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umi to heavy smorker
重度烟瘾者与海的约定
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
榎田尤利先生原作漫画って事で買ってた今作。
1話読み終わるまで知らなかった、短編集でした。
海がキーワードで繋がっている作品集なのですね。
【海とヘビースモーカー】
こちらは物語の起承転結の転で驚かされます。
表紙のタバコを咥えた黒髪の男、畠が主人公。人生ドン底、挙げ句の果てステージ3の肺がんと診断されてなんでか海のある田舎町の駅に降り立つ畠。そこで出会ったかつての恋人和久井の娘らしきワンピースの元気な少女。彼女に翻弄されながら和久井との過去の思い出に耽りながら自分の事も振り返る。
驚きの展開は読んだ方がいいと思うので書きませんが、視覚効果が生かされた演出で小説よりも漫画での表現にピッタリなことから原作の榎田尤利先生のテクニック凄い!って思わされました。
ただ、いい話ではあるのですが、短編だから説明不足な部分があり、描かれていない部分を読み取る力もいりました。最近はわかりやすく説明がされている作品が多いので読者として甘やかされてるから足らないなんて思ってしまうのかもしれません。
畠さん、この後タバコ禁煙してガンが完治して前向きに生きていってくれたらいいな。
【海と王子様】
この作品が1番好き!めちゃくちゃ不幸でもないけどまぁまぁ貧乏くじ引いてしまうしがない46歳の中年ノンケおじさんと膝の故障で人生絶望中の美形の花形バレエダンサー。いろんなコントラストが効いていてとってもよかったです。
美形が肉まんがっついてるとか、投身自殺しようと海に入ったら結局泳いじゃって死ねなかったとか、20歳と46歳とか、しがないサラリーマンとキラキラ花形ダンサーとか。
そんな2人なのに、キラキラの方がおじさんの事めっちゃ好きになってるんですよ。なんか夢がある。
職場でいい人だけど男としての魅力がなくて冴えない人認定されてるおじさんだけど、この先絶対いい感じの色気が出てきて密かに人気で出したりするんだろうな。私はメガネキャラ大好物なのでそんな未来が容易に想像できる。
【蜜柑の海前編・中編・後編】
田舎から上京してサラリーマンしている継巳の元に10年ぶりに会う幼馴染晃司くんが仕事のついでに現れてからの怒涛の展開。これ、数日の間のお話やんね?
①1日目 突然一人暮らしの部屋に幼馴染が仕事での出張の宿として泊まりに来る。(彼女らしき女の子が家でご飯作ってくれてたところに)
②2日目 東京観光案内。気付かずに新宿2丁目のゲイの出会いの場的ショットバーに入店。トイレで継巳襲われかけたところ康司救出。
継巳なんか性的なトラウマありそげなビビり方してる?
③3日目 母からの入電
最愛の祖母急死で10年帰っていなかった故郷に帰省。ここから怒涛の展開。
晃司くんはずっと継巳くんのこと好きだったんだろなってのはすぐわかる。ずっと片思いでこの気持ちは伝えずに秘めておこうと思ってたのがこんな怒涛の展開舞い上がってしまわない?ポーカーフェイスな晃司くん視点も読んでみたかった。心の中カッコ悪いくらい大騒ぎだったんじゃないかな。恋愛ってかっこ悪くて情けないもんだって思うからそんなところも見たかったです。
開幕ベルが鳴る前に/小説
海と王子様の第三者視点のお話
本編で風間アンリくんが田端さんを招待した復帰後の舞台の幕前での出来事。2人共素直で可愛いです。この後2人の話が始まるんだろうなって予感がしてキュンキュンします。
彼を待ちながら/小説
海とヘビースモーカーの和久井視点のお話。榎田尤利先生って死をモチーフにしたお話が多いんだけど、こちらもそうですね。畠の事が心配でどうにかしてあげたくて出てきちゃったんだろな。
畠にとってずっと忘れられない恋人だったんだろけど、和久井はその後結婚して娘もいててって感じだったら奥さんと娘の元にもピンチの時は助けに出てくるのかな。それとも霊感強くないと見えないのかな。どうなんだろうか。
【蜜柑の海】
2人の故郷はみかんの里って事と方言からして愛媛なんだろうな。東京と愛媛、めちゃ遠距離恋愛。お互い金銭的にも時間的にも普段があるな。たまに会うから盛り上がると取るか、マイナスに取るかは自分次第だな。
シーモアで購入
そんなシーンは殆どないけど、白抜き修正。
「海」に因んだ三話。短編集。お盆なので、再読。
①海とヘビースモーカー
こういう展開は、読後に悲しくなるので苦手・・タラレバが尽きない。
この中で一番短い短編だけど、胸にグサッと刺さる。
病人にもっと優しくしようと反省。
肺がんを告知される畠。事業に失敗して、友人も恋人も去っていた。
駅のホームでふと癌で死んだ人を思い出す。
実家に帰る和久井の事情を理解せず怒って、そのまま意地を張って連絡を絶った学生時代の恋人。
和久井は、女性と結婚して子が生まれ、数年前に癌で亡くなっている。
「いつか一緒に見よう」と約束した海と、和久井の遺影をみたくなって出かける畠。
駅に着いたら、死んだ恋人の面影を持つ少女が何故か待っていた。
切ない伏線が仕込まれていて、少女の正体がわかる場面で、毎回泣けてしまう。
魂魄を残すほど、畠を心配をしていた和久井。
意地を張らず「ずっと好きだった」と生前に言えていたら、違う人生になっていたかも。
畠のばかぁー。
①「海と王子様」
海辺で助けた自殺未遂の男性は、実は有名なバレエダンサーだった。
年齢差20歳。 御伽噺ような壮年の恋物語。
③「蜜柑と海」
大好きな蜜柑畑がある田舎、でも故郷にいけない訳がある。
その原因を、祖父の葬儀で従弟が解決して、二人の恋が深まる。
海と蜜柑に因む恋物語。
探してたのは ずっしりと読みごたえのあるものだったんです
しかも 暑いので できれば見た目に涼しい表紙のもので
失敗した事業でこさえた借金 女には逃げられ友人には避けられ そんなろくでもない人生に告げられたのは 肺の病
感傷に浸るつもりもないのに突如現れたのは彼によく似た少女
すこし図々しくて すこしお節介で すこしおませで
確かにそこにいたものは病の愁いが見せた幻だったのか 未練と罪悪感が作り出した妄想だったのか
表題作で一瞬鳥肌が ぶわッ!ってなりましたよ
ぶわッ!と膝から下総毛立つように
短編詰め合わせだって知らなかったんです 知らなかったんだけど
自分を王子様だと言い張る死にたがりの彼も 世渡り下手なお人よしの彼も
幼馴染にガールフレンド取られまくりの故郷を嫌う彼も すべてを飲み込んで一途に待った彼も
短編のくせにどれも ぎゅッ!っと圧縮された 迷いながら歩く各々の人生と 人を想うキモチがパンパンにはいってて 必ず最後のページに泣かされて鳥肌がたったんですけど
びっくりだよ
今まで短編詰め合わせ読んでもお話毎に好き嫌いが出ちゃってたのに 好きしかない短編集に出逢えるとわ
原作・漫画どちらもはじめましての作家さんだったけど
なんならこのまま『夏だ!ホラーだ!オカルトだ!』まつりを開催してやろうかと思うくらい好きだわ 表題作
つらい、、、
3つのお話し、それぞれツラい。
ままならない。
ハッピーなとこで区切ればハッピーエンド
だけど、ホントはその前も、その先もあるんだって感じさせてくれるお話しばかり。
それぞれツライけど、自己完結してなくて
後ろ向きじゃないので読み終わったあとドヨンとした気持ちにはなりません。
神で!
