ObannA
”王子と小鳥 その後”の「…会いてぇなー…」の直後の場面と、別れてからそこに至るまでのハーリド殿下側のストーリーを、王子付きのハッサン視点で描いております。
血縁が絶対の国で皇太子に仕えることができなかったハッサンは、始め落胆していました。
しかし、血縁ではなく語学に優れているところを認められ選ばれたと知り、感動して一番の理解者としてハーリドに仕えてきました。
王子と小鳥でも出てきたトラックのエピソードがあるように、何も欲しがらないハーリドを誰が幸せにしてくれるのか、ハッサンはずっと見守ってきました。
そんなハーリドのたった一人の寵姫スズキとの再会のために、1か月前から影でいろいろ準備をしていきますが……
とにかく、再会の場面が最高です!
上手く説明できないですが、会えなかった時間がさらに思いを募らせたのでしょう。
何を求めても無駄だと諦めていたハーリドが恋をしたと知った時、ハッサンはせっかくの薔薇が無駄になってもとても満ち足りた涙を流すのです。
ほぼ内容を説明してるだけになってしまいましたが(まったく文才が無くてすいません(;_;)、とにかく王子と小鳥好きにはおススメだと言うことです!!
涙三滴とは、ハーリドとスズキ、そしてハッサンの三人の涙でした。
『王子と小鳥』後日譚。
本編の最後のその後、涙を堪えて日々を過ごすスズキのもとに
彼を逃したことで自ら受けた謹慎が解けたハーリドが訪れる。
その再会までの経過を、侍従のハッサンの目を通して描いた一冊。
コミックより大判の薄い一冊。
心に思いを秘めながら、日々公務をこなし続けるハーリド。
その彼の堪え忍び続けた成長を見守り仕えてきたハッサン。
貧しさと寂しさに歯を食いしばって過ごすスズキ。
1ヶ月前、2週間前、24時間前、18時間前……
再会までのそれぞれの姿が淡々と描かれる。
1時間前、30分前、15分前、5分前、3分前……
カウントダウンに胸が高まり
そして見開きページの再会場面の美しさ!
胸が一杯になりながら、さらにめくった最終ページ。
侍従ハッサンの表情と台詞に、涙腺は崩壊するのだ。
* * *
山中ヒコさんは、所謂絵が上手い作家さんではない。
が、研ぎ澄まされた感性と優しい眼差しを、あくまで絵で伝えてくれる。
淡々とした日常の中、ポストを覗くスズキの
夜中に日本語を練習するハリードの、その一コマの切なさときたら!
その絵のヘタウマ風の味を含めてマンガという媒体の持つ表現力の魅力を
こんなにも味わわせてくれる作家さんだと、改めて感動と共に感嘆。
そんな、何度でも読み返したい、何度でも心震える一冊でした。
snowblackさま
こんにちは。
”研ぎ澄まされた感性と優しい眼差しを、あくまで絵で伝えてくれる”という言葉に、胸が熱くなりました。本当に、山中ヒコさんは、そのような素晴らしい表現力を持ちの作家さんですよね。
今作のsnowblackさまのレビューが読めて、とても幸せです♡
王子と小鳥の続編、ずっと読みたかった作品でした。 初めて読んだ同人誌なのですが、ものすごく感動しました。 短いページで二人が一緒にいる場面は本当に少ないんです。 ラブラブしているわけでもない…なのになんでこんなに暖かい気持ちになれるんだろうか、とても不思議です。
スズキとハーリドが再会するまでの謹慎期間、二人はどんな思いで過ごしていたんだろう。 手紙を抱き締めながら眠ったりしたのかな? きっと二人共お互いを深く思い合って、毎日毎日一生懸命生きていたんだろうな。 そんな二人が再会するまでが描かれているのですが、一ヶ月前からカウントダウンが始まります。
ハーリドの侍従のハッサン視点で描かれています。
二人の関係が友情以上なのかわからないながらにも、再会を素晴らしいものにするために、ハッサンは着々と準備を進めていきます。
再会まであと30分15分と、こちらまでやっと二人が会えるんだと期待で胸が高まっていきます。
ハーリドがスズキのアパートに近付いているところから、もう泣きそうになりました。
そして見開きページを使った二人の再会のシーンがすごく美しかったです。
いつも冷静で落ち着いたハーリド王子が、ただ恋をしている一人の青年でやっと会えたね〜と思ったら涙が止まりません。
初めてハーリドに絶対に譲れない愛する人ができて本当によかった。ハッサンの準備は無駄になってしまったけれど、ハーリドが恋をしている事を知ったハッサンの深い愛情が伝わってきてすごくよかったです。 ハーリドにハッサンのような侍従がいてくれてよかった!
