心の一部が、甘く崩れていく音がする。

愛しのいばら姫

itoshi no ibarahime

愛しのいばら姫
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神197
  • 萌×274
  • 萌29
  • 中立6
  • しゅみじゃない8

--

レビュー数
40
得点
1374
評価数
314
平均
4.4 / 5
神率
62.7%
著者
凪良ゆう 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
湖水きよ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
シリーズ
365+1
発売日
価格
¥670(税抜)  
ISBN
9784829625866

あらすじ

美貌のモデルでありながら、自身に価値を見いだせない美山。新鋭デザイナーの久保田は、そんな美山を朗らかに受け止めてくれて…。

表題作愛しのいばら姫

新鋭デザイナー,27歳
トップモデル,27歳

その他の収録作品

  • yes
  • あとがき

レビュー投稿数40

スピンオフ

前作「365+1」のスピンオフです。前作を読んでない方はぜひ読んでから、こちらを読むことをおすすめします。この作品の美山靫彦というトップモデルが他人から見たらどんな人なのか、よくわかると思うので。

前作で紺と綾野を引っ掻き回して、結果的に2人を元サヤに収めてくれた靫彦ですが、なかなかに寂しくて辛い生い立ちをしていました。そして本気で好きになった男性と、その後についても詳しく書かれています。本気の恋を手酷い振られ方をしたことで人を信用しないように生きている靫彦。

そんな靫彦のお相手は…と言うとちょっと意外な人物。こちらも前作から登場の紺や綾野と同郷の先輩、デザイナーの久保田でした。クリエイターにありがちなプライドの高さはありながらも決して傲慢ではなく、靫彦をまず1人のトップモデルとしてリスペクトしているところがとても良かったし、そこが靫彦にも響いたんじゃないかと…。

とにかく面倒臭い靫彦を深い愛情で包み込んでくれる久保田の愛し方がとても好みでした(個人の感想です)。また、靫彦のあしながおじさん的存在の当て馬さんも最終的には嫌な奴じゃなくなって全体的に丸く治まって最高のハピエンだったのではないかと思います。

また個人的な好みの話になりますが、口が悪くてツンツン女王様なんだけど実は寂しがりで甘えたな受けちゃんと、受けのお世話をしっかりしてくれる攻め様が大好物なので、大変よく刺さりました。

1

恋すると人は変わるよね

スピンオフ作品だそうですが、先に読んでしまいました。
「365+1」も買ってあるのに〜。
でも全く気にならずに読めたので結果オーライ。

素直じゃない美人受けがノンケに恋しちゃう、少し切なくも幸せな物語でした。
16歳の頃から年上の金持ちに囲われていたり、夜遊びもそれなりにやってきて、でも前の恋愛で大失恋をしたユキが、叶いそうにもない恋に落ちてしまうんです。
頭では分かってても、止められない恋心。
そして自分の操縦がきかなくなる…それが恋ってやつよね。
相手の一言や態度で、天にも昇るし地獄にも落ちそうに悩むユキが可愛くて微笑ましかったです。

攻めの久保田もノンケでありながらユキをほっておけない気持ちから好きになってしまって、同性に恋をしてしまった戸惑いが隠せないのもよく伝わってきました。
久保田目線の部分があったらなぁ、と思いました。

モデル、服飾業界のお話としても楽しめます。
凪良先生の作品はそういう部分もしっかり書かれているのでラブ以外の部分も楽しいんですよね。

スピンオフ元を読むのも楽しみです♡

0

ノンケと美男

いばら姫、とは、超絶イケメンの美山。実はスピンオフだと知らずこちらから読んでしまいました。
元作品を読んでいたら少し印象が違ったかな?

美山はモデルとしてプライドがあり、実際に一線で活躍している。しかし幼少期に家庭があまりうまくいっていなかったせいで、人間として愛情に飢えています。
一方の久保田はデザイナー。こちらはノンケで、あまり策略を巡らすタイプではなく、明るく面倒見がよく人タラシな感じ。

包容力の高い久保田にだ惹かれる惹かれる美山ですが、相手がノンケだけになかなか恋にならず。。

実際はこんな感じなのかな?ノンケさんとの恋というのは。。
なかなか恋にならないので、美山がむしろ不憫でした。
でも終わりよければすべて良しかな?

美山のパトロンだった灰原さん。こちらも包容力という点では抜群で、美山をひきとってトップモデルにしただけでなく、最後は久保田に譲るなど、ちょっとできすぎの感じがありました。

久保田がなかなか自覚しないので、読んでる方もじれじれしてしまった。
面白かったけど今ひとつ乗り切れず。。ごめんなさい。

0

良い話だった

「365+1」のスピンオフ
紺の家に、電気を止められる都度にホテルの代わりに泊りに来る
美貌のトップモデル。

棘で素の自分を防御した隙のない「いばら姫」が、
棘を隠して、素の自分、白いカメリアが似合うユキちゃんに成れる
全部を理解して包容する、久保田を受け入れることができてよかった。
というより、粘り強く愛を捧げる久保田の献身愛に感動した。

ユキちゃんは、傷つきやすい繊細な人。
それを見抜いた久保田の目は確かで、慈愛に満ちている。

久保田の白い花を見て、ユキが母のお手玉を思い出す場面や、
「恋をしているせいで、秋の訪れが・・」のくだり、とかの言い回しが素敵。

凪良先生の作品の中で、一番捻じれていない恋物語だと思う。

0

ドラマ化してほしい

スピンオフと気が付かないまま読みましたので、こちらだけで読めると思います。
デザイナーとモデルが主人公、キラキラしていて、ドラマ化してほしいと思う作品です。
最近はBLも実写ドラマが放送されるようになったので期待したい。そして枕元に埋め尽くされたカメリアとウエディングドレスやシャツなどが見てみたい。
母親へのトラウマや裏切りに傷ついた主人公が
全て理解できなくても、わかりたいと思ってくれる相手と出会い、強ばった気持ちが解れていく様子、描写に癒されました。
今回も期待を裏切らない一冊でした。

0

グイグイ読めた!

『365+1』のスピンオフですが、未読でも大丈夫でした。
いやー、ほんとに読み放題ありがたや〜です。
   
人気モデルの美山とデザイナーの久保田が主人公。
何か大きな出来事が?……と思ったけど、特に何もない。
相手を知るほどに好きになって好きになられて──という、普通のラブストーリー。
それがこんなにロマンチックでドラマチックに仕上がるんだから、凪良先生は本当にすごい!

美山の結構キツイ生い立ちとかパトロンのこととか、サラサラ〜っと語られるけど、それがちゃんと美山のアイデンティティの形成に影響していたと分かる。
ツンツンしてるけど、本当は寂しがりやで愛されたがり。
眠りが浅いのも、帰ってこない母親を待っていた癖だと分かるから切なくなる。

久保田はノンケの人たらしですが、美山に惹かれていく姿には共感出来るものがありました。
正義感やプライドを振りかざさず、使えるコネは使うという人間臭さも良かった。

キャラとストーリーどちらも素晴らしく、二人の恋路が気になってあっという間に読み終わりました。
元カレ・槙原とのその後が詳しく語られないのもリアルですよね。
馬に蹴られて死んじまえー!って感じだし(笑)

描き下ろしも甘々で素敵でした♡
美山のドレス姿見てみたかったなあ。

1

人魚姫タイプの健気系自己犠牲愛

スピンオフ元の作品でお気に入りキャラだった美山が主人公のお話、当然期待しながら読んだ。
散々めんどくさいと言われる性格の美山は、遠くから見ている分には分かりやすくて好きなタイプ。対する久保田は清潔な魅力があると思った。

