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doushitehoshii
ノンケとゲイ。
ノンケにとって恋愛対象ではない同性が、ゲイにとっては恋愛対象になる。
男女間に友情は成立するのか、というのと似た問題でした。
劇団員(出演しているTVCMあり)の陸は、舞台映えしない身長(172、3)ことが悩み。
185くらいありそうな大道具の甲斐を密かに「トーテムポール」と呼び、憧れている。
ある日、練習後に立ち寄ったスーパーで甲斐に偶然会った陸は…。
胃袋から掴んで、距離が縮まります。
陸はおとなしい性格とゲイバレした友人に離れられたせいで同年代の友人を作ることができず、過去のつらい経験から恋愛もできません。
甲斐と仲良くなったことで「自分にも同世代の友達ができた!」と浮かれる陸は可愛らしいだけに、誤解からのすれ違い、さらにゲイバレの辺りは不憫でした。
ゲイバレから、陸ではなく甲斐の方が意識し始めるのが「ありそう」と思えました。
それまで恋愛対象じゃなかった相手を、恋愛対象として見ているひとを目の当たりにしたら、気になるのは分かる。
同じ男だけど、自分とこんなところが違う、ここも違う、え、何か…、ちょっと…、この気持ちは…、みたいになっていくのが絶妙にリアルでした。
心理描写も細かくされていて、友達から始まって、気になり始めて、という流れもすごく自然だったのですが、いただけなかったのが陸が甲斐を襲うシーンです。
過去に自分を弄んだ有名俳優とすれ違って、相手が気付きもしなかったことにショックを受けた陸が、酔った挙げ句に甲斐を襲ってしまいます。
これがなー、ちょっと理解できなくて。
襲っちゃう?大事な友達を、自分のむしゃくしゃを鎮めるために襲っちゃう?
わたしがアルコールを受け付けない体質なので、酔ったひとの理性がどのくらい飛んでしまうか分からないせいかもしれませんが、そこが引っかかってしまって。
自棄になる陸を押さえつけて、忘れさせるために甲斐が無理矢理とかなら、それまでの流れにもぴったり来るような気がしたのですが、ここ、タイトルとつながる重要なシーンでして。
襲いかかる陸に対して、甲斐が言うんです。
「俺にどうしてほしいの?」
はい、タイトル来ました。
なので、納得いこうがいかなかろうが、この流れは避けられないわけで。
そんなこんなでラストはハッピーエンドなのですが、出演しているTVCMは評判が良くて、舞台も好評、TVドラマのオファーも来る俳優が、変装もせず街ブラとか、揉めたりとか、アリなのかなあという点も気になってしまったので、萌止まりになってしまいました。
電子専門作品だったのですね。知らずに読んでいました。
慧先生作品は「エリートの理性も限界だ」シリーズが1番好きです。
こちらの作品は2013年作品という事もあり、絵もお話も古臭い印象があります。
ちるちるさんの情報を見ると2011年のノベルスのイラストのお仕事前に電子専門作品があるので、こちらも初期の方の作品だと思われます。
お話はざっくり言うとゲイの実力派舞台俳優の陸とノンケのイケメン美術スタッフの甲斐が、友達から恋人になるまでのお話です。
陸は人付き合いがとても苦手なので、初めて出来た友達に浮かれてしまうんですよね。そして空回りしてしまう。それによって甲斐に誤解されてしまってギクシャクしてしまうんですが、甲斐は良いやつなので陸に歩み寄ってくれるんです。脚本家と陸がセフレ関係にあると知ってもです。
それで一気に陸の気持ちが傾くんですが、なかなか進展しないんです。陸はデビュー当時に有名俳優に弄ばれたトラウマがあって、俳優の名前や姿を見ただけで精神的不調を起こしてしまいます。
セフレと身体だけと割り切っているのに、そんなに引きずってるかとチグハグな印象を受けてしまいます。
酔った陸が甲斐と寝てしまってから、また迷走してすれ違うんですよね。そして脚本家に背中を押されるような形で甲斐が告白するんですが、脚本家が出張り過ぎてて甲斐の心の動きが分かりにくいです。
作家様の初期作品を再読すると、とても進化しているのが分かるのと活躍されている事がとても嬉しいですよね。