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「どうやらあいつは女の服を着ていると俺に抵抗できない」
udagawachou de matteteyo
初めて読んだのが2014年頃だったのかな…その時に「萌」評価していてもはや変更できません。多分百瀬の髪が鬱陶しかったせい。
思い立って今読んでみて…「神」じゃん。
10年以上経っても衝撃的。
最初の女装はGFの遊び半分。でもその時に見知らぬ男に見破られず、それどころか「かーいーね」と言われて、何かの扉が開くわけです。
その「何か」を解放させる渇望が、渋谷で女装で佇む、という行為に駆り立てる。
これ、百瀬に見つからなくても、誰かが暴いたでしょうね。
その「誰か」がクラスメイトだったから、日々顔を合わせる人物だったから、何もかも加速していった…のかな。
本能的な怖れ、みたいなものは女性にとってはよくわかる感覚。
自分より体の大きな百瀬に迫ってこられて、こわい。
でもその百瀬が自分を好きだ、かわいい、と言ってくることにゾクゾクしてくる感じ。
2人ともモダモダしつつも、結局は後戻りできない場所に踏み込んでいく…そんなスリリングさ。
ゲイとかノンケとか、女装とか。そんな「属性」はもはや関係なくて、出会ってしまった2人がたどっていく運命、みたいにも感じる。
ハッピーエンドのはずだけど、どこか薄暗い。
女装BLは初めてだったんですが、なんでもっと早く読まなかったんだろうと後悔するほど予想以上に最高でした。八代の女装姿がごつくて骨骨しくて「女装」感のある女装姿ですごく良かった。そしてなにより八代の頭おかしい!と言いつつ思いつつ、心の奥底にある矛盾だらけの本音と葛藤してる描写が本当に……最高。そんな八代に澱みのない好きをストレートに伝える百瀬とそれにグラつく百瀬のやりとりがやばかっためちゃめちゃ良かったです。最後の百瀬と女装した八代が待ち合わせして手を繋いでいたシーンがおめでとうおめでとうおめでとう…とおめでとうbotになるぐらい良かった。ほんとにほんとに良かった。全シーン良かった。あと心情をセリフやモノローグなどで言葉で全て表現するのではなく表情や描写で読み取れるシーンが所々あって読み応えがありました。切実に続きが読みたい。番外編も嬉しいけどお付き合い後の2人のお話をもっと読みたい…お恵みを…
何年か前に映画がきっかけでこの作品に出会ったんだけど、今までのBL作品でおそらくダントツ好きで、普通にシーリズ化して欲しかった、、、
また似てる作品を作ってくださるといいのですが、、、
好きな作品なのでレビューを書いてみます。
女装モノですが、イケメン男子高校生なので、女性用の服を着るとごつくなってしまう…そこで色々と工夫をしてお洒落をこっそりと楽しんでいる八代がたまらなくいじらしく感じました。
そんな八代を渋谷で見かけた百瀬。
まさかの一目惚れー!
一目惚れをしてからの展開がとても丁寧な描写で、百瀬のキャラクター設定がとても凝っていて好きです。
八代的には、百瀬が何を考えているのか分からなくて怖かったり、百瀬は初めての恋で、どういう接し方をすれば好かれるとか考えずに八代を脅しながら着て欲しい服を着せたり笑。
不器用だけど、2人の真っ直ぐな気持ちがとても心地よくて。
八代は可愛い服を着たいだけじゃなかったと知り、ちょっとびっくりというか「組み敷かれたい」という感情が独特で、いい表現だなぁと思いました。
八代の気持ちの揺れがリアルでとても良かったです!
八代のファッションショー的なイラストも素敵な1冊です。
数年ぶりに読み返してみました。
どんな話かちっとも覚えてなかったので、ほぼ初見。私の記憶力たるや、ほんとに脳みそつるつる何度でも楽しめる。
扉絵が何ともえっちじゃないですか!