悲観的な美山が欝々と悩みながら進むため、物語の雰囲気はあまり明るくない。おかげで仕事が上手くいけばいくほど落とされる恐怖に怯えながら読むことに。
そして迎える昔の男との取引……久保田のブランドを推薦する代わりによりを戻せって?この展開、古臭すぎじゃないか?さらにそれを受け入れる美山の自己犠牲で完全に引いてしまった。自分を犠牲に愛する男の仕事を成功させる、それを相手はかつて好きだった女のおかげだと思っている、それなんて人魚姫?
一見健気な行動だが、本気で久保田をリスペクトしてたら、失礼になるそんな取引はできない。何より相手が喜ばないことをしてしまうのが残念。久保田なら実力でのし上がると信じて取引なんて蹴って欲しかった。実力だけでやれない世界だと誰よりも知っている美山であっても、好きな人の仕事を信じられないという一点はどうしても引っかかる。相手のためというより自分が何かをしたい(してあげたい)というエゴが勝っているように思える。

その後なんだかんだあって久保田が腹を括る、その潔さはとても良かった。
スカっとさせてくれる展開やスマートに身を引く元彼が物語を締めにかかるのは少々流れ作業的。プロポーズはいかにも女子ウケが良い盛り上げ方、こういうの好きだよねーと惰性で読む。
自己犠牲愛を見せつけられた時点で美山から気持ちが離れてしまっていた。

作中に出てくるハイジやタッチは知っているがいまいちピンとこず、時代と年齢設定はどうなっているんだろうと思った。はっきり言って古すぎる。華やかな世界の話なのに古臭いエピソードを挟んだり、作者とキャラのジェネレーションギャップを考えてしまう。

サバサバ系かと思いきや全然そんなことはなかったという、美山の悪い意味での裏切りが最悪だった。強気に見えて実は脆く繊細、てだけなら良かったのにな。

2

ツンデレ美人好きなら、是非

美しい彼シリーズで凪良先生を知って他の作品も買い漁ったのですが、BLアワード2020で紹介されていたこちらの作品から読み始め。
悩ましい彼に美山が登場してたっていうのも気になって。
365+1のスピンオフの今作。
前作未読で読みました。

ネグレスト気味の母子家庭で育って16歳で生きていく為に自分のスキルを活かしてパトロンにサポートして貰いながらモデルとして生きてきた、美山。
寂しさ、満たされなさから不眠に悩まされ、
自己評価の低さから将来を悲観的に捉えている。

そんな美山には、デザイナーの久保田はお日様の様なお父さんの様な存在に感じたんじゃないかな。
好きにならない様に、気持ちにブレーキかけながらも惹かれていく美山にキュンキュンしました。

トップモデルの美山を崇めてくれている久保田、
美山は恋愛的な意味で久保田を好きになっていく。
地元の幼馴染の里江も絡んできて、あー、切ない〜。

クライマックスのウエディングドレスフィッティングでのプロポーズは高まりました。
安心して読めるラブストーリーで満足度も高かったです。
前作も読もうと思います。

2

本編知らなくても楽しめました

とても好きな作家さんなので作家買いでした。
本編である「365+1」はタイトルは知っていたのですが、読んではいませんでした。
今回はスピンオフだとは知らずに購入。しかし、まったく違和感なく読み進めることができました。

そもそも好きな作家さんなので何も心配していませんでしたが、中でも大当たりでした。
「俺は『美山靫彦』だ」という表現が何度も出てきます。プライドが高く傍若無人で、やりたい放題・言いたい放題。だけどどこか投げやりにも見えるような言動。
ちぐはぐに見える言動が「俺は『美山靫彦』だ」を通して美山の考えがはっきりしてきます。
要所要所で意味が少しずつ変わっているのが個人的には面白く感じました。

美山が久保田に心を許し始めるのが結構唐突だなと思わなくもなかったですが、その分2人の関係性の変化に重さを置いていると考えたら気にならない程度でした。
あまり自分自身がツンデレ萌えするタイプだと思ったことはなかったのですが、美山はドストライクでした。キャラクターを嫌みなく表現することができるのは凪良先生の素晴らしいところだなぁと改めて実感。
あとがきでご自身でも書かれていましたが、ベタでやりすぎなくらい甘々な番外編もとても良かったです。

順番が逆にはなってしまいましたが、「365+1」も読もうと思います。

1

毒舌姫も、可愛く見えます

凪良先生の作品は、いくつか読ませていただいていますが、こちらの作品はすっと入りやすい作品でした。
幼少期に放任されて育ったことや、トップモデルで得た地位。それらが美山を作り、周りは表面上しか美山を見ない。美山自身もそれを受け入れ、諦めることで安定させてきた。
そんな美山を、モデルとして評価するが、それ以上に興味を持ち受け入れてくれる久保田。
王道な流れで、読者の希望通りに進む心地よいお話。毒舌で生きる意欲が薄い美山が、久保田の為に動き健気で可愛く見えてきます。
里江や灰原の登場が、美山や久保田に火をつけ最後にはいい人となりますが、里江だけは同性だからなのか、読んでいてイラッときました。でも、美山がズバッと言ってくれるのでスッキリ!
円満なエンディングで良かったです。

1

あの美山がかわいい‥‥!

私は攻めの久保田の、裏表のないごく普通の真っ当さが好きなんです。
人たらしなナイスガイすぎる。

だからあの美山靫彦が
「久保田といるとき、なぜか自分は馬鹿になる
久保田だけが、自分を馬鹿にする。」
って思っちゃうんだけど、ツンツントゲだらけのお姫様の棘を気にせず接することができる久保田だからこそだと思うんですよね。
私はそれを久保田力と呼びたいです。

「365+1」ではヒール役上等!だった美山がこんなにかわいくなっちゃってーと感慨深い一冊としてこの本が好き。
そしてやっぱり美山のモデルとしてのプロ意識には惚れ惚れさせられます。

人々から賞賛され求められる美山靫彦と、空っぽな自分との乖離に悩んでいた美山が、久保田に出会ってからはどっちも自分だと認めることができて、自分の中で折り合いがついていく過程が本当にいいなって思います。
だから灰原の元を去った後に、久保田を前にして「俺は『美山靫彦』だ」と啖呵を切るところが壮絶に格好良い。痺れる。
そして指輪交換での「今までで一番綺麗に笑いたいのに」「一生で一度の場面なのに『美山靫彦』が決まらない」というところが、なんかもう読んでるだけでたまらない気分になって思わず貰い泣きしそうになります。

そして最後のランウェイに歩き出すところでお終いになるところが、晴れやかな未来に向かって歩みだした姿と重なって好きです。

ピンワークって漠然と知ってたけど、ググってあれこれ画像見たら凄いんですねぇ‥‥!
一枚の布が立体になっていくのって、魔法みたいだなって思いました。

4

何度も読み返すと思う作品です。

「365+1」のスピンオフ作品です。
登場人物が多くでてくるので「365+1」を読んでからの方が関係性が分かりやすいと思います。
「365+1」の終わりで久保田と美山はもしかしてーーー!!!!などと思いましたが、想像していた通りの結果になってくれて本当に本当に嬉しかったです。

久保田の人たらしっぷりも素敵だな。と思いつつ、やはり私的には美山の的を射た言葉に痺れまくりました。(「365+1」でも、ものすごく良いキャラを発揮してます)久保田と美山の会話も軽快でポップ(笑)でうっかり声を出して笑ってしまうほどでした。
たくさんの小説を読んできましたが、久保田と美山のカップルが断トツで好きなカップルになりました。

電子で買いました、挿絵はありません。(文庫はあるのかな?)
ラストの久保田がデザインした衣装を着た美山が挿絵で見たかったなぁと思いました。

4

すごく良かったです!

