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komekami hyouhyou
雁先生作品にハマって8冊目です。うち2冊だけ個人的な好みと少しずれていまして本作もそうでした。高評価が多い中、大変書き辛いのですが、読んだBLは率直な感想を述べさせてもらおうと思っているので、すみませんが書かせて頂きます。
表題作
橘高はトラウマがあるからネガティブになっちゃうんですよね。
自分の思いは叶うはずないと思っているから盗撮する。
片思いの相手が自分を好きだと言ってくれてつき合うことになり、しあわせなはずなのにずっと浮かない顔なのも、初体験でうれしいのに悲しくて大号泣しちゃうのもトラウマがあるからなんですよね。
私はどうもこの心理が理解できませんで。
感受性、想像力がダメダメでお恥ずかしい。
つき合うようになってからも許可なく写真を撮ったりして。
全部ひっくるめて芳野は嫌じゃないのかな(嫌じゃないから一緒にいるんだろうけど)なんて考えてしまいました。そういうところもかわいいと思えるんですかね。
「よじのぼったりしたい」は私も思ったことあるので、わかる!!とめっちゃ共感できました。
芳野の言動はだいたい理解も共感できて好きでした。
理解や共感できないことでも物語としての良さをもっと感じられるようになりたいです。精進します。
どれもこれも好きな作品ばかりの作品集。
【こめかみひょうひょう】(3話) 神
中学時代、同級生男子を好きなことがバレたことで不登校→一家で引っ越しというつらい経験をした橘高。
高校2年生になった彼は、同じクラスの芳野に片思いをしていて…、という始まり。
橘高が可愛くて、思考回路が面白いので笑えて萌えます。
「欲しくても手に入らないもの」を手に入れたつもりになるという写真のエピソードが好き。
過去のことがあって、ついネガティブになってしまう橘高を、芳野が引き上げてくれる関係が素敵です。
芳野がほんとにイイ男で、落ち着いてるけど高校生らしさもあるときめきキャラ。
「うれしいの後に悲しいが来る」と言う橘高に、そこはまだ「うれしい」のてっぺんじゃないと示してくれる男らしさも良かった。
芳野のおかげで橘高も変わっていくのが見えて、これからも何かあっても絶対に別れてほしくない!と願掛けするほど好きなCP。
【光る男】 萌2
ファッションセンス抜群の欽ちゃんと、ボーボー眉毛を整えてもらってからどんどんイケメンになった栗りん。
そんな栗りんの存在が最近ちょっと疎ましい、という始まり。
疎ましい、傷付けばいい、泣かされればいい、という欽ちゃんの気持ちの正体が分かっていく流れの見せ方がほんっとうに素晴らしい!
【見えてるのかな】 萌2
3ページの小品ながら、眼鏡をかけないと見えない彼と、その眼鏡かけると見えなくなる自分という、「見えている世界の違い」みたいな絶妙な感じがうまく表現されてるのがいい。
【カドを取られた方の負け】(2話) 萌2
幼馴染の久と竜信。オセロに腕ずもう、勉強でも何でも久に勝てない竜信。
「参りました」という台詞を頑なに言わない竜信が「参った」と言った日の出来事や、最終的に「参りました」なのはどっち?という結末にときめきます。
【めあたらしい日々】 萌2
出会い方がどうであれ、好きになったら相手のことを知りたいと思うのが恋心。
出会い系で出会ったリーマンとDK。立場も年齢も違う。興味のあることは全然合わなそう。だけど、どうにか共通の話題が欲しくてがんばるDKも、リーマンのオチも可愛い。
【vs 幼馴染】 萌2
恋人の幼馴染に紹介されたリーマン。
心理戦が楽しい。
うっかり最初に読み違えて、「マーチン(幼馴染)もゆう君を好きだったのでは!?」と思ってしまったけど、蓋を開けたら、口は悪くても、何があっても変わらずに大事に思ってくれる幼馴染っていいねという話でした。
【スローライフスローブギー】 萌
1年前の告白が巡りめぐって…という話。
めっきり勃たないおじさんと、そんなおじさんをずっと好きで諦められなかった若者。
スローペースにも程があるというか、おじさんが言い出せるまでの1年の心理状態を読んでみたいと思わせる展開。
【本日はお疲れの御様子】(2話) 萌2
昔、告白されて盛大にフった後輩と4年越しの再会。
先輩の後悔をやり直せてよかった!
後輩が一途でよかった!
