世間一般の普通と、その普通であれない己との”ズレ”に苦しみ続ける幸村。ぼろぼろの心は好きな人を繋ぎとめる余裕さえなく、離れていくままに任せてしまう。
沙樹もまた、どこかで予想していた結末だと静かに幸村の元を去り、何も変わらないまま受け身の人生に戻っていく。
そして再び出会った時、はらはらと溢れだす言葉は、離れていた間も、かつて一緒にいた時も、伝えたかった、言わなかった気持ち。
悲しみも恐れも諦めもあった。共にいたいとも思っていた。
けれどその時間のなかで、かつてから変わったこともある。
こうして再会した"今"だからこそ紡げる確かな気持ちをそっと抱き締める
二人。
切なさと静かな温もりをはらんだラストは本当に素敵でした。
人の内に沈む思考や感情を現実味のある形で描かれていて、色々と共感しつつ作者さまの儚げな作風が合間って感無量です。
読んでいて感情が高まる、というような作品では決してないのですが、こうして心に残る作品もなかなかないようにも思います。
またこういったお話を読んでみたいです。
ロッキーさんの作品の雰囲気は、フランスのモノクロ映画みたい。『僕の幸福〜』の登場人物もそうでしたが、こちらの作品のカップルも、落ち着いて見えて実は情熱的な部分を隠し持っているふたりです。
他人に無関心でノンケで、そのくせ一人で食事をするのが苦手な沙樹が、たまたまゲイバーで会った幸村には興味を示す。だが、幸村の方も厄介なコンプレックスがあった。
惹かれ合ってはいるのに、なかなか恋人同士にはなれなかった二人は、沙樹が社会人となるのをきっかけに距離ができてしまう。
再会後、幸村が沙樹を自宅に連れて来た時、手が震えてなかなか鍵が開けられなかったシーンは、ホロリとなりました。幸村は、あと一歩を踏み出せなかったのを後悔してたんだろうなぁ。
あと、沙樹の姉が沙樹の背中を押してくれたのも大きいと思います。
とても静かなお話。
前回のコミックスが物足りなかったのですが、今回は良かったです。
静かに淡々としたお話は、やはりこれくらいの尺があったほうがいいですね。短編だと足りなすぎる。
特に大きな事件がある訳でもなく、二人の間で感情をぶつけ合うこともなく、静かに流れるお話が心地よかったです。
お互い深く踏み込む事を恐れながら歩み寄っていく様が丁寧に描かれていて、読み終わった後しばらく余韻に浸れました。
沙樹も今までは思いもしなかった別の道を歩む事になりますが、沙樹のお姉さんの方が行動的で激しい人生歩んでますよね。ここの対比も面白かったです。
次回作も期待しています。
初読では感じたことを消化しきれずに、レビューを書けませんでした。
数年寝かせて読み返し。
飲み会のあと飲み足りなくて、ひとりでバーに入った沙樹。
周囲の客の雰囲気に違和感を覚えつつも、帰りに名刺を渡された彼は…。
という始まり。
「間違えて入っちゃった」経験ってすごくよく分かる。
「たまには違う店に行ってみよう」と入った日比谷の古い喫茶店がヅカファン御用達だったり、アメリカ留学時にふつうの本屋だと思って入った書店がLGBT専門書店だったり、場違いな自分のいたたまれない気持ちがすごく分かる。
沙樹が一人暮らしを始めたばかりで、ひとりでごはんを食べるのが苦手というところから、名刺をくれた幸村との関係が発展していくのですが、沙樹が無神経なんです。
恋人が欲しいと言うゲイの友人に幸村(こうむら)を紹介しようとする。
これってすごく失礼な話なのに、本人は良かれと思って言ってるからタチが悪い。
そこに気付かせる幸村のやり方がスマート。
大人な幸村と、まだまだ子供の沙樹という構図は実は冒頭まで。
幸村の家へ招かれたときから、沙樹の母性本能のようなものが発揮されます。
この立場の逆転がすごく不思議というか、沙樹がどうしてそこまで?って思うくらいカウンセラー以上の働きをするんです。
「どうしてそこまで?」の部分は、姉との関係が絡んでいたり、人との関わり方があったりと多岐にわたっていて。
だけど根底にあるのは、「誰かの1番になって寄り添いたい」っていう気持ち。
たぶん一度読んで全部が分かるという作品ではなくて、何度も読み返すたびに発見があります。
たとえば幸村がバーのカウンターでたまたま隣り合わせた沙樹に声をかけた理由。
単純な一目惚れとも読めるし、幸村が強迫性障害を患っているせいで、ゲイバーの中で唯一「そうじゃない」異質な存在だった沙樹の存在が気になったとも読める。
沙樹が幸村の問題に踏み込んだのは、助けが必要だった姉に「応援してる」という言葉しかあげられなかった自分の不甲斐なさを挽回したかったからかもしれないし、自分より大人で完璧に見える幸村の欠けたピースに自分がなることで、自分が誰かの1番になれることを望んだだけかもしれないし、もっと深い理由があるかもしれないし。
全部のモノローグをきっちり読んで、その真意を探ろうとするとおそらく論文が書けます。
それだけ蜘蛛の巣のように張られた伏線や思考の繋がりが複雑。
読み応えがものすごいです。
そういう手法的なことでも凄いんだけど、単純に萌えるんだよなあ。
幸村を深くまで受け入れた後、なかなか会えなくなって離れることを決めた瞬間。
沙樹の負担を考えて、引き止めることができなかった幸村の気持ち。
それでも1ピース欠けたパズルを完成させて待ち続けた幸村と、幸村からもらった1ピースをずっと持ち歩いていた沙樹。
萌える。萌えるんです。
初読で評価を入れてしまったけど、これは「神」だったなあ。
ちなみにタイトルの『きみが終着駅』。
英語で言うと”You are my wonderwall.”
ロッキーさん、oasis好きだよね!?と思ったのはわたしだけではないはず。