Random english review passing through don't mind me (':

I read this before reading 365+1 but the thing I really love about Nagira Yuu's books is that you don't have to read the first book to follow the plot of the second (unless you're reading Utsukushii Kare, then that's a different issue altogether cos YOU HAVE TO READ THE FIRST ONE COS HIRA AND KIYOI ARE CUTE AF).

So yes back to the review. I liked the pace of the book, and I liked seeing how Miyama gradually opened up to Kubota. You could literally see and feel the ice walls slowly breaking down around him.

I liked how the author brought in Kubota's old flame, and how Kubota remained unmoving throughout her entire thingy with her fiancee. His feelings for Miyama were strong and real and I could literally feel the passion in their relationship overflowing, especially in the ahem ahem scenes huhu

I would definitely re-read this again. Imvho, you don't really have to read 365+1 to understand this book, but I guess it would give a little more depth to Miyama's and Kubota's character.

4

華やかな世界にピュアな大人の恋がある。

凪良さんの作品は数冊読んでいましたが、その中でもトップクラスに好きな本。
いやーもっと早く読んでおけばよかった!

表紙裏の筋書きが、シビアそうに見えてシリアス系なのかと思っていたら、
ふたをあけたらコメディタッチ。
ちょっとヘタレだけど情熱的なデザイナー久保田(攻)と麗しきダメ人間の美山くん(受)のやりとりが、すごく面白いです。モデルや服飾の世界なので現代モノではあるのですが、華やかで重くなりすぎずに読めました。

後半は久保田の幼馴染の女性が出てきます。
これが男二人を手玉にとる、女の敵のようなキャラなのでちょっと不愉快です。
でもこの、性悪だけど子どもの時から変わっていないであろう女性と、孤高なのに幼いまま美山の対比がすごく際立ってました。大人になりきらない部分は誰にだってあるんだなあ、と。それを気づかせてくれるのはきっと自分ではない人なんだな、なんて考えさせられます。

365+1は未読でしたが、こちらだけ単体でも十分に楽しめました。
ただ、冒頭の登場人物が多く感じるかもしれません。前作を読んでいれば、あの二人だ!と分かるのだと思います。でも未読でも問題なかったです。

特に表紙も魅力的な構図だなーと思いました。”いばら姫”のタイトルに合わせているのですが、小説を読んでからだと、この意味が分かります。キャラクターを全面に出しすぎてない、ちょっと引いた構図が、すごく素敵です。

いい本が読めて私は幸せです。という読後感を味わいました。幸せです!

3

よかった!!

美山メインのスピンオフ。
面白かった。悶えた。
読み終わってよかったねと心から思った。

前回「365+1」で可愛くない言動が多かった美山。
ふたを開けてみればなんて愛しい。
育った環境、現実。
そう生きざるを得なかった。
そんな中出会ったのが久保田。
この久保田のキャラがすごく好き。
正直、前作ではそんなに冴えた男前のイメージじゃなかったのだが
今作の久保田がいい男過ぎた。
君が好きだと叫びたいっ!!
ウジウジしてなくてこざっぱりしてて。
そんでもってラストの甘い恋人エピソードにもホッコリしました。
もう一度、心から美山におめでとうを贈りたい(∩´∀`)∩
頑張ってる美山好きよv

3

あったらいいな、の物語。

「365+1」のスピンオフ。あちらは「うん、わかるわかる」と思うところが多いタイプの作品ですが、こちらは、華やかなフィクションらしさ満載の作品。同じ世界できちんと繋がってはいるのだけど、全体の印象はだいぶ違います。

しかし、「フィクションらしい」とは言っても、荒唐無稽であり得ないほど突飛なストーリー展開というわけではありません。地に足はついていて、心理描写が丁寧。才能に恵まれた選ばれた人の物語なのに、すっと入るのはそのお陰ですね。

丁寧な描写の上に成り立っているハッピーな夢物語です。こんなこともあるかもしれない! あったらいいな! と思わせる物語でした。

3

期待はずれ

一度も読んだことがない作家だといったら、いつも作家買いをしているという友人が、自分の好みそうだという本を薦めてくれたので読みました
気位が高い美人受けは好きなので、そのチョイスは正しかったと思います

ただ、主人公の受けはいいんですが、読み始めてもしばらく誰が攻めなのか、まるでわかりませんでした
登場人物大杉
スピンオフだというので、最初の作品を読んでいなかったせいでしょうか
もしかして、このひとが攻めなのか、とわかってから、まったく読み飛ばしていた登場シーンを確認することになりました

そのあたりから、おもしろさ半減というかんじで、中盤以降のぐだぐだが好みじゃなかったかも
ストレートの攻めが、覚悟を決めた理由がよくわからなかったし、受けの元彼でパトロンがあらわれたことで腹を据えるというのは受動的で好きになれなかった

序盤で受けに嫌味を言った若手モデルとか、受けが初めて本気で好きになったという元彼、生い立ちに影を落としている受けの母も、え、あれだけでおしまいなの、というかんじ
どうやら自分がおもしろそうだと思える方向に、話が進まなかったのが残念だったようです

文章は読みやすいし、つぼがあうせっていだったら好きになれそうですが、読む作品は選びそうです
一作目のほうを読みたいとも思えなかったし

6

ありがとう~今とっても幸せ~

追っかけしてる絵師さんでもないし、なんで買ったんだっけ と思いつつ
評価の高い本だったから、まいっかと読み始めたら、止まんなくなったー
読了後、幸せすぎて、しばらく眠れなかったー
エキサイトしすぎてアドレナリンがきっとたっぷり出たに違いない。
今夜からは寝る前に読む本は、ちょっと選ばないとな。

今日も当作を持ち歩き、2回目のゆっくり読書タイム。
こんなに幸せな気分になれるのって、しかも幸せ気分が
継続するのは、私には珍しい。

むごいところないし、やることやってるし(笑)
ちゃんとストレートの葛藤(これ大事!)も描かれてるし、
仕事話的な要素もある程度あるし、
なにより、いばら姫の毒が最高!!!!!!
つんつんさん大好きな私にとって、最強クラスのつんつんさん!
攻めさんに対してだけではなく、
世間一般すべてに対して毒の吐いてるところが半端ないー(笑)
しかも真実ついてるので、嫌味ない。(真実が故にぐっさり刺されるが)
ぐっさり刺されるのが癖になりそうでした。

それと真っ向勝負する里江って女子も、たいがい酷い腹黒たぬき女子(笑)
いや、いたって普通な女子なんだろうけど、
やっぱり二人の間で揺れ動いたりするところが女子なんだよな。
他のお姉さまもおっしゃっておられたが
こいつとはあんまりお知り合いになりたくない(爆)
そんな二人の丁々発止(いばら姫の勝ちー)は読んでて、めっちゃスッキリしました!