珠玉の短編集とはこのことかと✨
絵がきれい。
どのお話もステキ。
表題作…肺ガンになった畠が昔の恋人の故郷を訪れる。切ないお話。
その恋人が言った「海があるってことはすべてがあるってことなんだ」は本作のテーマだと思った。
海と王子様…さえない中年リーマン田端が海で出会った男は王子様と名乗る。
死のうとする王子様に「いいかげんにしなさい!」と叱る田端さんいい。
今まで不遜だったのに「ごめんなさい」と素直になる王子様も。
田端を好きになった王子様が迫り、ビックリして
「ぼ 僕は46歳のオジサンだぞ!」
「俺26 20歳差だね」
と返すのおもしろい。
「絶対に嫌だ」
「流されるの得意なんだろ」
「今だけは流されないっ」
の流れも笑ったw
後日談の小説もよかった。
蜜柑の海…昔の同級生が再会、継巳が失くした故郷や海を晃司の支えがあり取り戻す。
晃司がしゅっとしていい男。
黒髪短髪長身筋肉質切れ長目
ちゅうからのいちゃいちゃもいい。
どのお話も海の場面が美しかった。
海辺でいい男たちが恋するの絵にならないわけないね✨
◆海とヘビースモーカー(表題作)
表題作でありがなら他の2作品よりも短かったのですが、冒頭で素晴らしい余韻を残してくれた作品でした。悲恋ものかと淡々と読み進めていたのですが、終盤でそう来たか!と唸らされましたね。畠が子供に素っ気なく接していた分、思わぬ展開が切なさを煽ります。人はいつ死ぬか分からないから後悔しないように毎日を生きたいけれど、本当に難しいんだよなぁと改めて胸に突き刺さります。最初から分かっていれば畠は子供にもっと違う接し方をしていたはず。そして、きっと和久井には昔も今も畠を責める気持ちは微塵もないんだろう、ということも分かるからより一層後悔が募る。呆気ない終わり方、でもこういう作品が私は好きです。
◆蜜柑の海
受けの継巳が学生だった頃結構酷い目に遭っているんですが、狭い田舎で女性も多くない地域であれば、そう珍しい話でもないのかなぁと思いました。それで同性に目覚める子もいれば、重いトラウマになってしまう子もいる。どちらにしろあってはならないこと、大人は許してはならないこと。途中まで継巳がトラウマを抱えているようには見えなかったので驚きましたが、過去が明らかになってから、攻めの晃司がしっかりと継巳を支えてくれて、最後は継巳自身にトラウマの元凶を懲らしめさせたのはとても良かったですね。意外とこういう展開って少ないんじゃないかな。田舎に帰るのを嫌がっていた継巳が、何もかもを包んでくれる海に再び目を向けられるようになったのが嬉しかったです。
重い話なのかな?と敬遠していましたが、
やっぱり読んでみようと思い立って手に取りました。
海のある街を舞台に繰り広げられる3つの物語。
それぞれの登場人物たちのそれぞれの物語と結末があります。
なかでも印象深かったのが、
表題作【海とヘビースモーカー】なので、
こちらの作品を紹介させていただきます。
「海があるっていうことは、全てがあるってことなんだ。」
そう言ったのは畠のかつての恋人・和久井でした。
20年前に傷つけあって別れた恋人は、
故郷で結婚して子どもを作り、亡くなったそうです。
そして、今、畠も和久井と同じ癌を宣告されているのです。
20年間ずっと忘れられなかった和久井を思い、
ついに和久井の故郷の海へと降り立つ畠。
和久井を思いながらも会いに来られなかったことから、
畠が意地っ張りで、
和久井に対して罪悪感を持っていることが分かります。
そして、駅には和久井そっくりの女の子が!
その子に導かれ和久井家を訪れる畠は、
和久井の家で一枚の写真を見つけ、
泣き崩れるのです…
運命のいたずらか、和久井と同じ病になる畠に、
女の子は病気は治るというのです。
本当?と思いながら読んでいましたが、
最後にはきっと本当なんだろうと思いました。
現実とファンタジーが入り混じる本作、
短編ながらも深く心に残る作品です。
ハッピーエンド?バッドエンド?
それは読み手が決めることだと思います。
ただ、畠には幸せになってほしい…
それだけは切に願わずにはいられません。
中身をすっかり忘れた状態での再読だったけど、こんなに沁みるお話ばかりだったっけ…と新鮮な気持ちで読めました。
三つのお話が収録されていて、どれも海がテーマになっています。
作品全体を通して海という大きなもので包まれているような不思議な穏やかさを感じます。
【海とヘビースモーカー】
癌宣告をされた男が、大学四年間付き合った亡き恋人の故郷を20年ぶりに訪ねる話。
「いつか一緒に故郷の海を見よう」という約束をしつつも、喧嘩別れをし、その後、元恋人は病でこの世を去ってしまいます。
永遠に叶わぬ願いだったはずが、このような形で叶えられるとは……と思わず涙腺を刺激されてしまうのだけど、死ネタが絡んでいるにも関わらずじめっとした湿っぽさがないのは、心地よい潮風が軽やかに舞う気配が作品に満ちているからかもしれません。
【海と王子様】
「海と王子様」というタイトルですが、「海とおじさん」というタイトルだと途中まで勘違いしていました……。
というのも、26歳の王子様然としたバレエダンサーと、46歳のしがないおっさんという組み合わせだから。
通常では交差することもないような二人がある奇特な出会いをするのですが、おじさんには是非幸せになっていただきたい。
「王子様にもキスが必要なときがあるの!」とキスをねだるダンサーがかわいい。
そして海を背にダンサーが大きな跳躍を決めるシーンの美しいことといったら!