ビキニからのチラリズム。
試し読みでも出てくるはずなので、皆さん見てみて。
渋谷ハチ公前で偶然クラスメイトの男子、八代の女装姿を見ちゃってそれから気になって気になって何も手につかない百瀬くん。
もう、気になるがままガン見するし実際にまたハチ公前まで会いに行って本人かどうか確認して声掛けちゃうし、引っ張っていってチューしちゃうし。
2人共ゲイじゃないんですよ、八代くんは元カノのイタズラで女装させられてお出掛け中に、ナンパされて可愛いって言われた事が快感でハマってしまった、単純に女装は趣味で異性愛者の自覚あり。
でも、百瀬に執着されてだんだんとわからなくなりだすの、もしかしたら女の子みたいにされたいんじゃないか?と。
女装の時は、抵抗しないんだよね、心のスイッチが入っちゃうんだろうか。
割とかっこいい方の男の子なんだよね、可愛い系や美人系では決してない。骨格もしっかりな男の子。
フリルやシフォン、花柄なんかのガーリーな服装を好んで着てる感じだけど、扉絵で描かれているモデル風のカッコいいモードファッションの方がしっくりいってた。
メイクもウィッグもかぶってないただ女子の制服着てるだけだと私から見たらめちゃ違和感あんのに、百瀬くんとっても興奮してたよね。
もう、何が何だかわかんないけど八代=カワイイになっちゃってんだな、コイツは。
でも、生粋のゲイじゃない2人だからただの熱病一時的な気の迷いだったねってどっちかが醒めたら怖いなぁなんて思ってしまった。
今なんて女装コスプレしてる人とかSNS発信してフォロワー沢山いてたりする時代。なんか、元々異性愛者だったけどどっちもいけるなんてなる人もいるんじゃないかな?なんて思っちゃうな。
紙本で購入
2箇所しか局部出てないけど未修正
かなり前に読んでハマったもの、ドラマCDの存在を知って一緒に購入しました。
私は好きな商業BL漫画を聞かれたら1番にこれをあげます。
絵も好みでお話の空気感も好きですが、八代が決して普段から女顔とかではないタイプの女装男子だったり、百瀬がいい塩梅の気持ち悪さと怖さだったり、八代が普段はカースト上位にしれーっといるような容量いいやつなのに百瀬に抵抗できずにヘタレ倒してたり、お互いに不器用だったり…好きなところいろいろあります。
でも、1番は
初エッチで八代が自分から誘ったくせにいざとなったら怖気付いて泣いて拒むシーン!!ここがやばい!!
最近私の性癖が初エッチで失敗することなのだと気付いたのですが、これは本当に良い失敗!!泣いて謝って拒んでるの最高だし拒まれて傷ついてるのも最高。これだ〜!!!!って思いました。
ズガーン!と後頭部を鈍器で殴られたような衝撃を味わったのが、BLハマりたての4年前。
あの日からずっとわたしのBL本棚の1列目にいます。
何度整理や処分をしても、この本の定位置は変わらず。
それくらいずっと好きな作品です。
休日の渋谷、ハチ公前。
遊びに来た高校生の百瀬が目にしたのは、女装をしたクラスメイトの八代で…。
声をかけずに2度やり過ごし、教室では八代の姿ばかり目で追ってしまう。
脳裏に残る女装姿の八代が頭から離れず、いろいろな疑問が渦巻きまくりです。
「ホモなの?」「罰ゲーム?」などなど。
気になって、考えて、見つめまくって。
1人の人間のことで頭が占領されて、夢にまで見てしまったら、それはもう恋。
BLでは恋を自覚するのによく使われる「夢」ですが、夢の威力ってはんぱない。
わたしも昔、レコードショップでバイトをしていた時代に、全く好きじゃなかったバンドのベーシストと家庭を持つという夢を見てから、やたらとそのひとが気になって、販促用ポスター見ては「この人…、わたしの夫…」とあほなことを考えていた瞬間がありました。
潜在意識に直接訴えかけてくるもの。夢、恐るべし。
八代は陽キャ、リア充、クラスの中心グループ。
百瀬は隠キャというか、クラスでは目立たないけど、オタクというのではなくてno music no life系のDK。
私服だと「あれ?百瀬って意外とおしゃれ」って思われる系。
そして体も大きい。
接点のなかった2人だけど、百瀬のグイグイ攻撃で距離を詰められて、自分の奥底にあった願望を引っ張り出される怖さを八代が感じる心理描写が素晴らしいんです。
ふつうじゃない感情。
きっかけは頭の緩い元カノにさせられた女装だったけど、「女」として見られたときに感じた「何か」が八代の心を痺れさせて、その「何か」に蓋をしたまま、こっそり続けていた女装。