後、人たらし久保田。卑怯者。ずるいわ、その人たらし能力。
それさえあれば、あんたどこでも生きていけるよ。

と、登場人物どれも、とっても気に入って、とっても好きな本になりました~
唯一オススメできないのが、ネグレクト苦手な方。
そこだけは、心が痛みました。まだ軽めな方だと思いますが
ちょっとでも×という方は避けた方がよいかもです。

これ、12月発売だったんですね。ほんとクリスマスプレゼントみたいな
素敵な本でした。

9

ツンデレ姫と世話好き王子

『365+1』はまだ読んでいませんが、本作品のみでも十分面白かったです。

我が儘っぽく振る舞っているけど、実は自信がなくてネガティブ思考のトップモデル美山。
世間で評価されている美山は作られた美山であって本当の自分ではないという思いが常につきまとっています。

一方の久保田は仕事にも誇りをもち夢を追いかけているポジティブなデザイナー。
一見合わなそうな二人の絡み(ちょっと口の悪い掛け合いとか、勘違いで気持ちがぐるぐるしちゃう感じ)がよかったです。

幼馴染との関係に嫉妬したり、久保田の夢のために自分を犠牲にしようとする美山の健気さもぐっときました。
久保田は美山の精神安定剤ですね(笑)

5

甘いご褒美もらえますよ〜

前作の『365+1』は、まだ読んでいません。他の方のレヴューで、読まなくてもとあったので、先にこちらを読んでしまいました。
はい。何の問題もなく楽しめましたよ。

攻の久保田が人たらしの設定。すごく良かったです。なんとも中身が男前。受けの美山の毒舌吐きまくりで素直になれない、でもいろいろだだ漏れな感じもかわいくて良かった。懐の大きな攻と、強がっちゃってて素直になれない受の設定。ありがちだけど大好物です。

その二人にいろいろ障害がふってくるのですが、久保田の幼なじみで初恋の相手の里江。私はかなりムカムカしました。こんな女いたら、絶対に友達になりたくない!っつーか、ぜったい女友達いないタイプだと思う。男はなぜかこういう女、好きになるよね。って、話しがそれましたが。

本当は美山が昔の恋人灰原とよりを戻す条件で、久保田のブランドを推薦し、ショーへの参加が決まったのに、それを里江の手柄にされても何も言わないけなげな美山。本当は自分が王子を助けたのに、それを言わないでいる人魚姫のよう!タイトルは“いばら姫”だけどね。

くーーーっ、久保田よ。はやくいろいろ本当のことに気づいて!
もだもだしながらも、大丈夫。久保田は男前だから、きっと美山を幸せにしてくれる!と読み進め、ついに空港でのあのシーン。でかした!久保田よ。もともとノンケなんだから、ちょっと迷うのは仕方ないよね。現実の世界だったら、もっとたっぷり迷って当然だと思うし。ここまでたどり着いたあんたはさすがだ!男前。
でも、懐の深さでいったら、美山を久保田に渡した灰原も、相当深いわ〜。美山を取り合う二人はなんとも男前なのでした。女より美しいモデル設定の美山だから、やはり良い男が寄ってきて当然よね。

『yes』では、二人のラブラブが見れますよ。エロエロでアマアマです。はー。良かった。幸せな気分にひたれること間違いなしです。
BLに限らず恋愛小説って、いろいろあってくっつけなくて、最後に二人がようやく幸せになるのを読みたい!がために読んでる。私はそんな感じです。
だから最後がラブラブであればあるほど嬉しいです。いろいろあったけど、ご褒美って感じ。
甘いご褒美もらいた方には、おすすめです。

5

ひとたらしの魅力にやられました

『365+1』のスピンオフですが、こちらだけでも大丈夫です。
出会いのきっかけであるモードフェスが気になる方は、読んでみてください。
『365+1』を読まれた方は是非、こちらも読んで欲しいです!
脇役だけど、紺と綾野も出てきますし、『365+1』だけでは勿体無いです!!

『365+1』では影の薄かった久保田が、こんなに「ひとたらし」ないい男だったとは(笑)
美山も、言いたいことをズケズケ言うだけの人間じゃなく、すごく寂しがり屋なかわいい子でした。
トップモデルである美山が、モデルの「美山靫彦」じゃない美山靫彦自身には価値が無いと思っているのが、すごく伝わってきて悲しかったです。
周りが望む「美山靫彦」を見せれば見せるほど、本当の自分が無価値に思えて・・・だけど、久保田だけは態度だけじゃなく、ちゃんと言葉にして、美山靫彦まるごと全部を見てかわいい、ほっとけない、大切だって示してくれる。これは惚れますわv

凪良さんは本当に心情描写が上手だと常々思っています。
凪良さんの作品は、受けと攻め両方交互に語られることが多い気がしているのですが、今回は一冊通してずっと美山目線で綴られていました。
そのせいか、美山に感情移入しやすかったような・・・もちろん、語り手が変わる話も、両方の想いが知れておいしいくて好きです。
今回、久保田視点が無かったのは、久保田が裏表の無い、嘘の無い人間、心情=表情・態度・言葉の男だったから・・・なのかな?とふと思いました。
久保田視点を書く必要が無い。それがそのまま久保田の魅力を表わしていて、やっぱり凪良さんはすごいです。

『yes』もちょっと甘い話かもしれないけど、幸せな美山に、よかったねぇと目頭が熱くなりました。
久保田と二人で、これからもどんどん幸せを感じながら歳を重ねて欲しいです!

9

王子様と目覚めたいばら姫

親から放置されて育ち与えられる無償の愛を知らない美山。
365+1で大変共感した登場人物で高貴な美貌と毒舌家な彼が、過去の辛い恋愛で一層の人間不信から救ってくれる人はいないのかと、密かに心配していたのですが、スピンオフの今作で眠っていたいばらひめが目覚めるように、美山の恋が始まりました。

お相手は前作でもけっこう絡んでいた新進デザイナーの久保田。
『365+1』で賞をとり、紺&綾野カップルは将来が開け公私ともに充実しているらしい姿が見えて前作品の既読者には嬉しい場面ですが読んでなくても問題はないです。

紆余曲折の後ようやくまとまったときにはほっとして感激しました。
ノーマルで今まで男相手など想定外の久保田、立ち上げたブランドの成功に向かって人生かけてる真っ最中によく決心したもんです。
久保田の優しい気持ちを伝える手作りのカメリアの花が素敵な小道具でした。

美山の元彼の純情や本気がわかって安心しました。
二人の仲を引き裂き久保田つぶしをするいやなオヤジじゃなくてよかった。好きになりましたよ。
ってことで次のスピンオフは彼でお願いしたいな。
彼には年の差ラブがいいかな…。

3

過ごした夜の分だけためたカメリア

ああ、これはスピンオフですが、本編よりも好きです。
本編だけだと裏がないけれど思った事は全部云っちゃう我儘放題の子でしたが、これを読んだら愛おしくてたまりません。
ちょっと幼なじみの女子が鬱陶しいのと、彼女に関するミスリード狙いが見え見えだったのは残念ですが、概ねよかったです。(ああ、でも女子はこういう人多いかも。特に紅一点系)
傷つかないから一人がいいという子は、大抵「かまって欲しい」という愛情に飢えてる子なので、こんな人たらし(笑)に出会ったらイチコロですよね。

過ごした夜の分だけためたカメリアを取り出すシーンと、ショーの最後のマリエはたまりませんでした。
そうですよ!オートクチュールのショーの最後はマリエって決まってるじゃないですか!!
ああ、素敵。
末長くお幸せに。

余談ですが、湖水さんは好きですし365+1の挿絵にはぴったりでしたが、今回はちょっとだけ別の某方の絵で観たかったなあと思ってしまいました。ユキちゃんがちょっと普通すぎるかも。

6

好きになるってこと

365+1のスピンオフ作品として書かれたもののようですが、前作を読んでいなくても問題はないと思います!
読んだほうがスパイスが、かかってもっとこの本の旨みを、引き出してくれると思うところもあります!