もう何度も何度も読み返しています。
この作品に出会えてよかったです!
山中ヒコ先生との出会いの一冊「王子と小鳥」。
先日とある場所で、その大好きな一冊の別視点の本と出会いました。
それがこの本です。
ハーリドが幼い頃から仕えてきたハッサンの視点で物語は語られています。
この影の立役者ハッサンが素晴らしくて、ちょっと身震いしました。
ハーリドへの感謝の気持ちを、彼が幼い頃からなんとか形にしてプレゼントしたかったハッサン。
スズキに会いにハーリドが日本へ旅立つ前に、こっそり、でも実はかなり大胆な仕込みをします。
無意味なプレゼントかもしれないのに。
そして、日本での再会の瞬間、ハッサンはハーリドの心を知るのです。
ハッサンとハーリドとスズキ。
三滴の涙は美しい薔薇の花びらと共に、私たち読者の心を美しく染めてくれました。
そんな、とてもやさしい一冊でした。
2016年に「王子と小鳥」を読んで、早くも4年近くたちました。どなたかがレビューに役に立ったボタンを下さったのをきっかけに再読→再発火→とうとうこの同人誌を購入しました!!!読みたかった・・・読んで良かった。
「王子と小鳥」でケイイチが「・・・・会いてえなあ」と涙ぐんでいたあの続きが読める同人誌です!
お話は王子の侍従ハッサンの視点。幼い王子に仕え始めたころから始まり、再会するところまで。今までに書いていただいたレビューで内容は予想できていたとはいえ、読み終わった瞬間突っ伏し泣きでした。
ハッサン視点ですが、あの海よりふかーーーーーーーーい王子の愛情・葛藤が、よーく伝わって、改めて「超優良物件じゃん、もう国出て、どっか外国で事業起こしなよ、ミシャーリも連れて行ってやんな」と色々思った同人誌でした。王子大好き。そして今ようやくこの二人のお話を自分の中で終えられた心地、達成感でいっぱいです。手に入れる機会がありましたら是非。
『王子と小鳥』がとても素晴らしく、
番外編のこちらにまで手を伸ばしてしまいました。
先にレビュアー様が書いていらっしゃる通り、
ハッサンの視点で物語は進みます。
ハッサンという人物について確認したら
『王子と小鳥』の描き下ろしに登場しており、
そのラストシーンあたりの時間軸とリンクさせたものが
こちらの作品となります。
ハッサンの視点と同軸で、スズキの日常が交ぜられていて
その魅せ方が、とても巧い。淡々と描かれる日々の中、
ひたすら王子からの手紙を待つスズキの姿がいじらしくてたまりません。
台詞を発していなくとも、表情だけで切なさがこみあげてきます。
カウントダウン60秒前からの緊迫と昂揚感。
涙と共に薔薇の花びらが2枚舞う中での美しい再会と抱擁、
そして、ふたりを見守るハッサンの忠実な涙。
一連の描写は、今まで見た再会シーンの中で
最も美しく、胸に迫るものがありました。
『涙三滴、薔薇の花びら』
作品を表した、素晴らしいタイトルだと思います。
ただ、つくづく残念なのは
今作が同人誌で、本編に入っていないこと。
本編を読んだ全ての人にこちらを読んで頂けたら
どんなに良いだろうと、思わずにはいられません。
冬草さま、コメントをありがとうございました。
本当に美しく、心に響く、一冊。
おっしゃるとおり、是非本編を愛する全ての方に読んで頂ければと
願わずにはいられません。