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mayonaka chronicle
真夜中――日光を浴びることができないニーナの活動時間である夜を重ねて刻まれる、ニーナと陽光の物語です。7歳、18歳、23歳、26歳…と成長するニーナと、7歳下の陽光。二人が出会い、悩み、揺れて、恋をしたクロニクルは、切なさがいっぱい詰まった作品になっています。
言ってしまえば年下ワンコ×クール美人のお話ですが、二人の恋愛はちっともスマートではなく、距離感を間違ったり相手を傷つけたりを繰り返して、何が正解だか分からないけれど「好き」という気持ちだけは揺らがない…という真っ直ぐさが感じられて、その不器用な様子がとても良かったです。
中でも表題作に描かれていた11歳の陽光がとても好きでした。頑ななニーナを変えてしまうパワーは子供特有のものであるし、陽光の持つ男らしさの欠片だったと思います。陽光の手紙には胸が詰まりました。
また、あとがきでも触れられていますが、これ以上ないほど物語にマッチしている表紙イラストが素晴らしいです。小山田あみさんはモノクロイラストも含めて作品を大事にして描いてくださるので、読んでいて幸せな気持ちになります。
文句なしの神でした。
ニーナと陽光の2人の描写が、小学校時代から語られているのが良かったです。ニーナは初めはそこまで口も悪く無い素直な子だったけれど、学校でのことがトラウマになり、捻くれてしまう、と、ただ口の悪い受けというわけではなく、きちんとした過程が描かれているからこそ、愛着もひとしおでした。
そして攻めの陽光がとにかく素敵な彼氏ぶり。幼いころからの真っ直ぐさは変わらないまま、不遇な境遇でもニーナを愛し続け、愚痴も言わない男前ぶりな性格が良かったです。
物語の運びもさすがで、最後にニーナが外の世界へ踏み出すために家を出たところでは涙がボロボロでした。
2人のエピソードは多々あれど、あとがきに書かれているように無駄なエピソードが一切ありませんでした。脇役の映画監督もバー店主もその彼氏も、みんないいキャラをしていて読んでいて気持ちよかったです。
個人的には無口無愛想で口の悪い受けと、太陽みたいな攻めの組み合わせが好きだったので、萌もきちんと感じられて最高の1冊でした。
ニーナの苦しいときの口癖かな?
途中、だれました。
ニーナがかたくなで、それはいいんだけど
陽光も役者の仕事がうまくいってなくて
もやもやしていて。
ためてためて
中盤以降は疾走しています。
最後は大団円
よかったです。
ちょっと攻めの陽光は一途でいいんだけど
好きですタイプです。
ニーナの病気による性格付けとかもわかるんだけど
いまいち受けが好きになれませんでした。
萌え寄りの萌え2です(^-^)
実在する病気という少し重めのテーマを扱っている分、少し読むのに勇気がいる作品でした。
終盤のカタルシスへの布石だとわかっていても、序盤の鬱屈した受けの少年時代は読んでいてとても切なく苦しかったです。
生来の枷から、どうしても内に内に籠もってしまいがちなパーソナリティの受けですが、そんな受けにまっすぐ向き合い続け、受けを正しく照らせない太陽のかわりになろうとするかのように明るく受けを愛する年下攻めが胸を打ちました。
イケメン年下芸能人攻め…というBL小説ではよく見かける設定なのですが、決して芸能活動が順風満帆ではなく、前向きに努力をしている場面が多く描かれているのも好感が持てるし新鮮な印象でした。
全体の流れとしては、年下攻めと年上受けが、互いに相手に対する愛情だけではなくコンプレックスも感じていて、それでも一緒にいたくて、相手のためになりたくて…という感情の流れを際立たせるエピソードの一つ一つが抜群でした。
窮屈な枷とあいまって育っていった受けの才能も、一癖あってとても面白いなと…
成功の過程が本当に嬉しくてカタルシスがあります。
上り坂のストーリーをすごくうまく描いてくださることに信頼のおける作家さんなので、今回も序盤の苦しさを乗り越えて暖かい読後感に無事辿り着くことができました。
ラストでは序盤のやるせないエピソードが下敷きになりつつ、年月が経ち成長し、偏屈なままだけど確かに強くなって、自分にまっすぐ向き合い続けてくれた攻めのために必死の勇気で壁を乗り越える受けが本当にかっこよかったです。
扱うテーマ的にも何度も気軽に読み返したいと思う作品ではきっとないのですが、不意にすごく読み返したくなる、ここちよい重みのある作品です。
小説を読んでいる時、ふと集中力が途切れるとあとがきページを開いてしまいます。
そこには「100%自分の精一杯を文字にしたつもり」「どうしても削る部分がない」という作者さんの熱い気持ちがあって、思わずこちらも真剣になりました(そして最後にまた読んで泣いた)。
クリエイターさんは誰もが100%全力でやっていると思います。
でもあとがきでここまで言いきってしまうことってなかなかできないと思うし、また知る機会もあまりありません。
物語も凄く感動しましたが、それ以上に凪良さんの作家としての情熱にとても感動しました。
また才能や好きという気持ちだけで続けることはできないのだとニーナや陽光に重なる部分がありました。
人生というのは思い通りにいかないものです。
そのことがどんなに頭で分かっていても、やはり嫌なものは嫌だし辛いことは辛いしそこにどっぷり浸かってしまうことなんてしょっちゅうあります。