本編ですが、アパレル業界の話ということで、とてもリアルで、面白かったです。大前提にBL小説というところもありますが、普通に業界の話としても、とても面白くて、前向きになれる作品でした。自分に価値を見出せない卑屈な美山が、人たらしで暖かい久保田に少しずつ少しずつ心を開いていくところがたまらなかったです。好きになっても苦しむ美山。恋の苦しさを教えてくれます。それでも、最後のハッピーエンドに思わず感激してしまい、なんだか、恋愛をしたくなるような作品でした。心が温かくなるこの作品。ぜひ色んな人に読んでほしいです。

3

きみに捧げるカメリア

凪良ゆうさんは、描かれる文体がとてもしっかりしているので
安心して読むことのできる作家さんのお一人です。
物語やキャラクターの設定と、表現の仕方等から
作品によっては、好みのものとそうでないものに分かれますが、
今作は個人的に見事、ハートを鷲掴みにされました。

この作品の一番の魅力は、何と言っても
メインCPのキャラクターにあるように思います。
自分のことをモデルという商品としてしか見ていないながらも、
とても高いプロ意識を持つ毒舌家でツンデレの美山。
一方の新進気鋭のデザイナー久保田は、ひとたらしで
いつもふざけているように見えるけど、実は芯のある懐の深い男。

そんなふたりのやりとりは、まだ恋愛を意識していない序盤から
とてもテンポ良く、息の合った雰囲気を醸し出しており、
ずっと見ていたいと思うくらいです(紺と綾野も面白がっているように)。

中盤に差し掛かる手前で、美山の恋心が徐々に動きはじめると
切なさが一気に加速して、
こちらの読み進めるスピードも自然と勢いを増してゆき
最後まで速度を緩めることはありませんでした。

ノンケの男への片思いの苦しみ、嫉妬、すれ違い、
そしてようやく通い合わせたふたりの心―
どのパートもぞれぞれ、しっかりした読み応えを感じることができます。

又、他のレビュアー様もおっしゃっているように
白いカメリア(白椿)の演出がすごく素敵でした。
久保田が美山に作ってあげた布製の白いカメリア。
はじめこそ、花びらをむしり取って耳栓にしていた美山だけれど(笑)
眠りが浅い彼のために、”お守り”として作られたカメリアは
一緒に過ごす度に増えてゆく、まるで美山の募る恋心のよう。
(カメリアからお母さんのお手玉の記憶を蘇らせるシーンもとっても良かった)

そしてふたりが想いと体をひとつにした後、
その白いカメリアは、今度は久保田の美山への想いに重ねられ、
タイトルの”いばら姫(=ねむり姫)”にも繋がっていく―
そんなラストを奏でる凪良さんの名手っぷりには感嘆せざるを得ません!

表題作のあとの『yes』(必読必見!)も含め
読後、とても幸せな気持ちになれる一冊でした。
因みに、今作はスピンオフ作品とのことで、実はオリジナルは未読。
紺と綾野の物語も是非読んでみたいと思います♪

こちらはちるちるユーザー様におすすめいただいた作品なのですが
手に取って本当に良かったです。
素敵な作品をご紹介いただき、ありがとうございました!

7

ほろりほろりと崩れる心

「365+1」のスピンオフです。

「365+1」を知らなくても十分楽しめますが、
「365+1」では悪役だった美山というキャラの
あまりにも繊細で、報われない恋心に胸を打たれます。

中盤から後半にかけて、加速度的に
絶望的な主人公・美山(受け)の片想いの恋心は、
見ていて、胸が刺されるような感覚があり、つらいです。

-------------------

主人公の美山(受け)は28歳のトップモデル。
とあるイベントで、駆け出しのデザイナー久保田(攻め)に
出会います。

この美山(受け)という男、中性的な超絶美人で
外見は申し分ないにもかかわらず、
性格は最悪、口の悪さはもっと最悪で、腹黒です。
いや、でもそれが見ていてスパッとしていて、
気持ちがいい!
これだけ人に向かって大層な口を利くのは、
美山ぐらいでしょう!!
さすが、世界を相手にしていることがあるー。
もっとガンガン行けーーーーー!!!(笑)


対する久保田(攻め)は、ノンケでばりばりのストレート。
しかし、ゆっくりゆっくりと時間をかけ、
美山と久保田は距離を縮めていきます。

よく眠れない美山のために、カメリアを作る久保田が
また優しいくて、切ない。
いくら綺麗といっても美山は男。
何度も何度も久保田はカメリアを作り、そしてそれを
「どっかいった」と言いながら、健気に保管する美山。
ここの美山は一途で本当に愛らしかったです。
カメリアを作った久保田は手に届かない存在なのに……。

本来であれば、美山こそがトップモデルで高嶺の山で
久保田など足元にも及ばない存在。
しかし、本当は美山にとっては、久保田こそが
手に届かない存在だと感じていたんでしょうね…。

「恋をしては駄目だ、報われない」と思っていながら、
急激に久保田(攻め)に惹かれていく美山(受け)

幼いころ、ネグレクトの虐待にあっていた美山は
まるで心が欠けているかのようです。
でも本当は、欠けているのではなく、愛情が
欲しくて欲しくて堪らなかっただけだと思います。

それなのに、報われない…。
手が届かない…。

中盤から後半にかけては、つらい美山の心情と同化して、
胸がぎゅうっと痛くなりました。

知らないふりをしながら、意地を張りながらも
デザイナーとしての久保田の夢を応援する美山。
そのために、自分自身さえも代償にしてしまいます。
そして、香港へ旅立とうとします。

この時は、
「お願いだから、久保田来てよ。
 美山を永遠に失ってもいいの?」
と、逸る心を抑えられませんでした。

そして、久保田はやってきた…。
美山の香港行きを止めるために、空港に…。

この場面は本当に嬉しかったです。
ノンケでバリバリのストレートの久保田が
全てを捨てて、世界がひっくり返るのを承知で
美山を迎えに来た…。

悩んだ挙句の結果に嬉しくて嬉しくて…。
デザイナーの夢も捨てない。美山も決して失わない。
その覚悟が凄く見えた場面でした。


そして、エッチシーン。
えっ、そんなに抵抗がないの?というほど
久保田(攻め)はてらいなく、美山(受け)を
組み敷きます。
えー、久保田、男初めてじゃなかったの?
どんだけ頭のなかで妄想してたんだよ。
というか、相当勉強したのかな? 
美山とエッチするために…(∩∀`*)キャッ
ドライでいっちゃう美山……もうカワイイです!><

-------------------
●yes

ここは、とにかく一世一代の久保田のプロポーズでしょう!
エッチシーンもあって、エロかったけど、
やっぱりこのプロポーズのシーンの感想を書きたい!
ストレートの久保田がどれだけ悩んで美山と
付き合うことを決めたのか、それが描かれています。
涙を流す美山……。
ああ、良かった。おめでとう…。

久保田のデザインしたウェディングドレスは
きっと最高に綺麗だったんだろうなぁ…。

-------------------

報われないつらい恋を描いた作品でした。
「これをどうやってハッピーエンドにするの?」と
気が気じゃありませんでした。

でも、最後は久保田のプロポーズで
ハッピーエンド。
最高のハッピーエンドでした。

BLアワード入賞作は伊達じゃない!

今後の作品も期待してます!