このコミックスはコミカライズではなく、榎田尤利さんが峰島なわこさんとのコラボのために書き下ろした作品なのですが、この跳躍シーンは神々しいほどの美しさで漫画ならではの魅力・絵の力というものを感じました。
【蜜柑の海】前編&中編&後編
東京で暮らす受けの元へ、10年ぶりに田舎から幼馴染がやってきて……。
故郷へ帰るつもりはないと言っているけど、故郷を捨てたというよりも酷い出来事のせいで逃げるしかなかった受けの過去が何とも辛い。
「俺たちの海を取り返す」という言葉が印象的です。
太陽の輝きが詰まったような蜜柑、そして蜜柑畑から見下ろす瀬戸内海のきらめき、とろりと黄金色に染まった海のイメージが脳内に自然と広がります。
いつでも海はここにあるんだよ、ここで君が帰ってくるのを待っていたよ、そんな海のとっぷりとした懐の深さを感じました。
榎田先生のお話がコミックだとどうなるんだろうと気になっていたのですが、ようやく手に取れました。最初読んだ時、ある部分がイタくて読めなくなったのですが、気を落ち着けて再読。榎田先生のお話に、なわこ先生の絵がプラスされて破壊力満点。パンチあるのに、都昆布のようなじわーと味もあるという奇跡の一冊でした。三作目に地雷と思われる箇所(無理やり系)があるのでご注意ください。
榎田先生のSSも加わって一番泣いたのは1作目。人生思う通りにはいかない。後悔先に立たず、人生やり直しはきかない。といった感じのお話で、ええ歳したおばはんなため、めちゃ心に沁みました。若い方には是非是非読んで、悔いのないようにしてほしいなと思います。人間関係もだけど、大事な身体面、がん検診も受けようね。
一番好きなのは、2作目。傷ついたバレエ王子と新橋にいそうなおっさん(笑)のお話。榎田先生のバレエ愛をなわこ先生の絵で見事に見せていただいて、感激です。絵ではグラン・ジュテ、最後にある榎田先生のSSの方ではジュテ・アントルラセ。王子がいつまでも輝いて心のままに踊れることを願います♡嬉しい気持ちをバレエで表せるなんて、やっぱバレエの神様に取りつかれてるのだ。
一番キツカッタのが3作目。キツすぎて書けない。頑張ればいつか無くしたと思っていたものでも取り戻せるというお話なのかな。でもキツかった・・・・その分、黒わんこのような晃司の想いに救われましたが。これから少しずつ人生取り戻していけるとよいです。頑張ろう、継巳。わんこが一緒にいるさ。
榎田先生がストーリー、峰島先生がコミックのコラボ作品です。240ページ超えで分厚く、読み応えがありました☆
表題作の「海とヘビースモーカー」は、肺癌を宣告された男、畠が過去の恋人である和久井の、故郷の海辺の町を訪ねる話。
ケンカ別れした和久井は故郷で結婚し、子供もできましたがもう亡くなっています。
後悔と未練を引き摺る畠が出会うのは、子供時代の和久井という、少し不思議で切ない読後感でした。
次の「海の王子様」は、榎田先生のバレエ好きが滲み出てますね。
左遷されて海辺の支店に飛ばされた中年の田端と、踊れなくなった王子様の年の差ラブ。二十歳差です。
王子様のバレエダンサー、風間アンリが浜辺で踊っている場面がとても綺麗でした。
「蜜柑の海」が、前・中・後と続いて一番長く、読み応えがあったお話です。
幼馴染みの晃司と継巳。二人は海を見下ろす蜜柑畑に囲まれて育ちましたが、継巳は東京に出ていて、晃司は蜜柑を作ってます。
逞しい晃司がカッコイイ!
帰らない決心をしている継巳にも、親戚に暴行された故の事情があって、切ない感じです。
じいちゃんの葬儀でそいつをぶん殴るところが、スッキリするクライマックスでした。
以上、3編は皆どちらかが彼女がいたり、結婚していたり(離婚)するわけですが、そこがリアルな感じで色気があったかな。とはいっても男女のドロドロはないので、ご安心を。
ストーリーと絵が合っている、心に残る一冊でした。
表紙に惹かれて購入しました。
3作品収録されています。その全てがアタリでした!
「海とヘビースモーカー」は嘗ての恋人(故人)を20年ぶりに訪ねる話。
「海と王子様」は入水に失敗したイケメンを拾う中年男の話。
「蜜柑の海」はトラウマ持ちの幼馴染同士の話でした。
漫画の順番で読むと「蜜柑の海」が最後になるので記憶に残るのですが、巻末にある榎田さんの後日譚小説を読むと、また「海と王子様」や「海とヘビースモーカー」の印象が強くなって、最初からもう一度読み返したくなるんです。
海を絡めて描かれた作品たち、何度読み返しても深いなぁと唸ってしまいます。
海って人によって持っているイメージが異なると思うんです。私なんかは波荒れる日本海のイメージなのですが、この作品は全てを包み込む大海原、母なる海、っていう感じですかね。
畠にとっての和久井、アンリにとっての田端、継巳にとっての晃司が海、なのかも。
すごく素敵な一冊です。オススメです。
ホロリ系(?) 榎田尤利さんの良さが現れたストーリーで、本の雰囲気は表紙の印象そのままです。
峰島なわこさんは初体験の私でしたが、お話にあった絵で随所に素敵な表現がありました。
ただ、あともう少し、主要男性キャラの描き方がキレイであってほしい(苦笑) 全般に表紙より絵が落ちる気がしたので…
一番気になったのは表題作の主役の現在の顔…、
やさぐれ気味でやつれてても、そこはBL!