この作品は、前向きに頑張っていこうという激励や成長を讃歌するものではなく、大切なものを間違えないようにしようというシンプルだけどゆるぎない核があります。
売れっ子の中園の存在がありましたが、彼は大切なものがないあるいは気付いていないという点ではかわいそうな人だと思います。
そして私もそんなかわいそうな一人かもしれないと思い知らされた気分でした。
決して自虐的になっているのではなく、この作品を読んで気付けて良かったという気持ちでいっぱいです。
物語のジェットコースターを味わいたい気分の人にはこの作品には向いていないのかなと思います。
かくいう私がそうだったので、あとがきを読んで居住まいを正しました。
でも真面目になって読むものでもないと思います。
表紙からも分かるようにとてもキラキラしたお話だし、小学生の時から大人になってもいまだに使っているニーナの「しね、ボケ」の破壊力に萌えまくりました。
なんとも、お洒落な言葉です。
最初出会った時、攻めはまだ小学5年生。
ちょっと子供過ぎやしませんか?と思いました。
確かに大人になれば、歳の差も気にならないでしょうが
18歳と11歳は、ちょっとした犯罪です。
しかし、時間の流れがそういうことを忘れさせ
大人になった2人の、心の葛藤をとても丁寧に書かれていて
難しい病気で辛い思いをしてきたニーナが
人間らしい感情や愛情を持つまでの、陽光とのかかわりと
陽光の良さやニーナへの愛が、
長い時間かかって今の二人ににたどり着いたと思えました。
あんなにSEXを嫌がっていたニーナが自分から求めるようになったとき
本当に自分も陽光のことを好きなんだと自覚した時・・・
たくさんの辛い過去を陽光と一緒に乗り越えて
やっと今、時分には陽光だけ・・・と気づいたニーナ。
好きとか愛してるとか、そういうことが言えなかった
そゆいうこととは自分を切り離していたニーナが
陽光が好きだと気づくことができた時、ラブソングが書けた時。
関係ありませんが、中園が週刊誌にすっぱ抜かれて主役を降ろされたとき
かなりスッキリしました。
あー私って、嫌なやつだわ~
この本を読んで沢尻エリカが出演していたTVドラマ「タイヨウのうた」を思い出した。あのヒロインも病名は違うけれど陽の当たる場所では生きられなかった。
夜に路上で歌を歌っていた。
プロローグを読んでどうかなと思った。病気の知識や理解のなかった大昔とは違って、今の教師は「光線過敏症」の児童を外に引っ張り出したりしないと思うし、その後のいじめもあんなにエスカレートしないと思う。
ニーナの気むずかしくて偏屈な性格づけのためのエピソードなのかも知れないけれど、陽光とニーナの時を追ったクロニクルが心に残っただけに残念すぎる。
王道のBLとは少しテイストの違うお話でした。
キャラやストーリーについては、他の方が書かれている通りなのでラストのみ・・
この作品で一番印象に残ったのはラストでした。
受け様も攻め様も仕事がよい状態のところで物語は終わっていますが
どちらも人気商売なので、いつ転落するか分かりません。
作品の中でも、攻め様は一度、子役の時に人気を博しながら、今は仕事が回ってこないという状態が長く続いていました。
この作品は、スーパー攻め様に見初められて、これから何かあってもこの攻め様がいれば大丈夫!
というようなものではありません。
仕事がうまくいってもいかなくても、これからもずっとこの受け様と攻め様はもがきながら進んでいく・・
そしてそれは隣に攻め様(受け様)がいるからこそ、どんな時も頑張っていける、そんなラストでした。
しみじみと感じ入りたい気分の時におすすめしたい作品です。
皆さんの評価を裏切らない良い作品でした!
まず、思っていたよりも読みごたえがありました。ジーンと来るけどずるずるまとわりつくことはない、さっぱりとした読了感で気持ちが良いです。
主人公が病気だったり虐めを受けていた事があったり、な設定だとどうしても同情っぽい雰囲気が出てしまいがちかなと思いましたが、この作品は全然無かったです。
プロローグはニーナが小学生で、本編のはじまりは陽光が小学生。
陽光とニーナの違うところや、逆にちょっと似ているところがよくわかるので、物語に入り込みやすかったです。
小学生の陽光は素直に思ったことをぽんぽん口に出すので、会話シーンはすごく楽しくテンポ良く読めました。
国道を爆走するところは読み終えた後だと、二人とも子供だったなぁって感じますが、読んでいたときはもうどうしようもないんだって思いがすごく伝わってきました。
書きたいことは沢山あるけどかなりすっ飛ばしますが、ニーナが自分から昼間に外へ行く場面。
普通の人には昼間外に出られないなんて想像もできないでしょう。
周りに誰も自分と同じ境遇の人がいない中、外へ行く決意をしたニーナがすごくかっこよかったです。
しかもその理由が陽光に会うためだと思うと。。。
私が一番好きなのは、陽光が免許を取ってニーナと話した言葉です。
昔は怖くなかったけど、今なら全力で止める。
小学生の時とはやっぱり変わってるんだよなあ…って実感と嬉しさがこみあげてきました。
過ごしていく時間の中で二人がそろって成長しあっていく様子は、まさに「年代記」なのでしょう。
星みたいにキラキラしていて、二人が話す言葉はパチパチする細かい飴みたいな印象がありました。
是非、沢山の人に読んでほしいです