5

わたし的には珍しい現象

凪良さんにハズレなしと毎度言ってるけど、これはなんだろう・・・なにがだめだったのか。
ファッション業界が自分的に地雷なのか?
作者のノリノリ感が伝わってくると反比例してテンションが下がるという傾向もあるっちゃある。
久保田が人たらしというほど魅力を感じなかったってのもある。
ハイジのユキちゃんが好きアピールを男にしてる里江をマドンナだなんて言ってる時点でさ。朝倉南になりたいだなんて、いやもう最悪に気持ち悪くて、結局里江に全部持って行かれました。

3

人たらしにたらされた

前作未読です。
どうやら前作のストーリーで二人の出会いがあったようなのですが、未読なものであまりわかりません。
ただ、トップを張るモデルと弱小ブランドのデザイナーが出会えたのは、そのおかげだったようです。
その辺りは多少物足りなさ(え?この人が攻めでしたかとなった序盤・笑)はありますが、こちらだけでも問題はないように思います。

**********************
受けの靫彦はロシア人とのハーフで、ゴージャスかつ、山猫のような奔放さを持つトップモデル。
自分の価値を見いだせないまま育った27歳。

攻めは、小さなアパレルブランドを立ち上げている久保田、27歳。
大雑把なようでいて気配りの出来る魅力的な男。
**********************

ポンポンとかけ合いが続く二人は、最初から良いコンビ。
まあ、久保田の懐が海峡のように深いからだとは思いますけど(苦笑
かなり口も態度もツンドラ冷気の靫彦ですが、好きになると尽くし系なんですよ。
本来の不器用さと、素直に表情に出すことを知らないで育っただけで、中身は寂しがりや。
それを何気なくすくい上げてくれた久保田へ惹かれたのも、自然な流れでした。

作中でも語られていますが久保田の人たらしぶりは凄まじく、わたしもすっかり入れ込んでしまいました。
久保田はノンケですから飛び込むまでにはかなり時間がかかってはいましたが、これって恋人とどこが違うの?というつきあい方をしてまして、こちらは当てられっぱなし(苦笑
久保田は想いを通い合わせる前から「かわいい、かわいい」と、度々靫彦に言っていましたし。
ひじょーに微笑ましいお話で、もっとはやく読めば良かったなと思います。

後書きによりますと前作で靫彦のキャラが好評で、スピンオフ希望のお声が多かったとのこと。
それならば、今回の当て馬である灰原もぜひ救済して欲しいところ。
仕事もできて行動もスマート、しかも策略家なんて最高にカッコ良い(笑

この作品がすいすい読めるのは、うまいセリフ運びのせいも大きいです。
「泣かないで、俺、ちっさい(胸ね)のも好きだから」という、酔ってても人たらしな久保田らしいセリフが忘れられません!笑えました。
他にも迷言?はありますが、ぜひ読んでお確かめくださいませ。

9

ココナッツ

あやちゅけさま

こんにちは、あやちゅけさま(*^^*)
あやちゅけさまは今までのレビューを拝見しますと凪良作品とあまり相性が良くないのかな?と思っておりましたが、大丈夫でしょうか(^^;;
ただ、同じ作家さんでも合うものもあればまったくダメなものもあったりですし、もうこればかりは読んでみないとわからないでしょうかね。
この辺りは、漫画だと最初の数ページお試しで読めばなんとなく計れるのが便利なんですけどね。

あやちゅけ

ココナッツ さま

うわあー、この作品の評価を見て嬉しくなりました。
面白いのですねー。
実はもう持っているのですが、
まだ読んでないのです。
すっごくたのしみになってきましたー!o(^▽^)o

ココナッツ

snowblackさま

こんにちは、snowblackさま(*^^*)
いやあ、これはアワード投票前に読めば良かったです。
大人な二人なのにすごく微笑ましいお話で、ジワーッと沁みました。
27歳というのも絶妙な年齢設定だなあと感じました。
社会で揉まれてる人はすごく大人ですし、色々なことに目を背けていれば子供ですし。

灰原はどうなのでしょうね。
彼なら年の差もありそうで、わたしはかなり萌えそうなのですが(^^;;
これは出版社へアンケートですね!(*^m^*)

snowblack

ココナッツ様、こんばんは。
このお話はとても素敵なお話でした。
私は前作を読んだ時から美山いいなぁ!と思っていたので、
待ってましたのスピンオフでした。
久保田は魅力的ですよね!
でも、正直前作を読んだ時にはこんなにいい男とは思っておらず
そして、この二人がカップルになるとも全く予想しておらず
馴れ初めというか、一緒にモードフェスに出てはいますし
やりとりがなくはないけれど、それはなくても関係ない感じかと……。
灰原救済希望は、私も全く同感です。

凪良育ち

【365+1】は既読です。
久保田の“ひとたらし”の良い人っぷりや、里美の自分中心の似非南ちゃんっぷりに辟易しつつ、“いばら姫”美山の、歯に衣着せぬ言い方や慣れ合わない姿勢にすごく好感持てました。
なので、自分にはイバラと言うより「猫のフミフミ」ですね。
爪が出て服や肌が危ないのは分かってるけど、有難う嬉しい♪ってやつ。
ましてや、ツンでキレイな迷い猫(美山)なら大感激さ!?
久保田もそうだったんだろうね(笑)

ところで、自分がBLを読み始めて直ぐに凪良作品に出逢えまして、即作家買いで、読む度に心で泣いたり小躍りして来た訳ですが、此度はそれが小さかったです;
知らぬ間に息苦しくなっていく今までの『エキセントリック』な感じが不足気味。
【yes】は、自分には甘過ぎました。
モチロンLOVE凪良先生は変わっていません!
自分が年を取ったからだとしたら、もの凄く寂しいです><。
☆3でした。

6

続編というか

スピンオフものだったのね。

元作「365+1」には「神」評価だったんだ、私。
でも、全然美山も久保田も記憶にないような、、、記憶力低下しすぎ。

とりあえず、元作を読んでなくても、思い出せなくても、単独で読んで全然問題なくおもしろい。
冒頭から登場する、紺と綾野っていうできあがっちゃっている同性カップルのいきさつが知りたければそちらも読んでねってことで。

紺と綾野が、地縁とか幼なじみとか、遠恋で10年愛とか、いろんなしがらみがらみの二人がようやく二人で生きていく道を築き上げるかなり濃厚でウェットだったのに対し、こちらは寄る辺ない美山が恋に捕まる一気呵成なお話で、美山と久保田のやりとりとかもテンポ良く楽しく読めた。
でも、久保田があまりにもいい男すぎて、灰原さんも大人のいい男すぎて、逆に萌ー1かな。

3

やっぱり美山ちゃんいいわぁ

365+1(既読)のスピンオフ。
この1冊だけでも充分楽しめるとは思いますが
やっぱり365+1も読むとより美山ちゃんを堪能できます。

前作の中で出て来たことが、再度こっちで「あーそういうことだったのか・・」
と納得させられたり、紺と綾野のその後を垣間見たりと
違った楽しみ方ができます。
例えば・・・
電気が止められてしまう件・・
前作で紺の家に毎度泊まりに来る美山が
「だって、なんか電気つかないしー」と言い、それに対し紺が
「なんかじゃねえよ。また金払ってねえんだろ」と言うシーン。
今回の作品を読んで「そういうことだったのね」と改めて納得。
前作では、紺と綾野の間を引っ掻き回してるのか取り持っているのか
わからない美山ちゃんでしたが、今回は美山ちゃんの素顔に切り込んでいて
いつもは毒舌で直球な美山ちゃんの本来の姿、
幼少から積み重ねられてきたものが浮き彫りになり
じわっと胸が熱くなり、鼻の奥がつんとなることも度々ありました。

久保田と紺、綾野はもともと同郷ですが
今回は今も田舎にいる久保田の親友とその婚約者の里江。
里江の意味深な態度に揺れる美山の気持ちが痛いほどわかる。
もともと強がるタイプだから、泣き言は言いたくないし
弱い自分は見せないし、本当は不安で心配で泣きたいくせに
精一杯意地張って強がってみせて・・
もともとはストレートな久保田に本気になればなるほど
ゲイである自分が未来の久保田の隣にいられる自信はない。
ぐるぐる考えて、ドツボにはまっていく・・・
ゲイがノンケを好きになると、必ず起きる現象です。
あの美山でさえも、そのドツボにはまり久保田を想っては涙し
勝手にいろいろ想像しては、落ち込んでしまう姿は
前作では考えられなかった美山ちゃんでした。
いやぁ・・だけど里江はちょっとカチンと来ました。
「早く、さっさと結婚してしまえ!」とマジ呟いてしまいました。

超ラブラブな美山と久保田に終始当てられっぱなしの
甘々な短編「Yes」もすごく良かったです。
ウエディングドレスに指輪、そして「一緒に暮らそう」
この3つが揃ったら、もう嬉しくて泣くしかないでしょ。
あの自分勝手で毒舌な美山が真剣に久保田のことを想い
「子どものこととか親のこととか、将来後悔するかもしれない」と
真剣に考えてるところなんか、もう
「久保田しか見えない」と言ってるようなもの。
いつまでも、熱いままでいてね♪

それにしても、美山の元カレの槙原女々しい。
そして槙原を撃退した久保田、カッコいい!!