心理描写も、表情で魅せる表現もいいけれど、構成に痺れる作品ばかり。
超絶おすすめの1冊です。
◆こめかみひょうひょう(表題作)
やっぱりこれが一番お気に入り。好きな男子・芳野のことの写真をこっそり撮り溜めしている橘高ということで、いずれはバレて不穏な展開になるんだろうなぁと思っていました。実際、芳野にはバレるんです。橘高もすごく焦って思わず泣いてしまうのだけど、なんと芳野はいっぱい写真を撮られていたのが嬉しくて、自分もだんだん好きになっていたと明かしてくれる。微笑ましくて、すごく温かい気持ちになりました。同性に想われたら気持ち悪いと感じる人ばかりじゃない、好意を嬉しいと思う人もいるんだ、と。付き合い始めてからも、芳野の方が積極的だったりするのが萌えました。
◆カドをとられた方が負け
幼馴染もの。何でも勝負する久と竜信。ほぼ竜信の負けなのですが、彼は絶対に参りましたと言わない。プライドじゃないんです。彼には降参という概念がないんです。好きな久には何度でも挑みたいんでしょうね。結局、相手のことが好きなら勝ち負けなんてどうでもいい。そんな2人が可愛かったです。
◆本日はお疲れのご様子
先輩後輩の再会もの。振られたけど忘れられなかった先輩・塚原を追って、東京にまで出てきた西岡の一途過ぎるところがたまらなかったです。強引に塚原に近づいたりはしないので、ストーカーっぽさも感じさせません。それでも家に呼ばれた時は、お酒の力も借りて強引に。塚原と読者にいろいろインパクトを残してくれた、純情な後輩っぷりでした。
◾︎表題
半分で終わっちゃったよ〜〜もっと見たいよ〜〜〜
後半の畳み掛ける短編たちも良いけれど!
初っ端の「誰かを抱きしめたりよじのぼったりしたい!」ってセリフにつかまれました。よじのぼったりしたいってすっごく分かるけど、漫画ではすっと出てこない気がするんです。雁須磨子先生はそういう、気取ってない生のセリフが多い。
幸せすぎて、先を考えて怖くなってしまう受けも大好きです。橘高は特に中学時代の沈み方が強かったせいか、より怯えていますね。そんな受けに対して攻めがどう動くかもBL読んでて楽しみなところの一つです。芳野は非常に良い!カッコつけたり綺麗な言葉を使うわけではなく、行動で受けを安心させにくる攻めって本当に良い!!
橘高目線ですすむので、橘高が芳野に惚れたストーリーのように見えますが、しっかり芳野が橘高に惚れているのがたまりません。
◾︎光る男
リバってくれ(心の叫び)
◾︎カドを取られた方が負け
攻め(竜信)が負けがちっていうのがたまらん。なんだかんだ最後の一文に尽きる。久は竜信になんでも勝てるけど、勝てたためしはない。
◾︎めあたらしい日々
表題作が純な高校生で、こういった作品も同時収録されているのが嬉しい。雁須磨子先生の幅広さ。
17歳の若さで「一生ひとりで 生きてくなんて そんなことだって もしかしたらあるかも」とふと思ってしまう高校生。
初めてできた彼氏と一緒に過ごせて、ラッキーでしあわせで、てっぺんにいる気分で嬉しいけどこれ以上のてっぺんはないんだな、と思うとかなしいと言う。
飲まなくちゃ家に行けないからと言って、わざわざ酔っ払って好きな相手の家へ行く。
一度は振られた相手を追うため地元を出たのに、二年間同じ路線を使いながらもただ陰から見ているだけだった男。
そんな彼らの臆病さ、不器用さが愛おしくて、何だか彼らを抱きしめたくなってしまう。
もちろん私なんかじゃなくて、彼らにはしっかりと受け止めて引き上げてくれる相手がいます。
男同士の恋愛を描いているけど、ああ人と人が付き合うっていいことだなぁってなんだかしみじみ思いました。
自分だけでは辿り着けないその先へと引き上げてくれる、これは男だろうが女だろうが、相手がいてくれてこそだなぁって。特に表題作のカップルはいい。
読んでいると心がこまかく揺れてふるふるしてしまう。
泣くほどの派手さはないと思ったのだけど、読んでいて泣いてしまいました。
(ちなみに泣けたのは【本日はお疲れの御様子で】「西岡」と呼びかけて「はい 先輩」と正座して涙浮かべて返事したところです。この返事にきました。)
良質の短編集という一言では片付けてはいけない気がするほどみっちり詰まっていて、最初読み終えた後、この本って少しぶ厚めの250ページくらいあるのかなぁ?とわざわざページ数を確認したほどです。