秘密を知られて、距離を詰めてくる百瀬にその「何か」を暴かれる恐怖が読んでいる方にもしっかり伝わってくるから、手に力が入ります。
百瀬はそれまで男女交際におそらく興味がなかったタイプ。
それよりも自分の好きな音楽なんかに時間を費やす方が大事っていう感じ。
だから初めて自分の中に芽生えた感情に戸惑う思考回路が楽しい。
戸惑って、考えて、観察して、それでも分からなくて、相手にぶつかっていく。
不器用で言葉足らずだけど、その不器用さが愛おしい。
そう、一言で言うなら「愛おしい」。
もともと男が好きなわけでもない2人が、じわじわと相手に頭と心を占領されていって、抗いながらも恋に落ちる。
巧みな人物設定と心理描写に引きずり込まれて、読者も2人に頭と心を占領されていくんです。
そしてわたしたちは抗わない。
喜んで受け入れるので、この作品と簡単に恋に落ちてしまうんだなあ。
作者さん買いです。
女装BLはあまり好まないのですが、作者さんの作品にハズレなし!と信じて読みました。
結果やはり信じて良かったです。
宇田川町で女の子の格好をして立っている八代を見かけた百瀬が、その姿に恋をしてしまうお話。
クラスメイトだけど、カーストの上位にいるような八代と陰キャの百瀬。この交わらないような2人の関係性がその日を境に変わっていく様が良かったです。
八代が自分の本当の性癖に気づいてないフリというか、蓋をしています。
それを百瀬がひたすらまっすぐに、荒々しく崩してくる様にドキドキさせられました。
好意や欲望のベクトルが一方的だったものが、急速に八代からも発せられるようになる過程のモノローグが印象的。
読み返すほどに好きになる作品です。
読み終えた後にもう1度読み返したくなるような魅力があります。
紙媒体で本書をお持ちの方は、ぜひカバーを取って広げて見てほしい。
シンプルだけれどインパクトがあり、読後に見返すとなんだかグッと来るセンスの良さ。
こちらの作品は2012年刊行との事で、レビューを書いている現在(2020年)から遡ると、もう8年も前に発売された作品なのですね。
発売当時にもこの鮮烈なカバーイラストとデザインに惹かれ、ふらふらと手に取って読んだ記憶があります。
今回、秀良子先生作品を読み返してみようと数年ぶりに読み返したのですが、当時とは読後の余韻や登場人物達に対しての印象も異なっていたのです。
しかしながら、年月が経っていても「面白い」と感じるのは変わらなかった。
ここが本当にすごいと思う。
百瀬も八代も多くを語るわけでもなく、モノローグが多いわけでもない。
描き込みだって決して多くはないのです。
ただ、独特の間合いやコマ割り、空間の空け方、登場人物達のちょっとした視線や仕草に妙に惹かれてしまうんですよ。
読み手によって自由に解釈出来て、想像させる余白があるのがすごく良い。
ラスト付近の、八代と百瀬の友人それぞれが寂し気に見えるワンシーンだけでも想像が膨らみます。
女装がテーマではありますが、そこがメインというよりも「理屈じゃないあらがえない感情」を思春期ならではの荒っぽさと危うさを交えながら描いた作品だと思います。
百瀬という人は、物事をシンプルで感覚的に考えている人。
それでいてとても鼻が効くというか。
いつもスクールカーストの上位に居るような八代が女装をしている姿に興味を抱くものの、結局は女装をしていてもしていなくても「八代がかわいい」と言う。
百瀬が八代に対して「かわいい」と思っているシーンを読み返すと、八代が自身のセクシャリティにぐらついていたり、素の部分を見せたり、好きな事をしている時だけ感じている感情なのですよね。
男でもなく女でもなく、ありのままの八代という人に惹かれたんだろうなあなんて。
そして、付き合っていた彼女から遊び半分で女装をさせられ、外に連れ出され、見ず知らずの男からかわいいと言われて以来、なぜか女装をする事が趣味となってしまった八代。
この「なぜなのか」が深いのです。
彼は決して女の子になりたい訳ではないのだと思います。
ちょっとした女装をきっかけに、今までヘテロセクシャルだと思っていた自身の性的指向が揺らぎ始めていく。
やがてそこに百瀬が現れた事によって、見えそうで見えなかった、本当は知っていたけれど知りたくなかった深層心理が暴かれてしまう。
マイノリティを認めることの恐れや戸惑い。
それらすべてが百瀬が口にする「かわいい」と「好き」で塗り替えられていく様は見事。
八代のファッションがいかにもな女装ではないのがまた良かった。
ラストの余韻とタイトルがなんともたまらなく味わい深い1冊でした。