10

愛しい受け、愛しい物語

「365+1」のスピンオフ。
前作はいい作品だったと思うが、自分にはそれほど吸引力がなかったが
魅力的で存在感のある脇役、美貌で毒舌の美山のことは
とても気になっていたので、この作品は楽しみに読んだ。

結果、素敵な一冊だった。
美山は期待にたがわず、個人的には大ヒットの受け。

お相手は、モードフェスのデザイナーだった
綾野の先輩久保田。
正直こんな懐の広いいい男だとは思っていなかった。
才能があって、自分の夢に真摯で、でも青臭いだけじゃなく
したたかさと柔軟さも持った男。
そんな彼にどんどん恋をする美山の可愛さときたら!

カメリアのエピソードや、ロシア人母の思い出など
透明感のあるセンシティブなエピソードの一方、
思わず笑ってしまうようなやり取りや懐かしいような場面、
すれ違いや嫉妬、華やかな業界の様子も見え隠れし、
切なさも甘さも、キュンも笑いも、バランス良く織り込まれている。


後半の「yes」は、王道の結婚式ネタ。
カップルとしてまとまった美山が、
絢爛たる美しさに柔らかさや可愛らしさも加え
久保田のために頑張っている様がなんともいい。

ショーの最後を飾る渾身のウェディングドレス。
美麗でロマンチックで、これぞBLという気分になった。


個人的に気になるのは、当て馬というか
美山の元のパトロンの灰原氏。
もっとドロドロな展開になるかな……と思わせながら
真摯で直球な久保田と健気な美山の前に、
大人の余裕でカッコよく去った彼、好みなんですけど?
金も権力もある40男の更なるスピンオフを希望します。


大感激!大絶賛!という作品ではないと思うが、
繊細で優しい後味の、とても好きな作品だった。
評価は「神」で。




最後にちょっとボソッと……。
表紙はなかなか素敵だったのだけれど
中のイラストがもっと繊細で美麗だったらなぁ。
湖水きよさんは別に嫌いじゃあないんだけれど、
美山が髪脱色した目つきの悪いあんちゃんに見えるところなどあって、
ちょっと個人的にはイメージを表現しきれていない印象でした。

15

サエナビー

私も、中のイラストが気になってしまいました。
自分の画力を棚に揚げて言わせてもらうことになるんですけど、人物の表情、アングル、ファッション(おしゃれ業界の話なのに普通の服。。)など、もう少し工夫が欲しかったですよね。
小説の挿し絵って、漫画と違って、読者にイメージを膨らませてもらうために、あえて上手く描かないのかな?とまでおもってしまいました。
あと、もうひとつ共感したのが、「ウェディングドレスのくだりが、これぞBLという感じ」というところてす。
まさしく、そうですね。全く同じ意見です。

性格の悪い(受)最高

ツンとした感じも性格の悪いさも含めて綺麗で滑稽な(受)が、(攻)との出会いで今までに無かった感情を揺さぶられて可愛くなる話が大好きなのでキュンキュンしました。かわい有美子「透過性恋愛装置」で開拓されましたが如何せん性格の悪いくせに健気な(受)って割と稀少なのでもっと色んな作品が出てくると嬉しいです。365+1スピンオフですが私はいばら姫のが断然に好き。靭彦のガラス細工の様な冷たく閉じられた哀しい世界から、久保田が土足で救い出す様な力強くて温度のある世界へ連れ戻す感じが幽閉された姫を助ける騎士そのもので胸熱でした。靭彦はただ守って貰うばかりではなく、久保田の為に自ら生贄へ赴く潔さに涙し、久保田が靭彦を奪還し結ばれてプロポーズまでの過程もドラマチックで一々切なく響きました。そしてお互いが一方的に守る間柄ではなく共に大きな夢へと向かい手を取り合ってパートナーとして踏み出すところで終わるなんてカタルシスで溢れました。 

4

スピンオフでした…

最近、私の中でブームの凪良さんです。
いつもはネタバレを読んで読み始めるのですが、今回のいばら姫はネタバレを読まずに読みました。それくらい、いばら姫が楽しみだったんです!
それが裏目に出て、いばら姫がスピンオフだということを最後の凪良さんのあとがきで知りました。

でも前作を読まなくてもすんなり入ってきて、とても面白かったです!美山の恋をする前と後のギャップが可愛かったです。恋をすると人は変わるんだな〜と微笑ましくなりました。
また、前作の365+1を早く買って読みたくなりました。それくらい読みごたえのあるお話でした!

3

毒舌美人が恋に落ちたら

あの美山がこんな表情を見せるようになるなんて…!

前作で当て馬だったりキューピットだったりした孤高の性格悪いトップモデル美山のスピンオフ。

トップモデルになってから十数年、完璧な「美山靫彦」としての自分を傍観して、本当の自分と違う存在だと距離を置いていた美山。
そんな彼に朗らかに接する久保田はモデルとしての美山をミューズと崇めると同時に、美山自身を「ほっておけない」「かわいい」と言って頭を撫でる。

毒舌で不遜な美山が、おおらかで肝の据わった久保田の温もりに解されてゾッコンになるまでが本当に可愛かった。久保田の前では飾らずありのまま、怒ったり笑ったり子どものような素顔を見せる姿にもキュン。
それにしても毒舌っぷりは相変わらず清々しいほどでした。何度性格悪いと言われても「知ってる」で済ます美山さすがトップモデル様。
そんな彼が「花飾り作って」と毎晩おねだりして、それをこっそり大事にとっておいたり、久保田の前では素直に「うん」と子どものように頷いてみたり……ギャップにのた打ち回りたくなります……!
孤高の存在から恋人に献身的なまでになる劇的ビフォーアフターが絶妙でした。
ウェディングドレスプロポーズもトップモデル美山に相応しくて素敵。

あと紺や綾野も出てきて、世界的なファッションショーを二人も手伝っていたりして、紆余曲折していた二人の未来も明るいのかなと思って嬉しくなっちゃいました。

4

いばら姫の素顔

ロシア人の血を引くトップモデル、美山と、若手デザイナーの久保田。
美山をモデルにと熱望する久保田に何かと連れ出されるうち、
彼の温かな人柄を好ましく思い始める美山だが、彼の初恋の人の存在を知ってしまい…。


母親にネグレクトされ、若い頃から自身の容姿を食い扶持を稼ぐための手段として使ってきた美山。
服にもモデルという職業に全く執着はないが、ただ仕事として全力で商品「美山靫彦」を演じている。