若い時分をしのばせる若干の疲れた色っぽさとか加えてほしいです。
漫画1コマ目~数ページの絵だけ見てたら買わなかったかも;;
超ハンサム設定のバレエ王子も、もう1段美しく描いてくれたら、他のキャラとのギャップに納得できる気がします。
タイトルと画に惹かれました。原作ありきのコミカライズ作品。海をモチーフにした三作品が収録されています。こういう作品に出会うとホッとする。
多分画なしの文章だけで読んでも、コミックとして読んでもそれぞれに持ち味が出ていて二度おいしい作品に仕上がっているのではないでしょうか。巻末に表題作の描き下ろしペーパーと、「海と王子様」のその後が原作者さんの文章で収録されています。メディア横断はあまり好まないのですが、原作者の方の小説を読んでみたくなった、大変上質な物語でした。(「蜜柑の海」はコミックでの後日談が収録。)
どの作品も、人生の途上で躓きを経験している男達にスポットライトを当てた切なすぎる物語。そして海。海が持つ癒しの力を、予めテーマに掲げながらこれほどさりげなく表現するのはなかなか難しかったのではないでしょうか。柔らかく細い線で描かれた絵柄も相まって、「人間」ってヤツが抱えている突如消え入りそうな儚さが繊細に描かれており、読後は心洗われるような気持になります。ドロドロした感情が生まれそうになった時やネガティブになりそうな時、こっそり読んでます。
※原作ありきと記しましたが、正しくはコラボのための描き下ろし、です。訂正して、お詫び申し上げます。
■【海とヘビースモーカー】
昔、けんか別れした男が死に、
遅くなったけれどお焼香に行く主人公。
その男は妻子があり、
幸せに生涯を送ったようであった。
主人公はけんか別れした事を謝りたかったが、
遅すぎたように思われたが…?
ファンタジーを挟んだ切ない話で、
少し目頭が熱くなりました。
■【海と王子様】
海で自殺しかけていた王子様を拾ったさえないメガネリーマンのお話。
二十六歳の王子と四十六歳のリーマン。
年の差カップルでした。
ちなみに王子は本当は王子ではかったです。
さえないリーマンって言ったらなんだけど、
こういう誠実な人が一番だと思う。
きゃっきゃっしてる時が過ぎたら、
最後にはこういう人と一緒の方が幸せですわね。
■【柑橘の海 前中後編】
幼馴染カップルの話。
攻めさんがずっと受けさんに片想いしていたのですが、
ある事情から受けさんに想いを打ち明けられずにいました。
受けさんが10代の頃、まだ故郷の田舎にいた時。
従兄からレイプをされていました。
攻めさんはその場面を見ていたのですが、
まだ非力な子供だったため受けさんを助けることができなかった。
それだけじゃなく、その場面を見て以来、
攻めさんは受けさんを想像して自慰をするようになってしまいます。
そんな自分を嫌悪し、受けさんを好きだと想う気持ちを封印します。
トラウマを抱えている受けさんを想うがために。
そして、おじいちゃんが死んだので田舎に帰ってきた時、
例の従兄が現れて…?
大人になってからトラウマを打ち破り、
そして始まりだす二人の恋が、
切なくもくすぐったい、キュンとするお話でした。
失ったもの、得たもの。
『海があるってことは…』
表題作のラストページのモノローグにすべてが集約されている気がします。
榎田尤利さんが峰島なわこさんとのコラボのために書き下ろした作品だそうです。
海をモチーフした3作品、榎田さんによる後日談SSが巻末に収録されています。
どの作品も攻様が受様をすごく好きなのが伝わってくる、すれ違いやトラウマ含みの切ない展開でした。
【海とヘビースモーカー】
ガンを患った畠は昔の恋人和久井(故人)の故郷を訪ねます。
彼らはかつて好きという想いだけではどうする事もできなかった苦い別れを経験しています。
和久井の愛していた故郷にふれながら畠は若さゆえに結論を急いだ己の不器用な恋愛を振り返り、和久井を愛し続けていたことを再認識します。
過ぎ去った時間、輝いていたふたりの日々という取り戻せないものに直面し初めて嗚咽します。
悲しすぎて思い出したくもない出来事も忘れてしまった方が楽なのかもしれない出来事が20年経って畠を穏やかに包みます。
後日談は和久井目線の小説。
彼が畠と別れたあとに幸せだったこと、恋情とは変わってしまったかもしれないけれど、それでも畠を待ち続けてがわかって、そこに泣けてしまいました。
【泣けるBL】で読んだ当時は死にネタかぁ…と泣けませんでしたが、読み込むと泣けてきます。
【海と王子様】
膝を故障したダンサー:アンリと左遷された中年リーマン:田端(バツイチ)。
田端は海で死のうとしていた美しい青年を拾って自宅に連れ帰りますがダンサーの彼は膝を壊してしまったことに絶望して自殺を繰り返そうとします。
そんな彼を田端が怒鳴りつける場面がすごく好きです。
おとなしげな田端が胸のうちに抱える不満や悲しみや諸々を自分の不幸でいっぱいいっぱいなアンリにぶつける→アンリ目が覚める→アンリ田端に惚れるの図式はまさにお伽話。
童話でもワガママなお姫様が王子によって目覚める~って展開ありますよね。
狭い世界で走り続けていた『王子』が自分の知らない世界を知ります。
やるせなさを享受して生きる田端の強さ(本人自覚なしなのがいい)にアンリが惹かれたのはわかる気がします。
さえない46才が美貌の26才に押し倒されアワアワしながらも流される姿が良かったです。
海でアンリが見せるカブリオレや吹っ切れたあとのジュテの美しさにほわん、となりました!
後日談がこれまた良かった!
舞台に復帰したアンリが田端にチケットを贈るんですが、来てくれるかどうか不安で何度も何度も自分の躍りを確認したり(王子様なのにw)舞台袖から客席を覗けずソワソワしてる姿(王子様なのにw)を同僚目線で追っています。
アンリと客席の田端の落ちつかない風情がすごく可愛らしいです!