(電子書籍なので、本の厚さでページ数を推測できない)
私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのがこちらの一冊。
初読みの作家さんだったので最初は48時間の限定で読んだのですが、読後すぐに無期限に変更しました。
一度読んで終わり、ではなく何度も読みたい再読に耐えうる本だと思いました。
教えてくださり本当にありがとうございました。
過去の体験から多くを望まない、望めない人になった橘高君。
クラスメイトの芳野君に強く強く惹かれながらも動き出すことはできない。携帯で芳野君を盗撮する、という大胆なのに消極的な行動でしか愛情を昇華させられない、ちょっと悲しいところから物語はスタート。
全編を通じて橘高君には辛い体験がつきまとい、もどかしいくらいネガティブ。
それなのに物語全体が明るさを失わないのは、殻にこもろうとする橘高君を引っ張って離さない芳野君や、姪っこのキャラクターが魅力に溢れていること。特に印象に残っているのは最後、橘高君の思う幸せの上限のさらに上の扉から彼を上へと引き上げていく芳野君。
言葉でだらだら語らずに、ネガティブさすら持っていってくれる、そしてエロでごまかさない(笑)攻め!BLでは珍しい漢です…!
受の橘高くん同様に、我こそはネガティブここに極まれりという人
ぜひ読んでください。そしてにやにやしてください!笑
かなり好き。繰り返し何度もって訳じゃなく、ほんと定期的に読みたくなる。
主人公と一緒にじわじわと幸せになっていくまんがです。じわじわと。
おすすめです。
作者さん漫画家歴がかなり長いので安心して読める上、自分にしか出せないテンポ、世界観みたいなものがあって、はまったらどつぼです。
過去作品からBLじゃない作品まで買い漁ってしまいました。9割外れなしでしたありがとうございました。
絵が好みじゃない人も、話が好みじゃない人も、まあとりあえず一回この人の世界観に触れといて損はないんじゃないか?というイチオシ本です。
あと男子高校生好きの方も是非ね。買ってくださいね。
これはもう神つけたって良い短編集です。
元々私は神評価が多いので皆さんと温度差があるかもしれませんが;
このコミックスに関して「ここがいいんですよ!!!」って述べたら
たぶん読めたもんじゃないので(いつも以上に長すぎ&くどすぎ)
我慢します。本当に。でもやっぱり言いたい事は山ほどあります(泣)
こちらの短編集、雁須磨子さんの魅力がこれでもかと凝縮されています!
なんで?なにが?って思う方にはそりゃもう読んでいただくしか!!!
恋をして切なくて嬉しい気持ち、想いが通じたあとの不安と幸せ、
相反する感情が常に行き交い
それでも愛する心は誰にも止められない。
ささいな日常と出来事を
ここまで描ける漫画家さんはそうそういらっしゃらないかと!
ユーモアもあり、オチは「ぶふっ」とか「くすっ」とか出来ます。
あ!!しかもこの短編集ではラスト、リーマン同士が読めますよ!
(高校時代の後輩と先輩です)
雁須磨子さんのリーマンは貴重!!!
でもリーマンがどうとか言うよりも、雁須磨子さんのBL作品っていうだけで
ぐわっとくるものがあるんですけどね☆
『見えてるのかな』はたったの3P!!(3人のプレイじゃないですよ!w)
これで「わぁ♪」と思えたら、もう雁須磨子ワールドへまっしぐらです!!
メインタイトルの「こめかみひょうひょう」読んでると胸がなんだかジーンとして
切なくなってくるんですよね。
思春期の残酷さと切なさと、苦しみと嬉しさと、戸惑いと膨れ上がる熱い思い
そんな様々な思いがこの1冊に込められているような奥深い作品でした。
イラストは・・・好みじゃないのですが、内容が実にいいのです。
不器用だけど精一杯に恋してる感じが伝わって来て胸がジ~ンとしちゃいます。
ドラマチックな作られた感は全然ないんだけど、自然な感じでだから余計
リアルに感じてしまう、そんな作品でした。
同時収録されている作品もかなり味のある作品でじっくり読んで心に一拍留めて
かみしめて欲しい作品ばかりです。
派手な展開も何もない作品ばかりなんですが何故か心を動かすストーリです。