繊細な素顔を封印し、棘のある言動で人を煙に巻く生き様が美しくも切なく、本書タイトルの「いばら姫」を思わせます。


そんな美山の刺を物ともせず、彼の懐に入り込み素の可愛さを引き出していく久保田がとても男前。

白いカメリア、スイカの種、ウェディングドレス……
全てのエピソードに彼の温かな愛情が感じられ、心に残ります。


業界のドン的存在である灰原のあまりの引き際の良さは気になりましたが、それだけ美山が魅力的で、久保田が将来有望だったということでしょう。

ゆっくり心を通わせていく二人は最高に甘く幸せなラストを迎えます。
モデル業界がゲイに寛容だからといって、日本でここまでしたら流石に引かれないか?と思いましたが、温かく夢のある情景には素直に感動しました。
美山の晴れ姿綺麗だろうなぁ・・・


全体として人物描写が非常に生き生きしており、特に美山については目に浮かぶようなリアルさがありました。
ちょっとトウが立った、毒舌で長身美形のゲイ能人って国内外問わずイメージしやすいような…。
きっと巷では「美山姐さん」等と親しみを込めて呼ばれていることと思います☆

12

さすがです。。

大好きな凪良ゆう先生は、即買いしました。
期待をうらぎりませんねぇ~。
『365+1』の続編です。が、個別でも楽しめると思います。
女王様が素直になっていく様が印象的でした。

2

大好きなお話です

凪良ゆうさんは作品によって印象がかなり違う作家さんです。
私は凪良作品の中ではシリアス重めのお話が好きです。
今回365+1のスピンオフということで、私は365+1があまり好みではなかったので今作もあまり期待してなかったんですが…
冒頭からもう面白くてとても読みごたえのあるお話でした!
まず、愛しのいばら姫という題名がイイと思いました。読後になぜいばら姫なのかが違和感なくストンと納得できます。
365+1ではありがちなキャラだった美山が、今作ではとても繊細に描かれていて、その対比を実感するためにも365+1から読んで欲しいです。(もしくは愛しのいばら姫→365+1でもいいかも知れません)
カメリアの花にほわっと包まれる気分になると思います。

4

まさに「いばら姫」

作家買いです。

凪良さん作品の「365+1」の紺と綾野の二人を引っ掻き回すだけ引っ掻き回した、あの美山くんのお話です。「365+1」では「性格悪ッ!」と思った美山くんですが、すごく可愛くてちょっとびっくりしました。

父親はすでにおらず、母親も育児放棄していたためまともな幼少期を過ごすことなく大きくなった美山くん。母親からの愛情を受けることがなかった為、自分に価値を見いだせず、また人からの愛情を欲しがっても貰えることはないとある意味諦めを感じて生きてきた彼ですが、それをさらに決定づける出来事になったのが元カレから捨てられたことでした。そのあたりの事情は「365+1」でもさらりと出てきますが、そのことをきっかけに紺たちに八つ当たりともいえるような意地悪をしちゃうのも何となく理解できました。

見た目は美しく、トップモデルとして不動の人気を誇る美山くんですが、その入れ物をなくしたら自分には何も残らないと自身を卑下している美山くん。そんな美山くんに惜しみない愛情を注いでくれるのが攻めの久保田さんです。愛情といっても初めは恋愛の愛情ではありません。子どもの頃親から与えられることのなかった「愛情」です。でもその愛情が、少しずつですが確実に美山くんを満たしていきます。

「365+1」ではあまり存在感のない久保田さんですが、実際は大きな懐を持った男性で、かつ自分の仕事にも大きな夢や希望を持ち努力もするナイスガイです。ノンケさんゆえに美山くんへの自分の気持ちを持て余してしまうのですが、気持ちが固まるまでは簡単に手を出すことはしないし、反対に気持ちを自覚してからはガッツリ頑張ろうとする男性で素敵でした。

自分を守るために相手との距離を埋めず、人から踏み込ませないために自ら棘を作っている美山くんはまさに「いばら姫」ですが、そのいばらをものともせずに果敢に踏み込む久保田さんにキュンときました。

個人的に凄く好きだったのは美山くんの元愛人でありパトロンだった灰原さん。彼のおかげで美山くんがトップモデルになれたのは間違いないし、別れる時にお金で片をつけるのはある意味大人のやり方として非常にスマートだと思いました。文中では「お金持ちの鼻持ちならないオッサン」みたいな扱いになってましたが、彼の話も書いて欲しいなとか思いつつ。

この作品単体でも読めますが、前作「365+1」を読んでいた方がより面白く読めるんじゃないかと思います。

始めは人を信じることができずにいばらを作って自身を守っていた美山くんが、久保田さんの愛情を受け徐々に自分を好きになり相手も守りたいと思うようになっていく姿に安心しました。お互いに高め合っていくことができる関係の二人にこれからも幸あれと願っています。


22

いばら姫、というより

 ダックワーズを口に入れた時のような感触、なのでしょうか。「ほろりほろりと心の一部が甘く崩れていく音がきこえる」というのは。噛むともなしに頼りなく溶けて形をなくしてゆく甘い甘いお菓子。ずっと味わっていたいけれどあまりにはかなくて。

 美山はトップモデル。ロシア人の母譲りの完璧な美貌。でも口を開けば酷い毒を吐き、豪奢なタワーマンションに住みながらそこは強烈な汚部屋。誰にも何も期待しない。夢もない。独り荒野をゆく風情の彼に、その毒も恐れず気やすく近づいてくるデザイナーの久保田。新興ファッションブランドオーナーの彼は、かたくなな美山とは対照的に、誰でもやすやすと懐に入れてしまう、いわゆる人たらし。

「おれのミューズ」と美山を呼び、何かとかまってくる久保田。幼いころから母にほぼ放置されて育ち、荒んだ生活しか知らない美山。何を食べても味がしない、眠りも浅いという彼が、久保田と食べる食事はちゃんと美味しいと感じる。彼の隣りだと悪い夢も見ずに熟睡できる。ヒトも動物だから、理屈より先に本能が教えてくれる。ここがお前のいるべき場所だとー

 裏切られるのが怖いから誰にも心をあずけない、と思っていたにもかかわらず、どんどん久保田に傾いてゆく心を止められない美山。でもゲイの美山に対し久保田は完全なストレート。幼馴染の里江との実らなかった恋をまだ引きずっているふしもあり、自分の恋はきっとかなわない。それでもー

 この先の展開は、いばら姫というより人魚姫でした。久保田のブランドが飛躍する大きなチャンスを前に、成否の鍵を握る業界の実力者灰原に身を任せる美山。幸運を里江のおかげと思い込む久保田。美山の献身は報われないまま終わるのか?・・・
 
 凪良さんの人物造形は相変わらず秀逸。クリエイティブな仕事に就きながら、意外と中身は保守的な久保田とか、2人の男の間で苦悩するふりでその実快感も味わっている里江とか。でも美山にズバリと「厚かましい」と指摘され、「わかってる、私は南ちゃんの器じゃないって・・・」(懐かしのアニメ「タッチ」のヒロインですよ、わかるかな?)とシュンとなる里江は憎めない。ひとりひとり、嫌なとこも駄目なとこもありつつ、でも魅力的っていうのがリアルでいい。久保田もいったんハラを括ったら、いばらの道だろうと頓着せず突き進む豪傑でした。

 健気な人魚姫に、王子様はラストにそれはそれは気合の入ったプレゼントを用意してます。(欲を言えばこの場面、引きで全身のイラストが是非とも欲しかった!!)それもすごいんだけど、お話の最初の方で、眠れない美山のために、「おまもり」と言って久保田が有り合わせの布でちゃちゃっと作ってくれる白いカメリアがとても美しい。(表紙の湖水きよさんのイラストで、眠る美山の胸に乱れ咲いてます❤)持つべきものは手先の器用なカレシだよなー。
 

 
 

12

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