田端と知り合ってアンリの躍りはますます深いものになるのでしょう。
【蜜柑の海】
祖父との優しい思い出が刻まれた郷愁漂う、この話がいちばん長く読みごたえもあって好きです。
離れて暮らす幼馴染み同士の再会もの。
故郷を離れ独りで暮らす継巳は研修で上京してきた晃司を泊めることに。
大好きな故郷へ帰るに帰れないワケを誰にも言えず抱えている継巳ですが晃司に東京案内しているうちに怪しげな店に入ってしまい、それがもとでトラウマの原因となった出来事を夢で見てしまいます。
さらに継巳の理解者であった祖父の訃報が重なり、8年ぶりに晃司と故郷へ向かいます。
継巳から故郷を遠ざけていた理由が明らかになる中編から後編にかけて、継巳だけでなく晃司の苦悩も明かされます。
そして継 巳へ向けていた想いも。
継巳の痛みを見たときにスイッチが入った継巳への欲望が罪悪感へとすり変わる流れは思春期そのものです。
あの頃、彼らは幼く逃げることしかできなかったけれど今は向き合うことができる…と諸悪の根源をぶっとばし継巳は自分の故郷を取り戻します。
継巳の両親が思慮深く慈愛に満ちた人で良かった。
口数の少なそうな晃司が長きにわたる想いの丈を口にし涙を溢しながら継巳を抱く場面はふたりとも幸せになってほしくて涙が出てしまいました。
『おかえり』と言ってくれる晃司の胸こそが継巳の海であり故郷です。
唯一、後日談が漫画でした。
これも小説で読みたかったなぁ。
‐‐‐‐‐
【海と王子様】の後日談に書かれている一説に『バーレッスンの動きはごく地味だ。けれど、優れたダンサーのポテンシャルはそれだけで滲み出る。』とありましたが、それをそのまま、この作品に捧げたい。
一見、地味に見える画風も展開も秀作だと思える一作でした。
海がある街が舞台の3作品。
●海とヘビースモーカー
綺麗なオカルト。
2人が別れてしまう時の畠さんの言葉が
泣き崩れるシーンにリンクしてじんわりきてしまいました。
●海と王子様
故障し踊れなくなり入水自殺をはかるバレエダンサーが
もっと残念で冴えないサラリーマンに喝を入れられるお話。
後日譚にある、「おじさんが花束持ってる姿」のイラストが見たかったですw
●蜜柑の海
こちらはボリュームの3話。
「田舎が嫌だ」とか「初恋こじらせ」とか、
私の思っていた上京理由より、ワンランク上のお話でした。
なるほど「故郷に戻りたくても戻れない男」なわけですね。
おじいちゃんとの思い出のシーンがヤバいです。
表題作だけはアンソロで読んでいました。
これが唯一、「泣けるBL」で泣けるような内容だったような。
どの話もじんわり来るお話で、大体BLで短編集は尺の所為か物足りない事が多いのですがこれはそんな事なかったです。
原作の方も、作画の方も初読みだったのですが、どれもしっかり描かれていて、読み応えありました。
キャラ的には人生貧乏くじな「海と王子様」の眼鏡さんが好きですが、怖くないオカルトが好きなので、表題作がお気に入りです。
泣けるBL・・・
言われた通り、泣けてしまいました。
海をテーマにした3つのストーリー。
『海とヘビースモーカー』
最初から主人公の一人はすでに癌で亡くなっています。
もう一人の主人公が、同じ癌に侵され亡くなった彼の想いでの海を訪れる。
そこで会った子ども・・・
大学時代付き合っていた男、お互い別の道を選んでしまい疎遠になってしまった。
でも、忘れたことはなかった。忘れようとしたが忘れられなかった。
ずっと好きだったから。
20年も経ってそのわだかまりが溶けたとき、「ずっと会いたかった・・」
本心が涙とともに、ぽろぽろと止めどもなく流れ出す。
せつない、せつなすぎる・・
今こうして書いている間にも、涙が出てしまう。
自分は、こういうのに弱かったのだと改めて気づいた作品。
『海と王子様』
銀行で働く40代中年バツイチと有名バレーダンサー
膝の怪我で踊れなくなったことを悲観したバレーダンサーが
海で入水自殺を測ろうとするも、失敗。
それを助けた中年バツイチ。
恵まれた環境の中で好きなことに打ち込んできたバレーダンサーが
一度の挫折でぼろぼろになり死のうとするのを
不幸を絵に描いたような中年オヤジが一撃説教してしまう。
このダンサー怒られたり、怒鳴られたりすることなかったのかな。
一度で恋に堕ちてしまった・・?バツイチ中年オヤジに?
はっと気づかされたバレーダンサーが一皮むけて
今まで以上に素晴らしいダンサーに成長。
バレエ公演の招待状をおじさんに送る。「kiss me agein」
楽屋で待ってる・・・おじさん、似合わない花束持って行きます。
その時のことは描き下ろしで・・・
『蜜柑の海』
大好きな故郷に帰りたくても帰れない、継巳。
その継巳をずっと田舎でミカン農家をしながら思い続けている晃司。
18歳で田舎を逃げるように飛び出して、大好きなじいちゃんのいる田舎に
帰りたくても帰れない本当の理由があった継巳。
その本当の理由を知っていながら、何もできなかった
そして継巳をそういう目で見てきた自分を許せなかった晃司。
そのじいちゃんが突然亡くなり、帰った故郷で待っていたのは
逃げ出す原因を作った、従弟。
継巳がじいちゃんの大好きだったこの海を失わないために
原因である従弟との本当の決別に背中を押す晃司。
嫌な思い出ばかりのこの場所で、「幸せの上書き」継巳と晃司は結ばれます。
辛い過去を引きずって苦しみながら生きてきた継巳が
初めて心から笑顔になった瞬間を見ました。
それぞれの書下ろしが、またとても良かったです。
自分で考えながら「こういうことでいいのかな?」と自分なりに噛み砕きながら
ストーリーを味わうことができる、読み応えのある作品でした。
海のように大きな人間になりたいという願い
このコミックには、表題作の「海とヘビースモーカー」「海と王子様」「蜜柑の海」という3つの海にまつわるお話が収録されています。どのお話も人情や切なさに溢れていて、大人のしっとりとした雰囲気が素敵です。
「海とヘビースモーカー」
肺がんを宣告された畠と、彼の友人である和久井のお話です。かつての二人は恋人同士だったのに、若すぎるが故にこの恋は実らなかったのです。
「後悔していることが、やり直せるとしたら…」「好きな人がもう一度目の前に現れてくれるのなら…」と考えてしまうお話です。
「海と王子様」
左遷されて、海のある小さな田舎町で働くおじさん、田端と海からやってきた王子様、風間のお話です。王子様の正体はバレエダンサーなのですが、彼は足を壊して、思うように踊れなくなってしまったのです。
恵まれた環境にある風間と、ごくごく平凡な田端。田端曰く、流されるように生きてきたというのに、体の関係のときは、「流されない」と言い拒否するところが、現実的です。
「蜜柑の海」
大好きな故郷、大好きな祖父、幼なじみで一番の友人がいる故郷。それでも主人公、継巳には帰ることができない事情があるのです。
祖父の突然の死で故郷に帰ることになった継巳ですが、そこには、彼が帰れない原因を作った裕樹がいるのです。
意中にない相手でも結ばれることもBLではありますが、この作品の主人公、継巳が、声なき声を拾ってくれたような気がしてなりません。
「ちくしょう」と呻く継巳、そして彼の涙がもう切ないの一言です。
「かわいそうだから」という一言では言い表せないことが、作品全体からにじみ出ているところがすごく好きです。
そして、自分の手で決着をつけた継巳が、私にはとても頼もしく見えました。
3つの海と人のお話で。
ふんわりした、でも奥のほうでズシンとくるようなお話ばかりでした。
読後、頭の中に「…」が続く感じです。
榎田先生の本は漫画の原作か、数冊しか読んだことがなくて。
長編はなかなか手が出せないまま。
なので、本当の意味で魅力がわかりきっていないまま、この本を読んだのかもしれない。
『海とヘビースモーカー』
これは、泣くBLで読みました。
二十年も前に別れた恋人たちのお話で。
主人公の再生とメッセージが詰まった、とても優しく切ない、素敵な作品でした。
何か答えを求めるように、海を目指す畠と、海で待つ和久井。
畠のムツカシイ性格をほぐしてあげられるのは、現在の和久井だけ。
和久井が伝えたかった事は、きっと畠に形を変えて伝わる。
そして、畠はきっと元気になる!
そう思います。
『海と王子様』
貧乏クジばかりの人生を歩んでいる田端さんが、私にはたまらなかったです。
王子様を海で拾ってしまった事で、田端さんの人生は少しづつ変化して…。
少しづつ輝きだします。
王子様を救えるのは、ただひとり。
救ったつもりもない王子様から、さらにすくい上げられたのは、田畑さん。
それを読んで心が救われたのは、私ですね。
短いけれど夢が詰まったお話でした。
『蜜柑の海』
東京と蜜柑農家の田舎(愛媛)のお話。
十八才で上京して以来、田舎へ帰らない、でもおじいちゃん子な継巳。
彼のもとへ、幼馴染みで蜜柑農家をついだ晃司がたずねてくるところから、物語は始まります。
継巳が田舎へ帰らない理由が、少しづつあきらかになって。
それでも帰らなくてはならなくなって…。
う~ん、そうかぁ、そんな事が。
明るい主人公の様々な暗い過去、それは好きなパターンのお話で。
でもなぜか、このお話だけは入り込めませんでした。
なんでかなぁ?
私の友人には蜜柑農家出身者もいるし、学生時代、田舎から出てきた友人たちが沢山いて。
身近な話題で、なるほどなエピソードばかりで。
でも、はじめからちょっと引いて読んでいた気がします。
個人的に違和感があったのは。
エピソードから考えると、トラウマが薄すぎる気がしました。
晃司の着替えにドキッとするよりも、本来ならギクッとしそうなのに。
それが少しづつほぐれてくるならわかるんですが。
はじめからドキッは少し違和感が…。
何て言うか、リアルな感じの話なので、もう少し丁寧な展開が欲しかった気がします。
お話の長さ的にムツカシイのかな?
峰島なわこ先生の絵はやわらかでとても読みやすい。
お話はリアルな感じで、でも素敵でファンタジーな部分もあって。
海と、遠くの思い人。
遠いけれど身近に感じられるのは、海のお陰かもしれないなぁ。
はじめのお話のラストに、海の大きさを感じる一言があります。
それこそが、この海シリーズのテーマなのかも?
なんだか、海に行きたくなってきた!
あの潮の匂いと、波に足の下の砂が吸いとられる感覚が、懐かしくて愛しいです。
海が題材になっている、榎田先生原作の短編集。
それぞれの話は王道。
男性同士という部分を女に変えれば、ありふれたドラマにありそうな感じで、
好みとしてはもう少し捻りや深みが欲しいけれど、
海辺という舞台もあって、漂うノスタルジックな淡く透明な雰囲気がいい。
話は3つ。
ガンを煩いやさぐれたヘビースモーカーの中年と、今は亡き昔の恋人。
王子(膝を故障したダンサー)と、田舎に左遷されたくたびれバツイチ。
10年越しで片思いをしていたみかんを作る男と、都会で暮すその幼馴染み
個人的には巻末に収録されたSSも含めて、バレエダンサーの話が好き。
舞台袖でソワソワしているアンリがすごく可愛い。
峰島さんは初読みだったが、表紙はとても美しいし
キャラクターの表情が豊かで、作品世界にはとてもマッチしていた。
無情な時の流れ、後悔、人の温もり、海の癒し、
そんなものが静かに伝わる物語達でした。
表題作だけは、別のアンソロで読んだことあったけど、他の作品は初読み。
原作付だと、ストーリーが一回咀嚼された上でマンガ作品となるので、大抵の場合とてもわかりやすいハイレベルな作品に仕上がる。
ましてや、この本は、原作が榎田先生で、コミカライズ担当の峰島さんも画力がおありになるしで、実にハイレベルな作品だ。
作品タイトルにはみんな「海」がついていて、お話の舞台も「海」。
そしてキーワードは約束と再会。
約束を果たせないまま別れた恋人と再会する。
海で出会って愛し合い、再会を約束して前へ踏み出す。
そして、一度は捨てて逃げ出してきた海に、愛の約束の力で向かい合う。
どの海も明るく、イメージは四国かな。
峰島さん、デビューコミックスからズガン!と
表情豊かで心情を表してくれ揺さぶられましたが
この度榎田さん原作のコミックスって……たまんないっしょ!!!
人間としての愚かさ、非道さ、理不尽さがありつつ
最後は暖かい気持ちにさせてくれるのです…。
『海とヘビースモーカー』
肺がんと宣告された畠は、
若気のいたりでなじりあって別れたかつての恋人、
和久井の故郷へ足を運びます。
癌で亡くなったと聞いても通夜にも葬式にも行けなかった為
「いつか一緒に見よう」と言われた海を一人で見るために。
何もない町の駅に降り立つと、和久井に似た少女に抱きつかれ…。
私はファンタジーものは得意じゃないのですが
和久井が畠を心配して、心底愛して見せてくれた幻想ならば
ありかもしれないと思ってしまいました。
20年と言ったら、当たり前ですが
生まれた子が成人を迎えるという年月です。
その間、一日たりともずっと忘れられず
罪悪感に打ちひしがれつつ、変わらず愛し続けた男の想い。
何度読んでもじーんと来てしまいます……。
畠には今後幸せが待ってると信じたくなります。
『海と王子様』
田舎の海辺でびしょ濡れになった見知らぬ若者を
部屋へ連れて来てしまった真面目でお人好しな田端は
妻の裏切りで離婚して、上司の濡れ衣を着せられ左還。
“死にたい”と嘆く、バレエダンサーだというその男に
同情しながらも自分の素を一瞬曝け出し喝をいれるのですが…。
まさか自称・バレエダンサーがそんな有名人だったとは!
つか、知らない人間をほいほい自分の部屋に連れてきちゃうなんて
あぶないって!!…って思っちゃダメなんでしょうけどもw
誰しも、望んだような人生は決して歩めない。
それでも命の続く限り、懸命に生きなければならない。
努力が思ったように実を結ぶことが出来なくても……。
そんな中、触れ合った魂は奇跡の再会を生むのですね。
おっさん受けってやっぱり私は美味しいなぁ…。
冴えない分尚更!!!
『蜜柑の海 前中後編』
みかん畑と海のある故郷には
大好きなじいちゃんと、ちょっと憎らしい幼馴染がいて
簡単に戻れない、自分で切り離してしまった地。
大事な思い出があるし、本当は帰りたいのに
足を向ける事が出来ない過去を背負ったまま上京した継巳の元へ
自分が作ったというみかんを携え訪れた、かつての幼馴染の晃司。
田舎者を案内しようと張り切る継巳ですが…。
これはもう、涙なくして読めない作品です。
じいちゃんの懐の大きさに泣き、
継巳の抱えた過去にまた胸を締め付けられ、
晃司の一途で強く想い続けるその心が
たまらなく温かいのでした…!!
晃司の、継巳へ対する後ろめたい気持ちと大事にしたい葛藤は
無口で働き者の風貌からは想像できないほどの熱で
12年も隠し通して来たものなのです。
これだけ想われたら、継巳自身のツラい記憶も
きっと上書きされることでしょう!!!
榎田さんのSSもこれぞ!!とばかり効いていて
本当にじ────んとせずにいられません!!!!
新刊買いしていたのに、ずっとレビュー出来ずにいた程好きなコミックスです。
人って、誰かを愛さずにいられないし
誰かに愛されたいと願わずにいられない生き物なんだなって
改めて思い知らされたような気がします。
榎田さんと峰島さんの世界観ってかなりしっくりキます!!!
またコラボ作品を是非読みたいです!!!
私は小説は読まないので、榎田さんの作品は全く知りませんでした。評価が高いのも納得の内容のお話でした。コミカライズされたお話をほかにも読んでみたくなりました。
表題作は、どこかで読んだなと思っていたら、泣けるBLに入っていたお話。これは、複雑な気分にさせられました。死を前にして、失ったものをより思い知らされて、畠はいったいどうやって前を向けるというのか。それを救うための言葉が「海があるってことはすべてがあるってこと」。
・・・ではあるのだけれど、果たして畠にそれを納得して生を全うするだけの時間が残されているのか?年齢や生活環境を考えても、それほどの時間はないのでは?となると、この言葉はどういう意味になるのか。終幕の言葉とも、始まりの言葉ともとれるけれど・・・。
この達観した言葉は、畠にとってどう響いたんだろうと思いました。
この海シリーズ、どれも「いろいろあるけどちっぽけなものだよね」というテーマをもとにくくられているのかなぁと。だから、小さなことにこだわっていないで顔を上げて前に進め、というメッセージが込められているのかなと思いました。
畠にもぜひ、病気その他を乗り越えて、未来を手に入れてほしいと思いますし、そういう意味でのあの言葉だったのでしょう。酷だとは思うけど、頑張れ、畠!
ではさっそく表題作のストーリーをざっくりと。
最初はさっそく畠さん(黒髪の方)が癌宣告をうける所から始まります。
さらに昔の恋人の和久井と分かれてる上に和久井が結婚して子供もいてされに死んでいます。びっくりです。
こうやって文章にすると余計びっくりですね。
そして畠さんが和久井の奥さんと子供の住んでいる所に行って...という話です。
個人的な話になるんですが、私はそういう漫画の仕掛けみたいなものに基本的に気付かないタイプなので、ラスト5ページくらいで気付いてハッとして涙が止まりませんでした。
素敵な作品です。
次の作品は自殺したい若者×訳あって左遷されたおっさんです。
おっさん受け素晴らしい。すいません。
この作品もまず若者が自殺しようとしてる所から始まります。びっくりです。(2回目)
それをお人好しのおっさんが助けてあげます。
正確には若者が自殺出来なかったんですが。まぬけな理由で。
そこから若者の人生や、おっさんの人生色々見えてきて少し切なくなります。
そして若者がおっさんに惚れて無理矢理ヤっちゃえって感じになるんですが、
おっさんが大事なので結局出来ない、みたいな可愛いシーンも。
冷たい雰囲気だった若者がおっさんに出会って変わる様も見てて素敵です。
この作品は最後に原作者様の小説が少し入っています。萌えます。
次の作品は幼馴染カップルです。あ、まだ付き合ってないですが。
1人は上京していましたが大好きだったおじいちゃんのお葬式にでる為に田舎に帰ります。
田舎が大好きで帰りたいのに帰れない継巳。
理由としては十代の頃から従兄にレイプをされていたからです。
また個人的な話なんですが私はレイプ系のお話は苦手です。
よくあるレイプまがいの事をして最終的にその2人がくっ付くとかなら大丈夫なんですが、本気のレイプものは苦手です。
なので私みたいに苦手な人は少ししんどいかもしれません。
私は読んでる間ずっとその従兄にイライラしてて(一発殴りたい)と思っていました。
するとなんと殴ってくれます。継巳が。
いやーこれはすごくスッキリしますよ(ゲス)
まあでもやった事が無くなるわけじゃないので個人的には
社会的に抹殺されれb(ry
はい。まあ最終的にはハッピーエンドです。
苦手な人は頑張って読みましょう。
苦手じゃない人がニヤニヤして読みましょう。
全て海にまつわるお話です。
気になる方は読んでみてください。
榎田さんコラボ作、榎田さんらしい作風で子供だましなファンタジーじゃないのが
心に染み入る感じで泣けてきます。
20年前の恋、事業に失敗し恋人に逃げられ友人たちは目を合わそうとしない、
そして告げられる病気の事実。
踏んだり蹴ったりで笑いしかこみあげてこない主人公。
そんな時に思い出すのが過去の1番思いで深く後悔をいつもしていた恋の記憶。
恋人の故郷に一緒に海を見に行く約束をしたまま果たせず、
恋人はその後癌でこの世を去ってしまう。
何かに導かれるように20年前の恋人の故郷へいく主人公。
そこで待っていたのは恋人の忘れ形見の少女で、主人公を名前呼びして
やけにしつこく絡んできて、まるで父親と自分の事を全て知っているような口ぶり。
まるで奇跡のような出会い、過去の後悔を押し流すような神秘的で感動します。
海にまつわる人間模様と恋の話で、表題と4編と番外編で構成された1冊。
泣けるBLの初回盤に付いていたペーパーも収録されているので見逃した方は必見。
深くて味わいのある作品を読みたい時におススメの作品だと思います。
AGFのリブレ限定本で【海と王子様】番外編(内容については後述)を読んで以来、早く一冊にまとまらないかなーと待っていたこの「海」作品集。
全部で三つの短編が収録されています。
現実に押しつぶされそうな人々に海が見せる三つの奇跡。
ドラマティックで爽やかで、
一本のオムニバス映画を見たような充足感がありました。
収録作には「海」「遠恋」という共通のキーワードがあり、
話によりそれぞれ違う結末を迎えるのが興味深いです。
コミカライズ作品ですが、榎田さんの小説も収録され
読み応えある内容となっています。
◆【海とヘビースモーカー】【彼を待ちながら】
主人公は、畠という中年男性。
畠には大学時代、和久井という恋人がいたが
卒業間近、地元に帰るという和久井をなじり
一方的に別れを告げた。
その後、和久井は癌で亡くなり
畠もまた、事業に失敗し全てを失った末、肺がんを告知される。
余命幾ばくもない彼は、初めて和久井の生まれ故郷を訪れ…。
何もかも失った畠が、過去を悔やむ姿が哀しい。
そんな畠の前に現れる和久井がまた、
畠を全く恨んでいない優しい顔をしていて、一層切ない。
畠は、彼に出会ったことで
ますます後悔しながら余生を過ごすのではないか?
榎田さんのあとがきで「畠さんは、絶対に幸せになると信じてます」とあって少し安堵しましたが、その後の畠が気になるなーー。
小説【彼を待ちながら】は
『泣けるBL』ペーパーの再録で、和久井の物語。
海の綺麗な故郷で、癌に冒されつつも家族と幸せに暮らし
畠を心配こそすれ、恨むことはなかった和久井。
強くて優しい彼の生き様が綴られます。
◆【海と王子様】【開幕ベルが鳴る前に】
本店から、海の見える田舎町に左遷された信金職員・田端。
ある日海辺で、
入水自殺しようとする美しい青年(自称”王子様”)に出会い
なりゆきで自宅に迎え入れ…。
踊れなくなったダンサー・アンリが
冴えないオジサンに癒され喝を入れられw、
再起していくまでの心温まる物語です。
※ちなみに
冒頭書いた、AGF限定本のマンガはこの二人の話でした。
小説【開幕ベル~】の続き。
舞台を見に来てくれた田端に飛びつくアンリと
逃げる田端w
26歳×46歳。若くて美しい王子様に愛されて
戸惑いつつも幸せそうな田端の未来が見えますv
◆【蜜柑の海】(全3話)&【そのごのはなし】
上京して8年、東京で楽しく暮らしている継巳を
田舎で就職した幼なじみ・晃司が訪ねてくる。
継巳とじいちゃんのエピソードにホロリときました。
地元に帰らない孫を心配し、ずっとミカンを送り続けるなんて…(泣)
でも、継巳には帰れないトラウマがありました。
明るい笑顔の裏に、大きな悩みを抱える継巳と
そんな継巳を一途に愛し支える晃司のプラトニックな再会愛。
想いが通じ合っての初Hまで、キュンキュンし通しでした。
【そのごのはなし】では、照れる継巳にニヤニヤすると同時に
じいちゃんのミカンの話も出てきて、またホロリと…w
また独自の自分的カテゴライズを述べてもいいだろうか?
1冊を読み終えて雰囲気や展開等々、饒舌な桃山なおこ作品、という印象を持った。
いや、桃山なおこ作品に似ているというわけではなく、そこの仲間に位置付ける作品だと思ったということです。
原作が榎田尤利ということで、きっとその原作自体があるからこその雰囲気なのだとは思うのだが、絶対間違いなく原作を隠したらわからないくらいに作者さんの作品として昇華されていると感じた表現力でした。
それぞれに海を舞台(モチーフ)においた作品3本。
【海とヘビースモーカー】
『泣けるBL』に載っていたやるせないお話だったのですが、このお話のキーワードは「海があるってことはすべてがあるってことなんだよ」
大学卒業時に最悪な別れかたをしてしまった元恋人が先に亡くなり、自分がガンを宣告されて、その元恋人の地元を訪ねる話でした。
亡くなった和久井の子供に姿に帰った幽霊(幻?)に案内され、彼との果たされなかった約束をやっと果たし、傷つけた事を贖罪する畠に彼のシコリがほどけて涙になってあふれる瞬間が印象的でした。
ただ、海があることは全てがあるということは、一体なんだったのだろうと、自分のトリ頭では未だに理解できないのです(涙)あれかな?これかな?ひょっとして思うその全てが全てなのでしょうか?
「泣けるBL」についていた初回限定ペーパーの和久井視点の短編が載っています。
【海と王子様】
足を故障して絶望し海で入水自殺しようとするバレエダンサーと、それを止めた苦労しながらもそれが報われず裏切られ続けながらも尚誠実に生きている46歳の銀行員とのお話。
どちらの不幸がより不幸かと比較するよりも、この銀行員の現実に思わず同情をもよおしつつも彼は立派な人だと、その魅力がわかるのがいい。
王子と呼ばれ挫折を知らないで生きてきたダンサーが自分の事しか考えてなかった、ネガティブ思考をおっさんに一喝で叩き直される展開は、チクっと痛い胸の痛みが軽妙な軽さで緩和されている、前向きな展開が微笑ましかった。
これには、citron掲載だった後日談の小説が載っています。
「ジゼル」のヒラリオンをうらやむアルブレヒトって、なかなか愉快で笑っちゃいました。バレエやってる人ってすぐ踊って表現しちゃう(うちの妹がそうだったw)、それがお茶目で思わずクスっと♪
【蜜柑の海】
もうっ!年寄りと子供には弱いのです!
孫の唯一の理解者でいてくれたおじいちゃんと、その死に貰い泣き・・・
高校卒業と同時に家出のように家を出て地元へも帰らず8年。10年ぶりに幼馴染のコウジが農協の研修だと継巳の家を訪ねてくる。
ところが彼が帰る日、実家から連絡があり祖父がなくなったと。
コウジと一緒に帰ることになった継巳だが、実は実家へ帰りたくない真実の理由が隠されていたのです。
コウジの表情の薄い寡黙な、でも男前な態度。力仕事で鍛えたたくましい身体つき、このコウジが実に魅力的に映りましたv
決して嫌いなわけじゃない。会えば昔のように楽しい会話ができて故郷を感じることが出来る男。
二人とも、心にこだわりを隠してそれがすれ違っていたのですが、葬儀という場所で決着をつけるそのシーンは、読者の自分もスッキリしました!
継巳が実家へ帰らなかった一番の理由の元凶である従兄弟の存在ですね。
継巳は優しいヤツだったんですよ。
題名がダイレクトにテーマを表わしていて解りやすい題名です。
主人公達のちょっと切ない、でもあたたかい心が風景と共に入ってくるような素敵なドラマです。